• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B30B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B30B
管理番号 1123831
審判番号 不服2003-20494  
総通号数 71 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2001-03-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-10-22 
確定日 2005-09-26 
事件の表示 平成11年特許願第256536号「プレス機械」拒絶査定不服審判事件〔平成13年3月27日出願公開、特開2001-79695〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件出願は、平成11年9月10日の特許出願であって、平成15年5月9日付けで拒絶の理由が通知され、同15年6月27日に意見書が提出されたが、同15年9月18日付けで拒絶をすべき旨の査定がされ、同15年10月22日に本件審判の請求がされるとともに、同15年11月20日に明細書を補正対象書類とする手続補正(以下、「本件補正」という。)がされたものである。

第2 本件補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。
[理由]
1 補正の内容の概要
本件補正は特許請求の範囲を含む明細書について補正をするものであって、補正前後の特許請求の範囲の請求項1の記載は以下のとおりである。
(1)補正前
「前後端が直線状をなす1枚板構造よりなる一対のサイドプレート(2)を左右に配置し、かつこれらサイドプレート(2)の上部間に設けられたクラウン(4)及び下部間に設けられたベッド(3)と上記各サイドプレート(2)の間を溶接することにより、一体構造のプレス本体(1)を構成したことを特徴とするプレス機械。」
(2)補正後
「前後端が直線状をなす1枚板構造よりなる左右のサイドプレート(2)と、この左右のサイドプレート(2)の上部間に設けられたクラウン(4)と、前記左右のサイドプレート(2)の下部間に設けられたベッド(3)を有し、前記左右のサイドプレート(2)と前記クラウン(4)の間及び前記左右のサイドプレート(2)と前記ベッド(3)の間は、溶接により互いに固着されて左右のサイドプレート(2)とベッド(3)とクラウン(4)が一体化された一体構造のプレス本体(1)と、
前記クラウン(4)内に設けたスライド駆動機構(8)と、
このスライド駆動機構(8)で上下駆動するスライド(7)と、
前記ベッド(3)上に設置したボルスタ(6)を備えていることを特徴とするプレス機械。」
2 補正の適否
請求項1における補正は、プレス機械がクラウン(4)内に設けたスライド駆動機構(8)と、このスライド駆動機構(8)で上下駆動するスライド(7)と、前記ベッド(3)上に設置したボルスタ(6)を備えているものである旨の限定事項を付加するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そこで、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明(以下、「補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて、以下検討する。
(1)補正発明
補正発明は、本件補正により補正がされた明細書及び図面の記載からみて、前記1の(2)の補正後の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。
(2)引用例記載事項
ア 引用例1
原査定の拒絶の理由に引用された本件出願前に日本国内において頒布された刊行物である特開平6-126498号公報(以下、「引用例1」という。)には、以下のとおり記載されている。
a 第1欄第2-9行
「【請求項1】クラウンとベッドとを連結するストレートサイドプレスのフレーム構造において、
前記クラウンとベッドとの左右の側面を連結してそれぞれ設けられ、中央部に所要の開口部を有する厚板と、
前記厚板の前後両端部に前記厚板と直交して設けられた補強リブと、からなり横断面形がI宇形又はコ宇形をなすことを特徴とするストレートサイドプレスのフレーム構造。」
b 第2欄第7-15行
「【実施例】図1及び図2において、本発明の一実施例を示す。図2に示すストレートサイドプレス(6)はクラウン(7)とベッド(8)を左右両側のフレーム(9)、(9)で連結したもので、I-I線で切断した平面図図1に示すように、フレーム(9)は、クラウン(7)とベッド(8)とを連結する厚板(10)の前後両端に補強りブ(11)を溶接により結合したI字形断面を有する。厚板(10)の中央部には所要の開口部(12)を設け、送り装置等の装着の便を計っている。」
c 第2欄第35-38行
「なお、フレームは図1の実施例の場合は図2においてa,a部で上下方に分割し、ボルト締めとし、図3の実施例の場合は図2においてb,b部で縦に分割してボルト締めとしてもよい。」
d 図2
左右のフレーム(9,9)の上部間にクラウン(7)が設けられ、前記左右のフレーム(9,9)の下部間にベッド(8)が設けられていること。
なお、上記cには、実施例として、左右のフレーム(9,9)を上下方に分割することが記載されているが、その記載は、「フレームは・・・上下方に分割し、ボルト締めと・・・してもよい。」というものであって、必ず上下方に分割するというものではないので、左右のフレーム(9,9)は、上下方に分割されないものも含んでおり、また、必ず上下方に分割されているものと限定して解釈しなければならない事由もない。
したがって、引用例1には、上下方に分割されない左右のフレーム(9,9)が記載されており、そして、上記a及びbより、フレーム(9)は厚板(10)とその前後両端に設けた補強リブ(11)とからなるものであるので、結局、引用例1には、上下方に分割されない左右の厚板(10,10)、すなわち1枚板構造よりなる左右の厚板(10,10)が記載されていると認める。
以上のとおりであるので、引用例1には、次の「ストレートサイドプレス」が記載されていると認める。
「前後端が直線状をなす1枚板構造よりなる左右の厚板(10,10)と、この左右の厚板(10,10)の上部間に設けられたクラウン(7)と、前記左右の厚板(10,10)の下部間に設けられたベッド(8)を有し、前記左右の厚板(10,10)と前記クラウン(7)の間及び前記左右の厚板(10,10)と前記ベッド(8)の間は、連結されて左右の厚板(10,10)とベッド(8)とクラウン(7)が一体化された一体構造のプレス本体を備えたストレートサイドプレス。」(以下、「引用例1記載の発明」という。)
イ 引用例2
同じく頒布された刊行物である特開昭58-53398号公報(以下、「引用例2」という。)には、以下のとおり記載されている。
a 第2頁右下欄第15行-第3頁右上欄第2行
「従来の機械プレスは、プラツトフオーム又は工場の床に装着したベツドと、ベツドから垂直方向に離れており駆動組立体を収容したクラウン部と、ベツドとクラウン部とを離隔関係にて互に剛直に連結した1以上の直立柱とから成る。クラウン部に収容された駆動組立体は一般には1以上の偏心体を具備したクランクシヤフトと、上端で偏心体に連結し下端でスライドに連結した連結アームとから成る。・・・クラツチを作動させると、はずみ車の回転運動がクランクシヤフトに伝わり、連結アームが揺動運動し、この運動は例えばリストピンによりスライドに伝わり、従つてクランクシヤフト及び連結アームの回転及び揺動運動がスライドの直線往復運動に変換される。スライドは、実質上垂直方向に・・・往復運動し、・・・ダイスセツトの下型はプレスのベツドに装着したボルスタに装着する。」
b 第5頁右下欄第17行-第6頁左上欄第1行
「ボルスタ52を装着するボルスタ板42は、・・・ベツド14の上面40にボルト止めしてある。」
以上のとおりであるので、引用例2には、次のことが記載されていると認める。
「機械プレスが、クラウン部に収容した駆動組立体と、この駆動組立体で垂直方向に往復運動するスライドと、ベッド上に設置したボルスタを備えていること。」(以下、「引用例2記載の技術的事項」という。)
(3)対比
補正発明と引用例1記載の発明とを対比すると、引用例1記載の発明の「厚板」は、補正発明の「サイドプレート」に相当しており、同様に、「ストレートサイドプレス」は「プレス機械」に相当していることが明らかである。
また、引用例1記載の発明の「連結されて」は、結合されていることに限り、補正発明の「溶接により互いに固着されて」と一致している。
以上のとおりであるので、両者は、次の「プレス機械」で一致している。
前後端が直線状をなす1枚板構造よりなる左右のサイドプレートと、この左右のサイドプレートの上部間に設けられたクラウンと、前記左右のサイドプレートの下部間に設けられたベッドを有し、前記左右のサイドプレートと前記クラウンの間及び前記左右のサイドプレートと前記ベッドの間は、結合されて左右のサイドプレートとベッドとクラウンが一体化された一体構造のプレス本体を備えているプレス機械。
そして、両者は、次の点で相違している。
ア 相違点1
左右のサイドプレートとクラウンの間及び前記左右のサイドプレートとベッドの間の結合が、補正発明では、溶接により互いに固着されることにより行われているものであるのに対し、引用例1記載の発明では、どのような手段により行われているものか明らかではない点。
イ 相違点2
プレス機械が、補正発明では、クラウン内に設けたスライド駆動機構と、このスライド駆動機構で上下駆動するスライドと、ベッド上に設置したボルスタを備えているのに対し、引用例1記載の発明では、そのようなものを備えているのか明らかではない点。
(4)相違点の検討
前記各相違点について、以下検討する。
ア 相違点1について
溶接により互いに固着することにより部材間を結合することは、例示するまでもなく従来周知であるので、引用例1記載の発明において、左右のサイドプレートとクラウンの間及び前記左右のサイドプレートとベッドの間を、溶接により互いに固着することは、これらの部材間の結合手段として上記周知の事項を単に採用したものにすぎない。
イ 相違点2について
前記引用例2には、前記(2)のイに示した技術的事項が記載されており、引用例2記載の技術的事項の「プレス機械」は、補正発明の「機械プレス」に相当し、以下同様に、「クラウン部に収容した駆動組立体」は「クラウン内に設けたスライド駆動機構」に、「垂直方向に往復運動」は「上下駆動」にそれぞれ相当していることが明らかであるので、結局、引用例2記載の技術的事項は、プレス機械が、クラウン内に設けたスライド駆動機構と、このスライド駆動機構で上下駆動するスライドと、ベッド上に設置したボルスタを備えていることになる。
そして、引用例1記載の発明と引用例2記載の技術的事項とは、共にプレス機械に関するものであり技術分野が一致するので、引用例1記載の発明に引用例2記載の技術的事項を採用して、引用例1記載の発明のプレス機械がクラウン内に設けたスライド駆動機構と、このスライド駆動機構で上下駆動するスライドと、ベッド上に設置したボルスタを備えているものとすることに格別の困難性は見当たらない。
ウ 補正発明の作用効果について
補正発明が奏する作用効果は、引用例1記載の発明、引用例2記載の技術的事項及び前記周知の事項から当業者であれば予測できる程度のものであって格別のものではない。
以上のとおりであるので、補正発明は、引用例1記載の発明、引用例2記載の技術的事項及び前記周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
3 むすび
以上のとおりであるので、本件補正は、平成15年法律第47号による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本件発明について
1 本件発明
本件補正は、前記のとおり却下されたので、本件出願の請求項1乃至6に係る発明は、願書に最初に添付した明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1乃至6に記載された事項により特定されるとおりのものであると認めるところ、請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)は、前記第2の1の(1)の補正前の請求項1に示したとおりである。
2 引用例記載事項
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された引用例及びその記載事項は、前記第2の2の(2)に示したとおりである。
3 対比・判断
本件発明は、前記第2の1に示したとおり、補正発明の特定事項から、前記限定事項を省いたものである。
そうすると、前記第2の2の(4)で検討したとおり、補正発明は、引用例1記載の発明、引用例2記載の技術的事項及び前記周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、補正発明の特定事項から前記限定事項を省いた本件発明も、同様の理由により、引用例1記載の発明及び前記周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
4 むすび
以上のとおりであるので、本件発明は、引用例1記載の発明及び前記周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本件出願の請求項2乃至6に係る発明について判断するまでもなく、本件出願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-07-22 
結審通知日 2005-07-27 
審決日 2005-08-09 
出願番号 特願平11-256536
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B30B)
P 1 8・ 575- Z (B30B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鈴木 敏史  
特許庁審判長 西川 恵雄
特許庁審判官 菅澤 洋二
豊原 邦雄
発明の名称 プレス機械  
代理人 浜本 忠  
代理人 浜本 忠  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ