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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  C21D
管理番号 1122913
異議申立番号 異議2003-70106  
総通号数 70 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1993-06-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-01-15 
確定日 2005-06-22 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3303171号「軸受軌道輪用鋼の製造方法」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3303171号の請求項1に係る特許を取り消す。 
理由 1.本件手続の経緯
本件特許第3303171号の請求項1に係る発明についての出願は、平成4年2月12日(優先日:平成3年10月15日、日本)に特許出願され、平成14年5月10日にその特許権の設定登録がなされたものである。
これに対して、異議申立人日本精工株式会社より特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内の平成15年7月15日付けで訂正請求がなされたものである。

2.訂正の適否
2-1.訂正の内容
本件訂正請求の内容は、本件特許明細書を訂正請求書に添付された訂正明細書のとおり、すなわち次の訂正事項a及びbのとおりに訂正するものである。
(1)訂正事項a:特許請求の範囲の請求項1の「・・・熱処理工程、および軌道輪素材に機械加工により・・・」を「・・・熱処理工程、およびこの熱処理済の軌道輪素材に機械加工により・・・」と訂正する。
(2)訂正事項b:明細書の段落【0005】の「・・・熱処理工程、および軌道輪素材に機械加工により・・・」を「・・・熱処理工程、およびこの熱処理済の軌道輪素材に機械加工により・・・」と訂正する。
2-2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記訂正事項aは、「軌道輪素材」が熱処理工程を経た「熱処理済」のものであることを特定する訂正であるから、特許請求の範囲の減縮に該当する。
また、上記訂正事項bは、訂正事項aの請求項1の訂正に伴い、明細書の対応する記載を訂正するものであるから、明りょうでない記載の釈明に該当する。
そして、上記訂正事項a及びbは、いずれも願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてなされたものであるから新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。
2-3.まとめ
したがって、上記訂正は、平成6年改正法附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の第3項において準用する平成6年改正法による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.本件訂正発明1について
訂正後の本件請求項1に係る発明(以下、「本件訂正発明1」という。)は、上記訂正を認容することができるから、訂正明細書の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】異物の混入した潤滑油中で使用される軸受の軌道輪を製造する方法であって、鋼よりなる軌道輪素材の表層部の残留オーステナイト量を10〜30%、硬さをロックウェルC硬さで60〜65にする熱処理工程、およびこの熱処理済の軌道輪素材に機械加工により残留圧縮応力を付与し、表層部のうち表面から深さ0.05mmまでの範囲の最表層の残留オーステナイトの一部をマルテンサイトに変態させる加工工程を含むことを特徴とする軸受用軌道輪の製造方法。」

4.特許異議申立てについて
4-1.取消理由の概要
当審で通知した取消理由の概要は、次のとおりである。
(i)訂正前の本件請求項1に係る発明は、引用例1乃至8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、訂正前の本件請求項1に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。
(ii)訂正前の請求項1に係る発明は、先願明細書又は図面(甲第9号証)に記載された発明であり、しかも、この発明者は先願の発明者と同一であるとも、また、その出願時において、その出願人が先願の出願人であるとも認められないので、訂正前の請求項1に係る発明の特許は、特許法第29条の2の規定に違反してなされたものである。
4-2.引用例の記載内容
取消理由において引用された引用例2及び引用例4には、それぞれ次の事項が記載されている。
(1)引用例2:特開平2-277764号公報(甲第2号証)
(1a)「(1)内輪、外輪及び転動体からなる転がり軸受において、当該内輪、外輪及び転動体の少なくとも一つが、C:0.3〜0.6重量%、Cr:3〜14重量%、Ti:40ppm以下、O:12ppm以下、P:200ppm以下、S:80ppm以下、残部Feの合金鋼からなり、該合金鋼に浸炭又は浸炭窒化熱処理が施され、表層部における微細炭化物量が20〜50vol%であり、且つ当該表層部における残留オーステナイト量が10〜25vol%であることを特徴とする転がり軸受。」(特許請求の範囲(1))
(1b)「異物混入潤滑下で軸受を使用する場合、異物との繰り返し接触により内外輪及び転動体の各転動表面には、凹状の圧痕が発生する。この圧痕にはエッジ部分が存在する。
残留オーステナイトは、軟らかく、例えばHv300ぐらい(但し素材の炭素の含有率によっても異なる)であり、低炭素マルテンサイトのように単に硬さが低いのとは異なり、加工誘起変態しながらマルテンサイト化、即ち硬化する。したがって、軸受表層部に適量存在した残留オーステナイトは、転動時に圧痕を通過する相手部材(例えば、転動体に対する軌道輪)の相対通過回数の所定数を過ぎると、表面に加わる変形エネルギによりマルテンサイト化して硬化する。」(第5頁右上欄4〜17行)
(1c)「軸受の長寿命化を達成する上で表面硬さは、HRC65〜70を有することが望ましいが、・・・微細な炭化物を上記範囲内で軸受の表層部に存在させることにより、表面硬さをHRC65〜70の高硬度の軸受を得ることができる。」(第6頁左上欄12行〜右上欄2行)
(1d)「従って、クリーンな潤滑下で軸受を使用する場合においては、従来の軸受と比べて、より一層の長寿命を有し、且つ異物混入の潤滑下で軸受を使用する場合は、従来の軸受に比べて遙かに長寿命となる。」(第9頁右下欄10行〜14行)
(2)引用例4:曽田範宗著「軸受」1964年11月30日、株式会社岩波書店発行、第172〜173頁(甲第4号証)
(2a)「摩擦の表面効果でつぎの重要な課題は残留応力、残留歪みの問題である。構造物の曲げやねじりに対する強度計算がしばしば表面の許容最大応力で行なわれることは周知のとおりであるが、じつは各種の表面加工の結果としてしばしば同程度のきわめて大きな応力が表面に残留応力として残存していることはみのがされやすい。残留応力はほとんどあらゆる加工のあとに残り、応力層はきわめてうすいが、それだけ応力勾配が高いことはとくに重大である。」(第172頁11行〜第173頁2行)
(2b)「その他の加工では、たとえばショット・ピーニングでは70kg/mm2くらいの圧縮応力が表面を支配しているし、ハンマーでは30kg/mm2くらいの、またアルミナを用いたタンブリング(tumbling)でさえも50kg/mm2くらいのいずれも圧縮応力が残留応力としてのこる。研削の効果は一種の摩擦の効果で結局おなじものである」(第173頁7〜11行)

4-3.当審の判断
引用例2の上記(1a)には、「内輪、外輪及び転動体からなる転がり軸受において、当該内輪、外輪及び転動体の少なくとも一つが、C:0.3〜0.6重量%、Cr:3〜14重量%、Ti:40ppm以下、O:12ppm以下、P:200ppm以下、S:80ppm以下、残部Feの合金鋼からなり、該合金鋼に浸炭又は浸炭窒化熱処理が施され、表層部における微細炭化物量が20〜50vol%であり、且つ当該表層部における残留オーステナイト量が10〜25vol%であることを特徴とする転がり軸受。」と記載されているが、この「表層部における微細炭化物量が20〜50vol%であり、且つ当該表層部における残留オーステナイト量が10〜25vol%である転がり軸受」は、鋼よりなる内輪、外輪及び転動体からなる転がり軸受の表層部に浸炭又は浸炭窒化熱処理を施すことによって製造されたものであることは明らかである。そして、この軸受の表層部の硬さは、上記(1c)の記載によれば、「HRC65〜70」であり、しかも、この転がり軸受は、上記(1b)及び(1d)の記載によれば、「異物の混入した潤滑油中で使用される」ものであると云えるから、これら記載を本件訂正発明1の記載ぶりに則って整理すると、引用例2には、「異物の混入した潤滑油中で使用される軸受の軌道輪を製造する方法であって、鋼よりなる軌道輪素材の表層部の残留オーステナイト量を10〜25vol%、硬さをロックウェルC(HRC)硬さで65〜70にする浸炭又は浸炭窒化熱処理工程を含むことを特徴とする軸受用軌道輪の製造方法。」という発明(以下、「引例2発明」という。)が記載されていると云える。
そこで、本件訂正発明1と引例2発明とを対比すると、本件訂正発明1の「熱処理工程」とは、本件特許明細書の段落【0011】の「はだ焼き鋼よりなる軌道輪素材の浸炭・浸炭窒化焼入れ焼戻しにより、・・・にする熱処理を行なう(工程1)。」という記載に照らせば、引例2発明の浸炭窒化熱処理と実質的な差異はないから、両者は、「異物の混入した潤滑油中で使用される軸受の軌道輪を製造する方法であって、鋼よりなる軌道輪素材の表層部の残留オーステナイト量を10〜25%、硬さをロックウェルC硬さで65にする浸炭窒化熱処理工程を含むことを特徴とする軸受用軌道輪の製造方法。」という点で一致し、次の点で相違していると云える。
相違点:本件訂正発明1は、さらに「この熱処理済の軌道輪素材に機械加工により残留圧縮応力を付与し、表層部のうち表面から深さ0.05mmまでの範囲の最表層の残留オーステナイトの一部をマルテンサイトに変態させる加工工程」を含むのに対し、引例2発明は、このような工程を含まない点。
次に、この相違点について検討するに、引例2発明も、引用例2の上記(1b)の「残留オーステナイトは、・・・加工誘起変態しながらマルテンサイト化、即ち硬化する。したがって、軸受表層部に適量存在した残留オーステナイトは、転動時に圧痕を通過する相手部材(例えば、転動体に対する軌道輪)の相対通過回数の所定数を過ぎると、表面に加わる変形エネルギによりマルテンサイト化して硬化する。」という記載に徴すれば、その残留オーステナイトは、使用時に表面に加わる変形エネルギーによってマルテンサイト変態して表面層を硬化させることが予定されているものであるから、両者は、その残留オーステナイトがマルテンサイト変態してその表面層を硬化させるものである点で共通していると云える。
もっとも、本件訂正発明1は、軸受軌道輪の製造工程において、機械加工(ショットピーニングなど)により残留圧縮応力を付与して残留オーステナイトをマルテンサイトに変態させるのに対し、引例2発明は、使用時(転動時)に表面に加わる変形エネルギーによって残留オーステナイトがマルテンサイト変態されるとしているから、両者は、そのマルテンサイト変態の発生のきっかけの点で若干相違していると云える。
しかしながら、軸受部材の寿命向上の手段として、製造工程においてショットピーニング加工などの機械加工により軸受表面層に残留圧縮応力を付与することは、例えば上記引用例4に記載されているように周知の事項であり、また軸受部品等の機械部品の表面硬化や寿命向上の手段として、ショットピーニング加工により残留圧縮応力を付与すると共に残留オーステナイトを加工誘起変態やマルテンサイト変態させることも、例えば特開昭62-70512号公報、特開平2-168022号公報及び特開平3-229851号公報に記載されているように周知の事項である。そして、引例2発明においても、その残留オーステナイトがその使用時にマルテンサイト変態することが予定されていることは前示のとおりであるから、そのような残留オーステナイトを含む表面層について、使用時前に予めショットピーニング加工という上記周知の手段をその製造工程で施すことによって残留オーステナイトをマルテンサイトに変態させる程度のことは当業者が容易に想到することができたと云うべきである。また、その際にマルテンサイトに変態させる表層部分を「表面から深さ0.05mmまでの範囲」に設定することも、残留オーステナイトをマルテンサイト変態させる周知の目的や効果を参酌すれば当業者であれば適宜容易になし得たことと云える。
してみると、本件訂正発明1の上記相違点は、機械部品の表面硬化や寿命向上に係る上記周知事項に基づいて当業者が容易に想到することができたと云えるから、本件訂正発明1は、引用例2及び引用例4に記載された発明と周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと云える。

5.むすび
したがって、本件請求項1に係る発明についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、取り消されるべきである。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14号の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、上記のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
軸受用軌道輪の製造方法
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
異物の混入した潤滑油中で使用される軸受の軌道輪を製造する方法であって、
鋼よりなる軌道輪素材の表層部の残留オーステナイト量を10〜30%、硬さをロックウェルC硬さで60〜65にする熱処理工程、およびこの熱処理済の軌道輪素材に機械加工により残留圧縮応力を付与し、表層部のうち表面から深さ0.05mmまでの範囲の最表層の残留オーステナイトの一部をマルテンサイトに変態させる加工工程を含むことを特徴とする軸受用軌道輪の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、軸受用軌道輪の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、軸受寿命向上手段として、種々のものが提案されている。たとえば、潤滑油中に混入した異物に対して有効な手段として、表面硬さを高くすることが考えられている。また、亀裂の進展をおさえる手段として、残留オーステナイトをある程度残すことや、残留応力を付与することなどが考えられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
実際の軸受に対しては、対異物、亀裂の進展ともに重要であるが、たとえば、表面硬さを高くすることと残留オーステナイトを残すことは一般的には相反することとなり、両方の性能が優れている軸受を作ることは非常に困難である。
【0004】
この発明の目的は、上記の問題を解決し、潤滑油中に混入した異物による亀裂の発生および発生した亀裂の進展に対して強く、よって軸受寿命の向上が可能な軸受用軌道輪を得ることができる方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明による軸受用軌道輪の製造方法は、
異物の混入した潤滑油中で使用される軸受の軌道輪を製造する方法であって、
鋼よりなる軌道輪素材の表層部の残留オーステナイト量を10〜30%、硬さをロックウェルC硬さで60〜65にする熱処理工程、およびこの熱処理済の軌道輪素材に機械加工により残留圧縮応力を付与し、表層部のうち表面から深さ0.05mmまでの範囲の最表層の残留オーステナイトの一部をマルテンサイトに変態させる加工工程を含むことを特徴とするものである。
【0006】
【作用】
表面から深さ0.05mmまでの範囲の最表層の残留オーステナイトの一部をマルテンサイトに変態させるので、表面の硬さが非常に高くなり、潤滑油中に混入した異物に強く、表面を起点とする亀裂の発生がおさえられる。また、最表層以外の内部は残留オーステナイトが比較的多いため、亀裂の進展がおさえられる。さらに、残留圧縮応力を付与するので、疲労寿命が向上する。
【0007】
なお、表層部とは表面から深さ1mm程度の範囲をいい、最表層とは表面から深さ0.05mm程度の範囲をいう。表層部の残量オーステナイトが10%未満であれば、後の機械加工による硬化を期待できない。また、これが30%より多ければ、元の硬さが出ない。表層部のロックウェルC硬さ60〜65は、軸受として必要な値である。
【0008】
【実施例】
以下、図面を参照して、この発明の実施例について説明する。
【0009】
図1は、軸受用軌道輪の製造方法の1例を示す工程図である。
【0010】
次に、玉軸受の軌道輪を例にとり、図1の工程図を参照して、この発明による製造方法の1例を説明する。
【0011】
図1において、まず、軸受鋼よりなる軌道輪素材の焼入れ焼戻しあるいははだ焼き鋼よりなる軌道輪素材の浸炭・浸炭窒化焼入れ焼戻しにより、表面から深さ1mm程度の範囲の表層部の残留オーステナイトを10〜30%、硬さをロックウェルC硬さ(HRC)で60〜65にする熱処理を行なう(工程1)。
【0012】
次に、軌道輪素材の軌道部に研削、旋削、ショットピーニングなどの機械加工を施すことにより、100kgf/mm2以上の残留圧縮応力を付与し、表面から深さ0.05mmまでの範囲の最表層の残留オーステナイトの一部をマルテンサイトに変態させる加工工程を行なう(工程2)。
【0013】
第1の例では、加工工程(工程2)において、HRC60以上の鋼球を使用し、アークハイト0.9mmA、カバレッジ200%の条件でショットピーニングを行なった。
【0014】
図2はこのようにして製造した軌道輪の表面からの深さに対する残留圧縮応力(kgf/mm2)の測定値を示し、図3は同軌道輪の表面からの深さに対する硬さ(HRC)の測定値を示している。なお、図3において、比較のため、ずぶ焼入れを行なったときの硬さを破線で示している。
【0015】
上記のようにして製造した軌道輪は、最表層の残留オーステナイトの一部がマルテンサイトに変態しているので、図3からも明らかなように、表面の硬さが非常に高くなり、潤滑油中に混入した異物に強く、表面を起点とする亀裂の発生がおさえられる。また、最表層以外の内部は残留オーステナイトが比較的多いため、亀裂の進展がおさえられる。さらに、図2からも明らかなように、表層部に残留圧縮応力が付与されているので、疲労寿命が向上する。
【0016】
上述のようにしてこの発明による方法で製造した軌道輪を使用した軸受と従来の軸受について、寿命試験を行なったところ、この発明による方法で製造した軌道輪を使用した軸受は、従来の軸受に比べて、清浄油中での寿命比が5倍、汚れ油中での寿命比が10倍になった。
【0017】
第2の例では、加工工程(工程2)において、周速130m/min、送り速度0.15mm/revの条件で旋削を行なった。
【0018】
図4はこのようにして製造した軌道輪の表面からの深さに対する残留圧縮応力(kgf/mm2)の測定値を示し、図5は同軌道輪の表面からの深さに対する硬さ(HRC)の測定値を示している。
【0016】
第2の例の軌道輪の残留圧縮応力と硬さも図2および図3で説明した第1の例のそれと同じ傾向を示し、第2の例の軌道輪も第1の例の軌道輪と同等の作用効果を奏する。
【0020】
【発明の効果】
この発明の軸受用軌道論の製造方法によれば、上述のように、異物や亀裂の進展に対して強く、しかも疲労寿命の向上した軌道輪を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
この発明の軸受用軌道輪の製造方法の1例を示す工程図である。
【図2】
この発明の方法により製造した第1の例の軌道輪の表面からの深さに対する残留圧縮応力の測定結果を示すグラフである。
【図3】
この発明の方法により製造した第1の例の軌道輪の表面からの深さに対する硬さの測定結果を示すグラフである。
【図4】
この発明の方法により製造した第2の例の軌道輪の表面からの深さに対する残留圧縮応力の測定結果を示すグラフである。
【図5】
この発明の方法により製造した第2の例の軌道輪の表面からの深さに対する硬さの測定結果を示すグラフである。
【符号の説明】
(1) 熱処理工程
(2) 加工工程
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2005-04-26 
出願番号 特願平4-25197
審決分類 P 1 651・ 121- ZA (C21D)
最終処分 取消  
前審関与審査官 諸岡 健一  
特許庁審判長 沼沢 幸雄
特許庁審判官 綿谷 晶廣
平塚 義三
登録日 2002-05-10 
登録番号 特許第3303171号(P3303171)
権利者 光洋精工株式会社
発明の名称 軸受軌道輪用鋼の製造方法  
代理人 岸本 瑛之助  
代理人 日比 紀彦  
代理人 渡辺 彰  
代理人 市川 利光  
代理人 本多 弘徳  
代理人 日比 紀彦  
代理人 清末 康子  
代理人 高松 猛  
代理人 渡辺 彰  
代理人 清水 康子  
代理人 小栗 昌平  
代理人 岸本 瑛之助  
代理人 栗宇 百合子  

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