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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  A47L
審判 全部申し立て 2項進歩性  A47L
審判 全部申し立て 特120条の4、2項訂正請求(平成8年1月1日以降)  A47L
管理番号 1122905
異議申立番号 異議2002-71271  
総通号数 70 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1997-09-02 
種別 異議の決定 
異議申立日 2002-05-17 
確定日 2005-07-04 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3231993号「掃除用シート」の請求項1ないし2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3231993号の請求項1ないし2に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第3231993号の請求項1ないし4に係る発明についての出願は、平成8年2月28日に特許出願され、平成13年9月14日にその発明についての特許権の設定登録がなされ、その後、その特許について、異議申立人 花王株式会社より特許異議の申立てがなされ、平成14年10月11日付けで取消しの理由が通知され、その指定期間内である平成14年12月24日に訂正請求(後日取下げ)がなされた後、平成17年2月4日付けで再度の取消しの理由が通知され、その指定期間内である平成17年4月19日に訂正請求がなされたものである。
2. 訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
特許権者が求めている訂正の内容は、以下のア.〜エ.のとおりである。
ア.訂正前の請求項1を、 「床面の汚れやごみを拭き取るための掃除用シートであり、該シートの両面の少なくとも一方が、第1面域と、該第1面域が床面に接触したときにその床面から離間して上方に位置する第2面域とからなり、第2面域が、ごみを粘着性により捕捉する粘着面を有し、前記第1面域が、第2面域に比較して弱粘着性または非粘着性の面を有する前記シートにおいて、
前記第1面域の厚み方向の弾性が、前記第2面域のそれよりも高く、前記第1面域が前記第2面域の上面において互いに四方向へ離間している複数の円盤を有する不織布からなることを特徴とする前記掃除用シート。」と訂正し、新請求項1とする。

イ.訂正前の請求項2及び4を削除する。

ウ.訂正前の請求項3を、
「前記第1面域と第2面域とが少なくとも一方向に交互に配置されている請求項1記載の掃除用シート。」と訂正し、新請求項2とする。

エ.明細書の段落【0005】を、「前記課題を解決するためにこの発明が前提とするのは、床面の汚れやごみを拭き取るための掃除用シートであり、該シートの両面の少なくとも一方が、第1面域と、該第1面域が床面に接触したときにその床面から離間して上方に位置する第2面域とからなり、第2面域が、ごみを粘着性により捕捉する粘着面を有し、
前記第1面域が、第2面域に比較して弱粘着性または非粘着性の面を有する前記シートである。かかる前提においてこの発明が特徴とするところは、前記第1面域の厚み方向の弾性が、前記第2面域のそれよりも高く、前記第1面域が前記第2面域の上面において互いに四方向へ離間している複数の円盤を有する不織布からなることである。」と訂正する。

(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
A)上記訂正事項ア.は、訂正前の請求項1の発明特定事項である「第1面域」について、それを「前記第2面域の上面において互いに四方向へ離間している複数の円盤を有する不織布からなる」ものに限定したものであるが、限定した事項に関して、願書に添付した明細書(以下、「特許明細書」という。)の段落【0012】には、「図1の表面シート5に代わって中間シート3を被覆する多数の円盤17が床面に接触する。円盤17は、中間シート3の上面に互いに四方向へ離間して配設されており、個々の円盤17は、所要厚みの不織布やフェルトを打ち抜くことにより形成されている。」と記載されていることから、該限定した事項は、特許明細書に記載されているものと認める。
そうすると、上記訂正事項ア.は、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当するものであり、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。

B)上記訂正事項イ.は、特許請求の範囲の限縮を目的とした明細書の訂正に該当し、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。

C)上記訂正事項ウ.及びエ.は、上記訂正事項ア.及びイ.と整合を図るものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当し、いずれも、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。

(3)むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項において準用する同法第126条第2,3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3. 特許異議申立てについて
(1)本件の請求項1ないし2に係る発明
上記2.で示したように上記訂正が認められるから、本件の請求項1ないし2に係る発明(以下、「本件発明1ないし2」という。)は、上記訂正に係る訂正明細書の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし2に記載されたそれぞれ、上記2.(1)のア.及びウ.の新請求項1及び新請求項2に記載された事項により特定されるとおりのものである。

(2)申立ての理由の概要
異議申立人 花王株式会社は、甲第1号証ないし甲第3号証を提示し、本件特許の請求項1ないし4に係る発明は、甲第1号証(実願昭60-64054号(実開昭61-180141号)のマイクロフィルム)に記載された発明に基づいて、又は甲第1号証に記載された発明、甲第2号証(特開平4-288113号公報)に記載された発明及び甲第3号証(特開平5-245090号公報)に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、かかる発明についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである旨、主張している。

(3)取消理由通知の取消しの理由の概要
(3-1)平成14年10月11日付け取消理由通知の取消しの理由の概要
(3-1-1)本件特許の請求項1、3、4に係る発明に対して
本件特許の請求項1、3、4に係る発明は、刊行物1(上記甲第1号証に同じ。)に記載された発明及び刊行物2(上記甲第2号証に同じ。)に記載された発明であるから、かかる発明についての特許は特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものである。
(3-1-2)本件特許明細書の請求項2に係る発明に対して
本件特許の請求項2に係る発明は、刊行物1、刊行物2及び刊行物3(実願平2-85566号(実開平4-43103号)のマイクロフィルム)に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、かかる発明についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
(3-2)平成17年2月4日付け取消理由通知の取消しの理由の概要
(3-2-1)本件特許の請求項1ないし3に係る発明に対して
本件特許の請求項1ないし3に係る発明は、刊行物4(上記刊行物3に同じ。)に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、かかる発明についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
(3-2-2)本件発明4に対して
本件特許の請求項4に係る発明は、刊行物4(上記刊行物3に同じ。)に記載された発明及び刊行物5(上記甲第1号証に同じ。)に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、かかる発明についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
(4)甲各号証刊行物及び上記各刊行物の記載事項
(4-1)異議申立人が提示した甲各号証刊行物の記載事項
(4-1-1)甲第1号証刊行物
甲第1号証刊行物には、図面とともに下記の事項が示されている。
a.「凹凸状に成型してなるフィルム又はシート状支持体の該凹部に粘着剤層を設けたことを特徴とする粘着テープもしくはシート。」(実用新案登録請求の範囲)
b.「本考案は、例えばクリーナー(清掃具)用として好適に使用される粘着テープもしくはシートに関するものである。」(明細書第1頁第10行〜第12行)
c.「第1図及び第2図において、1は断面がコの字型とされた凹溝(好ましくは深さ0.1〜1mm、幅0.5〜3mmである)の凹部2が形成されている紙、プラスチックフィルム又はシート状支持体である。しかして該凹部2には粘着剤層3がその上面31を該支持体1の表面11よりも僅かに陥没せしめて設けられている。ここで粘着剤層3の上面31を支持体1の表面11より僅かに陥没させるのは、後に述べるように被着体面に対する初期粘着力を低減させる上で好ましいものである。」(明細書第4頁第2行〜第11行)
d.「第6図Aは、硬質床面の如きフラットな被着体面に当接させた状態を示し、この場合粘着テープは、支持体1の表面11のみが被着体面に接触し粘着剤層3の上面31は被着体面に直接接触しないが、軽く加圧すると支持体1の該表面11が変形して僅かに接触するものである。第6図Bは、硬質床面の如きフラットな被着体面に零れているパン屑、砂粒などのゴミGを捕獲してなる状態を示すもので、ゴミGは粘着剤層3の上面31に接着して捕獲される。該粘着剤層3は自重では直接被着体面に接着せずゴミGに接着するだけであるが、軽く加圧することにより支持体1の表面11が変形して被着体面に付着している微細なチリやホコリもよく捕獲できるものである。」(明細書第5頁第18行〜第6頁第11行)
e.図面の第1図および第2図には、粘着剤層3と支持体1の表面11が平行に並んで配置されていることが示されている。
上記記載事項及び図示内容を総合すると、甲第1号証には、以下の発明(以下、「甲第1号証発明」という。)が記載されているものと認められる。

「断面がコの字型とされた凹溝の凹部2が形成されているシート状支持体1の前記凹部2には粘着剤層3がその上面を前記支持体1の表面11より僅かに陥没せしめて設けられており、粘着剤層3と支持体1の表面11が平行に並んで配置されており、軽く加圧することにより支持体1の表面11が変形して被着体面に付着している微細なチリやホコリを捕獲できる掃除用として使用される粘着シート。」

(4-1-2)甲第2号証刊行物
甲第2号証刊行物には、図面とともに下記の事項が示されている。
a.「【請求項1】 基台シートと、繊維の交絡により一体化された不織布とを重合わせて部分的に接合してなり、上記不織布は、上記基台シートより大きな面積を有し、上記基台シートに部分的に接合されて上記基台シートにより支持された支持領域及び上記基台シートから外側に延出する自由端領域とを有し、上記不織布は上記支持領域において上記基台シートとの非接合部分に凸状部が形成されていることを特徴とする掃除用シート。
【請求項2】 上記凸状部に開口部を設けた、請求項1に記載の掃除用シート。」(特許請求の範囲請求項1,2)
b.「従って、本発明の目的は、細かな塵埃から比較的大きなごみ類まで確実に捕捉、除去することができると共に、自由度が大きく充分に掃除することができる掃除用シート及びその製造方法を提供することにある。」(第2頁右欄第24行〜第28行)
c.「また、上記不織布12の支持領域13では、図2及び図3に示す如く、接合部15に囲まれた上記熱収縮性シート11との非接合部16が凸状部12Aとして形成され、接合部15が凹状部12Bとして形成されている。そして、上記不織布12は、多数の凸状部12Aと、これらの間の凹状部12Bとでクッション性のある掃除面を形成している。」(第3頁左欄第31行〜第37行)
d.「また、上記不織布12は、各凸状部12Aにそれぞれ設けられたスリット状の開口部12Cを有し、上記構成繊維によって捕捉し難い比較的大きなごみ類をこれらの開口部12Cを介してそれぞれの凸状部12Aの内部に取り込むように構成されている。」(第3頁左欄第42行〜第46行)
e.「また、上記熱収縮性シート11もしくは上記不織布12の非接合部16の少なくともいずれか一方の内面に低タック性の粘着剤が塗布されておれば、上記開口部1Cを介して捕捉されたごみ類の脱落を抑制することができる。尚、上記開口部12Cは、上記不織布12をシート状に形成後に部分的にスリット状に切断して形成するが、これ以外に、例えば、打ち抜いて形成してもよい。また、ウォーターニードリング方法で不織布を製造する場合には、ウエブの繊維絡合の際、支持体のネットに粗いメッシュを用いることによって上記開口部12Cを形成してもよい。」(第3頁右欄第5行〜第15行)
f.表1及び表2には、清掃シートのごみの捕捉性を調べた結果が示されている。
g.図2には、清掃シートの断面図が示されている。
上記記載事項及び図示内容を総合すると、甲第2号証には、以下の発明(以下、「甲第2号証発明」という。)が記載されているものと認められる。

「床面の細かな塵埃から比較的大きなごみ類まで捕捉、除去することができる掃除用シートであって、該シートの一方の面が、多数の凸状部12Aと、該凸状部12Aが床面に接触したときにその床面から離間して上方に位置する多数の凹状部12Bとからなり、凸状部12Aの内部の中空部における熱収縮性シート11側に粘着剤が塗布されており、多数の凸状部12Aと、これらの間の凹状部12Bとでクッション性の高い清掃面を形成し、凸状部12Aに開口部12Cが設けられており、該開口部12Cが、不織布12の支持体のネットに粗いメッシュを用いることによって形成されている掃除用シート。」

イ.甲第3号証刊行物
甲第3号証刊行物には、図面とともに下記の事項が示されている。
a.「基台シートの片面あるいは両面に、繊維の絡合で形成された不織布状からなる基布が部分的な接合により一体化されており、上記基布はその接合部分が凹状部を形成し、非接合部分が凸状部を形成し、全体として表面に凹凸形状を有する清掃用物品であって、油剤成分を基布の重量に対して0.1〜80%担持させてなることを特徴とする清掃用物品。」
(特許請求の範囲請求項1)
b.「上記基布の凸状部には開口が形成されていることを特徴とする請求項1記載の清掃用物品。」(特許請求の範囲請求項4)
c.「従って、本発明の目的は、細かなダスト等の汚れはもとよりパン粉等の比較的大きな汚れまで、広範囲なダストの捕集能力に優れ、且つ捕集能力が被清掃面の形状に左右されにくい清掃用物品及びその製造方法を提供することである。」(第3頁3欄第2行〜第6行)
d.「上記基布12には、該格子状の接合部分13により囲まれた、基台シート11との非接合部分が、凸状部12Aとして形成されており、清掃用シート全体として清掃面に凹凸形状が形成されている。これらの多数の凸状部12Aと、これらの間の凹状部12Bとでクッション製の高い清掃面を形成し、被清掃面の形状に左右されにくい清掃面を形成している。」(第4頁5欄第34行〜第40行)
e.「上記基台シート11と上記不織布12との非接合部分の少なくともいずれか一方の内面に低タック性の粘着剤が塗布されておれば、上記スリット開口12Cを介して捕捉されたダストの脱落を抑制することができる。尚、スリット開口12Cは上記不織布12をシート状に形成後に部分的にスリット状に切断して形成するが、これ以外に、例えば、打ち抜いて形成しても良い。また、ウォータージェット交絡の方法で不織布を形成する場合には、ウェブの繊維絡合の際、支持体のネットに粗いメッシュを用いることによって上記スリット開口12Cを形成してもよい。」(第7頁11欄第3行〜第13行)
f.「×:深さ3mm及び5mmの溝中にダストがかなり残る。
2.角隅に対する清掃能
直交する3面からなるコーナー部に土、砂ぼこりの組成に近い試験用ダスト7種(JIS Z8901 )を、1g均一にまき、7×11cmの大きさのスポンジに上記各実施品と比較品とを貼り付けて固定し、10往復して被清掃面の溝中の汚れ具合を目視した。」(第8頁14欄第7行〜第14行)
g.図2には、清掃用シートの一部を切断した斜視図が示されている。
上記記載事項及び図示内容を総合すると、甲第3号証には、以下の発明(以下、「甲第3号証発明」という。)が記載されているものと認められる。

「細かなダストからパン粉等の比較的大きな汚れまで広範囲なダストの捕集能力を有する清掃用シートであって、該シートの一方の面が、多数の凸状部12Aと、該凸状部12Aが床面に接触したときにその床面から離間して上方に位置する多数の凹状部12Bとからなり、凸状部12Aの内部の中空部における熱収縮性シート11側に粘着剤が塗布されており、多数の凸状部12Aと、これらの間の凹状部12Bとでクッション性の高い清掃面を形成し、凸状部12Aに開口部12Cが、不織布12の支持体のネットに粗いメッシュを用いることによって形成されている清掃用シート。」

(4-2)上記取消理由通知で引用された各刊行物の記載事項
(4-2-1)刊行物1(刊行物1は、甲第1号証刊行物に同じ。甲第1号証刊行物の記載事項については、上記(4-1-1)に記載。)

(4-2-2)刊行物2(刊行物2は、甲第2号証刊行物に同じ。甲第2号証刊行物の記載事項については、上記(4-1-2)に記載。)

(4-2-3)刊行物3
刊行物3には、図面とともに下記の事項が記載されている。
a.「1 上部接着層と、下部接着層と、から成る接着部材により、前記上部接着層をスリッパの底部下面に、前記下部接着層に所望の処理層を接合しており、前記上部接着層の接着力が下部接着層の接着力より弱いことを特徴とする底部に処理層を備えた室内履き用の処理層付スリッパ。
2 処理層が網目層から成る請求の範囲第1項のスリッパ。
3 処理層が網目層にさらに布地層を積重ねた層から成る請求の範囲第1項のスリッパ。
4 処理層が網目層の一部にのみ布地層を積重ねて成る請求の範囲第1項のスリッパ。
5 処理層に滑り止め材料を付着した請求の範囲第3又は4項のスリッパ。」(明細書の実用新案登録請求の範囲 )
b.「第1図は本考案にかかるスリッパ10の分解図である。番号12は公知のスリッパ本体であり、該本体12の底面には、片面接着テープ14、両面接着テープ16、別の片面接着テープ18、網目層20、布地層24が配設されている。・・(略)・・該本体12の底面には、上部接着層としての片面接着テープ14が接合されている。このテープ14は上面に接着剤が塗布されたもので、・・(略)・・このようなテープ14の使用によって当該テープをスリッパ本体12から剥がすことにより該スリッパ本体12は再度通常のスリッパとして使用できる。該テープ14の非接着面には両面接着テープ16の片側の接着面が付着されている。
該両面接着テープ16の他側の接着面には下部接着層としての別の片面接着テープ18の非接着面が付着されている。
さらに、この下部接着層としての片面接着テープ18の接着面には処理層20が付着されている。この処理層20は例えば、綿、布などの天然繊維又は合成繊維、化学繊維などを網目状に織ったもの、打ち抜いたもの、レーザー加工したもの、などから成る網目層により構成されている。・・(略)・・ただし、あまり網目の目を細かくしたり、網目層自体を厚くすると、下部接着層の機能が著しく劣化することとなる。下部接着層と床面との間隔が離れ過ぎることとなるからである。一方網目の目をあまり大きくすると、接着層が歩くたびに床面に接着し大変歩きにくくなる。」(明細書第4頁第18行〜第6頁第20行)
c.「第1図に例示した本考案においては、上部接着層14と、下部接着層18と、これらを接合する両面接着テープから成る中間接着層16と、が接着部材22を形成しているが、・・(略)・・片面接着テープ18の代わりに両面接着テープ16の他側の接着面を下部接着層としてこれに網目層20を接合させることもできる。」(明細書第7頁第9行〜第20行)
d.「スリッパ本体12に対し接着部材22を介して処理層20が接合されている本考案のスリッパ10によれば(第3図参照)、このスリッパ10によって室内を歩行することにより、第2図に示す下部接着層18の網目間の接着材面には床板面又は畳み表面のダニや塵又は花粉など28が付着する。」(明細書第8頁第9行〜第15行)
e.「さらにより強力な払拭効果を得たい場合には、網目層20の全面(第4図)またはその一部(第5及び6図)を介して下部接着層にモップ作用を提供できるタオル地等から成る布地層24を予め接着する。」(明細書第9頁第9行〜第13行)
f.「さらに第5図、6図のように下部接着層18の一部にのみモップ層24を配置する場合には床面の払拭作用と、ごみ、ダニ、埃等の集塵作用と、が同時に達成できる。なお、モップ層24の配置位置などは図示の例に限定されるものではないことは当然である。モップ層24は網目層22を介在して下部接着層18へ付着されているので、該モップ層24を下部接着層18から分離することは容易である。・・・(中略)・・・モップ層24にスポンジ等の弾性材料を内有することにより、スリッパの履き心地を改良することができる。モップ層24の材質は天然繊維、合成繊維、化学繊維等により成る。」(明細書第10頁第3行〜第18行)
g.第6図には、一部に布地層又はモップ層24を有する実施例の底面図が示されており、断面略楕円形状の下部接着層18の上に網目層20を積層し、網目層20を介在して下部接着層18及び網目層20の外周部分及び略楕円の短軸部分に、さらに布地層又はモップ層24が付着されてなる積層体が示されている。
上記記載事項及び図示内容を総合すると、刊行物3には、以下の発明(以下、「刊行物3発明」という。)が記載されているものと認められる。

「スリッパ本体12に対し分離可能に取り付けて使用し、床面の払拭作用と、ごみ、ダニ、埃等の集塵作用とを同時に達成する掃除用接着部材付き処理層であって、該接着部材付き処理層は接着部材22、網目層20および網目層20より強力な払拭効果を得るための布地層又はモップ層24からなり、上記接着部材22は上部接着層14、両面接着テープ16からなり、上記上部接着層14は片面接着テープからなり、上記上部接着層の上面には接着剤が塗布されており、他側は非接着面とされ、上記両面接着テープ16の片側接着面は上記上部接着層14の非接着面に付着され、他側接着面は、下部接着層となり、上記布地層又はモップ層24はスポンジ等の弾性材料を内有し、上記網目層20を介在して断面略楕円形状の下部接着層及び網目層20の外周部分及び略楕円の短軸部分に付着されてなり、その表面が床面側に位置し、布地層又はモップ層24の表面が床面に接触したときに下部接着層は床面と離間しており、上記下部接着層の網目間の接着材面には、床板面又は畳み表面のダニや塵又は花粉などが付着する、全体がシート状とされた掃除用接着部材付き処理層。」

(4-2-4)刊行物4((刊行物4は、上記刊行物3に同じ。刊行物3の記載事項については、上記(4-2-3)に記載。)

(4-2-5)刊行物5 ((刊行物5は、甲第1号証刊行物に同じ。甲第1号証刊行物の記載事項については、上記(4-1-1)に記載。)
(5)対比・判断
(5-1)本件発明1について
本件発明1と甲第1ないし3号証刊行物及び刊行物1ないし5に記載の発明を対比するが、ここでは、甲第1ないし3号証刊行物及び上記刊行物1ないし5には、同一の刊行物があるので、後出を重複排除して、本件発明1と甲第1ないし3号証発明及び刊行物3発明とを対比することとする。
甲第1号証発明は、それらの発明が有する機能及び構成からみて、本件発明1の「床面の汚れやごみを拭き取るための掃除用シートであり、該シートの両面の少なくとも一方が、第1面域と、該第1面域が床面に接触したときにその床面から離間して上方に位置する第2面域とからなり、第2面域が、ごみを粘着性により捕捉する粘着面を有し、前記第1面域が、第2面域に比較して弱粘着性または非粘着性の面を有する前記シート」に相当する構成を備えるものといえ、甲第2号証発明及び甲第3号証発明は、ともに、「凸状部12Aに開口部12Cが設けられており、該開口部12Cが、不織布12の支持体のネットに粗いメッシュを用いることによって形成されている」ものであるから、いずれも、本件発明1の「第1面域」に対応する部分を含む箇所は、不織布からなるものである。
また、刊行物3発明は、床面の汚れやごみを拭き取るためのシート状の掃除用のものであって、スリッパ本体に取り付けて使用するものであり、本件発明1の「該シートの両面の少なくとも一方が、第1面域と、該第1面域が床面に接触したときにその床面から離間して上方に位置する第2面域とからなり、第2面域が、ごみを粘着性により捕捉する粘着面を有し、前記第1面域が、第2面域に比較して弱粘着性または非粘着性の面を有する前記シート」に相当する構成に加え、本件発明1の「第1面域の厚み方向の弾性が、前記第2面域のそれよりも高い」構成に相当する構成を備えるものといえる。
しかしながら、甲第1ないし3号証発明及び刊行物3発明は、本件発明1の「第1面域が前記第2面域の上面において互いに四方向へ離間している複数の円盤を有する」事項を具備しておらず、当該事項により本件発明1は、特許明細書記載の「床面を拭いたときにごみが隣り合う円盤17どうしの間に入ってシート1の中央部に達し、そこで円盤17の側面や中間シート3に捕捉される機会が多くなる。それゆえ、シート1の面積全体を効率よく利用することができる」(段落【0012】)、という掃除用シートとして顕著な効果を奏するものである。
上記のことから、本件発明1が甲第1ないし3号証及び上記刊行物1ないし5に記載の発明から容易に発明をすることができたものとはいえない。
また、本件発明2は、本件発明1の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものであるから、本件発明1と同様に、甲第1ないし3号証及び上記刊行物1ないし5に記載の発明から容易に発明をすることができたものとはいえない。
(5)むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件請求項1ないし2に係る発明についての特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1ないし2に係る発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
掃除用シート
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面の汚れやごみを拭き取るための掃除用シートであり、該シートの両面の少なくとも一方が、第1面域と、該第1面域が床面に接触したときにその床面から離間して上方に位置する第2面域とからなり、第2面域が、ごみを粘着性により捕捉する粘着面を有し、前記第1面域が、第2面域に比較して弱粘着性または非粘着性の面を有する前記シートにおいて、
前記第1面域の厚み方向の弾性が、前記第2面域のそれよりも高く、
前記シートが、基材シートと、該基材シート両面の少なくとも一方に接合する両面粘着シートと、該粘着シートに接合するメッシュ地とからなり、該メッシュ地の上面が前記第1面域を形成し、該メッシュ地からのぞく前記粘着シート部分が前記第2面域を形成していることを特徴とする前記掃除用シート。
【請求項2】
前記第1面域と第2面域とが少なくとも一方向に交互に配置されている請求項1記載の掃除用シート。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】
この発明は、床面の汚れやごみを拭き取るための掃除用シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種シートとして、不織布を起毛したものや不織布に油剤を含浸させたもの、基材となるシートに粘着剤を塗布したもの等が周知である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記周知の掃除用シートのうち、不織布を起毛したものは、床面に対する滑りはよいが、砂粒等のような比較的重いごみを保持する力に劣るから、そのようなごみの拭き取りには適さない。不織布に油剤を含浸させたものは、ごみの保持力が向上するものの、それでも十分とは言い難い場合がある。粘着剤を使用した掃除用シートは、ごみの保持力が優れてはいても、その粘着性のゆえに床面に対する滑りがよくない。加えて、この掃除用シートは、手にくっつくことがあるから、時によって取り扱いにくいことがある。
【0004】
そこで、この発明は、ごみの保持力に優れ、床面に対する滑りがよく、しかも、手にくっつくことがなくて取り扱いが容易な掃除用シートを得ることを課題にしている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するためにこの発明が前提とするのは、床面の汚れやごみを拭き取るための掃除用シートであり、該シートの両面の少なくとも一方が、第1面域と、該第1面域が床面に接触したときにその床面から離間して上方に位置する第2面域とからなり、第2面域が、ごみを粘着性により捕捉する粘着面を有し、前記第1面域が、第2面域に比較して弱粘着性または非粘着性の面を有する前記シートである。
かかる前提においてこの発明が特徴とするところは、前記第1面域の厚み方向の弾性が、前記第2面域のそれよりも高く、前記シートが、基材シートと、該基材シート両面の少なくとも一方に接合する両面粘着シートと、該粘着シートに接合するメッシュ地とからなり、該メッシュ地の上面が前記第1面域を形成し、該メッシュ地からのぞく前記粘着シート部分が前記第2面域を形成していることである。
【0006】
【実施例】
添付の図面を参照して、この発明にかかる掃除用シートの詳細を説明すると、以下のとおりである。
【0007】
図1に部分破断斜視図で示す掃除用シート1は、不織布製の基材シート2と、上下両面が粘着性の中間シート3と、シート3よりも粘着性が弱いか、または、粘着性が全くないメッシュ地の表面シート5とによって構成されている。表面シート5は、多数の透孔4を有し、中間シート3を介して基材シート2に接合し、透孔4には、中間シート3の上面側の粘着面がのぞいている。図示の中間シート3と表面シート5とは、ほぼ同形同大で重なり合い、基材シート2は、それらシート3,5と長さが同じであるが、幅が広く、シート3,5の左右側縁から延出する側縁部6を有する。
【0008】
図2は、床面掃除用の器具11に取り付けられた掃除用シート1の斜視図である。器具11は、板状部13と、板状部13に枢動可能に取り付けられた腕部14とからなる。掃除用シート1は、板状部13の下面に当てがわれ、側縁部6が板状部13の上面に折り重ねられて、クリップ8で着脱可能に止着されている。かかる器具11は、腕部14を持ち、掃除用シート1の表面シート5で床面を拭くことができる。
【0009】
器具11に取り付けられた掃除用シート1では、ほこり等の比較的軽いごみが表面シート5を構成する不織布繊維に絡み付くことによって、また表面シート5に粘着性があるときにはその粘着性によって捕捉される。砂粒等の比較的重く、形状が繊維に絡みつきにくいごみは、表面シート5の透孔4の中に入り、透孔4内における中間シート3の粘着面において捕捉される。表面シート5に使用する不織布は、ゴミの捕捉が容易となるように、それに起毛処理を施したり、捲縮繊維を使用して、嵩高なものにしたり、油剤を含浸させたりすることができる。また、表面シート5は、その厚みによって、透孔4の深さを変えることができるが、その厚み方向への弾性(クッション性)が比較的よく、掃除用シート1の使用中に、透孔4の深さにかかわりなく、中間シート3の粘着面が床面に適宜近接するようにしてあることが好ましい。この掃除用シート1では、透孔4の縁部16が床に付着したごみをかき取るように作用し、かき取ったごみは透孔4で捕捉することができる。
【0010】
このように使用される掃除用シート1の表面シート5は、床面に対する滑りがよくなるように、粘着性が中間シート3のそれよりも弱くしてあるか、または、粘着性を有していない。
【0011】
掃除用シート1を器具11に取り付けるときには、指が中間シート3に触れないように基材シート2と表面シート5とを持てば、指は粘着面にくっつくことがない。掃除用シート1は、それが器具11に取り付けるものではなければ側縁部6を省き、中間シート3や表面シート5と同形同大のものにすることができる。
【0012】
図3は、この発明の実施態様の一例を示す図1と同様の図面である。この掃除用シート1では、図1の表面シート5に代わって中間シート3を被覆する多数の円盤17が床面に接触する。円盤17は、中間シート3の上面に互いに四方向へ離間して配設されており、個々の円盤17は、所要厚みの不織布やフェルトを打ち抜くことにより形成されている。かかる掃除用シート1を図1のそれにと比べると、このシート1では、床面を拭いたときにごみが隣り合う円盤17どうしの間に入ってシート1の中央部に達し、そこで円盤17の側面や中間シート3に捕捉される機会が多くなる。それゆえ、シート1の面積全体を効率よく利用することができる。
【0013】
図4は、この発明のさらに他の実施態様を示す図3と同様の図面である。この掃除用シート1では、円盤17に代わって一方向に互いに平行に延びる複数の帯片18が中間シート3を被覆し、床面に接触する。かかる帯片18には、所要厚みの不織布やフェルト等の繊維からなるシートを所要幅に裁断したもの、フィラメントや割裂繊維等で比較的径の大きいものまたはそれらの束などを使用することができる。
【0014】
この発明において、粘着面を覆い、床面をこするために使用される図1の表面シート5や、それに代わる図3,4の円盤17,帯片18は、中間シート3に対してこのシート3の粘着力によって接合していればよい。中間シート3と表面シート5とは、基材シート2の両面にあって、掃除用シート1の片面が汚れたなら、それを裏返して使用できるようにしてもよい。基材シート2や中間シート3には、図示例の他に、適宜のシート材料を使用することができる。
【0015】
掃除用シート1は、床面の掃除に適したものではあるが、壁面や天井面等の適宜の場所の掃除に使用することができる。
【0016】
【発明の効果】
この発明に係る掃除用シートは、その汚れ拭き取り面が床面に接触する弱粘着性または非粘着性の第1面域と、床面に接触しない強粘着性の第2面域とで構成されるとともに第1面域の厚み方向の弾性が、第2面域のそれよりも高くなっているので、床面に対する滑りがよく、しかも強い捕捉力を有する。かかる掃除用シートは、手にくっつくことがないから、その取り扱いが容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】
掃除用シートの部分破断斜視図。
【図2】
使用状態にある掃除用シートの斜視図。
【図3】
この発明の実施態様の一例を示す図1と同様の図面。
【図4】
この発明の実施態様の他の一例を示す図1と同様の図面。
【符号の説明】
1 掃除用シート
2 基材シート
3 中間シート
4 透孔(第2面域)
5 表面シート(第1面域)
17 円盤(第1面域)
18 帯片(第1面域)
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2005-06-15 
出願番号 特願平8-67317
審決分類 P 1 651・ 121- YA (A47L)
P 1 651・ 113- YA (A47L)
P 1 651・ 832- YA (A47L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 遠藤 謙一  
特許庁審判長 増山 剛
特許庁審判官 北川 清伸
山本 信平
登録日 2001-09-14 
登録番号 特許第3231993号(P3231993)
権利者 ユニ・チャーム株式会社
発明の名称 掃除用シート  
代理人 羽鳥 修  
代理人 白浜 吉治  
代理人 小林 義孝  
代理人 白浜 吉治  
代理人 小林 義孝  

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