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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G02F
管理番号 1120925
審判番号 不服2002-20715  
総通号数 69 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1998-02-03 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-10-24 
確定日 2005-08-11 
事件の表示 平成 8年特許願第187908号「液晶表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 2月 3日出願公開、特開平10- 31215〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成8年7月17日の出願であって、その請求項に係る発明は、平成14年8月27日付及び平成17年3月14日付手続補正書で補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1〜3に記載されたものと認められるところ、請求項1に係る発明は次のものである。
「【請求項1】ガラス基板と、ガラス基板上に形成された電極部と、該電極部上に形成された配向膜をそれぞれ有する第1の基板および第2の基板を備え、該第1の基板と第2の基板とが対向配置されてそれらの間に液晶が封入されてなり、前記電極部が、平面視矩形状の表示画面領域に形成されたストライプ状の表示部透明電極群と、表示画面領域の少なくとも1辺の外方に前記表示部透明電極群を引き出すストライプ状の引き出し透明電極群と、前記表示画面領域の外側に形成されたストライプ状の外側透明電極群とからなるSTN型の液晶表示装置であって、
前記第1の基板の電極部の前記表示部透明電極群の周囲の対向する2辺の外方にそれぞれ前記引き出し透明電極群が形成されており、前記電極部上に前記表示部透明電極群を覆って平面視矩形状の絶縁膜層が形成され、該絶縁膜層が平面視矩形状の前記配向膜に被覆されており、
前記引き出し透明電極群が設けられていない電極部の2辺の外側では、前記絶縁膜層と前記外側透明電極群とが前記配向膜に被覆されて前記外側透明電極群の端縁が前記配向膜の端縁よりも内側に位置しており、
前記引き出し透明電極群が設けられている電極部の2辺の外側では前記絶縁膜層が前記配向膜に被覆され、前記引き出し透明電極群が前記配向膜の外側に引き出され、
前記第1の基板の引き出し透明電極群の設けられていない辺が該第1の基板における配向膜のラビング処理における擦り始め側とされる一方、
前記第2の基板の電極部の前記表示部透明電極群の周囲の1辺の外方に前記引き出し透明電極群が形成されており、前記表示部透明電極群の周囲の4辺のうち、前記引き出し透明電極群が形成されていない3辺の外側では、前記表示部透明電極群の外側に位置する外側透明電極群が前記配向膜に被覆されて前記外側電極群の端縁が前記配向膜の端縁よりも内側に配置されており、前記引き出し透明電極群が形成された1辺の外側では前記配向膜の外側に前記引き出し透明電極群が引き出され、
前記第2の基板の引き出し透明電極群の設けられていない辺が該第2の基板における配向膜のラビング処理における擦り始め側とされる一方、
前記第1の基板の前記引き出し透明電極群が形成されていない側の辺と、前記第2の基板の引き出し透明電極群が形成されている側の辺とを対向させて第1の基板と第2の基板が対向配置され、かつ、前記第1の基板と第2の基板との対向面において、前記ラビング処理の擦り始め側とされた辺同士が対向配置されてなり、前記第1の基板及び第2の基板における配向膜が、ラビングロールを前記擦り始め側とされた辺に対して垂直方向に移動させて擦ることによってラビング処理が施されたものであることを特徴とする液晶表示装置。」(以下、「本願発明」という。)
なお、平成14年11月25日付手続補正書は却下された。

2.刊行物の記載事項
当審における拒絶理由に引用した引用例は以下のものである。
刊行物1:特開平7-5477号公報
刊行物2:特開平6-289378号公報
刊行物3:実願平1-82145号(実開平3-22223号)のマイクロフィルム
刊行物4:特開平7-209660号公報

刊行物1(特開平7-5477号公報)には、液晶表示装置に関し、下記の記載が認められる。
(あ)「【0005】STN(スーパーツイステッドネマチック)型液晶表示素子は、複屈折効果を利用しているため、・・・液晶層厚dを均一にすることは、STN型液晶表示素子にとって非常に重要な要素である。・・・
【0020】実施例1
図1(a)は本発明の第1の実施例の液晶表示セルの概略断面図である。
【0021】11、12は透明ガラス基板(11は上電極基板、すなわちコモン側電極基板、12は下電極基板、すなわちセグメント側電極基板)、31、32は基板11、12にそれぞれ平行に配列して設けられた帯状の表示用透明電極(31は上電極、すなわちコモン側電極、32は下電極、すなわちセグメント側電極)で、基板11に設けた電極31と基板12に設けた電極32とは両基板11、12の面と垂直な方向から見た場合、互いに直角に交差するように配置されている。66は両基板11、12の各電極31、32が互いに直角に交差する領域から構成される表示ドット領域(図13参照)、21、22はそれぞれ電極11、12を設けた基板11、12の面上に設けられ、ラビング処理が施された配向膜、52は両基板11、12間の縁周囲に設けられ、両基板11、12を貼り合わせると共に、両基板11、12間に液晶を封止するためのエポキシ樹脂から成るシール材、50は液晶層、68はポリマービーズの弾性小球から成り、基板間隔を一定にするためのスペーサである。」、
(い)「【0023】実施例2
図1(b)は本発明の第2の実施例の液晶表示素子の概略断面図である。
【0024】本実施例では、図1(b)に示すように、最外列の2本の電極31’の外側と表示ドット領域66内の電極が存在しない部分が、電極31、31’が存在する部分と同一の高さになるように絶縁膜、例えばシリコン酸化膜(SiO2膜)69を用いて平坦化されている。なお、基板12の側の電極32については、図示してないが、基板11側と同様に絶縁膜70により平坦化されている。平坦に形成された絶縁膜69、70上には配向膜21、22を全面が平坦になるように均一の厚さで形成し、配向膜21、22にラビング処理を施した後、両基板11、12間に、液晶層50とスペーサ65を挟んで液晶セル60を作製し、・・・液晶表示素子62を作製した。・・・
【0028】さらに、図1(a)、(b)に示したように、第1、第2の実施例では、配向膜21、22の表面が平坦なので、ラビング用布を用いた配向膜21、22のラビング処理を良好に行なうことができ、図14の従来例で説明したようなエッジドメインの発生を防止することができ、表示品質が向上する。」、
(う)「【0032】図4において、液晶層50を挟持する2枚の上、下電極基板11、12間で液晶分子がねじれたらせん状構造をなすように配向させるには、例えばガラスからなる透明な上、下電極基板11、12上の、液晶に接する、例えばポリイミドからなる有機高分子樹脂からなる配向膜21、22の表面を、例えば布などで一方向にこする方法、いわゆるラビング法が採られている。このときのこする方向、すなわちラビング方向、上電極基板11においてはラビング方向6、下電極基板12においてはラビング方向7が液晶分子の配列方向となる。このようにして配向処理された2枚の上、下電極基板11、12をそれぞれのラビング方向6、7が互いにほぼ180度から360度で交叉するように間隙d1をもたせて対向させ、2枚の電極基板11、12を液晶を注入するための切欠け部(液晶封入口)51を備えた枠状のシール材52により接着し、その間隙に正の誘電異方性をもち、旋光性物質を所定量添加されたネマチック液晶を封入すると、液晶分子はその電極基板間で図中のねじれ角θのらせん状構造の分子配列をする。なお31、32はそれぞれ例えば酸化インジウム又はITO(Indium Tin Oxide)からなる透明な上、下電極である。このようにして構成された液晶セル60の上電極基板11の上側に複屈折効果をもたらす部材(以下複屈折部材と称す。・・・)40が配設されており、さらにこの部材40および液晶セル60を挟んで上、下偏光板15、16が設けられる。」、
(え)「【0050】ただし、図9に示す如く、上電極基板11上に赤、緑、青のカラーフィルタ33R、33G、33B、各フィルター同志の間に光遮光膜33Dを設けることにより、多色表示が可能になる。図7に前記具体例における液晶分子の配列方向、液晶分子のねじれ方向、偏光板の軸の方向および複屈折部材の光学軸の関係を示す。
【0051】なお、図9においては、各フィルタ33R、33G、33B、光遮光膜33Dの上に、これらの凹凸の影響を軽減するため絶縁物からなる平滑層23が形成された上に上電極31、配向膜21が形成されている。」
(お)図4には、下電極基板12上に、ストライプ状の下電極32群が形成され、その両端側が矩形状の配向膜22から引き出され、上電極基板11にストライプ状の電極31群が形成され、一端が矩形状の配向膜21から引き出されていることがみてとれる。
(か)図4には、【0032】の記載を参照して、上下基板の対角からラビングが行われていることがみてとれる。
(き)図9には、絶縁物からなる平滑層23上に形成された配向膜21が、平滑層23の端縁を覆っていることがみてとれる。
(く)図10には、液晶表示素子62を載置しているプリント基板35の3辺に駆動用IC34が配置され、一辺には駆動用ICが配置されていないことがみてとれる。

刊行物2(特開平6-289378号公報)には、本願発明の「絶縁膜層」に相当する「トップコート膜」の周縁部分が配向膜24で覆われていることが図1〜図3とともに記載されている。

刊行物3(実願平1-82145号(実開平3-22223号)のマイクロフィルム)には、STN型液晶表示装置の表示領域の周囲に、ストライプ状のダミー電極を設けると共に、該ダミー電極(本願発明の「外側透明電極群」に相当)の端縁が配向膜の端縁より内側に位置していることが記載されている。(第1図〜第4図参照。)

刊行物4(特開平7-209660号公報)には、有効表示エリア最外周にダミー電極を設けることが記載されている。

3.対比
本願発明と刊行物1に記載された発明を対比する。
(イ)刊行物1の「透明ガラス基板11」,「透明ガラス基板12」,「コモン側電極31,セグメント側電極32」,「STN型液晶表示素子」が、それぞれ本願発明の「第1の基板」,「第2の基板」,「ストライプ状の表示部透明電極群,ストライプ状の引き出し透明電極群」,「STN型の液晶表示装置」に相当することは明らかである。
(ロ)刊行物1の上記記載事項(お),(く)及び一辺には駆動用ICが配置されていない図10を勘案すると、刊行物1には、「前記第1の基板の電極部の前記表示部透明電極群の周囲の対向する2辺の外方にそれぞれ前記引き出し透明電極群が形成されており」、「前記引き出し透明電極群が設けられている電極部の2辺の外側では前記絶縁膜層が前記配向膜に被覆され、前記引き出し透明電極群が前記配向膜の外側に引き出され、」、「前記第2の基板の電極部の前記表示部透明電極群の周囲の1辺の外方に前記引き出し透明電極群が形成されており、」及び「前記引き出し透明電極群が形成された1辺の外側では前記配向膜の外側に前記引き出し透明電極群が引き出され、」との技術的事項に相当する事項が記載されている。
(ハ)刊行物1の上記記載事項(き)から、刊行物1には、「前記電極部上に前記表示部透明電極群を覆って平面視矩形状の絶縁膜層が形成され、該絶縁膜層が平面視矩形状の前記配向膜に被覆されて」いるとの技術的事項に相当する事項が記載されている。

よって、本願発明の用語を用いると、刊行物1には、
「ガラス基板と、ガラス基板上に形成された電極部と、該電極部上に形成された配向膜をそれぞれ有する第1の基板および第2の基板を備え、該第1の基板と第2の基板とが対向配置されてそれらの間に液晶が封入されてなり、前記電極部が、平面視矩形状の表示画面領域に形成されたストライプ状の表示部透明電極群と、表示画面領域の少なくとも1辺の外方に前記表示部透明電極群を引き出すストライプ状の引き出し透明電極群とからなるSTN型の液晶表示装置であって、
前記第1の基板の電極部の前記表示部透明電極群の周囲の対向する2辺の外方にそれぞれ前記引き出し透明電極群が形成されており、前記電極部上に前記表示部透明電極群を覆って平面視矩形状の絶縁膜層が形成され、該絶縁膜層が平面視矩形状の前記配向膜に被覆されており、
前記引き出し透明電極群が設けられている電極部の2辺の外側では前記絶縁膜層が前記配向膜に被覆され、前記引き出し透明電極群が前記配向膜の外側に引き出され、
前記第2の基板の電極部の前記表示部透明電極群の周囲の1辺の外方に前記引き出し透明電極群が形成されており、前記引き出し透明電極群が形成された1辺の外側では前記配向膜の外側に前記引き出し透明電極群が引き出されてなる液晶表示装置」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されており、本願発明と引用発明は、この点で一致し、下記の点で相違する。

相違点1:
本願発明は、「前記表示画面領域の外側に形成されたストライプ状の外側透明電極群」を有していることから、「前記引き出し透明電極群が設けられていない電極部の2辺の外側では、前記絶縁膜層と前記外側透明電極群とが前記配向膜に被覆されて前記外側透明電極群の端縁が前記配向膜の端縁よりも内側に位置しており」との事項、及び「前記表示部透明電極群の周囲の4辺のうち、前記引き出し透明電極群が形成されていない3辺の外側では、前記表示部透明電極群の外側に位置する外側透明電極群が前記配向膜に被覆されて前記外側電極群の端縁が前記配向膜の端縁よりも内側に配置されて」いるとの事項を有するのに対し、引用発明は、上記事項を有さない点。
相違点2:
本願発明では、「前記第1の基板及び第2の基板における配向膜が、ラビングロールを前記擦り始め側とされた辺に対して垂直方向に移動させて擦ることによってラビング処理が施されたものである」のに対して、引用発明は、上記事項を有さない点。
相違点3:
本願発明は、「前記第1の基板の引き出し透明電極群の設けられていない辺が該第1の基板における配向膜のラビング処理における擦り始め側とされる一方、」、「前記第2の基板の引き出し透明電極群の設けられていない辺が該第2の基板における配向膜のラビング処理における擦り始め側とされる一方、前記第1の基板の前記引き出し透明電極群が形成されていない側の辺と、前記第2の基板の引き出し透明電極群が形成されている側の辺とを対向させて第1の基板と第2の基板が対向配置され、かつ、前記第1の基板と第2の基板との対向面において、前記ラビング処理の擦り始め側とされた辺同士が対向配置されてなる」との事項を有するのに対し、引用発明は、上記事項を有さない点。

4.判断
上記相違点について検討する。
相違点1について:
表示画面領域の外側に、ダミー電極等の外側電極群を形成することは、刊行物3及び刊行物4にも記載されるように従来周知のことである。
そして、刊行物2には、本願発明の「絶縁膜層」に相当する「トップコート膜」の周縁部分が配向膜24で覆われていることが記載され、刊行物3には、STN型液晶表示装置の表示領域の周囲に、ストライプ状のダミー電極を設けると共に、該ダミー電極(本願発明の「外側透明電極群」に相当)の端縁が配向膜の端縁より内側に位置していることが記載されており、このことから導電膜、絶縁膜の表面をなるべく配向膜で覆うことが常套手段であることが理解できるばかりでなく、また配向膜は液晶の配向のために設けられるものであるから、液晶に接する部分は配向膜で覆う方が配向性がよくなるとの技術常識に照らせば、導電膜、絶縁膜の表面をなるべく配向膜で覆うことが格別のことでないことが理解できる。
よって、引用発明の表示画面領域の外側にダミー電極等の外側電極群を形成し、該電極群の端縁を配向膜で覆うことにより、相違点1の事項とすることは、当業者が容易になし得たものである。

相違点2,3について:
ラビング処理において、ラビングロールを擦り始め側の辺に対して垂直方向に移動させて擦ることは周知(例えば、特開昭54-136355号公報、特開平4-115225号公報、特開平4-221925号公報参照。特に特開平4-115225号公報の従来技術(図10)からは、ラビングロールを擦り始め側の辺に対して垂直方向に移動させること及び角度をなして移動させることがともに適宜採用される手段であることが理解される。)のことにすぎないので、相違点2の事項とすることは当業者が適宜採用し得る事項にすぎない。
そして、上記周知のラビング方法を適用した場合には、上下基板を対向させる際に、上下基板におけるラビング処理の擦り始め側とされた辺同士を対向配置させることも適宜選択しうること(刊行物1の基板6,7においては、そうなる可能性が高い。)であるから、上記相違点3の事項とすることも当業者が適宜採用し得る事項にすぎない。

そして、本願発明によってもたらされる効果は、引用発明及び刊行物2〜4に記載された事項並びに周知技術から予測しうる程度のものである。
したがって、本願発明は、引用発明及び刊行物2〜4に記載された事項並びに周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び刊行物2〜4に記載された事項並びに周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-06-10 
結審通知日 2005-06-14 
審決日 2005-06-29 
出願番号 特願平8-187908
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G02F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小牧 修  
特許庁審判長 平井 良憲
特許庁審判官 吉田 英一
町田 光信
発明の名称 液晶表示装置  
代理人 高橋 詔男  
代理人 渡邊 隆  
代理人 青山 正和  
代理人 西 和哉  
代理人 村山 靖彦  
代理人 鈴木 三義  
代理人 志賀 正武  
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