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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  G02B
審判 全部申し立て 特29条の2  G02B
審判 全部申し立て 2項進歩性  G02B
管理番号 1121036
異議申立番号 異議2003-72752  
総通号数 69 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1994-09-22 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-11-12 
確定日 2004-11-08 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3404786号「偏光板」の請求項1、2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3404786号の請求項に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第3404786号の請求項1及び2に係る発明についての出願は、平成5年3月10日に特許出願され、平成15年3月7日にその発明について特許権の設定登録がなされ、その後、その特許について、異議申立人・大森五十士より特許異議の申立てがなされ、取消しの理由が通知され、その指定期間内である平成16年4月30日に訂正請求がなされたものである。

2.訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
ア.訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1について、「二色性色素」とあるのを、「二色性染料」と訂正する。
同請求項1について、「・・/粘着剤層から構成される偏光板において、」とあるのを、「・・/粘着剤層から構成され、ポリビニルアルコール系フィルムとそれを挟む2枚のアセチルセルロース系フィルムとは、それぞれポリビニルアルコール系接着剤を用いて積層されている偏光板において、」と訂正する。
また、同請求項1について、「・・偏光板。」とあるのを、「・・偏光板(ただし、アセチルセルロース系フィルムと粘着剤層の間に設けたのと同じ硬化塗膜層が、もう1枚のアセチルセルロース系フィルムの表面に存在することはない)。」と訂正する。
イ.訂正事項2
発明の詳細な説明の段落「0008」について、「偏光子としては、ヨウ素または二色性染料等の二色性色素を吸着配向させたポリビニルアルコール系フィルムを用いることができ、二色性色素を吸着配向させた後に硼酸処理を施しておいてもよい。」とあるのを、「偏光子としては、ヨウ素または二色性染料等の二色性色素を吸着配向させたポリビニルアルコール系フィルムがあるが、本発明では二色性染料を吸着配向させたポリビニルアルコール系フィルムを用いる。二色性染料を吸着配向させた後に硼酸処理を施しておいてもよい。」と訂正する。
ウ.訂正事項3
発明の詳細な説明の段落「0009」について、「偏光子とアセチルセルロース系フィルムを積層にあたっては、ポリビニルアルコール系接着剤、UV硬化剤等を用いることができる。」とあるのを、「偏光子とアセチルセルロース系フィルムを積層にあたっては、ポリビニルアルコール系接着剤を用いる。」と訂正する。

(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
訂正事項1は、第1に、「二色性色素」を、「二色性染料」の限定しようとするものであり、特許明細書の段落「0008」に記載されており、実施例1でも二色性染料が用いられている。
訂正事項1は、第2に、「・・/粘着剤層から構成される偏光板において、」とあるのを、「・・/粘着剤層から構成され、ポリビニルアルコール系フィルムとそれを挟む2枚のアセチルセルロース系フィルムとは、それぞれポリビニルアルコール系接着剤を用いて積層されている偏光板において、」と限定しようとするものであり、そのことは特許明細書の段落「0009」に記載されており、実施例1でもポリビニルアルコール系接着剤が用いられている。
訂正事項1は、第3に、「・・偏光板。」とあるのを、「・・偏光板(ただし、アセチルセルロース系フィルムと粘着剤層の間に設けたのと同じ硬化塗膜層が、もう1枚のアセチルセルロース系フィルムの表面に存在することはない)。」と限定しようとするものであり、そのことは特許明細書の実施例1、図2に記載されている。
この訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
訂正事項2及び3は、上記訂正事項1の訂正に伴い、発明の詳細な説明中の記載を、特許請求の範囲の記載に適合させようとするものであり、明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
また、上記訂正事項1乃至3はいずれも、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。

(3)むすび
したがって、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項で準用する第126条第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.特許異議の申立ての概要
(A)異議申立人は、甲第1号証(特願平4-273000号(特開平6-123807号公報参照)の願書に最初に添付した明細書)(以下、「先願明細書」という。)を提出し、本件の請求項1及び2に係る発明(以下、「本件発明1及び2」という。)の特許は特許法第29条の2の規定に違反してなされたものであるから、本件発明1及び2の特許を取り消すべき旨、
(B)異議申立人は、甲第2号証(特開平2-262616号公報)及び参照資料1(永田良監修、「偏光フィルムの応用」株式会社シーエムシー、1986年2月10日 第1刷発行、40〜57頁及び66〜73頁)を提出し、本件発明1及び2の特許は特許法第29条第1項第3号又は第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、本件発明1及び2の特許を取り消すべき旨、主張している。

4.特許異議申立て理由のうち(A)についての判断
(1)本件発明
上記2.で示したように上記訂正が認められるから、本件発明1及び2は、上記訂正に係る訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項に特定されるとおりのものである。(上記2.(1)訂正の内容参照。)

(2)先願明細書に記載された発明
先願明細書には、次の発明が記載されている。
液晶表示装置の偏光板等に使用されるセルロースエステルフィルムに関するもので、
(1)【請求項1】には、「セルロースエステルフィルムの少なくとも片面に、エポキシ基を分子内に2個以上含む化合物と活性エネルギー線によって活性化されるカチオン重合開始剤とを含有する紫外線硬化性組成物を塗布した後活性エネルギー線を照射することによって硬化した塗膜を設けた事を特徴とするセルロースエステルフィルム。」が記載されている。
(2)【0064】〜【0066】には、次のように記載される。
「実施例1
膜厚70μmセルローストリアセテートフィルムの片面に下記に示す本発明に係る塗布組成物を塗布厚10μmとなるように塗布し、60w/cm2の高圧水銀灯下10cmの距離から4秒間、組成物を硬化させるようにした。
塗布用組成物1
3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-
3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート 65重量部
ビスフェノールAジグリシジルエーテル 20重量部
トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル 15重量部
芳香族スルホニウム塩系UV開始剤 6重量部
2-(3,5-t-アミル-2-ヒドロキシフェニル)
ベンゾトリアゾール 1重量部
上記硬化塗膜を設けたトリアセテートフィルムの反対面側に、親水性バインダーを含む下記組成物を25ml/m2になるように塗布し、更に90℃で10min間乾燥して接着層を設けた。
液組成
例示化合物(1) 10重量部
水 20重量部
メタノール 400ml アセトン 600ml」
また、【0072】には「また上記セルロースアセテートフィルムを保護膜とし、次の方法で作った偏光フィルムの両面にアクリル系粘着剤で接着させ偏光板を作った。」と記載され、
【0073】には、
「偏光板フィルムの作り方
厚さ120μmのフィルムのポリビニルアルコールフィルムをよう素1重量部よう化カリウム2重量部、ホウ酸4重量部を含む水溶液に浸漬し50℃で4倍に延伸し偏光フィルムを得た。」と記載される。
さらに、【0084】には、
「5.偏光板の耐湿熱試験
各実施例及び比較例で得られた保護フィルムを用いて下記の方法で偏光板を作成し、各偏光板を各々5cm×7cmのサイズに切断した。得られた切断片を各々6cm×8cmのガラス板の中央部にアクリル系粘着剤で仮粘着し、次いでこれらを押圧して各片とガラス板の間の気泡を完全に除去するようにして各切断をガラス板に貼着した。」と記載される。

(3)対比・判断
[本件発明1について]
本件発明1と先願明細書に記載された発明とを比較検討する。
先願明細書についての上掲した(2)の記載からして、先願明細書には、本件発明1にいう「アセチルセルロース系フィルムと粘着剤層の間に、紫外線照射により硬化する硬化塗膜層を設けた偏光板」が記載されているといえるが、先願明細書の偏光板は、アセチルセルロース系フィルムと粘着剤層の間に設けたのと同じ硬化塗膜層が、もう1枚のアセチルセルロース系フィルムの表面に存在するもので、本件発明1のように「アセチルセルロース系フィルムと粘着剤層の間に設けたのと同じ硬化塗膜層が、もう1枚のアセチルセルロース系フィルムの表面に存在することはない」というものではない。
更に言及するに、先願明細書の上掲(2)の偏光板は、偏光フィルムを挟んで「アセチルセルロース系フィルムと紫外線照射により硬化する硬化塗膜層との積層物」がセットで存在するものであり、偏光フィルムの一方側は上記積層物ではなくてアセチルセルロース系フィルムのみでよいとするものではない。
したがって、先願明細書は、本件発明1にいう「アセチルセルロース系フィルムと粘着剤層の間に設けたのと同じ硬化塗膜層が、もう1枚のアセチルセルロース系フィルムの表面に存在することはない」という構成を開示するものでないから、本件発明1は、先願明細書に記載された発明と同一であるとはいえない。
[本件発明2について]
本件発明2は本件発明1を引用する発明で、本件発明1の構成を全て含む発明であるから、[本件発明1について]の項で述べた理由と同様の理由により、本件発明2は、先願明細書に記載された発明と同一であるとはいえない。

5.特許異議申立て理由のうち(B)についての判断
(1)異議申立人提出の証拠に記載された発明/平成16年2月20日付けの取消理由で引用された刊行物に記載された発明
刊行物1;特開平2-262616号公報(異議申立人が引用した甲第2号証)
刊行物2;永田良監修、「偏光フィルムの応用」株式会社シーエムシー、1986年2月10日 第1刷発行、40〜57頁及び66〜73頁(異議申立人が引用した参考資料1)

(2)対比・判断
[本件発明1について]
本件発明1と上記刊行物1及び2に記載された発明とを比較検討する。
刊行物1の実施例1、2及び第7図には、透明導電膜、熱硬化する樹脂の表面硬化膜16、透明フィルム10,接着剤層9,偏光膜8,接着剤層9′、前記透明フィルム10,及び前記熱硬化する樹脂の表面硬化膜16が順次積層された偏光板について記載されている。しかしながら、この偏光板は、7頁右下欄の[発明の効果]の欄に記載されるように、第6図に示される粘着剤層を用いないで液晶表示装置用パネルを組み立てるものである。
このように、刊行物1の発明の偏光板は、粘着剤層を用いないで液晶表示装置用パネルを組み立てるものである以上、粘着剤層を用いる偏光板の発明である本件発明1が、粘着剤層を用いない偏光板の発明である刊行物1の発明であるということはできない。また、粘着剤層を用いないことを特徴とする刊行物1の発明に、偏光フィルムに粘着剤層を用いることが記載される刊行物2の技術を適用することはできない。
さらに、刊行物1の第6図(E)の従来型の偏光板を、前記第7図の熱硬化する樹脂の表面硬化膜16を使用する偏光板に換えて用いることが当業者にとって容易になし得ることかどうかについて検討するに、従来型の偏光板は粘着剤層を用いるものであるのに対して、前記第7図の熱硬化する樹脂の表面硬化膜16を使用する偏光板は粘着剤層を用いないことを特徴とするものであるから、従来型の偏光板を、前記第7図の熱硬化する樹脂の表面硬化膜16を使用する偏光板に換えて用いる動機付けがない。
したがって、本件発明1は、刊行物1に記載された発明であるとはいえないし、また、刊行物1に記載された発明に基いて或いは刊行物1及び2に記載された発明に基いて、当業者が容易になし得た発明であるとはいえない。
[本件発明2について]
本件発明2は本件発明1を引用する発明で、本件発明1の構成を全て含む発明であるから、[本件発明1について]の項で述べた理由と同様の理由により、本件発明2は、刊行物1に記載された発明であるとはいえないし、また、刊行物1に記載された発明に基いて或いは刊行物1及び2に記載された発明に基いて、当業者が容易になし得た発明であるとはいえない。

6.むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由、その証拠及び平成16年2月20日付けの取消理由、その証拠によっては、本件発明1及び2についての特許を取り消すことができない。
また、他に本件発明1及び2についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
偏光板
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アセチルセルロース系フィルム/二色性染料を吸着配向させたポリビニルアルコール系フィルム/アセチルセルロース系フィルム/粘着剤層から構成され、ポリビニルアルコール系フィルムとそれを挟む2枚のアセチルセルロース系フィルムとは、それぞれポリビニルアルコール系接着剤を用いて積層されている偏光板において、アセチルセルロース系フィルムと粘着剤層の間に、加熱または紫外線照射により硬化する樹脂の硬化塗膜層を1μm〜50μmの厚みで設けたことを特徴とする偏光板(ただし、アセチルセルロース系フィルムと粘着剤層の間に設けたのと同じ硬化塗膜層が、もう1枚のアセチルセルロース系フィルムの表面に存在することはない)。
【請求項2】
粘着剤層がアクリル系粘着剤であり、樹脂硬化塗膜層が紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂層である請求項1記載の偏光板。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は偏光板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置は表示装置として一般に用いられているが、高精細化、表示画面の拡大化、カラー化等にともなって用途分野が拡大し、使用環境も多岐に渡るようになり、その結果、液晶表示装置に使用される偏光板も耐環境性能に優れたものが要求されるようになった。
【0003】
偏光板は、ヨウ素、二色性染料等の二色性色素を吸着配向させたポリビニルアルコール系フィルムからなる偏光子の両面に、保護層としてアセチルセルロース系フィルムを積層し、アセチルセルロース系フィルムの一方に粘着剤層を設けた構成(保護層/偏光子/保護層/粘着剤層)のものが一般に用いられており、粘着剤層を介して液晶表示装置の液晶ガラスセルに積層され、液晶表示装置に組み込まれる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような液晶ガラスセルに積層された偏光板を、長期間における耐環境性能テストのため、高温・高湿条件下に曝すとアセチルセルロース系フィルムが分解劣化、変色し、場合によってはクラック現象が起こってしまうという問題があった。
【0005】
これを解決するため、粘着剤組成の改良等が試みられているが、上記の問題を解決するには至っておらず、このため工業的実施が容易な技術の開発が切望されている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる問題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、アセチルセルロース系フィルムと粘着剤層の間に樹脂硬化塗膜層を設けることにより長期間における耐環境性能、すなわち高温・高湿下での耐久性が改良されることを見出し、本発明に至った。
【0007】
即ち、本発明は、アセチルセルロース系フィルム/二色性色素を吸着配向させたポリビニルアルコール系フィルム/アセチルセルロース系フィルム/粘着剤層から構成される偏光板において、アセチルセルロース系フィルムと粘着剤層の間に樹脂硬化塗膜層を設けたことを特徴とする偏光板に関するものである。
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。偏光子としては、ヨウ素または二色性染料等の二色性色素を吸着配向させたポリビニルアルコール系フィルムがあるが、本発明では二色性染料を吸着配向させたポリビニルアルコール系フィルムを用いる。二色性染料を吸着配向させた後に硼酸処理を施しておいてもよい。
【0009】
アセチルセルロース系フィルムとしては、トリアセチルセルロースフィルム、ジアセチルセルロースフィルム、アセチルブチルセルロースフィルム等が挙げられる。偏光子とアセチルセルロース系フィルムの積層にあたっては、ポリビニルアルコール系接着剤を用いる。
【0010】
樹脂硬化塗膜層に用いる樹脂としては、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂等の硬化型樹脂が挙げられる。アクリル系樹脂としては、エポキシアクリレート系樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂、(メタ)アクリル酸エステル系樹脂、アクリルウレタン系樹脂等が挙げられ、透明性、アセチルセルロース系フィルムや粘着剤との密着性の点で、エポキシアクリレート系樹脂が好ましい。これらの樹脂をアセチルセルロース系フィルムに塗工し、加熱または紫外線照射により樹脂硬化塗膜とすることができる。樹脂硬化塗膜層の厚みは、1μm〜50μm程度である。
【0011】
粘着剤層に用いる粘着剤は特に限定されるものではなく、通常用いられているものを用いることができ、粘着性及び透明性の点で、アクリル系粘着剤が好ましい。
【0012】
【発明の効果】
従来の偏光板では、80℃×90%RH×700時間の条件ではアセチルセルロース系フィルムが変色し、偏光板の光学的性能が著しく低下してしまうのに対し、本発明の偏光板は、80℃×90%RH×1000時間の条件でもアセチルセルロース系フィルムの変色が起こらず、耐環境性に優れる。
【0013】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0014】
光学的性能の変化は、ΔTy、ΔE*を用いて評価した。
ΔTy=(Ty)i-(Ty)j:耐久性テスト前後での透過率変化
ただし、i:耐久テスト前
j:耐久テスト後
透過率Ty:400〜700nmの波長域で10nmおきに求めた分光透過率τλ(島津製作所製分光光度計 UV-2200を使用)から、次式により算出。
【0015】

【0016】
ここで、Pλ:標準光(C光源)の分光分布
yλ:2度視野X、Y、Z系に基づく等色関数
【0017】
ΔE*=[(ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)2]1/2
ただし、ΔL*=(L*)i-(L*)j
Δa*=(a*)i-(a*)j
Δb*=(b*)i-(b*)j
i:耐久テスト前
j:耐久テスト後
L*、a*、b*:偏光板の光線透過率より、JIS・Z8729(L*、a*、b*表色系およびL*、u*、v*表色系による物体色の表示方法)により計算した値。
【0018】
製造例1
厚さ80μm、ケン化度99.5%のポリビニルアルコール樹脂フィルムを、一軸延伸(延伸倍率約5倍)し、これを緊張状態に保ったまま、オレンジ、レッド及びブルーの二色性染料を含有する染色液中で染色し、さらに7.5%ホウ酸水溶液に浸漬、水洗、乾燥して偏光子を得た。
【0019】
実施例1
厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルム(TACフィルム)の片面に紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂を塗工厚が約5μmになるように塗工し、紫外線照射により塗膜を硬化させて、樹脂硬化塗膜層を積層したTACフィルムを得た。製造例1で得た偏光子の片面に厚さ80μmのTACフィルムを、偏光子のもう一方の面には樹脂硬化塗膜層を積層したTACフィルムを、それぞれポリビニルアルコール系接着剤を用いて積層した(TACフィルム/偏光子/TACフィルム/樹脂硬化塗膜層)。そして、樹脂硬化塗膜層にアクリル系粘着剤を厚さ約25μmとなるよう塗工して偏光板を得た(TACフィルム/偏光子/TACフィルム/樹脂硬化塗膜層/粘着剤層)。粘着剤層を介して偏光板をガラス板に積層し(図2)、80℃×90%RH条件下で1000時間暴露して偏光板の耐環境性能を評価した。結果を表1に示す。透過率と色調はほとんど変化しなかった
【0020】
比較例1
エポキシアクリレート系樹脂を用いない以外は実施例1と同様にして偏光板を作製した(TACフィルム/偏光子/TACフィルム/粘着剤層)。実施例1と同様にして(図1)耐環境性能を評価した。結果を表1に示す。色調は赤褐色に変色し、光学特性は著しく低下した。
【0021】

【図面の簡単な説明】
【図1】
第1図は従来の偏光板の構成を示す図。
【図2】
第2図は本発明の偏光板の構成を示す図。
【符号の説明】
1・・・アセチルセルロース系フィルム
2・・・偏光子
3・・・粘着剤層
4・・・樹脂硬化塗膜層
5・・・ガラス板
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2004-10-20 
出願番号 特願平5-49427
審決分類 P 1 651・ 113- YA (G02B)
P 1 651・ 121- YA (G02B)
P 1 651・ 16- YA (G02B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 東松 修太郎  
特許庁審判長 末政 清滋
特許庁審判官 辻 徹二
柏崎 正男
登録日 2003-03-07 
登録番号 特許第3404786号(P3404786)
権利者 住友化学工業株式会社
発明の名称 偏光板  
代理人 久保山 隆  
代理人 榎本 雅之  
代理人 久保山 隆  
代理人 中山 亨  
代理人 中山 亨  
代理人 榎本 雅之  

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