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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 E04B
管理番号 1125609
審判番号 不服2004-22874  
総通号数 72 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2001-01-23 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-11-04 
確定日 2005-11-04 
事件の表示 特願2000-163710「家屋側壁エネルギ装置」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 1月23日出願公開、特開2001- 20402〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯
本願は、平成9年10月4日に出願された特願平9-307781号の分割出願に係り、平成12年4月24日に特願平2000-163710
号として出願されたものであって、平成16年9月22日付けで拒絶査定がなされたところ、平成16年11月4日付けで審判請求がなされたものである。

2.本願の請求項に係る発明
本願の請求項1に係る発明は、平成16年1月5日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】建築物の側面に間隔を空けてエネルギ吸収面とファンを設け、前記建築物の側面との空間に熱上昇気流を発生せしめ、前記上昇気流により前記ファンを回転せしめエネルギを発生することを特徴とする装置。」

3.引用例
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された特開平4-306339号公報(以下「引用例」という。)には、図面とともに次のような記載がある。
(ア)「図1に示されているように,高層建築物1の中心建物は建物外壁2とこの建物外壁の前にある建物被覆3とを持つているので,建物外壁2の外面と建物被覆3の内面との間に後部通気中間空間5が生ずる。この中間空間5は隔壁4により,高さに応じて延びる個々の流通路8に分割されており,これらの通路8はそれぞれ垂直な窓列の間に延びている。流通路8は下側の流入口7及び上側の流出口9の他に、高さに応じて分布された,外気取入れ可能な吸引口6を持つており,これらの吸引口は,例えば建物被覆3の継ぎ目スリツトから成りかつ調整装置10を介して開口の大きさを調節され得る。流入する空気を処理するために,流入口7又は流出口9に濾過,除湿,温度調節などのための装置11を付属させることができかつ流れエネルギーなどを利用するために,出口側にローラタービンなどのようなエネルギー採取装置12を設置することができる。」(段落【0018】)
(イ)「建物被覆3の加熱により周囲空気の浮力(矢印22)及び流通路8における浮力(矢印25)が発生する。・・・・・流通路8へ吸い出された空気は浄化又は温度調和処理を受けかつエネルギーに関しても利用できる。」(段落【0019】)
(ウ)「図2ないし5に詳細に示されているように,建物被覆3,例えばガラスフアサード,は建物外壁2の前に間隔を置いて組み立てられており,この場合,フアサードを保持するための梁は同時に,中間空間5を個々の流通路8に分割するための隔壁4を形成している。建物外壁2を更に断熱材で覆うことができ,そして建物被覆側には太陽エネルギー利用のために,太陽放射の作用を受けて加熱される材料から成る層,太陽熱集熱器,ボルタ式装置などの装置を設けることができる。送風機,絞り機構などのような,空気流を制御するための装置15が流通路8に組み込まれている場合も有利である。」(段落【0020】)
また、引用例に記載された高層建築物のエネルギー採取装置を含む一連の機構は、全体として「装置」を形成しているとみなすことができるから、引用例には、次の発明が記載されているものと認められる。
「高層建築物の建物外壁に間隔を空けて建物被覆とローラタービンなどのようなエネルギー採取装置を設け、前記高層建築物の建物外壁との流通路に流通路における浮力を発生せしめ、前記流通路における浮力により前記エネルギー採取装置を回転せしめエネルギを発生する装置。」

4.対比・判断
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)と、引用例記載の発明とを対比すると、引用例記載の発明の「高層建築物の建物外壁」、「建物被覆」、「流通路」及び「流通路における浮力」は、それぞれ本願発明の「建築物の側面」、「エネルギ吸収面」、「空間」及び「熱上昇気流」に相当し、本願発明の「ファン」と引用例記載の発明の「ローラタービンなどのようなエネルギー採取装置」は、気流による回転によりエネルギを発生させる「エネルギ発生装置」である点で共通するから、両発明は、次の一致点において一致し、かつ次の相違点において相違する。
一致点:建築物の側面に間隔を空けてエネルギ吸収面とエネルギ発生装置を設け、前記建築物の側面との空間に熱上昇気流を発生せしめ、前記熱上昇気流によってエネルギ発生装置を回転せしめ、エネルギを発生する装置である点。
相違点:エネルギ発生装置が本願発明は、ファンであるのに対し、引用例記載の発明は、ファンではない点。
そこで、前記相違点について検討する。
気流あるいは風によってエネルギを得る場合に、ファンを用いることは、例示するまでもなく従来周知の技術であるので、引用例記載の発明において、上記従来周知の技術を採用し、エネルギ発生装置としてファンを用い、本願発明の上記相違点に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることであり、その作用効果も予測し得る範囲内のものである。

5.むすび
したがって、本願発明は、引用例記載の発明及び周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する
 
審理終結日 2005-08-25 
結審通知日 2005-08-30 
審決日 2005-09-13 
出願番号 特願2000-163710(P2000-163710)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (E04B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 星野 聡志  
特許庁審判長 山田 忠夫
特許庁審判官 斎藤 利久
▲高▼橋 祐介
発明の名称 家屋側壁エネルギ装置  

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