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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04L
審判 査定不服 (159条1項、163条1項、174条1項で準用) 特許、登録しない。 H04L
管理番号 1125561
審判番号 不服2002-14797  
総通号数 72 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2000-12-05 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-08-05 
確定日 2005-11-02 
事件の表示 平成10年特許願第534867号「電子メールをルーティングするシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 8月13日国際公開、WO98/35326、平成12年12月 5日国内公表、特表2000-516432〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、1998年2月5日(パリ条約による優先権主張外国庁受理1997年2月6日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成14年5月16日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成14年8月5日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに同日付けで手続補正がなされ、平成16年7月5日付けで審尋がなされ、平成17年1月5日に回答書が提出されたものである。

2.平成14年8月5日付けの手続補正について
[結論]
平成14年8月5日付けの手続補正を却下する。

[理由]
(1)補正の適否
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1を、
「【請求項1】処理センター中の複数の支援者の1人に電話通話をルーティングする電話コールセンタールーティングシステムにおいて、
コンピュータテレフォニ統合(CTI)サーバと、
CTIサーバに接続された電話ルータと、
CTIサーバに接続され、データネットワーク上で送信者からeメールを受信するeメールサーバと、
eメール-CTIサーバアダプタとを具備し、
eメール-CTIサーバアダプタはeメール属性と電話属性間の変換を行い、CTIサーバが電話属性に変換されたeメール属性を電話ルータに通信できるようにし、
電話ルータがCTIサーバを通してルーティングコマンドをeメールサーバに送信して、eメールを選択された支援者にルーティングさせる電話コールセンタールーティングシステム。」
と補正することを含むものである。
しかしながら、補正後の請求項1は、補正前の請求項1に記載された発明に特定すべき事項である「情報抽出器」、「データベース」、「ルータは前記特定のスキルセットについての記憶された情報と前記eメールからの抽出情報の一部とを整合させることにより複数の支援者の1人を選択する」を削除しており、特許請求の範囲の拡張であり、上記補正は、特許法17条の2第4項第1号ないし第4号のいずれの目的にも適合しない。
また、補正後の請求項1は、「電話ルータ」と「eメール-CTIサーバアダプタ」、「eメール-CTIサーバアダプタはeメール属性と電話属性間の変換を行い」を有し、eメールを電話属性に変換して、ルーティングを行うものであるのに対し、補正前の請求項1は、eメールを、その内容に基づいて適切な支援者にルーティングするものであり、特許請求の範囲の変更でもあるから、上記補正は、特許法17の2第4項第1号ないし第4号のいずれの目的にも適合しない。

(2)むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第4項第1号ないし第4号の規定のいずれにも適合しないから、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
(1)本願発明
平成14年8月5日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成14年4月9日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「【請求項1】各支援者が各種の可能性あるスキルセットからの特定のスキルセットを持つ、処理センター中の複数の支援者の1人に電子メール(eメール)をルーティングし、前記eメールはこのシステムに対して専有的でないシステムにおいて、
送信人から前記eメールを受信するように構成されたeメールサーバと、
前記eメールから情報を抽出する情報抽出器と、
ルータと、
前記ルータからのアクセス可能であり、前記支援者のスキルセットを記憶するデータベースとを具備し、
前記ルータは前記特定のスキルセットについての記憶された情報と前記eメールからの抽出情報の一部とを整合させることにより複数の支援者の1人を選択するシステム。」

(2)引用例に記載された発明
原審の拒絶の理由に引用された太田竜男他、「質問応答システムの構築 -情報共有/再利用の技術-」、FUJITSU、第45巻第5号(通巻264号)、1994年9月、PP436-442(以下、「引用例」という。)には、以下の事項が記載されている。
イ)「質問応答システムの概要
質問応答システムを開発するにあたって、とくに着目したのは、「同じ内容のQAが多い」という点である。そこで、各QAサポート部門において日々発生するQAの内容を事例として蓄積し,このQA事例をSE部門において共有・再利用するという枠組みを検討した。その結果、質問応答システムは次の基本機能を持つものとした。
1)利用者が質問を送信した時点で,類似した過去のQA事例を自動的に検索し、回答を提示する。
2)利用者が回答を不適切と判断した場合には,QAサポート部門へ質問文を転送することができ,サポート部門の担当者からの回答を得られる。
3)新規に発生したQAは,その都度QA事例として蓄積し,以降のQA対応に利用する。
これらの機能は,CBR技術とネットワーク技術を有効に活用することによって実現できた。
図-1は質問応答システムの全体構成図である。質問応答システムはネットワーク上のクライアント・サーバモデルとして構築されている。したがって,利用者はネットワークに接続していればいつでもどこからでも利用することができる。」(第437頁右欄第8行〜第438頁左欄第13行)

ロ)「情報の蓄積・共有・再利用の仕組み
質問応答システムをクライアント・サーバモデルとして構築するにあたり,以下の方針を採用した。
1)問合せ窓口となるQAサーバを一つ設ける。
2)事例ベースサーバを各QAサポート部門に分散させる。
これによって,QAサポート部門には以下のような利点がある。
1)QAサーバにおいて,担当するQAサポート部門を自動的に切り分けるため,担当する内容の問合せのみを受け付けることができる。
2)QAサポート部門ごとに事例ベースサーバを展開するため,場所的な束縛を受けることなく,自分のオフィスで作業することができる。」(第438頁左欄第18行〜第31行)

ハ)「●事例蓄積の枠組み
質問応答システムでは,類似するQA事例が存在しない新規の質問に対しては,質問をQAサポート部門にネットワーク上で転送する機能を備えている。
転送された質問に対し,QAサポート部門では回答を作成し質問者に返送する。さらにそのQAの内容をチェックし,QA事例として登録する。このように質問応答システムは質問への回答という日常業務の流れにおいて,自然にQA事例の蓄積を行うことができる枠組みを提供している(図-4)。」(第440頁左欄第37行〜右欄第2行)

ニ)「 QAサポート部門は,高品質な回答を迅速に提供するためにこのようなQA事例の共有・再利用のシステムを構築し,電話に代わるQA対応の手段として以下の二つのツールを用意しサポートを行っている。
1)質問応答システム(ネットワーク版)
TCP/IPの社内ネットワーク,公衆回線など利用者の使用環境に合ったQAクライアントを提供している。
2)質問応答システム(スタンドアロン版)
ネットワーク環境が未整備である部署や社外での利用のためにノートブック型のパソコンなどに入れて持ち運びながら利用できるQAクライアントを提供している。QA事例は,約1か月に1回の割合で各製品別にデータベース化したものを提供しており,ダウンロードして利用することができる。」(第441頁右欄第7行〜第21行)

ホ)図-1では、QAクライアントは、QAサーバに質問文の送信を行い、QAサーバは受信した質問を各QAサポート部門に転送することが読み取れる。

ヘ)図-3では、カテゴリ、サブカテゴリ、質問概要、質問文からなる質問の例が示されている。

ト)図-5では、利用者が、質問応答システム(ネットワーク版)にアクセスし、質問応答システムが、FMシリーズサポートセンタやMシリーズサポートセンタ、Sファミリサポートセンタの内の1つに接続することが記載されている。

以上の記載及び図面、技術常識を総合すると、引用例には、
「各QAサポート部門が各機種に関する専門知識を持つ、サポートセンター中の複数のQAサポート部門の1つのQAサポート部門に、カテゴリやサブカテゴリ、質問概要、質問文を含む質問を転送するシステムにおいて、
利用者から質問を受信するように構成されたQAサーバを有し、
ネットワークを介して送られてきた質問を類似した過去のQA事例を自動的に検索し、回答を提示し、利用者が回答を不適切であると判断した場合には、複数のQAサポート部門のうち適切な1つのQAサポート部門に質問文を転送するシステム」の発明(以下、「引用例に記載された発明」という。)が記載されている。

原審の拒絶の理由に引用された特開平9-16677号公報(以下、「周知例1」という。)には、以下の事項が記載されている。

イ)「【0009】さらに、ノウハウ管理装置3’は、項目・記事リスト31から記事を検索する記事検索手段38と、各項目の助言者名が予め登録されている項目・助言者リスト39と、利用者からの質問を受け付け、項目・助言者リスト39に登録されている助言者に質問を転送し、助言者の応答を質問者に転送する質問転送手段310と、各質問の処理状況を保存する質問処理状況リスト311とを備える。また、質問転送手段310は、助言者が答えられなかった質問を記事参照投稿手段32を介して項目・記事リスト31に登録し、他の読者が読めるようにする。さらに、質問転送手段310は、各質問の処理状況を、逐次、質問処理状況リスト311に保存する。」(第3頁第4欄第11行〜第23行)

また、例えば、特開平8-305751号公報(以下、「周知例2」という。)には、以下の事項が記載されている。

イ)「【0023】
【作用】本発明によるマルチエージェントシステムでは、各エージェントは、資源配分に関する助言を他のエージェントから求める相談文を単数または複数の他のエージェントに送付する相談手段を備えており、他のエージェントからの助言を受けることができる。また、各エージェントは、他のエージェントから相談文を受け取り、相談文に対して助言を作成し、該相談文を作成したエージェントに送り返す助言手段を備えており、他のエージェントから要求された相談に対して助言を送信することができる。例えば、前述した設備Aの購入と設備Bの購入のどちらを優先するかという問題が発生した場合、購入担当者の所有する秘書的エージェントの相談手段が、購入部門の管理職の秘書的エージェントの他、設備A、Bの使用部門の管理職の秘書となっている秘書的エージェントから助言を受けることで、資源の有効利用の観点のみならず、組織の戦略的な目標を反映した判断を下すことが可能になる。これによって、既存の資源配分方式ではオフィスの戦略的な目標を反映できないという問題点を解決する。
【0024】また、各エージェントは、助言を求める相手を決定するために、相談文の送付相手を選択する知識を提供する相談相手選択知識を備え、また前記相談手段に助言の評価に関する知識を提供する相談相手評価知識を備えている。これによって、不特定多数のエージェントから助言を受ける事によって生じる、エージェントが互いに自己に有利になるような助言を与えようとして混乱するという問題を解決する。この方式は、周囲の少数の人の助言を得るという、人間社会の実際の活動に近い仕組みを提供するものである。
【0025】【実施例】
次に本発明の実施例について説明する。実施例の説明は2つあり、第一の実施例は第1、第2、第3の発明に対応し、第二の実施例は第4、第5の発明に対応する。
【0026】図1は、本発明の第一の実施例の構成の一例を示すブロック図である。本発明によるマルチエージェントシステムでは、図1のエージェント1と同様の構成のものが複数存在し、それらがネットワーク8で結合される。各エージェント1はソフトウェアモジュールであって、各々が独立して動作する。ネットワーク8はローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワークのいずれをも含んで良く、またその搬送方式、搬送媒体の選択も自由である。個々のエージェント1はそれぞれ別々の計算機上で動作しても良いが、そのうちいくつかは、あるいはすべてが、同一の計算機上で動作しても良い。同一の計算機上で動作する複数のエージェント1を結合するネットワーク8は仮想的なものであり、例えばオペレーティングシステムによって提供されるプロセス間通信機能でも良い。
【0027】問題解決手段2は、ネットワーク8を経由して他のエージェントから何らかの入力を得て、その入力に対する回答を、ネットワーク8を経由して他のエージェント(前記した他のエージェントと同一である必要はない)に出力することができる。すなわち、問題解決手段2は、問題(問い合わせ)に対して回答を作成し、回答を出力する働きを一般的に表している。問題評価知識5は、問題解決手段2が問題に対する回答を求めるのに必要な知識を集めたものである。
【0028】問題解決手段2は、問題評価知識5から問題の回答を得るのに必要な情報を得るだけでなく、他のエージェントに、該問題の回答を得るのに参考となる助言を求めることができる。その際利用するのが相談手段3である。まず、問題解決手段2は、相談文を作成する。相談文は、問題を解くのに必要な変数の評価値を問い合わせるものである。問題解決手段2は、相談文と問題解決手段2自身が求めた回答を相談手段3に渡す。相談手段3は、相談文の内容に応じて、他のどのエージェントに助言を求めれば良いか判断する。その判断のために利用する知識が相談相手選択知識6である。相談相手は一つのエージェントであっても良いし、複数のエージェントであっても良い。相談手段3は、相談相手のエージェントに対して、ネットワーク8を介して相談文を送信する。」(第4頁第6欄第6行〜第5頁第7欄第29行)

周知例1、2によれば、「利用者からの質問を受け付け、項目・助言者リストに登録されている助言者もしくはエージェントに質問を転送する」ことは、周知である。

(3)対比・判断
本願発明と引用例に記載された発明を比較する。
a.引用例に記載された発明の「QAサポート部門」と本願発明の「支援者」は、「支援するもの」の点で、一致する。
b.引用例に記載された発明の「専門知識」は、一種のスキルセットであり、本願発明の「スキルセット」に相当する。
c.引用例に記載された発明の「各機種に関する専門知識」は、各種の可能性ある専門知識からの特定の専門知識であり、b.を考慮すると、本願発明の「各種の可能性あるスキルセットからの特定のスキルセット」に相当する。
d.引用例に記載された発明の「サポートセンター」は、質問を処理する処理センターである。
e.引用例に記載された発明の「転送する」によれば、ルーティングは当然備えられている技術的事項である。
f.引用例に記載された発明の「QAサーバ」と本願発明の「eメールサーバ」は、「サーバ」である。
g.引用例に記載された発明の「利用者」は、質問を送信する人であるから、本願発明の「送信人」に相当する。
h.引用例に記載された発明の「質問」も本願発明の「eメール」も、「データ」である。
そうすると、引用例に記載された発明では、転送することにより、1つのQAサポート部門を選択しているから、引用例に記載された発明の「ネットワークを介して送られてきた質問を類似した過去のQA事例を自動的に検索し、回答を提示し、利用者が回答を不適切であると判断した場合には、複数のQAサポート部門のうち適切な1つのQAサポート部門に質問文を転送する」と本願発明の「前記eメールから情報を抽出する情報抽出器と、ルータと、前記ルータからのアクセス可能であり、前記支援者のスキルセットを記憶するデータベースとを具備し、前記ルータは前記特定のスキルセットについての記憶された情報と前記eメールからの抽出情報の一部とを整合させることにより複数の支援者の1人を選択する」は、「前記データに応じて、複数の支援するものの1つを選択する」の点で、一致し、本願発明と引用例に記載された発明とは、
「各支援するものが各種の可能性あるスキルセットからの特定のスキルセットを持つ、処理センター中の複数の支援するものの1つにルーティングするシステムにおいて、
送信人からデータを受信するように構成されたサーバを有し、
前記データに応じて、複数の支援するものの1つを選択するシステム。」の点で、一致し、以下の点で、相違する。

相違点1
本願発明では、支援するものが、「支援者」で、「支援者の1人」を選択しているのに対して、引用例に記載された発明では、「QAサポート部門」で、「部門の1つを」選択している点。

相違点2
本願発明では、電子メール(eメール)により、問い合わせを行い、eメールはこのシステムに対して専有的でないのに対して、引用例に記載された発明では、カテゴリやサブカテゴリ、質問概要、質問文を含む質問により、問い合わせを行っている点。

相違点3
本願発明では、サーバが、「eメールサーバ」であるのに対して、引用例に記載された発明では、「QAサーバ」である点。

相違点4
本願発明では、「前記eメールから情報を抽出する情報抽出器と、ルータと、前記ルータからのアクセス可能であり、前記支援者のスキルセットを記憶するデータベースとを具備し、前記ルータは前記特定のスキルセットについての記憶された情報と前記eメールからの抽出情報の一部とを整合させることにより複数の支援者の1人を選択する」のに対して、引用例に記載された発明では、「ネットワークを介して送られてきた質問を類似した過去のQA事例を自動的に検索し、回答を提示し、利用者が回答を不適切であると判断した場合には、複数のQAサポート部門のうち適切な1つのQAサポート部門に質問文を転送して」いる点。

上記相違点について、検討する。
相違点1について
引用例に記載された発明では、支援するものが、QAサポート部門で行うことにしているが、支援するものを、個人の集合体である部門とするか、個人とするかは、サポート単位をどうするかは組織に応じて、適宜変えることで、個人は1人のことであるから、引用例に記載された発明において、QAサポート部門の替わりに、支援者の1人とすることは、当業者が容易になし得ることと認められる。

相違点2、3について
問い合わせを行うのに、電子メール(eメール)で行うこと、サーバとしてeメールサーバを用いることは、周知であり、問い合わせを、決まったフォーマットで行うか、このシステムに対して専有的でないもので自由に行うかは、フォーマット化して、確実にして、処理を楽にするか、フォーマットをなくして、自由にすることにより、処理は大変になり、確実には仕分けられなくなるが、送信人の自由度を上がるかどうかで決まる当業者の行う設計的事項であるから、引用例に記載された発明において、電子メール(eメール)により、問い合わせを行い、eメールはこのシステムに対して専有的でなく、サーバとして、eメールサーバを用いることは、当業者が容易になし得ることと認められる。

相違点4について
引用例に記載された発明では、「ネットワークを介して送られてきた質問を類似した過去のQA事例を自動的に検索し、回答を提示し、利用者が回答を不適切であると判断した場合には、複数のQAサポート部門のうち適切な1つのQAサポート部門に質問文を転送して」おり、自動的に検索するには、質問から情報を抽出する何らかの情報抽出器が必要で、「利用者からの質問を受け付け、項目・助言者リストに登録されている助言者もしくはエージェントに質問を転送する」ことは、周知例1、2に示されるように周知であり、項目・助言者リストが本願発明の「支援者のスキルセットを記憶するデータベース」に相当し、登録されている助言者に質問を転送するためには、特定のスキルセットについての記憶された情報と質問からの抽出情報の一部とを整合させ、選択を行うことは、誰に質問に対する応答をお願いするのに、担当者の専門に応じて、適宜振り分けることで、2点間を接続するのにルータを用いることは特開平7-95244号公報、特開平6-197130号公報に示されるように技術常識であるから、引用例に記載された発明において、前記eメールから情報を抽出する情報抽出器と、ルータと、前記ルータからのアクセス可能であり、前記支援者のスキルセットを記憶するデータベースとを具備し、前記ルータは前記特定のスキルセットについての記憶された情報と前記eメールからの抽出情報の一部とを整合させることにより複数の支援者の1人を選択することは、当業者が容易になし得ることと認められる。

そして、本願発明の作用効果も、引用例に記載された発明、及び、周知例1、2で示される周知技術、技術常識から当業者が予測できる範囲のものである。

(4)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例に記載された発明、及び、周知例1、2で示される周知技術、技術常識に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-05-31 
結審通知日 2005-06-07 
審決日 2005-06-20 
出願番号 特願平10-534867
審決分類 P 1 8・ 56- Z (H04L)
P 1 8・ 121- Z (H04L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 玉木 宏治小林 紀和吉田 隆之  
特許庁審判長 山本 春樹
特許庁審判官 望月 章俊
野元 久道
発明の名称 電子メールをルーティングするシステム  
代理人 小野 誠  
代理人 一入 章夫  
代理人 大崎 勝真  
代理人 川口 義雄  
代理人 井上 満  

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