• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 訂正 2項進歩性 訂正する G03G
管理番号 1126403
審判番号 訂正2005-39122  
総通号数 73 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2001-10-19 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2005-07-12 
確定日 2005-09-29 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3346416号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第3346416号に係る明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。 
理由 第1 手続の経緯
特許出願:平成13年3月6日(特願2001-62328号)
平成4年7月23日出願の特願平4-197072号の分割出願
設定登録:平成14年9月6日(特許第3346416号)
公報発行:平成14年11月18日
酒井征男より異議申立(全請求項):平成15年4月11日
坂本 陽より異議申立(全請求項):平成15年5月14日
取消理由通知:平成15年10月21日
意見書、訂正請求書の提出:平成15年12月26日
取消決定:平成17年3月8日(送達平成17年3月22日)
東京高等裁判所への出訴:平成17年4月21日
(平成17年(行ケ)10419号)
本件審判請求:平成17年7月12日

第2 請求の要旨
本件審判の請求の要旨は、特許第3346416号に係る明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり、すなわち、下記訂正事項のとおりに訂正することを求めるものである。
訂正事項a:特許請求の範囲の請求項1に記載の「アゾ系顔料粒子又はフタロシアニン系顔料粒子」を、「フタロシアニン系顔料粒子」と訂正する。
訂正事項b:特許請求の範囲の請求項1に記載の「当該有機顔料を溶媒中で」を、「当該有機顔料をバインダー樹脂を含有しない溶媒中で」と訂正する。
訂正事項c:特許請求の範囲の請求項1に記載の「分散処理することを特徴とする」を、「分散処理し、分散後の平均粒径が0.1μm〜0.2μmの前記有機顔料粒子を得ることを特徴とする」と訂正する。
訂正事項d:特許請求の範囲の請求項2を削除する。
訂正事項e:特許請求の範囲の「請求項3」を、「請求項2」と訂正する。
訂正事項f:特許請求の範囲の請求項3(訂正後の請求項2)に記載の「アゾ系顔料粒子又はフタロシアニン系顔料粒子」を、「フタロシアニン系顔料粒子」と訂正する。
訂正事項g:特許請求の範囲の請求項3(訂正後の請求項2)に記載の「当該有機顔料を溶媒中で」を、「当該有機顔料をバインダー樹脂を含有しない溶媒中で」と訂正する。
訂正事項h:特許請求の範囲の請求項3(訂正後の請求項2)に記載の「分散処理することを特徴とする」を、「分散処理し、分散後の平均粒径が0.1μm〜0.2μmの前記有機顔料粒子を得ることを特徴とする」と訂正する。
訂正事項i:特許請求の範囲の「請求項4」を、「請求項3」と訂正する。
訂正事項j:特許請求の範囲の「請求項4」(訂正後の請求項3)に記載の「請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載された」を、「請求項1または請求項2に記載された」と訂正する。
訂正事項k:明細書の段落【0008】に記載の「1.少なくとも有機顔料粒子を分散してなる電子写真感光体用顔料分散液の製造方法において、・・・当該有機顔料を溶媒中で平均粒径が0.4mm〜0.8mmの球形状微粉砕媒体と共に分散処理することを特徴とする電子写真感光体用顔料分散液の製造方法、」を、「1.少なくとも有機顔料粒子を分散してなる電子写真感光体用顔料分散液の製造方法において、前記有機顔料粒子がフタロシアニン系顔料粒子であり、当該有機顔料をバインダー樹脂を含有しない溶媒中で平均粒径が0.4mm〜0.8mmの球形状微粉砕媒体と共に分散処理し、分散後の平均粒径が0.1μm〜0.2μmの前記有機顔料粒子を得ることを特徴とする電子写真感光体用顔料分散液の製造方法、」と訂正する。
訂正事項l:明細書の段落【0008】に記載の「2.少なくとも有機顔料粒子を分散してなる電子写真感光体用顔料分散液の製造方法において、当該有機顔料を溶媒中で平均粒径が0.4mm〜0.8mmの球形状微粉砕媒体と共に3時間から6時間分散処理することを特徴とする電子写真感光体用顔料分散液の製造方法、」を削除する。
訂正事項m:明細書の段落【0008】に記載の「3.少なくとも有機顔料粒子を分散してなる電子写真感光体用顔料分散液の製造方法において、・・・電子写真感光体用顔料分散液の製造方法、」を、「2.少なくとも有機顔料粒子を分散してなる電子写真感光体用顔料分散液の製造方法において、前記有機顔料粒子がフタロシアニン系顔料粒子であり、当該有機顔料をバインダー樹脂を含有しない溶媒中で平均粒径が0.4mm〜0.8mmの球形状微粉砕媒体と共に3時間から6時間分散処理し、分散後の平均粒径が0.1μm〜0.2μmの前記有機顔料粒子を得ることを特徴とする電子写真感光体用顔料分散液の製造方法、」と訂正する。
訂正事項n:明細書の段落【0008】に記載の「4.上述した電子写真感光体用顔料分散液の製造方法」を、「3.上述した電子写真感光体用顔料分散液の製造方法」と訂正する。
訂正事項o:明細書の段落【0010】に記載の「例えばアゾ系顔料、フタロシアニン系顔料・・・特にビスアゾ系顔料、オキシチタニウムフタロシアニンがこのましい。」を、「例えばフタロシアニン系顔料を挙げることができる。この中でも、特にオキシチタニウムフタロシアニンがこのましい。」と訂正する。
訂正事項p:明細書の段落【0011】に記載の「この時に結着剤としてバインダー樹脂を一緒に加えてもよいし、顔料等と分散媒だけをあらかじめ分散した後、バインダー樹脂を加えてもよい。」を、「この時に、顔料等と分散媒だけをあらかじめ分散した後、バインダー樹脂を加える。」と訂正する。
訂正事項q:明細書の段落【0035】に記載の「実施例3」を、「参考例1」と訂正する。
訂正事項r:明細書の段落【0038】に記載の「実施例4」を、「参考例2」と、「実施例3」(2箇所)を、「参考例1」と訂正する。
訂正事項s:明細書の段落【0039】及び【0040】に記載の「実施例3」を、「参考例1」と訂正する。
訂正事項t:明細書の段落【0041】に記載の「実施例3、実施例4」を、「参考例1、参考例2」と訂正する。
訂正事項u:明細書の段落【0042】に記載の「実施例3」を、「参考例1」と、「実施例4」を、「参考例2」と訂正する。

第3 当審の判断
1.訂正の目的の適否、新規事項追加の有無、及び特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否
訂正事項a、fは、有機顔料の種類を、明細書の段落【0010】で好ましいとされ、段落【0021】〜【0029】に記載された実施例1、2で使用されているフタロシアニン系顔料に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。
訂正事項b、gは、有機顔料を分散処理する際に使用する溶媒を、明細書の段落【0011】の記載、及び実施例1、2の記載に基いて、「バインダー樹脂を含有しない溶媒」に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。
訂正事項c、hは、分散処理後の有機顔料の平均粒径を、明細書の段落【0004】の記載、及び実施例1、2の記載に基いて、「0.1μm〜0.2μm」に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。
訂正事項dは、請求項の削除であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。
訂正事項e、i及びjは、訂正事項dによる請求項の削除に伴い、請求項の記載を整理するものであるから明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。
訂正事項kないしuは、訂正事項aないしhによる特許請求の範囲の減縮に伴い、特許請求の範囲と発明の詳細な説明の記載の間で生じた不整合を正すものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。
そして、訂正事項aないしuは、いずれも願書に添付した明細書に記載された事項の範囲のものであり、かつ、特許請求の範囲を実質的に拡張し又は変更するものではない。

2.独立特許要件について
(1)訂正後の本件請求項1ないし3に係る発明
訂正後の本件請求項1ないし3に係る発明は、本件審判請求書に添付された訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された次のとおりものである。
「【請求項1】少なくとも有機顔料粒子を分散してなる電子写真感光体用顔料分散液の製造方法において、前記有機顔料粒子がフタロシアニン系顔料粒子であり、当該有機顔料をバインダー樹脂を含有しない溶媒中で平均粒径が0.4mm〜0.8mmの球形状微粉砕媒体と共に分散処理し、分散後の平均粒径が0.1μm〜0.2μmの前記有機顔料粒子を得ることを特徴とする電子写真感光体用顔料分散液の製造方法。」(以下、「訂正発明1」という。)
「【請求項2】少なくとも有機顔料粒子を分散してなる電子写真感光体用顔料分散液の製造方法において、前記有機顔料粒子がフタロシアニン系顔料粒子であり、当該有機顔料をバインダー樹脂を含有しない溶媒中で平均粒径が0.4mm〜0.8mmの球形状微粉砕媒体と共に3時間から6時間分散処理し、分散後の平均粒径が0.1μm〜0.2μmの前記有機顔料粒子を得ることを特徴とする電子写真感光体用顔料分散液の製造方法。」(以下、「訂正発明2」という。)
「【請求項3】請求項1または請求項2に記載された電子写真感光体用顔料分散液の製造方法によって得られた顔料分散液を用いて感光層を形成することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。」(以下、「訂正発明3」という。)

(2)刊行物の記載事項
本件特許に係る前記異議の申立てにおいて証拠として提出され、本件の出願前に頒布された特開昭63-292148号公報(以下、「刊行物1」という。)には、次の事項が記載されている。
(1a)「電荷発生層はスーダンレッド、ダイアンブルー、ジェナスグリーンBなどのアゾ顔料、・・・銅フタロシアニンなどのフタロシアニン顔料、・・・などの電荷発生物質をポリビニルブチラール、・・・などの結着剤樹脂に分散させて、この分散液を前述の下引き層の上に塗工することによって形成できる。」(2頁左下欄9行〜右下欄3行)
(1b)「実施例2 電荷発生層用塗料としてα型銅フタロシアニン(東洋インキ(株)製)10部、ブチラール樹脂(商品名エスレックBL-2、積水化学(株)製)5部およびシクロヘキサノン50部を1φガラスビーズを用いたサンドミル装置で3時間分散した後、メチルエチルケトン80部を加えて調製した塗料を用いて電荷発生層を形成した他は、実施例1と同様の電子写真感光体を作成した。」(3頁右下欄下から9行〜4頁左上欄1行)
(1c)「実施例3 ・・・導電性支持体である30φのアルミニウムシリンダー上に、上記下引き層用塗料を浸漬塗布し、110℃で20分間乾燥し、膜厚1.5μの下引き層を形成した。次に、下記構造式(構造式省略)のジスアゾ顔料を10部、ブチラール樹脂(商品名エスレックBL-S、積水化学(株)製)8部およびシクロヘキサノン60部を0.5φガラスビーズを用いたサンドミル装置で5時間分散した後、テトラヒドロフラン120部を加えて分散液を調製した。この分散液を上記下引き層上に浸漬塗布し、80℃で20分間乾燥して、0.18g/m2の塗布量の電荷発生層を形成した。」(4頁右上欄4行〜左下欄5行)

同じく特開平1-184031号公報(以下、「刊行物2」という。)には、次の事項が記載されている。
(2a)「顔料,染料を微細化する有効な手段としてはベッセル内部にガラスビーズ等のメジウムを入れ回転分散手段であるデイスクまたはドラムを回転させて微分散するいわゆるサンドミル分散装置を用いる方法がある。」(1頁右下欄20行〜2頁左上欄4行)、
(2b)「この様な分散装置を用いて顔料,染料等を分散することによって、顔料,染料を短時間で均一な分散液とすることが可能である。特に微細な分散粒径が要求される電子写真感光体塗工液に含有される顔料,染料などの電荷・発生物質の分散に対して有効な手段となる。本発明で分散できる顔料,染料は無機物,有機物いずれでも良く、例えば、アゾ顔料、フタロシアニン系顔料・・・等が挙げられる。」(3頁右上欄5〜16行)
(2c)顔料,染料の一例として「(40)t型メタルフリーフタロシアニン」
(5頁右下欄末行)
(2d)実施例10には、中ブタを使用した分散装置に、(40)の顔料(t型メタルフリーフタロシアニン)と結着剤及び分散媒としてシクロヘキサンを投入しメジウムとしてガラスビーズ(東芝バロティーニ社製GB-201M)を用いて30時間分散し、分散あがり平均粒径0.21μmの顔料分散液を得たこと(6頁右上欄7行〜7頁左上欄8行、第1表及び7頁左上欄の表)。

同じく特開平3-8433号公報(以下、「刊行物3」という。)には、次の事項が記載されている。
(3a)「電荷発生材料としての光導電体粒子の粒径は、電子写真特性に大きく影響する。すなわち、平均粒径が大きいと、電荷発生層の層厚を薄く形成できず、その中でのキャリアーの移動に時間がかかり、感度が低い。そこで、従来、所望の平均粒子径に微粒化し、分散液(通常溶剤)中の分散させるために、アトライター、ボールミル・・・などにより分散している。また、その分散に際しては、少なくとも10時間以上・・・分散機を運転していた。」(1頁右下欄13行〜2頁左上欄4行)
(3b)「本発明者らが、平均粒径の経時変化を調べたところ、一般的な分散系の下で、分散開始から短い時点で平均粒子径が最小となる時点があり、その後粒子径は、凝集により増大したあと変化が殆ど見られない安定した領域に達することが判明した。したがって、平均粒子径がほぼ最小の時点で分散を終了すれば、微細化後の凝集を抑制でき、もって懸濁液の均一性が高まり、その結果電子写真感光体を得る場合などにおいての塗布性が良好となる。さらに本発明によれば、分散開始後わずかな時間で分散を終了させるので分散操作時間が短くなり、操作能率が高まる。しかも、・・・分散機のベッセル、ロッドやディスクなどの摩耗に伴うコンタミが少なくなる。」(2頁右上欄9行〜左下欄4行)
(3c)「本発明では、たとえば電子写真感光体用の分散液を得るにあたり、液体中の固体粒子を微細化しながら分散し微粒子の懸濁液を得る際に、たとえば第1図に示す、分散経時に伴う平均粒子径の変化において、最低粒子径Dlと、この最低粒子径Dlを示した後平均粒子径が経時的に安定しているときの安定粒子径Daとの平均値・・・以下の時点範囲・・・で分散を終了する。」(2頁左下欄7〜15行)
(3d)「平均粒子径の経時変化は、材料としての有機光導電物質の種類、分散機の種類または分散機の運転条件により異なるものの、通常分散開始から30〜5時間程度で最低粒子径を示す」(2頁右下欄2〜5行)
(3e)「電荷発生材料として用いる本発明に係る有機光導電体粒子としては、アゾ系顔料、アンスアンスロン系顔料、・・・フタロシアニン系顔料・・・等を用いることができる。」(3頁左上欄19行〜右上欄5行)
(3f)実施例には、有機顔料(4,10-ジブロモアンスアンスロ)とポリカーボネートをジクロロエタンを分散剤としてボールミルにより分散し、平均粒径の経時変化を測定したところ、平均粒子径が最低を示す時間は分散開始後4時間後であり、粒径は0.2μmであったこと、1〜6ヶ月放置後も粒径変化がなく分散安定性が良好であったこと、4時間分散懸濁液と48時間分散懸濁液を比較したところ、4時間分散懸濁液を使用した時の暗減衰は15%とかなり小さく、48時間分散懸濁液に比して良好な特性を示したこと(4頁左下欄2行〜5頁8行、第1表、第1図、第3図、第4図)。

同じく特開平3-71144号公報(以下、「刊行物4」という。)には、次の事項が記載されている。
(4a)「・・・この様な結晶型オキシチタニウムフタロシアニンは本発明の製造法による、分散媒として炭素数が5以下のアルコール類を用いて微粒化処理され、最終的にポリビニルアセタール樹脂と混合された状態で電荷発生層を塗布するための塗布液が調整される。」(3頁右下欄16行〜4頁左上欄2行)、
(4b)「オキシチタニウムフタロシアニンを微粒化処理する方法としては、公知の方法例えばボールミル、サンドグラインドミル、・・・等の方法を用いることができる。」(4頁左上欄13〜16行)、
(4c)「実施例-1 製造例で製造したオキシチタニウムフタロシアニン10重量部にメタノール200重量部を加え、サンドグラインドミルで10時間粉砕、分散処理を行った。次にポリビニルブチラール・・・5重量部の10%メタノール溶液と混合し分散液を調整した。・・・次にこの分散液をポリエステルフィルム上に蒸着したアルミニウム蒸着面の上にバーコータにより乾燥後の膜厚が0.4μmとなるように電荷発生層を設けた。」(5頁左下欄10〜右下欄4行)。

(3)対比・判断
1)訂正発明1について
訂正発明1と、刊行物1ないし4に記載された発明を対比すると、刊行物1ないし4に記載された発明のいずれにも、訂正発明1の構成である「フタロシアニン系顔料をバインダー樹脂を含有しない溶媒中で平均粒径が0.4mm〜0.8mmの球形状微粉砕媒体と共に分散処理し、分散後の平均粒径が0.1μm〜0.2μmの有機顔料粒子を得る」点は記載されていないし示唆もない。
すなわち、刊行物1の実施例2には、フタロシアニン系顔料をバインダー樹脂を含有する溶媒中で平均粒径が1φ(直径1mm)の球形状微粉砕媒体と共に3時間分散処理することが記載されているが、球形状微粉砕媒体の大きさが訂正発明のものと異なる上、分散後の平均粒径については記載されていない。また、刊行物1の実施例3には、アゾ系顔料をバインダー樹脂を含有する溶媒中で平均粒径が0.5φ(直径0.5mm)の球形状微粉砕媒体と共に5時間分散処理することが記載されており、フタロシアニン系顔料を同様の平均粒径が0.5φ(直径0.5mm)の球形状微粉砕媒体で分散させることが示唆されているとしても、バインダー樹脂を含有する溶媒中で分散するものであり、分散後の平均粒径を0.1μm〜0.2μmとすることは記載されていない。
刊行物2には、フタロシアニン系顔料を球形状微粉砕媒体(ガラスビーズ)を有する分散装置で分散処理し、分散後の平均粒径が0.21μmの顔料分散液を得たことが記載されているが、バインダー樹脂を含有する溶媒中で分散するものであって、バインダー樹脂を含有しない溶媒中で平均粒径が0.4mm〜0.8mmの球形状微粉砕媒体と共に分散処理し、分散後の平均粒径を0.1〜0.2μmとすることは記載されていない。
刊行物3には、顔料をバインダー樹脂を含有する溶媒中で球形状微粉砕媒体(メディア)を用い分散処理する際、短時間で平均粒径が最低となる時点があることが記載されているが、実施例に具体的に記載されているものはアンスアンスロン系顔料のみであり、フタロシアニン系顔料を、分散処理し平均粒径を0.1〜0.2μmとすることは示されていない。
刊行物4には、フタロシアニン系顔料を、サンドグラインドミルを用い、バインダー樹脂を含有しない溶媒中で分散処理することが記載されているが、サンドグラインドミルの球形状微粉砕媒体の大きさも、分散後のフタロシアニン系顔料の平均粒径も記載されていない。
また、上記の訂正発明1の構成は、異議の申立てで提出されたその他の証拠にも何ら記載されていない。
そして、訂正発明1は、バインダー樹脂を含有しない溶媒中で、特定の粒径の球形状微粉砕媒体を用いることにより、短時間で、分散後の平均粒径を0.1〜0.2μmの分散液を得ることができ、該分散液を使用して高感度の感光体を得ることができるという特有の作用効果を奏するものである。
したがって、訂正発明1は、刊行物1ないし4に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

2)訂正発明2について
訂正発明2は、訂正発明1を引用し、さらに構成を限定した発明であるから、訂正発明1と同様の理由により、刊行物1ないし4に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

3)訂正発明3について
訂正発明3は訂正発明1または2の電子写真感光体用顔料分散液の製造方法によって得られた顔料分散液を用いて感光層を形成した電子写真感光体の製造方法に係る発明であり、訂正発明1、2と同様の理由により、刊行物1ないし4に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(4)以上のとおり、訂正後における特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。

第4 むすび
以上のとおりであるから、本件審判の請求は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項第1号ただし書き、第2項及び第3項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
電子写真感光体用顔料分散液の製造方法および電子写真感光体の製造方法
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも有機顔料粒子を分散してなる電子写真感光体用顔料分散液の製造方法において、前記有機顔料粒子がフタロシアニン系顔料粒子であり、当該有機顔料をバインダー樹脂を含有しない溶媒中で平均粒径が0.4mm〜0.8mmの球形状微粉砕媒体と共に分散処理し、分散後の平均粒径が0.1μm〜0.2μmの前記有機顔料粒子を得ることを特徴とする電子写真感光体用顔料分散液の製造方法。
【請求項2】
少なくとも有機顔料粒子を分散してなる電子写真感光体用顔料分散液の製造方法において、前記有機顔料粒子がフタロシアニン系顔料粒子であり、当該有機顔料をバインダー樹脂を含有しない溶媒中で平均粒径が0.4mm〜0.8mmの球形状微粉砕媒体と共に3時間から6時間分散処理し、分散後の平均粒径が0.1μm〜0.2μmの前記有機顔料粒子を得ることを特徴とする電子写真感光体用顔料分散液の製造方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載された電子写真感光体用顔料分散液の製造方法によって得られた顔料分散液を用いて感光層を形成することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、電子写真感光体用顔料分散液の製造方法および該顔料分散液を用いた電子写真感光体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真感光体は、導電性基体上に感光層を形成した基本構造を持っており、従来はこの感光層としてセレンを用いたものが一般的で、その他無機光導電物質として硫化カドミウムや酸化亜鉛等が知られている。しかし、近年、有機光導電物質を用いた電子写真感光体が、成膜性が良く塗工により生産できること、極めて生産性が高くコストが安価であること、また、使用する有機顔料の増感剤の選択により、感色性が自在にコントロールできること等の利点を有し、幅広い検討がなされている。特に有機光導電顔料を電荷発生層とし、光導電性ポリマーや低分子の有機光導電物質等からなる電荷輸送層を積層した機能分離型感光体の開発により、材料選択の幅が大きく広がり、従来の有機電子写真感光体の欠点とされてきた感度や耐久性も著しく改善された。
【0003】
この様な機能分離型感光体は、電荷発生層と電荷輸送層の少なくとも2層で形成されているため、電荷発生層で光により生成したキャリアが電荷輸送層に注入され、感光体の表面電荷を中和することにより静電潜像が得られるが、その過程における電荷発生層の役割は、極めて重要である。すなわち、キャリア発生量の多さ、また、発生均一さ、さらに、発生したキャリアをいかに効率良く電荷輸送層に注入するか、などの電気特性、画像特性等の電子写真特性は、電荷発生層に負うところが大きい。
【0004】
一般的に、電荷発生層が均一かつ平滑に形成されているほど電子写真特性は良好であると考えられている。即ち感光体の電子写真特性は電荷発生物質である有機顔料の結晶型および粒子サイズによって影響をうける。従来、電子写真用顔料分散液の製造方法としては、有機顔料を数時間から十数時間にわたりバインダーとともにボールミル、サンドグラインドミル、遊星ミル、ロールミル、アトライター等で溶媒中に分散する方法が一般的であり、分散条件の最適化を計れば一応の水準までは微細化可能である。通常、電荷発生層は0.1μm〜数μmの膜厚で形成されており、有機顔料の平均粒径は0.5μm以下好ましくは0.1μm〜0.2μm程度に粉砕、分散する必要がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、有機溶媒中で結晶転移が起こりやすい有機顔料では、分散条件のわずかなふれによって結晶型が変化し、分散液の経時安定性が異なったり、電子写真特性も分散バッチにより変動することもある。また、分散処理時間を長くした場合には、粗大粒子は減少するが、既に微分散されていた粒子は過度に分散されるため凝集性が増大し、分散中あるいは分散後において凝集粒子径が変化しやすく、分散液安定性を著しく悪くする。さらにこのように長い分散処理時間を必要とすることは生産性の面からも好ましくない。
【0006】
したがって、有機顔料を電子写真用の電荷発生層として使用する場合には、有機顔料の分散処理条件に電子写真特性は大きく影響され、より安定した分散方法が望まれているのが現状である。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者らは電子写真特性と有機顔料の分散処理条件の関係について詳細に検討したところ、同じ所定の平均粒径の顔料分散液を使用してもより短時間に分散を行なったもののほうが優れた電子写真特性を示すことがわかった。ここでより短時間に分散を進ませる手段として、ある特定の平均粒径を持つ球形状粉砕媒体を用いることが有効であることを見いだし、本発明に到達した。
【0008】
すなわち、1.少なくとも有機顔料粒子を分散してなる電子写真感光体用顔料分散液の製造方法において、前記有機顔料粒子がフタロシアニン系顔料粒子であり、当該有機顔料をバインダー樹脂を含有しない溶媒中で平均粒径が0.4mm〜0.8mmの球形状微粉砕媒体と共に分散処理し、分散後の平均粒径が0.1μm〜0.2μmの前記有機顔料粒子を得ることを特徴とする電子写真感光体用顔料分散液の製造方法、2.少なくとも有機顔料粒子を分散してなる電子写真感光体用顔料分散液の製造方法において、前記有機顔料粒子がフタロシアニン系顔料粒子であり、当該有機顔料をバインダー樹脂を含有しない溶媒中で平均粒径が0.4mm〜0.8mmの球形状微粉砕媒体と共に3時間から6時間分散処理し、分散後の平均粒径が0.1μm〜0.2μmの前記有機顔料粒子を得ることを特徴とする電子写真感光体用顔料分散液の製造方法、3.上述した電子写真感光体用顔料分散液の製造方法によって得られた顔料分散液を用いて感光層を形成することを特徴とする電子写真感光体の製造方法により上記課題が解決される。
【0009】
以下本発明を詳細に説明する。本発明では、有機顔料を溶媒中で特定の球形状微粉砕媒体と共に分散処理することによって顔料を短時間で均一な分散液とすることが可能である。特に微細な平均粒径が要求される電子写真用顔料分散液に含まれる電荷発生材料の分散に対して有効な手段となる。
【0010】
本発明で分散させる有機顔料としては、有機光導電材料として使用し得るものであれば特に限定は無い。例えばフタロシアニン系顔料を挙げることができる。この中でも、特にオキシチタニウムフタロシアニンがこのましい。
【0011】
これらの顔料を適当な有機溶剤、例えばメタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼン等の芳香族系溶剤、ジオキサン、テキラヒドロフラン等のエーテル系溶剤、その他ジメチルホルムアミド、アセトニトリル等各種溶剤を分散媒として被分散液に調製する。この時に、顔料等と分散媒だけをあらかじめ分散した後、バインダー樹脂を加える。バインダー樹脂としては、例えばポリエステル樹脂、ポリビニルアセテート、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリカーボネート、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルプロピオナール、ポリビニルブチラール、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、セルロースエステル、セルロースエーテル等が挙げられる。有機顔料とバインダー樹脂との割合は特に制限はないが一般的にはバインダー樹脂100重量部に対して有機顔料5〜500重量部の範囲から適当量選ぶことができる。また、この分散液において有機顔料の濃度は0.1重量%から10重量%の範囲で塗工方法に適した濃度として使用されることが好ましい。
【0012】
また、本発明の顔料分散液は、必要に応じて電荷輸送材料またはその他の材料を含んでいても良い。電荷輸送材料としては、例えばトリニトロフルオレノン、テトラシアノキノジメタンなどの電子吸引性物質、カルバゾール、インドール、イミダゾール、オキサゾール、ピラゾール、オキサジアゾール、ピラゾリン、チアジアゾールなどの複素環化合物、アニリン誘導体、ヒドラゾン誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、あるいはこれらの化合物からなる基を主鎖もしくは側鎖に有する重合体等の電子供与性物質が挙げられる。電荷輸送材料とバインダー樹脂との割合はバインダー樹脂100重量部に対して電荷輸送材料が5〜500重量部の範囲より使用される。
【0013】
分散処理方法としては例えばボールミル、サンドグラインドミル、アトライター等の公知の撹拌ミルを用いることができる。使用する球形状微粉砕媒体としては、例えば、ガラス、Al2O3、ZrO2、ステンレス、セラミックス等のビーズあるいはボール等が挙げられ、分散処理中は化学変化あるいは物理変化を起さず、分散処理後は容易に分離できるものであることが必要である。
【0014】
球形状微粉砕媒体の量は、被分散液の量に対して容積比で0.5倍ないし5倍の範囲で通常使用される。また球形状微粉砕媒体の平均粒径としては0.4〜0.8mmのものを用いることができ、特により小さい平均粒径の球形状微粉砕媒体がより短時間で均一な分散液とするのに有効であるため、0.4〜0.6mmが特に好ましい。分散処理時間は、適宜決めることができるが、分散終了時点で有機顔料の平均粒径が0.5μm以下好ましくは0.1μm〜0.2μm程度になっていることが望ましい。なお、分散時間としては、3時間から6時間が好ましい。
【0015】
このようにして調製された顔料分散液を用いて得た感光層は、導電性基体上に電荷発生層、電荷輸送層をこの順に積層させて感光層を形成した感光体、あるいは逆に電荷輸送層の上に電荷発生層を積層した感光体、あるいは電荷輸送媒体中に電荷発生材料を分散したいわゆる分散型の感光体等のいずれの感光体にも用いることができる。通常、上記積層型の電荷発生層または分散型感光体の感光層形成に用いられる。
【0016】
顔料分散液の塗工は、ディップコーティング法、スプレーコーティング法、スピンコーティング法、ビードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法、ローラーカーテンコーティング法等を用いて行なうことができる。乾燥は、室温における指触乾燥後、加熱乾燥をする方が好ましい。加熱乾燥は、30℃〜200℃の温度で5分〜2時間の範囲で静止または送風下で行なうことができる。
【0017】
電荷発生層の膜厚は電荷輸送層と積層させて感光層を形成する場合0.1μm〜10μmの範囲が好適であり電荷輸送層の膜厚は5μm〜60μmが好適である。分散型感光体の場合の膜厚は5μm〜60μmが好適である。電荷輸送層を設ける場合、そこに使用される電荷輸送材料としては、前記電荷輸送材料として例示した材料を使用することができる。これら電荷輸送材料とともに必要に応じてバインダー樹脂が配合される。バインダー樹脂としては、例えば前記バインダー樹脂として例示したものを使用することができる。感光層には、必要に応じて塗布性を改善するためのレベリング剤や酸化防止剤、増感剤等の各種添加剤を混合してもよい。
【0018】
感光層は、導電性支持体上に設けられるが導電性支持体としては、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル等の金属材料、表面にアルミニウム、銅、パラジウム、酸化スズ、酸化インジウム等の導電性層を設けたポリエステルフィルム、紙、ガラス等の絶縁性支持体が使用される。導電性支持体と感光層の間には通常使用されるような公知のバリアー層が設けられていてもよい。
【0019】
バリアー層としては、例えばアルミニウム陽極酸化被膜、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム等の無機層、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、セルロース類、ゼラチン、デンプン、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミド等の有機層が使用される。バリアー層の膜厚は0.1μm〜20μmの範囲が好ましく、0.1μm〜10μmの範囲で使用されるのが最も効果的である。
【0020】
【発明の効果】
本発明の方法により有機顔料を溶媒中で特定の球形状微粉砕媒体と共に分散処理することにより好ましい平均粒径の有機顔料を短時間で得ることができる。又比較的短時間で所定の平均粒径を有する顔料分散液を得、該顔料分散液を用いて電子写真感光体を製造することにより、高感度の電子写真感光体を得ることができる。
【0021】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕次式(1)に示す構造のオキシチタニウムフタロシアニン4重量部に
【0022】
【化1】

【0023】
1,2-ジメトキシエタン60重量部を加え、サンドミル装置に供給して粉砕した。続いて、被分散液と等容積の平均粒径0.4mmガラスビーズを用い3時間分散処理を行ない、顔料平均粒径が0.20μmのオキシチタニウムフタロシアニン顔料を得た。次にポリビニルブチラール樹脂2重量部の1%1,2-ジメトキシエタン溶液と混合して顔料分散液を調製した。
【0024】
この顔料分散液をポリエステルフィルム上に蒸着したアルミニウム蒸着面にバーコータにより乾燥後の膜厚が0.4μmとなるように電荷発生層を設けた。次にこの電荷発生層の上に次式(2)に示すヒドラゾン化合物56重量部と次式(3)に示すヒドラゾン化合物14重量部および次式(4)に示すシアノ化合物1.5重量部
【0025】
【化2】

【0026】
【化3】

【0027】
【化4】

【0028】
およびポリカーボネート樹脂100重量部を1,4-ジオキサン1000重量部に溶解させた液をフィルムアプリケータにより塗布し、乾燥後の膜厚が17μmとなるように電荷輸送層を設け、感光体を得た。
【0029】
〔実施例2〕実施例1において用いた0.4mmガラスビーズに代えて平均粒径0.6mmガラスビーズを用い6時間分散処理を行ない、顔料平均粒径が0.20μmのオキシチタニウムフタロシアニン顔料を得た以外は実施例1と同様にして分散液を調製した。また、この分散液から実施例1と同様にして感光体を作成した。
【0030】
〔比較例1〕実施例1において用いた0.6mmガラスビーズに代えて平均粒径1.2mmガラスビースを用い10時間分散処理を行ない顔料平均粒径が0.21μmのオキシチタニウムフタロシアニン顔料を得た以外は実施例1と同様にして分散液を調製した。また、この分散液から実施例1と同様にして感光体を作成した。
【0031】
比較例2
実施例1において用いた0.6mmガラスビースに代えて平均粒径1.2mmガラスビーズを用い4時間分散処理を行ない顔料平均粒径が0.65μmのオキシチタニウムフタロシアニン顔料を得た以外は実施例1と同様にして分散液を調製した。また、この分散液から実施例1と同様にして感光体を作成した。
【0032】
実施例1、実施例2、比較例1および比較例2の顔料の平均粒径は、堀場製作所(株)製粒度分布測定装置「CAPA-500」を用いて調べた。さらに、上記各例で得られた感光体は、初期電気特性として半減露光量を静電複写紙試験装置(川口電気製作所製、EPA-8100)を用いて測定した。その結果を表1に示す。
【0033】
【表1】

【0034】
表1の結果から、本発明によれば、分散処理時間が著しく短縮され、同じ分散処理時間の下ではより小さい平均粒径をもつビーズを使用することが有効であることがわかり、また、平均粒径の小さなビーズを用いて調製した分散液すなわち短時間に分散を進ませた分散液のほうが、優れた感度を有する感光体を得ることができることがわかる。
【0035】
〔参考例1〕下記構造式のビスアゾ顔料4重量部に
【0036】
【化5】

【0037】
1,2-ジメトキシエタン60重量部を加え、サンドミル装置に供給して粉砕した。続いて、被分散液と等容積の平均粒径0.5mmガラスビーズを用い3時間分散処理を行ない、顔料平均粒径が0.11μmのビスアゾ顔料を得た。次にポリビニルブチラール樹脂2重量部の1%1,2-ジメトキシエタン溶液と混合して顔料分散液を調製した。また、この分散液から実施例1と同様にして感光体を作成した。
【0038】
〔参考例2〕参考例1において用いた0.5mmガラスビーズに代えて平均粒径0.8mmガラスビーズを用い3時間分散処理を行ない顔料平均粒径が0.13μmのアゾビス顔料を得た以外は参考例1と同様にして分散液を調製した。また、この分散液から実施例1と同様にして感光体を作成した。
【0039】
〔比較例3〕参考例1において用いた0.5mmガラスビーズに代えて1.0mmガラスビースを用い4時間分散処理を行ない顔料平均粒径が0.12μmのアゾビス顔料を得た以外は参考例1と同様にして分散液を調製した。また、この分散液から実施例1と同様にして感光体を作成した。
【0040】
〔比較例4〕参考例1において用いた0.5mmガラスビーズに代えて平均粒径1.0mmガラスビーズを用い2時間分散処理を行ない顔料平均粒径が0.40μmのアゾビス顔料を得た以外は参考例1と同様にして分散液を調製した。また、この分散液から実施例1と同様にして感光体を作成した。
【0041】
参考例1、参考例2、比較例3および比較例4の顔料の平均粒径は、堀場製作所(株)製粒度分布測定装置「CAPA-500」を用いて調べた。さらに、上記各例で得られた感光体は、初期電気特性として半減露光量を静電複写紙試験装置(川口電気製作所製、EPA-8100)を用いて測定した。その結果を表2に示す。
【0042】
【表2】

【0043】
表2の結果から、本発明によれば、分散処理時間が著しく短縮され、同じ分散処理時間の下ではより小さな平均粒径をもつビーズを使用することが有効であることがわかり、また、平均粒径の小さなビーズを用いて調製した分散液すなわち短時間に分散を進ませた分散液のほうが、優れた感度を有する感光体を得ることができることがわかる。
【0044】
以上で明らかなように、本発明は、有機顔料を溶媒中で特定の球形状微粉砕媒体と共に分散処理する顔料分散液製造方法において、平均粒径が0.4mm〜0.8mmの球形状微粉砕媒体を用いることにより高い生産性すなわち短時間で顔料分散液を得ることができ、該顔料分散液を用いて電子写真感光体を製造することにより、高感度の電子写真感光体を提供できる。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2005-09-16 
出願番号 特願2001-62328(P2001-62328)
審決分類 P 1 41・ 121- Y (G03G)
最終処分 成立  
前審関与審査官 磯貝 香苗  
特許庁審判長 江藤 保子
特許庁審判官 阿久津 弘
山口 由木
前田 佳与子
秋月 美紀子
登録日 2002-09-06 
登録番号 特許第3346416号(P3346416)
発明の名称 電子写真感光体用顔料分散液の製造方法および電子写真感光体の製造方法  
代理人 奥野 彰彦  
代理人 奥野 彰彦  
代理人 大野 聖二  
代理人 大野 聖二  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ