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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1120996
審判番号 不服2004-24122  
総通号数 69 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1999-11-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-11-25 
確定日 2005-08-10 
事件の表示 平成10年特許願第136259号「光モジュール」拒絶査定不服審判事件〔平成11年11月30日出願公開、特開平11-330564〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成10年5月19日の出願であって、平成16年9月29日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年11月25日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年12月14日に手続補正がなされたものである。

2.平成16年12月14日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成16年12月14日付の手続補正を却下する。
[理由]
(1)補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「【請求項1】
光半導体素子と、
前記光半導体素子で発生した熱を放散するヒートシンクと、
前記ヒートシンクに接合されて前記半導体素子を収納するパッケージ本体と、
実装板の表面に対し垂直の部分と水平の部分とを備え、前記垂直の部分で前記パッケージ本体と接合されるフランジ部材とを有し、
前記フランジ部材は、前記垂直の部分に部材の一部を屈曲又は湾曲させてなる屈曲部又は湾曲部を有し、
前記水平の部分で前記実装板に固定するためのねじ締め固定部を備えることを特徴とする光モジュール。」と補正された。
上記補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項であるフランジ部材の固定について、「固定するためのねじ締め固定部を備える」との限定を付加するものであって、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された特開平6-82659号公報(以下、引用例という。)には、図面とともに、
「【特許請求の範囲】
【請求項1】発光素子又は受光素子と光結合系と光ファイバとを収納箱内に設けてなる光モジュールにおいて、光モジュール固定用のフランジ部を収納箱本体の材質と比較して縦弾性系数の低い材質で形成してなることを特徴とする光モジュール。」、
「【0009】
【作用】前記構成において、例えばゆがんだ基板上に光モジュールを取り付ける場合、縦弾性係数の小さいフランジ部が主としてたわみ、微小な歪で光結合効率が変化してしまう光学系を内部に搭載したパッケージ部のひずみを低減できる。
【0010】
【実施例】以下、本発明の好適な実施例を説明する。
【0011】(実施例1)図1は、本実施例に係る光モジュールの概略を示し、図2はその取付状態を示す。
【0012】同図に示すように本実施例に係る光モジュール100は、収納箱101の内部に発光素子(又は受光素子)12を配し、光結合系であるレンズ13を介して光ファイバ14に光結合しており、パッケージ底板102とパッケージ側板103は、銀ロウ付によって固定されている。ここでパッケージ側板103は、セラミック・半導体・ガラスなどと熱膨張係数の近い『Fe-Ni-Co系合金』(『コバール』)が用いられている。従って、パッケージ底板はこのFe-Ni-Co系合金とロウ付性が良く、更に、内部の発熱を効率良く外部に伝える為に熱伝導率の高い銅-タングステン合金を使用している。更に、銅-タングステン合金の横にはネジ止め穴104を持ち、縦弾性係数の低い銅でできたフランジ部105が銀ロウ付により固定されている。
【0013】この収納箱101をネジにより、ゆがんだ基板106に取り付けた場合には図2に示すように、縦弾性係数の小さいフランジ部105が主としてたわみ、微小なひずみで光結合効率が変化してしまう光学系を内部に搭載したパッケージ部のひずみを低減することが出来、ネジの締め付けによる光結合効率の変化を防止することができる。 ここで、収納箱本体の材質と比較して縦弾性係数が低い材質とは、一般に収納箱本体は光結合のズレを防止するため縦弾性係数が少なくともE=3×104 kgf/mm4 以上のものを用いており、このE=3×104 kgf/mm4 の値の2〜3割小さいものではその効果が発揮されず少なくとも1/2以下の縦弾性係数を有する材質のものをいい、特に銅,銅合金,アルミニウム,アルミニウム合金等のものを挙げることができる。」、
「【0017】(実施例2)図3に第2の実施例を示す。
図3の実施例では、パッケージ側板に、立没部111aを有するフランジ部品111をロウ付しているが、第1の実施例と同様の効果を発揮するので光学系のひずみ量を低減することができる。」と記載されている。
これらの記載によれば、引用例には、
「発光素子(又は受光素子)12と、該発光素子(又は受光素子)12は収納箱101の内部に配され、立没部111aを有するフランジ部品111がロウ付けによりパッケージ側板に固定され、該収納箱101を、ネジ止め穴104へのネジの締め付けにより、基板106に取り付けた光モジュール100」の発明(以下「引用例発明」という。)が開示されていると認めることができる。

(3)対比
そこで、本願補正発明と引用例発明とを比較すると、
(a)引用例発明の「発光素子(又は受光素子)12」、「収納箱101」、「基板106」、「立没部111a」、「フランジ部品111」、「ネジ止め穴104へのネジの締め付け」は、本願補正発明の「光半導体素子」、「パッケージ本体」、「実装板」、「フランジ部材の垂直の部分」、「フランジ部材」、「ねじ締め固定部」にそれぞれ相当し、
(b)引用例の図3から、
(b-1)収納箱100は、パッケージ底板102とパッケージ側板103とを接合して構成されていることが見てとれ、パッケージ底板102は、発光素子(又は受光素子)12で発生した熱を放散できるので、本願発明におけるヒートシンクに相当することは明らかであり、
(b-2)フランジ部品111は、図2の記載を参照すると、収納箱を基板106に固定するためのネジ止め穴104を有し、基板106に対し水平の部分を有することが見てとれるので、両者は、
「光半導体素子と、前記光半導体素子で発生した熱を放散するヒートシンクと、前記ヒートシンクに接合されて前記半導体素子を収納するパッケージ本体と、実装板の表面に対し垂直の部分と水平の部分とを備え、前記垂直の部分で前記パッケージ本体と接合されるフランジ部材とを有し、
前記フランジ部材は、前記水平の部分で前記実装板に固定するためのねじ締め固定部を備えた光モジュール」である点で一致し、以下の点で相違している。
[相違点]本願補正発明は、フランジ部材の垂直の部分に部材の一部を屈曲又は湾曲させてなる屈曲部又は湾曲部を有しているのに対し、引用例発明では、フランジ部材の垂直の部分は直線状である点。

(4)判断
本願補正発明及び引用例発明はともに、ゆがみや凹凸のある実装板に光モジュールパッケージをネジ固定する際に発生する応力を吸収するために、フランジ部材を、垂直部及び水平部を有する断面L字状とした点で軌を一にしており、引用例発明のものは、主として水平部が曲げ変形することにより応力を吸収しているのに対し、本願補正発明では、フランジ部材の垂直の部分に設けた屈曲部又は湾曲部が弾性変形することで応力を吸収できる旨、審判請求書において主張している。しかし、上記垂直の部分に部材の一部に設けた屈曲部又は湾曲部が必ずしも可撓性により弾性変形するとは限らず、また本願補正発明の水平の部分が応力吸収に全く寄与しないものともいえないので、該主張は特許請求の範囲の記載に基づくものとは認められない。結局、両者は、上記相違点により奏される作用効果において格別の差異を認めることができない。
したがって、上記相違点に係る屈曲部又は湾曲部を設ける構成は、フランジ部材の諸物性等に応じて当業者が適宜なし得るものである。
よって、本願補正発明は、引用例に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第4項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
平成16年12月14日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成15年5月12日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
「【請求項1】光半導体素子と、
前記光半導体素子で発生した熱を放散するヒートシンクと、
前記ヒートシンクに接合されて前記光半導体素子を収納するパッケージ本体と、
実装板の表面に対し垂直の部分と水平の部分とを備え、前記垂直の部分で前記パッケージ本体と接合されるフランジ部材とを有し、前記フランジ部材は、前記垂直の部分に部材の一部を屈曲又は湾曲させてなる屈曲部又は湾曲部を有し、前記水平の部分で前記実装板に固定されることを特徴とする光モジュール。」

(1)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例、および、その記載事項は、前記「2.(2)」に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明は、前記2.で検討した本願補正発明から、フランジ部材の固定について、「固定するためのねじ締め固定部を備える」との構成を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「2.(4)」に記載したとおり、引用例に記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例に記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-04-26 
結審通知日 2005-05-24 
審決日 2005-06-06 
出願番号 特願平10-136259
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 近藤 幸浩  
特許庁審判長 瀧本 十良三
特許庁審判官 町田 光信
吉田 英一
発明の名称 光モジュール  
代理人 岡本 啓三  
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