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審決分類 審判 全部申し立て 特36 条4項詳細な説明の記載不備  A63F
審判 全部申し立て 2項進歩性  A63F
審判 全部申し立て 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備  A63F
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  A63F
審判 全部申し立て 出願日、優先日、請求日  A63F
管理番号 1121062
異議申立番号 異議2003-72985  
総通号数 69 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2001-06-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-12-03 
確定日 2005-05-23 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3448560号「遊技機」の請求項1、2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3448560号の請求項1ないし2に係る特許を維持する。 
理由 第1.手続の経緯
特許第3448560号の請求項1及び2に係る発明についての出願は、平成4年3月31日に出願した特願平4-78048号(以下、「原原原出願」という。)の一部を平成12年9月18日に新たな特許出願とした特願2000-281727号(以下、「原原出願」という。)の一部を、さらに平成12年10月18日に新たな特許出願とした特願2000-317990号(以下、「原出願」という。)を基に、特許法第44条第1項の規定による特許出願として平成12年11月17日に新たに特許出願された特願2000-350920号であって、平成15年7月4日にその発明について特許権の設定登録がなされ、その後、その特許について、本間幹雄、座間正行、奥崎佐和子よりそれぞれ特許異議の申立てがなされ、平成16年6月18日付で取消しの理由を通知したところ、その指定期間内である平成16年8月30日付で意見書と共に訂正請求書(その後取り下げ。)が提出され、さらに平成17年2月21日付で再度の取消しの理由を通知したところ、その指定期間内である平成17年3月9日付で意見書と共に訂正請求書が提出されたものである。

第2.訂正の適否についての判断
1.訂正の内容
(1)訂正事項a
特許請求の範囲の請求項1において「前記可変表示装置の表示結果が前記複数種類の特定の表示態様のうちの…ことを特徴とする、遊技機。」とあるを、「前記可変表示装置の表示結果が前記複数種類の特定の表示態様のうちの予め定められた特別の表示態様となった場合に、前記可変表示装置の表示結果が前記特定の表示態様となる当り確率が向上した確率変動状態に制御可能にする確率変動手段と、
前記特定の表示態様とするか否かを決定するための1次抽選判定に用いられる第1の数値情報を更新する第1の数値更新手段と、
前記特定の表示態様とするか否かを決定するための2次抽選判定に用いられるとともに前記特定の表示態様とする場合の前記表示結果として表示される識別情報の種類を決定するためにも用いられる第2の数値情報を更新するための第2の数値更新手段と、
前記第1の数値更新手段により更新された第1の数値情報を抽出して該第1の数値情報と第1の当り判定値とが所定の関係になっているか否かの前記1次抽選判定を行なって所定の関係になっていると判定した場合で、かつ、前記第2の数値更新手段により更新された第2の数値情報を抽出して該第2の数値情報と第2の当り判定値とが所定の関係になっているか否かの前記2次抽選判定を行なって所定の関係になっていると判定した場合に、前記特定の表示態様にすることを決定するとともに、前記2次抽選判定で前記所定の関係になっていると判定された第2の数値情報を用いて前記識別情報の種類を決定する決定手段と、 前記始動領域に打玉が進入した数であって未だ前記可変表示に用いられていない数を所定の上限の範囲内で記憶可能な始動記憶手段と、
該始動記憶手段の始動記憶毎に対応して設けられた記憶領域と、 前記始動領域への打玉の進入時に、前記第1の数値更新手段および前記第2の数値更新手段により更新されている各数値情報をそれぞれ抽出し、該始動領域への打玉の進入による始動記憶に対応した前記記憶領域に、前記抽出した各数値情報をそれぞれ記憶させる記憶手段とを含み、 前記確率変動手段は、前記可変表示装置の表示結果が前記特定の表示態様になった場合には、該特定の表示態様が特別の表示態様であるか否かに関わらず、前記特定遊技状態に制御している最中は前記確率変動状態でない通常確率時の状態に制御し、前記可変表示装置の表示結果が前記特別の表示態様であった場合には、当該特別の表示態様による特定遊技状態の終了時に、前記通常確率時における前記第1の当り判定値の数に比べて前記第1の当り判定値の数を増加させて、前記1次抽選判定により前記所定の関係になっていると判定される確率を向上させることにより前記確率変動状態に制御し、 前記可変表示装置は、前記特定遊技状態中には前記可変表示を行なわず、該特定遊技状態の制御が終了した後前記始動記憶手段の記憶数を用いて前記可変表示を開始し、 前記決定手段は、前記記憶領域への前記各数値情報の記憶が行なわれた後でかつ前記始動領域への打玉の進入に応じた前記可変表示装置の可変表示の開始時に、当該進入に応じて前記記憶領域に記憶された前記第1の数値情報と当該可変表示の開始時の前記当り確率の状態に対応した第1の当り判定値とを用いて、前記1次抽選判定を行なうとともに、前記第2の数値情報を用いての前記2次抽選判定と前記識別情報の種類の決定とを行なうことを特徴とする、遊技機。」と訂正する。

(2)訂正事項b
明細書の段落番号【0006】に「前記可変表示装置の表示結果が前記複数種類の特定の表示態様のうちの…ことを特徴とする。」とあるを、「前記可変表示装置の表示結果が前記複数種類の特定の表示態様のうちの予め定められた特別の表示態様となった場合に、前記可変表示装置の表示結果が前記特定の表示態様となる当り確率が向上した確率変動状態に制御可能にする確率変動手段と、
前記特定の表示態様とするか否かを決定するための1次抽選判定に用いられる第1の数値情報を更新する第1の数値更新手段と、
前記特定の表示態様とするか否かを決定するための2次抽選判定に用いられるとともに前記特定の表示態様とする場合の前記表示結果として表示される識別情報の種類を決定するためにも用いられる第2の数値情報を更新するための第2の数値更新手段と、
前記第1の数値更新手段により更新された第1の数値情報を抽出して該第1の数値情報と第1の当り判定値とが所定の関係になっているか否かの前記1次抽選判定を行なって所定の関係になっていると判定した場合で、かつ、前記第2の数値更新手段により更新された第2の数値情報を抽出して該第2の数値情報と第2の当り判定値とが所定の関係になっているか否かの前記2次抽選判定を行なって所定の関係になっていると判定した場合に、前記特定の表示態様にすることを決定するとともに、前記2次抽選判定で前記所定の関係になっていると判定された第2の数値情報を用いて前記識別情報の種類を決定する決定手段と、 前記始動領域に打玉が進入した数であって未だ前記可変表示に用いられていない数を所定の上限の範囲内で記憶可能な始動記憶手段と、
該始動記憶手段の始動記憶毎に対応して設けられた記憶領域と、 前記始動領域への打玉の進入時に、前記第1の数値更新手段および前記第2の数値更新手段により更新されている各数値情報をそれぞれ抽出し、該始動領域への打玉の進入による始動記憶に対応した前記記憶領域に、前記抽出した各数値情報をそれぞれ記憶させる記憶手段とを含み、 前記確率変動手段は、前記可変表示装置の表示結果が前記特定の表示態様になった場合には、該特定の表示態様が特別の表示態様であるか否かに関わらず、前記特定遊技状態に制御している最中は前記確率変動状態でない通常確率時の状態に制御し、前記可変表示装置の表示結果が前記特別の表示態様であった場合には、当該特別の表示態様による特定遊技状態の終了時に、前記通常確率時における前記第1の当り判定値の数に比べて前記第1の当り判定値の数を増加させて、前記1次抽選判定により前記所定の関係になっていると判定される確率を向上させることにより前記確率変動状態に制御し、 前記可変表示装置は、前記特定遊技状態中には前記可変表示を行なわず、該特定遊技状態の制御が終了した後前記始動記憶手段の記憶数を用いて前記可変表示を開始し、 前記決定手段は、前記記憶領域への前記各数値情報の記憶が行なわれた後でかつ前記始動領域への打玉の進入に応じた前記可変表示装置の可変表示の開始時に、当該進入に応じて前記記憶領域に記憶された前記第1の数値情報と当該可変表示の開始時の前記当り確率の状態に対応した第1の当り判定値とを用いて、前記1次抽選判定を行なうとともに、前記第2の数値情報を用いての前記2次抽選判定と前記識別情報の種類の決定とを行なうことを特徴とする。」と訂正する。

(3)訂正事項c
明細書の段落番号【0009】に「また、確率変動手段の働きにより、前記可変表示装置の表示結果が前記複数種類の特定の表示態様のうちの…前記特定遊技状態に制御している最中は前記確率変動状態でない通常確率時の状態に制御される。」とあるを、「また、確率変動手段の働きにより、前記可変表示装置の表示結果が前記複数種類の特定の表示態様のうちの予め定められた特別の表示態様となった場合に、前記可変表示装置の表示結果が前記特定の表示態様となる当り確率が向上した確率変動状態に制御される。第1の数値更新手段の働きにより、前記特定の表示態様とするか否かを決定するための1次抽選判定に用いられる第1の数値情報が更新される。第2の数値更新手段の働きにより、前記特定の表示態様とするか否かを決定するための2次抽選判定に用いられるとともに前記特定の表示態様とする場合の前記表示結果として表示される識別情報の種類を決定するためにも用いられる第2の数値情報が更新される。決定手段の働きにより、第1の数値更新手段により更新された第1の数値情報を抽出して該第1の数値情報と第1の当り判定値とが所定の関係になっているか否かの前記1次抽選判定を行なって所定の関係になっていると判定された場合で、かつ、前記第2の数値更新手段により更新された第2の数値情報を抽出して該第2の数値情報と第2の当り判定値とが所定の関係になっているか否かの前記2次抽選判定を行なって所定の関係になっていると判定された場合に、前記特定の表示態様にすることが決定されるとともに、前記2次抽選判定で前記所定の関係になっていると判定された第2の数値情報を用いて前記識別情報の種類が決定される。始動記憶手段が、前記始動領域に打玉が進入した数であって未だ前記可変表示に用いられていない数を所定の上限の範囲内で記憶させ、該始動記憶手段の始動記憶毎に対応して記憶領域が設けられる。前記始動領域への打玉の進入時に、前記第1の数値更新手段および前記第2の数値更新手段により更新されている各数値情報がそれぞれ抽出される。そして、該始動領域への打玉の進入による始動記憶に対応した前記記憶領域に、前記抽出された各数値情報がそれぞれ記憶される。また、前記確率変動手段は、前記可変表示装置の表示結果が前記特定の表示態様になった場合には、該特定の表示態様が特別の表示態様であるか否かに関わらず、前記特定遊技状態に制御している最中は前記確率変動状態でない通常確率時の状態に制御され、前記可変表示装置の表示結果が前記特別の表示態様であった場合には、当該特別の表示態様による特定遊技状態の終了時に、前記通常確率時における前記第1の当り判定値の数に比べて前記第1の当り判定値の数を増加させて、前記1次抽選判定により前記所定の関係になっていると判定される確率を向上させることにより前記確率変動状態に制御される。可変表示装置は、前記特定遊技状態中には前記可変表示を行なわず、該特定遊技状態の制御が終了した後前記始動記憶手段の記憶数を用いて前記可変表示を開始する。前記決定手段は、前記記憶領域への前記各数値情報の記憶が行なわれた後でかつ前記始動領域への打玉の進入に応じた前記可変表示装置の可変表示の開始時に、当該進入に応じて前記記憶領域に記憶された前記第1の数値情報と当該可変表示の開始時の前記当り確率の状態に対応した第1の当り判定値とを用いて、前記1次抽選判定を行なうとともに、前記第2の数値情報を用いての前記2次抽選判定と前記識別情報の種類の決定とを行なう。」と訂正する。

(4)訂正事項d
明細書の段落番号【0133】に「また、特定遊技状態の制御を実行している最中の遊技機がたとえば遊技場に頻繁に発生する静電気に起因したノイズ…前述の不都合が生じることが防止される。」とあるを、削除する。

(5)訂正事項e
明細書の段落番号【0134】に「しかも、本発明においては、…確率変動状態の発生のランダム性を向上させることができる。」とあるを、「しかも、本発明においては、特定の表示態様とする場合の表示結果として表示される識別情報の種類を決定するために用いられる数値情報を更新するための第2の数値更新手段が備えられ、始動領域への打玉の進入時に、その第2の数値更新手段により更新されている第2の数値情報が抽出されて記憶されるために、その記憶された第2の数値情報を用いて、特定の表示態様とする場合の表示結果として導出表示される識別情報の種類がランダムに決定される。その結果、可変表示装置の表示結果が特別の表示態様となった場合に生ずる確率変動状態の発生のランダム性を向上させることができる。」と訂正する。

2.訂正の適否
(1)特許請求の範囲の請求項1についての訂正事項aは、
(ア)「特定の表示態様となる確率」を「特定の表示態様となる当り確率」と明確化し、
(イ)特定表示態様決定用数値情報更新手段及び識別情報種類決定用数値更新手段について、「前記特定の表示態様とするか否かを決定するための1次抽選判定に用いられる第1の数値情報を更新する第1の数値更新手段」及び「前記特定の表示態様とするか否かを決定するための2次抽選判定に用いられるとともに前記特定の表示態様とする場合の前記表示結果として表示される識別情報の種類を決定するためにも用いられる第2の数値情報を更新するための第2の数値更新手段」として実施例における1次抽選用のカウンタであるランダム1カウンタ並びに2次抽選及び当り図柄決定用のカウンタであるランダム2カウンタとの対応関係を明確化し、
(ウ)確率変動手段について、「前記可変表示装置の表示結果が前記特別の表示態様であった場合には、当該特別の表示態様による特定遊技状態の終了時に、前記通常確率時における前記第1の当り判定値の数に比べて前記第1の当り判定値の数を増加させて、前記1次抽選判定により前記所定の関係になっていると判定される確率を向上させることにより前記確率変動状態に制御」するものに限定し、
(エ)可変表示装置について「前記特定遊技状態中には前記可変表示を行なわず、該特定遊技状態の制御が終了した後前記始動記憶手段の記憶数を用いて前記可変表示を開始」するものに限定し、
(オ)特定の表示態様にすることの決定及び識別情報の種類の決定について、決定手段により「前記第1の数値更新手段により更新された第1の数値情報を抽出して該第1の数値情報と第1の当り判定値とが所定の関係になっているか否かの前記1次抽選判定を行なって所定の関係になっていると判定した場合で、かつ、前記第2の数値更新手段により更新された第2の数値情報を抽出して該第2の数値情報と第2の当り判定値とが所定の関係になっているか否かの前記2次抽選判定を行なって所定の関係になっていると判定した場合に、前記特定の表示態様にすることを決定するとともに、前記2次抽選判定で前記所定の関係になっていると判定された第2の数値情報を用いて前記識別情報の種類を決定する」ものであって、「前記記憶領域への前記各数値情報の記憶が行なわれた後でかつ前記始動領域への打玉の進入に応じた前記可変表示装置の可変表示の開始時に、当該進入に応じて前記記憶領域に記憶された前記第1の数値情報と当該可変表示の開始時の前記当り確率の状態に対応した第1の当り判定値とを用いて、前記1次抽選判定を行なうとともに、前記第2の数値情報を用いての前記2次抽選判定と前記識別情報の種類の決定とを行なう」ものに限定するものであるから、明りょうでない記載の釈明及び特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当する。
そして、上記訂正事項aは、本件特許明細書の段落番号【0095】、【0077】、【0071】〜【0082】、【0057】、【0058】、【0066】、【0088】及び【0048】、並びに、図面【図17】〜【図19】、【図7】、【図11】、【図15】、【図22】、【図25】及び【図8】の記載に基づくものであるから、明細書及び図面に記載された範囲内のものである。
したがって、上記訂正事項aは、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(2)訂正事項dは、発明の効果に関する記載である本件特許明細書の段落番号【0133】中の「また、特定遊技状態の制御を実行している最中の遊技機がたとえば遊技場に頻繁に発生する静電気に起因したノイズ…前述の不都合が生じることが防止される。」なる記載(以下、「ノイズに対応した効果の記載」という。)を削除するものである。当該記載は、発明の構成との因果関係が明確ではなく、原出願、原原出願及び原原原出願それぞれの願書に最初に添付された明細書に記載されていた事項でもないので、上記訂正事項dは、明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当し、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(3)訂正事項b、c、eは、上記訂正事項aと整合を図るものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当し、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(4)以上のとおりであるから、上記訂正事項aないしeは、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書及び第2項の規定に適合するものであるので、上記訂正を認める。

第3.特許異議の申立てについての判断
1.本件特許出願の出願日
上記第2.で示したように上記訂正事項dにより、原出願、原原出願及び原原原出願それぞれの願書に最初に添付された明細書に記載されていなかった上記ノイズに対応した効果の記載が削除されたので、本件特許出願は適正な分割出願となり出願日がそ及するので、本件特許出願の出願日は、平成4年3月31日となる。

2.本件の請求項1及び2に係る発明
上記第1.で示したように上記訂正が認められるから、本件の請求項1及び2に係る発明(以下、「本件発明1及び2」という。)は、上記訂正に係る訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。

【請求項1】 複数種類の識別情報を可変表示可能な可変表示装置を含み、打玉が打込まれる遊技領域に設けられた始動領域に打玉が進入したことを条件に前記可変表示装置の表示結果を導出表示するための可変表示が行なわれ、該可変表示装置の表示結果が予め複数種類定められた特定の表示態様のうちのいずれかになった場合に遊技者にとって有利な特定遊技状態に制御可能となる遊技機であって、
前記可変表示装置の表示結果が前記複数種類の特定の表示態様のうちの予め定められた特別の表示態様となった場合に、前記可変表示装置の表示結果が前記特定の表示態様となる当り確率が向上した確率変動状態に制御可能にする確率変動手段と、
前記特定の表示態様とするか否かを決定するための1次抽選判定に用いられる第1の数値情報を更新する第1の数値更新手段と、
前記特定の表示態様とするか否かを決定するための2次抽選判定に用いられるとともに前記特定の表示態様とする場合の前記表示結果として表示される識別情報の種類を決定するためにも用いられる第2の数値情報を更新するための第2の数値更新手段と、
前記第1の数値更新手段により更新された第1の数値情報を抽出して該第1の数値情報と第1の当り判定値とが所定の関係になっているか否かの前記1次抽選判定を行なって所定の関係になっていると判定した場合で、かつ、前記第2の数値更新手段により更新された第2の数値情報を抽出して該第2の数値情報と第2の当り判定値とが所定の関係になっているか否かの前記2次抽選判定を行なって所定の関係になっていると判定した場合に、前記特定の表示態様にすることを決定するとともに、前記2次抽選判定で前記所定の関係になっていると判定された第2の数値情報を用いて前記識別情報の種類を決定する決定手段と、
前記始動領域に打玉が進入した数であって未だ前記可変表示に用いられていない数を所定の上限の範囲内で記憶可能な始動記憶手段と、
該始動記憶手段の始動記憶毎に対応して設けられた記憶領域と、
前記始動領域への打玉の進入時に、前記第1の数値更新手段および前記第2の数値更新手段により更新されている各数値情報をそれぞれ抽出し、該始動領域への打玉の進入による始動記憶に対応した前記記憶領域に、前記抽出した各数値情報をそれぞれ記憶させる記憶手段とを含み、
前記確率変動手段は、前記可変表示装置の表示結果が前記特定の表示態様になった場合には、該特定の表示態様が特別の表示態様であるか否かに関わらず、前記特定遊技状態に制御している最中は前記確率変動状態でない通常確率時の状態に制御し、前記可変表示装置の表示結果が前記特別の表示態様であった場合には、当該特別の表示態様による特定遊技状態の終了時に、前記通常確率時における前記第1の当り判定値の数に比べて前記第1の当り判定値の数を増加させて、前記1次抽選判定により前記所定の関係になっていると判定される確率を向上させることにより前記確率変動状態に制御し、
前記可変表示装置は、前記特定遊技状態中には前記可変表示を行なわず、該特定遊技状態の制御が終了した後前記始動記憶手段の記憶数を用いて前記可変表示を開始し、
前記決定手段は、前記記憶領域への前記各数値情報の記憶が行なわれた後でかつ前記始動領域への打玉の進入に応じた前記可変表示装置の可変表示の開始時に、当該進入に応じて前記記憶領域に記憶された前記第1の数値情報と当該可変表示の開始時の前記当り確率の状態に対応した第1の当り判定値とを用いて、前記1次抽選判定を行なうとともに、前記第2の数値情報を用いての前記2次抽選判定と前記識別情報の種類の決定とを行なうことを特徴とする、遊技機。

【請求項2】 前記確率変動状態となっている最中において、前記可変表示装置の表示結果が前記特別の表示態様以外の特定の表示態様になった場合には、当該特定の表示態様による特定遊技状態の終了の後に通常確率時の状態を維持し、前記可変表示装置の表示結果が前記特別の表示態様になった場合には当該特定の表示態様による特定遊技状態の終了の後に確率変動状態とすることを特徴とする、請求項1に記載の遊技機。

3.特許異議申立て理由の概要
3.1.申立人・本間幹雄
申立人・本間幹雄は、甲第1号証(特開平2-172485号公報)、甲第2号証(特開平3-103274号公報を提示し、訂正前の本件特許の請求項1及び2に係る発明は、当業者が甲第1及び2号証に記載された各発明に基いて、それぞれ容易に発明をすることができたものであるから、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、取り消されるべきものである、旨主張している。

3.2.申立人・座間正行
申立人・座間正行は、甲第1号証(特開平2-172485号公報)、甲第2号証(特開平4-5981号公報)を提示し、訂正前の本件特許の請求項1及び2に係る発明は、当業者が甲第1及び2号証に記載された各発明に基いてそれぞれ容易に発明をすることができたものであるから、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、取り消されるべきものである、旨主張している。

3.3.申立人・奥崎佐和子
申立人・奥崎佐和子は、
(1)甲第1号証(特開平5-277249号公報)、甲第2号証(タイムチャート)を提示し、本件特許出願は適正な分割出願とは認められず、本件特許出願の出願日は現実の出願日である平成12年11月17日となるので、訂正前の本件特許の請求項1及び2に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるか、当業者が甲第1号証に記載された発明に基いてそれぞれ容易に発明をすることができたものであるから、その特許は、特許法第29条第1項第3号又は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、取り消されるべきものであり、
(2)甲第3号証(特開平2-172485号公報)、甲第4号証(特開平1-265985号公報)、甲第5号証(特開平3-75078号公報)を提示し、訂正前の本件特許の請求項1及び2に係る発明は、当業者が甲第3ないし5号証に記載された各発明に基いてそれぞれ容易に発明をすることができたものであるから、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、取り消されるべきものである、旨主張している。

4.取消理由の概要
当審において平成16年6月18日付で通知した取消理由の概要は、以下のとおりである。
上記3.に示した異議申立ての理由に加え、
(1)訂正前の本件特許の請求項1及び2に係る発明は、当業者が
第1引用例:特開平2-172485号公報
(異議申立人・本間幹雄が提示した甲第1号証、
異議申立人・座間正行が提示した甲第1号証、
異議申立人・奥崎佐和子が提示した甲第3号証)
第2引用例:特開平3-103274号公報
(異議申立人・本間幹雄が提示した甲第2号証)
第3引用例:特開平4-5981号公報
(異議申立人・座間正行が提示した甲第2号証)
第5引用例:特開平1-265985号公報(同甲第4号証)
第6引用例:特開平3-75078号公報(同甲第5号証)
に記載された各発明に基いてそれぞれ容易に発明をすることができたものであるから、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、
(2)また、訂正前の本件特許は、特許法第36条第4項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであり、取り消されるべきものである。

また、当審において平成17年2月21日付で通知した取消理由の概要は、以下のとおりである。
(3)訂正前の本件特許は、特許法第36条第5項及び第6項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであり、取り消されるべきものである。

5.特許法第29条第2項違反について
5.1.取消理由通知で引用された刊行物に記載された発明
第1引用例:特開平2-172485号公報
(異議申立人・本間幹雄が提示した甲第1号証、
異議申立人・座間正行が提示した甲第1号証、
異議申立人・奥崎佐和子が提示した甲第3号証)
第2引用例:特開平3-103274号公報
(異議申立人・本間幹雄が提示した甲第2号証)
第3引用例::特開平4-5981号公報
(異議申立人・座間正行が提示した甲第2号証)
第4引用例:特開平5-277249号公報
(異議申立人・奥崎佐和子が提示した甲第1号証)
第5引用例:特開平1-265985号公報(同甲第4号証)
第6引用例:特開平3-75078号公報(同甲第5号証)

(1)第3引用例に記載された発明
第3引用例の第3ページ左下欄第8〜19行、第3ページ右下欄第19行〜第4ページ左上欄第8行、第4ページ右上欄第17行〜同ページ左下欄第14行、第4ページ右下欄第15〜19行、第6ページ左上欄第9行〜同ページ右下欄第10行、第7ページ右上欄第1行〜同ページ右下欄第2行、第7ページ右下欄第11〜14行、第8ページ左上欄第11〜17行、第8ページ右上欄第12〜15行、第8ページ左下欄第6〜11行、及び図面の記載によれば、第3引用例には、
「複数種類の識別情報を可変表示可能な可変表示装置4を含み、打玉が打込まれる遊技領域3に設けられた始動入賞口6a、6b、6cに打玉が進入したことを条件に前記可変表示装置4の表示結果を導出表示するための可変表示が行われ、該可変表示装置4の表示結果が予め複数種類定められた第1中当りが発生する識別情報の組合せ、第2中当りが発生する識別情報の組合せ及び小当りが発生する識別情報の組合せのうちのいずれかになった場合に遊技者にとって有利な第1中当り、第2中当り及び小当りからなる第2の遊技価値を付与するように制御可能となる遊技機であって、
前記可変表示装置4の表示結果が前記複数種類の第1中当りが発生する識別情報の組合せ、第2中当りが発生する識別情報の組合せ及び小当りが発生する識別情報の組合せのうちの予め定められた小当りが発生する識別情報の組合せとなった場合に、前記可変表示装置4の表示結果が前記第1中当りが発生する識別情報の組合せ、第2中当りが発生する識別情報の組合せ及び小当りが発生する識別情報の組合せとなる第2の価値付与条件の成立確率が向上した確率変化状態に制御する成立確率変化手段と、
前記第1中当りが発生する識別情報の組合せ、第2中当りが発生する識別情報の組合せ及び小当りが発生する識別情報の組合せとするか否かを決定するために用いられる乱数を発生する乱数発生手段と、
表示結果として表示される識別情報の種類を決定する手段と、
前記始動入賞口6a、6b、6cに打玉が進入した数であって未だ前記可変表示に用いられていない数を所定の上限の範囲内で記憶可能な始動入賞を記憶する手段とを含み、
前記成立確率変化手段は、前記確率変化状態においては、当たり判定値の数を増加させて、前記第2の価値付与条件の成立確率を向上させ、
前記可変表示装置4は、打玉が打込まれる遊技領域3に設けられた始動入賞口6a、6b、6cに打玉が進入したことを条件に表示結果を導出表示するための可変表示を行うが、前記可変表示装置4の可変表示の最中または大当たり状態の制御が行われている最中に前記始動入賞口6a、6b、6cに打玉が進入した場合には、その始動入賞が記憶されて当該可変表示または大当たり状態の制御が終了した後に可変表示を行い、
前記始動入賞口6a、6b、6cへの打玉の進入に応じた前記可変表示装置4の可変表示の際に、始動入賞時の乱数についての判定を行う遊技機。」
の発明(以下、「第3引用例発明」という。)が記載されているものと認められる。

(2)第1引用例に記載された発明
第1引用例の第3ページ右上欄第13行〜同ページ右下欄第10行、第6ページ左下欄第11行〜同ページ右下欄第15行、第6ページ右下欄第16行〜第7ページ左上欄第13行、第7ページ左上欄第18〜20行、第10ページ左下欄第17行〜同ページ右下欄第11行、第10ページ右下欄第12行〜第11ページ左下欄第18行、第12ページ左上欄第12〜18行、第13ページ左上欄第13〜20行、第14ページ左上欄第5行〜同ページ左下欄第7行、第14ページ右下欄第11行〜第15ページ左上欄第1行、及び図面の記載によれば、第1引用例には、
「遊技領域13、始動入賞口14a〜14c、可変表示装置55、可変入賞球装置64を備え、前記始動入賞口14a〜14cへの入賞により前記可変表示装置55を動作させ、その表示が特定表示状態となったときに大当りとなり特定遊技状態となるパチンコ遊技機において、
特定遊技状態終了時に特定表示状態が出現する確率を向上させるか否かの選択を行い、確率を向上させる場合には確率向上フラグをセットし、
前記可変表示装置55の動作中に前記始動入賞口14a〜14cに入賞した入賞玉数を最高4個まで記憶可能であり、
前記始動入賞口14a〜14cへの入賞時に、
確率向上フラグがセットされているときには、20個のデータのうち1個が大当りデータになっているランダムデータRD6の中から1個のデータを選出し、
大当りデータである場合には、ランダムデータRD7の中から1つのデータを選出して、どの大当り表示態様にするかを決定し、当該表示態様に対応したデータD1〜D3の内容を始動入賞記憶カウンタCT4の値に対応する記憶エリアに記憶し、
大当りデータでない場合には、ランダムデータRD1〜RD3の中から停止図柄に対応するデータD1〜D3の内容を選出して始動入賞記憶カウンタCT4の値に対応する記憶エリアに記憶し、
確率向上フラグがセットされていないときには、ランダムデータRD1〜RD3の中から停止図柄に対応するデータD1〜D3の内容を選出して始動入賞記憶カウンタCT4の値に対応する記憶エリアに記憶するようにしたパチンコ遊技機。」
の発明(以下、「第1引用例発明」という。)が記載されていると認められる。

(3)第2引用例に記載された発明
第2引用例の第4ページ右上欄第20行〜同ページ右下欄第9行、第5ページ右下欄第17行〜第6ページ左下欄第16行、第8ページ左上欄第2行〜第9ページ左上欄第16行、第10ページ右上欄第14行〜第11ページ左上欄第11行、第16ページ右下欄第11行〜第17ページ右上欄第3行、第17ページ左下欄第6〜10行、及び図面の記載によれば、第2引用例には、
「始動入賞口6,6,6、可変表示装置3、可変入賞球装置4を備え、始動入賞時に数値データを選択して前記可変表示装置3の停止識別情報を作成し、当該停止識別情報が特定識別情報となった場合に大役処理が施されるパチンコ機において、
始動入賞球数を4個まで記憶可能であり、
前記停止識別情報が前記特定識別情報のうちの特有識別情報となった場合には、特有状態がセットされ、
特有状態がセットされている場合には、特定識別情報の出現確率が1/108である第2設定部41により停止識別情報を作成し、
特有状態がセットされていない通常時には、特定識別情報の出現確率が1/500である第1設定部40により停止識別情報を作成するようにしたパチンコ機。」
の発明(以下、「第2引用例発明」という。)が記載されていると認められる。

(4)第4引用例
上記1.で示したように、本件特許出願の出願日は、平成4年3月31日となるので、平成5年10月26日に公開された第4引用例は、本件特許出願前に頒布された刊行物には該当しない。

(5)第5引用例に記載された発明
第5引用例の第3ページ右上欄第2〜17行、第4ページ右上欄第3行〜同ページ左下欄第8行、及び図面の記載によれば、第5引用例には、
「始動口19、図柄表示装置10、変動入賞装置14を備え、前記始動口19に打球が入ると前記図柄表示装置10が変動表示し、3のゾロ目又は7のゾロ目となった場合には大当りとなるパチンコ機において、
前記図柄表示装置10及び前記変動入賞装置14の作動中に打球が前記始動口19に入った場合には、最高4個まで記憶し、
大当りが出現した場合には、次回以降の大当りの出現確率が極めて大きくなるようにし、
出現確率は、制御回路内に設けられた乱数発生手段によって設定されるようにしたパチンコ機。」
の発明(以下、「第5引用例発明」という。)が記載されていると認められる。

(6)第6引用例に記載された発明
第6引用例の第3ページ右上欄第5行〜同ページ左下欄第13行、第9ページ右下欄第12行〜第10ページ右下欄第11行、第11ページ左下欄第1行〜同ページ右下欄第9行、
第2ページ左上欄第1〜5行、
第5ページ左上欄第10行〜同ページ右上欄第17行、第5ページ右下欄第9〜18行、第6ページ左上欄第2〜11行、第8ページ右下欄第14〜20行、第9ページ左下欄第9行〜同ページ右下欄第4行、第20ページ左下欄第2〜11行、及び図面の記載によれば、第6引用例には、
「始動入賞口27a,27b,27c、可変表示装置14、可変入賞球装置20を備え、前記始動入賞口27a,27b,27cのいずれかにパチンコ玉が入賞すると最大4個まで始動入賞記憶が行われ、始動入賞記憶があることに基づいて前記可変表示装置14を可変表示させ、表示結果が特定の識別情報になると大当りとなるパチンコ遊技機において、
始動入賞に応じて、始動記憶カウンタの値に対応する停止図柄データ記憶エリアに停止図柄決定用カウンタの値を記憶させるようにしたパチンコ遊技機。」
の発明(以下、「第6引用例発明」という。)が記載されていると認められる。

5.2.対比・判断
(1)本件発明1について
本件発明1と第3引用例発明とを対比すると、第3引用例発明における「可変表示装置4」、「遊技領域3」、「始動入賞口6a、6b、6c」、「第1中当りが発生する識別情報の組合せ、第2中当りが発生する識別情報の組合せ及び小当りが発生する識別情報の組合せ」、「第2の遊技価値」、「予め定められた小当りが発生する識別情報の組合せ」、「確率変化状態」、「始動入賞を記憶する手段」、「遊技機」が、本件発明1における「可変表示装置」、「遊技領域」、「始動領域」、「特定の表示態様」、「特定遊技状態」、「特別の表示態様」、「確率変動状態」、「始動記憶手段」、「遊技機」にそれぞれ対応する。
第3引用例発明における「成立確率変化手段」と本件発明1における「確率変動手段」とは、前記可変表示装置の表示結果が前記複数種類の特定の表示態様のうちの予め定められた特別の表示態様となった場合に、前記可変表示装置の表示結果が前記特定の表示態様となる当り確率が向上した確率変動状態に制御可能にする点で共通すると共に、前者は、「前記確率変化状態においては、当たり判定値の数を増加させて、前記第2の価値付与条件の成立確率を向上させ」ており、後者は、「前記通常確率時における前記第1の当り判定値の数に比べて前記第1の当り判定値の数を増加させて、前記1次抽選判定により前記所定の関係になっていると判定される確率を向上させ」ているので、両者は通常確率時における当り判定値の数に比べて前記当り判定値の数を増加させて、「特定遊技状態」となる確率を向上させる確率変更手段である点において共通している。
第3引用例発明は、「乱数発生手段」が発生する「乱数」を用いて「前記第1中当りが発生する識別情報の組合せ、第2中当りが発生する識別情報の組合せ及び小当りが発生する識別情報の組合せとするか否かを決定」しており、本件発明1は、「第1の数値更新手段」が更新する「第1の数値情報」及び「第2の数値更新手段」が更新する「第2の数値情報」を用いて「特定の表示態様にすることを決定」しているので、両者は、数値更新手段が更新する数値情報を用いて特定の表示態様とするか否かを決定する点において共通している。
また、第3引用例発明は、「表示結果として表示される識別情報の種類を決定する手段」を有しており、本件発明1は、「2次抽選判定で前記所定の関係になっていると判定された第2の数値情報を用いて前記識別情報の種類を決定する決定手段」を有しているので、両者は、特定の表示態様にする場合の識別情報の種類を決定する手段を有している点で共通している。
そして、第3引用例発明において「前記可変表示装置4は、・・・前記可変表示装置4の可変表示の最中または大当たり状態の制御が行われている最中に前記始動入賞口6a、6b、6cに打玉が進入した場合には、その始動入賞が記憶されて当該可変表示または大当たり状態の制御が終了した後に可変表示を行」うことと、本件発明1において「前記可変表示装置は、前記特定遊技状態中には前記可変表示を行なわず、該特定遊技状態の制御が終了した後前記始動記憶手段の記憶数を用いて前記可変表示を開始」することとは、可変表示装置は、予め定められた遊技状態中には前記可変表示を行なわず、該予め定められた遊技状態の制御が終了した後、前記始動記憶手段の記憶数を用いて前記可変表示を開始する点において共通している。

よって、本件発明1と第3引用例発明とは、
「複数種類の識別情報を可変表示可能な可変表示装置を含み、打玉が打込まれる遊技領域に設けられた始動領域に打玉が進入したことを条件に前記可変表示装置の表示結果を導出表示するための可変表示が行なわれ、該可変表示装置の表示結果が予め複数種類定められた特定の表示態様のうちのいずれかになった場合に遊技者にとって有利な特定遊技状態に制御可能となる遊技機であって、
前記可変表示装置の表示結果が前記複数種類の特定の表示態様のうちの予め定められた特別の表示態様となった場合に、前記可変表示装置の表示結果が前記特定の表示態様となる当り確率が向上した確率変動状態に制御可能にする確率変更手段と、
数値更新手段が更新する数値情報を用いて特定の表示態様とするか否かを決定手段と、
前記特定の表示態様とする場合の前記表示結果として表示される識別情報の種類を決定する手段と、
前記始動領域に打玉が進入した数であって未だ前記可変表示に用いられていない数を所定の上限の範囲内で記憶可能な始動記憶手段と、
前記確率変更手段は、前記可変表示装置の表示結果が前記特別の表示態様であった場合には、前記通常確率時における当り判定値の数に比べて前記当り判定値の数を増加させて、特定遊技状態となる確率を向上させることにより前記確率変動状態に制御し、
前記可変表示装置は、予め定められた遊技状態中には前記可変表示を行なわず、該予め定められた遊技状態の制御が終了した後、前記始動記憶手段の記憶数を用いて前記可変表示を開始する遊技機。」
である点において一致するが、両者の間には、少なくとも以下の相違点アがある。

相違点ア:記憶した始動入賞に対応した判定に関して、本件発明1においては、前記始動領域への打玉の進入に応じて前記記憶領域に記憶された前記第1の数値情報と当該可変表示の開始時の前記当り確率の状態に対応した第1の当り判定値とを用いて、前記1次抽選判定を行なうのに対し、第3引用例発明においては、どの時点での当たり確率に対応した当たり判定値を用いて特定の表示態様にするか否かの判定を行なうのかが不明な点。

上記相違点アについて検討する。
第1引用例発明は、始動入賞を記憶し、確率が変動するものであるが、始動入賞時の当り確率(確率向上フラグのセットの有無)に応じて使用するランダムデータRDを選択するものであり、可変表示の開始時の当り確率に応じて使用するランダムデータRDを選択するものはない。
第2引用例発明は、始動入賞を記憶し、確率が変動するものであるが、始動入賞時の当り確率(特有状態のセットの有無)に応じて使用する設定部を選択するものであり、可変表示の開始時の当り確率に応じて使用する設定部を選択するものはない。
第5引用例発明は、始動入賞を記憶し、確率が変動するものであるが、記憶した始動入賞に対してどの時点での確率を用いるのかが不明である。
第6引用例発明は、始動入賞を記憶するものであるが、確率が変動するものであるかが不明である。
すなわち、上記相違点アにおける本件発明1が有する構成は、上記第1引用例ないし第3引用例、第5引用例及び第6引用例には記載されていない。
また、上記第1引用例ないし第3引用例、第5引用例及び第6引用例には、記憶した始動入賞に対して可変表示の開始時の当り確率に基づいた判定を行なうことを示唆する記載もないので、上記相違点アにおける本件発明1が有する構成を、上記第1引用例発明ないし第3引用例発明、第5引用例発明及び第6引用例発明から、当業者が容易に想到することができたとは認められない。
そして、本件発明1は、上記相違点アにおける本件発明1が有する構成により明細書記載の顕著な効果を奏するものと認められる。
したがって、本件発明1は第1引用例発明ないし第3引用例発明、第5引用例発明及び第6引用例発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものとすることができない。

(2)本件発明2について
本件発明2は、本件発明1の構成にさらに限定を加えたものに相当するから、上記5.2.(1)で説示したと同様の理由により、第1引用例発明ないし第3引用例発明、第5引用例発明及び第6引用例発明に基づいて当業者が容易に発明できたものとすることができない。

6.特許法第29条第1項第3号違反について
第4引用例:特開平5-277249号公報
(異議申立人・奥崎佐和子が提示した甲第1号証)

上記1.で示したように、本件特許出願の出願日は、平成4年3月31日となるので、平成5年10月26日に公開された第4引用例は、本件特許出願前に頒布された刊行物には該当しない。
よって、本件発明1及び2は、本件特許出願前に頒布された刊行物に記載された発明ではない。

7.特許法第36条第4項、第5項及び第6項違反について
7.1.特許法第36条第4項違反について
上記第2.で示したように上記訂正事項dにより上記ノイズに対応した効果の記載が削除されたので、本件発明1及び2の目的、構成、効果の対応関係は明確となった。
したがって、本件訂正明細書の発明の詳細な説明が、本件発明1及び2を当業者が実施できる程度に記載されていないとすることはできない。

7.2.特許法第36条第5項及び第6項違反について
上記第2.で示したように上記訂正事項aにより、第1の数値更新手段により更新された第1の数値情報を抽出して1次抽選判定を行ない、第2の数値更新手段により更新された第2の数値情報を抽出して2次抽選判定を行なって特定の表示態様にするか否かを判定し、前記2次抽選判定に使用した第2の数値情報を用いて識別情報の種類を決定することが明りょうになった。
したがって、本件訂正明細書における特許請求の範囲の請求項1及び2は、特許を受けようとする発明の構成に欠くことができない事項のみを記載したものではないとすることはできない。

8.その他の異議申立理由について
また、その他の異議申立理由及び証拠は、本件発明1及び2についての特許を取り消すべき理由として採用することができない。

9.むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件発明1及び2についての特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1及び2についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
したがって、本件発明1及び2についての特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認めない。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
遊技機
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数種類の識別情報を可変表示可能な可変表示装置を含み、打玉が打込まれる遊技領域に設けられた始動領域に打玉が進入したことを条件に前記可変表示装置の表示結果を導出表示するための可変表示が行なわれ、該可変表示装置の表示結果が予め複数種類定められた特定の表示態様のうちのいずれかになった場合に遊技者にとって有利な特定遊技状態に制御可能となる遊技機であって、
前記可変表示装置の表示結果が前記複数種類の特定の表示態様のうちの予め定められた特別の表示態様となった場合に、前記可変表示装置の表示結果が前記特定の表示態様となる当り確率が向上した確率変動状態に制御可能にする確率変動手段と、
前記特定の表示態様とするか否かを決定するための1次抽選判定に用いられる第1の数値情報を更新する第1の数値更新手段と、
前記特定の表示態様とするか否かを決定するための2次抽選判定に用いられるとともに前記特定の表示態様とする場合の前記表示結果として表示される識別情報の種類を決定するためにも用いられる第2の数値情報を更新するための第2の数値更新手段と、
前記第1の数値更新手段により更新された第1の数値情報を抽出して該第1の数値情報と第1の当り判定値とが所定の関係になっているか否かの前記1次抽選判定を行なって所定の関係になっていると判定した場合で、かつ、前記第2の数値更新手段により更新された第2の数値情報を抽出して該第2の数値情報と第2の当り判定値とが所定の関係になっているか否かの前記2次抽選判定を行なって所定の関係になっていると判定した場合に、前記特定の表示態様にすることを決定するとともに、前記2次抽選判定で前記所定の関係になっていると判定された第2の数値情報を用いて前記識別情報の種類を決定する決定手段と、
前記始動領域に打玉が進入した数であって未だ前記可変表示に用いられていない数を所定の上限の範囲内で記憶可能な始動記憶手段と、
該始動記憶手段の始動記憶毎に対応して設けられた記憶領域と、
前記始動領域への打玉の進入時に、前記第1の数値更新手段および前記第2の数値更新手段により更新されている各数値情報をそれぞれ抽出し、該始動領域への打玉の進入による始動記憶に対応した前記記憶領域に、前記抽出した各数値情報をそれぞれ記憶させる記憶手段とを含み、
前記確率変動手段は、前記可変表示装置の表示結果が前記特定の表示態様になった場合には、該特定の表示態様が特別の表示態様であるか否かに関わらず、前記特定遊技状態に制御している最中は前記確率変動状態でない通常確率時の状態に制御し、前記可変表示装置の表示結果が前記特別の表示態様であった場合には、当該特別の表示態様による特定遊技状態の終了時に、前記通常確率時における前記第1の当り判定値の数に比べて前記第1の当り判定値の数を増加させて、前記1次抽選判定により前記所定の関係になっていると判定される確率を向上させることにより前記確率変動状態に制御し、
前記可変表示装置は、前記特定遊技状態中には前記可変表示を行なわず、該特定遊技状態の制御が終了した後前記始動記憶手段の記憶数を用いて前記可変表示を開始し、
前記決定手段は、前記記憶領域への前記各数値情報の記憶が行なわれた後でかつ前記始動領域への打玉の進入に応じた前記可変表示装置の可変表示の開始時に、当該進入に応じて前記記憶領域に記憶された前記第1の数値情報と当該可変表示の開始時の前記当り確率の状態に対応した第1の当り判定値とを用いて、前記1次抽選判定を行なうとともに、前記第2の数値情報を用いての前記2次抽選判定と前記識別情報の種類の決定とを行なうことを特徴とする、遊技機。
【請求項2】 前記確率変動状態となっている最中において、前記可変表示装置の表示結果が前記特別の表示態様以外の特定の表示態様になった場合には、当該特定の表示態様による特定遊技状態の終了の後に通常確率時の状態を維持し、前記可変表示装置の表示結果が前記特別の表示態様になった場合には当該特定の表示態様による特定遊技状態の終了の後に確率変動状態とすることを特徴とする、請求項1に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パチンコ遊技機やコイン遊技機あるいはスロットマシン等で代表される遊技機に関し、詳しくは、複数種類の識別情報を可変表示可能な可変表示装置を含み、該可変表示装置の可変停止時の表示結果が特定表示態様になったことを条件として特定遊技状態に制御可能となる遊技機に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の遊技機において、従来から一般的に知られているものに、たとえば、所定の可変開始条件の成立に基づいて可変表示装置が可変開始され、所定の停止条件の成立に基づいてその可変表示装置が停止制御され、その可変表示装置の停止時の表示結果が予め定められた特定表示態様(たとえば777)となったことを条件として、たとえば可変入賞球装置を遊技者にとって有利な第1の状態に制御する等の特定遊技状態に制御可能な状態となるように構成されたものがあった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この種の従来の遊技機においては、前記可変表示装置の停止時の表示結果が一定の確率で前記特定表示態様になるように構成されており、前記可変表示装置の停止時の表示結果が特定表示態様となる確率が変動制御されないために、変化に乏しい遊技となってしまう欠点があった。
【0004】
そこで、所定の確率変動条件の成立に基づいて前記可変表示装置の停止時の表示結果が特定表示態様になる確率を変動制御するように構成することが考えられる。しかし、このように構成したとしても、確率が変動したことを遊技者が何ら気づかない場合には、たとえば、その確率変動状態を考慮した遊技上の作戦を遊技者が立てることができないという不都合や、確率変動に伴う変化に富んだ面白味を遊技者が十分認識できないという不都合などが生ずる。
【0005】
本発明は、係る実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、可変表示装置の可変停止時の表示結果が特定表示態様となる確率を変動できるようにするとともに、可変表示装置がその表示結果が特定表示態様となるかもしれないという期待をもって遊技者に注視されるものであることに着目し、その可変表示装置を有効利用して前記確率変動が起こったことを遊技者が容易に認識できる遊技機を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の本発明は、複数種類の識別情報を可変表示可能な可変表示装置を含み、打玉が打込まれる遊技領域に設けられた始動領域に打玉が進入したことを条件に前記可変表示装置の表示結果を導出表示するための可変表示が行なわれ、該可変表示装置の表示結果が予め複数種類定められた特定の表示態様のうちのいずれかになった場合に遊技者にとって有利な特定遊技状態に制御可能となる遊技機であって、
前記可変表示装置の表示結果が前記複数種類の特定の表示態様のうちの予め定められた特別の表示態様となった場合に、前記可変表示装置の表示結果が前記特定の表示態様となる当り確率が向上した確率変動状態に制御可能にする確率変動手段と、
前記特定の表示態様とするか否かを決定するための1次抽選判定に用いられる第1の数値情報を更新する第1の数値更新手段と、
前記特定の表示態様とするか否かを決定するための2次抽選判定に用いられるとともに前記特定の表示態様とする場合の前記表示結果として表示される識別情報の種類を決定するためにも用いられる第2の数値情報を更新するための第2の数値更新手段と、
前記第1の数値更新手段により更新された第1の数値情報を抽出して該第1の数値情報と第1の当り判定値とが所定の関係になっているか否かの前記1次抽選判定を行なって所定の関係になっていると判定した場合で、かつ、前記第2の数値更新手段により更新された第2の数値情報を抽出して該第2の数値情報と第2の当り判定値とが所定の関係になっているか否かの前記2次抽選判定を行なって所定の関係になっていると判定した場合に、前記特定の表示態様にすることを決定するとともに、前記2次抽選判定で前記所定の関係になっていると判定された第2の数値情報を用いて前記識別情報の種類を決定する決定手段と、
前記始動領域に打玉が進入した数であって未だ前記可変表示に用いられていない数を所定の上限の範囲内で記憶可能な始動記憶手段と、
該始動記憶手段の始動記憶毎に対応して設けられた記憶領域と、
前記始動領域への打玉の進入時に、前記第1の数値更新手段および前記第2の数値更新手段により更新されている各数値情報をそれぞれ抽出し、該始動領域への打玉の進入による始動記憶に対応した前記記憶領域に、前記抽出した各数値情報をそれぞれ記憶させる記憶手段とを含み、
前記確率変動手段は、前記可変表示装置の表示結果が前記特定の表示態様になった場合には、該特定の表示態様が特別の表示態様であるか否かに関わらず、前記特定遊技状態に制御している最中は前記確率変動状態でない通常確率時の状態に制御し、前記可変表示装置の表示結果が前記特別の表示態様であった場合には、当該特別の表示態様による特定遊技状態の終了時に、前記通常確率時における前記第1の当り判定値の数に比べて前記第1の当り判定値の数を増加させて、前記1次抽選判定により前記所定の関係になっていると判定される確率を向上させることにより前記確率変動状態に制御し、
前記可変表示装置は、前記特定遊技状態中には前記可変表示を行なわず、該特定遊技状態の制御が終了した後前記始動記憶手段の記憶数を用いて前記可変表示を開始し、
前記決定手段は、前記記憶領域への前記各数値情報の記憶が行なわれた後でかつ前記始動領域への打玉の進入に応じた前記可変表示装置の可変表示の開始時に、当該進入に応じて前記記憶領域に記憶された前記第1の数値情報と当該可変表示の開始時の前記当り確率の状態に対応した第1の当り判定値とを用いて、前記1次抽選判定を行なうとともに、前記第2の数値情報を用いての前記2次抽選判定と前記識別情報の種類の決定とを行なうことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の発明の構成に加えて、前記確率変動状態となっている最中において、前記可変表示装置の表示結果が前記特別の表示態様以外の特定の表示態様になった場合には、当該特定の表示態様による特定遊技状態の終了の後に通常確率時の状態を維持し、前記可変表示装置の表示結果が前記特別の表示態様になった場合には当該特定の表示態様による特定遊技状態の終了の後に確率変動状態とすることを特徴とする。
【0008】
【0009】
【作用】
請求項1に記載の本発明によれば、以下の作用がある。可変表示装置は、複数種類の識別情報を可変表示可能であり、打玉が打込まれる遊技領域に設けられた始動領域に打玉が進入したことを条件に前記可変表示装置の表示結果を導出表示するための可変表示を行なう。そして、該可変表示装置の表示結果が予め複数種類定められた特定の表示態様のうちのいずれかになった場合に遊技者にとって有利な特定遊技状態に制御可能となる。また、確率変動手段の働きにより、前記可変表示装置の表示結果が前記複数種類の特定の表示態様のうちの予め定められた特別の表示態様となった場合に、前記可変表示装置の表示結果が前記特定の表示態様となる当り確率が向上した確率変動状態に制御される。第1の数値更新手段の働きにより、前記特定の表示態様とするか否かを決定するための1次抽選判定に用いられる第1の数値情報が更新される。第2の数値更新手段の働きにより、前記特定の表示態様とするか否かを決定するための2次抽選判定に用いられるとともに前記特定の表示態様とする場合の前記表示結果として表示される識別情報の種類を決定するためにも用いられる第2の数値情報が更新される。決定手段の働きにより、第1の数値更新手段により更新された第1の数値情報を抽出して該第1の数値情報と第1の当り判定値とが所定の関係になっているか否かの前記1次抽選判定を行なって所定の関係になっていると判定された場合で、かつ、前記第2の数値更新手段により更新された第2の数値情報を抽出して該第2の数値情報と第2の当り判定値とが所定の関係になっているか否かの前記2次抽選判定を行なって所定の関係になっていると判定された場合に、前記特定の表示態様にすることが決定されるとともに、前記2次抽選判定で前記所定の関係になっていると判定された第2の数値情報を用いて前記識別情報の種類が決定される。始動記憶手段が、前記始動領域に打玉が進入した数であって未だ前記可変表示に用いられていない数を所定の上限の範囲内で記憶させ、該始動記憶手段の始動記憶毎に対応して記憶領域が設けられる。前記始動領域への打玉の進入時に、前記第1の数値更新手段および前記第2の数値更新手段により更新されている各数値情報がそれぞれ抽出される。そして、該始動領域への打玉の進入による始動記憶に対応した前記記憶領域に、前記抽出された各数値情報がそれぞれ記憶される。また、前記確率変動手段は、前記可変表示装置の表示結果が前記特定の表示態様になった場合には、該特定の表示態様が特別の表示態様であるか否かに関わらず、前記特定遊技状態に制御している最中は前記確率変動状態でない通常確率時の状態に制御され、前記可変表示装置の表示結果が前記特別の表示態様であった場合には、当該特別の表示態様による特定遊技状態の終了時に、前記通常確率時における前記第1の当り判定値の数に比べて前記第1の当り判定値の数を増加させて、前記1次抽選判定により前記所定の関係になっていると判定される確率を向上させることにより前記確率変動状態に制御される。可変表示装置は、前記特定遊技状態中には前記可変表示を行なわず、該特定遊技状態の制御が終了した後前記始動記憶手段の記憶数を用いて前記可変表示を開始する。前記決定手段は、前記記憶領域への前記各数値情報の記憶が行なわれた後でかつ前記始動領域への打玉の進入に応じた前記可変表示装置の可変表示の開始時に、当該進入に応じて前記記憶領域に記憶された前記第1の数値情報と当該可変表示の開始時の前記当り確率の状態に対応した第1の当り判定値とを用いて、前記1次抽選判定を行なうとともに、前記第2の数値情報を用いての前記2次抽選判定と前記識別情報の種類の決定とを行なう。
【0010】
請求項2に記載の本発明によれば、請求項1に記載の発明の作用に加えて、前記確率変動状態となっている最中において、前記可変表示装置の表示結果が前記特別の表示態様以外の特定の表示態様になった場合には、当該特定の表示態様による特定遊技状態の終了の後に通常確率時の状態を維持させ、前記可変表示装置の表示結果が前記特別の表示態様になった場合には当該特定の表示態様による特定遊技状態の終了の後に確率変動状態にされる。
【0011】
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施の形態においては、遊技機の一例としてパチンコ遊技機を取り上げて説明するが、本発明はこれに限らず、コイン遊技機あるいはスロットマシン等であってもよい。
【0013】
図1は、本発明に係る遊技機の一例のパチンコ遊技機60およびカード処理機62を示す正面図である。
【0014】
パチンコ遊技機60の左右方向一側部(図面では左側)にはカード処理機62がパチンコ遊技機60に対し分離可能な状態で設けられている。図中130は処理機使用可表示器であり、カード処理機62が作動中で使用可能である旨を点灯表示するためのものである。また、この処理機使用可表示器130により、各種のエラー状態が表示される。カード処理機62にはカードリーダライタが設けられたカードリーダライタ制御部134が設けられており、カード挿入・排出口133からカードを挿入すればそのカードに記録されている記録情報がこのカードリーダライタにより読取られる。その読取られたカード情報に含まれている挿入時のカード残額が残金額表示器(カード残高表示器)50により表示される。このカード処理機62にはCPU,ROM,RAM等が内蔵されたカード処理機制御部135が設けられており、このカード処理機制御部135によりカード処理機62全体が制御される。
【0015】
遊技者がパチンコ遊技機60により遊技を行ないたい場合には、カード残額等の遊技者所有の有価価値が記録されている記録媒体の一例のカードをカード挿入・排出口133に挿入する。その挿入されたカードが適正でかつカード残額が残っている場合で玉貸操作が可能な場合には、カード処理機制御部135からパチンコ遊技機60側に玉貸可LED点灯用の制御信号が出力されて打球待機部の一例の玉貯留皿59に設けられている玉貸可LED(玉貸可表示器)48dが点灯される。この玉貸可LED(玉貸可表示器)48dは玉貸操作ができる旨を点灯表示するものである。遊技者がこの玉貸可LED(玉貸可表示器)48dの点灯していることを確認して玉貸ボタン44cを押圧操作する。すると、カード処理機62側からパチンコ遊技機60側の払出制御用マイクロコンピュータ730に玉払出指令信号が出力されて後述するたとえばロータリスイッチ等からなる貸玉額設定スイッチ137(図2参照)によって予め設定されている1回の玉貸操作により払出される貸玉額(以下、単に貸玉額という)分の遊技玉(パチンコ玉)が打球供給皿59内に払出される。この貸玉額分の払出が終了するまでは玉貸可LED(玉貸可表示器)48dが消灯するとともに貸出中表示器46dが点滅表示される。そして貸玉額分のパチンコ玉の払出が終了した段階でカード処理機62内に挿入されているカードのカード残額が貸玉額分減額更新される。カード処理機62により、遊技者所有の有価価値を特定可能な情報が記録された記録媒体の記録情報を読取る記録媒体処理装置が構成されている。
【0016】
図中42cは返却ボタンであり、玉貸可LED(玉貸可表示器)48dの点灯している期間中操作が有効なものである。この返却ボタン42cが遊技者によって押圧操作されることにより、カード処理機62内に挿入されているカードがカード挿入・排出口133から遊技者側に返却される。このカード挿入・排出口133は、カード挿入・排出される溝部分の外周に突条が設けられており、図示右側の突条133aより左側の突条133bのほうが突出量の大きい突条に構成されており、このカード処理機62の図示左側に設置されているパチンコ遊技機(図示せず)で遊技をせんとする遊技者が間違ってこのカード処理機62のカード挿入・排出口133にカードを挿入する不都合を極力防止できるようにしている。図中132はカード挿入ランプであり、カード挿入・排出口133にカードが挿入されている所定位置に保持された状態で点灯するものである。
【0017】
カード挿入時のカード残額と、玉貸が行なわれ減額更新された後のカードの残金額とが打球供給皿59に設けられている残金額表示器(カード残高表示器)50により表示される。打球供給皿59内でパチンコ玉が払出された状態で遊技者が打球操作ハンドル121を操作すれば、パチンコ玉が1つずつ遊技領域120内に打込まれる。遊技領域120には、複数種類の識別情報が可変表示可能な可変表示装置14が設けられている。遊技領域120には、さらに始動入賞口1a,1b,1cが設けられており、この始動入賞口1a,1b,1cに入賞した入賞玉が始動入賞玉検出スイッチ2a,2b,2cにより検出される。その始動入賞玉検出スイッチ2a,2b,2cの検出信号に基づいて、可変表示装置14が可変開始し、それぞれの可変表示部14a,14b,14cによって複数種類の識別情報の一例の図柄が可変表示された後停止制御される。なお、この可変表示装置14の可変表示中に再度打玉が始動入賞口1a〜1cのいずれかに入賞すれば、その始動入賞が記憶されて始動入賞記憶表示器10によりその入賞記録値が表示される。この始動入賞記憶は、たとえば最大4個の始動入賞を記憶できるように構成されており、4個を上限として、始動入賞がある毎に「1」ずつ加算記憶されるとともに可変表示装置14が可変開始される毎に「1」ずつ減算更新される。なお、この可変表示装置14は、本実施の形態においては回転ドラム式の可変表示装置を示すが、本発明はこれに限らず、7セグメント,液晶,蛍光表示管,LED,エレクトロルミネセンス等の表示装置を用いたものであってもよく、また、ドットマトリックス方式の可変表示装置であってもよい。さらに、通常時可変表示しているものであってもよく、その場合には始動入賞により明るさあるいは可変表示の速度を変化させて再可変表示された旨がわかるように構成するのが望ましい。
【0018】
この可変表示装置14には、中央横一列と斜め対角線上とで合計3本の当りライン(組合せ有効列)が定められており、可変表示装置14の停止時に3本の当り列のうち或る当り列上で特定の識別情報の組合せ(たとえば777)が揃った場合には大当りとなり、可変入賞球装置3のソレノイド5が励磁されて開閉板4が開成され、打玉が入賞しやすい遊技者にとって有利な第1の状態となる。開閉板4が開成している場合に遊技領域120内に打込まれたパチンコ玉がこの可変入賞球装置3内に入賞すれば、その入賞玉が10カウント検出スイッチ8により検出される。この可変入賞球装置3の第1の状態は、打玉が所定個数(たとえば10個)入賞するかあるいは第1の状態となった後所定時間(たとえば30秒間)経過するかのうちいずれか早いほうの条件が成立することにより終了し、開閉板4が閉成されて打玉が入賞しない遊技者にとって不利となる第2の状態となる。この可変入賞球装置3内に入賞したパチンコ玉が特定入賞口(Vポケット)6に入賞すれば、その特定入賞玉が特定入賞玉検出スイッチ7により検出され、その検出出力に基づいて、可変入賞球装置3の第1の状態が終了した後再度開閉板4が開成されて第1の状態の繰返し継続制御が行なわれる。この繰返し継続制御の上限回数はたとえば10回に定められている。この繰返し継続制御の回数がラッキーナンバー・回数表示LEDとしての7セグメント表示器11により表示される。なお、この7セグメント表示器11は、後述する大当りの発生確率やラッキーナンバーも表示する。また、可変入賞球装置3の第2の状態としては、打玉が全く入賞しないのでなく打玉が入賞可能であるが入賞困難な状態であってもよい。また、始動入賞口1a,1b,1cに打玉が入賞した場合には、その1個の始動入賞玉につきたとえば5個の景品玉が打球供給皿59内に払出される。一方、始動入賞口1a〜1c以外の入賞口や可変入賞球装置内に打玉が入賞した場合には1個の入賞につき15個の景品玉が打球供給皿59内に払出される。この景品玉の払出の最中に払出ランプ126が点灯または点滅表示される。
【0019】
この打球供給皿59内に払出される景品玉は後述する玉タンク151(図2参照)内に貯留されているのであり、この玉タンク151内の貯留玉がなくなればタンク玉センサ150が玉を検出しなくなり、その時点で玉切れ表示器127が点灯または点滅表示して貯留玉がなくなったことを表示する。打球供給皿59は景品玉で満杯となりそれ以上貯留できなくなった余剰玉は余剰玉貯留皿122内に払出される。この余剰玉貯留皿122も満杯になった場合に、それ以降払出すべき景品玉が生じたときにその景品玉の個数またはその景品玉に相当する金額等を記憶して表示するクレジット得点表示器を打球供給皿59に設けてもよい。その場合には、打球供給皿59や余剰玉貯留皿122内のパチンコ玉が少なくなった後においてこのクレジット得点表示器に表示されている得点分の景品玉を払出す。残金額表示器(カード残高表示器)50は7セグメント表示器で構成されているが、その代わりに、複数の発光ダイオードを貸玉額や100円単位に対応させて設けてもよい。また、残金額表示器(カード残高表示器)50により貸玉額を表示してもよく、さらに別の表示器を設けてそれに1回の玉貸操作により貸出される貸玉額を表示したり、貸玉額が印刷されたシールを貼りつけたりしてもよい。図中15はスピーカであり、大当り時の効果音等が発せられる。
【0020】
カード処理機62の正面側には、端数表示スイッチ136が設けられている。この端数表示スイッチ136は、残金額表示器(カード残高表示器)50により表示される挿入カードの現時点における残額に予め定められた単位数(たとえば100円)未満の端数が生じた場合に表示桁を切換えることによりその予め定められた単位数(たとえば100円)未満の端数を表示させるためのものである。つまり、貸玉レートが変更されて貸出されるパチンコ玉の金銭等価価値が変わったこと等に起因して予め定められた単位数(たとえば100円)未満のカード残額が生ずる場合にこの端数表示スイッチ136を切換えると、まず1万円単位の残額がある場合には端数を切り捨てて残金額表示器(カード残高表示器)50により点滅表示され、1万円単位の残額がなくなった時点で自動的に表示器が切換わり100円未満の端数まで点灯表示される。この残金額表示器(カード残高表示器)50は幕板等に設けてもよい。図中、18は遊技効果ランプ、19はレール飾りランプ、20は風車ランプ,21は肩ランプ、22はサイドランプ、23はアタッカーランプ、24は袖ランプ、17はドラム飾りランプ、26は飾りLED(A)、27は飾りLED(B)、28はV入賞表示LEDである。
【0021】
図2は、カード処理機およびパチンコ遊技機の一部内部構造を示す背面図である。
【0022】
カード処理機62のカード処理機制御部135に接続されている情報伝達媒体の一例の配線70がパチンコ遊技機60に設けられている中継端子基板138にコネクタ139により接続され、カード処理機制御部135と中継端子基板138とが配線70により互いに情報の送受信ができるように構成されている。またこの中継端子基板138には、払出制御基板ボックス145内に収納されている払出集中制御基板730,ゲーム制御用基板ボックス148内に収納されている遊技制御手段の一例のゲーム制御用基板148′,遊技機用ターミナルボックス149,玉払出器63の払出モータ63aが、それぞれコネクタ141,144,143,142を介して接続される。さらに、打球供給皿59に設けられている前述した各種表示器や各種操作ボタンのスイッチがコネクタ140を介して中継端子基板138に接続されている。なお、カード処理機制御部135と打球供給皿59に設けられている各種表示器や各種操作ボタンのスイッチならびに払出制御基板ボックス145内の払出集中制御基板730とを中継端子基板138を介することなく直接配線により接続し、払出集中制御基板730と払出モータ63aとを中継端子基板138を介して接続するようにしてもよい。また、カード処理機制御部135と払出集中制御基板730とを直接コネクタにより接続するようにしてもよい。
【0023】
カード処理機62の裏面側には、1回の玉貸操作により払出される貸玉額を予め入力設定するための貸玉額設定スイッチ137が設けられており、図示するように、100円,200円,300円,400円,500円の5種類の金額が入力設定できるようになっている。たとえば遊技場の係員により図示のように貸玉額が300円に設定されればその300円が貸玉額としてカード処理機制御部135のマイクロコンピュータ(図示せず)に記憶される。そして、遊技者がカードをカード挿入・排出口133に挿入し、玉貸ボタン44cを押圧操作することにより自動的にこの玉貸額(300円)分のパチンコ玉が打球供給皿59内に払出されてカード残額から減額されることになる。図中134はカードリーダライタおよびその制御回路を含むカードリーダライタ制御部である。
【0024】
払出制御基板ボックス145には、エラー原因表示器146が設けられており、玉払出器63によるパチンコ玉の払出に異常が生じた場合にその異常原因の種類を表示できるように構成されている。そして発生した異常を遊技場の係員が修復した場合にはリセットボタン147を操作し、玉払出制御のプログラムをリセットする。このエラー原因表示器146を払出制御基板ボックス145に設ける代わりに、エラー原因を玉貯留皿59に設けられている残金額表示器(カード残高表示器)50により表示したり、遊技機前面側に別途エラー原因表示器を設けたり、原因によって払出ランプ126の点滅態様を変えることにより対応させたり、あるいは、ホール用管理コンピュータで表示したりしてもよい。前記玉払出器63と払出制御基板ボックス145内の払出制御基板とにより玉払出装置が構成される。この玉払出器63は、払出モータ63aによって回転する玉送り部材63bが設けられている。この玉送り部材63bは円柱状の回転部材の外周に玉横送り用の螺旋突条が設けられており、タンクレール67から供給されてきたパチンコ玉を一旦この玉送り部材63bの外周面で受け、この玉送り部材63bが回転することにより外周面で受け止められているパチンコ玉を横方向に移動させて1ずつ打球供給皿59側に払出すように構成されている。この玉払出器63は、パチンコ遊技機60の機構板751に対しビス止め等で着脱自在に取付けられている。なお、取付方法としては、ビス止めに限らず係止金具による係止や弾性保持部材を利用した弾性保持等、着脱自在な取付方法であればいかなるものであってもよい。
【0025】
前記タンクレール67の途中にタンク玉センサ150が設けられており、このタンク玉センサ150により玉タンク151内の貯留玉がなくなったことが検出され、その検出信号が遊技用ターミナルボックス149,中継端子基板138を介して払出制御基板ボックス145内の払出集中制御基板730に入力される。このタンク玉センサ150が玉を検出しなくなった時点で玉切れ表示器127を点灯表示させるとともに、玉貸によるパチンコ玉の払出動作のみが不能動化される。
【0026】
玉タンク151には、島に設けられる補給樋152からパチンコ玉が補給玉検出器を含む補給装置153を介して供給される。この玉タンク151に供給される供給玉が補給装置153の補給玉検出器により検出されるのであり、所定個数a(たとえば10個)のパチンコ玉が供給されたことを検出して1パルスの検出信号がこの補給玉検出器から出力される。この出力信号はコネクタ154に伝達される。カード処理機62からの玉貸要求信号を受けて玉タンク151内のパチンコ玉を打球供給皿59に払出すのではなく、遊技者が玉貸器から購入してきた貸玉を打球供給皿59内に投入して遊技を行なう従来から一般的なパチンコ遊技機の場合には、コネクタ154とホール用管理コンピュータに接続されているコネクタ155と接続し、補給玉検出器からの検出信号をホール用管理コンピュータに送信し、ホール用管理コンピュータではその送信されてきた検出信号に基づいて遊技場にとって不利益となる不利益球数を集計する。ところが、本実施の形態のように、カード処理機62からの玉貸要求信号に基づいて玉タンク151内の貯留玉の一部を打球供給皿59内に払出す方式のパチンコ遊技機においては、その遊技場にとって何ら不利益球数とはならない貸玉が補給樋152から玉タンク151に供給されることになり、その供給された貸玉が補給玉検出器により検出されてしまって不利益球数情報としてホール用管理コンピュータに入力されてしまい、ホール用管理コンピュータで正確な不利益球数を集計できない不都合が生ずる。そこで、本実施の形態のパチンコ遊技機においては、ホール用管理コンピュータに接続されているコネクタ155を補給装置153の補給玉検出器に接続されるコネクタ154から外して遊技機用ターミナルボックス149に接続されているコネクタ156に接続する。そして、パチンコ玉の入賞に基づいて払出される景品玉が所定個数a(たとえば10個)に達する毎に払出集中制御基板730から所定のパルス信号を出力してその所定のパルス信号が遊技機用ターミナルボックス149,コネクタ156,コネクタ155を介してホール用管理コンピュータに伝送されるように構成されている。このように構成することにより、パチンコ玉の貸出に関しては何ら不利益球数情報としてのパルス信号がホール用管理コンピュータに出力されることなく、入賞に伴う景品玉の払出に関してのみパルス信号がホール用管理コンピュータに送信され、ホール用管理コンピュータでは正確な不利益球数情報を集計できる。
【0027】
遊技領域120内に打込まれ入賞口に入賞した入賞玉とアウト口に回収されたアウト玉は合流して打込玉タンク159に落下し、その打込玉が打込玉検出器(打込球カウンタ)160により検出された後島に設けられている集球樋161上に落下する。図中180は玉抜きソレノイドであり、この玉抜きソレノイドが払出集中制御基板730からの制御信号により励磁されると所定の開閉弁(図示せず)が開放されて玉タンク151内に貯留されているパチンコ玉が玉排出樋420を通って機外に排出される。この開閉弁は手動操作によっても開放可能に構成されている。なお、本実施の形態では打込玉検出器160の出力が従来と同様にホール用管理コンピュータに直接入力されるように構成されているが、打込玉検出器160の出力を一旦払出集中制御基板730に入力し、払出異常に基づく玉抜き処理が行なわれていないことを条件とし、払出集中制御基板730からホール用管理コンピュータに入力されるように構成してもよい。このようにすれば、正確な利益球数情報を集計することができる。なお、それに代えて玉抜きされたパチンコ玉が打込玉タンクに落下しないように構成してもよい。図中158,157は遊技機用ターミナルボックス149とホール用管理コンピュータとを接続するコネクタであり、単位額売上信号がこのコネクタ158,157を介してホール用管理コンピュータに送信される。この単位額売上信号とは、カード処理機62に挿入されたカードに記録されているカード残額を使用して玉貸が行なわれた場合の1単位の売上額のことであり、1単位の売上額に相当するカード残額(たとえば100円)が使用れるたびにこの単位額売上信号がホール用管理コンピュータに送信され、ホール用管理コンピュータにおいて玉貸による売上額を集計できるようになっている。
【0028】
図中830はユニットボックスであり、カード処理機用の電源の機能と単位額売上信号の伝送機能とを合わせ持つ。このユニットボックス830には、AC100V用のコンセント831が設けられており、このコンセント831を介してAC100Vの電圧がユニットボックス830に供給されて、このユニットボックス830で所定の電圧に変圧された電圧が、接続ケーブル837を介してカード処理機制御部135に供給される。また、このカード処理機制御部135から接続ケーブル837を介してユニットボックス830に単位額売上データ等が伝送される。ユニットボックス830では、伝送されてきた単位額売上信号を、配線834を介してホール用管理コンピュータに送信するとともに、配線838を介してカード処理機用ターミナルボックスに送信する。このように、単位額売上信号は、パチンコ遊技機60からとカード処理機62からとの両方からホール用管理コンピュータに送信されることになる。その結果、いずれか一方が故障したり誤動作したりして一方の単位額売上信号が狂った場合には、他方の単位額売上信号と食い違うために、異常が発生したことが即座に判断でき、売上の正確な管理が可能となる。このユニットボックス830には、通電状態を表示するための通電中表示器833と、カード処理機62に異常が生じた場合等に手動操作により電源を再立上げするためのリセットスイッチ832とが設けられている。なお、前記単位額売上信号をホール用管理コンピュータに送信する場合には、どのカード処理機での売上かを特定するためにカード処理機番号等のIDデータをも合わせてホール用管理コンピュータに送信するのが望ましい。そのIDデータをユニットボックス830からホール用管理コンピュータに送信する場合には、カード処理機62をパチンコ遊技機60に接続するたびにまたは電源が投入されるたびにカード処理機制御部135に記憶されているIDデータをパチンコ遊技機60側に送信し、払出集中制御基板730やゲーム制御用基板148′にその送信されてきたIDデータを記憶し、その記憶されているIDデータをユニットボックス830からホール用管理コンピュータに送信するようにする。
【0029】
また、ゲーム制御用基板148′は、可変表示装置14のドラムユニット42(図3参照)の中継端子基板13および各種ランプ・LED・センサなどが接続されている中継端子基板81と配線により接続されている。ゲーム制御用基板ボックス148の背面右側には、施錠装置77が設けられている。この施錠装置77は蓋77′を施錠してキースイッチ75を蓋77′で覆ってキースイッチ75の操作ができない状態にするためのものである。この施錠装置77に遊技場の経営者等が所持する特殊な鍵を挿入して解除操作することにより蓋77′が解放されてキースイッチ75が操作可能となる。このキースイッチ75は、可変表示装置14の可変停止時の表示結果が特定の識別情報の組合せ(たとえば777)となる確率を可変設定するためのものであり、ノーマル位置,設定位置,確認位置の3つの位置に切換操作できる。このキースイッチ75に所定の鍵を挿入して設定位置で切換操作することにより確率が変更設定できるのであり、この設定位置への切換操作回数に応じて異なった確率を設定することができる。なお、キースイッチ75に代えて、たとえばスライドスイッチ,押ボタンスイッチ,スナップスイッチ,プッシュプルスイッチ,ロータリスイッチ,デジタルスイッチ等でもよい。図中88は打球発射装置であり、打球モータ612を備えている。
【0030】
図3は、可変表示装置を構成するドラムユニットの構造を説明するための分解斜視図である。
【0031】
ドラムユニット32のドラム機構収納部33内には、回転ドラム36a,36b,36c(36b,36cは参照番号を省略する)が設けられている。この回転ドラム36a,36b,36cは、それぞれにステッピングモータ35a,35b,35c(35b,35cは参照番号を省略する)により回転されるように構成されている。ステッピングモータ35a〜35cは、それぞれモータ取付板34a,34b,34cに取付けられている。また、回転ドラム36a〜36cには、ドラム位置を検出するための無反射部分38a〜38cがそれぞれに形成されている。ドラム機構収納ボックス33の前記無反射部分38a〜38cに対応する位置には、透孔39a〜39cがそれぞれ形成され、その透孔39a〜39cに、反射型フォトセンサからなるドラムセンサ51a〜51cがそれぞれ挿入される。このドラムセンサ51a〜51cは、中継端子基板13と共にドラム機構収納部33に固定されるセンサ基板50に設けられている。そして、ドラムセンサ51a〜51cによりそれぞれ無反射部分38a〜38cを検出することにより、それぞれの回転ドラム36a〜36cの基準位置からの回転角度が制御可能となる。これら回転ドラム36a,36b,36cの外周には、複数種類の識別情報(図柄)が描かれたドラムシール37a,37b,37cが貼着されている。
【0032】
図4は、前記各回転ドラムの外周に貼着された各ドラムシール37a,37b,37cに描かれた図形を展開した状態を示す展開図である。
【0033】
左の回転ドラム36aのドラムシール37aには、9種類の左大当り図柄53a〜61aを含む18個の図柄が描かれている。中央の回転ドラム36bのドラムシール37bには、9種類の中大当り図柄53b〜61bを含む18個の図柄が描かれている。右の回転ドラム36cのドラムシール37cには、9種類の右大当り図柄53c〜61cを含む18個の図柄が描かれている。そして、この図4に示す一番左の列に示された数字やアルファベットは16進数で示された図柄番号であり、たとえば左大当り図柄53aは図柄番号「08」であり、中大当り図柄の54bで示された図柄は図柄番号が「06」であり、右大当り図柄59cで示された図柄の図柄番号は「0C」である。これら大当り図柄のうち同じ種類の図柄が前記3本の当りライン上に揃えば、前述したように、可変入賞球装置3が第1の状態に駆動制御されて大当り状態が発生する。
【0034】
図4に示されるような図柄配列の場合には、当りラインが3列ありかつ各列には18種類の図柄が表示可能であり、そのうちの9つの図柄が当り図柄(特定の識別情報)であるために、同じ種類の当り図柄が3本の当りライン上に揃う表示上の確率は9×3/183=1/216となる。
【0035】
図4に示された当り図柄のうち、「7」および「F」は、確率向上図柄(特別の識別情報)であり、この「7」の図柄が3つの当りライン上のいずれかに揃った場合または「F」の図柄が中段の当りライン上に揃った場合には、大当りが発生するばかりでなく、次回の可変表示装置の停止時の表示結果が特定の識別情報の組合せとなる確率を向上させた高確率状態の制御が行なわれる。この高確率状態が発生する確率は、4/27=1/6.75となる。
【0036】
図5は、パチンコ遊技機に使用される制御回路を示すブロック図である。
パチンコ遊技機の制御回路は、その一部がゲーム制御用基板148′に設けられており、各種機器を制御するためのプログラムに従って動作するマイクロコンピュータなどを含む基本回路64を有する。この基本回路64には、CPU91,RAM92,ROM93,I/Oポート90,サウンドジェネレータ94,クロック発生回路95が含まれている。また、パチンコ遊技機の制御回路には、電源投入時に基本回路64にリセットパルスを与えるための初期リセット回路97と、基本回路64から与えられるクロック信号を分周して定期的(たとえば2msec毎)にリセットパルスを基本回路64に与えるパルス分周回路からなる定期リセット回路98と、基本回路64からのアドレスデータをデコードし、基本回路64内のRAM92,ROM93,I/Oポート90,サウンドジェネレータ94にそれぞれチップセレクト信号を与えるアドレスデコード回路96とを含む。基本回路64には、入力信号として次のような信号が与えられる。中継端子基板138を介してカード処理機制御部135から接続情報がカード処理機接続情報入力回路854に入力されて基本回路64内に入力される。この接続情報とは、カード処理機制御部135と中継端子基板138とが配線70により接続されていることを表わす信号である。打玉が入賞して入賞玉処理器400(図2参照)により処理されて入賞玉が入賞玉センサ170a,170b(図6参照)により検出されれば、払出集中制御基板730,中継端子基板138,入賞情報入力回路853を介して入賞情報が基本回路64に入力される。打玉が可変入賞球装置3内に入賞して10カウント検出スイッチ8により検出されれば、その検出信号がスイッチ・センサ入力回路109を介して基本回路64に入力される。可変入賞球装置3内に進入したパチンコ玉が特定入賞口(Vポケット)に入賞して特定入賞玉検出スイッチ7により検出されれば、その検出信号がスイッチ・センサ入力回路109を介して基本回路64に入力される。パチンコ玉が始動入賞口1a,1b,1cに入賞すれば、その始動入賞玉が始動入賞玉検出スイッチ2a,2b,2cにより検出され、その検出信号がスイッチ・センサ入力回路109を介して基本回路64に入力される。ステッピングモータ35a〜35cが回転して各回転ドラム36a〜36cが回転し、その各回転ドラム36a〜36cに形成されている無反射部分38a〜38cがセンサ基板50に設けられているドラムセンサ51a〜51cにより検出されれば、その検出信号がスイッチ・センサ入力回路109を介して基本回路64に入力される。ゲーム制御用基板148′には、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)99とデータ入力回路100とデータ出力回路101とが設けられており、パチンコ遊技機60の電源投入時に、このEEPROM99に記憶されている大当り発生用の確率データがデータ入力回路100を介して基本回路64に入力される。その入力された確率データはI/Oポート90,CPU91を介してRAM92にロードされる。この確率データは、少し高い第1の確率データ(設定1)と中程度の第2の確率データ(設定2)と少し低い第3の確率データ(設定3)との3種類があり、そのうちのいずれか1つの確率データがEEPROM99に記憶されている。RAM92にロードされた確率データが第1の確率データ(設定1)であったと仮定し、その状態でキースイッチ75が1回設定モードに操作された場合には、RAM92にロードされている第1の確率データ(設定1)が第2の確率データ(設定2)に更新される。その状態で、さらにキースイッチ75が再度設定モードに操作された場合には、RAM92にロードされている第2の確率データ(設定2)が第3の確率データ(設定3)に更新される。その状態で再度キースイッチ75が設定モードに操作された場合には、RAM92にロードされている第3の確率データ(設定3)が第1の確率データ(設定1)に更新される。そしてキースイッチ75をノーマルモードに切換える操作が行なわれた場合に現時点におけるRAM92にロードされている確率データが、CPU91,I/Oポート90,データ出力回路101を介してEEPROM99に入力されてEEPROM99内の確率データがその入力された新たな確率データに書換えられる。なお、後述するように、電源投入時にキースイッチ75がノーマルモードとなっている場合には、キースイッチ75の操作による確率データの書換ができない。このキースイッチ75により、可変表示装置の停止時の表示結果が前記特定の識別情報になる確率を予め手動により設定する設定操作手段が構成されている。そして、EEPROM99により、前記設定操作手段による設定操作内容を記憶する電気的記憶手段が構成されている。この実施の形態のように、確率データをEEPROM99により記憶保持するようにしたために、機械的な記憶保持に比べて確率の設定値の増減に柔軟に対応できるとともに、たとえばRAM等に記憶させることに比べて、バックアップ電源を必要としないという利点がありかつ記憶保持する期間が長くなった場合には有利となる。なお、設定操作手段は、各パチンコ遊技機に設けられたキースイッチ75に限らず、たとえば、ホール用管理コンピュータに接続されたキーボード等であってもよく、遊技場の管理室等において各パチンコ遊技機を指定して確率の設定操作が行なえるようにしていもよい。
【0037】
次に、基本回路64からは以下に述べる各種回路や機器に対し制御信号が出力される。
【0038】
音回路68を介してスピーカ15に音発生用の制御信号が出力される。賞球個数情報出力回路104,中継端子基板138を介して払出集中制御基板730に対し払出されるべき景品玉の数を指定する情報である賞球個数情報が出力される。セグメント・LED回路105を介して、7セグメント表示器11,始動入賞記憶表示器10,入賞個数表示器16,飾りLED27,26,V表示LED28にそれぞれ表示用の制御信号が出力される。ドラム用ランプ回路106を介してドラムランプ25a〜25gにそれぞれランプ点灯用の制御信号が出力される。ランプ・ソレノイド大当り情報回路107を介して、ソレノイド5にソレノイド励磁用制御信号を出力するとともにドラム飾りランプ17,遊技効果ランプ18,レール飾りランプ19,風車ランプ20,肩ランプ21,サイドランプ22,センターランプ(アタッカーランプ)23,袖ランプ24にそれぞれランプ点灯(点滅)用制御信号を出力する。モータドライブ回路108を介して、各ステッピングモータ35a〜35cを駆動させるための制御信号を出力する。図中71は、大当り発生情報をホール用管理コンピュータ等に出力するための出力線である。
【0039】
なお、これら制御回路や各種機器には、電源回路102から所定の直流電圧が供給される。
【0040】
図6は、払出集中制御基板とゲーム制御用基板との間で、景品玉の払出個数データ等の送受信を行なうための回路を示す図である。
【0041】
パチンコ遊技機60とカード処理機62とが配線70とコネクタ139(図2参照)とを介して接続された段階でフォトカプラ852にVL(+18V)の電圧が与えられ、ゲーム制御用基板148′に設けられているカード処理機接続情報入力回路854を介して基本回路(図5参照)に信号が入力される。このカード処理機接続情報入力回路854を介して基本回路64に信号が入力されて初めてパチンコ遊技機60は作動可能となる。この点に関しては後に詳しく説明する。ゲーム制御用基板148′の基本回路64には、パチンコ玉の入賞態様に応じて払出すべき景品玉の個数が記憶されている。すなわち、打玉が始動入賞口1a,1b,1c(図1参照)に入賞した場合にはn(5個)、その始動入賞口1a〜1c以外の入賞口や入賞球装置に入賞した場合にはm(15個)払出すように払出個数が記憶されている。そして、始動入賞口1a〜1cに入賞した入賞玉は入賞玉処理器400に導かれて入賞玉センサ170aにより検出され、その検出信号が入賞玉センサ回路860,フォトカプラ859aを介して入賞情報入力回路853に入力されてその入力情報が基本回路64に入力される。始動入賞口1a〜1c以外の入賞口や入賞球装置に入賞した入賞玉は、入賞玉処理器400に導かれて入賞玉センサ170bにより検出され、その検出信号が入賞玉センサ回路860,フォトカプラ859bを介して入賞情報入力回路853に入力され、その入力情報が基本回路64に入力される。基本回路64では、その入力された入賞情報に基づいてD0,D1,D2,D3の4つの出力ポートを利用して賞球個数信号を払出制御基板の賞球個数情報入力回路110に出力する。つまり、D0〜D3の4つの出力ポートにより4ビットの賞球個数信号(景品玉払出個数信号)を出力することができるために、1個〜15個の15種類の賞球個数信号を出力することが可能である。出力ポートD0から出力された信号は賞球個数情報入力回路110のフォトカプラ855で一旦光信号に変換された後再度電気信号に変換されて入力回路851に入力される。同様に、出力ポートD1,D2,D3からそれぞれ出力された賞球個数信号がフォトカプラ856,857,858により一旦光信号に変換された後再度電気信号に変換され、その電気信号が入力回路851に入力される。入力回路851に入力された賞球個数データに基づいて払出集中制御基板730が玉払出器63を制御して所定個数の景品玉が払出されるように制御する。前記各フォトカプラ855〜858には、ゲーム制御用基板148′側から供給されるカプラ電源Vpが与えられ、各出力ポートD0〜D3からの信号が対応するフォトカプラ855〜858に入力されることにより、その入力されたフォトカプラからの信号が払出集中制御基板730の入力回路851に入力される。このように、払出集中制御基板730とゲーム制御用基板148′との間のデータの送受信がフォトカプラを介して行なわれるために、互いの基板間が電気的に絶縁された状態となり、一方の基板の故障が他方の基板に悪影響を及ぼしてしまう不都合が防止できる。
【0042】
図7ないし図31は、図5に示した制御回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【0043】
図7はメインルーチンが示されており、たとえば2msec毎に1回実行される。まずステップS(以下単にSという)1により、スタックセットの処理が行なわれ、S2により、RAMエラーがあったか否かの判断が行なわれる。この判断は、図5に示された基本回路64内のRAM92の所定アドレスの内容を読出し、その値が所定の値と等しいか否かを調べることにより行なわれる。プログラムの暴走時や電源投入時直後には、RAM92の格納データは不定であるため、判断の答はNOとなって制御はS3に進む。S3においては、電源投入時であるか否かの判断が行なわれ、電源投入時でなければS5に進み、確率設定フラグがセットされているか否かの判断が行なわれる。この確率設定フラグは後述するS32によりセットされS40によりクリアされるものであり、キースイッチ75(図2参照)による確率設定操作中である旨を記憶しておくためのものである。確率設定フラグがセットされていない場合にはS7に進み、RAMに初期データが書込まれる。このとき、EEPROM99に記憶されている大当り発生の確率データである設定値が読込まれてRAMにロードされて以後その読込まれた値に従って定まる確率で、可変表示装置14の識別情報が表示されるように制御される。その後制御はS13に進む。S7において初期データが書込まれるため、以後このメインルーチンの実行時には、S2における判断の答はYESとなり、制御はS8に進むこととなる。
【0044】
S8においては、入出力ポートからのデータの出力処理が行なわれ、S5に示された各種回路や機器に対し制御信号が出力される。次にS9に進み、10カウントエラーがあるか否か,ドラムエラーがあるか否かならびに接続エラーがあるか否かの判断が行なわれる。この10カウントエラーとは、特定入賞玉検出スイッチ7や入賞個数検出スイッチ8がショートあるいは断線している場合等であり、具体的には、特定入賞玉検出スイッチ7や10カウント検出スイッチ8の出力信号が所定時間(たとえば2.9秒)を超えて導出された場合あるいは可変入賞球装置3の1回の開成中に入賞玉が1個も検出されなかった場合に10カウントエラー有りと判断される。ドラムエラーとは、回転ドラム36a〜36c(図3参照)が回転途中で停止したり回転制御できない状態となった場合である。接続エラーと、カード処理機制御部135とゲーム制御用基板148′とが接続されていない場合であり、コネクタ139,配線70を介してカード処理機制御部135と中継端子基板138とが接続されていない場合やカード処理機制御部35からゲーム制御用基板148′までの接線配線が断線している場合等が考えられる。10カウントエラーがなくかつドラムエラーもなくさらに接続エラーもなかった場合にはS10に進み、プログラム処理が行なわれた後S11に進むが、10カウントエラーまたはドラムエラーまたは接続エラーがあった場合には直接S11に進み、入賞・接続情報入力処理が行なわれ、次にS12に進み、スイッチ入力処理が行なわれ、S13に進む。
【0045】
一方、S3により電源投入時であると判断された場合にはS4に進み、キースイッチ75がノーマルモードの位置にあるか否かの判断がなされ、ノーマルモードの場合にはS7に進む。一方、キースイッチがノーマルモードでない場合には、S6に進み、確率設定処理が行なわれて定期リセット待ちとなる。このS6により確率設定処理が行なわれた場合には、前述したように、S32により確率設定フラグがセットされるのであり、この確率設定フラグはキースイッチがノーマルモードに切換られた場合にクリアされる。その結果、S3によりNOの判断がなされた場合にもおいても、キースイッチがノーマルモードに切換られるまではS5によりYESの判断がなされてS6の確率設定処理が引続き行なわれることになる。電源投入時にキースイッチがノーマルモードの位置にあった場合には、S6による確率設定処理が行なわれることなくS7に進むため、確率の変更設定が行なわれないままの確率データがEEPROMからRAMにロードされることになり、そのロードされた確率によって可変表示装置が表示制御されることになる。
【0046】
次に、S13により、ランダム1カウンタ,ランダム2カウンタ,ランダム4カウンタの更新処理が行なわれる。このランダム1カウンタとは、1次抽選用のカウンタである。ランダム2カウンタとは2次抽選および当り図柄決定用のカウンタである。大当りを発生させるか否かは、まずランダム1カウンタに基づく1次抽選の結果当りと決定され、さらにランダム2カウンタに基づく2次抽選の結果当りと決定される必要がある。ランダム4カウンタとは大当りを発生させることが決定された場合に、3本の当りラインのうちどの当りライン上に当り図柄の組合せを成立させるかを決定するための当りライン選択決定用のカウンタである。この当り図柄はランダム2カウンタのカウント値に基づいて決定される。そして、キースイッチ75を操作した場合には、このランダム1カウンタのカウント値の上限が変化する。すなわち、設定1で低確率時(前述した確率向上図柄の組合せが成立していない状態)の場合にはランダム1カウンタは0〜41の範囲内でカウントする。設定1の状態で高確率時のときには0〜44の範囲内でカウントする。設定2の場合には0〜44の範囲内でカウントする。設定3の場合には0〜49の範囲内でカウントする。一方、ランダム2カウンタは0〜49の範囲内でカウントする。またランダム4カウンタは0〜2の範囲内でカウントし、ピックアップされたカウント値が0のときには中段の当りラインが選択決定され、1のときには右上がりの斜めの当りラインが選択決定され、2のときには右下がりの斜めの当りラインが選択決定される。
【0047】
次にS14に進み、リセット回数が0かまたは4かまたは1,2,3,5,6,7かのいずれかが判断される。このリセット回数とは、定期リセット回路98(図5参照)から基本回路64に入力されたリセット信号によって基本回路64がリセットされた回数を意味し、リセットされる毎に「0」から「1」ずつ加算されて「7」にまで達し、その状態でさらに「1」加算されることにより「0」となり、「0」から再度カウントアップされるものである。このリセット回数が0の場合にはS15に進み、音データが出力されてスピーカ15から所定の音が発せられる。一方、リセット回数が4の場合にはS17に進み、出力データテーブル選択,ドラムランプデータセットの処理が行なわれてS18に進み、そのセットされたデータが出力されて、ドラムランプが点灯制御される。一方、リセット回数が1,2,3,5,6,7の場合にはS16に進み、飾りLED,ランプデータがセットされてS18によりそのセットされたデータが出力され、飾りLED27,26および各種ランプ18〜24が点灯または点滅制御される。次にS19に進み、入賞記憶エリア格納処理が行なわれ、S20に進み、ランダム1カウンタ,ランダム2カウンタ,ランダム3カウンタ,ランダム5カウンタの更新処理が行なわれる。このS20による処理は、定期リセット回路98からのリセット信号に基づく基本回路64のリセットが行なわれるまでの定期リセット待ち時間を利用して繰返しカウント値の更新処理が行なわれる。ランダム3カウンタとは、大当りを発生させないことが決定された場合にどのはずれ図柄で停止制御するかを決定するためのカウンタであり、0〜5831の範囲内でカウントアップされる。ランダム5カウンタとは、ラッキーナンバー用図柄を決定するためのカウンタであり(後に詳しく説明する)、0〜99の範囲内でカウントアップする。
【0048】
図8は、S10に示されたプロセス処理のサブルーチンプログラムを示すフローチャートである。S21によりプロセスフラグがどのような値になっているかの判断が行なわれる。このプロセスフラグは、パチンコ遊技機を所定の順序に従って制御するために必要となるフラグであり、後述するように、パチンコ遊技機の制御状態に応じて加算更新されたり所定の値にセットされたりする。このプロセスフラグが「0」にセットされている場合にはS22に進み、図17に示す通常処理が行なわれる。プロセスフラグが「1」にセットされている場合にはS23に進み、図18に示すランダム2チェックの処理が行なわれる。プロセスフラグが「2」にセットされている場合にはS24に進み、図19に示す大当り図柄セットの処理が行なわれる。プロセスフラグが「3」のセットされている場合にはS25に進み、図20に示すはずれ図柄セットの処理が行なわれる。プロセスフラグが「4」にセットされている場合にはS26に進み、図21に示すドラム回転スタート処理が行なわれる。プロセスフラグが「5」または「6」にセットされている場合にはS27に進み、図22に示すドラム回転処理が行なわれる。プロセスフラグが「7」または「8」にセットされている場合にはS28に進み、図23に示す大当りチェック処理が行なわれる。プロセスフラグが「9」または「10」にセットされている場合にはS29に進み、図24に示す開放中処理が行なわれる。プロセスフラグが「11」または「12」にセットされている場合にはS30に進み、図25に示す開放後処理が行なわれる。
【0049】
図9はS6に示された確率設定のサブルーチンプログラムを示すフローチャートである。
【0050】
S31により電源投入時であるか否かの判断が行なわれ、電源投入時でない場合にはS33に直接進むが、電源投入時である場合にはS32に進み、EEPROM99の確率データをRAM92にロードする処理が行なわれるとともに、確率設定フラグがセットされた後にS33に進む。S33では、キースイッチ75の操作信号が入力されるポートからの信号の入力処理が行なわれる。このポートは、図32に示すように、ポート1とポート2が割り振られており、キースイッチ75等が故障している場合にはポート1とポート2共にOFFとなる。キースイッチ75が確認モードに操作されている場合にはポート1がOFFとなり、ポート2がONとなっている。キースイッチ75がノーマルモードに操作されている場合には、ポート1がONとなりポート2がOFFとなる。キースイッチ75が設定モードに操作されている場合には、ポート1とポート2共にONとなる。この2つのポート1,2のON,OFFの組合せによりキースイッチ75の操作状態が判別できるように構成されている。そしてS34に進み、キースイッチがノーマルモードの位置に操作されているか否かの判断が行なわれ、ノーマルモード以外の位置に操作されている場合にはS35に進み、確認モードから設定モードに切換わった否かの判断が行なわれる。切換わっていない場合にはS39に進み、現時点での確率設定データが7セグメント表示器11により表示される。一方、キースイッチ75が確認モードから設定モードに切換わった場合にはS36に進み、確率の設定データを「1」歩進し、S37により設定データが「4」であるか否かの判断が行なわれ、「4」でない場合にはS39に進むが、「4」の場合にはS38に進み、設定データを「1」に更新した後にS39に進む。設定データは設定1,設定2,設定3の3種類である。なお、本実施の形態では、キースイッチがノーマルモードの位置に操作されることにより通常の遊技制御に復帰するようにしたが、ノーマルモードの位置に操作された後所定時間(たとえば5秒)以内に再度設定操作が行なわれなかったことにより通常の遊技制御に復帰するようにしてもよい。その場合に、ノーマルモードから設定モードへの切換えにより設定データを更新するようにしてもよい。
【0051】
次に図10に基づいて入賞・接続情報入力処理のサブルーチンプログラムを説明する。
【0052】
この入賞・接続情報入力処理は、パチンコ玉が入賞した場合の入賞判定処理と、パチンコ遊技機とカード処理機との電気的な接続がなされているか否かの判定処理等を行なうものである。まずS41によりポート入力が行なわれる。そして、S42により、カード処理機接続情報入力回路854からのポート入力データに基づいて接続情報入力があるか否かの判断が行なわれる。カード処理機62のカード処理機制御部135とパチンコ遊技機60の中継端子基板138とが電気的に接続され、カード処理機接続情報がゲーム制御用基板に入力されている場合にはS43に進み、エラーカウンタがクリアされるとともに接続エラーフラグがクリアされてS48に進む。一方、カード処理機制御部135と中継端子基板138とが接続されていない場合にはS42によりONの判断がなされてS44に進み、エラーカウンタが最大になっているか否かの判断が行なわれ、既に最大になっている場合にはS48に進むが、未だに最大になっていない場合にはS45によりエラーカウンタが「1」歩進される。次にS46に進み、歩進された状態でエラーカウンタが最大になったか否かの判断が行なわれ、未だに最大になっていない場合にはS48に進むが、最大になった場合にはS47に進み、接続エラーフラグがセットされた後にS48に進む。このように、エラーカウンタとは、カード処理機制御部135と中継端子基板138との非接続状態あるいはカード処理機制御部135からゲーム制御用基板148′までの配線の断線が所定時間継続したか否かをチェックするためのものであり、非接続状態や断線が所定時間継続してカード処理機62とパチンコ遊技機60との電気的な接続が間違いなく断たれていることを判定するためのものである。なお、S42においてNOの判断がなされた場合に直ちに接続エラーフラグをセットするようにしてもよい。
【0053】
S48では、賞球データ出力フラグがセットされているか否かの判断が行なわれる。この賞球データ出力フラグは、後述するS52およびS57によりセットされS61によりクリアされるものであり、パチンコ玉の入賞が判定されたことに基づいてその入賞玉に基づいて払出すべき景品玉個数データである賞球データを払出集中制御基板側に出力するために必要となるフラグである。賞球データ出力フラグがセットされていない場合にはS49に進み、払出集中制御基板からセンサAに対応する情報入力があったか否かの判断が行なわれ、入賞玉センサ170a(図6参照)に対応する入賞情報信号がフォトカプラ859aから入力された場合にはS50に進み、センサA入力カウンタを「1」歩進した後S51により入賞判定値(たとえば「3」)になったか否かの判断が行なわれる。センサA入力カウンタのカウント値が入賞判定値に達していない場合にはS51によりNOの判断がなされる。そして次回のこのサブルーチンプログラムの実行に際し再度S49によりセンサA情報入力有りと判断された場合にはS50によりセンサA入力カウンタがさらに「1」歩進されるのであり、このセンサA入力カウンタのカウント値が入賞判定値に達するまでこのS49,S50の処理が繰返される。そしてセンサA入力カウンタのカウント値が入賞判定値に達した場合にS52に進み、賞球データ出力フラグがセットされ、賞球データを「5」にセットし、賞球データ出力カウンタをクリアする処理が行なわれる。一方、遊技場のノイズ等に起因したノイズ信号が入賞玉センサAから入賞情報入力回路853までのライン上から入力される場合があるが、そのノイズ信号はパルス幅がほとんどゼロに近い一瞬発生する信号であるために、たとえそのノイズ信号に起因してS49によりYESの判断がなされたとしても、次回のこのサブルーチンプログラムの実行時にはそのノイズ信号が消えているためにS49によりNOの判断がなされることになるのであり、ノイズ信号に起因してセンサA入力カウンタのカウント値が入賞判定値に達することなく、ノイズ信号に基づいて誤ってS52の処理が行なわれてしまう不都合が防止できる。このノイズ対策はセンサBについても同じように施されている。すなわち、センサA情報入力がなかった場合にはS53によりセンサA入力カウンタがクリアされ、次にS54によりセンサB情報入力があったか否かの判断がなされ、ある場合にはセンサAの場合と同様にS55によりセンサB入力カウンタが「1」歩進され、S56によりそのセンサB入力カウンタのカウント値が入賞判定値に達したか否かの判断がなされ、達した場合にのみS57の処理がなされるのである。また、センサB情報入力がなかった場合にはS58よりセンサB入力カウンタがクリアされる。
【0054】
S52またはS57により賞球データ出力フラグがセットされた場合には、次回のこのサブルーチンプログラムの実行に際してS48によりYESの判断がなされてS59に進み、賞球データ(S52の場合には「5」,S57の場合には「15」)がゲーム制御用基板から払出集中制御基板側に出力される。またS59により出力カウンタが「1」歩進されてS60によりその出力カウンタのカウント値が最大値に達したか否かの判断が行なわれ、最大値に達していない場合には次回のサブルーチンプログラムの実行に際して再度S59により賞球データ出力処理と出力カウンタを「1」歩進する処理がなされる。そして出力カウンタのカウント値が最大値に達するまでこのS59の処理が繰返し行なわれ、最大値に達した段階でS61に進み、賞球データ出力フラグがクリアされる。このように、賞球データ出力フラグがセットされた場合には、出力カウンタが最大値に達するまで賞球データがゲーム制御用基板から払出集中制御基板に出力され続けることとなり、払出集中制御基板では、出力カウンタが最大値に達するまでの所定時間継続して入力された賞球データに基づいてその賞球データに相当する個数の景品玉の払出制御を行なう。
【0055】
前記S47により接続エラーフラグがセットされた場合には、前述したS9により接続エラー有りと判定されてS10のプロセス処理が行なわれない制御状態となる。その結果、図17ないし図31の遊技状態の制御が一切行なわれない状態となり、パチンコ遊技機60の遊技が不能動化される。このS9,S41ないしS47により、前記記録媒体処理装置と前記遊技機との間で情報の伝達を行なうことができない伝達不能状態となった場合に前記遊技機による遊技を不能動化する遊技不能動化手段が構成されている。また、一旦接続エラーフラグがセットされた場合であっても、カード処理機62とパチンコ遊技機60との電気的な接続が復旧した場合にはS42によりYESの判断がなされてS43により接続エラーフラグがクリアされることになるために、前記S9により接続エラーがないとの判断が行なわれることになり、10カウントエラーおよびドラムエラーもなかった場合にはS10に制御が進み、プロセス処理が再開される。その際には、S9によりエラー有りと判断される直前に実行されていたプロセスフラグの値が記憶保持されているために、その記憶保持されているプロセスフラグに対応する遊技制御状態に復帰し、その遊技制御状態から再度遊技が再開されることになる。その結果、前記不能動化手段は、前記遊技制御手段による遊技制御を中断する遊技中断手段を含み、前記記録媒体処理装置と前記遊技機とが非接続状態から接続状態に復帰した場合に中断時点の遊技制御状態に復帰させる機能を有する。記録媒体処理装置と遊技機とが前記伝達状態となれば、玉貸動作が行なわれなくなるのであり、たとえば、大当りが発生して多くの打玉を入賞させようとしているときにたまたま遊技者の持玉が残り少なかった場合に、玉貸が行なえないという不都合が生じる。
【0056】
次に、図11に基づいてスイッチ入力処理のサブルーチンを説明する。S62によりスイッチポート入力処理が行なわれる。この処理において、スイッチ・センサ入力回路109(図5参照)を介して各種検出器の検出信号が基本回路64に入力される。次にS63により、10カウントスイッチエラーチェックの処理が行なわれ、S64により、Vスイッチエラーチェック処理が行なわれる。この10カウントスイッチエラーチェックは、10カウント検出スイッチ8(図1参照)からの検出信号が所定時間(たとえば2.9秒)継続して導出された場合にエラーとなる。同様にして、Vスイッチエラーチェックも、特定入賞玉検出スイッチ7(図1参照)の検出出力が所定時間(たとえば2.9秒)継続して導出された場合にエラーとなる。次にS65により、10カウントエラー,ドラムエラー,接続エラーがあるか否かの判断がなされ、ある場合にはそのままサブルーチンプログラムが終了する。このS65や前記S9によりエラーがあると判定された場合には、アラームフラグがセットされて警報表示や警報音が発生される(図示省略)。
【0057】
S65によりエラーがないと判断された場合にはS66に進み、始動入賞玉検出スイッチがONになっているか否かの判断が行なわれる。この始動入賞玉検出スイッチは、本実施の形態においては、図1に示した始動入賞玉検出スイッチ2a,2b,2cの3つのスイッチがあり、その3つの始動入賞玉検出スイッチのうち或る1つの始動入賞玉検出スイッチをまずチェックし、そのチェックが終了した段階で他の入賞玉検出スイッチのチェックを行ない、それが終了した段階でさらに他の入賞玉検出スイッチのチェックを行なう。まず、始動入賞玉検出スイッチ2aのチェックが行なわれている状態を説明する。始動入賞口1aにパチンコ玉が入賞していない状態では始動入賞玉検出スイッチ2aからの検出信号が導出されないために、S66によりNOの判断がなされてS67に進み、対応するONカウンタすなわち始動入賞玉検出スイッチ2aに対応するONカウンタがクリアされてS71に進む。このONカウンタとは、このスイッチ入力のサブルーチンプログラムが2msec毎に実行されてS66により続けてYESの判断がなされた場合に「1」ずつカウントアップされるものである。パチンコ玉が始動入賞口1a内に入賞して始動入賞玉検出スイッチ2aにより検出されれば、所定のパルス幅を有する検出パルスが導出され、そのパルス幅に相当する回数だけS66によりYESの判断がなされ、そのたびにONカウンタがカウントアップされる。そのONカウンタの値が所定値(たとえば「3」)に達すればS68によりYESの判断がなされ、始動入賞玉が検出された旨の判定が行なわれる。一方、ノイズに起因して始動入賞玉検出スイッチ2aが誤検出した場合に、瞬間的に検出信号が導出されてS66によりYESの判断が行なわれたとしても、次回のこのスイッチ入力サブルーチンプログラムの実行に際しては始動入賞玉検出スイッチ2aからの検出パルスは既に立下がっているためにS67に進み、ONカウンタがクリアされることになり、ONカウンタが所定値(たとえば「3」)になることがなく、S68によりNOの判断がなされることになり、ノイズに起因した始動入賞玉の誤判定を防止できるように構成されている。
【0058】
S68によりYESの判断がなされた場合にはS69に進み、始動入賞記憶が最大になっているか否かの判断が行なわれる。この始動入賞記憶の上限はたとえば「4」に定められており、未だに達していない場合にはまだ余裕があるためにS70に進み、始動記憶数と始動入賞数とをそれぞれ「1」歩進してS71に進む。一方、始動記憶数が既に最大(たとえば4)に達している場合にはそれ以上記憶できないためにS69によりYESの判断がなされてS70による歩進処理を行なうことなくS71に進む。S71では、すべての始動チェックが終了したか否かの判断が行なわれ、終了している場合にはそのままサブルーチンプログラムが終了するが、未だに終了していない場合にはS66に進み、終了していない始動入賞玉検出スイッチすなわち始動入賞玉検出スイッチ2b(図1参照)のチェックが行なわれる。この始動入賞玉検出スイッチ2bのチェックも前述した始動入賞玉検出スイッチ2aのチェックと同様に行なわれ、このチェックが終了した段階で次に始動入賞玉検出スイッチ2cのチェックが同様の方法で行なわれる。
【0059】
次に、図12に基づいてドラムランプデータセットのサブルーチンを説明する。
【0060】
まずS72により、10カウントエラー,ドラムエラー,接続エラーがあったか否かの判断がなされ、あった場合にはS74に進み、アラーム時データのセットが行なわれるとともにソレノイドをOFFにするためのデータのセットが行なわれる。これらセットされたデータは前記S18により出力され、スピーカ15からアラーム音が発せられるとともにソレノイド5(図1参照)の励磁が解除されて可変入賞球装置3が閉成されて遊技者にとって不利な第2の状態に切換わる。
【0061】
一方、S72によりエラー無しとの判断がなされた場合にはS73に進み、プロセスフラグの値に応じ対応するアドレスのドラムランプ制御データがセットされる。このセットされたドラムランプ制御データがS18により出力され、ドラムランプ25a〜25gが図33に基づいて後述するように点灯制御される。
【0062】
次に図13に基づいて飾りLED・ランプデータセットのサブルーチンプログラムを説明する。
【0063】
まずS75により、10カウントエラー,ドラムエラー,接続エラーがあるか否かの判断がなされ、ある場合にはS77によりアラーム時データセットとソレノイドOFFデータセットがなされる。エラー無しとの判断がなされた場合にはS76に進み、プロセスフラグの値に応じ、対応するアドレスのLED・ランプ制御データがセットされ、そのセットされたデータがS18により出力されて各種LEDやランプが後述する図33で示すように制御される。
【0064】
次に図14に基づいて、ランダム1カウンタ,ランダム2カウンタ,ランダム4カウンタの更新処理のサブルーチンプログラムを説明する。
【0065】
まずS78によりランダム4カウンタが「1」歩進され、その歩進結果が、最大値より大きいか否かの判断がS74により行なわれる。ランダム4カウンタは、0〜2の範囲内でカウントアップされるものであり、最大値すなわち「2」より大きくないと判断された場合にはS82に進むが、最大値より大きいと判断された場合にはS80によりランダム4カウンタの値を「0」に更新した後にS81に進む。S81では、ランダム1カウンタの値に「1」加算する処理が行なわれ、S82によりそのカウント値が最大値より大きいか否かの判断が行なわれる。このランダム1カウンタは、前述したように、確率の設定状態や低確率時あるいは高確率時でカウントアップする範囲が異なるのであり、それぞれの状態に応じて前述したカウントアップの最大値より大きくない場合にはそのままサブルーチンプログラムが終了するが、最大値より大きいと判断された場合にはS83に進み、ランダム2カウンタを「1」歩進する処理がなされ、S84により最大値より大きいか否かの判断がなされる。このランダム2カウンタのカウントアップの範囲は前述したように0〜49の範囲であり、その最大値である49より大きい場合にはS85によりランダム2カウンタのカウント値を「0」に更新した後S86に進む。またランダム2カウンタの値が最大値より大きくないと判断された場合には直接S86に進む。S86では、ランダム1カウンタの値を「0」に更新する。
【0066】
次に、図15に基づいて入賞記憶エリア格納処理のサブルーチンプログラムを説明する。S87により、始動入賞数が「0」であるか否かの判断が行なわれる。この始動入賞数とは、前記S70により「1」ずつ加算され、後述するS89により「1」ずつ減算されるものである。始動入賞数が「0」の場合にはそのままサブルーチンプログラムが終了するが、「0」でない場合にはS88に進み、ランダム1カウンタおよびランダム2カウンタの値を入賞記憶エリアの対応するエリアに格納する処理が行なわれ、S89により始動入賞数が「1」減算されて再びS87に戻り、始動入賞数が「0」になるまでS87〜S89の処理が繰返される。なお、始動入賞数は、すべての始動入賞玉検出スイッチが同時にON判定されても最大「3」であるため、最大でも3回繰返せば処理が終了する。
【0067】
この「入賞記憶エリアの対応するエリア」とは、始動入賞数が1〜4の4つあり、それぞれの始動入賞数にランダム1カウンタの値とランダム2カウンタの値とを格納するために、4×2=8の8個のエリアが確保されている。
【0068】
次に、図16に基づいてランダム1カウンタ,ランダム2カウンタ,ランダム3カウンタ,ランダム5カウンタの更新処理のサブルーチンプログラムを説明する。
【0069】
S90によりランダム1カウンタとランダム2カウンタとの更新処理が行なわれる。この更新処理の具体的内容は前記S81ないしS86に示されている。次にS91に進み、ランダム3カウンタの下位の桁を「1」歩進する処理が行なわれ、S92に進み、そのランダム3カウンタの下位の桁が最大値より大きいか否かの判断が行なわれる。ランダム3カウンタの下位の桁が最大値より大きくなければS100に進むが、大きい場合にはS93に進み、ランダム3カウンタの中位の桁を「1」歩進する処理が行なわれる。次にS94により、ランダム3カウンタの中位の桁が最大値より大きいか否かの判断が行なわれ、大きくなければS99に進みランダム3カウンタの下位の桁を「0」に更新する処理が行なわれる。これにより、ランダム3カウンタの下位の桁が最大値に達した場合にはそのランダム3カウンタの下位の桁を「0」にするとともにその1つ上の位の中位の桁を「1」歩進して桁上げ処理がなされるのである。S94によりランダム3カウンタの中位の桁が最大値より大きいと判断された場合にはS95に進み、ランダム3カウンタの上位の桁に対し「11」を加算する処理が行なわれる。そしてS96により、その上位の桁が最大値より大きいか否かの判断がなされ、大きくなければS98に進み、ランダム3カウンタの中位の桁を「0」に更新するとともに、S99によりランダム3カウンタの下位桁をも「0」に更新する。一方、ランダム3カウンタの上位の桁が最大値より大きいと判断された場合にはS97に進み、ランダム3カウンタの上位桁からその最大値を減算した後にS98以降の処理が行なわれる。この制御により、ランダム3カウンタは0から5831までの範囲で更新される。
【0070】
次にS100に進み、ランダム5カウンタを「1」歩進する処理が行なわれ、S101によりそのランダム5カウンタの値が最大値より大きいか否かの判断が行なわれる。このランダム5カウンタは前述したように0〜99の範囲でカウントアップするものであり、最大値すなわち99より大きくなければそのままサブルーチンが終了するが、大きい場合にはS102に進み、ランダム5カウンタが「0」に更新される。
【0071】
次に、図17に基づいて通常処理サブルーチンプログラムを説明する。
S103により入賞記憶があるか否かの判断が行なわれ、入賞記憶エリア(S88参照)に入賞記憶がない場合にはS104に進み、1次抽選フラグを「はずれ」にセットしてサブルーチンプログラムが終了する。一方、入賞記憶がある場合にはS105に進み、入賞記憶エリア1のランダム1カウンタの値と現時点でのランダム1カウンタの値とを加算する処理が行なわれる。次にS106に進み、判定データを「1」にセットするとともに判定回数を「1」にセットする処理が行なわれる。次にS107により、確率モードが高確率状態であるか否かの判断がなされる。この高確率状態とは、図4で説明した確率向上図柄が所定の当りライン上に揃って大当りが発生した結果、その後大当りが発生する確率が向上した状態のことである。高確率状態でない場合にはS108に進み、S105による加算結果がS106の判定データ「1」と一致するか否かの判断がなされ、一致しない場合にはS119に進み、1次抽選フラグが「はずれ」にセットされる。一方、加算結果が判定データと一致すると判断された場合にはS118に進み、1次抽選フラグが「当り」にセットされる。
【0072】
一方、確率モードが高確率状態になっている場合にはS109に進み、加算結果が判定データすなわち「1」と一致するか否かの判断がなされ、一致する場合にはS118により1次抽選フラグが「当り」にセットされるが、一致しない場合にはS110に進む。S110では、判定回数(S106参照)を「1」歩進する処理がなされ、次にS111に進み、その判定回数が「6」に達したか否かの判断がなされ、達していない場合にはS112により、判定データを「1」歩進した後S119の判定を再度行なう。この段階では、判定データは「2」となっているために、S105の加算結果が「2」と一致するか否かの判断がなされ、一致すれば1次抽選フラグが「当り」にセットされる。このS109ないしS112の処理が繰返し実行されて判定回数が「5」になるまで繰返され、S105による加算結果が1〜5でなかった場合にS113に進む。
【0073】
S113では、判定データを「18」にセットし、S114により、S105の加算結果がその判定データすなわち「18」と一致するか否かの判断が行なわれ、一致すればS118による「当り」のセットがなされる。一致しなければS115により判定回数を「1」歩進し、S116により、その判定回数が「11」に達したか否かの判断が行なわれ、達していない場合にはS117に進み、判定データを「1」歩進して再度S114の判定を行なう。この段階では、判定データが「19」になっているために、S105の加算結果が「19」と一致するか否かの判断が行なわれ、一致した場合にはS118による「当り」のセットがなされる。このS114ないしS117の処理が判定回数が「11」に達するまで繰返し行なわれる。その結果、S105の加算結果が18ないし22の範囲内に該当しない場合にはS116によりYESの判断がなされてS119に進み、1次抽選フラグが「はずれ」にセットされる。そしてS120に進み、プロセスフラグが「1」にセットされる。その結果、次回のプログラムの実行に際してはS23により示されたランダム2チェック処理のサブルーチンプログラムが実行される。なお、S105による加算結果が、まず1〜5の範囲内に存在するか否かを判定して存在しない場合には加算結果が18〜22の範囲内に存在するか否かの判断がなされ、その判断結果に基づいて1次抽選の当りはずれを決定するようにし、加算結果の比較対象を1〜5,18〜22のようにばらけさせたために、1次抽選の当りはずれの判定結果が偏らないという利点が生ずる。
【0074】
次に、図18に基づいてランダム2チェック処理のサブルーチンプログラムを説明する。
【0075】
まずS121により1次抽選フラグが「当り」になっているか否かの判断がなされ、なっていない場合にはS130に進む。一方、「当り」になっている場合にはS122に進み、入賞記憶エリアのエリア1(S88参照)に格納されているランダム2カウンタの値を取出す処理が行なわれる。次にS123に進み、判定データを「2」にセットするとともに判定回数を「1」にセットする処理がなされ、S124に進む。S124では、S122により取出したランダム2カウンタの値が判定データすなわち「1」と一致するか否かの判断がなされ、一致する場合にはS128に進み、ランダムカウンタの値に従って決定される当りライン上にS122により取出した値により決定される当り図柄がそろうように大当り図柄番号をセットするとともに、プロセスフラグを「2」にセットする処理が行なわれる。これにより、セットされた大当り図柄番号に相当する大当り図柄で停止するように可変表示装置が制御されて大当りが発生する。S78ないしS86,S128により、前記複数本の組合せ有効列の中から特定の識別情報の組合せを成立させる組合せ有効列を決定する組合せ有効列決定手段が構成されている。
【0076】
一方、S124により、取出し値が判定データと一致しない場合にはS125に進み、判定回数を「1」歩進し、S126に進み、判定回数が「10」に達したか否かの判断が行なわれる。この段階では、判定回数は「2」であるために、S127に進み、判定データに「5」を加算する処理がなさて再びS124の判断が行なわれる。この段階では、判定データは「7」となっているために、S122で取出されたランダム2カウンタの値が「7」と一致するか否かの判断がなされ、一致した場合にはS128の処理がなされて大当りの発生制御が行なわれる。一致しない場合にはS125により再び判定回数を「1」歩進する処理がなされ、S126によりその判定回数が「10」に達したか否かの判断がなされる。そして判定回数が「10」に達するまでS124ないしS127の処理が繰返し実行される。その結果、Nを1ないし9の整数と定義した場合に、S122で取出されたランダム2カウンタの値が、2+5(N-1)と一致する場合にはS128に進んで大当りを発生させるための制御が行なわれ、それ以外の場合にはS129に進み、1次抽選フラグが「はずれ」にセットされ、大当りを発生させるための制御は行なわれない。ランダム2カウンタの値を前記2+5(N-1)のようなとびとびの数値と比較するようにしたため、2次抽選の結果に偏りが生じない利点がある。1次抽選フラグが「はずれ」にセットされた場合にはS130によりプロセスフラグが「3」にセットされる。次にS131に進み、始動記憶数が「1」減算され、S132により、入賞記憶エリアをシフトする処理が行なわれる。たとえば、エリア1に記憶されているデータを消去してその代わりにエリア2に記憶されていたデータをエリア1にシフトして記憶し、エリア3に記憶されていたデータをエリア2にシフトして記憶し、エリア4に記憶されていたデータをエリア3にシフトして記憶する等のように1つずつ記憶エリアをシフトさせる。
【0077】
前述したように、ランダム1カウンタの値に基づいた1次抽選は、低確率時においては、ランダム1カウンタの値が「1」のときにのみ当りと決定される。その結果、低確率時においては、確率の設定が設定1の場合には、ランダム1カウンタが0〜41の範囲をカウントアップするために、当り確率が1/42となる。設定2の場合には、ランダム1カウンタが0〜44の範囲をカウントアップするために、当り確率が1/45となる。設定3の場合にはランダム1カウンタが0〜49の範囲をカウントアップするために、当り確率が1/50となる。次に、高確率状態になっている場合には、ランダム1カウンタの値が1〜5の範囲または18〜22の範囲に存在する場合に当りと決定される。その結果、設定1の場合には、ランダム1カウンタが0〜44の範囲をカウントアップするために当り確率が10/45となり、設定2の場合には、ランダム1カウンタが0〜44の範囲をカウントアップするために、当り確率が10/45となり、設定3の場合には、ランダム1カウンタが0〜49の範囲をカウントアップするために、当り確率が10/50となる。
【0078】
一方、ランダム2カウンタの値に基づいた2次抽選の場合には、ランダム2カウンタの値が、2,7,12,17,22,27,32,37,42の場合に当りとなる。その結果、ランダム2カウンタが0〜49の範囲をカウントアップするものであるために、当り確率は9/50となる。
【0079】
以上により、1次抽選および2次抽選共に当りと決定されて大当りが発生する大当り確率は、以下のようになる。
【0080】
設定1の場合
低確率時は、1/42×9/50□1/233.3 高確率の場合1/25
低確率時と高確率時の平均は、1/{233.3×(1-1/6.75)+25×1/6.75}□1/202.5
設定2の場合
低確率時においては、1/45×9/50=1/250 高確率時の場合1/25
低確率時と高確率時の平均は、1/{250×(1-1/6.75)+25×1/6.75}□1/216.7
設定3の場合
低確率時においては、1/50×9/50□1/277.8 高確率時の場合1/27.78
低確率時と高確率時の平均は、1/{277.8×(1-1/6.75)+27.78×1/6.75}□1/240.7
となる。
【0081】
前記S128により大当り図柄番号がセットされて大当りが発生するように制御された場合には、プロセスフラグが「2」にセットされているために、次回のプログラムの実行に際してはS24による大当り図柄セットが行なわれることとなる。
【0082】
次に、図19に基づいて、大当り図柄セット処理のサブルーチンプログラムを説明する。S133において、前記S128に基づいてセットされた大当り図柄番号(大当りとなる図柄の組合せの番号、本実施の形態では27通り)に相当する大当り図柄(左,右,中それぞれ対応する図柄番号、図4参照)がセットされる。次にS134に進み、当り列ランプデータのセット,大当りフラグをリーチ、大当りにセットする処理,回転増カウンタを「2」にセットする処理がなされ、S135によりプロセスフラグが「4」にセットされる。この回転増カウンタとは、大当り図柄の組合せで停止するように可変表示装置を表示制御する際に、はずれ図柄で停止するように制御する場合に比べてドラムを通常より多めに回転させるためのものである。また、当り列ランプデータとは、ランダム4カウンタのカウント値に基づいていずれの当りライン上に当り図柄の組合せを成立させるかが決定されたその当りラインをドラムランプ25a〜25gの点灯により表示させるためのデータであり、このデータに基づいて当りライン上に位置するドラムランプが点灯または点滅表示され、当りラインが表示される。前記S78ないしS135により、前記複数の可変表示部の停止時の表示結果に関する内容を事前に決定する事前決定手段が構成される。なお、2次抽選の段階で当りと決定された場合に、たとえばランダム2カウンタ等の1つのランダムカウンタのカウント値を利用して2次抽選の当り外れ決定や当り図柄の決定とさらには当りラインの決定とをしようとすると、当り個数を増やす関係上そのランダムカウンタの最大値を大きくしなければならず、ランダムカウンタのカウントアップの周期が長くなってしまうという不都合が生ずるのである。その結果、前回の当りに相当する乱数値がピックアップされるタイミングから今回当りに相当する乱数値がピックアップされるタイミングまでの時間が長くなり、遊技者がその当り乱数がピックアップされる周期を察知して当り乱数がピックアップされるときのみ打球発射操作を行なうようになり、稼動率が低下する不都合が生じる。ところが、本実施の形態のように当り図柄と当りラインとの決定を別々のカウンタを利用して決定する場合には、このような不都合が生じない。
【0083】
次に、前記S129により1次抽選フラグの結果「はずれ」と決定された場合には、S130によりプロセスフラグが「3」にセットされるために、次回のプログラムの実行に際してはS25のはずれ図柄セット処理が行なわれる。
【0084】
次に、図20に基づいて、はずれ図柄セットのサブルーチンプログラムを説明する。S136により、ランダム3カウンタのカウント値の基づきはずれ図柄がセットされ、S137により左図柄と右図柄とが一致するか否かの判断が行なわれる。一致しない場合にはS141によりプロセスフラグを「4」にセットする処理がなされる。一方、左=右である場合にはS138に進み、当り列ランプデータがセットされ、大当りフラグをリーチにセットする処理がなされ、さらに回転増カウンタを「2」にセットする処理がなされる。つまり、S136によりセットされた図柄が左と右とで同じ図柄である場合には、左ドラムと右ドラムとが停止した段階で、あと1つの中ドラムが左,右と同じ図柄で停止すれば大当りが発生するといういわゆるリーチ状態が発生する。その場合に、そのリーチが成立している当り列を表示するために当り列ランプデータがセットされ、さらに回転増カウンタを「2」にセットして通常より多めにドラムを回転制御して遊技者の期待感を盛り上げるように制御されるである。次にS139に進み、左図柄と中図柄と右図柄とが偶然一致した場合には、S140により中図柄に「1」加算して強制的に中図柄を別の図柄にずらして大当りが発生しないように制御されるのである。すなわち、1次抽選と2次抽選の結果はずれである旨が決定されたにもかかわらず偶然左図柄と中図柄と右図柄とが一致して大当りが発生したのでは、事前決定内容と実際に停止した可変表示装置の停止内容とが食い違ってくるために、S140により強制的にはずれに制御するのである。次にS141に進み、プロセスフラグが「4」にセットされる。
【0085】
プログラムの次回の実行に際しては、プロセスフラグが「4」にセットされているために、S26のドラム回転スタートの処理が行なわれることになる。
【0086】
図21に基づいて、ドラム回転スタート処理のサブルーチンプログラムを説明する。
S142において、左・中・右モータ制御フラグに、加速/減速を表わす値がセットされる。続いてS143において、左・中・右ドラム制御アドレステーブルの先頭がセットされる。さらにS144において、定速送り図柄数として左図柄に「1」、右図柄に「6」、中図柄に「11」がそれぞれセットされる。これにより、リーチにならない場合には、ドラム制御テーブル(18種類)が終了した時点で、左ドラムが停止図柄の1図柄手前の図柄を、右ドラムは停止図柄の6図柄手前の図柄を、中ドラムは停止図柄の11図柄手前の図柄をそれぞれ中央ラインに表示していることになる。続いてS145においてドラム制御テーブルアドレスが選択され、ソフトウェア上に用意された各モータ制御エリアにセットされ、1ステップタイマ、ステップ数データが同じく各モータ制御エリアにセットされる。次にS146に進み、プロセスフラグが「5」にセットされる。その結果、次回の処理ではS27のドラム回転の処理が行なわれる。
【0087】
図22は、S27に示すドラム回転処理のサブルーチーンプログラムである。S147により、ステッピングモータ35a〜35cのコントロール処理が行なわれる。このステッピングモータのコントロール処理は、後述する左・中・右モータ制御フラグの値に応じて、ステッピングモータ35a〜35cを加速/減速させたり、定速で回転させたりするためのものであり、その詳細は後述する。S147により、前記可変表示部を可変表示させた後停止制御可能な可変表示制御手段が構成されている。次にS148に進み、大当りフラグが「リーチ」にセットされているか否かの判断が行なわれる。大当りフラグが前記S134またはS138により「リーチ」にセットされている場合にはS149に進み、プロセスフラグが「6」にセットされた後にS150に進む。一方、大当りフラグが「リーチ」にセットされていない場合にはS150に進む。
【0088】
S150では、全ドラムが停止したか否かの判断が行なわれ、全ドラムが停止した段階でS151に進み、S151では、大当りフラグが「大当り」になっているか否かの判断がなされ、「大当り」になっていない場合にはS154に進むが、「大当り」になっている場合にはS153に進み、停止図柄が確率向上図柄(図4の説明参照)か否かの判断がなされ、確率向上図柄でない場合にはS155に進むが、確率向上図柄の場合にはS154により確率向上フラグをセットした後にS155に進む。S155では、確率モードを低確率に切換え、ランダム5カウンタの値に基づいてラッキーナンバー用停止図柄をセットし、プロセスフラグを「8」にセットし、プロセスタイマに初回開放前時間をセットする処理が行なわれ、サブルーチンが終了する。この初回開放前時間は約4秒程度の時間であり、このセットされた初回開放前時間の間後述するS156によりNOの判断がなされてその間ドラムが停止した状態を保つとともに可変入賞球装置4を第1の状態に駆動制御するための制御が遅延される。一方、S152においてプロセスフラグを「7」にセットし、プロセスタイマにはずれ遅延時間をセットする処理が行なわれてサブルーチンが終了する。このはずれ遅延時間は約1秒程度の時間であり、このセットされた遅延時間の間後述するS156によりNOの判断がなされて全ドラムが停止状態に保持され、その間遊技者にはずれであることの確認をさせることができる。
【0089】
S155によってセットされるラッキーナンバー用停止図柄は、0〜9の10種類あり、ランダム5カウンタのカウント値に基づいてそれぞれのラッキーナンバー用停止図柄が決定される。たとえば、0が決定される確率は10/100、1が決定される確率は16/100、2が決定される確率は6/100、3が決定される確率は10/100、4が決定される確率は4/100、5が決定される確率は10/100、6が決定される確率は8/100、7が決定される確率は10/100、8が決定される確率は14/100、9が決定される確率は12/100となる。前記S142ないしS155により、前記複数の可変表示部を可変開始させた後停止制御する可変表示制御手段が構成されている。
【0090】
次に、プロセスフラグが「7」または「8」にセットされている場合にはS28の大当りチェックの処理が行なわれる。
【0091】
図23は、S28の大当りチェック処理のサブルーチンプログラムを示すフローチャートである。S156により、プロセスタイマが終了したか否かの判断が行なわれ、終了していなければS157に進み、プロセスフラグ「8」か否かの判断が行なわれ、「8」すなわち大当りの場合にはS158によりラッキーナンバー用図柄の回転が開始されて7セグメント表示器11の可変表示が開始される。一方、プロセスタイマが終了すればS159に進み、ステッピングモータをOFFにするための出力データがセットされ、このセットされたデータがS8により出力されることによりステッピングモータ35a〜35cがOFFになる。次にS160に進み、大当りフラグが「大当り」になっているか否かの判断が行なわれ、「大当り」になっていない場合にはS161に進み、プロセスフラグが「0」にセットされて再び前記S22の通常処理が開始される。一方、大当りフラグが「大当り」になっている場合にはS162に進み、7セグメント表示器11により表示する表示図柄をS155で決定されたラッキーナンバー用停止図柄にセットし、V入賞フラグがクリアされ、プロセスフラグが「9」にセットされ、プロセスタイマに開放時間(30秒)がセットされ、開放回数カウンタを「1」にする処理が行なわれる。このV入賞フラグは、パチンコ玉が特定入賞領域6に入賞して特定入賞玉検出スイッチ7により検出された場合にセットされるものであり、このV入賞フラグがセットされている場合には、可変入賞球装置の第1の状態が終了した後再度可変入賞球装置を第1の状態に駆動制御する繰返し継続制御が行なわれる。この繰返し継続制御の回数が開放回数カウンタによりカウントアップされ、そのカウント値が所定値(たとえば「16」)に達した段階でそれ以上の繰返し継続制御が行なわれないように制御される。さらに、このS162により、プロセスタイマに開放時間(30秒)がセットされるために、ソレノイド5が最大30秒間励磁されて可変入賞球装置3の開閉板4が最大30秒間開成状態となるが、その間に所定個数(たとえば10個)のパチンコ玉が可変入賞球装置内に入賞して10カウント検出スイッチ8あるいは特定入賞玉検出スイッチ7により検出されれば、その時点でソレノイド5の励磁が停止されて開閉板4が閉成する。
【0092】
次に、S162によりプロセスフラグが「9」にセットされているために、次回のプログラムの実行に際してはS29の開放中処理が行なわれる。次に、図24により開放中処理のサブルーチンプログラムを説明する。まずS163により、大当り情報とソレノイドをONにするための出力がセットされる。このセットされた大当り情報は出力線71からホール用管理コンピュータに出力される。また、ソレノイドON出力がセットされ、それに基づいてソレノイド5が励磁されて可変入賞球装置3が第1の状態に駆動される。次にS164により、Vスイッチ,10カウントスイッチのチェック処理が行なわれ、S165により、入賞個数が最大になっているか否かの判断がなされ、最大(たとえば10個)になっている場合にはS167に進み、プロセスフラグを「11」にセットするとともに、プロセスタイマにV受付時間(たとえば2秒)がセットされる。このプロセスフラグに「11」がセットされることにより、次回のプログラムの実行に際して制御がS30の開放後制御に移行し、S168の処理により可変入賞球装置が第2の状態に制御される。一方、入賞個数が最大(たとえば10個)に達していない場合であっても、プロセスタイマ(S162参照)が終了した場合にはS166によりYESの判断がなされてS167に進み、可変入賞球装置が第2の状態に変換される。
【0093】
次に、S167によりプロセスフラグが「11」になっているために、次回のプログラムの実行に際してはS30の開放後制御が行なわれる。
【0094】
次に、図25に基づいて、開放後処理のサブルーチンプログラムを説明する。S168により、ソレノイドをOFFにするための出力がセットされ、その結果、ソレノイド5(図1参照)の励磁が終了されて可変入賞球装置3が閉成して第2の状態となる。次にS169に進み、Vスイッチ,10カウントスイッチのチェックが行なわれる。次にS170に進み、プロセスタイマが終了したか否かの判断が行なわれる。このプロセスタイマは、S167によりセットされたV受付時間である。このV受付時間とは、可変入賞球装置が閉成する間際にその可変入賞球装置内に進入したパチンコ玉が特定入賞領域(Vポケット)に入賞した場合に、その特定入賞玉を有効なものとして検出するための待ち時間である。このV受付時間が終了していない場合にはS170によりNOの判断がなされてサブルーチンプログラムが終了する。一方、V受付時間が終了した場合にはS171に進み、V入賞フラグがセットされているか否かの判断が行なわれる。このV入賞フラグは、可変入賞球装置3内に進入したパチンコ玉が特定入賞口(Vポケット)に入賞したことに基づいて後述するS197によりセットされ、後述するS179によりクリアされるものである。そしてV入賞フラグがセットされている場合にはS172に進み、開放回数が最大であるか否かの判断がなされる。この開放回数は可変入賞球装置を再度第1の状態に繰返し継続制御できる繰返し継続制御の上限回数のことであり、最大に達していない場合にはS173に進み、プロセスフラグが「9」にセットされ、プロセスタイマに開放時間がセットされ、開放回数カウンタが「1」歩進される。プロセスフラグが再度「9」にセットされるために、次回のプログラムの実行に際してはS29の開放中処理が行なわれることとなり、可変入賞球装置が再度第1の状態に繰返し継続制御される。そして、この繰返し継続制御の回数が上限に達した場合にはS172によりYESの判断がなされてS174に進む。一方、可変入賞球装置が第1の状態となっているときに、可変入賞球装置内に進入したパチンコ玉が1つも特定入賞口(Vポケット)に入賞しなかった場合には、S171によりNOの判断がなされてS174に進む。
【0095】
S174では、開放回数カウンタがクリアされ、大当り情報OFF出力がセットされ、1次抽選フラグがクリアされ、プロセスフラグが「0」にセットされる。そして、プロセスフラグが「0」にセットされることにより、次回のプログラム実行に際してはS21による通常処理が行なわれることとなり、この段階で大当り制御が終了する。次にS175に進み、確率向上フラグがセットされているか否かの判断が行なわれる。この確率向上フラグは前記S154によりセットされるものである。確率向上フラグがセットされていない場合には直接S177に進むが、確率向上フラグがセットされている場合にはS176に進み、確率モードを高確率状態にするとともに、確率向上フラグがクリアされ、その後S177に進む。そして、この確率モードが高確率状態にセットされたことにより、ランダム1カウンタのカウントアップする範囲が前述したように変更される(設定1の場合)とともに、前記S107によりYESの判断がなされ、次回の可変表示装置の可変制御の際に停止時の表示結果が特定の識別情報の組合せとなる確率が向上するように制御される。このS107〜117,S153,S154,S175,S176により、前記可変表示装置の表示結果が予め定められた特別の識別情報となった場合に、前記可変表示装置の表示結果が特定の識別情報となる確率を変動させる確率変動手段が構成されている。
【0096】
次に、S177により、入賞個数が「0」であるか否かの判断がなされる。そして、可変入賞球装置が第1の状態となっている最中にパチンコ玉が1つも可変入賞球装置内に入賞しなかった場合にはS177によりYESの判断がなされて、S178により10カウントエラーのセットがなされる。これは、大当りが発生して可変入賞球装置が第1の状態となっている最中にパチンコ玉が1個もその可変入賞球装置内に入賞しないことは通常考えられず、その場合には、10カウント検出スイッチの断線またはショート等の故障あるいはその10カウントスイッチが引き抜かれている等の異常事態が想定され、その場合に10カウントエラーセットがなされるのである。次にS179に進み、入賞個数がクリアされ、V入賞フラグがクリアされてサブルーチンプログラムが終了する。
【0097】
図26は、図23に示したプログラムにより可変表示の準備が終了した後、実際に何図柄ステッピングモータを回転させて図柄を送ればよいかを演算するためのプログラムを示すフローチャートであり、図21のS145の詳細を示す。
【0098】
S180において、左移動図柄数の演算処理が行なわれる。この移動図柄数は、S133またはS136によって定められた停止図柄ナンバーから、現在表示されている図柄ナンバーとS144によって定められた定速送り図柄数との和を引くことによって求められる。後述するS182、S185において行なわれる右移動図柄数演算および中移動図柄数演算も同様に行なわれる。続いてS181において、S180の演算により求められた移動図柄数に基づきアドレス計算が行なわれ、ドラム制御テーブルアドレスを選択して各モータ制御エリアにセットする処理が行なわれる。続いてS184において大当りフラグがリーチを表わす値であるか否かの判断が行なわれ、大当りフラグがリーチを表わす場合にはS187に進み、それ以外の場合にはS185に進む。
【0099】
S185においては、中移動図柄数演算の処理が行なわれる。この演算も、前述のS180と同様の方法に従って行なわれる。続いてS186において、S185に行なわれた演算結果に従ってアドレス計算が行なわれ、中ドラムの制御テーブルアドレスが選択され、中モータ制御エリアにセットされる。
【0100】
一方、S184において大当りフラグがリーチを表わす値であると判断された場合にはS187に進み、中移動図柄数「0」に対応するアドレスを選択してセットする処理が行われる。
【0101】
図27は、図22のS147で行なわれる可変表示装置の回転停止制御を行なうプログラムを示すフローチャートである。図27に示される処理は、左、中、右の各ドラムそれぞれについて実行される。まず、S188において、モータ制御フラグに停止を示す値がセットされているか否かについての判断が行なわれ、セットされている場合にはモータが停止中であるからこのサブルーチンは終了し、それ以外の場合にはS189に進む。S189においては、ドラムセンサ51a〜51cからの信号を入力しチェックする処理が行なわれS190に進む。S190においては、モータが定速中であるか否かの判断が、モータ制御フラグに定速中のフラグがセットされているか否かで行なわれる。そしてモータ定速中であると判断された場合にはS192によりモータ定速の制御が行なわれ、定速中でなければS191に進み、モータを加速制御または減速制御する。
【0102】
次に、図28に基づいて、Vスイッチ,10カウントスイッチチェックのサブルーチンプログラムを説明する。S193により、VスイッチのONタイミングか否かの判断がなされ、ONタイミングでない場合にはS198に進み、10カウントスイッチのONタイミングであるか否かの判断がなされ、ONタイミングでない場合にはそのままサブルーチンプログラムが終了する。このS193,S198のONタイミングであるか否かの判断は、前述したS66〜S68と同様に、スイッチによる検出信号を数回入力して判定し、数回ともに検出されて初めてONタイミングと判定し、ノイズに起因した誤検出が行なわれないように制御している。
【0103】
S193によりVスイッチがONタイミングであると判断された場合にはS194に進み、入賞個数を「1」歩進し、S195により、開放回数が最大であるか否かの判断がなされる。この開放回数は、第1の状態となっている可変入賞球装置を再度繰返して第1の状態にする繰返し継続制御の上限回数のことであり、既に最大に達している場合にはそれ以上繰返し継続制御を行なうわけにいかないために、そのままS198に進む。一方、最大回数に達していない場合には、まだ余裕があるために、S196に進み、V入賞フラグがセットされているか否かの判断がなされ、セットされていない場合にはS197により、プロセスフラグを「1」歩進し、V入賞フラグをセットし、V入賞音をセットする処理がなされる。このV入賞フラグのセットにより、可変入賞球装置が第2の状態になった後再度第1の状態に駆動制御する繰返し継続制御が実行される。また、S198により、10カウントスイッチがONタイミングであると判断された場合にはS199に進み、入賞個数が「1」歩進されてサブルーチンプログラムが終了する。
【0104】
図29は図27のS191に示したプログラムの具体的内容を示すサブルーチンプログラムである。S200に示した「1ステップタイマ」とは、ステッピングモータを次のステップに送るタイミングを判定するための時間を計時するタイマである。このタイマは後述するS203によりセットされる。S200において、この1ステップタイマが終了したか否かについての判断が行なわれる。判断の答がNOであればステッピングモータを次のステップに送るタイミングでないということであるから制御はS210に直接進み、判断の答がYESであればS201においてステップチェック処理が行なわれる。このステップチェック処理については図31を参照して後述する。
【0105】
続いてS202において10カウント・ドラム・接続エラーがあるか否かについての判断が行なわれる。エラーがあれば制御は直接S210に進む。それ以外の場合にはS203で1ステップタイマがセットされる。ここでセットされる値は、前述のようにステッピングモータを次のステップに送るタイミングを判定するための時間であり、4msec,6msec,8msec,10msecの4種類の時間がセットされる。続いてS204において、ステッピングモータが、必要なステップ数だけ動作終了したか否かについての判断が行なわれる。終了していなければ引続き同じ回転速度によるステッピングモータの制御を行なうため、制御はS210に進み、終了した場合にはS205に進む。
【0106】
S205においては、ステッピングモータを制御するための前述の制御テーブルによる制御が終了しているか否かの判断が行なわれ、終了している場合にはS207に進み、それ以外の場合にはS206に進む。S206では、ステッピングモータの回転速度を加速/減速に応じて変更するために、次回のステッピングモータの制御データがセットされる。また制御データのアドレスも同様に更新される。S206の後制御はS210に進む。
【0107】
S205で制御テーブルによる制御が終了したと判断された場合には、S207において回転増カウンタがゼロか否かについての判断が行なわれる。ゼロでない場合にはS208に進み、ステップ数に1回転増データ(216ステップ)がセットされ、回転増カウンタが1減算されて前述したリーチ状態のときのステッピングモータの回転制御が行なわれる。S208の後制御はS210に進む。
【0108】
S207で回転増カウンタの値がゼロであると判断された場合には、S209に進み、モータ制御フラグに「定速」がセットされ、「イニシャルチェック」が行なわれる。イニシャルチェックではシステムイニシャル中であるか否かを判定し、イニシャル中の場合には停止図柄ナンバー=現在図柄ナンバー+1となるように制御される。
図30は、図27のS192に示したサブルーチンの具体的内容を示すフローチャートである。まずS211において、1ステップタイマが終了したか否かの判断が行なわれ、終了していない場合にはこのサブルーチンはただちに終了し、タイマ終了したときにS212に進む。S212においてはステップチェック処理が行なわれる。ステップチェック処理においては回転ドラムの回転制御に何らかのエラーがおきたか否かの判断が行なわれ、続くS213において、10カウント・ドラム・接続エラーが発生したか否かの判断が行なわれ、発生している場合にはこのサブルーチンは終了する。S213でエラーが発生していないという判断がされた場合にはS214に進み、図柄の途中であるか否かの判断がなされ、図柄の途中である場合には直接S216に進み、それ以外の場合にはS215に進む。S215においては、現在の図柄ナンバーが停止図柄ナンバーと一致しているか否かの判断が行なわれ、一致している場合にはS218に進みそれ以外の場合にはS216に進む。S218では、モータ制御フラグに「停止」がセットされ、停止音を表わす音データがセットされてサブルーチンは終了する。S216においては、1ステップタイマ(本実施の形態では10msec)がセットされ、S217においてはモータ出力がセットされサブルーチンが終了する。
【0109】
この図29のS201および図30のS212の具体的内容が図31のサブルーチンプログラムに示されている。この図31のS219に示されている「モータ基準パターン」は、ステッピングモータのコイルを励磁する励磁基準パターンであり、本実施の形態のステッピングモータは1-2相励磁であるため、励磁パターンは基準パターンを含め8通りのパターンがある。そして、ドラムの1回転がステッピングモータの216ステップに相当するため、ドラムの1回転の間の基準励磁パターン回数は216/8=27回となり、ドラムの1回転の間にS219により27回YESの判断がなされる。S219によりYESの判断がなされればS220に進み、ドラムセンサがONか否かの判断が行なわれる。このドラムセンサは、図3にも示したように、ドラムの無反射部分38a〜38cを検出するものであり、ドラムが1回転する度に1回ONと判定される。そして、ドラムセンサがONと判定された場合には、ドラムが基準位置に達しているためにS223に示すように1図柄中ステップナンバーを0にするとともに現在図柄ナンバーを0にする処理が行なわれる。1図柄中ステップナンバーと現在図柄ナンバーとの関係を簡単に説明すると、1図柄に対応するステップ数は12ステップであるから1図柄中ステップナンバーは0〜11の値を取り得る。また、ドラムに描かれている図柄数は18であるから現在図柄ナンバーは0〜17の値を取り得る。そして1図柄中ステップナンバーの値が12に達した場合には、現在図柄ナンバーの値に1が加算されるとともに1図柄中ステップナンバーの値が0にされ、加算された結果現在図柄ナンバーの値が18に達した場合には、現在図柄ナンバーの値も0にされる。これらの処理はS210,S217におけるモータ出力データセット処理(詳細省略)において行なわれるが、モータ基準パターンになったときにドラムセンサがONの判断がなされた場合には、モータ出力データセット処理の状態に関係なくS223においてともに0にされることになる。
【0110】
次にS224によりセンサONカウンタの値が「0」以上であるか否かの判断を行なう。このセンサONカウンタの初期値は「-20」に設定される。これは、「0」に設定すると電源投入時や復旧時にS227でエラー判定される場合があるためである。なお、初期設定値はS227の設定値よりも小さければ「-20」以外の値であってもよい。センサONカウンタは、電源投入時や復旧時には初期設定値「-20」からS220におけるドラムセンサのOFF判定毎にS221によってカウントダウンされる。また、可変表示中においては、S220においてON判定された時のセンサONカウンタの値は正常時は「-26」となる。ゆえに、正常に動作している限りは、電源投入時や復旧時を含めてS224,S227ともにNOの判断がなされてS228においてセンサONカウンタの値が「0」に更新されることとなる。
【0111】
一方、S227においてセンサONカウンタが「-12」以上であればS229に進み、ドラムエラーフラグがセットされる。つまり、ドラムが半回転しないうちにドラムセンサがONと判断された場合にS229によりドラムエラーフラグのセットを行なう。このエラーの原因は、たとえば、ドラムにごみが付着したり図柄が描かれてドラム外周に貼着されている図柄シールが剥がれている場合等が考えられる。なお、S227の設定値は「-12」に限らず-1〜-25の任意の値でよいが、-12〜-25の間の値に設定するのが望ましい。
【0112】
次に、S220によりYESと判断されてかつセンサONカウンタの値が「0」以上であった場合には、S225によりセンサONカウンタが「1」インクリメントされ、S226によりセンサONカウンタが「5」未満か否かの判断が行なわれる。そして、「5」以上であった場合にはS229に進み、ドラムエラーフラグがセットされる。つまり、基準パターン5回を越えてドラムセンサのON状態が続いた場合は、ドラムセンサが故障しているかまたはドラムセンサのコネクタが外れている場合等が考えられるため、S229によりドラムエラーフラグのセットが行なわれるのである。なお、S226の設定値は「5」に限らず「1」以上の任意の値でよい。
【0113】
モータ基準パターンになったときにドラムセンサがONと判断されない場合にはS221によりセンサONカウンタが「1」ディクリメントされる。つまり、ドラムセンサがOFFに切替わってから次にONに切替わるまでの間何回モータ基準パターンになったかがS221によりカウントダウンされる。正常時にはモータ基準パターンが27回生ずればドラムが1回転しているために、このセンサONカウンタは0〜26の値を取ることになる。そして、S222により、センサONカウンタの値が「-60」以下であると判断された場合すなわちドラムが2回転を越えて回転しても無反射部分が検出されない場合はS229に進み、ドラムエラーフラグのセットが行なわれる。この場合のエラーは故障や外力による強制停止によってステッピングモータが回転しない場合が考えられる。S222の設定値を「-27」以下の任意の値にしてドラムが1回転を越えて回転した段階で無反射部分が検出されない場合にS229のエラー処理を行なうようにしなかった理由は、電源投入時や復旧時に無反射部分がドラムセンサの所にあると検出されない場合があり、その場合にはセンサONカウンタの初期値が「-20」に設定されている関係上S222の設定値を「-60」に設定し、ドラムが1回転もしない段階でS229によるエラー処理が行なわれる不都合を防止するためである。なお、S222の設定値は、初期設定値を考慮することを条件として「-27」以下の任意の値でよい。
【0114】
図33は、パチンコ遊技機の各種動作状態とそれに対応する各種表示装置の表示制御態様およびスピーカから発せられる効果音の種類を示した表を表わす図である。図33において、動作状態を表わす欄において、「設定変更時」とは、キースイッチ75を操作して大当りの発生確率を設定変更するときのことである。また可変表示装置が停止した後においては、大当り以外の場合と大当りの場合とに動作状態を大きく分けて示している。また、大当りの場合には、可変入賞球装置の初回開放前の場合と開放中の場合と可変入賞球装置の開放後の場合との3つに分けている。さらに、開放中の場合には、その可変入賞球装置内に進入したパチンコ玉が特定入賞口(Vポケット)に入賞する前と後とで場合分けしている。
【0115】
図33中、(a)や(a′)や(b)は、各種表示装置の点滅表示状態の種類を示したものである。すなわち、(a)は、128msだけOFF状態となった後128msだけON状態となるタイミングで点滅制御されることを意味し、(a′)は、まず128msだけON状態となり、次に128msだけOFF状態となるタイミングで点滅制御されることを意味する。(b)は、256msだけON状態となり、次に256msだけOFF状態となるタイミングで点滅制御され、(b′)は、まず256msだけOFF状態となり、次に256msだけON状態となるタイミングで点滅制御されることを意味する。(c)は、512msだけON状態となり、次に1536msだけOFF状態となるタイミングで点滅制御されることを意味する。(c′)は、まず1536msだけON状態となり、次に512msだけOFF状態となるタイミングで点滅制御されることを意味する。
【0116】
動作状態が「設定変更時」においては、ラッキーナンバー・回数表示LEDである7セグメント表示器11の左の表示部分でCの表示がなされ、右の表示部分で確率の設定値が表示される。なお、この確率の設定値は、専用の表示器を遊技機裏面側(たとえば基板上)に設けてもよい。また、この7セグメント表示器11は、電源投入時,始動入賞口へのパチンコ玉の入賞時,可変表示装置の停止後(大当り以外のとき)においては、FOが点灯表示される。さらに大当りが発生して可変入賞球装置の初回開放前においては、左の表示部分でFが表示され、右の表示部分が変動表示される。また大当りにおける可変入賞球装置の開放中ならびに可変入賞球装置の開放後においては、停止図柄と開放回数とが交互に表示される。この停止図柄は、ランダム4カウンタのカウント値に基づいて決定されたラッキーナンバー用図柄である。この7セグメント表示器11で表示されたラッキーナンバー用図柄が、遊技場において予め決定されているラッキーナンバーと一致すれば大当りの発生により獲得した景品玉等の有価価値を景品交換することなく引き続き遊技に使用できる等の特典が与えられる。さらに、異常発生時においては異常原因がコード表示される。たとえば、10カウント検出スイッチの断線,ショートあるいは玉詰まりの場合にはE1,第1の状態となっている可変入賞球装置内に1個もパチンコ玉が入賞しなかった場合にはE2,ドラムエラーが発生した場合にはE3,カード処理機接続エラーが発生した場合にはEC等である。またこの異常発生時においては、肩ランプ21,サイドランプ22,アタッカーランプ23が点灯され、袖ランプ24,ドラム飾りランプ17,飾りLED27,飾りLED26,V入賞表示LED28が、異常発生前の状態の表示を保持する。風車ランプ20は、電源投入時(通常時),始動入賞口へのパチンコ玉の入賞時,可変表示装置の停止後(大当り以外の場合)でかつ確率モードが高確率時のときに点灯表示される。効果音の欄におけるA〜Iは、それぞれ効果音の種類を示している。なお、Aは可変表示中、Bは可変表示部の可変停止時、Cはリーチ時、Gは各回開放(最終回を除く)における最初のV入賞時に発生される。
【0117】
図34は、図6に示したデータの送受信を行なうための回路の別実施の形態を示す回路図である。図6との相違点を主に説明する。カード処理機制御部135とパチンコ遊技機60側の中継端子基板138との電気的な接続が行なわれている場合には、フォトカプラ852に電圧VL(+18V)が印加されてその信号がカード処理機接続情報入力回路854を介して払出集中制御基板730側の入力回路851に入力される。一方、カード処理機制御部135と中継端子基板138とが非接続状態(情報の伝達不能状態)になった場合には、フォトカプラ852からの信号が入力されなくなるために、払出集中制御基板において、カード処理機との接続エラーが発生していると判定し、その判定結果に基づいて、リレー611を作動させて打球モータ612への電流の供給を遮断して打玉が発射されない状態とする。それと同時に、フォトカプラ613を介してカード処理機接続情報入力回路614にカード処理機との接続異常が発生した旨の信号を伝送し、ゲーム制御用基板の方で、前述したS42,S47,S9,S10のエラー発生時の遊技中断制御が行なわれるようにする。なお、エラー発生時においては打球発射モータ612の不能動化のみを行ない、このフォトカプラ613およびカード処理機接続情報入力回路614を設けなくてもよい。
【0118】
次に、大当りの発生確率の変動条件は、可変表示装置14の表示図柄を利用したものであれば、それ以外の条件の成立時にも変動させるようにしてもよい。その場合の確率変動条件としては、以下のものが考えられる。
【0119】
可変表示装置14の表示結果が大当り図柄と異なる確率向上図柄の組合せとなった場合に確率を向上させてもよい。また、前述したリーチ状態が発生した場合に確率を向上させてもよい。
【0120】
なお、確率を向上させる方法として、前述したように1次抽選時における当り範囲を拡大する代わりに、可変入賞球装置3を開成させる表示結果の組合せ数を増加させるようにしてもよい。
【0121】
次に、確率向上状態を終了させる条件として、以下のものが考えられる。
(1) 可変表示装置14の表示結果が所定の識別情報となった場合に終了させてもよい。この所定の識別情報とは、当りとなる表示のうち予め定められた表示や当り図柄の表示以外の予め定められた表示が考えられる。また、前述したリーチ状態の発生により終了させるようにしてもよい。
【0122】
(2) 可変入賞球装置3や始動入賞口1a〜1cに打玉が入賞したときに抽出したランダムカウンタの値が予め定める値であった場合に終了させてもよい。
【0123】
(3) 特定の入賞領域を打玉が1個または所定個数入賞した場合に終了させてもよい。この特定の入賞領域とは、遊技領域内に形成されたもの、可変入賞球装置3内に形成されたものが考えられる。
【0124】
(4) 確率向上状態の開始後において、(a)所定時間が経過した場合、(b)可変表示装置14の可変表示が所定回数行なわれた場合、(c)所定時間の経過または可変表示装置14の所定回数の可変表示のうちいずれか早いのほうの条件が成立した場合、(d)可変表示装置14の当りが所定回数発生した場合に、確率向上状態を終了させてもよい。なお、前記(a)〜(d)の場合において、所定の繰返し継続条件が成立した場合に確率向上状態が繰返し継続制御されるようにしてもよい。
【0125】
(5) たとえば、可変入賞球装置3の開成中の入賞玉数が0または一定数以上だった場合等のように入賞玉数が所定数に達しなかった場合、または特定入賞口(Vポケット)に打玉が入賞しなかった場合に終了させてもよい。
【0126】
(6) 始動入賞口1a〜1cへの打玉の入賞個数の記録がなくなった場合に終了させてもよい。
【0127】
(7) 差玉数や出玉率が所定値に達した場合に終了させてもよい。なお、この差玉数や出玉率は開店時からのものであってもよく、また所定時からのものであってもよく、それ以外に確率向上状態の開始時からのものであってもよい。
【0128】
前記予め定めた確率変動条件が成立したか否かを、遊技場に設けられたホール用管理コンピュータにより判定してもよく、さらにそのホール用管理コンピュータに前記確率変動条件を変更設定して登録できるようにしてもよい。
【0129】
本実施の形態では、遊技機の一例として遊技者がパチンコ玉を購入してそのパチンコ玉により遊技を行なう弾球遊技機を示したが、それに代えて、所定の有価価値を特定可能な情報が記録されたカード等の記録媒体を用いて遊技が可能な弾球遊技機やスロットマシン等の遊技機であってもよい。また、確率変動はソフト上だけでなく、表示上でも変動させるようにしてもよい。上述の実施の形態では、バックアップ用の電源を設けてはいないが、必要に応じてバックアップ用の電源を設けてもよい。また、上述の実施の形態のパチンコ遊技機においては、施錠装置77を設けたが、その施錠装置は必ずしも設けなくてもよい。
【0130】
以下、本発明の課題を解決するための手段の具体例を記載する。
(1) 複数種類の識別情報(図柄)を可変表示可能であり、打玉が打込まれる遊技領域に設けられた始動領域(始動入賞口1a〜1c)に打玉が進入したことを条件として表示結果を導出表示するための可変表示を行なう可変表示装置(可変表示装置14)を含み、該可変表示装置の表示結果が予め複数種類定められた特定表示態様(ゾロ目)のうちのいずれかになった場合に遊技者にとって有利な特定遊技状態(大当たり状態)に制御可能となる遊技機(パチンコ遊技機60)であって、
前記可変表示装置の表示結果が前記複数種類の特定表示態様のうちの予め定められた特別の表示態様(確率変動図柄、たとえば、「7,7,7」)となった場合に、前記可変表示装置の表示結果が前記特定の表示態様となる確率が向上した確率変動状態(高確率状態)に制御可能にする確率変動手段(図17のS107〜S117)と、
前記特定の表示態様とするか否かを決定するために用いられる数値情報を更新する特定表示態様決定用数値情報更新手段(ランダムカウンタ1)と、
前記特定の表示態様とする場合の前記表示結果として表示される識別情報の種類を決定するために用いられる数値情報を更新するための識別情報種類決定用数値更新手段(ランダムカウンタ2)と、
前記始動領域に打玉が進入した数であって未だ前記可変表示に用いられていない数を所定の上限(4個)の範囲内で記憶可能な始動記憶手段(RAM92の始動入賞数を記憶する領域)と、
前記始動記憶手段の始動記憶毎に対応して設けられた記憶領域(「入賞記憶エリアの対応するエリア」の8個のエリア)とを含み、
前記始動領域への打玉の進入に応じて、前記特定表示態様決定用数値更新手段および前記識別情報種類決定用数値更新手段により更新されている各数値情報をそれぞれ抽出し、該始動領域への打玉の進入による始動記憶に対応した前記記憶領域に、前記抽出した各数値情報をそれぞれ記憶させ、
前記確率変動手段は、前記可変表示装置の表示結果が前記特定の表示態様になった場合には(図22のS153によりYESの場合)、該特定の表示態様が特別の表示態様であるか否かに関わらず、前記特定遊技状態に制御している最中は前記確率変動状態でない通常確率時の状態に制御される(図22のS154により確率向上フラグがセットされるもののS155により確率モードが低確率にセットされ、大当たり制御が終了した後図25のS175によりYESの判断がなされ、S176により確率モードが高確率にセットされる)。
【0131】
(2) 前記確率変動状態となっている最中において(図25のS176により確率モードが高確率になっている最中において)、前記可変表示装置の表示結果が前記特別の表示態様以外の特定の表示態様になった場合には、当該特定の表示態様による特定遊技状態の終了の後に通常確率時の状態を維持し(図22のS153によりNOの判断がなされ、S155により確率モードが低確率にセットされる)、前記可変表示装置の表示結果が前記特別の表示態様になった場合には当該特定の表示態様による特定遊技状態の終了の後に確率変動状態とする(図22のS153でYESとなりS154により確率向上フラグがセットされるもののS155により確率モードが低確率にセットされ、大当たり制御が終了した後図25のS175によりYESの判断がなされ、S176により確率モードが高確率にセットされる)。
【0132】
【0133】
【発明の効果】
請求項1に記載の本発明によれば、可変表示装置の表示結果が特別の表示態様となった場合に、可変表示装置の表示結果が特定の表示態様となる確率を向上させた確率変動状態となるようにしているために、確率変動による変化に富んだ面白味を遊技者に提供でき、かつ、特定遊技状態に制御可能となる前記特定表示態様が表示されるかもしれないという期待をもって遊技者が注視する可変表示装置を利用して、その可変表示装置の表示結果に基づいて確率を向上させるようにしているために、遊技者が確率変動状態の発生したことを見逃すことなく容易に認識することができ、その確率変動状態を無駄にすることなく十分有効利用した面白味のある遊技が可能となる。
【0134】
しかも、本発明においては、特定の表示態様とする場合の表示結果として表示される識別情報の種類を決定するために用いられる数値情報を更新するための第2の数値更新手段が備えられ、始動領域への打玉の進入時に、その第2の数値更新手段により更新されている第2の数値情報が抽出されて記憶されるために、その記憶された第2の数値情報を用いて、特定の表示態様とする場合の表示結果として導出表示される識別情報の種類がランダムに決定される。その結果、可変表示装置の表示結果が特別の表示態様となった場合に生ずる確率変動状態の発生のランダム性を向上させることができる。
【0135】
請求項2に記載の本発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加えて、確率変動状態となっている最中においては、可変表示装置の表示結果が特別の表示態様になるかまたは特別の表示態様以外の特定の表示態様になるかにしたがってその確率変動状態が継続されるかまたは終了するかが決まるために、確率変動状態の最中においても遊技者にスリルを与えることができ、スリルに富んだ面白味のある遊技を提供することができる。
【0136】
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明に係る遊技機の一例のパチンコ遊技機および記録媒体処理装置の一例のカード処理機を示す正面図である。
【図2】
パチンコ遊技機およびカード処理機の一部内部構造を示す背面図である。
【図3】
可変表示装置を構成しているドラムユニットの構造を示す分解斜視図である。
【図4】
可変表示装置の各表示部で表示される各種図柄の展開図である。
【図5】
パチンコ遊技機に用いられる制御回路を示すブロック図である。
【図6】
払出集中制御基板とゲーム制御用基板との間で景品玉払出個数データ等の所定のデータの送受信を行なうための回路を示す図である。
【図7】
図5に示す制御回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】
図5に示す制御回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】
図5に示す制御回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【図10】
図5に示す制御回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【図11】
図5に示す制御回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【図12】
図5に示す制御回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【図13】
図5に示す制御回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【図14】
図5に示す制御回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【図15】
図5に示す制御回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【図16】
図5に示す制御回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【図17】
図5に示す制御回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【図18】
図5に示す制御回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【図19】
図5に示す制御回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【図20】
図5に示す制御回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【図21】
図5に示す制御回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【図22】
図5に示す制御回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【図23】
図5に示す制御回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【図24】
図5に示す制御回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【図25】
図5に示す制御回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【図26】
図5に示す制御回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【図27】
図5に示す制御回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【図28】
図5に示す制御回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【図29】
図5に示す制御回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【図30】
図5に示す制御回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【図31】
図5に示す制御回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【図32】
各ポートの信号入力状態と各種モードとを説明するための表を表わした図である。
【図33】
パチンコ遊技機の各種動作状態とそれに対応する各種表示装置の表示制御態様およびスピーカから発せられる効果音の種類を示す表を表わした図である。
【図34】
本発明の別実施の形態に係る制御回路を示す図である。
【符号の説明】
60はパチンコ遊技機、62はカード処理機、14は可変表示装置、3は可変入賞球装置、120は遊技領域、148′はゲーム制御用基板、730は払出集中制御基板、63は玉払出器、70は配線、138は中継端子基板、14a,14b,14cは可変表示部、99はEEPROM、64は基本回路、612は打球発射モータである。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2005-04-22 
出願番号 特願2000-350920(P2000-350920)
審決分類 P 1 651・ 03- YA (A63F)
P 1 651・ 534- YA (A63F)
P 1 651・ 531- YA (A63F)
P 1 651・ 113- YA (A63F)
P 1 651・ 121- YA (A63F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 山崎 仁之▲吉▼川 康史澤田 真治  
特許庁審判長 中村 和夫
特許庁審判官 渡戸 正義
渡部 葉子
登録日 2003-07-04 
登録番号 特許第3448560号(P3448560)
権利者 株式会社三共
発明の名称 遊技機  
代理人 中田 雅彦  
代理人 森田 俊雄  
代理人 森田 俊雄  
代理人 塚本 豊  
代理人 塚本 豊  
代理人 深見 久郎  
代理人 深見 久郎  
代理人 中田 雅彦  

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