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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F |
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管理番号 | 1124927 |
審判番号 | 不服2001-19732 |
総通号数 | 72 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1999-04-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2001-11-02 |
確定日 | 2005-10-14 |
事件の表示 | 平成 9年特許願第293602号「遊技機の制御基板収納ケース」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 4月27日出願公開、特開平11-114149〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
【1】手続の経緯・本願発明 本願は、平成9年10月8日の出願であって、平成13年10月12日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年11月2日に拒絶査定に対する審判請求がなされた。 本願の請求項1に係る発明は、特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのものと認める。 「制御基板が収納されるケース本体と、該ケース本体の開口部を遮蔽する蓋体とを備え、ケース本体と、蓋体とを、その対向する二側縁で複数の螺子によって締結してなる制御基板収納ケースにおいて、 前記ケース本体の、螺子により締結される前記二側縁間の一側縁と、該一側縁に対応する蓋体の一側縁とを、係脱口を備えた軸受部と、蓋体の開放位置で前記係脱口から軸受部に係脱可能に強制嵌合される支軸部とを備えたヒンジ機構によって回動可能に枢結して、蓋体を開閉可能とするとともに、前記支軸部から偏位した位置で、軸受部側と、支軸部側のいずれか一方に、受面を設け、他方に、蓋体の開放操作によって該受面に当接する支持端を設け、常時は、蓋体の開放操作によって受面と支持端とが当接する所定角度まで蓋体が開放され、さらに蓋体をその所定角度以上に開放すると、支持端を中心として支軸部が係脱口側に相対的に回動して軸受部から脱出し、ケース本体から蓋体が分離されるようにしたことを特徴とする遊技機の制御基板収納ケース。」 (以下、「本願発明」という。) 【2】原査定の拒絶の理由に引用された発明 (1)これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、特開平9-162556号公報(以下、「刊行物」という。)には、図面と共に以下の事項が記載されている。 「【請求項1】外部との電気接続部と電子回路部品とが領域を分けて上面に実装された回路基板と、前記電気接続部の実装領域は開放状態にし前記電子回路部品の実装領域は密閉状態にして回路基板の全体を収納するケースとから成り、前記ケースは、上面開口のケース本体と、このケース本体に一端縁が枢支された開閉可能な蓋とで構成されており、前記蓋は、回路基板の電子回路部品の実装領域上に被さる蓋板部の下面に、先端縁が回路基板の上面に当接して電子回路部品の実装領域を密閉状態とする隔壁部が一体形成されて成る電子回路ユニット。」 「【0001】 【産業上の利用分野】この発明は、例えばスロットマシンやパチンコ遊戯機のような電子遊戯機などに組み込まれる電子回路ユニットに関連し、特にこの発明は、回路基板をケース内に収納して成る電子回路ユニットに関する。」「【0012】 【実施例】図1は、この発明の一実施例である電子回路ユニット1の外観を示すもので、回路基板2の全体がプラスチックなどの絶縁体より成るケース5内に収納されて成る。前記回路基板2は、矩形状のプリント基板3と、このプリント基板3の上面に実装されるICなどの各種電子回路部品(図示せず)や複数のコネクタなどより成る電気接続部4とで構成されるもので、プリント基板3の上面の一方の長辺に沿う帯状領域を電気接続部4の実装領域とし、その他の領域を電子回路部品の実装領域とする。 【0013】前記ケース5は、図1および図2に示すように、上面開口のケース本体6と、このケース本体6に一端縁が枢支連結される開閉可能な蓋7とで構成される。…」 「【0014】前記蓋7は、前記回路基板2の電子回路部品の実装領域上にのみ被さる蓋板部8と、この蓋板部8の前端縁に一体形成される下向きの隔壁部9とから成る。この蓋7は、後端縁が一対の枢支部10,10を介してケース本体6の後板部6cの上端縁に支持されており、蓋7を閉じたとき、蓋板部8の両側縁はケース本体6の両側板部6d,6e上に当接し、隔壁部9の先端縁は回路基板2の上面に当接する。」 「【0021】図3は、ケース本体6と蓋7とを枢支連結する枢支部10の構造を示すもので、(1) はケース本体6と蓋7とを分離させた状態を、(2) はケース本体6と蓋7とを枢支連結した状態を、それぞれ示している。この枢支部10は、蓋7とケース本体6との間の左右対称位置にそれぞれ設けられるもので、蓋7の蓋板部8の後端部に一体突設される一対の連結軸26,26と、ケース本体6の後板部6cの上端縁に、前記連結軸26,26に対応させて一体形成される一対の軸受27,27とから成る。 【0022】各連結軸26は、反対向きに突出し、各軸受27は、内方および下方が開放されており、各軸受27,27の下方の開放部より連結軸26,26をそれぞれ係入することにより、蓋7とケース本体6とが枢支連結される。各連結軸26が位置する蓋板部8の端縁は切り欠かれて凹部31が形成されており、連結軸26と軸受27とを係合させたとき、軸受27は前記凹部31に対応位置する。 【0023】蓋板部8の内面の両側縁には、図2に示すように、押圧片14と係合片15とがそれぞれ一体突設されている。前記押圧片14は、ケース本体6内に収容された回路基板2の上面を支持するためのもので、蓋7を閉じたとき、図6に示すように、その先端が回路基板2に当接するよう突出長さが設定されている。 【0024】前記係合片15は、ケース本体6の両側板6d,6eに開設された係合孔23と係合して、蓋7とケース本体6とを閉成状態に保つためのもので、図4(1) に係合片15と係合孔23との係合が外れた状態が、図4(2) に係合片15と係合孔23とが係合した状態が、それぞれ示してある。 前記係合片15の先端縁には係合突部28が全幅にわたって外向きに一体形成されており、蓋7を閉じたとき、前記係合突部28が係合孔23へ係入して、蓋7とケース本体6とが閉成状態に保持される。」 「【0027】…なお、この電子回路ユニット1をスロットマシンに実際に組み込むに当たっては、ケース本体6と蓋7との間に封緘のためのラベルが外側より剥離不能に貼付される。」 上記記載、対応する図面、及び当業者の技術常識を参酌すると刊行物には、以下の発明が記載されていると認められる。 「回路基板2が収納されるケース本体6と、該ケース本体6の開口部を遮蔽する蓋7とを備え、ケース本体6と蓋7とを、その対向する二側縁で複数の係合突部28が係合孔23へ係入して蓋7とケース本体6とが閉成状態に保持されてなるケース5において、 前記ケース本体6の、係合突部28が係合孔23へ係入して蓋7とケース本体6とが閉成状態に保持されてなる前記二側縁間の一側縁と、該一側縁に対応する蓋7の一側縁とを、開放部を備えた一対の軸受27、27と、各軸受27、27の開放部よりそれぞれ係入する一対の連結軸26、26とを備えた枢支部10によって回動可能に枢支連結して、蓋7を開閉可能としたパチンコ遊技機のケース5。」 【3】対比・判断 (1)本願発明と刊行物記載の発明を対比すると、刊行物記載の発明の「回路基板2」は本願発明の「制御基板」に、以下同様に、「蓋7」は「蓋体」に、「ケース5」は「制御基板収納ケース」に、「軸受27」は「軸受部」に、「係入する」は「強制嵌合」に、「連結軸26」は「支軸部」に、「枢支部10」は「ヒンジ機構」に、「枢支連結」は「枢結」に、「パチンコ遊技機」は「遊技機」に、それぞれ相当する。そして、刊行物記載の発明の「複数の係合突部28が係合孔23へ係入して蓋7とケース本体6とが閉成状態に保持されてなる」に対して、本願発明は「複数の螺子によって締結してなる」ものであるから、両者は「複数の固定部材によって固定してなる」点で共通し、また、刊行物記載の発明は「開放部を備えた」に対して、本願発明は「係脱口を備えた」ものであるから、両者は「係合口を備えた」点で共通する。 そうすると、両者は、「制御基板が収納されるケース本体と、該ケース本体の開口部を遮蔽する蓋体とを備え、ケース本体と、蓋体とを、その対向する二側縁で複数の固定部材によって固定してなる制御基板収納ケースにおいて、 前記ケース本体の、固定部材によって固定される前記二側縁間の一側縁と、該一側縁に対応する蓋体の一側縁とを、係合口を備えた軸受部と、係合口から軸受部に強制嵌合される支軸部とを備えたヒンジ機構によって回動可能に枢結して、蓋体を開閉可能とする遊技機の制御基板収納ケース。」である点で一致し、以下の点で相違している。 [相違点1]本願発明は、螺子によって締結してなるのに対し、刊行物記載の発明は、係合突部28が係合孔23へ係入して蓋7とケース本体6とが閉成状態に保持されてなる点。 [相違点2]本願発明は、係脱口を備えた軸受部と、蓋体の開放位置で前記係脱口から軸受部に係脱可能な支軸部とを備え、前記支軸部から偏位した位置で、軸受部側と、支軸部側のいずれか一方に、受面を設け、他方に、蓋体の開放操作によって該受面に当接する支持端を設け、常時は、蓋体の開放操作によって受面と支持端とが当接する所定角度まで蓋体が開放され、さらに蓋体をその所定角度以上に開放すると、支持端を中心として支軸部が係脱口側に相対的に回動して軸受部から脱出し、ケース本体から蓋体が分離されるようにしたのに対し、刊行物記載の発明は、開放部を備えた一対の軸受27、27と、各軸受27、27の開放部よりそれぞれ係入する一対の連結軸26、26とを備えたことが記載されているのみである点。 (2)上記相違点について検討する。 [相違点1]について 固定手段として、螺子によって締結することは、例を挙げるまでもない周知技術にすぎず、刊行物記載の発明の係合突部28が係合孔23へ係入して蓋7とケース本体6とが閉成状態に保持する点に代えて、上記周知技術を採用し、相違点1に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得る事項にすぎない。 [相違点2]について 係脱口を備えた軸受部と、部材の開放位置で前記係脱口から軸受部に係脱可能に強制嵌合される支軸部とを備えたヒンジ機構によって回動可能に枢結して、部材を開閉可能とするとともに、前記支軸部から偏位した位置で、軸受部側と、支軸部側のいずれか一方に、受面を設け、他方に、部材の開放操作によって該受面に当接する支持端を設け、常時は、部材の開放操作によって受面と支持端とが当接する所定角度まで部材が開放され、さらに部材をその所定角度以上に開放すると、支持端を中心として支軸部が係脱口側に相対的に回動して軸受部から脱出し、他部材から部材が分離されるようにする技術は、例えば、実願昭63-86639号(実開平2-10721号)のマイクロフィルム、実願平4-44574号(実開平6-6667号)のCD-ROM、実願昭55-111887号(実開昭57-33877号)のマイクロフィルム等に示すようにヒンジ機構の技術分野において周知の技術である。そうすると、刊行物記載の発明のヒンジ機構に代えて、上記周知技術を採用し、上記部材を蓋体に、上記他部材をケース本体に対応させて、相違点2に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得る事項にすぎない。 そして、本願発明の作用効果も、刊行物記載の発明及び上記周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。 したがって、本願発明は、刊行物記載の発明及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 【3】むすび 以上のとおり、本願発明は、刊行物記載の発明及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2005-08-18 |
結審通知日 | 2005-08-19 |
審決日 | 2005-08-30 |
出願番号 | 特願平9-293602 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(A63F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 澤田 真治 |
特許庁審判長 |
二宮 千久 |
特許庁審判官 |
林 晴男 南澤 弘明 |
発明の名称 | 遊技機の制御基板収納ケース |
代理人 | 松浦 喜多男 |