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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B41F |
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管理番号 | 1122770 |
審判番号 | 不服2003-1257 |
総通号数 | 70 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1994-11-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2003-01-21 |
確定日 | 2005-09-08 |
事件の表示 | 平成 5年特許願第144408号「印刷装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 6年11月29日出願公開、特開平 6-328667〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、平成5年5月25日の出願であって、その請求項1及び2に係る発明は、平成14年5月29日付の手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1及び2に記載されたとおりのものと認められるところ、そのうち、請求項1に係る発明は、次の特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものと認める(ただし、「帯状印刷用紙を搬送されながら」は、「帯状印刷用紙が搬送されながら」の誤記と認定した。以下、「本願発明」という。)。 「帯状印刷用紙が搬送されながら印刷面に紫外線硬化インキで印刷し、印刷後に紫外線乾燥器により印刷面に紫外線を照射して紫外線硬化インキを硬化させるようにした印刷装置において、 前記紫外線乾燥器の印刷用紙の入口位置にエア吹出管を設けると共に、前記紫外線乾燥器の印刷用紙の出口位置にエア吸引管を設けて、 紫外線の照射路を横断するようにエア流を形成し、 前記エア吹出管は、一端が圧縮エア源に連通する円筒管の外側に三角筒管または四角筒管を設けて二重管構造に構成して前記円筒管と前記三角筒管または四角筒管との間に空間を形成し、前記円筒管にはその軸方向に沿って前記空間にエアを吹き出すエア吹出口を形成すると共に、前記円筒管のエア吹出口とは反対方向に位置する前記三角筒管または四角筒管に外部に通じるエア吹出口を形成して成ることを特徴とする印刷装置。」 2.引用例 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願日前の昭和63年4月7日に頒布された実願昭61-143461号(実開昭63-51661号)のマイクロフィルム(以下、「引用例」という。)には、本願発明に関連する事項として、以下の事項が記載されている。 ア.「一端部側面にエアの導入部を設けた内部円筒ノズルと、これを包囲する外部角型ノズルとで二重ノズルを形成し、外部角型ノズルの一隅角に長手方向に沿ってエアの吹出口を形成し、この外部角型ノズルの吹出口形成位置から最も離れた内部円筒ノズルの所定位置にエア整流用の開口部を形成したことを特徴とするエアカーテン用ノズル。」(実用新案登録請求の範囲) イ.「本考案は、窒素ガスや空気の如き流体(以下単にエアという)を噴出させるノズルに関し、各種商品の水切り・乾燥や気体の遮蔽幕等として広く利用されるエアカーテン用ノズルである。」(1頁15〜末行) ウ.「図中符号1は丸パイプ状の内部円筒ノズル、2は角パイプ状の外部角型ノズルで、・・・内部円筒ノズル1の一端部側面には、コンプレッサー等と継続するエアの導入部3が設けられており、この導入部3から内部円筒ノズル1に入ったエアは整流用の開口部4を通過して内部円筒ノズルから流出し、外部角型ノズル2の吹出口5から均一な吹出しがなされる。」(3頁末行〜4頁8行) エ.第4及び5図から、一端がエアの導入部3に連通する円筒ノズル1の外側に四角筒管である外部角型ノズル2を設けて二重管構造に構成して前記円筒ノズル1と前記四角筒管である外部角型ノズル2との間に空間を形成し、前記円筒ノズル1はその軸方向に沿って前記空間にエアを吹き出す開口部4を形成すると共に、前記円筒ノズル1の開口部4とは反対方向に位置する前記四角筒管である外部角型ノズル2に外部に通じる吹出口5を形成して成るエアーカーテン用ノズルが看取できる。 以上の記載を含む上記引用例には、以下の発明が記載されている。 「一端がコンプレッサー等と継続するエアの導入部3に連通する円筒ノズル1の外側に四角筒管である外部角型ノズル2を設けて二重管構造に構成して前記円筒ノズル1と前記四角筒管である外部角型ノズル2との間に空間を形成し、前記円筒ノズル1はその軸方向に沿って前記空間にエアを吹き出す開口部4形成すると共に、前記円筒ノズル1の開口部4とは反対方向に位置する前記四角筒管である外部角型ノズル2に外部に通じる吹出口5を形成して成るエアーカーテン用ノズル。」(以下、「引用例発明」という。) 3.対比・判断 本願発明と上記引用例発明とを対比する。 引用例発明の「エアーカーテン用ノズル」は、本願発明の「エア吹出管」に相当し、したがって、引用例発明の「エアーカーテン用ノズル」における「一端がコンプレッサー等と継続するエアの導入部3に連通する円筒ノズル1」及び「四角筒管である外部角型ノズル2」は、それぞれ、本願発明の「一端が圧縮エア源に連通する円筒管」及び「四角筒管」に相当している。 そうすると、両者は、「エア吹出管が、一端が圧縮エア源に連通する円筒管の外側に三角筒管または四角筒管を設けて二重管構造に構成して前記円筒管と前記三角筒管または四角筒管との間に空間を形成し、前記円筒管にはその軸方向に沿って前記空間にエアを吹き出すエア吹出口を形成すると共に、前記円筒管のエア吹出口とは反対方向に位置する前記三角筒管または四角筒管に外部に通じるエア吹出口を形成して成るもの」である点で一致し、以下の点で相違している。 [相違点] A.エア吹出管が、本願発明では、帯状印刷用紙が搬送されながら印刷面に紫外線硬化インキで印刷し印刷後に紫外線乾燥器により印刷面に紫外線を照射して紫外線硬化インキを硬化させるようにした印刷装置における、前記紫外線乾燥器の印刷用紙の入口位置に設けられるエア吹出管として使用されているのに対して、引用例発明では、エアカーテン用ノズルとして使用される点。 B.本願発明では印刷装置の紫外線乾燥機の印刷用紙の出口位置にエア吸引管を設けているのに対して、引用例発明では、かかる構成を備えていない点。 [相違点の判断] 以下、相違点A及びBについて検討するに、帯状印刷用紙が搬送されながら印刷面に紫外線硬化インキで印刷し、印刷後に紫外線乾燥器により印刷面に紫外線を照射して紫外線硬化インキを硬化させるようにした印刷装置において、前記紫外線乾燥器の印刷用紙の入口位置にエア吹出管を設けると共に前記紫外線乾燥器の印刷用紙の出口位置に排気管を設けて紫外線の照射路を横断するようにエア流を形成する手段を備えることは、例えば、特開昭55-118865号公報にみられるように周知であり、また、かかる紫外線の照射路を横断するようにエア流を形成する手段のエア吹出管は、エアの吹き出しが均等になされるべきことが当然の課題であるから、相違点Aのように、エアの吹き出しが均等であるエア吹出管として公知の引用例発明のエア吹出管を、かかるエア吹出管に採用すること、また、その際、エア流の形成が確実になるように、相違点Bの如く、紫外線乾燥機の印刷用紙の出口位置に排気管に替えてエア吸引管を設けること、いずれも、当業者が適宜考えつく範囲のことにすぎなく、その作用効果も格別のものでない。 以上のとおりであるから、本願発明は、引用例発明と周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 4.むすび 本願発明が特許を受けることができない以上、本願のその余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶を免れない。 よって結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2005-07-12 |
結審通知日 | 2005-07-13 |
審決日 | 2005-07-26 |
出願番号 | 特願平5-144408 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(B41F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 小菅 一弘 |
特許庁審判長 |
番場 得造 |
特許庁審判官 |
谷山 稔男 砂川 克 |
発明の名称 | 印刷装置 |