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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01R
管理番号 1122356
審判番号 不服2002-4077  
総通号数 70 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1994-04-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-03-07 
確定日 2005-08-25 
事件の表示 平成 4年特許願第255269号「配線器具」拒絶査定不服審判事件〔平成 6年 4月22日出願公開、特開平 6-111895号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成4年9月25日の出願であって、その請求項1に係る発明は、特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。(以下、「本願発明」という。)
「一面が開口する箱形のボディと、ボディの開口面に覆設されるカバーと、プラグの接触子が抜き差しされるコンセント口を有し、ボディ及びカバーの両側面に開口する開口部にそれぞれ配設される受口カバーとで外郭を構成し、外部の電線と接続される端子板をボディ及びカバーの内部に配設するとともに、コンセント口から差し込まれたプラグの接触子を受ける刃受ばねを端子板に設けるとともに電線の導体と接触接続する接触片を端子板と一体に形成し、受口カバーの内側にコンセント口を閉塞する扉を開閉自在に設け、受口カバーの両側にそれぞれリブを形成するとともに当該リブをボディ及びカバーの開口部の縁部にそれぞれ係止固定して成ることを特徴とする配線器具。」

2.引用例
原査定の拒絶の理由に引用された、実願昭50-15344号(実開昭51-95797号)のマイクロフィルム(以下、「引用例1」という。)、実願昭56-129740号(実開昭58-35279号)のマイクロフィルム(以下、「引用例2」という。)、実公昭60-20307号公報(以下、「引用例3」という。)には、次の事項が図面と共に記載されている。
(1)引用例1
ア)「異方向に外部と連通する複数個の開口6,6,6を同一面上に設けた器体1を形成し、夫々の開口6,6,6に対応した刃受金具7,7,7と該刃受金具7,7,7相互間を導通しかつ外部コード5を接続する端子金具8,8とを該器体1に装着すると共に、プラグ4のさし込み口3,3を具備した受口部品9,9,9を形成して前記夫々の開口6,6,6に嵌着してそのさし込み口3,3方向を器体1の底面と平行させ、前記器体1の開口6,6,6と対応する開口10,10,10を具備した蓋体11との間で前記受口部品9,9,9を挾着してなる接続器」(2頁8行〜19行)
イ)「尚12はくぼみで器体1および蓋体11の外表面に形成し、くぼみ12中に器体1と蓋体11間に連通する孔13を設けて、該器体1と蓋体11とを結合する。14はプラグ4の栓刃である。15は導電板で刃受金具7,7,7と端子金具8,8間を導電接続する。16は受口部品9に形成した栓刃14のガイド壁である。17は受口部品9に形成した突起であり器体1と蓋体11との夫々にかみ合うようにしてある。18はコード引き入れ口でコード5をほゞW形に屈曲して端子金具8,8に接続できるようにしてある。19は受口部品に設けた鍔である。」(3頁1行〜11行)
ウ)第2図〜第4図には、一面が開口する器体1と、器体1の開口面に覆設される蓋体11と、器体1の3つの側面の開口6,6,6と蓋体11の3つの側面の開口10,10,10の間に配設される受口部品9,9,9を備えた接続器が図示されている。
上記ア)〜ウ)の記載事項からみて、引用例1には次の発明が記載されていると認められる。(以下、「引用発明1」という。)
「一面が開口する器体1と、器体1の開口に覆設される蓋体11と、プラグ4の栓刃14が抜き差しされるさし込み口3,3を有し、器体1及び蓋体11の3つの側面の開口6,6,6と開口10,10,10の間に配設される受口部品9,9,9とで外郭を構成し、外部コード5を接続する端子金具8,8、導電板15は器体1に装着され、刃受金具7,7,7は導電板15を介して端子金具8,8に導電接続され、突起17が受口部品9,9,9に形成され、この突起17が器体1と蓋体11との夫々にかみ合わされている接続器。」
(2)引用例2
エ)「(1)刃受ばねを収めた器体と、一対の栓刃挿入孔を形成すると共に裏面に凹所を形成しこの器体と組み合わせて容器を形成する蓋体と、この凹所に収め夫々の栓刃挿入孔に対応した傾斜面を有する一対の扉体と、この凹所に嵌合すると共に栓刃挿入孔を塞ぐように夫々の扉体を寸勢する復帰ばねを一体形成した中蓋とからなる扉付コンセント。」(実用新案登録請求の範囲)
オ)「9a,9bは一対の扉体であり、凹所6に収め夫々栓刃挿入孔4a,4bに対応した傾斜面10a,10bを有する扉部11a,11bと当接部12a,12bとを有し、扉部11aの下には当接部12bを位置させ、扉部11bの下には当接部12aを位置させることによって一対のプラグ栓刃(図示せず)を同時に差し込み、扉部11a,11bを同時に開いた場合のみプラグ栓刃が刃受ばね2に接続できるものである。」(2頁12行〜20行)
上記エ)〜オ)の記載事項からみて、引用例2には次の発明が記載されていると認められる。(以下、「引用発明2」という。)
「蓋体の裏面凹所に、栓刃挿入孔を塞ぐように扉体を開閉自在に設けた扉付コンセント。」
(3)引用例3
カ)「第7図に示すようにコンセント本体5内に設けた受刃17を、コンセント本体5の前面と後面からプラグ18を挿入できるように受刃受口19を両面に形成している。また受刃17の側部には配線コード12を接続するための端子板20と端子板20内に設けた錠ばね21とを形成し、この錠ばね21と端子板20内壁との間に配線コード12の先端部を挿入して錠ばね21で弾接挾持する。」(2頁3欄16行〜24行)
上記カ)の記載事項からみて、引用例3には次の発明が記載されている。
「受刃17の側部に、端子板20と端子板20内に設けた錠ばね21を形成しているコンセント。」(以下、「引用発明3」という。)

3.対比
本願発明と引用発明1とを比較すると、引用発明1の「器体1」、「蓋体11」、「栓刃14」、「さし込み口3,3」、「開口6,6,6及び開口7,7,7」、「受口部品9,9,9」、「外部コード5」、「刃受金具7,7,7」、「接続器」は、その機能、構成からみて、本願発明の「箱形のボディ」、「カバー」、「接触子」、「コンセント口」、「開口部」、「受口カバー」、「外部の電線」、「刃受ばね」、「配線器具」に各々相当し、引用発明1の「端子金具8,8」は、外部コードと接触接続するから、本願発明の「接触片」に相当し、また、引用発明1の「導電板15」は、端子金具8,8と刃物金具7,7,7を導電接続するから、本願発明の「端子板」に相当する。
したがって、両者は、本願発明の用語を用いて表現すると、
「一面が開口する箱形のボディと、ボディの開口面に覆設されるカバーと、プラグの接触子が抜き差しされるコンセント口を有し、ボディ及びカバーの側面に開口する開口部にそれぞれ配設される受口カバーとで外郭を構成し、外部の電線と接続される端子板をボディ及びカバーの内部に配設するとともに、コンセント口から差し込まれたプラグの接触子を受ける刃受ばねを端子板に設けるとともに電線の導体と接触接続する接触片を端子板に
導電接続した配線器具。」で一致し、次の点で相違する。
<相違点1>
本願発明は、受口カバーが配設される開口部をボディ及びカバーの両側面に開口しているのに対して、引用発明1は、該開口部をボディ及びカバーの3つの側面に開口している点。
<相違点2>
本願発明は、電線の導体と接触接続する接触片を端子板と一体に形成しているのに対して、引用発明1は、接触片を端子板と一体には形成していない点。
<相違点3>
本願発明は、受口カバーの内側にコンセント口を閉塞する扉を開閉自在に設けているのに対して、引用発明1は該扉を備えていない点。
<相違点4>
本願発明は、受口カバーの両側にそれぞれリブを形成するとともに当該リブをボディ及びカバーの開口部の縁部にそれぞれ係止固定しているのに対して、引用発明1は、受口カバーに突起17を設け、この突起17をボディとカバーに夫々かみ合わせている点。

4.当審の判断
<相違点1>について
受口カバーを配線器具の両側面に設けることは当該技術分野において周知の技術であるから(例えば、実公昭60-20307号公報参照)、受口カバーが配設される開口部をボディ及びカバーの両側面に開口することは、当業者の容易に想到し得たことある。
<相違点2>について
引用発明3の端子板20は、電線の導体と接触し、また、受刃17と接触していることから、本願発明の接触片と端子板を兼ねているものであり、接触片と端子板を一体に形成していると云える。また、一般的に複数の部材を一体に形成し、コストダウンを図り、また、部材をよりコンパクトにすることは常套手段である。
したがって、電線の導体と接触接続する接触片を端子板と一体に形成することは、当業者の適宜なし得た設計的事項である。
<相違点3>について
引用発明2の「蓋体の裏面凹所」、「栓刃挿入孔」、「コンセント」は、その機能、構成からみて、本願発明の「受口カバーの内側」、「コンセント口」、「配線器具」に相当するから、引用発明2は、「受口カバーの内側にコンセント口を閉塞する扉を開閉自在に設けている配線器具」の発明と云える。
したがって、配線器具において、受口カバーの内側にコンセント口を閉塞する扉を開閉自在に設けることは、当業者の容易に想到し得たことである。
<相違点4>について
引用発明1の「突起17」は、その機能、構造からして、本願発明の「リブ」に相当し、引用発明1の「突起17をボディとカバーに夫々かみ合わせる」ということは、突起17をボディとカバーに夫々係止固定するということである。
そして、部材に突起を設け、部材を、突起によって他の部材の開口部に係止固定する場合、突起を開口部の縁部に係合固定することは当業者であれば通常考えることであるから、受口カバーの両側にそれぞれリブを形成するとともに当該リブをボディ及びカバーの開口部の縁部にそれぞれ係止固定する程度のことは、当業者の容易になし得た設計的事項である。
なお、本願発明が奏する作用、効果は当業者の予測し得る範囲のものである。

5.まとめ
以上のとおり、本願発明は、引用発明1〜3及び周知の技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
とって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-06-21 
結審通知日 2005-06-28 
審決日 2005-07-11 
出願番号 特願平4-255269
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01R)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小谷 一郎稲垣 浩司  
特許庁審判長 阿部 寛
特許庁審判官 和泉 等
下原 浩嗣
発明の名称 配線器具  
代理人 西川 惠清  
代理人 森 厚夫  

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