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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A01F |
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管理番号 | 1122205 |
審判番号 | 不服2001-17815 |
総通号数 | 70 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1993-03-02 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2001-10-04 |
確定日 | 2005-08-24 |
事件の表示 | 平成3年特許願第232321号「脱穀装置」拒絶査定不服審判事件〔平成5年3月2日出願公開、特開平5-49341〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続きの経緯・本願発明 本願は、平成3年8月20日の出願であって、その請求項1ないし5に係る発明は、平成14年11月11日に提出した手続補正書で補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載されたとおりのものであり、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という)は次のとおりのものである。 「扱胴5と処理胴41とを併設し、該扱胴5と処理胴41との下側に前部の移送板12と中間部のグレンシーブ15と後部のストローラック16とを備えた揺動選別体14を配置し、該揺動選別体14の下側に送風唐箕21と一番コンベア18と二番コンベア19とを配置した脱穀装置において、前記一番コンベア18の前側に送風唐箕21を配置して一番コンベア18上側へ選別風を送風する送風口23を形成し、前記移送板12の下側であって送風唐箕21の前側に近接して補助送風唐箕28を配置して移送板12後端部下側から後方へ選別風を送風する補助送風路26を移送板12の下側に沿って略水平方向に形成し、前記扱胴5の後方であってストローラック16の上方の高位置に横断流吸引ファン42を配置し、もって低位置に配置した送風口23からの主選別風と中間位置に配置した補助送風路26からの補助選別風と高位置に配置した横断流吸引ファン42の吸引風力とによって被選別物の風選別を行うように構成し、前記補助送風唐箕28を側面視で前記送風唐箕21の前方に近接配置し、前記送風唐箕21は前記補助送風唐箕28よりも大径に構成し、前記補助送風唐箕28は、側面視で前記送風唐箕21の上半部の前方に近接し、且つ、補助送風唐箕28の中心が側面視で送風唐箕21の上端より下方で中心より上方に位置するように配置し、前記補助送風路26を側面視でグレンシーブ15より下方で送風唐箕21の上方に形成したことを特徴とする脱穀装置。」 2.引用例記載の発明 (1)当審において通知した拒絶の理由に引用した、本願出願前に頒布された実願昭62-14109号(実開昭63-122036号)のマイクロフィルム(以下、「引用例1」という)には、脱穀機に関し、次の記載が認められる。 (1-a)「脱穀機8は機体上部に、扱胴9を回転可能に設けた扱室3と扱胴9の軸芯と同方向に軸芯を有する処理胴10を回転可能に設けた処理室11とを並設している。そして、該扱室3の下部外周に扱室受網12を設け、・・・該扱室受網12の端部を扱胴9よりも短かく形成し排塵口14を設けている。 そして、機体の下部に設けた風選室1には、機体側面視において、選別終端部を前記扱室受網12の中間部下方に位置し、選別終端部を前記排塵口14の下方に位置したグレンシーブ2と、・・・第2グレンシーブ15と、・・・ストローラック16とを備えた選別棚17を前記扱胴9の扱胴軸芯方向に揺動可能に設けている。また、風選室1の底部には選別棚17の選別始端側から唐箕18と、第2グレンシーブ15から落下した毅粒を回収する1番物回収装置19と、グレンシーブ2及びストローラック16から落下した穀粒を回収する2番物回収装置20を設けている。 そして、扱室受網12と選別棚17の空間部に搬送始端部を扱室3の前壁に形成した供給口21側に位置し搬送終端部を排塵口7に近接して回転可能に設けた搬送ラセン4とこの搬送ラセン4の下面に近接して設けた案内板5とを備えてなる搬送装置6を設置している。」(3頁12行〜5頁1行)、 (1-b)「23は搬送装置6と選別棚17間に形成された空間部に選別風を送風する第2唐箕である。24は扱室3の後壁に設けた排出口、・・・ 機体後部には、・・・ストローラック16の搬送終端部の上方に位置し前記唐箕18との間に選別風路を形成する横断流ファン型の排塵機28、」(5頁9〜19行)、 (1-c)「扱室受網12から漏下した脱穀物は各搬送装置6に回収されて搬送ラセン4によって失印方向に搬送され、一部は小孔22から残部は落下口7からグレンシーブ2上に落下する。・・・そして、グレンシーブ2に落下した穀粒は、揺動作用および唐箕18と第2唐箕23の選別風によって揺動風選作用を受けるので、グレンシーブ2から落下した落下物は直接あるいは第2グレンシーブ15を介して落下して1番物回収装置19に回収される。・・・ストローラック16から漏下した穀粒や枝梗付着粒やカギ又や一部の稈切れ等は下方の2番物回収装置20に回収される」(6頁8行〜7頁11行)。 上記記載及び図面の記載によると、引用例1には、 扱胴9と処理胴10とを併設し、該扱胴9と処理胴10との下側に、前部の案内板5と、中間部のグレンシーブ2と後部のストローラック16とを備えた選別棚17を配置し、該案内板5と選別棚17の下側に唐箕18と1番物回収装置19と2番物回収装置20とを配置した脱穀装置において、前記1番物回収装置19の前側に唐箕18を配置して1番物回収装置19上側へ選別風を送風する送風口を形成し、前記案内板5の下側であって唐箕18の前側に近接して第2唐箕23を配置して案内板5後端部下側から後方へ選別風を送風する送風路を案内板5の下側に沿って略水平方向に形成し、前記扱胴9の後方であってストローラック16の上方の高位置に横断流ファン型の排塵機28を配置し、もって低位置に配置した唐箕18の送風口からの選別風と中間位置に配置した第2唐箕23の送風路からの選別風と高位置に配置した排塵機28の吸引風力とによって被選別物の風選別を行うように構成し、前記第2唐箕23を側面視で前記唐箕18の斜め前方上方に近接配置し、前記唐箕18と前記第2唐箕23とをほぼ同径に構成し、前記第2唐箕23は、側面視で前記唐箕18の斜め前方上方に近接し、且つ、第2唐箕23の中心が側面視で唐箕18の中心より上方に位置するように配置し、前記第2唐箕23の送風路を側面視で唐箕18の上方に形成した脱穀装置(以下、「引用例1の発明」という)が記載されていると認められる。 (2)同じく拒絶の理由に引用した、本願出願前に頒布された実願平1-122639号(実開平3-61838号)のマイクロフィルム(以下、「引用例2」という)には、「最初に処理穀稈を選別する揺動選別板21の選別体43は、複数のフィンが移送方向に対して直角に所定間隔で固定されたもので、取り付け方向は移送板41の鋸歯形状に準じて斜め後方へ向けられている。穀粒や排稈などからなる処理穀稈が選別体43上に達すると、フィンの間から吹きあげる選別風によって、排稈は後方へ吹き飛ばされ、穀粒はフィンの隙間から落下する。揺動選別板21の下側には更に揺動選別板27が設けられており、揺動選別板21,27の間には揺動選別板21に選別風を送る送風ファン25が設けられている。」(8頁20行〜9頁10行)と記載されている。 (3)同じく拒絶の理由に引用した、本願出願前に頒布された実願平63-136740号(実開平2-57339号公報)のマイクロフイルム(以下、「引用例3」という)には、「受網6下方から後述する排塵選別室7にわたる部位には揺動選別体15が前後および上下に揺動自在に架設されており、この揺動選別体15は、上段のチヤフシーブ9と、下段の波型移送板(移送板)12及び選別網(漏下選別体)13からなる移送選別板14とから構成されている。 この揺動選別体15のチヤフシーブ9と波型移送板12との間には、第1シロツコフアン16の吹出口16aが開口され、」(5頁10〜18行)と記載されている。 (4)同じく拒絶の理由に引用した、本願出願前に頒布された実願平1-117840号(実開平3-56327号)のマイクロフイルム(以下、「引用例4」という)には、「受網2bの下方に位置して扱胴2の始端から処理胴3の中途部にわたって前後に無孔波板4a及び目合い調整可能な横桟4bから構成されたチャフシーブ4が設けられ、また、無孔波板4aの下方には第一圧風ファンT1、横桟4bの下方には無孔波板5a及びクリンプ網5bを前後に配置したグレンシーブ5が設けられ、・・・二番物及び排塵物は第二圧風ファンT2からの圧風及び第一圧風ファンT1からの圧風により前記グレンシーブ5の漏下網5bに隣接した二番物選別部8上へと風選移送され、」(5頁2〜16行)と記載されている。 3.対比・判断 本願発明と引用例1の発明とを対比すると、引用例1の発明の「扱胴9」が本願発明の「扱胴5」に相当し、同様に、「処理胴10」が「処理胴41」に、「案内板5」が「移送板12」に、「グレンシーブ2」が「グレンシーブ15」に、「ストローラック16」が「ストローラック16」に、「選別棚17」が「揺動選別体14」に、「1番物回収装置19」が「一番コンベア18」に、「2番物回収装置20」が「二番コンベア19」に、「横断流ファン型の排塵機28」が「横断流吸引ファン42」に、それぞれ相当している。 また、引用例1の発明の「唐箕18」は本願発明の「送風唐箕21」に対応し、共に「第1唐箕」ということができ、さらに、引用例1の発明の「第2唐箕23」は本願発明の「補助送風唐箕28」に対応し、共に「第2唐箕」ということができる。 そうすると、本願発明と引用例1の発明とは、 扱胴と処理胴とを併設し、該扱胴と処理胴との下側に前部の移送板と中間部のグレンシーブと後部のストローラックとを備えた揺動選別体を配置し、該揺動選別体の下側に送風唐箕と一番コンベアと二番コンベアとを配置した脱穀装置において、前記一番コンベアの前側に第1唐箕を配置して一番コンベア上側へ選別風を送風する送風口を形成し、前記移送板の下側であって第1唐箕の前側に近接して第2唐箕を配置して移送板後端部下側から後方へ選別風を送風する送風路を移送板の下側に沿って略水平方向に形成し、前記扱胴の後方であってストローラックの上方の高位置に横断流吸引ファンを配置し、もって低位置に配置した送風口からの選別風と中間位置に配置した送風路からの選別風と高位置に配置した横断流吸引ファンの吸引風力とによって被選別物の風選別を行うように構成し、前記第2唐箕を側面視で前記第1唐箕の前方に近接配置し、第2唐箕の中心が側面視で第1唐箕の中心より上方に位置するように配置した脱穀装置で一致し、 第1唐箕と第2唐箕とが、本願発明では、第1唐箕である送風唐箕21は第2唐箕である補助送風唐箕28よりも大径に構成し、前記補助送風唐箕28は、側面視で前記送風唐箕21の上半部の前方に近接し、且つ、補助送風唐箕28の中心が側面視で送風唐箕21の上端より下方で中心より上方に位置するように配置し、補助送風路26を側面視でグレンシーブ15より下方で送風唐箕21の上方に形成しているのに対し、 引用例1の発明では、第1唐箕である唐箕18と第2唐箕である第2唐箕23とをほぼ同径に構成し前記第2唐箕23は、側面視で前記送風唐箕の斜め前方上方に近接し、且つ、第2唐箕23の中心が側面視で唐箕18の中心より上方に位置するように配置し、その送風路を側面視で唐箕18の上方に形成しているが、グレンシーブ2より下方ではない点、で構成が相違する。 上記相違点について検討する。 引用例2には、揺動選別板21の下側に揺動選別板27を設け、揺動選別板21,27の間に、揺動選別板21に選別風を送る送風ファン25を設けることが記載されており、引用例3には、揺動選別体15において、上段のチヤフシーブ9と下段の波型移送板12との間に、第1シロツコフアン16の吹出口16aを開口させることが記載されており、引用例4には、無孔波板4a及び目合い調整可能な横桟4bから構成されたチャフシーブ4の下方に第一圧風ファンT1を設けることが記載されている。 これらから、グレンシーブ(引用例2記載のものでは、「揺動選別板21」がこれに対応し、引用例3記載のものでは、「上段のチヤフシーブ9」がこれに対応し、引用例4記載のものでは、「チャフシーブ4」がこれに対応する。)の下側に選別風路を形成することは周知な技術であるといえる。 また、脱穀機においては、通常、一番コンベアの前側に送風唐箕を配置し、この送風唐箕からの圧風のみによって脱穀室より落下する脱穀物を選別(風選)している。 そうすると、引用例1の発明において、第2唐箕23の選別風路をグレンシーブ2の下方に形成し、第2唐箕23を補助唐箕とすることは当業者なら容易に想到することができることであり、その際、唐箕の大きさは、必要とする風量や唐箕の形式等を考慮して当業者が容易に決定できることであるから、引用例1の発明において、唐箕18を第2唐箕23より大径に構成し、第2唐箕23を、側面視で唐箕18の上半部の前方に近接して配置するとともに、その送風路をグレンシーブ2の下方に形成して、本願発明のように構成することは当業者なら容易にできることである。 そして、本願発明が奏する効果は、引用例1ないし4に記載された発明から予測できる程度のことであって格別顕著なものではない。 したがって、本願発明は、引用例1ないし4に記載された発明に基いて当業者なら容易に発明をすることができたものである。 4.むすび したがって、本願発明は、引用例1ないし4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、他の請求項について検討するまでもなく、本願は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2005-03-23 |
結審通知日 | 2005-04-12 |
審決日 | 2005-06-16 |
出願番号 | 特願平3-232321 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(A01F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 山田 昭次 |
特許庁審判長 |
藤井 俊二 |
特許庁審判官 |
川島 陵司 渡戸 正義 |
発明の名称 | 脱穀装置 |