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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1124885
審判番号 不服2002-21220  
総通号数 72 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2002-01-11 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-10-31 
確定日 2005-10-12 
事件の表示 特願2000-189344「懸賞応募支援システム及び懸賞応募支援方法」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 1月11日出願公開、特開2002- 7629〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯・本願発明
本願は、平成12年6月23日に出願されたものであって、平成14年9月25日付けで拒絶査定がなされ、これに対し平成14年10月31日に拒絶査定に対する審判請求がなされ、その後の平成14年12月2日に手続き補正がなされたものである。

2.平成14年12月2日付け手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成14年12月2日付け手続補正を却下する。
[理由]
(1)補正後の本願発明
平成14年12月2日付け手続補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「【請求項1】応募者が用いる端末機器と、この端末機器と互いに通信可能なサーバコンピュータとを利用するものであって、
懸賞提供業者が提示する複数の懸賞情報の一部又は全部を、端末機器に選択可能に表示する懸賞表示手段と、
応募者毎の個人情報を、その応募者の端末機器に付与された固有の識別子と対応づけて登録する個人情報登録手段と、
表示された懸賞情報のうちから希望のものを応募者が選択する操作によってその端末機器の識別子を取得し、その識別子から応募者の個人情報を特定する応募者特定手段と、
特定した応募者の個人情報を、選択された懸賞情報に関連付け、応募情報とする関連付手段と、
この応募情報を利用して、選択された懸賞に対する応募のための代行処理を行う応募代行手段と、
応募者の端末機器に表示された懸賞情報の一覧から、その応募者がすでに応募した懸賞情報の表示を削除する整理手段及び応募済み懸賞を一覧表示する応募済み懸賞表示手段とを備えたものである懸賞応募支援システム。」
と補正された。

(2)補正の適否について
平成14年12月2日付け手続補正は、補正前の請求項1に記載された発明を特定するための補正であり、特許法17条の2第4項2号の特許請求の範囲を減縮を目的とするものに該当する。
そこで、平成14年12月2日付けの手続補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか、すなわち平成15年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するかどうかについて以下に検討する。

(3)引用刊行物
原査定の拒絶の理由で引用された『城井田勝仁著,「当たる! ネット懸賞の法則」,株式会社オーム社,平成12年3月23日,第1版第1刷,pp.1-158』(以下、「引用例1」という。)には、図面と共に次の各記載がある。

(ア)「MyID
http://www.myid.ne.jp/

HP管理者からの一言
「MyID」は情報を一度登録しておくことで、面倒な入力作業を自動化してくれる新サービスです。簡単に懸賞に応募できます。この機会にぜひMyIDをお作りください!もちろんすべて無料にてご利用いただけます!!
「MyID」でカンタン応募!」(第117頁)

(イ)「Log In!…MyIDを登録済みの方
MyIDを作る ID:xxxxx
CLICK! Password:xxxxx
ログイン…忘れたら」(第117頁のLog In画面)

(ウ)「What's? About MyID
IT'S FREE!!
MyIDは懸賞応募でのフォームの入力の手間を減らす、カンタン応募システムです。懸賞だけでなく、これからどんどんメンバーに有利な特典を提供いたします。この機会にぜひあなたもMyIDをお作りください。

MyIDを作る
1.個人情報を入力して、MyIDであなただけのIDをゲット。登録はもちろん無料。
2.MyIDの豊富な情報で興味あるジャンルの懸賞をサーチ。
3.IDが登録されているから面倒な手続きナシ。欲しい懸賞には手軽にチャレンジ。
4.手続きカンタン、預けてトクするID BANK。」(第117頁MyIDの作り方及び登録の仕方の説明画面)

(エ)「カンタン懸賞応募!
MyIDサービス第1弾
どんな懸賞をお探しですか?
[新着順-締め切り順-人気順][リンク集]」(第117頁懸賞情報の検索操作方法の説明画面)

以上の記載から見て、引用例1には、次のような発明が記載されているものと認められる。

「最初に、インターネット懸賞応募者がパーソナルコンピュータ等の端末機器を用いて、http://www.myid.ne.jp/というネットアドレスを有するMyIDという名のホームページをアクセスし、このサイトにあるインターネット懸賞応募支援システムMyIDに個人情報及び必要な情報を入力して、予めMyIDを作成・登録して自分のIDを取得しておき、MyIDが作成・登録済みとなると、次回以降からは、懸賞応募支援システムMyIDが、応募者と応募者の個人情報の特定、応募者の個人情報と応募者が選択した懸賞情報との関連づけ、及び応募者が選択した懸賞に対する応募入力作業すなわち応募のための代行処理を自動的に行うことで、応募者が応募のための面倒な入力作業をすることなく、単にIDとPasswordを入力するだけでインターネット懸賞に応募できるようにした懸賞応募支援システムMyID。」

(4)対比
本願補正発明と引用例1に記載された発明を対比すると、インターネット懸賞応募システムMyIDは、応募者のインターネット懸賞を受け付けるためのサーバコンピュータを有することは明らかであるから、本願補正発明と引用例1に記載された発明とは、

(一致点)
「応募者が用いる端末機器と、この端末機器と互いに通信可能なサーバコンピュータとを利用するものであって、
懸賞提供業者が提示する複数の懸賞情報の一部又は全部を、端末機器に選択可能に表示する懸賞表示手段と、
応募者毎の個人情報を、その応募者の固有の識別子と対応づけて登録する個人情報登録手段と、
表示された懸賞情報のうちから希望のものを応募者が選択する操作によって識別子を取得し、その識別子から応募者の個人情報を特定する応募者特定手段と、
特定した応募者の個人情報を、選択された懸賞情報に関連付け、応募情報とする関連付手段と、
この応募情報を利用して、選択された懸賞に対する応募のための代行処理を行う応募代行手段とを備えたものである懸賞応募支援システム。」
である点で一致し、次の点で相違する。

(相違点1)
本願補正発明が、応募者の個人情報を、応募者の端末機器に付与された固有の識別子に対応付けて登録しているのに対して、引用例1に記載された発明は、応募者の個人情報を、応募者のIDとPasswordに対応付けて登録している点。

(相違点2)
本願補正発明が、応募者の端末機器に表示された懸賞情報の一覧から、その応募者がすでに応募した懸賞情報の表示を削除する整理手段及び応募済み懸賞を一覧表示する応募済み懸賞表示手段を備えているのに対し、引用例1に記載された発明は、端末機器に表示された懸賞情報の一覧から、応募済み懸賞情報の表示を削除する整理手段及び応募済み懸賞を一覧表示する応募済み懸賞表示手段を備えるとは明記しない点。

(5)判断
(相違点1について)
上記相違点1について判断するに、通常、応募者の個人情報は、応募者のメールアドレス等に対応付けて登録されることが多いが、応募者が特定できればどんな識別子でも良いことは明らかであり、応募者の個人情報を端末機器に付与された識別子に対応付けて登録するか、または、応募者のIDやPassword等に対応付けて登録するかは、システム設計者が適宜選択すべき設計事項程度のことであり、この点に格別の発明力を要するものではない。したがって、本願補正発明の如く、応募者の個人情報を応募者の端末機器に付与された固有の識別子に対応付けて登録することは、当業者が適宜なし得ることである。

(相違点2について)
上記相違点2について判断するに、(i)重複応募をチェックして累積応募回数を調べ、累積応募回数に応じて所定の処理をすることは、原査定で引用された実用新案登録第3067372号公報(平成12年3月31日発行)にその旨の記載のあるとおり、当業者には周知な技術事項であり、また、(ii)応募したい懸賞リストすなわち未送信懸賞リストをすべて一覧表示すること、及び応募済み懸賞リストすなわち送信済み懸賞リストをすべて一覧表示することが、当業者には周知な技術事項であることは、引用例1の第55頁、第75-84頁に記載のメールソフトOutlook Express5に関する記載にその旨が開示されており、以上(i)及び(ii)に示される事項に鑑みれば、本願発明の如く、応募したいすべての懸賞を一覧表示し、重複応募を削除し、そして応募済み懸賞を一覧表示するようにすることは、当業者が適宜なし得ることである。

(6)むすび
以上のとおり、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際、独立して特許を受けることができるものではなく、特許法第17条の2第5項で準用する同法126条第4項の規定に違反するものであるから、平成14年12月2日付けの手続補正は、平成15年改正前特許法第159条第1項で準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
平成14年12月2日付けの手続補正は、前記のとおり却下されるから、本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成14年8月12日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。

「【請求項1】応募者が用いる端末機器と、この端末機器と互いに通信可能なサーバコンピュータとを利用するものであって、
懸賞提供業者が提示する複数の懸賞情報の一部又は全部を、端末機器に選択可能に表示する懸賞表示手段と、
応募者毎の個人情報を、その応募者の端末機器に付与された固有の識別子と対応づけて登録する個人情報登録手段と、
表示された懸賞情報のうちから希望のものを応募者が選択する操作によってその端末機器の識別子を取得し、その識別子から応募者の個人情報を特定する応募者特定手段と、
特定した応募者の個人情報を、選択された懸賞情報に関連付け、応募情報とする関連付手段と、
この応募情報を利用して、選択された懸賞に対する応募のための代行処理を行う応募代行手段とを備えたものである懸賞応募支援システム。」

(1)引用刊行物
原査定の拒絶理由に引用された引用例、及びその記載事項は、前記「2.(3)」項に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明は、前記「2.」項で検討した本願補正発明から、その限定事項である「応募者の端末機器に表示された懸賞情報の一覧から、その応募者がすでに応募した懸賞情報の表示を削除する整理手段及び応募済み懸賞を一覧表示する応募済み懸賞表示手段」を省いたものである。
そうすると、本願発明を特定する事項をすべて含む本願補正発明が、前記「2.(5)」項に記載したとおり、引用例1に記載された発明及び周知技術とに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例1に記載された発明及び周知技術とに
基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-07-11 
結審通知日 2005-07-19 
審決日 2005-08-19 
出願番号 特願2000-189344(P2000-189344)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
P 1 8・ 575- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 竹中 辰利  
特許庁審判長 関川 正志
特許庁審判官 岡本 俊威
杉山 務
発明の名称 懸賞応募支援システム及び懸賞応募支援方法  
代理人 井上 敬子  
代理人 赤澤 一博  

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