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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04N
管理番号 1123742
審判番号 不服2003-23466  
総通号数 71 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2002-10-11 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-12-04 
確定日 2005-10-17 
事件の表示 特願2001-101714「番組関連情報出力装置」拒絶査定不服審判事件〔平成14年10月11日出願公開、特開2002-300491、請求項の数(7)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 1.経緯
(1)手続
本願は、平成13年3月30日の出願である。
本件は、平成15年12月4日の請求であり、同日に手続補正書(請求の日から30日以内にする補正)が提出された。
(2)査定
原査定の理由は、概略、下記のとおりである。
記(査定の理由)
本願各発明(全請求項)は、下記刊行物に記載された各発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

刊行物1:特開平10-177532号公報
刊行物2:国際公開第00/28734号パンフレット

2.補正の採否
平成15年12月4日付けの手続補正は、特許法第17条の2第3項から第5項までの規定に適合する。

3.本願発明
本願の請求項1から請求項7までに係る各発明(本願各発明という)は、本願明細書及び図面(平成15年10月8日付け、および平成15年12月4日付けの各手続補正書により補正された明細書及び図面)の記載からみて、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1から請求項7までに記載した事項により特定される次のとおりのものと認める。
記(特許請求の範囲)
【請求項1】 番組表データを作成する際に必要な番組の番組情報を取得する番組情報取得手段、
前記番組に関するイベント情報を取得するイベント情報取得手段、
前記番組情報取得手段が取得した前記番組情報および前記イベント情報取得手段が取得したイベント情報に基づいて、前記イベント情報を含めた番組表を画面上に表示する番組表データを作成し出力する表示データ作成手段、
を備えた番組表データ出力装置であって、
前記表示データ作成手段は、前記番組の前後または離れた時間帯に開設時期が設けられた、前記番組に関するイベント情報と、当該イベント情報の開設時期に対応する放送時間で、かつ、前記番組と同じチャンネルにある番組情報とを、各番組の表示領域において並列的に組み込んで混在させることにより、前記イベント情報を前記番組に関連付けて画面上に表示する番組表データを作成して出力し、表示画面を切り換えることなく前記イベント情報をユーザが把握できるようにした、
ことを特徴とする番組表データ出力装置。
【請求項2】 番組表データを作成する際に必要なテレビ番組の番組情報を取得する番組情報取得手段、
前記テレビ番組に関するチャット情報を取得するチャット情報取得手段、
前記番組情報取得手段が取得した前記番組情報および前記イベント情報取得手段が取得したチャット情報に基づいて、前記チャット情報を含めた番組表を画面上に表示する番組表データを作成し出力する表示データ作成手段、
を備えた番組表データ出力装置であって、
前記表示データ作成手段は、前記テレビ番組の前後または離れた時間帯に開設時期が設けられた、前記テレビ番組に関するチャット情報と、当該チャット情報の開設時期に対応する放送時間で、かつ、前記テレビ番組と同じチャンネルにある番組情報とを、各テレビ番組の表示領域において並列的に組み込んで混在させることにより、前記チャット情報を前記テレビ番組に関連付けて画面上に表示する番組表データを作成して出力し、表示画面を切り換えることなく前記チャット情報をユーザが把握できるようにした、
ことを特徴とする番組表データ出力装置。
【請求項3】 請求項2の番組表データ出力装置において、さらに、
画面上に表示された前記テレビ番組に関するチャットへの参加を予約するための予約選択手段、
前記予約選択手段により選択された前記チャット情報に基づいて、前記チャットが行われるサイトを自動的に画面上に表示するデータを出力する表示データ制御手段、
を備えたことを特徴とするもの。
【請求項4】 請求項2の番組表データ出力装置において、さらに、
画面上に表示された前記テレビ番組に関するチャットへの参加を予約するための予約選択手段、
前記予約選択手段により選択された前記チャット情報に基づいて、前記チャットが行われるサイトへの接続を促す表示を画面上に表示するデータを出力する表示データ制御手段、
を備えたことを特徴とするもの。
【請求項5】 放送時間が定められたテレビの番組表データを取得して、取得した番組表データを画面上に表示するデータを作成し出力する番組表データ出力装置であって、
インターネットに接続されたコンテンツサーバのうち、前記番組表を構成する番組に関連するイベントサイトについてのコンテンツサーバに予め記録された限定配信時期情報データベースから、配信時期が限定された前記イベントサイトのイベント情報を取得し、
前記テレビ番組の前後または離れた時間帯に開設時期が設けられた、前記テレビ番組に関するイベント情報と、当該イベント情報の開設時期に対応する放送時間で、かつ、前記番組と同じチャンネルにある番組情報とを、各番組の表示領域において並列的に組み込んで混在させることにより、前記イベント情報を前記テレビ番組に関連付けて画面上に表示する番組表データを作成して出力し、表示画面を切り換えることなく前記イベント情報をユーザが把握できるようにした、
ことを特徴とする番組表データ出力装置。
【請求項6】 取得したテレビ番組の番組情報に基づいてテレビ番組表を画面上に表示する番組表データ表示方法であって、
前記テレビ番組に関するチャット情報を取得し、
前記テレビ番組の前後または離れた時間帯に開設時期が設けられた、前記テレビ番組に関するチャット情報と、当該チャット情報の開設時期に対応する放送時間で、かつ、前記番組と同じチャンネルにある番組情報とを、各番組の表示領域において並列的に組み込んで混在させることにより、前記イベント情報を前記テレビ番組に関連付けて画面上に表示する番組表データを作成して出力し、表示画面を切り換えることなく前記イベント情報をユーザが把握できるようにした、
ことを特徴とする番組表データ表示方法。
【請求項7】 取得したテレビ番組の番組情報に基づいてテレビ番組表を画面上に表示する処理をコンピュータに行わせるための番組表データ出力プログラムであって、
テレビ番組に関するチャット情報を取得し、
前記テレビ番組の前後または離れた時間帯に開設時期が設けられた、前記テレビ番組に関するチャット情報と、当該チャット情報の開設時期に対応する放送時間で、かつ、前記番組と同じチャンネルにある番組情報とを、各番組の表示領域において並列的に組み込んで混在させることにより、前記イベント情報を前記テレビ番組に関連付けて画面上に表示する番組表データを作成して出力する処理を行い、表示画面を切り換えることなく前記イベント情報をユーザが把握できるようにした、
ことを特徴とするコンピュータ可読の番組表データ出力プログラム。」

4.査定の検討
(1)本願各発明が備える主要構成
(a)査定で引用された各刊行物のいずれにも、本願各発明が備える下記の構成(主要構成)は記載されていない。また、上記各刊行物を組み合わせても、当該主要構成を導くことはできない。
記1(請求項1)
「番組の前後または離れた時間帯に開設時期が設けられた、前記番組に関するイベント情報と、当該イベント情報の開設時期に対応する放送時間で、かつ、前記番組と同じチャンネルにある番組情報とを、各番組の表示領域において並列的に組み込んで混在させることにより、前記イベント情報を前記番組に関連付けて画面上に表示する番組表データ」を作成して出力すること。
記2(請求項2から請求項4まで)
「テレビ番組の前後または離れた時間帯に開設時期が設けられた、前記テレビ番組に関するチャット情報と、当該チャット情報の開設時期に対応する放送時間で、かつ、前記テレビ番組と同じチャンネルにある番組情報とを、各テレビ番組の表示領域において並列的に組み込んで混在させることにより、前記チャット情報を前記テレビ番組に関連付けて画面上に表示する番組表データ」を作成して出力すること。
記3(請求項5)
「テレビ番組の前後または離れた時間帯に開設時期が設けられた、前記テレビ番組に関するイベント情報と、当該イベント情報の開設時期に対応する放送時間で、かつ、前記番組と同じチャンネルにある番組情報とを、各番組の表示領域において並列的に組み込んで混在させることにより、前記イベント情報を前記テレビ番組に関連付けて画面上に表示する番組表データ」を作成して出力すること。
記4(請求項6及び請求項7)
「テレビ番組の前後または離れた時間帯に開設時期が設けられた、前記テレビ番組に関するチャット情報と、当該チャット情報の開設時期に対応する放送時間で、かつ、前記テレビ番組と同じチャンネルにある番組情報とを、各番組の表示領域において並列的に組み込んで混在させることにより、前記イベント情報を前記テレビ番組に関連付けて画面上に表示する番組表データ」を作成して出力すること。
(b)そして、本願各発明は、上記各主要構成を備えることにより、「テレビ番組との関連付けとは、図8に示すようなテレビ番組「ドラマE」と同じチャンネルの前後の時間帯に「チャットE1」「チャットE2」を表示することを意味するが、その他の関連付けを用いても良い。」(段落0059)、「このように、チャット情報がテレビ番組に関連付けて表示されることで、ユーザーは、テレビ番組に関するチャット情報が存在することを容易に知ることができる。」(段落0060)、「さらに、チャット情報の表示領域R10、R20とテレビ番組の表示領域R30を同じ色にすれば、さらに関連付けて表示することができる。このようにすれば、チャットの行われる時間帯がテレビ番組の放送時間と離れているような場合でも、テレビ番組に関するチャットが存在することを容易に識別することができる。」(段落0061)等の本願明細書に記載の顕著な効果を奏するものと認められる。
(c)以上によれば、本願各発明は、上記各刊行物に記載された各発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない。

(2)刊行物の記載
(a)刊行物1(特開平10-177532号公報)
(a1)原査定の拒絶理由で引用された刊行物1には、「テレビ番組と連携してインターネットホームページを自動的にテレビ画面上に表示させる方法および装置」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。
(ア)「本発明による装置は、視聴者のテレビにおいて現在視聴されているテレビ番組と連携してインターネットホームページを自動的にテレビ画面上に表示させる装置であって、個々のテレビ番組に関連したインターネットのURL情報を組み込んだテレビ番組表データを外部から取り込む番組表データ取得手段と、該取り込まれた番組表データを不揮発的に記憶する記憶手段と、視聴者が現在視聴しているチャンネルを表わす視聴チャンネル情報を検出する視聴チャンネル情報検出手段と、前記視聴チャンネル情報を前記記憶手段内に記憶されているテレビ番組表データと比較することにより、現在視聴されている番組を特定する番組特定手段と、該特定された番組に関連して番組表データに組み込まれているURL情報を認識するURL情報認識手段と、該認識されたURL情報に対してアクセスするインターネットアクセス手段と、テレビの分割画面の1つに、またはテレビ画面上に開いたウインドウ内に前記URL情報のホームページのブラウザ画面を表示させる表示手段とを備えることを特徴とする。」(段落0018)
(イ)「図3は、番組表データの具体例を示すものである。これは、1996年8月23日の東京地区のテレビ放送の各チャンネルの番組表の例(現実のものではない)である。この番組表から、その地区のその日のある時刻にどのチャンネルがどのような番組を放送しているかを認識することができる。また、ある番組の放送開始時刻および終了時刻も、この番組表から把握することができる。さらに、番組によっては、1つないし複数のURL(http://www.・・・)情報が番組に対応づけられている。URL情報には、URLそのものの他、URLの種別情報や時刻情報も含みうる。例えば、URLにはその種別情報を付与することができ、図では”TYPEx”として示してある。この種別を後述するような視聴者の選択の基準とすることができる。但し、この種別情報は必須のものではない。また、CH6の21時の番組「ドラマB」のようにURLに時刻情報としての数値(カッコ付きで示す)を付加することができる。この時刻情報は、その番組の開始時刻からの相対時間を表わし、これに基づき開始時刻から換算した相対時刻に当該URLへのアクセスを行わせるためのものである。時刻情報のないURL(例えばCH4の21時の番組「ドラマA」参照)は、時刻を指定することなくその番組の開始時(番組途中にチャンネル選択された場合には、その時点)でURLへのアクセスを行わせるためのものである。図示の都合上、図3では示していないが、後述するように、各URLにはその項目名を付加することができる。」(段落0059)
(a2)上記各記載によれば、刊行物1のテレビ番組表データ(図3)は、番組の表示領域(放送時間帯とチャンネル番号によって画定される領域)に、個々のテレビ番組名、当該テレビ番組に対応づけられたURL情報(1つないし複数。URL情報には、URLそのものの他、URLの種別情報や時刻情報も含みうる。)を表示するものである。
番組の表示領域において、2種類の情報を「並列的に組み込んで混在させる」構成の開示はあるものの、「並列的に組み込んで混在させる」情報は、前記のとおり、当該表示領域の時間帯の番組に関するURL情報であり、当該表示領域の時間帯から離れた時間帯の番組に関する情報でないばかりか、その情報もイベント情報(チャット情報)ではない。
(b)刊行物2(国際公開第00/28734号パンフレット)
(b1)同じく引用された刊行物2には、「双方向情報表示画面を有する番組ガイド」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。
(ウ)「双方向情報表示画面は、インターネットに関連するオプション(例えば、ウェブページオプション、チャットオプションまたはeメールオプション等)を含み得、これについて以下にさらに説明する。例えば、図17aに示すように、双方向情報表示画面580は、ウェブページオプション582、チャットオプション584および他の3つのユーザ選択可能オプションを含み得る。動作時において、ユーザがアイテム(例えば、番組または番組リスト項目)を選択すると、番組ガイドは、双方向情報表示画面580を表示し得る。双方向情報表示画面580は、ユーザー選択可能オプションと共に、選択されたアイテムの詳細な説明を含み得る。ユーザがウェブページオプション582を選択すると、番組ガイドは、双方向情報表示画面588を表示し得る。・・・(中略)・・・ユーザがチャットオプション584を選択すると番組ガイドは、双方向情報表示画面592を表示し得る。双方向情報表示画面592は、選択された番組に関連するチャットセッションに関する画面表示594を部分的にまたは全体的に表示したものを含み得る。番組ガイドは、チャットセッションアプリケーションを起動し、参加または開始される番組関連チャットセッションに関する情報をそのアプリケーションに提供し得る。番組ガイドは、リマインダを予約して、選択されたアイテムに関連するチャットセッションに参加する機会をユーザに提供し得る。」(パンフレット49頁10行〜50頁12行、特表2002-530018号公報の段落0069参照。)
(b2)上記記載によれば、刊行物2において「番組ガイド」と称するものはユーザに対して3つの選択可能オプションを提供するものである。例えば、ユーザがこれらのオプションの中からチャットオプション584を選択すると、ユーザテレビ機器が、双方向情報表示画面592を表示し、チャットセッションアプリケーションを起動し、参加または開始される番組関連チャットセッションに関する情報をそのアプリケーションに提供するように動作を開始するものである。
刊行物2の「番組ガイド」の実質は、本願各発明にいう「画面上に表示する番組表データ」ではない。

4.むすび
以上のとおりであるから、本願の請求項1から請求項7までに係る各発明は刊行物1および刊行物2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである、という原査定の理由によっては本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2005-10-04 
出願番号 特願2001-101714(P2001-101714)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H04N)
最終処分 成立  
前審関与審査官 菅原 道晴  
特許庁審判長 新宮 佳典
特許庁審判官 北岡 浩
西谷 憲人
発明の名称 番組関連情報出力装置  
代理人 眞島 宏明  
代理人 松下 正  
代理人 古谷 栄男  

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