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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1124994
審判番号 不服2003-3714  
総通号数 72 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2000-08-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-03-06 
確定日 2005-10-13 
事件の表示 平成11年特許願第 33753号「共有メモリ」拒絶査定不服審判事件〔平成12年 8月22日出願公開、特開2000-231546〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯、本願発明
本願は、平成11年2月12日の出願であって、平成14年3月7日付で最初の拒絶理由通知がなされ、同年5月13日付で手続補正書が提出されて手続補正が行われ、次いで同年8月29日付で最後の拒絶理由通知がなされたが、手続補正は行われることなく、平成15年1月29日付で拒絶査定がなされた。これに対して、同年3月6日付で審判請求がなされたが、明細書及び図面に対しては、審判請求に伴う手続補正はなされていない。

そして、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記平成14年5月13日付けの手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
「各々がコピーバス機能を有する少なくとも1個のポート及びユーザがアクセス可能な少なくとも1個のポートを有する複数個のマルチポートメモリと、前記マルチポートメモリの各々のコピーバス機能を有するポートの各々を接続させる少なくとも1個のコピーバスとを具え、
前記ユーザがアクセス可能なポートの総数を3個以上とするとともに、前記マルチポートメモリのうちの1個の記憶内容が変更された場合、変更された内容を、前記コピーバスを通じてそれ以外のマルチポートメモリにコピーするように構成したことを特徴とする共有メモリ。」


2.引用例に記載されている発明
これに対し、原査定の拒絶の理由に引用した、 特開平3-100991号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面と共に、以下の事項が記載されている。
(a)この実施例の共有メモリは、2つのメモリセルアレイ1aと1bを有する。メモリセルアレイ1aと1bは全く同一の構成および容量を持ち、一方に書き込まれたデータを他方のメモリセルアレイに転送できるように、各メモリセルアレイ内の対応するメモリセル同士が接続可能にされている。バスインタフェース2a,2bは、それぞれメモリセルアレイ1a,1bをポート3a,3bと接続し、各メモリセルアレイを外部からアクセス可能とするものである。(2頁右下欄10行〜19行)
(b)先ず図示しない送信側のマイクロプロセッサがポート3aを介してアドレスとデータを供給し、メモリセルアレイ1aにデータを書き込む。このとき、メモリセルアレイ1aの選択メモリセルはマルチプレクサ12aによりデータ線13a側に接続される。(3頁右上欄7行〜12行)
(c)データの書き込みが終了すると送信側のマイクロプロセッサは転送要求信号LTRをアサートする。すると、転送制御回路4からの制御信号によってマルチプレクサ12aが切り換えられ、他方のメモリセルアレイ1b内の対応するセル同士が全て接続される。これによってメモリセルアレイ1a内のデータは一括してメモリセルアレイ1bに転送される。(3頁右上欄12行〜19行)

上記摘記事項(a)の「この実施例の共有メモリは、2つのメモリセルアレイ1aと1bを有する。メモリセルアレイ1aと1bは全く同一の構成および容量を持ち、一方に書き込まれたデータを他方のメモリセルアレイに転送できるように、各メモリセルアレイ内の対応するメモリセル同士が接続可能にされている。…」という記載及び上記摘記事項(c)の「…すると、転送制御回路4からの制御信号によってマルチプレクサ12aが切り換えられ、他方のメモリセルアレイ1b内の対応するセル同士が全て接続される。これによってメモリセルアレイ1a内のデータは一括してメモリセルアレイ1bに転送される。」の記載から、メモリセルアレイ(1a)内のマルチプレクサ(12a)とメモリセルアレイ(1b)内のマルチプレクサ(12b)との間を結ぶ線路は、コピーバスといえる。また、メモリセルアレイ(1a)及び(1b)内には、上記線路を電気的にマルチプレクサに接続する為のポートがそれぞれ存在していることは明らかである。
したがって、上記引用例1には、
「各々が1個のポート及びユーザがアクセス可能な1個のポート(3a)を有する2個のマルチポートメモリと、前記マルチポートメモリのポートの各々を接続させる1個のコピーバスとを具え、
前記ユーザがアクセス可能なポートの総数を2個とするとともに、前記マルチポートメモリのうちの1個の記憶内容が変更された場合、変更された内容を、前記コピーバスを通じてそれ以外のマルチポートメモリにコピーするように構成したことを特徴とする共有メモリ。」
に関する発明(以下、「引用例1記載発明」という。)が記載されている。

また、原査定の拒絶の理由に引用した、特開平5-282869号公報(以下、「引用例2」という。)の図3には、
半導体記憶装置において、ユーザがアクセス可能なポートの総数を3個以上とすることが記載されている。


3.本願発明と引用例に記載されている発明との対比
本願発明と引用例記載発明とを対比すると、引用例1記載発明の「コピーバス」を接続するための「1個のポート」は、コピーをするためのものであるので、本願発明の「コピーバス機能を有する1個のポート」に相当していることは明らかであるから、両者の発明は共に、
「各々がコピーバス機能を有する1個のポート及びユーザがアクセス可能な1個のポート(3a)を有する複数個のマルチポートメモリと、前記マルチポートメモリの各々のコピーバス機能を有するポートの各々を接続させる1個のコピーバスとを具え、
前記ユーザがアクセス可能なポートの総数を複数個とするとともに、前記マルチポートメモリのうちの1個の記憶内容が変更された場合、変更された内容を、前記コピーバスを通じてそれ以外のマルチポートメモリにコピーするように構成したことを特徴とする共有メモリ。」である点で一致し、以下の点で相違しているものと認められる。
[相違点]
本願発明では、ユーザがアクセス可能なポートの総数を3個以上としているのに対して、引用例1記載発明では、ユーザがアクセス可能なポートの総数を2個としている点。


4.相違点についての当審の判断
そこで、上記相違点について検討すると、半導体記憶装置において、ユーザがアクセス可能なポートの総数を3個以上とすることは、上記引用例2に記載されているように、従来周知の技術事項であり、引用例1記載発明において、ユーザがアクセス可能なポートの総数を3個以上とすることを妨げる阻害要因は見あたらないので、引用例1記載発明において、ユーザがアクセス可能なポートの総数を3個以上として、本願発明のように構成することは、当業者が容易に想到し得る程度のものと認められる。
よって、上記相違点を格別なものとすることはできない。
そして、本願発明の奏し得る作用・効果は引用例1記載発明及び引用例2に記載された従来周知の技術事項から当業者が容易に予測し得る程度のものと認められる。

なお、請求人は、平成17年2月7日付で上申書を提出し、再度の補正の機会を得ることを所望する旨を上申しているが、請求人は、審判請求時に補正の機会があったのにもかかわらず、手続補正を行っておらず、また、審判段階に入って、当審にて新たな拒絶の理由を発見したわけではないから、請求人が所望する再度の補正の機会を与えることはできない。


5.むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、上記引用例1記載発明及び引用例2に記載された従来周知の技術事項から当業者が容易に想到し得たものと認められるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-08-15 
結審通知日 2005-08-16 
審決日 2005-08-30 
出願番号 特願平11-33753
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 須原 宏光  
特許庁審判長 佐藤 伸夫
特許庁審判官 赤穂 隆雄
山本 穂積
発明の名称 共有メモリ  
代理人 杉村 興作  

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