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審決分類 審判 全部申し立て 特36 条4項詳細な説明の記載不備  G03G
審判 全部申し立て 特39条先願  G03G
審判 全部申し立て 2項進歩性  G03G
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  G03G
審判 全部申し立て 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備  G03G
管理番号 1124336
異議申立番号 異議2003-73528  
総通号数 71 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2003-05-09 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-12-26 
確定日 2005-10-17 
異議申立件数
事件の表示 特許第3454270号「非磁性一成分フルカラー現像用トナー」の請求項1ないし3に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第3454270号の請求項1ないし3に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
本件特許第3454270号の請求項1ないし3に係る発明は、平成4年2月14日に出願した特願平4-28492号出願の一部を新たな特許出願とした特願2000-32015号出願の一部をさらに新たな特許出願として出願され、平成15年7月25日にその発明について特許の設定登録がなされた。
本件特許公報が、平成15年7月25日に発行されたところ、本件の請求項1ないし3に係る特許に対して、近藤英生より特許異議の申立てがあり、取消理由通知がなされ、その指定期間内の平成17年6月21日付で意見書が提出された。

第2 本件発明
本件の請求項1ないし3に係る発明は、特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された以下のとおりのものである。以下、「本件発明1」ないし「本件発明3」という。
「【請求項1】薄層化させたトナーを潜像担持体に接触せしめて供給して潜像を現像する非磁性一成分フルカラー現像用トナーであって、該トナーは少なくとも着色剤、無色ないし淡色の帯電制御剤及びポリエステル樹脂を含有し、該ポリエステル樹脂を構成するモノマーは多価アルコールと多塩基酸とよりなり、そのガラス転移温度(Tg)をx軸の変数とし、軟化点(Sp)をy軸の変数としてxy座標にプロットした時、下記の式(1)〜(4)で表される直線で囲まれる範囲内の物性を有するものであって、さらに該トナーの粒子の表面に少なくとも1種の微粒子添加剤を含有して成ることを特徴とする非磁性一成分フルカラー現像用トナー。
式(1) Sp=4Tg-110
式(2) Sp=4Tg-170
式(3) Sp=90
式(4) Sp=120
【請求項2】芳香族の多塩基酸が、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸及びこれらの無水物並びに低級アルキルエステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項1記載の非磁性一成分フルカラー現像用トナー。
【請求項3】芳香族の多塩基酸が、テレフタル酸及びこれらの無水物並びに低級アルキルエステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項1記載の非磁性一成分フルカラー現像用トナー。」

第3 申立ての理由の概要
異義申立人は、証拠として甲第1号証ないし甲第7号証を提出し、以下の理由1ないし理由5により、本件発明1ないし本件発明3に係る特許は、特許法第113条第2号あるいは第4号の規定により取り消すべきものであると主張している。
理由1:
本件発明1ないし本件発明3は、その出願日前又はその出願日の同一出願人の出願に係る下記の甲第1号証の発明と同一であるから、特許法第39条第1項又は第2項の規定により特許を受けることができないものである。

甲第1号証:特許第3287000号公報(上記特願平4-28492号の 特許公報)
理由2:
本件発明1ないし本件発明3は、その出願日前又はその出願日の同一出願人の出願に係る下記の甲第2号証の発明と同一であるから、特許法第39条第1項又は第2項の規定により特許を受けることができないものである。

甲第2号証:特許第3412612号公報(上記特願2000-32015 号の特許公報)
理由3:
本件発明1ないし本件発明3は、その出願前に頒布された下記の甲第3号証に記載された発明であるか、又は下記の甲第3号証ないし甲第5号証に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、又は同条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。

甲第3号証:特開平1-284863号公報
甲第4号証:特開平2-166462号公報
甲第5号証:ソフト技研出版部編「最近の電子写真プロセス技術と装置の最 適設計・応用開発」平成元年6月30日発行、第540〜54 5頁及び第630〜633頁
理由4:
本件発明1ないし本件発明3は、その出願前に頒布された下記の甲第4号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものである。

甲第6号証:特開平5-224461号公報(特願平4-28492号の公 開公報)
理由5:
本件明細書の記載は、特許法第36条第6項第1号もしくは第2号に規定する要件を満たしていない。

第4 当審における判断
1 理由4について
申立人は、理由4の根拠として、概ね、以下のように主張している。
“本件の請求項1には「式(4) Sp=120」が記載されているが、本件の出願の基となる特許出願である特願2000-320315号の願書に最初に添付された明細書(甲第7号証参照)あるいはさらにその出願の基となる特許出願である特願平4-28492号の願書に最初に添付された明細書(甲第6号証参照)には、「式(4) Sp=120」は記載されていないから(甲第7号証、甲第6号証参照)、本件に係る特許出願は適法な分割出願でなく、本件の出願日は、現実の出願日である平成14年11月1日である。”
しかしながら、特願平4-28492号の願書に最初に添付された明細書(甲第6号証)及び特願2000-320315号の願書に最初に添付された明細書(甲第7号証参照)の段落【0020】の「第1図でも明らかなように、本発明に関するポリエステル樹脂のSpは90〜130℃であり、その中でも95〜120℃のものが好適である。」という記載、及び表2に、
実施例に使用されたポリエステル1ないし4のうち、Spの値がもっとも高いポリエステル4のSpが「120」であることが記載されており、これらの記載が、本件の請求項1に記載された「式(4) Sp=120」の根拠となっていることは明らかである。
よって、申立人の主張する理由4は、採用することができない。

2 理由5(36条違反)について
申立人は、理由5の根拠として、概ね、以下のように主張している。
“ 本件発明1ないし本件発明3において、「フルカラー現像トナー」という用語が記載されているが、本件明細書に記載された実施例は、モノカラー現像しか記載されておらず、マゼンタトナー、シアントナー及びイエロートナーを使用して転写材等にフルカラー画像を形成している実施例は全く記載されていないものであり、本件発明1ないし本件発明3の効果を確認できないものである。したがって、本件発明1ないし本件発明3における「フルカラー現像用トナー」という用語は不明確である。”
しかしながら、本件明細書には、本件発明1ないし本件発明3の解決すべき従来の技術における課題を記載した段落【0003】に「分光された光で露光して原稿の静電潜像を形成せしめ、これを各色のカラートナーで現像して色付きの複写画像を得、あるいは各色の複写画像を重ね合わせてフルカラーの複写画像を得るカラー複写の方法が実用化され、これに用いるカラートナーとして・・・」と記載され、実施例には、着色剤として、ブラック、マゼンタ、シアン、イエローの4色のトナーが例示され、発明の効果を記載した段落【0044】に「透明性や堅牢性に優れ、しかも良好な色相・彩度を有するカラートナーが得られ、カラー電子写真法に適用が可能である。」と記載されていることからみて、本件発明1ないし本件発明3のトナーが、「フルカラー現像用トナー」であることは明りょうであり、実施例に4色のトナーを転写したことが記載されていないというだけでは、「フルカラートナー現像用トナー」という用語が明りょうであるとすることはできない。
よって、申立人の主張する理由5は、採用することができない。

3 理由1及び理由2(39条違反)について
(1) 甲第1号証(特許第32877000号)の特許請求の範囲には、以下のとおり記載されている。
「薄層化させたトナーを潜像担持体に接触せしめて供給して潜像を現像する非磁性一成分トナーであって、該トナーは着色剤及びポリエステル樹脂を含有し、該ポリエステル樹脂はビスフェノールAアルキレンオキシド付加物と多塩基酸成分のみから成り、そのガラス転移温度(Tg)をx軸の変数とし、軟化点(Sp)をy軸の変数としてxy座標にプロットした時、下記の式(1)〜(4)で表される直線で囲まれる範囲内の物性を有するものであって、さらに該トナーの粒子の表面に少なくとも1種の微粒子添加剤を含有して成ることを特徴とする非磁性一成分ナー。
式(1) Sp=4Tg-110
式(2) Sp=4Tg-170
式(3) Sp=90
式(4) Sp=120 」
本件発明1と、甲第1号証の特許請求の範囲に記載された発明とを対比すると、前者では、「無色ないし淡色の帯電制御剤を含む、フルカラー現像用トナー」であることを1つの要件とするものであるのに対し、後者ではそのような要件を有していない点、及び、後者では、ポリエステル樹脂を構成するモノマーである多価アルコールを、「ビスフェノールAアルキレンオキシド付加物」に限定するものであるのに対し、前者ではそのような限定を有していない点で相違しているから、両者が同一であるとすることはできない。
また、本件発明2及び本件発明3も同様の理由により、甲第1号証の特許請求の範囲に記載された発明と同一であるとすることはできない。

(2) 甲第2号証(特許第3412612号)の特許請求の範囲には、以下のとおり記載されている。
「【請求項1】薄層化させたトナーを有機光導電体からなる潜像担持体に接触せしめて供給して潜像を反転現像法により現像する画像形成方法において使用する非磁性一成分トナーであって、該トナーは少なくとも着色剤、負帯電性の帯電制御剤及びポリエステル樹脂を含有し、該ポリエステル樹脂は、多価アルコールと芳香族の多塩基酸とを重合することにより得られたものであり、そのガラス転移温度(Tg)をx軸の変数とし、軟化点(Sp)をy軸の変数としてxy座標にプロットした時、下記の式(1)〜(4)で表される直線で囲まれる範囲内の物性を有するものであって、さらに該トナーの粒子の表面に少なくとも1種の微粒子添加剤を含有して成ることを特徴とする非磁性一成分ナー。ただし、該ポリエステル樹脂がポリイソシアネート類によりウレタン結合を形成することにより鎖延長されたポリエステル樹脂である場合を除く。
式(1) Sp=4Tg-110
式(2) Sp=4Tg-170
式(3) Sp=90
式(4) Sp=120
【請求項2】薄層化させたトナーを有機光導電体からなる潜像担持体に接触せしめて供給して潜像を反転現像法により現像する画像形成方法において使用する非磁性一成分トナーであって、該トナーは少なくとも着色剤、負帯電性の帯電制御剤及びポリエステル樹脂を含有し、該ポリエステル樹脂は、多価アルコールと芳香族の多塩基酸のみを重合することにより得られたものであり、そのガラス転移温度(Tg)をx軸の変数とし、軟化点(Sp)をy軸の変数としてxy座標にプロットした時、下記の式(1)〜(4)で表される直線で囲まれる範囲内の物性を有するものであって、さらに該トナーの粒子の表面に少なくとも1種の微粒子添加剤を含有して成ることを特徴とする非磁性一成分ナー。
式(1) Sp=4Tg-110
式(2) Sp=4Tg-170
式(3) Sp=90
式(4) Sp=120
【請求項3】芳香族の多塩基酸が、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸及びこれらの無水物並びに低級アルキルエステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の非磁性一成分となー。」
本件発明1と、甲第1号証の特許請求の範囲に記載された発明とを対比すると、前者では、「無色ないし淡色の帯電制御剤を含む、フルカラー現像用トナー」であることを1つの要件とするものであるのに対し、後者ではそのような要件を有していない点、及び、後者では、「有機光導電体からなる潜像担持体に接触せしめて供給して潜像を反転現像法により現像する画像形成方法において使用する」ことを要件とするものであるのに対して、前者ではそのような要件を有していない点で相違しているから、両者が同一であるとすることはできない。
また、本件発明2及び本件発明3も同様の理由により、甲第2号証の特許請求の範囲に記載された発明と同一であるとすることはできない。

(3) よって、申立人の主張する理由1及び理由2は、いずれも採用することができない。

4 理由3(29条違反)について
(1) 甲3号証ないし甲第5号証に記載されている事項
甲第3号証には次の事項が記載されている。
(3a)「少なくとも熱可塑性樹脂、ワックスおよび着色剤からなるトナーにおいて、該熱可塑性樹脂の有する数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、およびZ平均分子量(Mz)が、
1,000≦Mn≦7,000
40≦Mw/Mn≦70
200≦Mz/Mn≦500
の関係を有し、該ワックスの160℃における粘度が100〜180cpsであり、且つ該ワックスが該熱可塑性樹脂100重量部に対して2〜10重量部からなることを特徴とするトナー。」(特許請求の範囲)
(3b)「本発明に適する熱可塑性樹脂の軟化点は、本発明の効果を損なわない限りは現像スピード、システムの機構上、低い軟化点を有する熱可塑性樹脂がよく、たとえば・・・・ビスフェノール型ジオール、・・・・から選ばれた少なくとも1つのジオール成分と、・・・・テレフタル酸、・・・・から選ばれた少なくとも一種のジカルボン酸と、トリメリット酸から合成されるポリエステル樹脂などがあげられる。」(第2頁左下欄第7〜20行)
(3c)「本発明に使用しうる着色剤としては、具体的には、黒色顔料としてはチャンネルブラック、ファーネスブラック等のカーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、アニリンブラック等;
黄色顔料としては黄鉛、亜鉛黄、カドミウムエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンエロー、ネーブルスエロー、ナフトールエローS、ハンザーイエローG、ハンザーイエロー10G、ベンジジンエローG、ベンジジンエローGR、キノリンエローレーキ、パーマネントエロー、NCG、タートラジンレーキ等;
橙色顔料としては赤口黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダンスレンブリリアントオレンジGK等;
赤色顔料としてはベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッド、カルシューム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B等;
紫色顔料としてはマンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等;
青色顔料としては紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBC等がある。
緑色顔料としてはクロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファナルイエローグリーンG等;
白色顔料としては亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等;
体質顔料としてはバライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等;
黄色着色剤としてはベンチジンイエロー、ハンザイエロー、クロモフタールイエロー等;
が挙げられる。
これらの着色剤は1種または2種以上混合して使用してもよく、いずれも無公害で高い着色力があれば有機、無機を問わず、これらに限定されるものではない。」(第3頁左上欄第17行〜右下欄第3行)
(3d)「本発明のトナーにはさらに他の添加剤を添加してもよく、たとえば荷電性を付与する為には次のような帯電制御剤を用いてもよい。
負帯電性の良好なものとして、ヒドロキシ置換ナフトエ酸およびそのアルキル誘導体、ヒドロキシ置換テトラハイドロナフトエ酸、およびサリチル酸のアルキル誘導体等の金属錯塩化合物;あるいは、一般式:・・・・・で表わされる金属錯塩化合物を帯電制御剤として使用することができるが、ここに挙げた含金油溶性染料に限られることはない。また、2-アクリルアミド-2-メチルプロパン・スルホン酸などのスルホン酸塩をスチレンなどと共重合することにより、得られたいわゆる帯電制御樹脂を上記帯電制御剤と併用することにより帯電の立上がりを良好にしトナー飛散などを減少することができる。
正帯電性を付与するものとして、一般に電子供与性の染料たとえばニグロシン系染料が汎用される。これ以外にアルコキシ化アミン、第四級アンモニウム塩、アルキルアミド、リンおよびタングステンの単体および化合物、モリブデン酸キレート顔料、ジブチル錫オキサイドや含窒素化合物が単独でまたは併用して用いられる。」(第3頁右下欄第行〜第4頁左下欄第12行)
(3e)「本発明のトナーは例えば適当なキャリアと配合して2成分系現像材とされ得る。・・・・また、本発明のトナー自体を絶縁性磁性トナーとして製造し、これを1成分現像剤として用いて磁気ブラシ現像方式を実施してもよい。さらに、インプレション現像方式やタッチダウン現像方式を実施する場合のトナーとして使用してもよい。」(第4頁右下欄第15行〜第5頁左上欄第7行)
(3f)「以下、実施例を挙げて具体的に説明する。
トナー1〜5の調製
・熱可塑性スチレンアクリル系樹脂 100重量部
・・・・
・オフセット防止用添加剤 4重量部
低分子量ポリプロピレン(ポリプロピレンの熱分解生成物)・・・・
・カーボンブラック 8重量部
MA#100(:三菱加成工業社製)
・ボントロンN-01 4重量部
(オリエント化学工業社製:ニグロシン系染料)
以上を10lヘンシェルミキサーに入れ、2000rpmで2分間混合したあとPCM30(l/d:32.5)で連続押出混練をした。
次に、冷却したあと2mmメッシュのフェザーミルで粗粉砕したあと、ジェット粉砕機で微粉砕し、気流式分級機で粗粉・微粉のカットをして、平均径11.2μmの粒子径を有するトナーを得た。
このトナーの表面に疎水性シリカ(R-974、日本アエロジル株式会社製)を0.2%処理する。
このようにして得られたトナーをトナー1とした。」(第5頁左上欄第8行〜右上欄第11行)
(3g)「トナー6の調製
・熱可塑性ポリエステル樹脂 100重量部
・・・・
軟化点:109℃ Tg:64℃
・オフセット防止用添加剤 5重量部
酸化型低分子量ポリプロピレン
(ポリプロピレンの熱分解生成物)・・・・
・カーボンブラック 7重量部
(#44:三菱化成工業(株))
・ボントロンS-34 3重量部
(オリエント化学工業社製:Cr含金油溶性染料)
以上をトナー1の調製と同様な方法で平均径10.4μmのトナーを得た。得られたトナーをトナー6とした。
なお、上記熱可塑性樹脂はビスフェノールA・エチレンオキサイド付加物550g、ビスフェノールA・プロピレンオキサイド付加物550g、テレフタル酸410g、無水トリメリット酸45g、キシレン50gを3lの4つ口フラスコに入れ窒素気流中240℃で5時間反応させ、次に、270℃に昇温して、8時間反応させて得られた。このとき、副生成した水は、留去した。」(第5頁右上欄第17行〜左下欄第21行)
(3h)「トナーの評価
トナー1〜9、およびキャリアIまたはIIを組み合わせて現像剤を調製し、以下に記載した評価を行った。結果は表1に示した。」(第6頁左下欄第6〜9行)
(3i)「(3)耐熱テスト
ガラスサンプル瓶(50cc)の中にトナー5gを入れ50℃±0.5℃のオーブン中に24時間放置した後・・・・逆に倒立させ、トナーが落下するかどうかを調べた。 ランクA 0〜5秒の間に落下し、凝集なし。B ・・・・」(第6頁右下欄第3〜9行)
(3j)「(5)画像テスト
キャリアIIとトナー6を7wt%のトナー濃度になるように1lのポリ瓶に入れ、ボールミル架台にのせ10時間、120rpmで現像剤を調整する。この現像剤をミノルタカメラ社製EP870に入れ10K枚の耐刷テストをし、カブリの有無を、評価し、以下のようにランク付けした。・・・・
(6)感光体上へのトナーのフィルミングについて
・・・・フィルミングの程度をミノルタカメラ社製EP870(複写速度35.0cm/s)を使用し、10K枚の耐刷テストをした後の感光体の表面を評価し、下記の様にランク付けした。 ◎:全くフィルミングなし。○:・・・・」(第7頁右上欄第19行〜右下欄第4行)
(3k) (3k) トナー6について、「耐熱性テスト」の評価が「A」、「感光体上のフィルミング」の評価が「◎」であること、(第8頁、表1)
(3l)「発明の効果
本発明のトナーは帯電の立ち上がりおよびその安定性に優れ、カブリおよび濃度に優れた良好な画像を提供でき、特に高速現像システムにおいて、転写紙への定着性、定着ローラーからの分離性に優れ、オフセット等のない良好な画像を提供できる。」(第8頁左下欄第1〜7行)

甲第4号証には、次の事項が記載されている。
(4a)「(1)少なくともトナー搬送部材、トナー層厚規制部材、およびトナー搬送部材に接触しつつ自在に回転可能に支持されており、トナーを前記搬送部材に供給するトナー供給部材を有する静電記録装置を用いる画像形成方法において、少なくとも、結着樹脂と着色剤および帯電制御剤からなる磁性を有さないトナーであって、前記結着樹脂として少なくともポリエステル樹脂とスチレン-アクリル酸メチルエステル共重合体を含有し、前記帯電制御剤として少なくともサリチル酸の金属塩および/またはサリチル酸誘導体の金属塩を含有するトナーからなる現像剤を用いることを特徴とする一成分現像方法。
(2)トナー粒子に、高疎水化処理した無機酸化物粉末を添加混合した現像剤を用いることを特徴とする上記請求項(1)記載の一成分現像方法。」(特許請求の範囲)
(4b)「本発明の現像方法について説明すると、図面に示すように、・・・・トナーはトナー供給部材4に供給される。そして、トナー供給部材4に取り込まれたトナーは・・・・トナー搬送部材2に運ばれ、摩擦され、静電的あるいは物理的に吸着し、トナー搬送部材2が矢印方向に強く回転し、トナー層厚規制部材3により均一なトナー薄層が形成されると共に摩擦帯電する。その後トナー搬送部材2と接触もしくは近接している静電潜像担持体1の表面に運ばれ、潜像が現像される。」(第4頁右下欄第17行〜第5頁左上欄第11行)
(4c)「実施例1
トナーとして
ポリオキシエチレン化ビスフェノールAとテレフタル酸より成る重量平均分子量10000のポリエステル樹脂 50部
スチレンモノマーとアクリル酸メチルエステルモノマーに過酸化ベンゾイルとジビニルベンゼンを加え懸濁重合法により重量平均分子量35万、Tg55℃のスチレン-アクリル酸メチルエステル共重合体(St/MA)
50部
カーボンブラック 10部
3,5-ジターシャリーブチルサリチル酸亜鉛 4部
を熱ロールミルで溶融混練し、・・・・微粉砕した。得られた微粒子を分級し5〜20μmの粒径にした。更に本微粉末100部にコロイダルシリカ0.5部を混合して現像剤とした。
この現像剤を用いてタッチダウン現像方式を採用した電子写真複写機(リコー製反転現像機マイリコピーM-5)で画像出しを行ったところ、現像スリーブ上の現像剤の帯電量は-11.0μc/gで、カブリのない鮮明な画像が得られた。更に、50000枚連続複写を行っても異常はなく鮮明な画像が維持された。なお、現像剤の現像スリーブ上の帯電量は-10.2μc/gであった。」(第5頁左上欄第15行〜左上欄第2行)
(4d)「図面は本発明の一成分現像方法を実施するのに適する一装置の説明図である。
1…静電潜像坦持体、2…トナー搬送部材、3…トナー層厚規制部材、4…トナー補給部材、5…攪拌羽根、6…トナー、7…トナータンク」(第6頁左上欄第17行〜右上欄第1行)

甲第5号証には、次の事項が記載されている。
(5a) 表7-16に、一成分現像法が分類され、非磁性現像法として「Impression法」、「Touchdown法」があること(第541頁)
(5b)「2)インプレッション現像法
図7-152に示すように,トナーの搬送ドラム上にホッパーからトナーを供給し,テフロン製のブレードで摩擦帯電させると同時に,均一なトナー層をドラム上に作る。・・・・潜像を持った感光体と接触させることにより,現像が行われる。」
2)タッチダウン法
・・・・非磁性トナーを用いた現像方式はXeroxとIBMによって研究された。原理的には,弾性体上に静電気的,機械的あるいは粘着的に摩擦帯電されたトナーを保持させ,これを感光体に圧接し現像を行うものである。」(第542頁第15〜27行)
(5c)「4)最近の非磁性1成分現像法
・・・・図7-159は、リコー社M-5に用いられている非磁性現像器の例である。(フィード現象) これはトナー補給ローラー(2)によりトナーを現像ローラーにこすりつけて搬送する。」(第544頁4〜14行)
(5d) 図7-159には、感光体としてOPC、すなわち有機感光体を使用する現像器の図が記載されている。

(2) 対比と判断
ア 本件発明1について
(ア) 甲第3号証記載の発明
甲第3号証には、潜像担持体に供給され潜像を現像し画像形成するトナーが記載され、トナー6として、カーボンブラック、帯電制御剤及びポリエステル樹脂を含有し、磁性材料を含まず、該ポリエステル樹脂は、原料モノマー成分として、多価アルコールである「ビスフェノールA・エチレンオキサイド付加物」、「ビスフェノールA・プロピレンオキサイド付加物」、多塩基酸である「テレフタル酸」及び「無水トリメリット酸」からなり、そのガラス転移温度(Tg)が64℃、軟化点(Sp)が109℃であるトナー6(摘記事項(3g)参照)が記載されている(以下、単に「トナー6」という。)。
(イ) 対比
本件発明1と、「トナー6」に係る発明とを対比する。
a 「トナー6」を構成するポリエステル樹脂のTg64℃とSp109℃ は、xy座標(但し、Tgをx軸の変数、Spをy軸の変数とする)にプ ロットした時、式(1)Sp=4Tg-110、式(2)Sp=4Tg- 170、式(3)Sp=90、式(4)Sp=120で表される直線で囲 まれる範囲内に入る。
b 「トナー6」の表面を添加剤で処理した旨の記載はない。
c 甲第3号証に記載された発明では、「トナー6」に、キャリアIまたは IIを組み合わせて現像剤を調整するものである(摘記事項(3h)、(3j))か ら、一成分トナーではない。
よって、本件発明1と甲第1号証記載の発明とは、
「トナーを潜像担持体に供給して潜像を現像する非磁性トナーであって、該トナーは少なくとも着色剤、帯電制御剤及びポリエステル樹脂を含有し、該ポリエステル樹脂を構成するモノマーは多価アルコールと多塩基酸成分とよりなり、そのガラス転移温度(Tg)をx軸の変数とし、軟化点(Sp)をy軸の変数としてxy座標にプロットした時、下記の式(1)〜(4)で表される直線で囲まれる範囲内の物性を有する非磁性トナー。
式(1) Sp=4Tg-110
式(2) Sp=4Tg-170
式(3) Sp=90
式(4) Sp=120 」
である点で一致するが、次の点で相違する。
相違点a:
本件発明1のトナーは、「薄層化させたトナーを潜像担持体に接触せしめて供給して潜像を現像する非磁性一成分現像剤」であることを規定するのに対して、甲第3号証記載の発明における「トナー6」は、薄層化させたトナーを潜像担持体に接触せしめることを明記しておらず、 二成分現像剤として使用されている点。
相違点b:
本件発明1のトナーは、「トナー粒子の表面に少なくとも1種の微粒子添加剤を含有」することを規定するのに対して、甲第3号証記載の発明における「トナー6」は、微粒子の添加が明らかでない点。
相違点c:
本件発明1のトナーは、「無色ないし淡色の帯電制御剤」を含有することを規定するとともに「フルカラー現像用トナー」であるとしているのに対して、甲第1号証記載の発明における「トナー6」は、着色としてカーボンブラックを使用しており、また、帯電制御剤として使用されており「ボントロン S-34(オリエント化学工業社製;Cr含金油溶性染料)」が「無色ないし淡色の帯電制御剤」であることが明らかでなく、フルカラー現像用トナーであることが示されていない点。

(ウ) 相違点についての判断
a 相違点aについて
甲第3号証に記載された各実施例には、トナーをキャリアと共に用いる2成分現像剤として使用することしか具体的に記載されていないが、甲第3号証には、同じ組成のトナーを、キャリアと共に用いる2成分現像剤としてばかりでなく、インプレッション現像方式、タッチダウン現像方式を実施する場合のトナーとしても使用できることが記載されている(摘記事項(3e))。 ここで、インプレッション現像方式及びタッチダウン現像方式は、甲第5号証によれば、非磁性一成分現像剤の現像方法であり、薄層化し、摩擦帯電されたトナーを感光体に接触させて現像を行うものである(摘記事項(5a)、(5b)参照)ことが明らかである。
してみれば、Sp及びTgが、本件発明1で規定する関係式(1)ないし(4)で表わされる直線により囲繞される範囲内にあることが明らかな甲第3号証記載の発明における「トナー6」を、非磁性一成分現像剤に適用することは、当業者であれば、甲第3号証の記載に基づいて容易に想到し得ることである。

b 相違点bについて
非磁性一成分現像剤において、外添剤、すなわち微粒子添加剤を添加することは、特許権者も認めるとおり、現像剤粒子の帯電性及び流動性の調節上、必須のことであるから、甲第3号証に非磁性一成分現像剤としての使用が開示されている以上、甲第3号証記載の発明における「トナー6」を、非磁性一成分現像剤として使用する場合には、当然に微粒子添加剤を添加することが予定されているものである。

c 相違点cについて
甲第3号証に記載された発明においては、使用される着色剤として、カーボンブラックだけでなく、黄色、橙色、赤色、紫色、青色、緑色、白色等、各色のものが例示されているものの(摘記事項(3c)参照)、「トナー6」を含めて、実施例で用いられているトナー及び比較例で用いられているトナーは、いずれも着色剤にカーボンブラックが用いられている。
甲第3号証に記載された発明の目的は、高速現像におけるトナーの転写紙等への定着性、定着ローラーからの分離性を改良すること(公報第2頁右下欄だい14〜16行)であって、甲第3号証のいずれにも「カラー」なる用語の記載は見あたらない。
さらに、甲第3号証に記載された画像テストで使用されている「ミノルタカメラ社製EP870」は、特許権者が参考資料として提出した「月刊コピーマシン‘85.6 第24頁」によれば、モノカラー対応機である。
甲第3号証のこれらの記載からみて、「カーボンブラック」を他の着色剤に代えることまでは示唆されているといえるが、甲第3号証に記載された発明においては、「トナー6」を、フルカラー現像用トナーとすることまでは示唆されていないことは明らかである。

また、甲第4号証には、結着樹脂と着色剤および帯電制御剤からなる磁性一成分トナーについて記載されているが、使用されている着色剤は「カーボンブラック」であって、フルカラー現像用トナーについては何ら記載がなく、さらに、甲第5号証にも、非磁性一成分トナーを用いた現像方法が記載されているだけで、フルカラー現像用トナーについては記載がない。
よって、相違点cについては、当業者といえども、甲第3号証ないし甲第5号証に記載された発明から容易に想到しうることではない。

d まとめ
以上のとおり、相違点cに係る構成は、甲第1号証ないし甲第3号証に記載された発明からでは導き出すことができないから、本件発明1が、甲第1号証ないし甲第3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない。

イ 本件発明2及び本件発明3について
本件発明2及び本件発明3は、本件発明1の構成要件に加えて、さらに別の構成を要件とするものであるから、本件発明1と同じ理由で、本件発明2及び本件発明3発明が、甲第3号証ないし甲第5号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない。

第5 むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては本件発明1ないし本件発明3についての特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1ないし本件発明3についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおりに決定する。
 
異議決定日 2005-09-28 
出願番号 特願2002-320198(P2002-320198)
審決分類 P 1 651・ 531- Y (G03G)
P 1 651・ 534- Y (G03G)
P 1 651・ 113- Y (G03G)
P 1 651・ 121- Y (G03G)
P 1 651・ 4- Y (G03G)
最終処分 維持  
前審関与審査官 菅野 芳男磯貝 香苗  
特許庁審判長 江藤 保子
特許庁審判官 秋月 美紀子
阿久津 弘
登録日 2003-07-25 
登録番号 特許第3454270号(P3454270)
権利者 三菱化学株式会社
発明の名称 非磁性一成分フルカラー現像用トナー  
代理人 長谷川 曉司  

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