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審決分類 審判 一部申し立て 2項進歩性  H01L
管理番号 1125889
異議申立番号 異議2003-71028  
総通号数 72 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1999-06-18 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-04-21 
確定日 2005-10-26 
異議申立件数
事件の表示 特許第3336240号「半導体素子実装基板」の請求項1、2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第3336240号の請求項1ないし2に係る特許を維持する。 
理由 I.手続の経緯
特許第3336240号の請求項1〜3に係る発明についての出願は、平成9年11月28日に出願され、平成14年8月2日にその発明について特許権の設定登録がなされ、その後、特許異議申立人雨山範子より請求項1、2に係る特許に対して特許異議の申立てがなされ、取消理由が通知され、平成16年8月2日に訂正請求がなされた。
そして、「訂正を認める。特許第3336240号の請求項1ないし2に係る特許を取り消す。」との異議決定が平成16年12月13日になされたところ、特許権者はこれを不服として異議決定取消の訴えを東京高等裁判所に提起した(平成17年(行ケ)第10142号)。
その裁判中に、本件特許の登録時の請求項1及び発明の詳細な説明の訂正をすることについての審判(訂正2005-39059号)が請求され、平成17年6月9日に、訂正明細書のとおり訂正することを認める旨の審決がなされ、これが確定した。
そのため、知的財産高等裁判所において、平成17年7月21日に、異議決定は結果として、判断の対象となるべき発明の要旨の認定を誤ったことになり、この誤りが決定の結論に影響を及ぼすことは明らかであるから、「特許庁が異議2003-71028号事件について平成16年12月13日にした決定を取り消す。」旨の判決の言い渡しがあったので、さらに審理する。
なお、前記平成16年8月2日の訂正請求は異議決定取消判決後の平成17年9月30日付で取り下げられた。

II.特許異議申立て理由の概要
特許異議申立人は、証拠として甲第1号証(特公平4-51057号公報)、甲第2号証(特開平7-66326号公報)、甲第3号証(素木洋一編著「セラミックス手帳」技報堂出版、1986年3月20日、第615頁)、及び甲第4号証(特開平6-181227号公報)を提出して、請求項1、2に係る発明は、甲第1〜4号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1、2に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、これを取り消すべき旨主張している。

III.本件発明
前記のとおり、平成16年8月2日の訂正請求は取り下げられ、訂正2005-39059号事件において訂正明細書のとおりに訂正をすることを認める審決が既に確定しているので、本件特許の発明はその訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1〜3に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1、2は、次のとおりである。
「【請求項1】40℃から400℃における熱膨張係数が8〜25ppm/℃、ヤング率が200GPa以下のセラミック焼結体からなる絶縁基板の表面にメタライズ配線層を被着形成してなる配線基板の表面に、接続用電極を具備する半導体素子を熱硬化性樹脂により接着固定し、前記メタライズ配線層と前記接続用電極とを導電性接続部材によって接続してなり、前記絶縁基板の底面に接続パッドが形成されてなる表面実装型の半導体素子実装基板において、前記固定用の熱硬化性樹脂の-40℃〜25℃における熱膨張係数が10〜40ppm/℃であり、かつ前記温度範囲におけるヤング率が5〜10GPaであることを特徴とする半導体素子実装基板。
【請求項2】前記熱硬化性樹脂が、 フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂のいずれかである請求項1記載の半導体素子実装基板。」(以下、「本件発明1」、「本件発明2」という)

IV.当審が通知した取消理由において引用した刊行物1〜3及びその記載事項
刊行物1:特公平4-51057号公報(甲第1号証)
刊行物2:特開平7-66326号公報(甲第2号証)
刊行物3:特開平6-181227号公報(甲第4号証)
(1)刊行物1:特公平4-51057号公報
(1a)「1 複数個のハンダバンプを備え電子回路が形成されてなるLSIチツプと、配線を形成している基板とからなり、該LSIチツプと該基板とが該ハンダバンプを介してハンダ接合されてなる電子装置において、該LSIチツプと該基板とが作る間隙が、せん断弾性率が該ハンダのそれよりも大きい硬質の有機高分子材料により接着充てんされていることを特徴とする電子装置。
2 該有機高分子材料の熱膨張係数が、接合に用いたハンダの熱膨張係数にほぼ等しいか、それよりも小さい特許請求の範囲第1項記載の電子装置。
3 該基板が、ソーダガラスである特許請求の範囲第1項記載の電子装置。」(特許請求の範囲1〜3)
(1b)「CCB接続法が冷熱サイクルによって破壊されるメカニズムについて、実験及び解析を進めた結果、チツプと、電極基板との熱膨張係数差による熱応力をハンダ層が受け、接続部界面に繰返しのせん断応力が加わることにより、界面近傍でハンダ層のせん断疲労破壊が起り、断線に至ることが判り、本発明に到つたものである。最も単純な解決法は、チツプと電極基板の熱膨張係数を合わせることであるが、実用的に考えると電極基板が限られたものとなり、現実性に乏しい。・・・。ハンダのせん断疲労による破断を抑えるためには、ハンダの受けるせん断変形量を小さくすれば良いことは明らかである。せん断変形を受けなければ疲労することはないからである。それを達成するには、チツプと基板とが作る空隙をせん断弾性率がハンダよりも大きい硬質の絶縁材料で、充てんし、かつ、それがチツプ及び基板と接着している状態を作れば良いことが判つた。」(4欄28行〜5欄10行)
(1c)「(2)ソーダガラス(配線基板I)
・・・、中央部にチツプを搭載するため、チツプに設けられたバンプと対応する位置にハンダ接続用ペデスタルを有する導体配線が基板端部まで延在している基板である。」(7欄16〜21行)
(1d)「以上の説明は、配線基板とチツプとを接続した電子装置構成のみに限っているが、配線基板が液晶表示素子など他の装置の一部となっている場合、あるいは、上述た構成要素が更に他の基板上に複数個配設されたモジュール装置となる場合でも、本発明の効果は十分に発揮される。」(11欄36〜41行、なお、公報中の「ジュール装置」なる記載は、上記のとおり「モジュール装置」の誤記であると認定した。)
(1e)第1表には、せん断弾性率が2580kgf/mm2、線膨張係数が9.4×10-6のソーダガラスと、せん断弾性率が1750kgf/mm2、線膨張係数が15.0×10-6のガラス繊維強化エポキシ(配線基板II)、さらに、せん断弾性率が590kgf/mm2、線膨張係数が29.0×10-6のエポキシ樹脂(ポッティング材I-3)と、せん断弾性率が700kgf/mm2、線膨張係数が18.0×10-6のエポキシ樹脂(ポッティング材I-4)が記載され、表2には、これらを用い実装した実施例1〜3、5が記載されている。

(2)刊行物2:特開平7-66326号公報
(2a)「・・本発明の構成は、ガラス基板上にICチップを実装し、該ICチップと該ガラス基板とのギャップに補強のための樹脂を充填する構造を有する半導体装置・・・。本発明の関連発明の構成はまた、前記樹脂が、平均径3μmのシリカ粒が約65wt%混合された、線膨張係数が35ppm/℃以下のエポキシ系樹脂である・・」(段落【0004】)
(2b)「・・・、樹脂がガラス基板に及ぼす要因は、樹脂の物性値である線膨張係数αと弾性率E、・・・がガラス基板の応力に大きく影響することが示された。・・」(段落【0011】)
(2c)図1には、ガラス基板2の表面に配線導体5が形成され、ICチップの搭載されたガラス基板の模式的断面図が示され、また図7には、樹脂物性の耐久評価結果(-40←→125℃各30分)として、樹脂1について、線膨張係数αが31ppm/℃、弾性率Eが820kgf/mm2であることが記載されている。

(3)刊行物3:特開平6-181227号公報
(3a)「本発明は・・・リフローソルダリング時にリフロークラックの無い高信頼性の半導体装置を得ることができる接着剤及びこれを用いた半導体装置に関する。」(段落【0001】)
(3b)「本発明に用いられるエポキシ樹脂としては1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールADなどとエピクロクヒドリドンとから誘導されるエポキシ樹脂、・・・フェノールノボラック型エポキシ樹脂・・・、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂・・・などが挙げられる。これらのエポキシ樹脂を適宜組み合わせて用いてもよい。・・・」(段落【0006】)
(3c)「本発明になる接着剤を用いた半導体装置は、リードフレーム等の支持部材に本発明の接着剤を・・・塗布したのち、半導体素子を圧着し、・・・加熱硬化して半導体素子を支持部材に接合し、その後通常のワイヤーボンデング工程・・・」(【0015】)、
「本発明になる接着剤は、その吸湿抑制効果により、・・・半導体装置のダイボンデイング剤として使用した場合に、・・・半導体装置としての信頼性を向上させることができる。」(【0022】)

V.対比・判断
V-1.本件発明1について
刊行物1には、配線基板として、せん断弾性率2580kgf/mm2(換算すると約25.3GPa、以下同じ。)、線膨張係数9.4ppm/℃のソーダガラスが記載され、さらに、接着充てんされる硬質の有機高分子材料として、せん断弾性率590kgf/mm2(約5.8GPa)、線膨張係数29.0ppm/℃のエポキシ樹脂と、せん断弾性率700kgf/mm2(約6.9GPa)、線膨張係数18.0ppm/℃のエポキシ樹脂(摘記事項(1e))が記載されている。そして、刊行物1に記載の「線膨張係数」は「熱膨張係数」と同等であると認められる。
そうすると、刊行物1には、「せん断弾性率約25.3GPa、熱膨張係数9.4ppm/℃のソーダガラスの表面に導体配線を有する配線基板の表面に、ハンダバンプを具備するLSIチップを硬質の有機高分子材料であるエポキシ樹脂により接着固定し、前記導体配線と前記ハンダバンプとをハンダ接合してなる電子装置において、前記エポキシ樹脂の熱膨張係数が29.0ppm/℃または18.0ppm/℃であり、かつせん断弾性率が約5.8GPaまたは約6.9GPaである電子装置」の発明が記載されていることになる。
そこで、本件発明1と刊行物1に記載の発明とを対比すると、両者は、「絶縁基板の表面にメタライズ配線層を被着形成してなる配線基板の表面に、接続用電極を具備する半導体素子を熱硬化性樹脂により接着固定し、前記メタライズ配線層と前記接続用電極とを導電性接続部材によって接続してなる半導体素子実装基板」の点で一致し、次の点a〜cで相違する。

相違点a:本件発明1の絶縁基板は、「40℃から400℃における熱膨張係数が8〜25ppm/℃、ヤング率が200GPa以下のセラミック焼結体からなる」のに対し、刊行物1に記載の配線基板は、ソーダガラスからなり、40℃から400℃においてこのような物性値を有するのかが不明である点。
相違点b:本件発明1の半導体素子実装基板は、「絶縁基板の底面に接続パッドが形成されてなる表面実装型」であるが、刊行物1に記載の配線基板は、そのようなものを有するのかが不明である点。
相違点c:本件発明1の固定用の熱硬化性樹脂は、「-40℃〜25℃における熱膨張係数が10〜40ppm/℃であり、かつ前記温度範囲におけるヤング率が5〜10GPa」の物性値を有するのに対し、刊行物1に記載のエポキシ樹脂は、この測定温度範囲においてこのような物性値を有するのかが不明である点。

そこで、まず上記相違点aについて検討する。
刊行物1には、ソーダガラスの熱膨張係数、せん断弾性率の測定時の温度について何も開示されていないが、セラミック絶縁基板は使用時に半導体素子の駆動により加熱、冷却されることから、実際に加熱される温度である250℃・・400℃程度までの温度範囲で、セラミック絶縁基板の特性を測定するものであり、通常、絶縁基板の熱膨張係数とヤング率を測定する場合には、ほぼ40℃から400℃の温度範囲で測定するということになり、刊行物1に記載の、ソーダガラスからなる配線基板のせん断弾性率も40℃から400℃の温度範囲で測定しているものと認められる。
また、通常、ソーダガラスの弾性率は(5〜8)×105Kg/cm2(化学大辞典5、共立出版株式会社、1993年6月1日縮刷版第34刷発行、524頁左欄「ソーダせっかいガラス」)(約49〜78.5GPa)であり、例えば特開平2-22136号公報の実験例ではソーダガラスのヤング率は7000Kgf/mm2(68.6MPa)(3頁左上欄13〜18行)、特開平2003-335547号公報の比較例(試料No.7)ではヤング率68GPaであるとしているから、刊行物1記載のソーダガラスからなる配線基板のヤング率は、本件発明1の絶縁基板の40℃から400℃におけるヤング率である200GPa以下の範囲内にあることは明らかである。
また、刊行物1に記載のソーダガラスからなる配線基板の熱膨張係数は9.4ppm/℃であるから、本件発明1の絶縁基板の40℃から400℃における熱膨張係数である8〜25ppm/℃の範囲内にあることも明らかである。
そうすると、刊行物1に記載のソーダガラスの熱膨張係数、せん断弾性率は、本件発明1の絶縁基板の熱膨張係数、ヤング率と数値上は一致するものの、その材質が本件発明1ではセラミック焼結体からなるのに対し、刊行物1に記載の配線基板は、ソーダガラスであって明らかに異なっている。

本件発明1は、従来のアルミナ、ムライト等のセラミックスに替えて、外部電気回路基板と近似した熱膨張係数を有する高熱膨張のセラミックス焼結体を絶縁基板材料として用いることが検討され、パッケージと外部電気回路基板の接続部との間に生ずる接続不良は回避できるが、高熱膨張のガラスセラミック焼結体を絶縁基板材料として用いた配線基板においては、シリコンより成る半導体素子(熱膨張係数:2乃至3ppm/℃) との熱膨張差が逆に大きくなり、半導体素子の接続用電極と絶縁基板に設けられたメタライズ配線層との間に接続不良が発生したり、この熱膨張差による応力で配線基板自体に反りが発生し、外部電気回路基板との接続部に不良が発生するなどの新たな問題を生じこれを解決すること、即ち高熱膨張の配線基板表面に対して、半導体素子を作動/停止による熱サイクルの印加に対しても、強固に且つ長期にわたり安定した接続状態を維持できる半導体素子実装基板を提供することを目的とするもので(特許明細書段落【0008】〜【0010】)、外部電気回路基板と近似した熱膨張係数を有する高熱膨張のセラミックス焼結体を絶縁基板材料として用い、半導体素子を接着固定させるのに用いる熱硬化性樹脂の熱膨張係数とヤング率を特定範囲に制御することにより、発生した熱応力が吸収され、応力歪みが緩和される結果、前記目的が達成されるものである。
刊行物1では、チツプと、電極基板との熱膨張係数差による熱応力をハンダ層が受け、接続部界面に繰返しのせん断応力が加わることにより、界面近傍でハンダ層のせん断疲労破壊が起り、断線に至ることを防止するために、チツプと基板とが作る空隙をせん断弾性率がハンダよりも大きい硬質の絶縁材料で、充てんしチツプと基板を接着させたもので(摘記事項(1b))、具体的には、ソーダガラスからなる配線基板とチツプと基板とが作る空隙をせん断弾性率がハンダよりも大きい硬質の絶縁材料(エポキシ樹脂)で充てんし接着することが示されているが、上記相違点aの物性値を有する基板はソーダガラス、ガラス繊維強化エポキシ以外示されておらず、外部電気回路基板と近似した熱膨張係数を有する高熱膨張のセラミックス焼結体を用いることは示唆すらされていない。
刊行物2には、ガラスを基板とする半導体装置に関し、ガラス基板上にICがバンプ半田付けされた構造において、基板とICとの間にできたすき間を樹脂で固定する構造で、ICチップと基板との熱膨張係数の差によって生じるICの剥がれ、バンプ半田のひび割れなどを防ぎ、製品の信頼性低下を防ぐことを目的とするものではあるが(摘記事項(2a)(2b))、外部電気回路基板と近似した熱膨張係数を有する高熱膨張のセラミックス焼結体を用いることは示唆すらされていない。
更に、刊行物3には、半導体装置のダイボンデイング剤として使用した場合に、吸湿抑制効果を有する接着剤を用いて、半導体装置としての信頼性を向上させるための、フェノールノボラック型エポキシ樹脂・・、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂からなる接着剤が示されているに過ぎない。
そうすると、刊行物1〜3を参酌しても上記相違点aなる構成、即ち40℃から400℃における熱膨張係数が8〜25ppm/℃、ヤング率が200GPa以下のセラミック焼結体からなる絶縁基板を用いることは、当業者といえども容易には想到し得ないものである。

次に、上記相違点cについて検討する。
刊行物2には、ガラス基板上にICがバンプ半田付けされた構造において、基板とICとの間にできたすき間を固定する樹脂として、線膨張係数が35ppm/℃以下のエポキシ系樹脂、実施例には線膨張係数が31ppm/℃、弾性率Eが820Kgf/mm2(約8.0GPa)の樹脂1が記載されている。ここで、樹脂1の弾性率Eをせん断弾性率に換算すると通常約3.3GPaに相当している。
しかしながら、刊行物1では、せん断弾性率が該ハンダのそれよりも大きい硬質の有機高分子材料により接着充てんするとしており、例示されるハンダIのせん断弾性率が550kgf/mm2(約5.4GPa)、ハンダIIのせん断弾性率が610kgf/mm2(約6.4GPa)より大きいせん断弾性率の硬質の有機高分子材料により接着充てんするものである。そうすると、刊行物2のガラス基板とICとの間にできたすき間を固定する樹脂1は、刊行物1には適用できないものである。
このように、刊行物2には、ガラス基板上にICがバンプ半田付けされた構造において、基板とICとの間にできたすき間を固定する樹脂の物性値が記載されてはいるが、刊行物1の求めるせん断弾性率からしても刊行物1には適用できず、相違点cを当業者が容易には想到し得ないものである。
そして、本件発明1は、これら相違点a、cにより、特許明細書記載の半導体素子を高熱膨張の配線基板上に実装した場合に、両者の熱膨張係数の差に起因する応力発生を緩和し、半導体素子と配線基板とを長期間にわたり正確、かつ強固に電気的接続させることが可能となるという格別顕著な効果を奏するものである。
したがって、相違点bについて、検討するまでもなく、本件発明1は、刊行物1〜3に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

V-2.本件発明2について
本件発明2は、本件発明1において、更に「熱硬化性樹脂が、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂のいずれかである」点を特定したものである。
ここで、ICチップとガラス基板とのギャップに補強のため充填する熱硬化性樹脂において、上記成分は、上記刊行物2に示されている如く周知のことではあるが、上記(V-1)で述べたとおり本件発明1が、刊行物1〜3に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない以上、本件発明2は、刊行物1〜3に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

V-3.したがって、本件発明1、2は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。

VI.むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件発明1、2についての特許を取り消すことはできない。また、他に、本件発明1、2についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2004-12-13 
出願番号 特願平9-328446
審決分類 P 1 652・ 121- Y (H01L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 北島 健次  
特許庁審判長 城所 宏
特許庁審判官 市川 裕司
瀬良 聡機
登録日 2002-08-02 
登録番号 特許第3336240号(P3336240)
権利者 京セラ株式会社
発明の名称 半導体素子実装基板  
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