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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04N |
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管理番号 | 1122801 |
審判番号 | 不服2003-12576 |
総通号数 | 70 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1996-04-12 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2003-07-03 |
確定日 | 2005-09-08 |
事件の表示 | 平成 6年特許願第234839号「固体撮像装置の制御方法」拒絶査定不服審判事件〔平成 8年 4月12日出願公開、特開平 8- 98092〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.経緯 (1)手続 本願は、平成6年9月29日の出願である。 (2)査定 原査定の理由は、概略、下記のとおりである。 記(査定の理由) 本願発明は、下記刊行物(引用例という)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 記 引用例1:特開平5-276448号公報 引用例2:特開昭63-266975号公報 引用例3:特開平2-194780号公報 引用例4:特開平6-141243号公報 (3)当審の拒絶の理由の通知 当審は、平成17年4月14日付けで、原査定の理由とは異なる拒絶の理由を通知した。その理由は、概略、下記のとおりである。 記(当審が通知した拒絶の理由) 本願の請求項2に係る発明は、下記刊行物に記載された各発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 記 刊行物1:特開平4-335573号公報 刊行物2:特開平5-276448号公報(査定の引用例1と同じ) 刊行物3:特開昭62-237872号公報 刊行物4:特開昭63-10889号公報 2.本願発明 本願の請求項1および請求項2に係る発明は、本願明細書および図面(平成14年11月25日付け、平成15年8月4日付け、および平成17年6月20日付けの各手続補正書により補正された明細書および図面)の記載からみて、それぞれ、特許請求の範囲の請求項1および請求項2に記載したとおりのものであると認められるところ、そのうち、請求項2に係る発明(本願発明ともいう)は、以下のとおりである。 記(請求項2に係る発明) 入射光量に応じて信号電荷を発生する感光素子を主走査方向に多数配列した感光素子列と、前記感光素子列の出力側に複数並列配置され、前記感光素子列からの信号電荷を順次転送するシフトレジスタと、前記シフトレジスタ間で電荷の受け渡しを行うための複数のゲート手段と、前記複数のシフトレジスタのうちの最も外側のシフトレジスタの配列方向に沿って配置されたドレインとを有する固体撮像装置の制御方法であって、 前記最も外側のシフトレジスタ以外の各シフトレジスタの暗時成分を全て1ライン毎に前記最も外側のシフトレジスタへ移送して前記ドレインへ排出した後、 前記感光素子を主走査方向に多数配列した感光素子列からの信号電荷を前記各シフトレジスタへ移送することを特徴とする固体撮像装置の制御方法。 3.当審の判断 (1)刊行物の記載 当審が拒絶の理由に引用した上記刊行物3および刊行物2には、各々、以下の記載が認められる。 (a)刊行物3(特開昭62-237872号公報) (ア)「[産業上の利用分野] 本発明はCCD・・・等の固体撮像素子における暗電流を低消費電力で除去することができる固体撮像装置に関する。」(1頁右下欄2行〜5行) (イ)「第6図は本発明の第2実施例における単相駆動フルフレーム型CCDを示し、例えばこれを第3図に示す電子カメラシステムに適用する第6図において、201はイメージ部CCD、202は第1水平CCD、203は第2水平CCD、204は第1水平CCD202の水平駆動パルス、205は第2水平CCD203の水平駆動パルス、209はクリアドレインである。206a.b.cはゲートCCDであって、イメージ部CCD201と第1水平CCD202との間、第1水平CCD202と第2水平CCD203との間および第2CCD203とクリアドレイン209との間に各々設けられている。211は垂直駆動パルス、212はゲートCCD駆動パルスである。なお、ゲートCCD206aには、イメージ部CCD201の奇数列の最下行の画素のみが直接接続しており、イメージ部CCD201の偶数列の最下行の画素は垂直方向において転送領域210を介して奇数列の最下行の画素に接続されている。207は第1出力アンプ、208は第2出力アンプであって、各々第1水平CCD202および第2水平CCD203の出力端に接続されている。・・・イメージ部CCD201の奇数列の画素の電荷は第2水平CCD203より、偶数列の画素の電荷は第1水平CCD202より出力されるようになっている。」(3頁右上欄1行〜左下欄8行) (ウ)「第8図は第2実施例のタイミングチャートであり、時刻T1においてレリーズ信号が立上り、T1〜T2において垂直駆動パルス、ゲート駆動パルスおよび水平駆動パルスを図のごときタイミングで駆動することによって、前述(第7図)と同様にして不要暗電流電荷はゲートCCD206a、第1水平CCD202、ゲートCCD206b、第2CCD203、ゲートCCD206cを介してクリアドレイン209まで垂直転送され排除される。」(3頁右下欄14行〜4頁左上欄2行) (エ)「第7図はイメージ部CCD201における奇数列と偶数列の画素の電荷を2つの水平CCD202および203に分配するときの(記録期間の開始時期における)駆動タイミングを示したものであって、水平駆動パルスとゲートパルスを2相駆動することによって電荷を分配している。すなわち、時刻T1はイメージ部CCD201の最下行奇数列の画素および最下行偶数列の画素に画像情報AおよびBが各々蓄積された状態を示し、時刻T2はゲートCCD駆動パルスオンによって情報AがゲートCCD206aに転送され、情報Bが転送領域210に転送された状態を示し、時刻T3では情報Aが第1水平CCD202に、情報Bが最下行奇数列の画素に各々転送された状態を示し、時刻T4では情報AがゲートCCD206bに、情報BがゲートCCD206aに各々転送された状態を示し、時刻T5では情報Aが第2水平CCD203に、情報Bが第1水平CCD202に各々転送され、さらに垂直転送パルスオンによって最下行奇数列および偶数列に次の画像情報A’およびB’が転送された状態を示している。次の段階では、水平駆動パルスを高速駆動して第1および第2水平CCD202および203内の情報を出力端に高速転送する。」(3頁左下欄11行〜右下欄13行) (オ)「107はクリアゲート106を介して水平CCD102に接続されたクリアドレインであって、クリアゲート106をクリアゲート駆動パルス108によって開閉駆動することによって、後述するようなタイミングでクリアゲート6を介して水平CCD102内の不要電荷を受け入れて除去する。第5図は本実施例のタイミングチャートであり、これを用いて本実施例の動作を説明する。時刻T1にてレリーズ信号が立上ると、クリアゲート駆動パルスが立上がる。これによって水平CCD102中の電荷はクリアドレイン107に除去されるようになる。・・・なお、クリアゲート106はT1からT2まで開状態としておくので、T2以後T4まで(撮像期間およびサーボロック待ち期間)水平CCD102を駆動することなく同水平CCD102の不要暗電流を除去することができる。」(2頁右下欄18行〜3頁左上欄19行) (b)刊行物2(特開平5-276448号公報) (カ)「図29は、従来のCCDリニアイメージセンサの一例を示す、半導体基板上の平面構成図である。列状に配設された光電変換部である画素1で発生した信号電荷を2つのCCDレジスタ3、5で読出すいわゆる2線読出しの場合を示している。シフトゲート2は全画素に対応し、トランスファーゲート4は、上記一列の画素の1つおきに設けられている。各電極に所定の駆動パルスを印加することにより、図29に矢印で示すように奇数番目の画素からの信号電荷は外側のCCDレジスタ5へ、偶数番目の画素からの信号電荷は内側のCCDレジスタ3へ移され、各々CCDレジスタ3、5内を転送されて出力バッファ6、7を介して外部に出力される。」(段落0004) (2)本願発明と刊行物3に記載された発明との対比 (a)刊行物3に記載された単相駆動フルフレーム型CCDは「固体撮像装置」と呼ぶべきものである(記載ア)。 (b)この単相駆動フルフレーム型CCDはイメージ部CCD(201)を備えるところ、このイメージ部CCD(201)は光量に応じた画像情報を蓄積するm行n列のアレイ状のCCDで構成されている(記載イ、第1頁右下欄10行〜15行)。 本願発明にいう「入射光量に応じて信号電荷を発生する感光素子を主走査方向に多数配列した感光素子列」を副走査方向に複数行(m行)配列した構成(m行n列のアレイ状)が開示されている。 (c)イメージ部CCD(201)の最下行(出力側)には、2つの水平CCD(第1水平CCD(202)と第2水平CCD(203))が並列して配置されており、イメージ部CCD(201)の奇数列の画素の電荷は第2水平CCD(203)より、偶数列の画素の電荷は第1水平CCD(202)より出力される(記載イ)。 本願発明にいう「感光素子列の出力側に複数並列配置され、感光素子列からの信号電荷を順次転送するシフトレジスタ」を備える構成が開示されている。 (d)イメージ部CCD(201)と第1水平CCD(202)との間にはゲートCCD(206a)が、第1水平CCD(202)と第2水平CCD(203)との間にはゲートCCD(206b)が、第2水平CCD(203)とクリアドレイン(209)との間にはゲートCCD(206c)が、各々設けられている(記載イ)。 ゲートCCD(206b)は、本願発明にいう「シフトレジスタ間で電荷の受け渡しを行うためのゲート手段」に相当する。クリアドレイン(209)は、本願発明にいう「複数のシフトレジスタのうちの最も外側のシフトレジスタの配列方向に沿って配置されたドレイン」に相当する。 (e)第8図によれば、時刻T1においてレリーズ信号が立ち上がると、まず、暗電流除去期間(T1〜T2)において暗電流が除去され、その後、撮像期間(T2〜T3)およびサーボロック待ち時間(T3〜T4)を経て、時刻T4から始まる記録期間の開始期間において、イメージ部CCD(201)における奇数列と偶数列の画素の情報が2つの水平CCD(202、203)に分配される(記載ウ、第8図)。このような分配は、上記開始期間の垂直駆動パルス(1個)、ゲートCCD駆動パルス(2個)および水平駆動パルス(2個)により行なわれることは、上記記載エおよび第7図の記載から明らかである。 本願発明にいう「暗時成分を全て排出した後、感光素子を主走査方向に多数配列した感光素子列からの信号電荷を各シフトレジスタへ移送する」構成が開示されている。 (f)暗電流除去期間(T1〜T2)では、第8図に図示のごとく垂直駆動パルス、ゲートCCD駆動パルスおよび水平駆動パルスが供給され、この間、第7図に示されるような情報(A、B)の転送が繰り返される。すなわち、内側の第1水平CCDに存在していた情報を外側の第2水平CCDに転送し、外側の第2水平CCDに存在していた情報をクリアドレイン転送することが、1ラインの偶数列分(奇数列分)について一括して繰り返される。なお、この期間(T1〜T2)に除去される暗電流が水平CCDの不要暗電流であることは、記載オからも明らかである。 ここでの暗電流の除去は、本願発明にいう「最も外側のシフトレジスタ以外の各シフトレジスタの暗時成分を全て1ライン毎に最も外側のシフトレジスタへ移送してドレインへ排出(した後)」することに相当する。 (3)一致点・相違点 本願発明と刊行物3記載の発明との一致点および相違点は以下のとおりである。 記(一致点) 入射光量に応じて信号電荷を発生する感光素子を多数配列した感光素子列と、感光素子列の出力側に複数並列配置され、感光素子列からの信号電荷を順次転送するシフトレジスタと、シフトレジスタ間で電荷の受け渡しを行うためのゲート手段と、複数のシフトレジスタのうちの最も外側のシフトレジスタの配列方向に沿って配置されたドレインとを有する固体撮像装置の制御方法であって、 最も外側のシフトレジスタ以外の各シフトレジスタの暗時成分を全て1ライン毎に前記最も外側のシフトレジスタへ移送して前記ドレインへ排出した後、 感光素子を多数配列した感光素子列からの信号電荷を各シフトレジスタへ移送することを特徴とする固体撮像装置の制御方法。 記(相違点) 相違点1 本願発明では、「感光素子列」が「感光素子を主走査方向に多数配列した」構成(1行)であるのに対して、刊行物3では「感光素子列」は「感光素子を主走査方向に多数配列した」構成を副走査方向に複数行配列した構成(m行n列のアレイ状)である点。 相違点2 ゲート手段の個数が、本願発明では「複数」であるのに対して、刊行物3には「複数」であるとの記載はない点。 (4)相違点等の判断 (4-1)上記相違点1について判断する。 (a)刊行物3記載の固体撮像装置は、イメージ部CCDの最下行を2つの水平CCDに分配し読み出す過程を繰り返すものである。各過程は1ライン(最下行)毎に行なうことから、各過程において最下行を「感光素子を主走査方向に多数配列した」構成(1行)と見立てることができる。 他方、刊行物2には、列状に配設した光電変換部(画素)で発生した信号電荷を2つのCCDレジスタで読出す構成のCCDリニアイメージセンサ(2線読出し)が記載されている(記載カ)。 (b)相違点1に係る構成は、刊行物2記載のリニアイメージセンサ(光電変換部の構造)を参照して、刊行物3の「m行n列のアレイ状」構成を「1行」構成とすることにより、当業者が容易になし得ることである。 (c)これにつき請求人は、刊行物3および刊行物2には、リニアセンサで暗時成分をドレインに排出した後に信号電荷をシフトレジスタに移送することを繰り返すことは開示されていないと主張する。 シフトレジスタ内の暗時成分を排出した後に信号電荷をシフトレジスタに移送すること自体は、センサの型に依らず、周知の事項であると認められる。リニアセンサについては、特開昭60-257565号公報、実開平3-97944号公報が参照される。主張の構成が、上記周知事項を背景とする刊行物3および刊行物2に記載の構成から容易になし得ることは前記のとおりである。主張は、当たらない。 (4-2)上記相違点2について判断する。 (a)刊行物3の第6図によれば、図面上、ゲートCCD(206b)は2列(偶数列および奇数列)の単位で区画され、各区画に向けて駆動パルス212の供給を示す直線から線分が延びていることが見て取れる。この線分は各区画毎に同駆動パルスを供給すること、すなわち、各区画は電気的には分離していることを示唆するものである。 他方、刊行物2には、画素の1つおきにトランスファーゲート4を設け互いに結線し(図29)、各トランスファーゲート4に同時に同じ駆動パルス(図33のTG(4))を印加することにより、内側のCCDレジスタ3の信号電荷を外側のCCDレジスタ5へ移すことが記載されている(記載カ)。ゲート手段の個数を「複数」とし、各ゲート手段に同じ駆動パルスを印加する構成が開示されている。 (b)相違点2に係る構成は、刊行物3の上記示唆および刊行物2記載のリニアイメージセンサ(トランスファーゲート構造)を参照して、刊行物3のゲートCCD206bを分離した構成とすることにより、当業者が容易になし得ることである。 (4-3)効果等 以上のとおり、上記相違点1及び相違点2に係る各構成は当業者が容易になし得ることであり、また、これら相違点を総合してもそれらの総和を超える格別の作用をなすとは認められない。本願発明の効果も、刊行物3および刊行物2の記載から予測することができる程度のものにすぎない。 (5)まとめ 以上、本願発明は、刊行物3および刊行物2に記載された各発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 4.むすび 以上、請求項2に係る発明は、刊行物3及び刊行物2に記載された各発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、残る請求項1に係る発明について特に検討するまでもなく、本願は拒絶をすべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2005-07-08 |
結審通知日 | 2005-07-12 |
審決日 | 2005-07-26 |
出願番号 | 特願平6-234839 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(H04N)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 松田 岳士、井上 信一、▲徳▼田 賢二 |
特許庁審判長 |
新宮 佳典 |
特許庁審判官 |
西谷 憲人 堀井 啓明 |
発明の名称 | 固体撮像装置の制御方法 |
代理人 | 三好 秀和 |
代理人 | 三好 秀和 |