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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G11B |
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管理番号 | 1122335 |
審判番号 | 不服2003-7843 |
総通号数 | 70 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1994-01-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2003-05-06 |
確定日 | 2005-09-16 |
事件の表示 | 平成 4年特許願第200615号「記録再生装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 6年 1月28日出願公開、特開平 6- 20449、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、平成4年7月4日の特許出願であって、その請求項1、2に係る発明は、平成15年6月3日付けの手続補正により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1、2に記載された次のとおりのものと認める。 「【請求項1】 オーデイオデータを一つの連続したデータ記録領域又は複数の異なるデータ記録領域に記録するようになされ、記録された上記オーデイオデータそれぞれについての上記データ記録領域の開始アドレス及び終了アドレス、並びに当該オーデイオデータが複数の上記データ記録領域に分散して記録されている場合における当該終了アドレスから続く上記データ記録領域の上記開始アドレスを記録したアドレスを示すリンクポインタからなるアドレス情報を記録したアドレステーブルと、記録された上記オーデイオデータそれぞれについての先頭の上記データ記録領域の上記開始アドレスを記録したアドレスを示す開始アドレスポインタとが少なくとも記録されている記録媒体に対応した記録再生装置において、 上記記録媒体からデータを再生する再生手段と、 上記再生手段によつて読み出された上記アドレステーブルを記憶する記憶手段と、 上記記憶手段に記憶された上記アドレステーブルの上記アドレス情報を上記開始アドレスの昇降順に並べ替えるとともに、当該並べ替えに基づいて上記アドレス情報の上記リンクポインタを更新する制御手段と、 上記制御手段によつて並べ替えられた上記アドレス情報を、上記記録媒体の上記アドレステーブルに再度記録する記録手段と を具えることを特徴とする記録再生装置。 【請求項2】 上記制御手段は、上記記憶手段に記憶された上記アドレステーブルの上記アドレス情報の並べ替えに基づいて上記開始アドレスポインタを更に更新し、 上記記録手段は、上記更新された開始アドレスポインタを更に上記記録媒体に再度記録する ことを特徴とする請求項1に記載の記録再生装置。」 なお、請求項1において「上記読出手段」とあるのは、「上記再生手段」の誤記であることは明らかであるので、上記のように認定した。 2.原査定の拒絶の理由の概要 一方、原査定の拒絶の理由は、概要以下のとおりである。 本願の請求項1及び2に係る発明は、次の各引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用例1:特開昭63-214985号公報 引用例2:特開平4-88419号公報 また、前置報告書には周知例として、次のものが挙げられている。 周知例 :特開平2-281322号公報 3.引用例の記載事項 上記各引用例に記載乃至開示されている事項は、以下のとおりである。 <引用例1> 絶対アドレスを与えた記録可能ディスクに演奏情報等のデータを記録するディスク記録再生装置において、上記記録可能ディスクのリードイン領域に記録されたTOC(Table Of Contents)情報(プログラム領域に記録した各情報単位領域の開始アドレスデータと終了アドレスデータ)をTOCバッファメモリに記憶後、上記TOC情報に基づいて上記プログラム領域の未記録部分や不要記録部分等の記録可能領域を検出して、記録可能領域の長さを小さい順に表示し、上記記録可能ディスクの空き領域を検出し、該空き領域にデータを記録した後、追加記録に基づき更新された上記TOC情報を上記TOCバッファメモリから上記ディスクのリードイン領域へ記録するディスク記録再生装置。 <引用例2> 光磁気ディスク媒体の空き領域管理方式に関し、該ディスク媒体に記録されたボリューム管理情報(対応する各論理ボリュームの開始アドレス及び終了アドレス等)が、昇順に並んでいること(特に、第5図)。 <周知例> 追加書き込み型補助記憶媒体のファイル管理方法に関し、該記憶媒体のファイルデータ管理領域に、ファイルが分散して記録される場合には、次に続く記録領域を示す連結ポインタを記録すること。 4.対比・判断 (1)請求項1に係る発明について 引用例1に記載されたものにおける「演奏情報等のデータ」、及び「プログラム領域」は、それぞれ、請求項1に係る発明における「オーディオデータ」、及び「データ記録領域」に相当する。引用例1に記載の「TOC情報」は、プログラム領域(データ記録領域)のアドレス情報が記録されるものであるから、その意味で、請求項1に係る発明における「アドレステーブル」と共通する。また、引用例1に記載されたものにおける「TOCバッファメモリ」は、「TOC情報」(アドレステーブル)に記憶するものであるから、その意味で、請求項1に係る発明における「記憶手段」に相当する。引用例1に記載されたものは、更新されたTOC情報(アドレステーブル)を記録可能ディスクのリードイン領域に再度記録するものであるから、その意味での「記録手段」を備えるものである。 そうすると、引用例1には、請求項1に係る発明と対比すると、「オーデイオデータを一つの連続したデータ記録領域に記録するようになされ、記録された上記オーデイオデータそれぞれについての上記データ記録領域の開始アドレス及び終了アドレスからなるアドレス情報を記録したアドレステーブルが少なくとも記録されている記録媒体に対応した記録再生装置において、上記記録媒体からデータを再生する再生手段と、上記再生手段によって読み出された上記アドレステーブルを記憶する記憶手段と、更新された上記アドレステーブルのアドレス情報を上記記録媒体の上記アドレステーブルに記録する記録手段を具えた記録再生装置」は開示されているとしても、請求項1に係る発明における「オーデイオデータを複数の異なるデータ記録領域に記録するようになされ、オーデイオデータが複数の上記データ記録領域に分散して記録されている場合における当該終了アドレスから続く上記データ記録領域の上記開始アドレスを記録したアドレスを示すリンクポインタからなるアドレス情報を記録したアドレステーブルと、記録された上記オーデイオデータそれぞれについての先頭の上記データ記録領域の上記開始アドレスを記録したアドレスを示す開始アドレスポインタとが記録されている記録媒体」については何ら記載もしくは示唆されておらず、また、「上記記憶手段に記憶された上記アドレステーブルの上記アドレス情報を上記開始アドレスの昇降順に並べ替えるとともに、当該並べ替えに基づいて上記アドレス情報の上記リンクポインタを更新する」ことについても何ら記載されていない。 この点に関し、引用例2には、記録媒体上に記録された「アドレステーブルのアドレス情報」が昇順に並んでいることが記載されているが、請求項1に係る発明における「アドレス情報を開始アドレスの昇降順に並べ替えるとともに、当該並べ替えに基づいて上記アドレス情報のリンクポインタを更新する点」については何ら記載されておらず、また、記録媒体に記録された「アドレステーブルのアドレス情報」が昇順に並んでいない状態から昇順に並べ替えることを示唆する記載もない。 周知例には、「データが複数のデータ記録領域に分散して記録されている場合における当該終了アドレスから続く上記データ記録領域の開始アドレスを記録したアドレスを示すリンクポインタ」が記載されているが、請求項1に係る発明における「アドレステーブルのアドレス情報を開始アドレスの昇降順に並べ替えるとともに、当該並べ替えに基づいて上記アドレス情報のリンクポインタを更新する」ことについては何ら記載もしくは示唆されていない。 結局、引用例1、引用例2、及び周知例の何れにも、請求項1に係る発明の構成である「記憶手段に記憶されたアドレステーブルのアドレス情報を開始アドレスの昇降順に並べ替えるとともに、当該並べ替えに基づいて上記アドレス情報のリンクポインタを更新する」こと、及び「開始アドレスの昇降順に並べ替えられた上記アドレス情報を、記録媒体のアドレステーブルに再度記録する」ことについては、何ら記載もしくは示唆されていない。また、引用例1、引用例2、及び周知例を組み合わせても請求項1に係る発明の上記構成は導出され得ない。さらに、請求項1に係る発明の上記構成を当業者の技術常識であるとする根拠も見当たらない。 そして、請求項1に係る発明は、記録媒体上で無秩序に並んだアドレステーブルのアドレス情報をメモリに記憶し、記憶された上記アドレステーブルの上記アドレス情報を開始アドレスの昇降順に並べ替えることにより、データ記録領域の空き領域を簡単に検出できる等明細書記載の効果を奏するものである。 したがって、請求項1に係る発明は、引用例1及び引用例2に記載された発明、及び周知例に記載された技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 (2)請求項2に係る発明について 請求項2に係る発明は請求項1に係る発明を引用するものであるから、請求項1に係る発明が、上記のように、引用例1及び引用例2に記載された発明、及び周知例に記載された技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることができない以上、請求項2に係る発明も、引用例1及び引用例2に記載された発明、及び周知例に記載された技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 5.むすび 以上のとおりであるから、本願は、原査定の拒絶の理由によって拒絶すべきものであるとすることはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2005-09-06 |
出願番号 | 特願平4-200615 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(G11B)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 山崎 達也 |
特許庁審判長 |
片岡 栄一 |
特許庁審判官 |
山澤 宏 山田 洋一 |
発明の名称 | 記録再生装置 |
代理人 | 田辺 恵基 |