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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  G02B
管理番号 1124267
異議申立番号 異議2003-72047  
総通号数 71 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1996-04-02 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-08-11 
確定日 2005-07-19 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3375213号「レンズ付ファイバ」の請求項1、2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3375213号の請求項1ないし2に係る特許を取り消す。 
理由 1.手続の経緯
特許第3375213号の請求項1及び2に係る発明にについての出願は、平成6年9月16日に特許出願され、平成14年11月29日その発明について特許の設定登録がなされ、その後、その特許について、特許異議申立人木村昭子より特許異議の申立てがなされ、取消理由が通知され、その指定期間内である平成16年1月5日に訂正請求がなされ、さらに、審尋がなされたのに対して、平成16年3月23日に回答書が提出されたものである。

2.訂正の適否について
ア.訂正の内容
a.段落【0022】における「よって、数1,数2よりω0=2.9024μmとなる。」を、「よって、数1,数2よりω0=2.993μmとなる。」と訂正する。
b.段落【0023】における「数3に代入すると、d0=3.12μmとなる。」を、「数3に代入すると、d0=3.40μmとなる。」と訂正する。
c.段落【0025】における「例えば、曲率がR=10μmのとき、ωy=1.32μmとなる。」を、「例えば、曲率がR=10μmのとき、ωy=1.323μmとなる。」と訂正する。
d.段落【0026】における数6の式における「・・・・B」を、「・・・・B2」と訂正し、「例えば、d0=3.12,ω0=2.9024とすれば、」を、「例えば、d0=3.12,ω0=2.9930とすれば、」と訂正する。
イ.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記訂正事項は、いずれも計算式に基づく数値に関する明らかな誤記を訂正するものであり、新規事項を追加するものではなく、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
ウ.むすび
以上のとおり、上記訂正は、特許法第120条の4第2項の規定及び同条第3項において準用する特許法第126条第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.特許異議申立てについて
ア.本件発明
平成16年1月5日付けで提出された訂正明細書の請求項1及び2に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」及び「本件発明2」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1及び2に各々記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】 光源または出射光に対向する光ファイバ端の一部に斜断面を設けて楔状とし、
θ(d0)をファイバ出射開口角/2[NA=n・sinθ(d0)]、
d0をファイバ内部におけるビームウェスト距離、
dをファイバ外部におけるビームウェスト距離、
ω0をファイバ内部におけるビームウェスト半径、
λを光線の波長、
nをコアの屈折率、
ωをファイバのコア半径、
ωyをファイバ外部におけるy軸方向のビームウェスト半径(ただし、ファイバ光軸方向をz軸、前記ファイバ楔状稜線と平行な方向をx軸、また前記両軸と直交する方向をy軸としてそれぞれを定める。)とすると、
この先端に数1〜数5で設定されたd0を用いて算出した曲率半径Rを設けたことを特徴とする先円筒のレンズ付ファイバ。
【数1】




【数2】

【数3】


【数4】


【数5】


【請求項2】 光源または出射光に対向する光ファイバ端の一部に斜断面を設けて楔状とし、
θ(d0)をファイバ出射開口角/2[NA=n・sinθ(d0)]、
d0をファイバ内部におけるビームウェスト距離、
dをファイバ外部におけるビームウェスト距離、
ω0をファイバ内部におけるビームウェスト半径、
λを光線の波長、
nをコアの屈折率、
ωをファイバのコア半径、
ωyをファイバ外部におけるy軸方向のビームウェスト半径(ただし、ファイバ光軸方向をz軸、前記ファイバ楔状稜線と平行な方向をx軸、また前記両軸と直交する方向をy軸としてそれぞれを定める。)とすると、
y-z面内に含まれる前記光ファイバ先端断面を、数1〜数5で設定されたd0を用いて算出した曲率半径をRとして設定し、他方x-z面内に含まれるファイバ先端断面を、所望の曲率半径として設けたことを特徴とする先楕円のレンズ付ファイバ。
【数1】



【数2】

【数3】


【数4】

【数5】




イ.刊行物に記載の発明
特許異議申立人木村昭子が提出した各刊行物には次の事項が記載されている。
刊行物1:河野健治著「光デバイスのための光結合系の基礎と応用」(1991年1月25日現代工学社発行、申立人提出の甲第1号証)
「第1章 ガウシアンビーム
本章では、進行方向に垂直な面内での光強度分布がガウス形状で表される、いわゆるガウシアンビーム(Gaussian beam)についてその導出を行い、伝搬の様子、スポットサイズ、波面の曲率半径などについて議論する。[1]-[3]。
1.1 0次のガウシアンビーム
実際のレーザ(laser)から出射される光は、ガウス形状で近似できるため、ガウシアンビームによる光ビームの取り扱いは重要である。・・・・
電荷がない媒質中におけるマクスウェル方程式(Maxwell equations)は・・・・光の波の時間依存性としてexp(jωt)の形を仮定すると・・・・
▽2E+k2E=0 (1.1-4)
なお、k2=ω2εμと置いた。」(第1頁1行〜下から2行)
「ここで


R(z)=z{1+(πω02/λz)2} (1.1-23)
φ(z)=tan-1(λz/πω02) (1.1-24)

と定義すると、・・・・最終的なE(x,y,z)は


と求まる。・・・・光のパワー規格化定数を用いると(1.1-26)は


と表される。」(第4頁下から2行〜第5頁11行)
「次に、これまでに求めた式の物理的意味について考察する。
(1.1-27)においてr=ω(z)とおくと、E(x、y、z)の振幅はz軸上(r=0)における値の1/e(パワーでは1/e2)となる。このrの大きさω(z)をガウシアンビームのスポットサイズ(spotsize)と呼ぶ。(1.1-22)からわかるように、z=0においてスポットサイズは零とならずにある大きさω0を持つ。ガウシアンビームのz=0の部分をビームウエスト(beam waist)と呼ぶ。」(第5頁下から7行〜下から2行)
「図1.1にこの0次のガウシアンビームのz軸上での断面図を示している。図中の双曲線はzが大きな領域において次式で表される円錐に近づいていく。
r=λz/πω0 (1.1-33)
ビームの伝搬距離zが充分大きな領域における0次のガウシアンビームの広がり角θは(1.1-33)のr/zよりただちに
θ=tan-1(λ/πω0)
≒λ/πω0〔ラジアン〕 (1.1-34)」(第6頁下から5行〜第7頁2行)
「4.8 先球フアイバ
ここでは、図4.40に示すような単一モード光ファイバの先端を加工してレンズ効果を持たせた先球ファイバの設計法について述べる。ファイバ先端部の加工法としては溶融したり研磨したりする方法がある。あるいは先球加工したガラスロッドを単一モード光ファイバの先端に接着してもよい。この先球ファイバは微小レンズ系の一種として半導体レーザとの結合に用いることもできるし、また、先端のレンズの曲率と長さによってはVirtual Fiberとしても用いることができる。
この光ファイバのスポットサイズは先に述べたVirtual Fiberのスポットサイズを求める場合と全く同様の考えで計算できる。つまり、単一モード光ファイバから光をレンズに入射し、レンズ出射後に形成されるスポットサイズがこの先球ファイバのスポットサイズとなる。・・・・図4.41に示すように、単一モード光ファイバから逆にレンズに光を入射させた場合の系の光線行列(M)は


ここで

となる。なお、空気とレンズの屈折率を各々n1およびn2、レンズの長さをd0、レンズの先端からビームウエストまでの距離をd1とした。」(第101頁下から13行〜第102頁下から5行)

刊行物2:特開昭57-5380号公報(申立人提出の甲第2号証)
「本発明は光の結合に関し特に半導体レーザの出力光と光フアイバ又は光収束レンズの結合方式に関するものである。」(第1頁右下欄第9〜11行)
「第7図は、本発明によるフアイバ先端部を示したものであり、半導体レーザの接合面と垂直方向の光成分の結合効率の改善を図るものである。・・・・同図に示す如く、Y-Z平面内ではフアイバの先端部の断面の厚さが最先端に向つて連続的に減少し最先端部は所要の曲率半径Rからなるように、また、X-Z平面内ではその先端断面の厚さが一定となるように形成され、半円柱レンズがフアイバ6-bと一体化された如く形成されている。」(第3頁右上欄1〜13行)
「第8図は、半導体レーザとフアイバの結合方式の本発明による一実施例を半導体レーザ接合面と直交し、フアイバ中心軸を通るY-Z断面内で示したものである。基板8上へ搭載された半導体レーザ1の活性層2中のY方向の光分布は、フアイバー6-aの先端部の曲率部により拡大され、コア6-bの伝搬モードの光分布と整合させられ、高効率な結合を可能ならしめるものである。」

刊行物3:特開昭50-153651号公報(申立人提出の甲第3号証)
先端形状を、発光素子の特性に応じて選定された垂直方向と水平方向とのそれぞれ異なる曲率半径の楕円曲面としたことを特徴とするオプテイカルフアイバーについて記載されている(特許請求の範囲、第2図)。

ウ.対比、判断
本件発明1と刊行物1に記載のものとを対比する。
1)刊行物1に記載のものにおける「先球ファイバ」は、単一モード光ファイバの先端を球面状に加工してレンズ作用を持たせてあり、半導体レーザとの結合に用いられるようにするもので、本件発明1における「レンズ付ファイバ」に相当する。
2)当審において行った審尋に対する平成16年3月23日付けの回答書において、本件発明1における[数1]、[数3]をガウシアンビームの基本形から導いており、[数1]、[数3]の各式中に「ω02」とあるのは「ω0」の誤記である旨説明している。この[数1]、[数3]は屈折率がnの媒質中での関係式であるので、屈折率を1として考えられている刊行物1の関係式(1.1-34)は、屈折率がnの媒質中では本件発明1における[数1]及び[数3]と同等の事項を示すものとなる。
3)刊行物1に記載の式(1.1-22)は、ガウシアンビームにおけるr=ω(z)の大きさを表しており、屈折率nの媒質中ではビームウェストから距離d0にある位置でのωは


となり、この関係式は、本件発明1における[数2]に相当するものである。
4)刊行物1に記載のものにおける先球ファイバのレンズ面の曲率半径Rは、光線行列(M)の式(4.8-1)を満たすものであるが、図4.41に示されるd0がファイバ内部におけるビームウエスト距離、d1がファイバ外部におけるビームウエスト距離をそれぞれ表し、それぞれ本件発明1におけるd0,dに相当するので、空気の屈折率n1を1とし、コアの屈折率n2をnとすれば、刊行物1に記載の式(4.8-1)における4つの行列の積からなる(M)のうち最後の行列を除いたものが、本件発明1の[数4]における(M1)と一致する。そのため、刊行物1における式(4.8-2)〜(4.8-5)中のA,B,C,Dは、それぞれ本件発明1の[数4]中のA,B/n,C,D/nに相当する。
5)刊行物1の図4.41に示される先球ファイバのスポットサイズについての関係式(4.8-7)において、ω1、ω2は、それぞれファイバ内部におけるスポットサイズとファイバ外部におけるスポットサイズを示し、このスポットサイズは本件発明1におけるビームウエスト半径に相当し、刊行物1における式(4.8-7)と式(4.8-4)及び(4.8-5)とから、(ω2/ω1)2=1/{(π・ω0/λ)2・C2+D2}となり、この関係式は、本件発明1における[数5]に相当するものである。
6)θ(d0)をファイバ出射開口角/2[NA=n・sinθ(d0)]とするのは、ただそのように規定するというものであり、刊行物1においても規定がなされるものであり、また、刊行物1に記載のものにおいて、d0及びRは、それぞれ本件発明1における[数1]〜[数5]の関係を満たすものと言える。
上記1)〜6)の考察から、本件発明1と刊行物1に記載のものとは、「θ(d0)をファイバ出射開口角/2[NA=n・sinθ(d0)]、d0をファイバ内部におけるビームウェスト距離、dをファイバ外部におけるビームウェスト距離、ω0をファイバ内部におけるビームウェスト半径、λを光線の波長、nをコアの屈折率、ωをファイバのコア半径、とすると、この先端に数1〜数5の条件を満たす曲率半径Rを設けたレンズ付ファイバ」である点において一致し、次の点において相違する。
a.本件発明1におけるレンズ付きフアイバは光源または出射光に対向する光ファイバ端の一部に斜断面を設けて楔状とした先円筒のレンズ付ファィバであるのに対して、刊行物1に記載の先球ファイバは半導体レーザと結合する先端を球面状に加工してレンズ作用を持たせたものである点
b.本件発明1において、ωyをファイバ外部におけるy軸方向のビームウェスト半径(ただし、ファイバ光軸方向をz軸、前記ファイバ楔状稜線と平行な方向をx軸、また前記両軸と直交する方向をy軸としてそれぞれを定める。)とすると、ωyとω0との間に数2及び数5の関係が成り立つのに対して、刊行物1においては、特にファイバ外部におけるy軸方向のスポットサイズに関して明記していない点
c.本件発明1において、ファイバの先端に数1〜数5で設定されたd0を用いて算出した曲率半径Rを設けているのに対して、刊行物1に記載のものにおいては、特に本件発明1における数1〜数5に相当する式でd0を設定し、それを用いて曲率半径Rを算出することについて明記していない点
そこで、上記相違点について検討する。
相違点aについて:
半導体レーザと光ファイバとの光学的結合の際に、半導体レーザの接合面と垂直方向の光成分の結合効率を改善するために、光ファイバ端の一部に遮断面を設けて楔状の形状とした先円筒レンズ付ファイバとすることは、刊行物2に示されるように従来用いられている技術的手段であり、刊行物1に記載のものにおける先球ファイバに代えて、刊行物2に示される先円筒レンズ付ファイバを用いることは、当業者が容易になし得ることである。
相違点bについて:
刊行物1に記載のものにおいて、先球ファイバの先端は球面状のレンズとして加工され、レンズ球面の半径をR、d0をファイバ内部におけるビームウェスト距離、dをファイバ外部におけるビームウェスト距離、ω0をファイバ内部におけるビームウェスト半径、λを光線の波長、nをコアの屈折率、ωをファイバのコア半径として、本件発明1における数1〜数5に相当する関係式の条件が満たされるものであり、これらの関係式は球面状でないレンズ面の場合にも、その曲率半径をRとして、同様に満たされるべきものであるのは明らかである。そして、刊行物1におけるファイバ先端の一部に遮断面を設けて楔状として先円筒のレンズ付ファイバとした場合に、ファイバ内部のスポットサイズとファイバ外部のスポットサイズとの間における、本件発明1における数2及び数5に相当する関係式は、楔状稜線と平行なx軸と、ファイバ光軸方向のz軸とに直交するy軸の方向についてのファイバ外部のスポットサイズとファイバ内部のスポットサイズとの間でも満たされるべきものである。それゆえ、相違点bの事項も、断面が楔状の形状の先円筒レンズとした場合に当然考慮すべきことであり、何ら格別なものではない。
相違点cについて:
刊行物1に記載のものにおいて、d0及びRは、本件発明1における数1〜数5に相当する関係式を満たすものであり、数4によりRを求める際に、d0は求められていなければならないのは明らかであることからすれば、数1〜数5で設定されたd0を用いてRを算出することは、単に計算の手法を示したにすぎないことであり、何ら格別な技術的特徴を与えるものではない。
また、相違点a〜cの事項による作用効果も予測し得る程度のことである。
それゆえ、本件発明1は、刊行物1及び刊行物2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

次に、本件発明2と刊行物1に記載のものとを対比すると、本件発明2における「y-z面内に含まれる前記光ファイバ先端断面を、数1〜数5で設定されたd0を用いて算出した曲率半径をRとして設定」することは、本件発明1における事項と同等であるから、本件発明2と刊行物1との相違点は、本件発明1と刊行物1に記載のものとの前記相違点b、cに加えて、次の相違点dがある。
d.本件発明2は、先楕円のレンズ付ファイバであり、x-z面内に含まれるファイバ先端断面を、所望の曲率半径として設けているのに対して、刊行物1に記載のものは、先球ファイバであり、x-z面内に含まれる先端断面を所望の曲率半径とすることについて明記していない点
ところで、先端形状を、発光素子の特性に応じて選定された垂直方向と水平方向とのそれぞれ異なる曲率半径の楕円曲面とすることは、刊行物3に記載のように、従来用いられている技術的手段であり、刊行物1に記載のものにおける先球ファイバに代えて、刊行物3に記載のような垂直方向と水平方向とで異なる曲率半径の先端楕円曲面を有するファイバを用いることは容易になし得ることである。また、ファイバ先端のレンズ面の形状として、特に問題とすべきなのは、半導体レーザの接合面と垂直方向の曲率半径Rであり、この方向をy軸方向として、その方向の曲率半径Rを、刊行物1に記載のものにおける本件発明2の数1〜数5(本件発明1の数1〜数5と同じ)に相当する関係式を満たすようにすれば、y軸に垂直なx軸方向についての曲率半径は、結合効率の面からy軸方向ほど問題にはならず、所望の曲率半径としてもよいのは明らかであり、この点も適宜考慮し得る程度のことである。
そうすると、本件発明2は、刊行物1及び刊行物3に各々記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
エ.むすび
以上のとおりであるから、本件発明1は刊行物1及び2に各々記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、また、本件発明2は刊行物1ないし3に各々記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、本件発明1及び2についての特許は、いずれも特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
したがって、本件発明1及び2についての特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
レンズ付ファイバ
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】光源または出射光に対向する光ファイバ端の一部に斜断面を設けて楔状とし、
θ(d0)をファイバ出射開口角/2 [NA=n・sinθ(d0)]、
d0をファイバ内部におけるビームウェスト距離、
dをファイバ外部におけるビームウェスト距離、
ω0をファイバ内部におけるビームウェスト半径、
λを光線の波長、
nをコアの屈折率、
ωをファイバのコア半径、
ωyをファイバ外部におけるy軸方向のビームウェスト半径(ただし、ファイバ光軸方向をz軸、前記ファイバ楔状稜線と平行な方向をx軸、また前記両軸と直交する方向をy軸としてそれぞれを定める。)とすると、
この先端に数1〜数5で設定されたd0を用いて算出した曲率半径Rを設けたことを特徴とする先円筒のレンズ付ファイバ。
【数1】

【数2】

【数3】

【数4】

【数5】

【請求項2】光源または出射光に対向する光ファイバ端の一部に斜断面を設けて楔状とし、
θ(d0)をファイバ出射開口角/2 [NA=n・sinθ(d0)]、
d0をファイバ内部におけるビームウェスト距離、
dをファイバ外部におけるビームウェスト距離、
ω0をファイバ内部におけるビームウェスト半径、
λを光線の波長、
nをコアの屈折率、
ωをファイバのコア半径、
ωyをファイバ外部におけるy軸方向のビームウェスト半径(ただし、ファイバ光軸方向をz軸、前記ファイバ楔状稜線と平行な方向をx軸、また前記両軸と直交する方向をy軸としてそれぞれを定める。)とすると、
y-z面内に含まれる前記光ファイバ先端断面を、数1〜数5で設定されたd0を用いて算出した曲率半径をRとして設定し、他方x-z面内に含まれるファイバ先端断面を、所望の曲率半径として設けたことを特徴とする先楕円のレンズ付ファイバ。
【数1】

【数2】

【数3】

【数4】

【数5】

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、光通信に使用する発光源と光ファイバとの光結合に関するものである。
【0002】
【従来の技術および課題】
光通信用の発光源としては、レーザダイオード(以下LDという),発光ダイオード等が用いられるが、光伝送路である光ファイバに入光させるためには光ファイバ端を発光面に位置合せして結合させるのが一般的である。
【0003】
しかしながら、発光面からの光の出射角は、かなりの広がりがあるため、光ファイバとの結合効率は良くない。従って、結合効率を向上させるためのレンズ等を挿入して光を集束させ、光ファイバへの入光を良くする方法がある。
【0004】
LDと光ファイバとの光結合を取るには、従来、図5(a)〜(d)に示すような多様な組合せが考えられてきた。LDから放射される光は、光分布が円状のガウス分布ではなく縦方向と横方向で大きく異なる楕円ビーム状となる。
【0005】
図6にLDの出射ビームの広がり角を説明する図を示すが、このように近端光分布NFPはx軸方向に横長で、遠端光分布FFPになるとy軸方向に広がった楕円状の光線分布になるため、高い結合効率が得られなかった。
【0006】
図5(a)に示す結合方法は早くから考案されたもので、円柱レンズ21をLD1と光ファイバ20との間に配置することにより、結合効率を高くしようとした例である。
【0007】
図5(c),(d)に示す結合方法は、それぞれ楕円性は無視して光の収差を考えた非球面レンズ22を用いたり、組上りの結合トレランスを少しでも緩やかにするために2個のレンズ23,レンズ24を共焦点位置に配置した場合である。
【0008】
この場合、レンズはファイバ型より高価となるが、結合が遜色なく実現できる利点は確保される。但し、図5(a),(c),(d)の例ともレンズとファイバが分離しているので、その分だけ光軸合わせが難しくなり、また光路中に界面が生ずるのでその分光損失が生じる。また、勿論反射防止膜は施されていても、この場合3面あるので好ましくない。さらに、部品点数が多いことは、システム全体のコストを高価にする。
【0009】
一方図5(b)の例では、ファイバ20の先端に光軸であるZ軸に対称な曲面部25を形成したもので、前述のような欠点は緩和されるが、LD1から放射される光線が楕円形状の分布をしているにもかかわらず円形コアに結合させるため、軸合せが極めて狭い範囲でしか取れなくなり、原理的にも限界がある。
【0010】
特に、今後光増幅等で光励起用LDとして期待されている歪格子型量子井戸レーザ等では、注入電流を増大するため、活性層断面を広く取る必要が生じ、結果として側面に形成される光放射窓部が、厚み方向は変わらず(0〜2μm程度)横方向に広がった(0〜200μm程度)形状となり、従来のLDに比較して益々扁平度合が大きくなっており、効率よく光を結合するには、遠端光分布に合った扁平レンズが必要となっていた。
【0011】
〔目的〕
上記問題点に鑑み、本発明は、特殊な個別レンズを組合せる方式に対して、簡単な構成で、扁平光線が効率良く取り込め、LD,ファイバ間の光結合効率を良くするレンズ付ファイバを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記従来技術の課題を解決する為になされたもので、本発明によるレンズ付ファイバは、光源または出射光に対向する光ファイバ端のコア中心を基準にした中心線の両側に斜断面を設けて楔状とし、この先端に所望の曲率を設け半円筒状レンズを形成したものである。
【0013】
また、その半円筒状レンズ端の半円筒方向に、当該半円筒半径より大きな曲率を付与し、先端に曲率の異なる互いに直交した曲面を形成したものである。
【0014】
【作用】
本発明のレンズ付ファイバにおいては、上記のとおり構成したので、ファイバレンズを備えていて結合方法が簡単である。また、扁平光線が取り込めるので、高い結合効率を得ることが出来る。
【0015】
即ち、出射端が扁平な高出力LDやLEDの発生する光線を、漏れなく光ファイバへ結合することが可能となる。
【0016】
【実施例】
以下、本発明の実施例について、図面を参照して説明する。図1は本発明の実施例を示す先円筒のレンズ付ファイバの形状を示す三面図である。図2は本発明の他の実施例を示す先楕円レンズ付ファイバの形状を示す三面図である。図3は本発明の実施例のレンズ付ファイバの製法を説明する図である。図4は扁平なビームウェイストの形成を説明する図である。
【0017】
本発明によるレンズ付ファイバは、図3に示すようにファイバの片面から研摩し、ファイバのセンタまで研摩したら180°回転し、反対方向から切削することで、楔形状のファイバを形成し、先端を所望の曲率にするため、適当な研摩を加える。
【0018】
図1,図2はその形状例である。図1は、半円柱レンズとなり、扁平性の高いLDに適している。図2は直交方向にも曲率を与えることで、図4中のy軸方向に広がる光線をも集光する効果を有する形状である。
【0019】
次に図4を参照してLDから出射された光ビームが先円筒レンズ付ファイバに効率良く入射する原理を説明する。
【0020】
LD1の窓部Cにおけるy軸方向のビームウェイスト半径をωy,x軸方向のビームウェイスト半径をωx,シングルモードファイバ(以下SMFという)2のコア半径をωとする。
【0021】
先円筒レンズ付ファイバのファイバ端Aから、先円筒レンズ付ファイバ内部のビームウェイスト半径ω0までの距離d0を求める。
【0022】
SMFでは、NA=0.1で入射される。一方、ファイバコア3の屈折率nをn=1.465,コア径2ω=6μmとすると
【数1】

【数2】

よって、数1,数2よりω0=2.993μmとなる。
【0023】
【数3】

例えば、光線の波長λ=830nmなら、n=1.465とおいて、数3に代入すると、d0=3.40μmとなる。
【0024】
ここで、先円筒レンズ付ファイバのファイバ端Aから、LDの窓部Cまでの距離dを求めるには、レンズの曲率をRとして、
【数4】

と表される光線マトリクスから決定される。
【0025】
即ち、一般的なビームマトリクスの式から、
【数5】

これより、ωyが求まる。例えば、曲率R=10μmのとき、ωy=1.323μmとなる。逆にωyが分っていれば最適な曲率Rが求まる。
ωyが分っていれば最適な曲率Rが求まる。
【0026】
同じように、
【数6】

からd=15.22μmが求まる。このときωxは、レンズ効果がないから、
【数7】

と表される。例えば、d0=3.12,ω0=2.9930とすれば、ωx=3.4μmとなる。
【0027】
すなわち、半円形レンズファイバを出射したビームは、コア径2ω=6μmのSMFで波長λ=830nmならば、曲率R=10μmとするとき、レンズ端Aからd=約15μmの位置に、ωx=約3.4μm,ωy=約1.3μmの扁平なビームウェイストを形成することができる。
【0028】
従って、ωyがωxに比して小さい高出力半導体レーザのとき、(ωy/ωx)=約1/3〜1/5位の扁平化した放射窓に適合したファイバレンズが形成でき、高い結合効率が得られる。
【0029】
【発明の効果】
本発明のレンズ付ファイバにおいては、上記のとおり構成したので、ファイバレンズを備えていて結合方法が簡単である。また、扁平光線が取り込めるので、高い結合効率を得ることができ、低コストで、扁平光線が取り込め、半導体レーザと光ファイバ間の光の結合効率を良くするレンズ付ファイバを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
本発明の実施例を示す先円筒のレンズ付ファイバの形状を示す三面図。
【図2】
本発明の他の実施例を示す先楕円レンズ付ファイバの形状を示す三面図。
【図3】
本発明の実施例のレンズ付ファイバの製法を説明する図である。
【図4】
扁平なビームウェイストの形成を説明する図
【図5】
従来のLDとファイバとの光結合方法を示す図。
【図6】
LDの出射ビームの広がり角を説明する図。
【符号の説明】
1 LD
2 SMF
3 ファイバコア
20 光ファイバー
21 22 23 24 25 レンズ
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2005-05-23 
出願番号 特願平6-248633
審決分類 P 1 651・ 121- ZA (G02B)
最終処分 取消  
前審関与審査官 後藤 昌夫笹野 秀生  
特許庁審判長 平井 良憲
特許庁審判官 吉田 禎治
町田 光信
登録日 2002-11-29 
登録番号 特許第3375213号(P3375213)
権利者 並木精密宝石株式会社
発明の名称 レンズ付ファイバ  
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