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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A01K
管理番号 1125350
審判番号 不服2001-7813  
総通号数 72 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2000-05-16 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-05-10 
確定日 2005-10-27 
事件の表示 平成10年特許願第309799号「ペット排泄物の処理材とその製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成12年 5月16日出願公開、特開2000-135036〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成10年10月30日に特許出願されたものであって、その請求項1ないし4に係る発明は、平成11年12月20日付け、平成13年6月11日付けの手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明はつぎのものである。
「重量割合で、50%〜70%の含有量の木粉と、50%〜30%の含有量の石灰、ベントナイト、デンプン系バインダー、炭酸ソーダ及び木炭粉から成る添加材と、から粒状に成形されて成ることを特徴とするペット排泄物処理材。」(以下、「本願発明」という。)

2.原査定の理由
一方、原査定の拒絶の理由の概要は、本願発明は、下記の周知例を参酌し、下記の引用刊行物に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用刊行物:特開平10-165026号公報
周知例
周知例1:特開平5-328865号公報
周知例2:特開昭63-28337号公報
周知例3:特開平7-39751号公報
周知例4:特開平9-65789号公報
周知例5:特開平8-47352号公報

3.引用刊行物等に記載された発明
原審における平成11年10月7日付けの拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物(以下、「引用刊行物」という。)である特開平10-165026号公報には、以下(a..ないしg.)の記載が認められる。
a.「【請求項1】 有機質粉末と、水に反応して硬化する鉱物質の粉末と、該鉱物質の粉末の結合力を後記粒体がペット類の尿を容易に崩壊しないで繰り返し吸収できる程度に調整する結合力調整材粉末とを混合し、得られた混合物を多孔質の粒体に造粒してなるペット類の排泄物吸収材。
【請求項2】 前記混合物に於ける有機質粉末と水に反応して硬化する鉱物質の粉末との比率が95:5〜30:70重量%である請求項1のペットの排泄物吸収材。
【請求項3】 前記混合物に於ける結合力調整材粉末の割合が1〜30重量%である請求項1のペット類の排泄物吸収材。」(特許請求の範囲の請求項1ないし3)
b.「本発明は、猫等のペット類の排泄物を吸収して周囲を清潔に保持するペット類の排泄物吸収材に関するものである。」(段落【0001】)
c.「前記有機質粉末としては吸水性及び脱臭性が高くかつ可燃性である種々の天然有機物の粉末を自由に用いることができる。例えば、・・・継続して安定的かつ安価に入手でき、安定した品質のものを容易に得ることができる製材派生品オガクズから製造した木粉が適当である。」(段落【0007】)
d.「前記水に反応して硬化する鉱物質の粉末としては、その結合力の強さや環境を害する物質を含まないものであること等の関係から、例えば、ポルトランドセメント、高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント、天然石膏、化学石膏、焼石膏等が採用できる。これらも単一粉あるいは二種以上の混合粉として用いることができる。」(段落【0008】)
e.「前記結合力調整材は、前記したように、前記鉱物質の結合力を、これによって有機質粉末を結合して造粒する際に固く固結し過ぎるのを適度の柔らかさを得られるように、調整するためのものであるが、例えば、ベントナイト等の粘土鉱物の粉末、デンプン、・・・等の水溶性高分子粉末をそれとして採用できる。これらもまた単一粉又は二種以上の混合物粉として用いることができる。」(段落【0009】)
f.「なお以上の本発明のペット類の排泄物吸収材には必要に応じて・・・造粒前又は造粒後に消臭剤・・・を保持させることもできる。これらはいずれも粒体を製造するいずれかの適切な段階で自由に添加し、または吸着あるいは練り込みをさせることができる。」(段落【0017】)
g.「【実施例】
(実施例1) おが屑を粉砕した木粉(粒度100メッシュ)57.5重量部に、・・・
(実施例2) おが屑を粉砕した木粉(粒度100メッシュ)57.5重量部に、・・・
(実施例3) おが屑を粉砕した木粉(粒度100メッシュ)57.5重量部に、・・・」(段落【0022】〜【0024】)
上記の記載より、引用刊行物には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「有機質粉末と、水に反応して硬化する鉱物質の粉末と、該鉱物質の粉末の結合力を後記粒体がペット類の尿を容易に崩壊しないで繰り返し吸収できる程度に調整する結合力調整材粉末とを混合し、得られた混合物を多孔質の粒体に造粒してなる、猫等のペット類の排泄物を吸収して周囲を清潔に保持するペット類の排泄物吸収材であって、前記有機質粉末としては、例えば、製材派生品オガクズから製造した木粉が適当であり、前記水に反応して硬化する鉱物質の粉末としては、例えば、セメント、石膏等を単一粉あるいは二種以上の混合粉として用いることができ、前記結合力調整材としては、例えば、ベントナイト等の粘土鉱物の粉末、デンプン等の水溶性高分子粉末を単一粉又は二種以上の混合物粉として用いることができ、前記混合物に於ける有機質粉末と水に反応して硬化する鉱物質の粉末との比率が95:5〜30:70重量%であり、前記混合物に於ける結合力調整材粉末の割合が1〜30重量%であるペット類の排泄物吸収材。」

また、原審における平成11年10月7日付けの拒絶理由において例示された上記周知例1、及び、平成13年4月3日付けの拒絶査定において例示された上記周知例2ないし5には、それぞれつぎの技術事項が記載されている。
周知例1:特開平5-328865号公報
木粉を主として含有する乾燥造粒物(請求項1)であって、炭酸カルシウム(石灰)(請求項9)、澱粉、ベントナイト(請求項10、11)を含む動物の排泄物処理材が記載されており、上記木粉は、50重量%以上(請求項15)の量を含有することが併せて記載されている。

周知例2:特開昭63-28337号公報
カルシウム型ベントナイトに炭酸ナトリウム(炭酸ソーダ)を配合し、造粒した動物用トイレ砂が記載されている。(第3頁左上欄第14行-右上欄第11行)

周知例3:特開平7-39751号公報
ベントナイトを主体(請求項1)とし、猫寝藁(請求項13)として使用可能な収着剤に、水溶性ナトリウム塩(段落【0022】)として、炭酸ナトリウム水溶液(段落【0043】)を添加することが記載されている。

周知例4:特開平9-65789号公報
活性化ベントナイト(段落【0006】)よりなる小動物用トイレ砂に、炭酸ナトリウムを含有させる(段落【0008】)ことが記載されている。

周知例5:特開平8-47352号公報
粉粒状の炭化材料(請求項1)として木炭を用い(請求項4)、ベントナイト(請求項7)を添加した、ペット用トイレ砂が記載されている。
4.対比・判断
本願発明と引用発明とを対比すると、引用発明についてつぎのことがいえる。
(i)引用発明は、「猫等のペット類の排泄物を吸収して周囲を清潔に保持するペット類の排泄物吸収材に関するもの」(引用刊行物のb.)であり、「粒体に造粒してなる」(引用刊行物のa.)ものであるから、「粒状に成形されて成るペット排泄物処理材」である点で本願発明と共通している。
(ii)引用発明は「有機質粉末」と、「水に反応して硬化する鉱物質の粉末」と、「結合力調整材粉末」とを混合(引用刊行物のa.)して得られるものであり、「有機質粉末として」は「オガクズから製造した木粉が適当である」(引用刊行物のc.)とともに、実施例においては「おが屑を粉砕した木粉(粒度100メッシュ)57.5重量部」(引用刊行物のg.)を用いるものである。そして、上記「水に反応して硬化する鉱物質の粉末」は、「有機質粉末」である「木粉」を「結合して造粒する」(引用刊行物のd.及びe.)作用をし、「結合力調整材粉末」は、同じく「有機質粉末を結合して造粒する際に固く固結し過ぎるのを適度の柔らかさを得られるように、調整するためのもの」(引用刊行物のe.)である。そうすると、同引用発明は、「有機質粉末」である「木粉」と、該「有機質粉末」である「木粉」に添加して「木粉」を造粒するための「水に反応して硬化する鉱物質の粉末」と「結合力調整材粉末」とより成るということができ、上記「水に反応して硬化する鉱物質の粉末」と「結合力調整材粉末」とは「木粉」に対する「添加材」であるということができる。
一方、本願発明は「重量割合で、50%〜70%の含有量の木粉」と、「50%〜30%の含有量の石灰、ベントナイト、デンプン系バインダー、炭酸ソーダ及び木炭粉から成る添加材と」から成るものである。
そうすると、本願発明と引用発明とは、「木粉と添加材とから成るペット排泄物処理材」である点で共通している。
(iii)引用発明は「結合力調整材」として「ベントナイト等の粘土鉱物の粉末、デンプン等の水溶性高分子粉末」(引用刊行物のe.)を使用可能なものであり、上記(ii)に記載したように、これらは「木粉」に対する「添加材」であるということができる。また上記「デンプン」は、実質上、バインダーとして機能するものであるから、本件発明における「デンプン系バインダー」に相当するものといえる。
そうすると、本願発明と引用発明とは、添加材としてベントナイト、デンプン系バインダーを含む点で共通しているといえる。
上記(i)ないし(iii)を勘案すると、本願発明と引用発明とは以下の点で一致し、また相違していると認められる。
一致点;
木粉と、ベントナイト、デンプン系バインダーを含む添加材と、から粒状に成形されて成るペット排泄物処理材、である点。
相違点;
A.木粉及び添加剤の含有量が重量割合で、本願発明は50%〜70%の含有量の木粉と、50%〜30%の含有量の添加材から成るものであるのに対して、引用発明は木粉及び添加剤の含有量は明らかでない点。
B.添加材として、本願発明は石灰、炭酸ソーダ及び木炭粉を含むものであるのに対して、引用発明は石灰、炭酸ソーダ及び木炭粉を含まない点。
上記の相違点について検討する。
(1)相違点Aについて
引用発明は、「有機質粉末」と「鉱物質の粉末」と「結合力調整材粉末」とを混合(引用刊行物のa.)して得られるものであり、実施例としては「有機質粉末」である「木粉」を57.5重量部含む(引用刊行物のg.)ものであり、さらに引用刊行物をみると、「結合力調整材粉末の割合が1〜30重量%である」(引用刊行物のa.)ことから、「結合力調整材粉末」以外の組成である、「有機質粉末」と「鉱物質の粉末」とが全体に対して占める割合は99〜70重量%である。また、「有機質粉末」と「鉱物質の粉末との比率が95:5〜30:70重量%である」(引用刊行物のa.)ことから、上記「有機質粉末」、すなわち「木粉」が全体に対して占める割合は21〜94重量%であり、「木粉」以外の組成成分である「鉱物質の粉末」と「結合力調整材粉末」との和(本願発明における「添加材」に対応するもの)が全体に対して占める割合は79〜6重量%であるといえる。そうすると、引用発明は、本願発明における「木粉」の含有量(重量割合)の範囲を全て含んでいるとともに、「木粉」の含有量(重量割合)の残部である「鉱物質の粉末」と「結合力調整材粉末」との和(本願発明における「添加材」に対応するもの)の含有量(重量割合)についても、本願発明における「添加材」の含有量(重量割合)の範囲を全て含んでいる。
ところで、原審において周知例として例示された上記周知例1も木粉を含む動物の排泄物処理材であり、木粉を50重量%以上含有するものである。そして、この種のペット排泄物処理材において、木粉の占める含有量(重量割合)は、木粉の特質を排泄物処理材にどの程度まで反映させるかにより、含有量の上限及び下限とともにその範囲を任意に設定し得るものである。
そうすると、引用発明において、木粉の含有量(重量割合)を、引用発明における実施例が示す木粉の含有量(57.5重量部)や、周知例1が示す木粉の含有量(50重量%以上)を指標として、引用発明が開示する範囲(21〜94重量%)内において、さらに具体的に50%〜70%と限定し、残部である添加材の含有量(重量割合)を、50%〜30%と限定することは当業者が適宜なし得る事項にすぎない。
(2)相違点Bについて
粒状に成形されたペット排泄物処理材において、添加材として石灰、炭酸ソーダ、木炭粉を添加することは、原審において周知例として例示されたように、それぞれ周知の事項である。
すなわち、石灰については上記周知例1に記載されており、さらに必要あれば下記の周知例6にも記載されている。ところで、本願発明が添加材として石灰を含むことの技術的意義として、例えば本願明細書の段落【0014】には、「固形化と砂の質感を出す石灰・・・」と記載されている。これに対して引用発明は「水に反応して硬化する鉱物質の粉末」として、「例えば、セメント、石膏等を単一粉あるいは二種以上の混合粉として用いる」(引用刊行物のd.)ものであり、引用発明においても上記「鉱物質の粉末」によって、本願発明と同様の、「固形化と砂の質感」は実質的に得られるものであるから、引用発明における上記「鉱物質の粉末」に代えて、ペット排泄物処理材において添加材として周知である石灰を用いることは格別困難なことではない。
また、炭酸ソーダについては上記周知例2ないし4に記載されているとともに、木炭粉については上記周知例5に記載されており、さらに必要あれば下記の周知例7にも記載されている。ここで、本願発明が添加材として炭酸ソーダ及び木炭粉を含むことの技術的意義として、例えば本願明細書の段落【0005】には、「水溶性でアルカリの炭酸ソーダによって尿のアンモニア臭を消し、水洗性や衛生特性を高めることができ、脱臭性能の大きい木炭粉によって更に尿のアンモニア臭を消すことができる。」と記載されている。一方、引用発明においても、「消臭剤を保持させる」(引用刊行物のf.)ことを開示しているから、ペット排泄物処理材における消臭剤としてよく知られている炭酸ソーダ及び木炭粉を引用発明に添加することに格別な困難性を伴うものではない。
そして、これらの添加材はペット排泄物処理材において、各添加材が本来備える作用もしくは効果を各別に奏しているものの、これらの添加材が相互に作用し合って新たに格別な作用もしくは効果が発揮されるわけでもない。
以上のとおり、上記A及びBの各相違点を備えた本願発明が奏する効果も、引用発明及び周知技術が本来奏する効果から予測しうる範囲内のものであって、格別なものではないから、本願発明は、引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に想到することができたものである。

【その他の周知例】
周知例6:特開平10-150874号公報
ベントナイトに炭酸カルシウムを添加した動物の排泄物吸収剤(請求項1)が記載されている。

周知例7:特開平3-191729号公報
継ぎ材と木粉及び活性炭を粒状に成形乾燥したペット類排せつ物の消臭材(特許請求の範囲)が記載されている。

5.むすび
以上のとおりであるから、本願発明は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、本願の他の請求項に係る発明については論じるまでもなく、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-08-25 
結審通知日 2005-08-30 
審決日 2005-09-13 
出願番号 特願平10-309799
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A01K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 秋月 美紀子吉田 佳代子  
特許庁審判長 伊波 猛
特許庁審判官 渡部 葉子
篠崎 正
発明の名称 ペット排泄物の処理材とその製造方法  
代理人 青山 葆  
代理人 石井 久夫  

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