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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 F25C
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F25C
管理番号 1125721
審判番号 不服2004-9954  
総通号数 72 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2002-06-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-05-13 
確定日 2005-11-04 
事件の表示 特願2001-347114「自動製氷機」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 6月26日出願公開、特開2002-181421〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成10年1月13日に出願した特願平10-17938号の一部を平成13年11月13日に新たな特許出願としたものであって、平成16年4月6日付けで拒絶査定がなされ(平成16年4月13日発送)、これに対し、同年5月13日に審判請求がなされるとともに、同年6月9日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成16年6月9日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成16年6月9日付けの手続補正を却下する。
[理由]
(1)補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「ステッピングモータによって回転される出力軸に支持されて回転駆動する製氷皿を備え、可燃性冷媒を使用する冷蔵庫用の自動製氷機において、上記製氷皿は、上記ステッピングモータによって少なくとも当該製氷皿に供給された液体を製氷させる製氷位置と製氷された氷を離氷させる離氷位置へ回動されると共に、給水された液体を製氷する上記製氷皿の製氷位置と、製氷された氷を上記製氷皿から離氷させる離氷位置と、上記製氷皿から離氷された氷が貯氷される貯氷容器内の貯氷量とを検出するスイッチ機構を備え、上記ステッピングモータは、離氷位置まで回動させるステップ数を設定され、上記ステップ数の途中で、上記スイッチ機構による貯氷量の検出信号が満氷であるときには、上記ステッピングモータを逆方向にステップ駆動することを特徴とする自動製氷機。」と補正された。
上記補正は、請求項1に記載した発明を特定する事項である「自動製氷機」について「可燃性冷媒を使用する冷蔵庫用の」との限定を付加するものであって、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項に適合するか)について、以下に検討する。
なお、本願は、特願平10-17938号の一部を新たな特許出願としたものであるが、「可燃性冷媒を使用する冷蔵庫用の自動製氷機」の点は、特願平10-17938号の願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものであるとは認められないので、本願は、分割出願の利益を享受することができず、現実の出願日である平成13年11月13日を基準として特許法第29条に係る判断をすべきものである。

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された特開平7-234050号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。イ.「【請求項1】製氷容器を前回の離氷の際、一番目回転方向の反対方向へ回転させた後、捩って離氷させる第1離氷段階と、再度上記製氷容器を上記第1離氷段階での回転方向の反対方向へ回転させた後、捩って離氷させる第2離氷段階を含んでなる製氷機制御方法。【請求項2】上記離氷は、製氷の終了後、氷貯蔵容器に氷の満たされている満氷状態であるかを感知して、満氷状態でないときに行われる請求項1に記載の製氷機制御方法。【請求項3】上記夫々の離氷段階後には、製氷容器を水平に保持させる請求項1に記載の製氷機制御方法。」(特許請求の範囲【請求項1】〜【請求項3】)
ロ.「【産業上の利用分野】この発明は、製氷機制御方法に関し、特に冷蔵庫用の製氷機により製氷された氷を製氷容器から確実に分離させて離氷の信頼性を高め、さらに製氷容器から氷を分離させる際に、分離された氷が氷貯蔵容器に均一な分布をもって貯蔵されるようにして氷貯蔵容器の氷貯蔵能力を向上させた製氷機の制御方法に関するものである。」(段落【0001】)
ハ.「【従来の技術】一般に、製氷機は、給水装置から製氷容器に水が供給されると、冷気を供給して水を冷却させて氷をつくり、製氷容器から氷を分離させて氷貯蔵容器に氷を貯蔵させる装置である。一方、上記製氷機には、氷貯蔵容器に氷の溢れるのを防止するための満氷感知装置が具えられる。この満氷感知装置は、離氷前に氷貯蔵容器に氷がいっぱいに満たされているかを感知するようになる。もし、満氷感知装置により満氷が感知されると、離氷が行われず、給水も出来ないようになる。」(段落【0002】、【0003】)
ニ.「【実施例】図1において、製氷容器20は水を貯蔵できる空間により仕切られている。上記複数個の空間には冷蔵室に位置した給水装置から定量の水が供給されたのち、冷気が供給されて氷結が行われる。この製氷容器26の中心部には回動軸12が通され製氷容器20は回動軸21を中心に回動される。また、底面には温度センサ(図示なし)が付着されている。この温度センサは製氷容器内の水温又は氷温を検出し、検出された水温又は、氷温は制御部10に入力される。制御部10は検出された温度により氷結の状態を判断する。制御部10の内部には、回動軸駆動用モータなどが具えられている。また、回動軸12の回転量を検出できる回転エンコーダが具えられている。この際、回動軸駆動用モータをステップインモータに取り替えると、回転エンコーダなしに回動軸12の回転量を感知できることは言うまでもない。制御部10の一側には満氷感知レバー50が設けられている。・・・。満氷感知レバー50は、制御部10の制御により上下に移動される。つまり、製氷容器20内の温度が結氷状態であると判断されると、制御部10は満氷感知レバー50を下側へ移動させる。この際、氷貯蔵容器40が満氷状態であれば、満氷感知レバー50が下側へと移動されずに、制御部10は満氷状態であると判断するようになる。この際、満氷状態であれば、制御部10は製氷容器20を回動させないようになり、満氷状態でなければ、制御部10は製氷容器20を回動させて、製氷容器20で製造された氷を氷貯蔵容器40に落下させる。」(段落【0012】〜【0017】)
ホ.「(実施例1)まず、図4及び図5に示す流れ図におけるごとく、製氷機に初期電源を入力すると、制御部10はステップ102(S102)に進んで給水を行う。すなわち、製氷容器20の水平可否をチェックし、水平を保持していなければ、制御部10内のモータを正逆回転して水平位置を合わせ、給水装置を制御して製氷容器20内に給水を行う。
」(段落【0023】)
ヘ.「このように、この発明の製氷機の制御方法は、製氷が終了されると、製氷容器を一定方向(例えば、右方向)に回転させるのだが、約128°回転したときから捩れが始まるようにし、約153°まで続けて回転させて氷を分離させる。その直後、次いで製氷容器を反転させて水平位置で停止するのではなく、左方向へ約153°回転させるのであるが、約128°回転した時から捩れを与えて、抜け出されていない氷があれば、そのものも分離させる。さらにまた、反転を行い水平位置に到達すると、停止し、給水動作への進行が続けられる。以後、次回の離氷時には、先に前回の右方を回転したため、今回は先に左方を回転する。つまり、製氷容器を左方へ約153°回転させるが、約128°回転した時から捩じれが始まるようにして一次分離を行い、再び製氷容器を反転して、右方へ約153°回転させるが、約128°の捩じれを与えて二次分離させて再び原位置に復帰させる。」(段落【0042】、【0043】)
ト.「さらに、この発明は、発明の範囲を逸脱せずに、種々の変形が実施できることは明らかである。とりわけ、この発明においては、製氷容器の回転及び捩れ角度を具体的に述べたが、本願の思想は上記実施例に限定されないのは言うまでもない。さらに、また製氷容器及び固定ブラケットの形、ストッパの位置など、製氷機の構成は、一実施例にすぎず、この発明の実施のための製氷機の構成は、種々の形が提供されるし、正方向は逆方向へ逆方向は正方向に代えてもこの発明の目的を達成しうるのはあきらかである。」(段落【0058】〜【0059】)
以上の記載及び図面によれば、引用例1には、
ステップインモータによって回転される回動軸に支持されて回転駆動する製氷容器を備えた冷蔵庫用の製氷機において、上記製氷容器は、上記ステップインモータによって少なくとも当該製氷容器に供給された水を製氷させる製氷位置と製氷された氷を離氷位置へ回動されると共に、給水された製氷容器の水平位置をチェックし、製氷された氷を上記製氷装置から離氷させる離氷位置を判断し、上記製氷容器から離氷された氷が貯氷される氷貯蔵容器内の貯氷量を満氷感知レバーを介して判断する制御部を備え、満氷状態であるときには製氷容器を回動させないことを特徴とする製氷機(以下、「引用例1発明」という。)が記載されている。
同じく、原査定の拒絶の理由に引用された特開平6-249556号公報(以下、「引用例2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
チ.「モータ(15)と、このモータ(15)の回転を減速してカム歯車(11)に伝達する手段(16、17、18、19)と、カム歯車(11)に設けた第1のカム(21)、第2のカム(22)および製氷皿(2)の駆動部(4)と、第1のカム(21)と係合する検氷レバー(12)と、第2のカム(22)に従動するスイッチ作動レバー(13)と、上記スイッチ作動レバー(13)の変位を検出するスイッチ(14)と、上記検氷レバー(12)に設けたスイッチ作動レバー(13)に対する変位阻止部(50)と、第1のカム(21)の回転初期に検氷レバー(12)の変位を許容する第1のカム(21)に形成した変位許容域(29)と、第2のカム(22)に形成した上記変位許容域(29)内と対応するスイッチ作動レバー(13)の変位許容域(32)およびカム歯車(11)の回転終期でのスイッチ作動レバー(13)の変位許容域(33)とを備えた製氷皿の駆動装置(1)。」(特許請求の範囲【請求項1】)
リ.「【実施例】図1および図2は、製氷皿の駆動装置1の全体的な構成を示している。製氷皿の駆動装置1は、製氷皿2を反転させるとともに、検氷バー3を揺動させるために、冷蔵庫の製氷室内で、貯氷容器の上に組み込まれる。製氷皿2は、長方形の上面開口型のものであり、対向辺の一方で製氷皿の駆動装置1の駆動部4に連結され、・・・(中略)・・・、内部の氷を離氷させ、下方の貯氷容器に落下させる。また上記検氷バー3は、駆動装置1の割り型のケース8、9の側方位置で、検氷軸10に取り付けられており、水平位置から必要な角度例えば最大動作角度37度程度回動することによって、貯氷室内の氷に当接または非当接となって、その量を検出する。」(段落【0005】〜【0007】)
ヌ.「上記スイッチ作動レバー13およびロックレバー25は、図8のように、共にケース8と一体のレバー軸34に対して回動自在に支持されており、それらの間に設けられた引きスプリング35によって互いに異なる回転方向に付勢されている。スイッチ作動レバー13は、先端部分で例えば永久磁石36を備えており、この永久磁石36の磁束をプリント基板37に取り付けられたホール素子などのスイッチ14に対応させている。検氷レバー12は、図3に示すように、一端で、ケース8と一体のレバー軸39に対して回動自在に支持されており、長孔40の部分で軸20と交差し、先端側の部分で直接、またはこの実施例に見られるように、スライダー41を介在させた状態で、検氷軸10に係り合っている。すなわち、スライダー41は、検氷レバー12に形成されたスライドガイド42の内部で移動可能な状態にはめ込まれており、スライダー41のスプリング受け44と検氷レバー12のスプリング受け45との間のスプリング43を介して一体化しており、先端で2つの係合突起46によって、検氷軸10と一体の係合片48と係り合っている。」( 段落【0012】〜【0013】)
ル.「次に、図10は、製氷皿の駆動装置1の一連の動作を示している。動作プログラムのからの周期的な動作指令または外部からの強制的な動作指令によって、コントローラ52は、駆動回路53を介してモータ15を必要なトルクで正転方向に駆動し、カム歯車11を図3、図6、図7、図8で反時計方向にゆっくりと回転させる。カム歯車11が170度回転するのに必要な時間は、約10秒程度に設定されている。カム歯車11およびその軸20と一体の駆動部4が図3などで反時計方向に回転することによって、製氷皿2は、ゆっくりと反転方向に回動する。これと同時に、第1のカム21が同じ方向に回転し、検氷レバー12のカムフォロアー28が引きスプリング49の弾力により、窪みすなわち変位許容域29に落ち込むため、検氷レバー12は、図3で、レバー軸39を中心として、時計方向に回動しスライダー41を介して、検氷軸10を図5で時計方向に回動させる。この検氷軸10の回転は、検氷バー3を図2で反時計方向に回動させる。貯氷量の不足時に、検氷バー3は、最大動作角度程度まで回動するため、検氷レバー12は、それと連動して、変位許容域29の深い位置まで変位し、図7や図8に示すように、変位阻止部50を変位阻止片51に接近する方向まで移動させる。しかし貯氷量の充足には、検氷バー3が氷に当たって途中で止まるため、検氷軸10は、満氷検出レベル以上回らない。このため検氷レバー12は、それと連動し、変位阻止部50を変位阻止片51に当接させる位置まで変位しない。」(段落【0017】〜【0019】)

以上の記載及び図面によれば、引用例2には、
モータによって回転される駆動部に支持されて回転駆動する製氷皿を備えた、冷蔵庫の製氷皿の駆動装置において、上記製氷皿は、上記モータによって少なくとも製氷位置と離氷位置へ回動されると共に、製氷位置と離氷位置と、貯氷室内の氷の量を検出する、カム歯車に操作されるスイッチ作動レバーと、同レバーの揺動に応じて信号を変化させるスイッチと、スイッチ作動レバーの揺動を禁止するように働く変位阻止部と、スイッチ作動レバーを揺動させるための力を与える引きスプリングとを備え、上記モータは、離氷位置まで回動される途中に、前記スイッチからの信号が満氷の検出を示すものであるときに、モータを逆転させる製氷皿の駆動装置(以下、「引用例2発明」という。)が記載されている。

また、本願の出願前に頒布された刊行物である特開平8-200944号公報(以下、「周知例1」という。)には、可燃性冷媒(「空気より重いプロパン、イソブタン等の可燃性冷媒」として記載。)を用いた冷蔵庫(「冷凍冷蔵庫」)が、同じく、本願の出願前に頒布された刊行物である特開平9-158838号公報(以下、「周知例2」という。)には、可燃性冷媒(「空気より重い可燃性ガス」として記載。)を用いた冷蔵庫(「冷凍冷蔵庫」)が記載されている。

(3)対比
そこで、本願補正発明と引用例1発明とを対比すると、引用例1発明の「ステップインモータ」は本願補正発明の「ステッピングモータ」に相当し、以下同様に「回動軸」は「出力軸」に、「製氷容器」は「製氷皿」に、「製氷機」は「自動製氷機」に、「供給された水」は「供給された液体」に、それぞれ相当するから、両者は、
ステッピングモータによって回転される出力軸に支持されて回転駆動する製氷皿を備えた冷蔵庫用の自動製氷機において、上記製氷皿は、上記ステッピングモータによって少なくとも当該製氷皿に供給された液体を製氷させる製氷位置と製氷された氷を離氷させる離氷位置へ回動される自動製氷機の転で一致し、次の点で相違している。

[相違点1]
本願補正発明では、可燃性冷媒を使用する冷蔵庫用の自動製氷機であるのに対し、引用例1発明では、冷蔵庫用の自動製氷機である点。
[相違点2]
本願補正発明では、給水された液体を製氷する上記製氷皿の製氷位置と、製氷された氷を上記製氷皿から離氷させる離氷位置と、上記製氷皿から離氷された氷が貯氷される貯氷容器内の貯氷量とを検出するスイッチ機構を備えているのに対し、引用例1発明では、製氷位置、離氷位置、満氷状態を制御部が判断するものであるが、該制御部が、スイッチ機構を具備するとの明示的記載がない点。
[相違点3]
本願補正発明では、ステッピングモータは、離氷位置まで回動させるステップ数を設定され、上記ステップ数の途中で、上記スイッチ機構による貯氷量の検出信号が満氷であるときには、上記ステッピングモータを逆方向にステップ駆動するものであるが、引用例1発明では、該構成についての記載がない点。
(4)判断
そこで、上記相違点について検討する。
まず、相違点1についてみると、本願出願前、可燃性冷媒を用いる冷蔵庫は、周知である(前記周知例1、周知例2参照。)。
そうすると、引用例1発明の冷蔵庫用の自動製氷機を、可燃性冷媒を使用する冷蔵庫用の自動製氷機とした点に、格別の困難性は、認められない。
次に、相違点2について検討する。
引用例2発明は、製氷位置と離氷位置と、貯氷室内の氷の量を検出する、カム歯車に操作されるスイッチ作動レバーと、同レバーの揺動に応じて信号を変化させるスイッチと、スイッチ作動レバーの揺動を禁止するように働く変位阻止部と、スイッチ作動レバーを揺動させるための力を与える引きスプリングとを備えるものである。
この発明における「スイッチ作動レバー、スイッチ、変位阻止部、引きスプリング」は、その機能からみて、本願補正発明の「スイッチ機構」に相当している。
引用例1発明及び引用例2発明は、同じ自動製氷機に属する発明であり、引用例1発明の制御部において、本願補正発明のように、スイッチ機構を具備するものとした点は、引用例1発明及び引用例2発明から、当業者が容易に想到しえたことである。
さらに、相違点3について検討する。
引用例2発明において、モータは、離氷位置まで回動される途中に、前記スイッチからの信号が満氷の検出を示すものであるときに、モータを逆転させるものである。この技術構成は、本願補正発明の、離氷位置まで回動させる途中で、スイッチ機構による貯氷量の検出信号が満氷であるときには、モータを逆方向に駆動する構成に相当している。
引用例1発明は、モータとしてステッピングモータを用いており、引用例1発明のモータにより、製氷皿が、離氷のための所定回転角度まで回転させるものであること(「2.(2)ヘ」参照。)からみて、ステッピングモータを用いた場合、離氷位置まで回動されるステップ数が設定されるものであると考えられる。
さらに、引用例1発明において、離氷前に貯氷量の検出が満氷であるとき(「離氷前に氷がいっぱいに満たされているかを感知」すると)、離氷が行われないようにするものが記載されている(「2.(2)ハ、ニ」参照。)。
そうすると、引用例1発明において、引用例2発明の技術構成を用いて、本願補正発明のように、ステッピングモータは、離氷位置まで回動させるステップ数を設定され、上記ステップ数の途中で、上記スイッチ機構による貯氷量の検出信号が満氷であるときには、上記ステッピングモータを逆方向にステップ駆動するものとした点は、引用例1発明及び引用例2発明から、当業者が容易に想到し得たことである。
また、本願補正発明の奏する作用効果をみても、引用例1発明、引用例2発明及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。
したがって、本願補正発明は、引用例1発明、引用例2発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであるから、特許法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
平成16年6月9日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は、平成16年3月5日付けの手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。
「ステッピングモータによって回転される出力軸に支持されて回転駆動する製氷皿を備えた自動製氷機において、上記製氷皿は、上記ステッピングモータによって少なくとも当該製氷皿に供給された液体を製氷させる製氷位置と製氷された氷を離氷させる離氷位置へ回動されると共に、給水された液体を製氷する上記製氷皿の製氷位置と、製氷された氷を上記製氷皿から離氷させる離氷位置と、上記製氷皿から離氷された氷が貯氷される貯氷容器内の貯氷量とを検出するスイッチ機構を備え、上記ステッピングモータは、離氷位置まで回動させるステップ数を設定され、上記ステップ数の途中で、上記スイッチ機構による貯氷量の検出信号が満氷であるときには、上記ステッピングモータを逆方向にステップ駆動することを特徴とする自動製氷機。 」

(1)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例、及び、その記載事項は、前記「2.(2)」に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明は、前記2.で検討した本願補正発明から「自動製氷機」の限定事項である「可燃性冷媒を使用する冷蔵庫用の」との構成を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成をすべて含み、さらに他の構成を付加したものに相当する本願補正発明が、「前記2.(4)」に記載したとおり、引用例1発明、引用例2発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例1発明及び引用例2発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1発明及び引用例2発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
そうすると、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-08-23 
結審通知日 2005-08-30 
審決日 2005-09-12 
出願番号 特願2001-347114(P2001-347114)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (F25C)
P 1 8・ 575- Z (F25C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 丸山 英行  
特許庁審判長 橋本 康重
特許庁審判官 今井 義男
岡本 昌直
発明の名称 自動製氷機  
代理人 アイアット国際特許業務法人  

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