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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 E05B |
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管理番号 | 1125397 |
審判番号 | 不服2005-645 |
総通号数 | 72 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2001-10-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2005-01-12 |
確定日 | 2005-10-27 |
事件の表示 | 特願2000-115068「携帯電話機に付けて用いるワイヤレスドアロック開閉用送信機」拒絶査定不服審判事件〔平成13年10月26日出願公開、特開2001-295526〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
【1】手続の経緯・本願発明 本願は、平成12年4月17日の出願であって、平成16年12月8日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成17年1月12日に拒絶査定に対する審判請求がなされた。 本願の請求項1、2に係る発明は、特許請求の範囲の請求項1、2に記載された事項により特定されるものであり、そのうち請求項1記載の発明は、次のとおりのものである。 「ドア側に装備した受信機付き施錠部の開閉に用いるものであって、携帯電話機の内蔵電源から受電して特定の施錠信号・解錠信号を上記施錠部の受信機にワイヤレス送信するようにした、携帯電話機に付けて用いるワイヤレスドアロック開閉用送信機。」 (以下、「本願発明」という。) 【2】本願出願前に頒布された刊行物に記載された発明 (1)原査定の拒絶の理由に引用された、特開平11-285071号公報(以下、「刊行物1」という。)には次の記載がある。 「【請求項1】携帯電話基地局に無線伝送路を介して通信接続する端末回路部を送受話器および操作パネル部とともに有する携帯電話端末部と、空間伝播信号による遠隔操作信号を送信する遠隔操作端末部とを同一筐体に一体的に形成するとともに、上記遠隔操作端末部における操作信号の入力操作および操作モニター表示を上記携帯電話端末部の操作パネル部にて行わせ、かつ携帯電話端末部が発信する端末識別情報と遠隔操作端末部が発信する識別情報を共通の識別情報発生手段から与えるようにしたことを特徴とする携帯情報端末装置。」 「【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、携帯情報端末装置、さらには携帯電話端末と遠隔操作端末(リモートコントローラ)に適用して有効な技術に関するものであって、たとえばたとえばパーソナル・ハンディフォン・システム(PHS)やパーソナル・デジタル・セルラシステム(PDC)などの端末装置に利用して有効な技術に関するものである。」 「【0004】【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述した技術には、次のような問題のあることが本発明者らによってあきらかとされた。 【0005】すなわち、課金や電話番号設定が個別に行われる携帯電話端末は個人属性が非常に強く、不特定者間での共同利用には甚だ不向きな装置であるが、リモコンも同様に個人属性を有する装置である。このため、両装置を常用するユーザは携帯電話端末装とリモコンの2つを常に身辺に備えなければならない煩わしさを強いられる、という問題が生じる。 【0006】リモコンについては、近年、たとえばテレビ、ビデオ、エアコンなどの家電機器、自動車のスタータ、ガレージ扉、施錠装置などに、赤外線等の空間伝播信号による遠隔操作機能いわゆるリモコン機能を装備したものが増えてきた。」 「【0009】本発明の目的は、用途および構成が大きく異なる携帯電話端末と遠隔操作端末(リモコン)のそれぞれの特性を活かしつつ総合化させて、携帯電話端末とリモコンの両方を身辺に備える煩わしさを軽減させるとともに、その構成について、両端末を個別に構成する場合よりも大幅な簡略化を可能にする、という技術を提供することにある。」 「【0019】同図に示す携帯情報端末装置100は、無線アンテナ11、携帯電話端末の主要部をなす携帯電話端末回路部1、マイクロホン21とスピーカ22を含む送受話器2、テンキーなどの操作部31と液晶ディスプレイ装置などの表示器32が配置された操作パネル3、汎用処理装置であるマイクロコンピュータを用いたシステム制御部4、電話番号などの識別情報(ID)を発生する識別信号発生部41、リモコンの主要部をなす遠隔操作端末回路部(リモコン回路部)5、赤外線による遠隔操作信号(空間伝播信号)の送受信を行う投受光部51などにより構成されている。 」 「【0036】200は携帯電話基地局、300はテレビやVTRなどの被操作機器、301は被操作機器側のリモコン信号送受信部である。…」 「【0040】以上の説明では主として、本発明者によってなされた発明をその背景となった利用分野である携帯電話端末と遠隔操作端末に適用した場合について説明したが、それに限定されるものではなく、たとえば識別信号だけを送出する電子施錠システムなどにも適用できる。」 上記記載、対応する図面及び当業者の技術常識によれば、刊行物1には、以下の発明が記載されていると認められる。 「電子施錠システムの被操作機器300に装備したリモコン信号送受信部301付き電子施錠装置に用いるものであって、携帯情報端末装置100の内蔵電源から受電して識別信号を上記電子施錠装置のリモコン信号送受信部301にワイヤレス送信するようにした、携帯情報端末装置100と同一筐体に一体的に形成したワイヤレス電子施錠システム用リモコン。」 (2)同じく、特開平11-155001号公報(以下、「刊行物2」という。)には次の記載がある。 「【請求項4】携帯可能な本体内に無線回線を介する通信を制御する通信制御装置を内蔵した携帯無線電話装置本体に着脱自在に接続される機能付加装置であって、少なくとも1つの機能を実行する機能装置と、前記機能装置を制御する制御手段とを具備することを特徴とする機能付加装置。」 「【0001】【発明の属する技術分野】この発明は、携帯無線電話装置に関し、特に、ユーザが自由に機能の追加および選択をすることのできる携帯無線電話装置に関する。」 「【0019】図1において、無線電話装置本体100はアンテナ装置101、送受信切換部102、送信部103、受信部104、変調部105、復調部106、マイクロフォン107、スピーカ108、イヤホン端子109、制御部110、メモリ111、サウンダ112、キー入力部113、表示部114、電池115で構成される。また、携帯電話装置本体100には機能付加装置である機能ボックス200が接続されており、機能ボックス200は制御部201、メモリ202、機能Aモジュール203、機能Bモジュール204、機能Cモジュール205、機能Dモジュール206で構成される。」 「【0026】無線電話装置本体100に機能ボックス200を接続する場合は、機能ボックス200のフック221を無線電話装置本体100の凹部121に掛けることで機能ボックス200を固定する。また、無線電話装置本体100の外部端子120と機能ボックス200の外部端子220を結合することで、無線電話装置本体100と機能ボックス200が電気的に接続される。 【0027】機能ボックス200に搭載される機能には、音声メモ録音機能や留守番電話機能等の電話機能を拡張する機能と、ラジオ放送受信機能等の電話以外の装置として使用する機能がある。」 「【0031】無線電話装置本体100と機能ボックス200は、端子a乃至gで電気的に接続され、端子aは制御部110が機能ボックス200の接続を検出する検出信号端子であり、端子b、cは制御部110と制御部201で信号の授受を行う制御信号端子、端子d、eは無線電話装置本体100と機能ボックス200とで音声信号の授受を行う音声信号端子、端子f、gは機能ボックス200の各部に電池115から電力を供給する電源端子である。」 「【0036】次に、機能ボックスに電話機能以外の機能を搭載した場合の説明をする。 【0037】この電話以外の機能としては、ラジオ放送受信機、文字放送受信機、コンピュータゲーム、FAX(小型スキャナを搭載し、直接送信できるもの)等があげられる。」 「【0039】例えば、図示しない機能ボックスがラジオ放送受信機能を搭載している場合には、ユーザは受信したい放送の選局やボリュームの調節を表示部114を見ながらキー入力部113で行い、スピーカ108またはイヤホン端子109を介して図示しないイヤホンで放送を聴取する。また、この図示しない機能ボックスへの電力の供給は電池115から行われるため、機能ボックスを小型化することが可能である。」 【3】対比・判断 (1)本願発明と刊行物1記載の発明を対比すると、刊行物1記載の発明の「リモコン信号送受信部301付き電子施錠装置」は、本願発明の「受信機付き施錠部」に相当し、以下同様に、「携帯情報端末装置100」は「携帯電話機」に、「識別信号」は「特定の施錠信号・解錠信号」に、それぞれ相当する。そして、刊行物1記載の発明の「ワイヤレス電子施錠システム用リモコン」と、本願発明の「ワイヤレスドアロック開閉用送信機」とは、「ワイヤレスロック開閉用送信機」である点で共通するから、両者は、「受信機付き施錠部の開閉に用いるものであって、携帯電話機の内蔵電源から受電して特定の施錠信号・解錠信号を上記施錠部の受信機にワイヤレス送信するようにした、携帯電話機に付けて用いるワイヤレスロック開閉用送信機。」 である点で一致し、以下の点で相違している。 [相違点1]受信機付き施錠部が、本願発明は、ドア側に装備されたドアロックであるのに対し、刊行物1記載の発明は、電子施錠システムの具体的構成が記載されていない点。 [相違点2]本願発明は、携帯電話機に付けて用いるワイヤレスドアロック開閉用送信機であるのに対し、刊行物1記載の発明は、携帯情報端末装置100と同一筐体に一体的に形成したワイヤレス電子施錠システム用リモコンである点。 (2)上記相違点について検討する。 [相違点1]について 特開平9-88391号公報、特開平11-62345号公報、特開平10-317753号公報等に示すように、電子施錠システムにおいて、ドア側に装備した受信機付き施錠部の開閉に用いるドアロックは、周知の技術であり、刊行物1記載の発明に、周知技術を適用し、上記相違点1に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到できたことにすぎない。 [相違点2]について 刊行物2には、無線電話装置本体100(本願発明の「携帯電話機」に相当)の電池115(本願発明の「内蔵電源」に相当)から受電して電話機能以外の機能を搭載した機能ボックスを、無線電話装置本体100に付けて用いる機能ボックスが記載されている。 そして、携帯電話機と同一筐体に一体的に形成したワイヤレスドアロック開閉用送信機は、特開平9-88391号公報、特開平11-62345号公報、特開平10-317753号公報等に示すように、周知の技術である。 そうすると、刊行物1記載の発明のワイヤレスロック開閉用送信機において、刊行物2記載の発明の携帯電話機に付けて用いる機能ボックスを適用し、その際、ワイヤレスロック開閉用送信機を周知技術であるドアロック開閉用とし、上記相違点2に係る本願発明の構成とすることは、刊行物1記載の発明及び刊行物2記載の発明が、共に携帯電話に関する同一の技術分野に属するものであるから、何ら困難性はなく、当業者が容易に想到できたことにすぎない。 そして、本願発明の作用効果も刊行物1、2記載の発明及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。 【3】むすび 以上のように、本願発明は、刊行物1、2に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2005-08-25 |
結審通知日 | 2005-08-29 |
審決日 | 2005-09-12 |
出願番号 | 特願2000-115068(P2000-115068) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(E05B)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 油原 博 |
特許庁審判長 |
山田 忠夫 |
特許庁審判官 |
南澤 弘明 ▲高▼橋 祐介 |
発明の名称 | 携帯電話機に付けて用いるワイヤレスドアロック開閉用送信機 |
代理人 | 木村 高明 |