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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1120939
審判番号 不服2003-391  
総通号数 69 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1998-06-19 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-01-08 
確定日 2005-08-11 
事件の表示 平成 8年特許願第317438号「配送管理システム」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 6月19日出願公開、特開平10-162065〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯
本願は平成8年11月28日の出願であって、平成14年12月6日付で拒絶査定がなされ、これに対し、平成15年1月8日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年2月7日付で手続補正がなされたものである。

2.平成15年2月7日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成15年2月7日付の手続補正を却下する。
[理由]
(1)本件手続き補正
平成15年2月7日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、平成13年9月3日付け手続補正により補正された特許請求の範囲(以下、「補正前の特許請求の範囲」という。)の請求項8を、次のとおり(以下、「補正後の特許請求の範囲」という。)補正する補正事項を含むものである。

(補正前の特許請求の範囲)
【請求項8】
配送される商品を受け取る利用者が利用する利用者装置と、前記商品の配送を管理する物流サーバと、前記商品の取次を行う際に利用される取次サーバとが互いにネットワークを介して接続された配送管理システムを利用した配送管理方法において、
前記物流サーバが、
前記利用者装置から送信される、前記利用者への前記商品の取次場所を含む配送条件を受信するステップと、
前記配送条件に従って、前記取次場所に前記商品を配送するための情報処理を実行するステップと、
前記利用者装置に、前記商品の配送を一意に識別する情報を送信するステップと、 前記取次サーバに、前記取次場所にて前記商品を前記利用者に受け渡し可能か判定できるよう前記情報を送信するステップとを有することを特徴とする配送管理方法。

(補正後の特許請求の範囲)
【請求項8】
配送される商品を受け取る利用者が利用する利用者装置と、前記商品の配送を管理する物流サーバと、前記商品の取次を行う際に利用される取次サーバとが互いにネットワークを介して接続された配送管理システムを利用した配送管理方法において、
前記物流サーバが、
前記利用者装置から送信される、前記利用者への前記商品の取次場所を含む配送条件を受信するステップと、
前記配送条件に従って、前記取次場所に前記商品を配送するための情報処理を実行するステップと、
前記取次サーバに、前記取次場所にて前記商品を前記利用者に受け渡し可能か判定できるよう前記情報を送信するステップとを有することを特徴とする配送管理方法。

(2)当審の判断
本件補正が、特許法第17条の2第4項第1号乃至第4号に規定された事項を目的とするものであるか検討する。
本件補正により、「物流サーバが、前記利用者装置に、前記商品の配送を一意に識別する情報を送信するステップ」が発明を特定するための事項から削除された。
そして、「物流サーバが、前記利用者装置に、前記商品の配送を一意に識別する情報を送信するステップ」を発明を特定するための事項から削除する補正は、補正前の特許請求の範囲に記載された発明の特定事項(課題解決手段)を限定するものではなく、また、請求項の削除、誤記の訂正及び明瞭でない記載の釈明を目的とするものでもない。

したがって、本件補正は、特許法17条の2第4項第1号乃至第4号に規定されたいずれの事項をも目的とするものではない。

(3)むすび
以上のとおりであるから、本件手続補正は、特許法第17条の2第4項の規定に適合しないので、同法第159条第1項で準用する同法53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。

3.本願発明について
平成15年2月7日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項8に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は、補正前の特許請求の範囲の請求項8に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「配送される商品を受け取る利用者が利用する利用者装置と、前記商品の配送を管理する物流サーバと、前記商品の取次を行う際に利用される取次サーバとが互いにネットワークを介して接続された配送管理システムを利用した配送管理方法において、
前記物流サーバが、
前記利用者装置から送信される、前記利用者への前記商品の取次場所を含む配送条件を受信するステップと、
前記配送条件に従って、前記取次場所に前記商品を配送するための情報処理を実行するステップと、
前記利用者装置に、前記商品の配送を一意に識別する情報を送信するステップと、
前記取次サーバに、前記取次場所にて前記商品を前記利用者に受け渡し可能か判定できるよう前記情報を送信するステップとを有することを特徴とする配送管理方法。」

4.引用例
(a)原審の拒絶の理由に引用された特開平8-287158号公報(以下、引用例1という。)には、「宅配情報サービス方法及びシステム」に関して、次の事項が図面と共に記載されている。

A.「【請求項1】 各々が送受信手段を備える荷受側サーバと、配送側サーバと、配送先クライアントを通信ネットワークで接続した宅配情報サービスシステムにおける宅配情報サービス方法であって、
前記配送側サーバは、前記荷受側サーバから送信され前記通信ネットワークを介して受信した荷受情報に基づき配送計画を作成し、該配送計画に基づき配送予告サービスを作成して前記配送先クライアントへ送信し、
前記配送先クライアントは、受信した配送予告サービスを出力装置に出力し、利用者が入力装置により入力する前記配送予告サービスに対する承認意思の有無を前記配送側サーバへ送信し、
前記配送側サーバは、前記配送先クライアントから前記通信ネットワークを介して受信した承認意思の有無が有のとき前記配送計画に承認情報を付加して確定し、無のとき配送変更サービスを作成して前記配送先クライアントへ送信し、
前記配送先クライアントは、受信した配送変更サービスを前記出力装置に出力し、利用者が入力装置により入力する前記配送変更サービスに基づく配送変更情報を前記配送側サーバへ送信し、
前記配送側サーバは、前記配送先クライアントから前記通信ネットワークを介して受信した配送変更情報に基づき前記配送計画を編集し、該編集した配送計画に承認情報を付加して確定することを特徴とする宅配情報サービス方法。
(略)
【請求項6】 請求項1記載の宅配情報サービス方法において、
前記配送変更サービスは、日時別配送可能状況表示選択部と不在時の荷物扱い
選択部と決定入力部からなることを特徴とする宅配情報サービス方法。」(特許請求の範囲)
B.「以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。 図1は、本発明の実施例を示すフローチャートである。図2は、本実施例を実現するためのシステムの全体構成図である。そのシステム構成は、宅配荷物の荷受側営業所のサービス提供システム(荷受側サーバ)210と配送側営業所のサービス提供システム(配送側サーバ)220と荷物の配送先のサービス利用システム(配送先クライアント)230と通信ネットワーク240とからなる。通信ネットワーク240は、パソコン通信やインターネット、双方向CATVなど双方向のオンラインサービスが利用できるものであれば良い。荷受側サーバ210は、計算機211と記憶装置212とからなる。配送側サーバ220において、221は宅配情報サービスの処理を行なう計算機、222は記憶装置である。また、配送先クライアントにおいて、231は、宅配情報サービスを受ける処理を行なう計算機である。232は入力装置、233は出力装置である。」(公報段落番号0006)
C.「図2を引用しながら、図1のフローチャートに従い、本実施例における処理動作を説明する。図1は、荷受側サーバ210、配送側サーバ220、配送先クライアント230に関する処理フローである。この中で特に、配送側サーバ220、配送先クライアント230は、互いにデータを送受信することにより、自らの処理ステップの同期をとっている。以下では、本システムの処理フローを処理ステップの同期を考慮しながら、時間順に説明する。(略)
<配送側サーバ:ステップ121>荷受情報の受信 配送側サーバ220は、通信ネットワーク240を介して、荷受情報300を受信する。
<配送側サーバ:ステップ122>配送計画の作成
受信した荷受情報300をもとに、配送計画400を作成する。配送計画400の例を図4に示す。配送計画400は、宅配荷物の配送先フィールド401、荷物の発送元フィールド402、荷物の種別を示すフィールド403、荷物の配送側営業所への到着便を示すフィールド404、配送側営業所から配送先への配送予定便を示すフィールド405とからなる。
<配送側サーバ:ステップ123>配送予告サービスの作成
配送側サーバ220は、配送計画400をもとに、配送予告情報500を含む配送予告サービスを作成する。配送予告情報の500の作成例を作成結果である図5を引用して示す。配送先の宛名501は、配送先フィールド401の情報から作成する。宅配便の内容502については、配送計画400の荷物の発送元フィールド402、荷物の種別を示すフィールド403、配送側営業所から配送先への配送予定便を示すフィールド405から作成し、そのほかの、文章503については、予め配送予告定型書式をして用意しておく。
<配送側サーバ:ステップ124>配送予告サービスの送信
作成した配送予告サービスを、通信ネットワーク240を介して、配送先クライアント230へ送信する。送信の際の宛先アドレスについては、予め利用者毎に登録しておき、名前や住所とアドレスとの対応を示すテーブルから、配送計画400の配送先フィールド401を検索キーにして検索する。アドレスの形式は、使用する通信ネットワークの形式に従ったもので、利用者が一意に特定できるものであればよい。
<配送先クライアント:ステップ141>配送予告サービスの受信
配送先クライアント230は、通信ネットワーク240を介して、配送側サーバ220からの、配送予告サービスを受信する。
<配送先クライアント:ステップ142>受信メッセージの出力
配送予告サービスを受信したことを示すメッセージを出力装置233に出力する。図6にメッセージ表示画面の例を示す。図6のようにメッセージは、テキストで表示してもよいし、アイコンなどの絵文字の変化で表示してもよい。
<配送先クライアント:ステップ143>配送予告サービスの出力指示の入力
配送予告サービスの出力指示を、図6でサービス番号を指定することにより、入力装置232から入力する。
<配送先クライアント:ステップ144>配送予告サービスの出力
配送予告サービスを出力装置233に出力する。出力画面例を図7に示す。画面701は、配送予告情報500の内容を表示するエリア702と承認ボタン703、変更希望ボタン704とからなる。
<配送先クライアント:ステップ145>承認意思の有無の入力 出力した配送予告サービスの配送予告情報500に対して承認意思有の場合には、承認ボタン703を、一方承認意思無の場合には、変更希望ボタン704を、入力装置232から選択入力する。<配送先クライアント:ステップ146>承認意思の有無の送信 通信ネットワーク240を介して、入力した承認意思を配送側サーバ220へ送信する。<配送側サーバ:ステップ125>配送予告の承認意思の受信 配送先クライアント230から、通信ネットワーク240を介して、配送予告情報の承認意思を受信する。<配送側サーバ:ステップ126>配送予告の承認意思の有無による分岐判定 受信した承認意思が有なら、<ステップ130>へ、受信した承認意思が無なら<ステップ127>へ分岐する。<配送側サーバ:ステップ127>配送変更サービスの送信 受信した承認意思が無なら、配送変更サービスを、通信ネットワーク240を介して、配送先クライアント230へ送信する。
<配送先クライアント:ステップ147>配送変更サービスの受信
通信ネットワーク240を介して配送変更サービスを受信する。
<配送先クライアント:ステップ148>配送変更サービスの出力 受信した配送変更サービスを出力装置223に出力する。出力した配送変更サービスの画面例を図8に示す。画面801には、配送変更可能状況表示選択部802と、不在時の荷物扱い選択部803と、決定入力部804がある。<配送先クライアント:ステップ149>配送変更情報の入力
入力装置222から配送変更情報を入力する。配送変更情報の入力は配送変更可能状況表示選択部802と、不在時の荷物扱い選択部803を選択し、決定入力部804のボタンを選択入力する。
<配送先クライアント:ステップ150>配送変更情報の送信
入力した配送変更情報を通信ネットワーク240を介して、配送側サーバ220へ送信する。
<配送側サーバ:ステップ128>配送変更情報の受信 通信ネットワーク240を介して、配送先クライアント230からの配送変更情報を受信する。<配送側サーバ:ステップ129>配送計画の編集 受信した配送変更情報に基づいて、配送計画400を編集する。図9に編集内容の例を示す。変更情報を受信した配送先クライアントに対応する、配送計画400の該当レコード検索して、配送側営業所から配送先への配送予定便を示すフィールド405を配送変更情報に基づいて変更する。また、不在時の対応に関する情報フィールド406に情報を追加する。<配送側サーバ:ステップ130>配送計画の確定
配送計画の確定を示すフィールド407に確定したことを示す情報を付加する。また、配送先クライアントから承認意思の有無が、配送側サーバへ一定時間までに送信されてこない場合には、その時点で配送計画を確定したとみなし、確定したことを示す情報をフィールド407に付加する。この後、担当の配送員は、確定した配送計画をもとに、宅配を実施する。不在時の対応が予め配送計画に指示されている場合にはそれに従う。」(公報段落番号0007〜0013)

ここで、図8には、不在時の荷物の扱いの一つに、「営業所に取りにいく」ことが示されているが、ここで「営業所」は自宅以外の場所で荷物を受け取る場所のことであり、荷物の「取次場所」と同じ意味である。宅配業者が自己の「営業所」とするか、あるいは契約により「取次」とするかは、いずれも商慣習として確立しており、発明としては等価である。

従って、これらの記載からして、引用例1には次のような発明が記載されていると認められる。
「配送される宅配荷物を受け取るクライアントが利用する配送先サービス利用システムと、前記宅配荷物の配送を管理する配送側サーバとが互いにネットワークを介して接続されたシステムを利用した宅配情報サービス方法において、
前記配送側サーバが、
前記配送先サービス利用システムから送信される、前記クライアントへの前記宅配荷物の取次場所を含む配送条件を受信するステップと、
前記配送条件に従って、前記取次場所に前記商品を配送するための情報処理を実行するステップと、
を有することを特徴とする宅配情報サービス方法」(以下、「引用例1記載の発明」という。)

(b)同じく原審の拒絶の理由に引用された特開平8-13916号公報(以下、引用例2という。)には、「宅配物保管装置」に関して、次の事項が図面と共に記載されている。
A.「以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施例装置を適用した宅配物の流れを示した全体図である。図中、Aは配送センター、Bは宅配物イの配達先であって、配達時に留守の状態(以下、留守宅という)にある。また、Cは留守宅Bの近くで、例えば24時間営業のコンビニエンスストアーに設けられた保管箱1の保管箱設置所、及びDは配送センターAから宅配物イを各家庭に配達するための配送車である。配送センターA及び配送車Dには、従来の配送センターA及び配送車Dに設けられているのと同様の無線通信設備が設けられている。すなわち、配送センターAに設けられている通信器2と配送車Dに設けられている通信器3との間で、アンテナ2a,3aを介して互いに送信できるように構成されている。配送センターAの通信器2は、配送物を集中管理するためのホストコンピュータ4に接続されているとともに、このホストコンピュータ4は、通信制御部5及び電話回線等の通信線6を介して保管箱1に設けられている制御器7に接続されている。また、配送車Dの通信器3には、後述する配達カードを発行するカード発行器8が接続されている。配送センターAと各配達先の家庭との間には、留守時の宅配物を受取るための契約に基づいて、家庭を特定する識別データ(IDデータ)の記録されている図2に示される識別カード1(以下、カード1という)が予め配布されている。図3は、配送車Dに搭載されているカード発行器8から発行される配達カード2(以下、カード2という)であって、配達先が留守のときに係員によって発行されるように構成されている。このカード2には、宅配物イの識別データ(IDデータ)、宅配日時データ及び、配達先データ等が書込まれて発行される。図4は、図1の保管箱1を詳細に示した正面図であって、その左側には、上記制御器7の設けられている制御部9が設けられているとともに、その右側には複数の収納庫(以下、ボックスというときもある。)10a,10b…が設けられている。制御部9の上部には、表示画面11が設けられ、また、その表示画面11の下方にはテンキーからなる入力部12が設けられている。そして、入力部12の下方には、カード挿入口13が設けられている。各収納庫10a,10b…には、それぞれ扉14a,14b…が設けられているとともに、ソレノイド(図示せず)等で構成されている周知の自動的に解錠されるロック機構15a,15b…がそれぞれ設けられている。図5は、カード挿入口13の内側に設けられているカードリーダライタ16の概略構成を示すものであって、カード挿入口13に対向して、多数のローラR,R…から形成される搬送路17が設けられている。そして、この搬送路17は、図示しないモータによりカード1,2を制御部9内に取込んだり、又は制御部9からカード1,2を返却できるように構成されている。搬送路17の途中には、カード1,2に書込まれているデータを読取り、又はカード2にデータを書込むための磁気ヘッドHが設けられているとともに、カーード1,2の位置を検出するためのセンサS,Sが設けられている。また、搬送路17の後端側(カード挿入口13と反対側)には、回収箱18が設けられていて、カード2を回収できるように構成されている。」(公報段落番号0009〜0019)
B.「図6は、制御器7の電気的構成を示すブロック図であって、ROM20に格納されているシステムプログラムとRAM21に格納されているワーキングデータとを用いて演算処理する中央処理部(CPU)22を有している。CPU22は、I/Oユニット23を介して、上記各ロック機構15a,15b…を駆動制御する錠ユニット24と、上記カードリーダライタ16と、上記表示画面11及び入力部12を駆動制御する表示入力ユニット25とを接続している。また、CPU22は、搬送センターA側の通信制御部5と接続するための通信制御部26を接続している。」(公報段落番号0020〜0021)
C.「次に、図7及び図8のフローチャートを用いて、本実施例装置の宅配物イの保管制御動作について説明する。先ず、最初に宅配物イが保管箱1に収納される制御動作について図7を用いて説明する。今、留守宅Bへの宅配物イが発生したとする(ステップ100。以下、ステップをSとする。図1参照)。この場合、係員は、カード発行器8のテンキー8aを介して搬送センターA側と交信し、保管箱設置所Cに空の収納庫(空ボックス)があるか否かの問合せが行なわれる。すなわち、カード発行器8のテンキー8aから宅配物イの識別データと配達不可の旨のデータを入力すると、搬送センターAのホストコンピュータ4は、留守宅Bの宅配物イを保管する保管箱設置所Cの保管箱1に空ボックスがあるか否かのチェックを行い、空ボックスがあれば、カード発行器8の表示部8bにその旨が表示される(S102肯定)。したがって、係員は、テンキー8aを操作してカード2に宅配物イの識別データ、保管箱1の空ボックスNo.(この例では、図1及び図4のNo.1の収納庫10aに保管されるものとする。)、あるいは係員データ等の必要データを書込んで発行するとともに、それらデータは両通信器3,2を介してホストコンピュータ4のメモリにも記憶される。そして、それらデータはホストコンピュータ4を介して制御器7のRAM21内にも記憶される(S104,S106)。発行されたカード2は、留守宅Bの郵便ポスト(図示せず)に入れられ、また、宅配物イは保管箱設置所Cに運ばれて所定(No.1)の収納庫10aに収納保管され、図示しない係員専用のキーカードを用いてロック機構15aが施錠される。なお、この施錠は、テンキーからなる入力部12を操作して行うようにしてもよい。図8を用いて、留守宅Bの家人ロが収納庫10aから宅配物イを受取る制御動作を説明する。家人ロは、配送センターAから予め発行されているカード1と今回発行されたカード2を持参して保管箱設置所Cに出向き、カード1,2が挿入口13に挿入される。カード1は、データ読取終了後に返却され、カード2は回収箱18に宅配される。そして、この回収に当たっては、カード2に宅配物イの受領データ、受領日時等の必要データが磁気ヘッドHを介して書込まれる(S200〜S212)。カード1,2から読取られたデータとRAM21内のデータとが一致したときに、つまりカード1,2がキーカードとなって収納庫10aのロック機構15aが解錠され、その解錠状態は収納庫10aの扉14aに設けられたランプLが点灯表示されて報知されるとともに、表示画面11に受取り案内が行なわれる(S216〜S220)。」(公報段落番号0022〜0029)

ここで、Aの記載から明らかなように、留守時の宅配物の受取り場所として、例えば24時間営業のコンビニエンスストアーに設けられた保管箱が契約により決められているものである。
したがって、引用例2には、「留守時の宅配物の受取場所において、正当な受取人であることを確認するために、利用者(留守宅者)に対して、商品を配送したことを識別する情報を提供すること、および、受取場所に制御器を設けて、配送センターのホストコンピュータから受取場所の制御器に対して、受取場所にて前記商品を前記利用者に受け渡し可能か判定するための情報を送ること。」が記載されている。

5. 本願発明と引用例1に記載された発明の対比
引用例1記載の発明の「イ.宅配荷物」、「ロ.クライアント」、「ハ.配送先サービス利用システム」および「ニ.配送側サーバ」は、本願発明の「イ.商品」、「ロ.利用者」、「ハ.利用者装置」および「ニ.物流サーバ」にそれぞれ相当する。
また、引用例1記載の「宅配情報サービス方法」は、実質的には宅配荷物の「配送管理方法」を行っているものであり、本願発明の「配送管理方法」に相当する。
従って、両者は、「配送される商品を受け取る利用者が利用する利用者装置と、前記商品の配送を管理する物流サーバとが互いにネットワークを介して接続されたシステムを利用した配送管理方法において、
前記物流サーバが、
前記利用者装置から送信される、前記利用者への前記商品の取次場所を含む配送条件を受信するステップと、
前記配送条件に従って、前記取次場所に前記商品を配送するための情報処理を実行するステップと、
を有することを特徴とする配送管理方法」
である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点1)
本願発明では、「物流サーバが、前記利用者装置に、前記商品の配送を一意に識別する情報を送信するステップと、前記取次サーバに、前記取次場所にて前記商品を前記利用者に受け渡し可能か判定できるよう前記情報を送信するステップ」とを有しているが、引用例1記載の発明にはこれらの点は記載されていない点。

6.当審の判断
上記相違点について検討する。

(相違点1) について
引用例2には、「留守時の宅配物の受取場所において、正当な受取人であることを確認するために、利用者(留守宅者)に対して、商品を配送したことを識別する情報を提供すること、および、受取場所に制御器を設けて、配送センターのホストコンピュータから受取場所の制御器に対して、受取場所にて前記商品を前記利用者に受け渡し可能か判定するための情報を送ること。」が記載されている。
そして、引用例1記載の発明においても、留守時には自宅以外の場所で宅配物を受け取ることが示されており、そして、一般に、受取場所で正当な受取人であることを確認することは当然のことである。
したがって、引用例1記載の発明においても、自宅以外の受取場所で宅配物を受け取る際、正当な受取人であることを確認するために、引用例2に記載の手段を採用し、「利用者(留守宅者)に対して、商品を配送したことを識別する情報を提供し、また、受取場所に制御器を設けて、配送センターのホストコンピュータから受取場所の制御器に対して、受取場所にて前記商品を前記利用者に受け渡し可能か判定するための情報を送ること」は、当業者が容易に考え得ることと認められる。
なお、引用例2においては、利用者に提供する商品を配送したことを識別する情報の提供をカードを利用しているが、そのカードの情報はネットワークを介して送信することも可能であり(注:制御器にたいしてはカード情報は配送センターのホストコンピュータからネットワークを介して送信されている。)、また、引用例1記載の発明においては、クライアントと配送側はネットワークを介して接続されているので、クライアント(利用者)に対して、商品を配送したことを識別する情報を提供する際、配送側サーバから提供するようにすることは、当業者が適宜実施しうることと認められる。

また、本願請求項8に係る発明の効果についてみても、上記引用例1、2に記載された発明から当然に予測される程度のものにすぎず、格別顕著なものではない。

7.むすび
したがって、本願発明は、引用例1、2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-06-16 
結審通知日 2005-06-21 
審決日 2005-06-27 
出願番号 特願平8-317438
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 青柳 光代  
特許庁審判長 山下 弘綱
特許庁審判官 深沢 正志
岡本 俊威
発明の名称 配送管理システム  
代理人 作田 康夫  

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