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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G02B |
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管理番号 | 1124842 |
審判番号 | 不服2003-15505 |
総通号数 | 72 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2002-07-10 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2003-08-11 |
確定日 | 2005-10-11 |
事件の表示 | 特願2001-380901「再帰反射偏光子」拒絶査定不服審判事件〔平成14年7月10日出願公開、特開2002-196148〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続きの経緯及び本願発明 本願は、平成4年5月20日(パリ条約による優先権主張1991年6月13日)を国際出願日とする特願平5-500872号(以下、「原出願」という。)の特許出願の一部を特願平2001-380901号として新たな特許出願としたものであって、その請求項1に係る発明は、平成15年9月9日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである(以下、「本願発明」という。)。 「【請求項1】 (a)並んで配列された本質的に直角2等辺のプリズムの直線的な配列からなる構造化表面を有し、互いに直角の関係にある面であって、前記構造化表面とは反対側の平滑な表面への接面に対してほぼ45゜の角度を形成する面を有する第1の材料と、 (b)本質的に第1の材料と同じ第2の材料と、 (c)少なくとも1つの材料の構造化表面上にあり、選択された光学的な厚さの高屈折率材料及び低屈折率材料の交互に重なる層からなる少なくとも1つの光学的な堆積を含み、 第1及び第2の材料は、全て光学的に接合され、単一ユニットを形成し、この単一ユニットにおいて、第1及び第2の材料の屈折率及び上記光学的堆積の層の上記屈折率及び光学的厚さは、偏光された光について、 (d)上記光学的な堆積の1部の内部において、混合された偏光の入射光線が、s-偏光成分及びp-偏光成分に分離され、 (e)上記s-偏光成分は、上記光学的な堆積の他の部分で反射され、その部分で入射光線に平行に反射されるが、入射光と逆の方向に進み、 (f)上記p-偏光成分は、入射光線に対して平行に透過するような選択的な反射を生成するように選ばれる再帰反射偏光子と、反射され、入射光と逆の方向に進むs-偏光成分を、上記再帰反射偏光子の方へ進むp-偏光成分に変換する光学手段と、 を含む光学装置。」 2.引用刊行物 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された特開平2-308106号公報(以下、「刊行物1」という。」)には、次の(a1)〜(a7)に事項が記載されている。 (a1)「〔産業上の利用分野〕 直線偏光光源は例えば液晶表示素子に用いられている。液晶表示素子は低消費電力のフラットパネルディスプレイやプロジェクション用のライトバルブとして広く応用されている。本発明は偏光としてはランダムな光源から1種類の直線偏光を非常に高効率に出射する直線偏光光源に関する。 〔従来の技術〕 第4図に従来の直線偏光光源を示す。1は偏光としてはランダムな光源、2は光源1の背後に設けられたミラー、22は光源1の前方に設けられた直線偏光素子である。直線偏光素子22は一方の偏光20のみ透過し他の一方の偏光21は吸収する。」(第1頁右下欄4行〜同欄下から4行) (a2)「以下、実施例に基づき本発明を説明する。第1図は本発明の1実施例を示す説明図である。4は光源の前方に設けられた反射型直線偏光素子である。本発明の特徴は該反射型直線偏光素子4とミラー2の間に位相差板3を配置している事にある。 本発明の動作を説明する。一方の偏光10は反射型直線偏光素子4を通過する。他の一方の偏光11は反射型直線偏光素子4によって12の如く反射され位相差板3を通過し楕円偏光13となる。楕円偏光13はミラー2で反射し逆回りの楕円偏光14となり再び位相差板3を通過し、偏光10と同じ成分を有する偏光15となり非常に高効率に反射型直線偏光素子4を通過する。」(第2頁左上欄12行〜右上欄4行) (a3) 第1図には、他の一方の偏光11が、反射型直線偏光素子4によって光源1の方に反射されることが記載されている。(第1図) これらの記載事項及び図面の記載からみて、引用例1には、以下の発明が記載されているものと認める(以下、「引用発明」という。)。 「光源及び前記光源の背後に設けられたミラーと、液晶表示素子と、一方の偏光10を通過し、他の一方の偏光11を前記光源の方に反射する反射型直線偏光素子4と、他の一方の偏光11を偏光10と同じ成分にする位相差板3を有する光学装置。」 3.対比 そこで、本願発明と刊行物1に記載された発明とを比較すると、刊行物1に記載の反射型直線偏光素子はその機能からみて本願発明に係る再帰反射偏光子ということができ、また、刊行物1に記載の発明に係る「一方の偏光」、「他の一方の偏光」及び「他の一方の偏光11を偏光10と同じ成分にする位相差板3」は、本願発明の「p-偏光成分」、「s-偏光成分」及び「入射光と逆の方向に進むs-偏光成分を、上記再帰反射偏光子の方へ進むp-偏光成分に変換する光学手段」にそれぞれ実質的に相当するから、結局、両者は、「混合された偏光の入射光線が、再帰反射偏光子において、s-偏光成分及びp-偏光成分に分離され、上記s-偏光成分は反射され入射光線に平行に反射されるが入射光と逆の方向に進み、上記p-偏光成分は入射光線に対して平行に透過するような選択的な反射をするように選ばれる再帰反射偏光子と、反射され入射光と逆の方向に進むs-偏光成分を上記再帰反射偏光子の方へ進むp-偏光成分に変換する光学手段と、を含む光学装置。」である点で一致し、次の点で相違する。 [相違点1] 本願発明に係る再帰反射偏光子は、並んで配列された本質的に直角2等辺のプリズムの直線的な配列からなる構造化表面を有し、互いに直角の関係にある面であって、前記構造化表面とは反対側の平滑な表面への接面に対してほぼ45゜の角度を形成する面を有する第1の材料と、本質的に第1の材料と同じ第2の材料と、少なくとも1つの材料の構造化表面上にあり、選択された光学的な厚さの高屈折率材料及び低屈折率材料の交互に重なる層からなる少なくとも1つの光学的な堆積を含み、第1及び第2の材料は、全て光学的に接合され、単一ユニットを形成し、この単一ユニットにおいて、第1及び第2の材料の屈折率及び上記光学的堆積の層の上記屈折率及び光学的厚さは、偏光された光について、上記光学的な堆積の1部の内部において、混合された偏光の入射光線を、s-偏光成分及びp-偏光成分に分離するものであるのに対し、刊行物1に係る偏光子は混合された偏光の入射光線を、s-偏光成分及びp-偏光成分に分離するものであるが、その構造は反射型の直線偏光素子からなる点。 [相違点2] 本願発明では、光学的な堆積の1部の内部において、混合された偏光の入射光線が、s-偏光成分及びp-偏光成分に分離され、また、s-偏光成分は、上記光学的な堆積の他の部分で反射されるのに対し、刊行物1にはその旨の記載がない点。 4.当審の判断 [相違点1]について; 「並んで配列されたほぼ直角2等辺のプリズムの直線的が配列からなる構造化表面を有し、互いにほぼ直角の関係にある面であって、前記構造化表面とは反対側の平滑な表面への接面に対してほぼ45゜の角度を形成する面を有する第1の材料と、本質的に第1の材料と同じ第2の材料と、少なくとも1つの材料の構造化表面上にあり、選択された光学的な厚さの高屈折率材料及び低屈折率材料の交互に重なる層からなる少なくとも1つの光学的な堆積を含み、第1及び第2の材料は、全て光学的に接合され、単一ユニットを形成し、この単一ユニットにおいて、第1及び第2の材料の屈折率及び上記光学的堆積の層の上記屈折率及び光学的厚さは、偏光された光について、上記光学的な堆積の1部の内部において、混合された偏光の入射光線を、s-偏光成分及びp-偏光成分に分離する」再帰反射偏光子は、原査定の拒絶の理由に引用された特開昭61-262705号公報(以下、「刊行物2」という。)に示唆されている。すなわち、刊行物2の3頁左上欄〜右上欄には、Λ形凸条8の頂角を90度にすると不要なS偏光が反射して元に戻り弊害が発生すると記載されているが、この記載から頂角を90度にすればS偏光が元に戻るという機能を有することが理解され、この機能を用いれば再帰反射偏光子として用いることができるということは当業者であれば容易に着想できるものである。この点は、本願出願前に頒布された実願昭63-138766号(実開平2-62475号)のマイクロフィルム(特に第2図及び該当する詳細な説明参照)又は原査定の拒絶の理由に引用された特開平3-126910号公報(以下、「刊行物3」という。)を参酌しても上記機能を普通に理解しうるものである。 してみれば、本願発明に係る上記相違点1の構成は、当業者が刊行物1及び刊行物2に記載の発明並びに周知技術に基づけば容易に想到することができたものである。 [相違点2]について; 再帰反射偏光子の偏光分離膜として多層膜が用いられることは刊行物1及び上記刊行物3に開示されているように本願出願前周知であり、その使用に際して、入射光線は、多層膜の1部の内部において、s-偏光成分及びp-偏光成分を分離し、s-偏光成分は他の部分で反射されることは明らかであるから、本願発明に係る相違点2のように構成することは、当業者が刊行物1乃至3に記載の発明及び周知技術に基づけば容易に想到することができたものである。 そして、本願発明の作用効果も、刊行物1及び2に記載された発明並びに周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。 5.むすび 以上のとおりであるから、本願発明は刊行物1及び2に記載された発明並びに周知技術に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2005-04-22 |
結審通知日 | 2005-05-10 |
審決日 | 2005-05-23 |
出願番号 | 特願2001-380901(P2001-380901) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G02B)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 吉野 公夫 |
特許庁審判長 |
鹿股 俊雄 |
特許庁審判官 |
末政 清滋 辻 徹二 |
発明の名称 | 再帰反射偏光子 |
代理人 | 片山 英二 |
代理人 | 小林 純子 |
代理人 | 小林 浩 |