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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A01D
管理番号 1125791
異議申立番号 異議2003-72525  
総通号数 72 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1995-03-07 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-10-09 
確定日 2005-09-05 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3396917号「コンバインの乗降装置」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3396917号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 1.手続きの経緯
特許第3396917号の請求項1に係る発明についての出願は、平成5年8月27日に特許出願され、平成15年2月14日にその特許権の設定登録がなされ、その後、セイレイ工業 株式会社 より特許異議の申立てがなされ、取消しの理由が通知され、その指定期間内である平成17年7月19日に訂正請求がなされたものである。
2.訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
特許権者が求めている訂正の内容は以下のa〜gのとおりである。
ア.訂正事項a
特許明細書の【特許請求の範囲】の欄の
「【請求項1】無限軌道帯式の走行装置6,6の上方に機台7を設け、該機台7の上部に脱穀装置8と穀物貯留装置9と操縦部10を設け、脱穀装置8の前方に刈取装置3を設け、前記操縦部10の座席32の前側下方で前記機台7より上方にステップ69を形成し、該ステップ69の外側下方に乗降用の補助ステップ83を設けたコンバインにおいて、前記ステップ69の外端部下方で機台7より上方の外側面84に開口部85を形成し、該外側面84より機体内側に設けた取付け部に回動自在に補助ステップ83を取付けて該補助ステップ83を前記開口部85内に入り込んで収納される収納状態と開口部85の外側下位で前記機台7より下方に張出す張出状態とに切換自在に設け、該補助ステップ83を前記収納状態と前記張出状態とに切換操作する操作具89,87を前記ステップ69より上方に設けたことを特徴とするコンバインの乗降装置。」を、
「【請求項1】 無限軌道帯式の走行装置(6,6)の上方に機台(7)を設け、該機台(7)の上部に脱穀装置(8)と穀物貯留装置(9)と操縦部(10)を設け、脱穀装置(8)の前方に刈取装置(3)を設け、前記操縦部(10)の座席(32)の前側下方で前記機台(7)より上方にステップ(69)を形成し、該ステップ(69)の外側下方に乗降用の補助ステップ(83)を設けたコンバインにおいて、前記ステップ(69)の外端部下方で機台(7)より上方の外側面(84)に開口部(85)を形成し、該外側面(84)より機体内側に設けた取付け部に移動自在に補助ステップ(83)を軸着して取付けて該補助ステップ(83)を前記開口部(85)内に入り込んで収納される収納状態と開口部(85)の外側下位で前記機台(7)より下方に張出す張出状態とに切換自在に設け、該補助ステップ(83)を前記収納状態側と前記張出状態側とに移動操作する操作具(89,87)を前記ステップ(69)より上方であって座席(32)よりも外側の位置で且つ座席(32)よりも低い位置に設け、該補助ステップ(83)の中間部に連結した操作具(89)を作業者が操縦部(10)に搭乗したまま上方向へ引き操作することによって補助ステップ(83)を収納状態側に移動させることができるように構成したことを特徴とするコンバインの乗降装置。」と訂正する。
イ.訂正事項b
特許明細書の段落番号【0006】の
「【課題を解決するための手段】
この発明は、上述の如き課題を解決するために、以下の様な技術的手段を講ずる。すなわち、無限軌道帯式の走行装置6,6の上方に機台7を設け、該機台7の上部に脱穀装置8と穀物貯留装置9と操縦部10を設け、脱穀装置8の前方に刈取装置3を設け、前記操縦部10の座席32の前側下方で前記機台7より上方にステップ69を形成し、該ステップ69の外側下方に乗降用の補助ステップ83を設けたコンバインにおいて、前記ステップ69の外端部下方で機台7より上方の外側面84に開口部85を形成し、該外側面84より機体内側に設けた取付け部に回動自在に補助ステップ83を取付けて該補助ステップ83を前記開口部85内に入り込んで収納される収納状態と開口部85の外側下位で前記機台7より下方に張出す張出状態とに切換自在に設け、該補助ステップ83を前記収納状態と前記張出状態とに切換操作する操作具89,87を前記ステップ69より上方に設けたことを特徴とするコンバインの乗降装置としたものである。」を、
「【課題を解決するための手段】
この発明は、上述の如き課題を解決するために、以下の様な技術的手段を講ずる。すなわち、無限軌道帯式の走行装置(6,6)の上方に機台(7)を設け、該機台(7)の上部に脱穀装置(8)と穀物貯留装置(9)と操縦部(10)を設け、脱穀装置(8)の前方に刈取装置(3)を設け、前記操縦部(10)の座席(32)の前側下方で前記機台(7)より上方にステップ(69)を形成し、該ステップ(69)の外側下方に乗降用の補助ステップ(83)を設けたコンバインにおいて、前記ステップ(69)の外端部下方で機台(7)より上方の外側面(84)に開口部(85)を形成し、該外側面(84)より機体内側に設けた取付け部に移動自在に補助ステップ(83)を軸着して取付けて該補助ステップ(83)を前記開口部(85)内に入り込んで収納される収納状態と開口部(85)の外側下位で前記機台(7)より下方に張出す張出状態とに切換自在に設け、該補助ステップ(83)を前記収納状態側と前記張出状態側とに移動操作する操作具(89,87)を前記ステップ(69)より上方であって座席(32)よりも外側の位置で且つ座席(32)よりも低い位置に設け、該補助ステップ(83)の中間部に連結した操作具(89)を作業者が操縦部(10)に搭乗したまま上方向へ引き操作することによって補助ステップ(83)を収納状態側に移動させることができるように構成したことを特徴とするコンバインの乗降装置としたものである。」と訂正する。
ウ.訂正事項c
明細書の段落番号【0007】の
「【作用】
上記構成としたコンバインの乗降装置は、ステップ69より上方に設けた操作具89,87を操縦者が操作することで、補助ステップ83が収納状態と張出状態とに切換わる。補助ステップ83は、外側面84より機体内側に設けた取付け部に回動自在に取付けられていて、収納状態では、ステップ69の外端部下方で機台7より上方の外側面84に形成した開口部85内に入り込んで収納され、張出状態では、開口部85の外側下位で機台7より下方に張出す。」を、
「【作用】
上記構成としたコンバインの乗降装置は、ステップ69より上方であって座席32よりも外側の位置で且つ座席32よりも低い位置に設けた操作具89,87を操縦者が操作することで、補助ステップ83が収納状態側と張出状態側とに移動する。補助ステップ83は、外側面84より機体内側に設けた取付け部に移動自在に軸着して取付けられていて、収納状態では、ステップ69の外端部下方で機台7より上方の外側面84に形成した開口部85内に入り込んで収納され、張出状態では、開口部85の外側下位で機台7より下方に張出す。」と訂正する。
エ.訂正事項d
明細書の段落番号【0008】の
「【発明の効果】
この発明は、上記のように、無限軌道帯式の走行装置6,6の上方に機台7を設け、該機台7の上部に脱穀装置8と穀物貯留装置9と操縦部10を設け、脱穀装置8の前方に刈取装置3を設け、前記操縦部10の座席32の前側下方で前記機台7より上方にステップ69を形成し、該ステップ69の外側下方に乗降用の補助ステップ83を設けたコンバインにおいて、補助ステップ83を収納状態と張出状態とに切換自在に設け、該補助ステップ83を前記収納状態と前記張出状態とに切換操作する操作具89,87を前記ステップ69より上方に設けたものなので、補助ステップ83を張出状態にすれば、操縦者がその補助ステップ83を利用してステップ69上へ楽に乗り降りでき、走行中は補助ステップ83を収納状態にしておけば、障害物と接触して損傷することが生じ難い。しかも、ステップ69上に乗り込んでからの補助ステップ83の収納状態と張出状態との切換操作が容易に行える。」を、
「【発明の効果】
この発明は、上記のように、無限軌道帯式の走行装置6,6の上方に機台7を設け、該機台7の上部に脱穀装置8と穀物貯留装置9と操縦部10を設け、脱穀装置8の前方に刈取装置3を設け、前記操縦部10の座席32の前側下方で前記機台7より上方にステップ69を形成し、該ステップ69の外側下方に乗降用の補助ステップ83を設けたコンバインにおいて、補助ステップ83を収納状態と張出状態とに切換自在に設け、該補助ステップ83を前記収納状態側と前記張出状態側とに移動操作する操作具89,87を前記ステップ69より上方であって座席32よりも外側の位置で且つ座席32よりも低い位置に設けたものなので、補助ステップ83を張出状態にすれば、操縦者がその補助ステップ83を利用してステップ69上へ楽に乗り降りでき、走行中は補助ステップ83を収納状態にしておけば、障害物と接触して損傷することが生じ難い。しかも、ステップ69上に乗り込んでからの補助ステップ83の収納状態側と張出状態側とへの移動操作が容易に行える。即ち、補助ステップ83の中間部に連結した操作具89を作業者が操縦部10に搭乗したまま上方向へ引き操作することによって補助ステップ83を収納状態側に移動させることができる。」と訂正する。
オ.訂正事項e
明細書の段落番号【0009】の
「また、前記ステップ69の外端部下方で機台7より上方の外側面84に開口部85を形成し、該外側面84より機体内側に設けた取付け部に回動自在に補助ステップ83を取付けて該補助ステップ83を前記開口部85内に入り込んで収納される収納状態と開口部85の外側下位で前記機台7より下方に張出す張出状態とに切換自在に設けたものなので、補助ステップ83を張出状態にしたときには、補助ステップ83が開口部85の外側下位に張り出し、且つ、機台7より下方に張出すので、地面から補助ステップ83への乗り降りが容易に行える。しかも、そのように設けたものでありながら、補助ステップ83は外側面84より機体内側に設けた取付け部に回動自在に取付けて、補助ステップ83の収納時には、ステップ69と機台7との間の外側面84に形成した開口部85内に入り込んで収納されるので、従来技術のように補助ステップとその取付け部が機体側面から外側方に大きく突出しないので、高畦や塀の近くで刈取作業走行をする場合に、機体を畦や塀に近寄せて刈取り作業走行することができ、また、作物の間を割って入って刈取作業走行をする場合に、補助ステップとその取付け部に作物がひっかかりにくくなって、刈取作業走行が適確に行える。」を、
「また、前記ステップ69の外端部下方で機台7より上方の外側面84に開口部85を形成し、該外側面84より機体内側に設けた取付け部に移動自在に補助ステップ83を軸着して取付けて該補助ステップ83を前記開口部85内に入り込んで収納される収納状態と開口部85の外側下位で前記機台7より下方に張出す張出状態とに切換自在に設けたものなので、補助ステップ83を張出状態にしたときには、補助ステップ83が開口部85の外側下位に張り出し、且つ、機台7より下方に張出すので、地面から補助ステップ83への乗り降りが容易に行える。しかも、そのように設けたものでありながら、補助ステップ83は外側面84より機体内側に設けた取付け部に移動自在に軸着して取付けて、補助ステップ83の収納時には、ステップ69と機台7との間の外側面84に形成した開口部85内に入り込んで収納されるので、従来技術のように補助ステップとその取付け部が機体側面から外側方に大きく突出しないので、高畦や塀の近くで刈取作業走行をする場合に、機体を畦や塀に近寄せて刈取り作業走行することができ、また、作物の間を割って入って刈取作業走行をする場合に、補助ステップとその取付け部に作物がひっかかりにくくなって、刈取作業走行が適確に行える。」と訂正する。
カ.訂正事項f
明細書の段落番号【0030】の
「また、前記操縦部10には、図9、図10に示す構成の乗降装置を設けている。即ち、操縦部10への乗り降りを容易にするために、補助ステップ83を設ける。該補助ステップ83は、その基部を前記ステップ69外側面84の内壁に軸着し、該外側面84に形成する開口部85から出し入れ回動自在とする。そして、前記補助ステップ83は、中間部に連結した収納ワイヤ86の引き操作により上方回動し、前記ステップ69下方に収納される。また、該補助ステップ83収納位置において、該補助ステップ83回動端部には、張出し操作レバー(操作具)87の下端部外側を当接させる。該張出し操作レバー87は、中間部を前記ステップ69下面に横軸軸着し、戻しスプリング88の引き力に抗して機体外側方へ回動操作可能に構成する。該張出し操作レバー87の機体外側方への回動操作により、該張出し操作レバー87下端部外側に当接していた前記補助ステップ83を外側へ押し、前記開口部85より外方へ張出し回動させる。これによって、該補助ステップ83は使用状態となる。尚、前記補助スッテプ83収納状態において、前記収納ワイヤ86のノブ(操作具)89は、前記スッテプ69より上方に設ける係止部材90に係止しておく。」を、
「また、前記操縦部10には、図9、図10に示す構成の乗降装置を設けている。即ち、操縦部10への乗り降りを容易にするために、補助ステップ83を設ける。該補助ステップ83は、その基部を前記ステップ69外側面84の内壁に軸着し、該外側面84に形成する開口部85から出し入れ回動自在とする。そして、前記補助ステップ83は、中間部に連結した収納ワイヤ86の引き操作により上方回動する。また、該補助ステップ83収納位置において、該補助ステップ83回動端部には、張出し操作レバー(操作具)87の下端部外側を当接させる。該張出し操作レバー87は、中間部を前記ステップ69下面に横軸軸着し、戻しスプリング88の引き力に抗して機体外側方へ回動操作可能に構成する。該張出し操作レバー87の機体外側方への回動操作により、該張出し操作レバー87下端部外側に当接していた前記補助ステップ83を外側へ押し、前記開口部85より外方へ張出し回動させる。これによって、該補助ステップ83は使用状態となる。尚、前記補助スッテプ83収納状態において、前記収納ワイヤ86のノブ(操作具)89は、前記スッテプ69より上方に設ける係止部材90に係止しておく。」と訂正する。
キ.訂正事項g
明細書の段落番号【0031】の
「以上の構成により、作業者が操縦部10に搭乗したままで、前記補助ステップ83を容易に出し入れ操作できるものである。」を、
「以上の構成により、作業者が操縦部10に搭乗したままで、前記補助ステップ83を容易に回動操作できるものである。」と訂正する。
(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
上記訂正事項aは、請求項1において、操作具(89,87)のステップ(69)上における車幅方向相対位置、高さ方向相対位置、及び操作具(89)の補助ステップ(83)に対する連結位置を付加限定するものであり、また、操作具(89,87)による操作が、収納状態又は張出状態の状態への操作としていたのを、収納状態側又は張出状態側への移動操作に留めたものであり、願書に添付した明細書の段落番号【0030】及び【図9】、【図10】に記載されている事項か、又は記載されている事項に合致させるものであるから、特許請求の範囲の減縮又は明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当し、また、上記訂正事項b〜gは、上記訂正事項aと整合を図るものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当し、いずれも、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
(3)むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号。以下「平成6年改正法」という。)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年改正法による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
3.特許異議の申立てについて
(1)申立ての理由の概要
特許異議申立人 セイレイ工業 株式会社 は、
甲第1号証
証拠の表示:実開昭62-151146号公報
添付の証拠:実願昭61-40226号(実開昭62-151146号)のマイクロフイルム(刊行物a)
甲第1号証の1:特開昭53-2822号公報(刊行物b)
甲第2号証
証拠の表示:実開平5-5588号公報
添付の証拠:実願平3-59661号(実開平5-5588号)のCD-ROM(刊行物c)
甲第3号証
証拠の表示:実開昭63-72134号公報
添付の証拠:実願昭61-166442号(実開昭63-72134号)のマイクロフイルム(刊行物d)
甲第3号証の1
証拠の表示:実願昭61-20397号(実開昭62-131944号)のマイクロフイルム(刊行物e)
添付の証拠:実開昭62-131944号公報
甲第3号証の2
証拠の表示:実願昭58-115669号(実開昭60-23447号)のマイクロフイルム(刊行物f)
添付の証拠:実開昭60-23447号公報
甲第4号証
証拠の表示:実願昭62-172084(実開平1-76344号)のマイクロフイルム(刊行物g)
添付の証拠:実開平1-76344号公報
甲第4号証の1
証拠の表示:実願昭59-4847号(実開昭60-115755号)のマイクロフイルム(刊行物h)
添付の証拠:実開昭60-115755号公報
甲第4号証の2
証拠の表示:実願昭61-157462号(実開昭63-63235号)のマイクロフイルム(刊行物i)
添付の証拠:実開昭63-63235号公報
甲第4号証の3
証拠の表示:実願昭63-146143号(実開平2-65645号)のマイクロフイルム(刊行物j)
添付の証拠:実開平2-65645号公報
を引用、提出して、
特許第3396917号の請求項1に係る発明は、本件出願前に日本国内において頒布された刊行物に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることが出来ないものであって、請求項1に係る発明についての特許は、拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものであるから特許を取り消すべき旨主張している。
(2)請求項1に係る発明
上記2.で示したように上記訂正が認められるから、本件特許第3396917号の請求項1に係る発明は、上記訂正請求に係る訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
「【請求項1】 無限軌道帯式の走行装置(6,6)の上方に機台(7)を設け、該機台(7)の上部に脱穀装置(8)と穀物貯留装置(9)と操縦部(10)を設け、脱穀装置(8)の前方に刈取装置(3)を設け、前記操縦部(10)の座席(32)の前側下方で前記機台(7)より上方にステップ(69)を形成し、該ステップ(69)の外側下方に乗降用の補助ステップ(83)を設けたコンバインにおいて、前記ステップ(69)の外端部下方で機台(7)より上方の外側面(84)に開口部(85)を形成し、該外側面(84)より機体内側に設けた取付け部に移動自在に補助ステップ(83)を軸着して取付けて該補助ステップ(83)を前記開口部(85)内に入り込んで収納される収納状態と開口部(85)の外側下位で前記機台(7)より下方に張出す張出状態とに切換自在に設け、該補助ステップ(83)を前記収納状態側と前記張出状態側とに移動操作する操作具(89,87)を前記ステップ(69)より上方であって座席(32)よりも外側の位置で且つ座席(32)よりも低い位置に設け、該補助ステップ(83)の中間部に連結した操作具(89)を作業者が操縦部(10)に搭乗したまま上方向へ引き操作することによって補助ステップ(83)を収納状態側に移動させることができるように構成したことを特徴とするコンバインの乗降装置。」
(3)刊行物
刊行物a:実願昭61-40226号(実開昭62-151146号)のマイクロフイルムには、
「本考案はステップ、‥‥‥をフレームに対して移動可能に装着し‥‥‥た乗用農機に関する。」(第1頁第12〜16行。)、「デッキ6の下部にはサイドパネル15の切欠窓15aを出入口とする収納部を設けてあり、‥‥‥ステップ16を抜き差し可能に嵌合してあり、」(第5頁第4〜7行。)、「ステップ16が‥‥‥サイドパネル15より外側方へ突出し、‥‥‥ステップ16に片足を掛けて乗車することができる。」(第6頁第3〜7行。)、「ステップ16はその一側を機台3上に水平な突出姿勢と、上方へ回動した収納姿勢になるように支軸40で支持されており、」(第9頁第7〜9行。)、「鎖線で示すように起立して収納されていたステップ16が外側方へ下降回動して水平になるからこの状態で乗降し、」(第10頁第2〜4行。)
と記載されている。
刊行物b:特開昭53-2822号公報には、
「本発明は、乗降用ステップを装備した作業車輌に関し、」(第1頁左下欄第12,13行。)、「操縦者の乗降用のステップ(10)を設けてある。」(第2頁左上欄第5、6行。)、「このステップ(10)を機体(3)に上下揺動自在に装着し、‥‥‥ステップ(10)が‥‥‥機体外側に突出して使用状態となり、‥‥‥ステップ(10)が機体側に格納されるように構成され、」(第2頁左上欄第7〜20行。)
と記載されている。
刊行物c:実願平3-59661号(実開平5-5588号)のCD-ROMには、
「この考案は運転席へ乗降する際に使用するフォークリフトトラックのステップ装置に関する。」(第4頁第4,5行。)、「車体の側面に形成された開口部内に格納され、かつ下端側がピンにより車体に回動自在に支承されたステップ板」(第4頁第25,26行。)、「ステップ板をピンを中心に回動させて、ステップ板上端を車体の側方へ突出させる」(第4頁第28,29行。)、「車体1の側面に穿設された角形の開口部1a内に、開口部1aよりやや大きさの小さいステップ板6が設けられている。」(第5頁第13,14行。)、「ステップ板6は‥‥‥ほぼへ字形に屈曲されていて、屈曲部よりやや下側が車体1の内側に突設されてブラケット1bにピン7により枢着されていて、このピン7を中心にステップ板6が回動自在となっている。」(第5頁第15〜17行。)、「ステップ板6が開口部1a内の格納位置に停止されている。」(第5頁第20,21行。)、「ステップ装置5を使用しないときには‥‥‥ステップ板6が図3の格納位置に収容されている」(第6頁第6,7行。)、「運転席2へ乗降する場合は、‥‥‥ステップ板6が‥‥‥図4に示す位置へ回動されるので、このステップ板6を使用して運転席2へ乗降する」(第6頁第9〜13行。)
と記載されている。
刊行物d:実願昭61-166442号(実開昭63-72134号)のマイクロフイルムには、
「本考案は、高い運転ステップに乗降する際に使用できるとともに乗車してからは収納したり展開させることができるようにした移動作業機の運転席用補助ステップに関する。」(第1頁第18行〜第2頁第1行。)、「補助ステップを上方側に良好に収納したり、また、展開させることができるようにしたものであり、そのため、運転ステップの外側部下方には補助ステップの一端部を垂下状態から起立状態に回動できるように枢着し、」(第2頁第19行〜第3頁第4行。)、「ステップ(16)の下方両側となる側板(2a)の下端側外側方に突設した両支持片(17a)(17b)に、補助ステップ(3)の一端部両側をピン(18a)(18b)を介しそれぞれ枢着し、」(第5頁第2〜5行。)、「補助ステップ(3)が側板(2a)の下部より垂下する状態で、オペレータはステップ(3b)(3a)(16)に足を載せて運転ステップ(2)に乗降できることになる。」(第5頁第18行〜第6頁第1行。)、「第9図および第10図に示すように、補助ステップ(3)全体は上方に引き上げられて側板(2a)の外側方にそうように収納されることになる。」(第6頁第10〜12行。)、「補助ステップ(3)はピン(18a)(18b)中心に下方に回動して、前記のとおり垂下状態に展開されることになる。」(第6頁第16〜18行。)
と記載されている。
刊行物e:実願昭61-20397号(実開昭62-131944号)のマイクロフイルムには、
「本考案は、農用車両の補助ステップに関する。」(第1頁第13行。)、「第1図において、13はコ字形状のブラケットで、前記車体フレーム4の外側面に取付けられている。このブラケット13の両端にそれぞれ支持ブラケット14が取付けられている。各支持ブラケット14には斜め上下方向に長径の長孔15‥‥‥が形成されている。この両支持ブラケット14の内方には補助ステップ12の一対のステー17が位置されている。」(第3頁第15行〜第4頁第2行。)、「ステー17は第1図に実線で示す下方位置では、メインステップ11よりも下方に延出するものとされ、その下端には両ステー17を連結するように踏部18が取付けられ‥‥‥ている。」(第4頁第3〜8行。)、「21は支軸であって、両支持ブラケット14の長孔15に長径方向に移動自在かつ軸中心に回転自在に挿通され、さらに、両ステー17に貫通されて支持されている。これにより、補助ステップ12は上下往復動自在かつ横軸中心に揺動自在とされている。」(第4頁第9〜13行。)、「支軸21が支持ブラケット14の長孔15の上端に位置するまで補助ステップ12を直線的に引き上げると共に、支軸21中心に補助ステップ12を揺動させる。これにより、第1図に仮想線で示すように補助ステップ12はメインステップ11上に引き上げられた上方位置とされる。」(第5頁第3〜8行。)、「補助ステップ12は下方位置においては乗降用に供され、上方位置においては、メインステップ11よりも上方にあるため作物を傷付けることがないものとされている」(第5頁第12〜15行。)
と記載されている。
刊行物f:実願昭58-115669号(実開昭60-23447号)のマイクロフイルムには、
「この考案は、キャブオーバ型車のステップ装置の改良に関する。」(第1頁第13,14行。)、「12はシャシフレーム4の前端部側面に固着されキャブ6の乗降口8の下方にまで延びたサポートメンバ、14はサポートメンバ12に、乗降口8の下方に位置しかつ車両長手方向をほぼ軸線とするピン16によって上端部を回動自在に支持されたステップである。このステップ14は、第1図ないし第3図に示しているように、ステップ面14aおよび14bが乗降口8の下方にかつキャブ6の側面よりも車巾方向外方に突出した使用位置と、第4図に示しているように該使用位置から下端を車巾方向内方に向けて回動させキャブ6の下方に位置する格納位置とに変位可能である。」(第3頁第11行〜第4頁第4行。)
と記載されている。
刊行物g:実願昭62-172084(実開平1-76344号)のマイクロフイルムには、
「この考案は、産業車両の乗降用ステップに係り、‥‥‥収納式乗降用ステップに関するものである。」(第2頁第4〜7行。)、「フレーム1に切欠き18を設け、この切欠き18にステップ開閉用回転軸3を有する上段ステップ2と、回転軸6を有する下段ステップ5とを、それぞれの回転軸3及び6を介し、フレーム1側で支持させ取付ける。」(第4頁第9〜13行。)、「オペレータが産業車両から降りる場合‥‥‥上段ステップ2と下段ステップ5とは、‥‥‥2点鎖線で示したように開くことになる。」(第5頁第14〜19行。)、「産業車両の乗降用ステップとして乗降時必要な時に、‥‥‥上下各ステップを‥‥‥同時に開き、それ以外の場合には‥‥‥各ステップをフレームの切欠き内部に収納することができる。」(第6頁第20行〜第7頁第5行。)
と記載されている。
刊行物h:実願昭59-4847号(実開昭60-115755号)のマイクロフイルムには、
「本考案はバス、特に大型観光バスに具備して有用な乗降用補助ステップに関するものである。」(第1頁第13,14行。)、「図中4は車両の床面を示し、‥‥‥この床面4の下部にリベット5、5を用いて固着した一対のブラケット6、6に対して一対の可動杆7、7がピン8、8を用いて軸着されている。」(第3頁第13〜17行。)、「前記可動杆7、7の下端部には車外へ突出するプレート11が装着されており、該プレート11は乗員乗降時の補助ステップとして機能する。」(第3頁第20行〜第4頁第3行。)、「補充ステップとして機能するプレート11は車両の走行中は車両床面の直下に折りたたんだ状態で収納されており、一方車両が停車して乗員が乗降する際には、‥‥‥可動杆7がピン8を回動中心として回動し、該可動杆7の下端部に固定されたプレート11が車両本体の外側へ突出して固定されることになり、補充ステップとして使用することが可能となる。」(第5頁第10〜18行。)
と記載されている。
刊行物i:実願昭61-157462号(実開昭63-63235号)のマイクロフイルムには、
「この考案は、‥‥‥車両に設けられる車両のステップ構造の改良に関する。」(第1頁第14〜16行。)、「車体1にはその左右側部にステップ9,9が設けられている。このステップ9はその前後方向における端部中央に第1のヒンジ10,10が設けられている。そして第1のヒンジ10,10によって図示しないブラケットに回転自在に枢支されている。ここでブラケットの上部は車体1の下面に固定されている。」(第5頁第4〜11行。)、「第1図において上記ステップ9は水平状態であり、乗降のために使用可能な状態である。つまり、上記ストッパ14によってステップ9の車幅方向外側端が必要以上に降下しないように規制されている。」(第7頁第14〜18行。)、「ステップ9の車幅方向外側端は引上げられる。」(第8頁第6,7行。)、「ステップ9が回動して車体幅より内側へ退避させられ第4図に示される状態となる。」(第8頁第12〜14行。)、「乗降時には‥‥‥ステップ9の外側端が下降して第1図に示されるように乗降可能な状態となる。」(第8頁第15行〜第9頁第2行。)
と記載されている。
刊行物j:実願昭63-146143号(実開平2-65645号)のマイクロフイルムには、
「本考案は‥‥‥格納及びセットが可能な車両等の格納式ステップに関するものである。」(第1頁第16〜19行。)、「本考案の車両等の格納式ステップは、‥‥‥格納フレーム内に格納又は車外にセットされるステップとから形成されている。」(第3頁第2〜10行。)、「ステップ1はセット時においては、縦フレーム15の下端が地面に近接するように延設してあり、一対の縦フレーム15間に数段のステップ板11、12、13を設け、また、この縦フレーム15の上端背面には取付板14を設け、この取付板14を格納フレーム6と平行な横フレーム62に、ステップ1上端が車両側面8より外側に配置されるように軸着aしてある。」(第5頁第18行〜第6頁第5行。)
と記載されている。
(4)対比・判断
請求項1に係る発明(以下、本件発明という。)は、「コンバインの乗降装置」に関するものであって、「ステップ(69)の外端部下方で機台(7)より上方の外側面(84)に開口部(85)を形成し、該外側面(84)より機体内側に設けた取付け部に移動自在に補助ステップ(83)を軸着して取付けて該補助ステップ(83)を前記開口部(85)内に入り込んで収納される収納状態と開口部(85)の外側下位で前記機台(7)より下方に張出す張出状態とに切換自在に設け」ることを構成要件の一部としている。
すなわち、補助ステップが、収納状態と張出状態とに切換えられる境界面となる「外側面に開口部が形成され」ていて、開口部を通じて出し入れされ、
収納状態で「外側面より機体内側に設けた取付け部に軸着して、開口部内に入り込んで収納され」、
張出状態で「開口部の外側下位で機台より下方に張出す」ものである。
そこで、この点について刊行物a〜刊行物jを見てみる。
刊行物aについて:(抜き差しするもの)
刊行物aに記載されたものの、第1図、第2図及び第3図に示される「収納部に抜き差し可能に嵌合したステップ16」は、「外側面に開口部が形成され」ているが、横に引くだけの構成であり、「外側面より機体内側に設けた取付け部に軸着して、開口部内に入り込んで収納され」る構成も、「開口部の外側下位で機台より下方に張出す」構成も、いずれの構成も備えていない。
刊行物aについて:(軸着部の上に起立した部分を水平に倒すもの)
刊行物aに記載されたものの、第10図及び第11図に示される「一側を機台3上に水平な突出姿勢と、上方へ回動した収納姿勢になるように支軸40で支持したステップ16」は、「外側面に開口部が形成され」、「外側面より機体内側に設けた取付け部に軸着して、開口部内に入り込んで収納され」る構成を備えているが、水平に張り出すのが揺動の限界であるから、「開口部の外側下位で機台より下方に張出す」構成は備えていない。
刊行物bについて
刊行物bに記載されたものの「機体(3)に上下揺動自在に装着して、機体(3)外側に突出して使用状態となり、機体側に格納されるステップ(10)」は、第1図及び第2図を見て、「外側面に開口部が形成され」、「外側面より機体内側に設けた取付け部に軸着して、開口部内に入り込んで収納され」る構成を備えているが、水平に張り出すのが揺動の限界であるから、「開口部の外側下位で機台より下方に張出す」構成は備えていない。
刊行物cについて
刊行物cに記載されたものの「車体1の側面に形成された開口部1a内に格納され、かつ下端側がピン7により車体に回動自在に支承されたステップ板6」は、図1、図3、及び図4を見て、「外側面に開口部が形成され」、「外側面より機体内側に設けた取付け部に軸着して、開口部内に入り込んで収納され」る構成を備えているが、水平に張り出すのが揺動の限界であるから、「開口部の外側下位で機台より下方に張出す」構成は備えていない。
刊行物dについて
刊行物dに記載されたものは、第1図、第3図、第4図、第5図、及び第10図を見て、枢支部を有し、起立状態で収納し、垂下状態で展開されるものであるが、これらは、「側板(2a)の下端側外側方に補助ステップ(3)を枢着し」て行われる作用であって、開口部を通じて出し入れし、収納又は展開するものではない。刊行物dは、刊行物dに描かれた側板(2a)の箇所以外に側板の位置を画定し、開口部を形成することを示唆しない。また、刊行物dに記載されたような「補助ステップ」を、開口部を通じて出し入れする他の例もない。
刊行物eについて
刊行物eに記載されたものは、第1図、第2図、及び第3図を見て、支軸21を有し、上下往復動自在かつ横軸中心に揺動自在とされ、乗降用の下方位置、退避用の上方位置に操作されるものであるが、これらは、第1図を見て、メインステップ11の車幅方向外端の外方から上方にかけて行われる作用であって、開口部を通じて出し入れし、収納又は展開するものではない。刊行物eは、刊行物eに描かれたメインステップ11の箇所以外にメインステップの位置を画定し、メインステップの外端に沿って開口部を形成することを示唆しない。また、刊行物eに記載されたような「補助ステップ」を、開口部を通じて出し入れする他の例もない。
刊行物fについて
刊行物fには、外側面も、開口部も記載されていないが、刊行物fに記載されたものは、第3図及び第4図を見て、サポートメンバ12の車幅方向外端に、外側面を画定し、開口部の形成を想定することが容易にできる。刊行物fに記載されたものが、そのような構成を備えているとした場合、刊行物fに記載されたものの「車両長手方向をほぼ軸線とするピン16によって上端部を回動自在に支持し、車巾方向外方に突出した使用位置と、使用位置から下端を車巾方向内方に向けて回動させ、キャブ6の下方に位置する格納位置とに変位可能に構成したステップ14」は、「外側面より機体内側に設けた取付け部に軸着して、開口部内に入り込んで収納され」る構成を備えているが、ステップ14が開口部を越えて開口部の外方へ回動するにつれ、ステップ14の下位高さは上昇していくから、「開口部の外側下位で機台より下方に張出す」構成は備えていない。
刊行物gについて
刊行物gに記載されたものの「フレーム1に切欠き18を設け、この切欠き18に上段ステップ2と下段ステップ5とを、それぞれの回転軸3及び回転軸6を介して、フレーム1側に支持させて取付け、乗降時に上下各ステップを同時に開き、それ以外の場合には各ステップをフレームの切欠き内部に収納する乗降用ステップ」は、第1図、第2図、及び第3図を見て、「外側面に開口部が形成され」、「外側面より機体内側に設けた取付け部に軸着して、開口部内に入り込んで収納され」る構成を備えているが、水平に張り出すのが揺動の限界であるから、「開口部の外側下位で機台より下方に張出す」構成は備えていない。
刊行物hについて
刊行物hには、外側面も、開口部も記載されていないが、刊行物hに記載されたものは、第2図、第3図、第4図、及び第5図を見て、床面4の車幅方向外端に、外側面を画定し、開口部の形成を想定することが容易にできる。刊行物hに記載されたものが、そのような構成を備えているとした場合、刊行物hに記載されたものの「床面4の下部に固着した一対のブラケット6,6に対して一対の可動杆7,7が軸着されていて、可動杆7,7の下端部には車外へ突出するプレート11が装着されており、プレート11は車両の走行中は車両床面の直下に折りたたんだ状態で収納されており、車両が停車して、乗員が乗降する際には、可動杆7,7が回動し、該可動杆7,7の下端部に固定されたプレート11が車両本体の外側へ突出して固定されることになる補助ステップ」は、「外側面より機体内側に設けた取付け部に軸着して、開口部内に入り込んで収納され」る構成を備えているが、可動杆7,7の揺動の限界でプレート11が水平に張り出しているから、「開口部の外側下位で機台より下方に張出す」構成は備えていない。
刊行物iについて
刊行物iには、外側面も、開口部も記載されていないが、刊行物iに記載されたものは、第1図、第3図、及び第4図を見て、車体1の車幅方向外端に、外側面を画定し、開口部の形成を想定することが容易にできる。刊行物iに記載されたものが、そのような構成を備えているとした場合、刊行物iに記載されたものの「車体1の下面に固定されたブラケットに、ヒンジ10,10により、その前後方向における端部中央が回転自在に枢支されていて、乗降時にはその外側端が下降して、水平状態のときに乗降のために使用され、その外側端を引き上げ、回動させて、車体幅より内側に退避させるステップ9」は、「外側面より機体内側に設けた取付け部に軸着して、開口部内に入り込んで収納され」る構成を備えているが、水平に張り出すのが揺動の限界であるから、「開口部の外側下位で機台より下方に張出す」構成は備えていない。
刊行物jについて
刊行物jの車両側面8に開口部は記載されていないが、刊行物jに記載されたものは、第1図を見て、車両側面8に開口部の形成を想定することが容易にできる。刊行物jに記載されたものが、そのような構成を備えているとした場合、刊行物jに記載されたものの「一対の縦フレーム15間に、数段のステップ板11,12,13を設け、また、この縦フレーム15の上端背面に取付板14を設け、この取付板14を格納フレーム6と平行な横フレーム62に、上端がセット時車両側面8より外側に配置されるように軸着aしてあり、格納フレーム内に格納又は車外にセットされるステップ1」は、「外側面より機体内側に設けた取付け部に軸着して、開口部内に入り込んで収納され」る構成を備えているが、ステップ1が開口部を越えて開口部の外方へ回動するにつれ、ステップ1の下位高さは上昇していくから、「開口部の外側下位で機台より下方に張出す」構成は備えていない。
以上のとおり、上記刊行物a〜刊行物jに記載された補助ステップは、その補助ステップを、外側板に開口部を形成し、開口部を通じて出し入れすることに想い至ることが容易でないものか、或いは、外側板に開口部を形成し、開口部を通じて出し入れするものである場合か、又は外側板に開口部を形成し、開口部を通じて出し入れすることが容易に想定できるものである場合、本件発明の補助ステップの動きを実現できないものである。
したがって、本件発明は、上記刊行物a〜刊行物jに記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(5)むすび
以上のとおりであって、請求項1に係る発明についての特許は、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては取り消すことはできない。
また、他に請求項1に係る発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
したがって、請求項1に係る発明についての特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものではない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
コンバインの乗降装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】無限軌道帯式の走行装置(6,6)の上方に機台(7)を設け、該機台(7)の上部に脱穀装置(8)と穀物貯留装置(9)と操縦部(10)を設け、脱穀装置(8)の前方に刈取装置(3)を設け、前記操縦部(10)の座席(32)の前側下方で前記機台(7)より上方にステップ(69)を形成し、該ステップ(69)の外側下方に乗降用の補助ステップ(83)を設けたコンバインにおいて、前記ステップ(69)の外端部下方で機台(7)より上方の外側面(84)に開口部(85)を形成し、該外側面(84)より機体内側に設けた取付け部に移動自在に補助ステップ(83)を軸着して取付けて該補助ステップ(83)を前記開口部(85)内に入り込んで収納される収納状態と開口部(85)の外側下位で前記機台(7)より下方に張出す張出状態とに切換自在に設け、該補助ステップ(83)を前記収納状態側と前記張出状態側とに移動操作する操作具(89,87)を前記ステップ(69)より上方であって座席(32)よりも外側の位置で且つ座席(32)よりも低い位置に設け、該補助ステップ(83)の中間部に連結した操作具(89)を作業者が操縦部(10)に搭乗したまま上方向へ引き操作することによって補助ステップ(83)を収納状態側に移動させることができるように構成したことを特徴とするコンバインの乗降装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、コンバインの操縦部に乗り降りするための補助ステップを設けたコンバインの乗降装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、実開昭63-72134号公報に示されるように、コンバインの操縦部のステップの外側下方に乗降用の補助ステップを、機体側面に添わせる収納状態と機体側面から張出す張出状態とに切換自在に設けたものがある。
【0003】
この補助ステップを張出状態にすれば、操縦者がその補助ステップを利用してステップ上へ楽に乗り降りでき、しかも、走行中は補助ステップを収納状態にしておけば、障害物と接触して損傷することが生じ難い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術は、補助ステップを機体側面から外方へ突出する取付け部に回動自在に取付けて、補助ステップを機体側面に添わせる収納状態と機体側面から張出す張出状態とに移動自在に設けたものであり、収納状態では、補助ステップ自体と補助ステップの取付け部とが機体側面から突出した状態となっている。
【0005】
このため、高畦や塀の近くで刈取作業走行をする場合、補助ステップを収納していても補助ステップとその取付け部が機体側面から外側方に突出しているので、それが邪魔になって機体を畦や塀に近寄せて刈取り作業走行することができにくく、よって、刈り残しが生じることがある。また、作物の間を割って入って刈取作業走行をする場合には、機体側面から外側方に突出する補助ステップとその取付け部に作物をひっかけてしまい、適確な刈取作業走行が行い難い問題がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上述の如き課題を解決するために、以下の様な技術的手段を講ずる。すなわち、無限軌道帯式の走行装置(6,6)の上方に機台(7)を設け、該機台(7)の上部に脱穀装置(8)と穀物貯留装置(9)と操縦部(10)を設け、脱穀装置(8)の前方に刈取装置(3)を設け、前記操縦部(10)の座席(32)の前側下方で前記機台(7)より上方にステップ(69)を形成し、該ステップ(69)の外側下方に乗降用の補助ステップ(83)を設けたコンバインにおいて、前記ステップ(69)の外端部下方で機台(7)より上方の外側面(84)に開口部(85)を形成し、該外側面(84)より機体内側に設けた取付け部に移動自在に補助ステップ(83)を軸着して取付けて該補助ステップ(83)を前記開口部(85)内に入り込んで収納される収納状態と開口部(85)の外側下位で前記機台(7)より下方に張出す張出状態とに切換自在に設け、該補助ステップ(83)を前記収納状態側と前記張出状態側とに移動操作する操作具(89,87)を前記ステップ(69)より上方であって座席(32)よりも外側の位置で且つ座席(32)よりも低い位置に設け、該補助ステップ(83)の中間部に連結した操作具(89)を作業者が操縦部(10)に搭乗したまま上方向へ引き操作することによって補助ステップ(83)を収納状態側に移動させることができるように構成したことを特徴とするコンバインの乗降装置としたものである。
【0007】
【作用】
上記構成としたコンバインの乗降装置は、ステップ69より上方であって座席32よりも外側の位置で且つ座席32よりも低い位置に設けた操作具89,87を操縦者が操作することで、補助ステップ83が収納状態側と張出状態側とに移動する。補助ステップ83は、外側面84より機体内側に設けた取付け部に移動自在に軸着して取付けられていて、収納状態では、ステップ69の外端部下方で機台7より上方の外側面84に形成した開口部85内に入り込んで収納され、張出状態では、開口部85の外側下位で機台7より下方に張出す。
【0008】
【発明の効果】
この発明は、上記のように、無限軌道帯式の走行装置6,6の上方に機台7を設け、該機台7の上部に脱穀装置8と穀物貯留装置9と操縦部10を設け、脱穀装置8の前方に刈取装置3を設け、前記操縦部10の座席32の前側下方で前記機台7より上方にステップ69を形成し、該ステップ69の外側下方に乗降用の補助ステップ83を設けたコンバインにおいて、補助ステップ83を収納状態と張出状態とに切換自在に設け、該補助ステップ83を前記収納状態側と前記張出状態側とに移動操作する操作具89,87を前記ステップ69より上方であって座席32よりも外側の位置で且つ座席32よりも低い位置に設けたものなので、補助ステップ83を張出状態にすれば、操縦者がその補助ステップ83を利用してステップ69上へ楽に乗り降りでき、走行中は補助ステップ83を収納状態にしておけば、障害物と接触して損傷することが生じ難い。しかも、ステップ69上に乗り込んでからの補助ステップ83の収納状態側と張出状態側とへの移動操作が容易に行える。即ち、補助ステップ83の中間部に連結した操作具89を作業者が操縦部10に搭乗したまま上方向へ引き操作することによって補助ステップ83を収納状態側に移動させることができる。
【0009】
また、前記ステップ69の外端部下方で機台7より上方の外側面84に開口部85を形成し、該外側面84より機体内側に設けた取付け部に移動自在に補助ステップ83を軸着して取付けて該補助ステップ83を前記開口部85内に入り込んで収納される収納状態と開口部85の外側下位で前記機台7より下方に張出す張出状態とに切換自在に設けたものなので、補助ステップ83を張出状態にしたときには、補助ステップ83が開口部85の外側下位に張り出し、且つ、機台7より下方に張出すので、地面から補助ステップ83への乗り降りが容易に行える。しかも、そのように設けたものでありながら、補助ステップ83は外側面84より機体内側に設けた取付け部に移動自在に軸着して取付けて、補助ステップ83の収納時には、ステップ69と機台7との間の外側面84に形成した開口部85内に入り込んで収納されるので、従来技術のように補助ステップとその取付け部が機体側面から外側方に大きく突出しないので、高畦や塀の近くで刈取作業走行をする場合に、機体を畦や塀に近寄せて刈取り作業走行することができ、また、作物の間を割って入って刈取作業走行をする場合に、補助ステップとその取付け部に作物がひっかかりにくくなって、刈取作業走行が適確に行える。
【0010】
【発明の実施の形態】
この発明の実施の形態を、コンバインを例示して詳細に説明する。
コンバインの機体は、無限軌道帯式の走行装置6,6を左右に設けた構成の走行装置1の上方に機台7を設け、該機台7の上部に、脱穀装置8と穀粒貯留装置9とを並設し、更に操縦部10、エンジン11等を設けて構成する。前記脱穀装置8の前方には刈取装置3を昇降自在に設ける。
【0011】
前記走行装置6,6は、転輪フレーム12に軸着した複数の転輪13群、及び走行ミッションケース14から駆動されるホイルスプロケット15,15にクローラ16,16を巻き掛けて構成する。
前記操縦部10は前記機台7前部一側上に配置し、該操縦部10後方下部に前記エンジン11を配置する。
【0012】
そして、前記エンジン11の出力軸より駆動される二重プーリ型のメイン出力プーリ17と、前記走行ミッションケース14内側面から機体内側方へ突出する入力軸18に設ける走行入力プーリ19とにわたって走行伝動ベルト20を巻回する。
【0013】
また、前記機台7上には、前記操縦部10と間隔を置いた他側部位に刈取支持台21を立設する。該刈取支持台21上端部には前記刈取装置3を上下回動自在に横軸支承する。この状態で、前記刈取装置3の駆動入力源である刈取入力プーリ22は、前記刈取支持台21より機体内側方に配置される。そして、前記走行ミッションケース14外側面から機体外側方へ突出する刈取出力軸23に設ける刈取出力プーリ24と、前記刈取入力プーリ22とにわたって刈取伝動ベルト25を巻き掛ける。更に、該刈取伝動ベルト25の張力を緩緊させることにより駆動力の伝達を入り切りする刈取テンションローラ26を配設し、これによって刈取クラッチ27を構成する。
【0014】
また、前記脱穀装置8前方上部には、該脱穀装置8各部への駆動入力源となる脱穀入力プーリ28を配置する。そして、該脱穀入力プーリ28と前記メイン出力プーリ17とにわたって脱穀伝動ベルト29を巻き掛ける。更に、該脱穀伝動ベルト29の張力を緩緊させることにより駆動力の伝達を入り切りする脱穀テンションローラ30を配設し、これによって脱穀クラッチ31を構成する。
【0015】
一方、前記操縦部10においては、座席32の前方に前部操作パネル33を設け、該前部操作パネル33上に操向レバー34、及びハンドル35を立設する。前記操向レバー34は、左右方向の傾動により、前記走行ミッションケース14内の左右サイドクラッチギヤ(図示せず)をセンターギヤ(図示せず)に対して係合、離脱操作するもので、これによって、前記左右のホイルスプロケット15,15の駆動を入り切りして機体の操向を行うものである。また、該操向レバー34を前後方向に傾動することによって、前記刈取装置3を機台7に対して上下動させるよう構成するものである。
【0016】
また、前記操縦部10における前記座席32の機体内側側方には、側部操作パネル36を設ける。そして、該側部操作パネル36には、走行変速レバー2、刈取クラッチレバー4、脱穀クラッチレバー37を立設する。
前記走行変速レバー2は、前記操縦部10の機体内側壁38に固着したステー39に前後方向及び左右方向に回動自在に軸着し、該変速レバー2と一体のアーム40を、前記走行ミッションケース14の無段変速装置の変速アーム41に長さ調整可能ロッド42連結する。この構成により、前記走行変速レバー2を、略直立状態の中立位置から前方へ傾動させるほど前記無段変速装置が前進高速側に操作され、また、中立位置から後方へ傾動させるほど前記無段変速装置が後進高速側に操作されるものである。
【0017】
また、前記刈取クラッチレバー4は、前記側部操作パネル36に一体のステー43に前後方向回動自在に軸着し、該刈取クラッチレバー4に一体のアーム44を、前記刈取クラッチ27の刈取テンションローラ26の支持アーム45に、長さ調整可能ロッド46及び引張スプリング47を介して連結する。この構成により、前記刈取クラッチレバー4を後方へ切り換え傾動すると、前記刈取クラッチ27が切り操作されて刈取装置3が停止し、また、前記刈取クラッチレバー4を前方へ切り換え傾動すると、前記刈取クラッチ27が入り操作されて刈取装置3が駆動するものである。
【0018】
また、前記脱穀クラッチレバー37は、前記側部操作パネル36に一体のステー43に対して、前記刈取クラッチレバー4と同軸に前後方向回動自在に軸着し、該脱穀クラッチレバー37に一体のアーム48を、前記脱穀クラッチ31の脱穀テンションローラ30の支持アーム49に、長さ調整可能ロッド50及び引張スプリング51を介して連結する。この構成により、前記脱穀クラッチレバー37を後方へ切り換え傾動すると、前記脱穀クラッチ31が切り操作されて脱穀装置8が停止し、また、前記脱穀クラッチレバー37を前方へ切り換え傾動すると、前記脱穀クラッチ31が入り操作されて脱穀装置8が駆動するものである。
【0019】
一方、前記側部操作パネル36には、前後方向長孔形状の走行変速レバー案内溝52、刈取クラッチレバー案内溝53、脱穀クラッチレバー案内溝54を設ける。
該走行変速レバー案内溝52、刈取クラッチレバー案内溝53、脱穀クラッチレバー案内溝54は、この順序で前記座席32に近い順に、互いに近接して、互いに平行に設ける。
【0020】
また、前記走行変速レバー案内溝52は、平面視において、前後方向中間部の前進低速域変速溝55が、これより前方部の前進高速域変速溝56及びこれより後方の後進変速域57よりも前記座席32寄りに偏位した屈曲形状に構成する。そして、該走行変速レバー案内溝52下方から前記走行変速レバー2を上方へ突出させて設ける。これにより、前記走行変速レバー2を、前記前進低速域変速溝55後部の中立位置とすると、前記走行ミッションケース14の無段変速装置は駆動停止状態となり、機体の走行は停止される。また、前記走行変速レバー2を前記中立位置から前方へ傾動していくと、これに従い、該走行変速レバー2と一体のアーム40、長さ調整可能ロッド42を介して前記走行ミッションケース14の無段変速装置の変速アーム41が前進高速側に回動操作され、この結果、機体は前進走行を増速していくこととなる。また、前記走行変速レバー2を、前記中立位置から後方へ傾動していくと、これに従い、該走行変速レバー2と一体のアーム40、長さ調整可能ロッド42を介して前記走行ミッションケース14の無段変速装置の変速アーム41が低速側に回動操作され、この結果、機体は後進走行を増速していくこととなる。前記走行変速レバー2が、前記走行変速レバー案内溝52前後端部にまで傾動された状態が、前進及び後進の最高速となる。このような走行変速操作において、前記走行変速レバー2は、前記前進低速域変速溝55から、前記前進高速域変速溝56へ回動操作されると、これに伴い、前記走行変速レバー案内溝52の屈曲形状により、前記刈取クラッチレバー案内溝53側へ傾倒、接近する。
【0021】
一方、前記刈取クラッチレバー案内溝53は、平面視直線形状に構成し、下方から前記刈取クラッチレバー4を上方へ突出させる。前記刈取クラッチレバー4を前記刈取クラッチレバー案内溝53後端部に切り換え傾動した状態においては、前記刈取クラッチ27は切り状態となり、刈取装置3は停止状態となる。また、前記刈取クラッチレバー4を前記刈取クラッチレバー案内溝53前端部に切り換え傾動すると、該刈取クラッチレバー4に一体のアーム44、長さ調整可能ロッド46及び引張スプリング47を介して前記支持アーム45が強制回動される。そして、前記刈取テンションローラ26が前記刈取伝動ベルト25に伝動張力を付与する状態となる。これにより、前記刈取クラッチ27が入り状態となり、前記刈取装置3が駆動されるのである。
【0022】
また、前記脱穀クラッチレバー37、脱穀クラッチレバー案内溝54においても、前記刈取クラッチレバー4、刈取クラッチレバー案内溝53と同様に構成するものである。
しかして、前記刈取クラッチレバー4の先端部には、把持部を兼ねると共に、前記座席32側、即ち前記走行変速レバー2側へ屈曲した係合部5を取り付ける。また、該係合部5は、固定ピンPによる位置変更式又は螺子Vによる螺合式により、刈取クラッチレバー4に対してその長手方向に取付け位置調節可能に構成し、これにより、前記刈取クラッチレバー4を伸縮調節可能とする。この構成により、前記刈取クラッチレバー4を前記刈取クラッチレバー案内溝53前端部に切り換え傾動した状態において、前記係合部5は、前記走行変速レバー案内溝52の前進高速域変速溝56上方に配置される。また、前記刈取クラッチレバー4先端部に対する前記係合部5の取付け位置を変更調節することにより、前記前進高速域変速溝56上方における該係合部5の配置位置を前後方向に変更調節することができる。
【0023】
以上の構成による、コンバインの刈取作業について説明する。
作業開始にあたり、エンジン11を駆動して、刈取クラッチレバー4及び脱穀クラッチレバー37を前端部へ切り換え傾動し、刈取装置3及び脱穀装置8を駆動する。そして、この状態で走行変速レバー2を徐々に前方へ傾動して機体を前進増速し、未刈穀稈列に侵入し、刈取を開始する。前記刈取装置3によって刈り取られた穀稈は前記脱穀装置8へ投入されて脱穀処理を受け、脱粒した穀粒は穀粒貯留装置9へ投入され、排藁は脱穀装置8後部から外方へ排出される。
【0024】
このような刈取作業中には、前述のように前記刈取クラッチレバー4が前端部へ切り換え傾動されている。このため、該刈取クラッチレバー4先端部に設ける係合部5は、前記走行変速レバー2の前進高速域変速溝56上方に配置されることになる。従って、前記走行変速レバー2を前進高速側へ傾動していく際、該走行変速レバー2は、前記係合部5との当接によりその前方最大傾動角度を規制される。これによって、過大な前進増速を防ぐことができる。また、前記刈取クラッチレバー4に対する係合部5の取付け位置を変更調節することにより、前記前進高速域変速溝56上方における前記係合部5の配置位置を前後方向に変更調節し、前述の前方最大傾動角度を変更調節することができる。即ち、規制最高速度を任意に変更設定できるのである。
【0025】
また、前記走行ミッションケース14内には、前記無段変速装置から駆動されるセンターギヤ58を、サイドクラッチ軸59に取付ける。そして、前記センターギヤ58に対して左右両側から係合可能なサイドクラッチギヤ60,60を、前記サイドクラッチ軸59に回転自在、及び軸心方向摺動自在に設ける。更に、カウンタ軸61に対して左右のカウンタギヤ62,62を回転自在に設け、該左右のカウンタギヤ62,62を前記左右のサイドクラッチギヤ60,60に常時噛み合わせる。そして、左右のホイル軸63,63内端部に取り付ける左右のホイル駆動ギヤ64,64を、前記左右のカウンタギヤ62,62に常時噛み合わせる。前記左右のホイル軸63,63外端部には前記左右のホイルスプロケット15,15を取り付ける。
【0026】
また、前記左右のサイドクラッチギヤ60,60には、左右のスライドシフタ65,65を係合させる。該左右のスライドシフタ65,65は、前記走行ミッションケース14外部へ突出する左右のシフタ軸66,66内端部に取り付けたシフトアーム67,67に軸着する。また、前記左右のシフタ軸66,66外端部にはサイドクラッチ操作アーム68,68を取り付ける。
【0027】
一方、前記操縦部10のステップ69上には、ブレーキペダル70を配置する。該ブレーキペダル70は、踏込面71とアーム72とから成り、該アーム72の基部を前記ステップ69下側面に横軸軸着し、上下回動自在に構成する。前記アーム72中間部側面には、第1プーリ73を横軸軸着する。また、前記ステップ69下側面において、前記アーム72上方且つ前記第1プーリ73後方に該当する部位に、第2プーリ74を横軸軸着する。また、前記ステップ69下側面において、前記第1プーリ73上方部位には、係止ステー75を固着して設ける。更に、前記機台7側の固定部にカウンタ部材76を横軸軸着して設ける。該カウンタ部材76は、上側アーム77、下側アーム78、及び横側アーム79を放射方向に一体的に有する。
【0028】
そして、前記係止ステー75に操作ワイヤ80の一端部を係止し、該操作ワイヤ80を、前記第1プーリ73の下側に巻き掛けた後、前記第2プーリ74の上側に巻き掛けて垂下し、前記カウンタ部材76の横側アーム79先端部に係止する。また、前記カウンタ部材76の上側アーム77先端部と前記左のサイドクラッチ操作アーム68先端部との間、及び前記カウンタ部材76の下側アーム78先端部と前記右のサイドクラッチ操作アーム68先端部との間を、夫々、連動ロッド81,81によって連結する。
【0029】
また、前記サイドクラッチ軸59両側端部には、前記左右のサイドクラッチギヤ60,60外側部が係合可能なサイドブレーキ82,82を設ける。
以上の構成により、前記ブレーキペダル70を踏み込み操作すると、前記アーム72の下方回動により前記第1プーリ73が下降し、該第1プーリ73と前記第2プーリ74とが離間する。このとき、前記操作ワイヤ80の一端部と、第2プーリ74は前記機台7に対して位置不動であるので、結果として、前記操作ワイヤ80の他端部が引き上げられることとなる。これにより、前記横側アーム79が上方回動せられ、これに一体の前記上側アーム77及び下側アーム78が回動し、前記連動ロッド81,81を介して前記サイドクラッチ操作アーム68,68を回動させる。これによって、前記左右のスライドシフタ65,65が互いに逆方向へスライドし、前記左右のサイドクラッチギヤ60,60を、前記センターギヤ58から離脱させた後、前記サイドブレーキ82,82に係合させる。この結果、前記左右のサイドクラッチギヤ60,60以下の伝動が絶たれ、前記走行装置6,6の駆動は停止される。このようなブレーキ操作は、前述のように、第1プーリ73、第2プーリ74を介した操作ワイヤ80の引き力によって行われるため、軽い操作力により、前記ブレーキペダル70を踏み込み操作できる。
【0030】
また、前記操縦部10には、図9、図10に示す構成の乗降装置を設けている。即ち、操縦部10への乗り降りを容易にするために、補助ステップ83を設ける。該補助ステップ83は、その基部を前記ステップ69外側面84の内壁に軸着し、該外側面84に形成する開口部85から出し入れ回動自在とする。そして、前記補助ステップ83は、中間部に連結した収納ワイヤ86の引き操作により上方回動する。また、該補助ステップ83収納位置において、該補助ステップ83回動端部には、張出し操作レバー(操作具)87の下端部外側を当接させる。該張出し操作レバー87は、中間部を前記ステップ69下面に横軸軸着し、戻しスプリング88の引き力に抗して機体外側方へ回動操作可能に構成する。該張出し操作レバー87の機体外側方への回動操作により、該張出し操作レバー87下端部外側に当接していた前記補助ステップ83を外側へ押し、前記開口部85より外方へ張出し回動させる。これによって、該補助ステップ83は使用状態となる。尚、前記補助スッテプ83収納状態において、前記収納ワイヤ86のノブ(操作具)89は、前記スッテプ69より上方に設ける係止部材90に係止しておく。
【0031】
以上の構成により、作業者が操縦部10に搭乗したままで、前記補助ステップ83を容易に回動操作できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例における要部の説明用側面図である。
【図2】この発明の一実施例における要部の説明用正面図である。
【図3】この発明の一実施例における要部の作用説明用平面図である。
【図4】この発明の一実施例における一部の部分説明図である。
【図5】この発明の一実施例における一部の部分説明図である。
【図6】この発明の一実施例におけるコンバインの側面図である。
【図7】この発明に一実施例におけるコンバインの平面図である。
【図8】この発明の実施例における一部の説明用斜視図である。
【図9】この発明の実施例における一部の説明用正面図である。
【図10】この発明に実施例における一部の説明用側面図である。
【符号の説明】
1 走行装置
3 刈取装置
6,6 無限軌道帯式の走行装置
7 機台
8 脱穀装置
9 穀物貯留装置
10 操縦部
32 座席
69 ステップ
83 補助ステップ
84 外側面
87 張出し操作レバー(操作具)
89 ノブ(操作具)
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2005-08-18 
出願番号 特願平5-212560
審決分類 P 1 651・ 121- YA (A01D)
最終処分 維持  
前審関与審査官 関根 裕  
特許庁審判長 伊波 猛
特許庁審判官 川島 陵司
前田 建男
登録日 2003-02-14 
登録番号 特許第3396917号(P3396917)
権利者 井関農機株式会社
発明の名称 コンバインの乗降装置  

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