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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性 訂正を認める。無効とする(申立て全部成立) E03F
管理番号 1126406
審判番号 無効2002-35465  
総通号数 73 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1995-11-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2002-10-28 
確定日 2005-10-11 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第2775392号発明「透水性舗装路面用側溝」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 特許第2775392号の請求項に係る発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 
理由 1.経緯

平成 6年 5月19日 出願(特願平6-131091号)
平成10年 5月 1日 登録(特許第2775392号)
平成14年10月28日 無効審判請求(本件事件)
平成15年 1月27日 審判事件答弁書及び訂正請求書提出
平成15年 4月14日 審判事件弁駁書提出
平成15年 4月23日 請求人、上申書提出
平成15年 6月11日 被請求人、口頭審理陳述要領書提出
平成15年 6月20日 請求人、口頭審理陳述要領書、上申書提出
平成15年 6月20日 被請求人、上申書提出
平成15年 6月20日 大阪の特許庁審判廷で口頭審理
平成15年 9月 2日 請求人、手続補正書提出(承諾書)
平成15年 9月12日 無効理由通知
平成15年11月12日 被請求人より意見書

2.請求人の請求の趣旨、無効理由及び被請求人の答弁の趣旨

(1)請求人は、「特許第2775392号の明細書の請求項1ないし3に係る発明についての特許を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする」との審決を求め、無効理由として次のように主張する。
審判請求の理由は、平成15年6月20日付け口頭審理陳述要領書に記載したとおりで、その要旨は次のとおりである。
(ア)平成15年1月27日付けの訂正は、新規事項を含み、適法ではない。
(イ)本件特許発明1ないし3は、甲第1号証ないし第5号証に記載された発明に基づき当業者が容易に発明することができたものである。
(ウ)本件発明は、甲第1号証及び参考資料2に記載された発明に基づき当業者が容易に発明をすることができたものである。
また、審判請求書記載している無効理由2(特許法第36条第6項第2号に関する無効理由)については請求を取下げている。
(2)一方、被請求人は、「本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする」との審決を求め、答弁の理由については、平成15年6月11日付け口頭審理陳述要領書に記載したとおりで、その要旨は次のとおりである。
(ア)訂正後の本件特許発明1ないし3は、甲第1号証ないし第5号証に記載された発明とは技術分野を異にし、また、解決課題も異なるから、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(イ)訂正請求は不明瞭な記載の釈明を目的とし、新規事項でない、というものであり、また、請求人提出の証拠の成立性については、甲第1号証ないし第5号証、参考資料1ないし3について認め、参考資料1については公知であることを認めるものである。

3.本件訂正発明

(1)平成15年1月27日付けでされた訂正請求は、明細書の明りょうでない記載の釈明を目的として、次のように訂正するものである。
(ア)訂正事項1
発明の名称を「排水性舗装道路用側溝」と訂正する。
(イ)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1を
「【請求項1】 不透水性の下地層表面に透水性を有する表層が施工された排水性舗装道路内に埋設されてなる側溝であって、この側溝は底部と側壁とを備えた筺体とこの筺体内部に形成される排水路とから構成され、前記側壁には前記排水路と連通する導水口が設けられ、該導水口の開口部が舗装道路内の表層と下地層との境界又は境界よりも若干下部に設けられてなることを特徴とする排水性舗装路面用側溝。」
と訂正する。
(ウ)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項2を
「【請求項2】 不透水性の下地層表面に透水性を有する表層が施工された排水性舗装道路内に埋設されてなる側溝であって、この側溝は底部と側壁とを備えた筺体とこの筺体内部に形成される排水路とから構成され、前記側壁には前記排水路と連通する導水口が設けられ、該導水口が側壁の長手方向に沿った一本の筋状に設けられ、該導水口の開口部が舗装道路内の表層と下地層との境界又は境界よりも若干下部に設けられてなることを特徴とする排水性舗装路面用側溝。」
と訂正する。
(エ)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項3を
【請求項3】 不透水性の下地層表面に透水性を有する表層が施工された排水性舗装道路内に埋設されてなる側溝であって、この側溝は底部と側壁とを備えた筺体とこの筺体内部に形成される排水路とから構成され、前記側壁には前記排水路と連通する導水口が設けられ、該導水口は開口部とこの開口部と連通する通水部とから形成され、前記開口部の開口径が通水部の口径よりも径大とされ、該導水口の開口部が舗装道路内の表層と下地層との境界又は境界よりも若干下部に設けられてなることを特徴とする排水性舗装路面用側溝。
と訂正する。
(オ)訂正事項5
発明の詳細な説明で使用されている「透水性舗装」を「排水性舗装」と訂正する。
(2)訂正された特許請求の範囲の請求項1ないし3に係る発明は上記訂正事項2ないし4に記載されたとおりのものである。
(以下、上記請求項1ないし3に記載された発明を「本件訂正発明1ないし3」という。)

4.訂正の適否について
本件特許明細書において、舗装道路に関し、従来、透水性を有する表層の下地として不透水性の下地層が使用されており、雨水等が地下へ円滑に浸透されないという課題があり(段落番号0004)、本件発明はその課題を解決すべく請求項記載の構成としたものであり、透水性の表層と不透水性の下地層を有する点において従来の技術と変わりはなく、導水口は、透水性表層と不透水性の下地層との境界又は境界よりも上部に貯留した雨水等を集水して排水路へと導く(段落番号0008、0010)ものであるから、雨水等は不透水性の下地層には浸透しないと考えられる。
そうすると、特許明細書における舗装道路は、いわゆる「排水性舗装道路」(請求人提出の参考資料1参照)ということができ、上記訂正(「透水性舗装道路」を「排水性舗装道路」と訂正すること)は、業界において用いられていた用語に訂正するものであって、明りょうでない記載の釈明を目的とするものと認められる。
そして、上記訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、変更するものでもない。
したがって、上記訂正は適法なものといえる。

5.無効理由について

5-1 無効理由通知の要旨
平成15年9月12日付けでした無効理由通知の要旨は、訂正後の発明(本件訂正発明1ないし3)について、
(1)「アスファルト舗装要綱」206〜207頁、社団法人日本道路協会、平成5年1月16日発行(請求人提出の参考資料1)(刊行物1)
(2)実願昭63-128798号(実開平2-50483号公報)のマイクロフィルム(請求人提出の参考資料2)(刊行物2)
(3)実願昭58-99480号(実開昭60-8774号公報)のマイクロフィルム(請求人提出の甲第4号証)(刊行物3)
を示して、本件訂正発明1は、刊行物1、2記載の発明から当業者が容易に発明できたものであり、本件訂正発明2及び3は、刊行物1〜3記載の発明から当業者が容易に発明できたものであり、いずれの発明も特許法第29条第2項に該当し、特許法第123条第1項第2号の規定に該当する、というものであった。

5-2 本件特許出願前に頒布された刊行物及びそこに記載された事項
本件特許出願前に頒布され、無効理由通知で示した上記刊行物には、以下の記載が認められる。
(1)「アスファルト舗装要綱」206〜207頁、社団法人日本道路協会、平成5年1月16日発行(請求人提出の参考資料1。平成15年6月20日大阪の特許庁審判廷における口頭審理において、被請求人はこの刊行物の成立及び公知を認めている。)(以下、刊行物1という。)
206頁の「9-5-2 舗装構成」には、「排水性舗装の舗装構成は、表層または表層・基層に排水性舗装用アスファルト混合物を使用し、下の層が不透水層で、雨水等が舗装内部に滞留しない構成とする。」と記載され、「【解説】(1)標準的な舗装の構成例を図-9.5.1に示す。(a)は路肩へ排水する場合、(b)は側溝がある場合である。いずれの場合も基層以下への雨水の浸透は避けるとともに、排水性舗装内に湛水しない構造としなければならない。そのため、排水性舗装の下面には、不透水性層としての役割をもつシール層が必要で・・」と記載され、「図-9.5.1 標準的な舗装構成例(矢印は雨水の流れ)」の「(b)側溝排水の場合」の図において、路盤の上部に順に不透水層と排水性舗装用アスファルト混合物の層が記載され、これらの層の左側に側溝が記載され、雨水が排水性舗装用アスファルト混合物の層から側溝に流れ込む様子が図示されている。
しかしながら、側溝自体が具体的にどのような構造であるのか図面のみからは明確でなく、次の3つの態様が考えられる。
(ア)側溝自体の構造は、図面において実線で示されたように、底部と側壁と天井部を備えた筺体であって、側壁の一方は雨水等が流れ込むように他方より低くなっている開口(側溝の長手方向に沿った開口を含む)が設けられ、筺体内部には排水路が形成されている態様。(被請求人提出の平成15年11月12日付け意見書の参考図1参照)
(イ)側溝自体の構造は、底部と側壁を備え上部が開放されている筺体であって、側壁の一方は雨水等が流れ込むように他方より低くなっている切欠部(側溝の長手方向に沿った切欠部を含む)が設けられ、筺体内部には排水路が形成されている態様。(同参考図4参照)
(ウ)側溝自体の構造は、底部と側壁を備え上部が開放されている略U字状の筺体であって、側壁部には開口が設けられておらず、筺体内部には排水路が形成されている態様。(同参考図3参照)
上記(イ)の態様の場合、側壁の切欠部は開口といえるから、刊行物1には次のいずれかの発明が記載されていると認められる。
[上記(ア)又は(イ)の態様の場合]
「不透水性の下地層表面に透水性を有する排水性舗装用アスファルト混合物の層が施工された排水性舗装道路内に埋設されてなる側溝であって、この側溝は底部と側壁とを備えた筺体とこの筺体内部に形成される排水路とから構成され、前記側壁には前記排水路と連通する開口が設けられている排水性舗装路面用側溝。」(以下、刊行物1発明1という。)
[上記(ウ)の態様の場合]
「不透水性の下地層表面に透水性を有する排水性舗装用アスファルト混合物の層が施工された排水性舗装道路内に埋設されてなる側溝であって、この側溝は底部と側壁とを備えた筺体とこの筺体内部に形成される排水路とから構成されている排水性舗装路面用側溝。」(以下、刊行物1発明2という。)
(2)実願昭63-128798号(実開平2-50483号公報)のマイクロフィルム(請求人提出の参考資料2)(以下、刊行物2という。)
(ア)実用新案登録請求の範囲
「内部に排水流路を有し、該排水流路に連通する導入穴を側面の上部に開設した排水管を埋設し、一側に向かって下り傾斜する流水面を上面に有する流水ブロックを上記流水面の傾斜下端が導入穴に臨む状態で上記排水管の側方に埋設し、該流水ブロック上に透水性を有する透水ブロックを載置して該透水ブロックの上面を地表に露出させてなる雨水等の排水構造物。」
(イ)6頁10行ないし16行
「流水ブロック2を埋設する場合には流水面6の傾斜下端が排水管1の導入穴5の入り口の開口下縁と同じか僅かに高くなるように配置し・・・流水ブロック2の流水面6上に透水ブロック3を載置する。」
(ウ)7頁7行ないし11行
「雨水は透水ブロック3の空隙内に染み込んで、流水ブロック2の流水面6上に流下する。そして、この雨水は、流水面6の下り傾斜により流下して排水管1の導入穴5を通って排水流路4内に流れ込む。」
(3)実願昭58-99480号(実開昭60-8774号公報)のマイクロフィルム(請求人提出の甲第4号証)(以下、刊行物3という。)
(ア)実用新案登録請求の範囲
「側壁部に集水孔を有するU字溝において、前記側壁部の外面に前記集水孔の下端に接して段状の水みちを設けたことを特徴とする集水孔付U字溝」
(イ)2頁14行〜3頁12行
「第1図〜第3図において、1はU字溝、4は集水孔、5は水みちである。・・集水孔4は・・本実施例の場合、第3図に示すごとく集水孔4の外径を内径より大きくし・・ている。水みち5は側壁部2の外面に、集水孔4の下端に接して設けられている。水みちより上部の側壁部に付着した水は、まず側壁部をほぼ垂直に水みち5まで流れ落ち、しかる後水みち5に沿って集水孔4まで流れ、集水孔4を通ってU字溝内に流入するのである。水みちのU字溝外側面における形状は、水平でもよい・・」
(ウ)3頁18行〜4頁6行
「第5図において・・・(d)、(e)は側壁部の断面形状を凹として段状の水みち25d、25eを設けた例である。」

5-3「刊行物1発明1」との対比、判断
(1)本件訂正発明1について
(ア)対比
刊行物1発明1の排水性舗装用アスファルト混合物の層、及び側壁に設けられた開口は、本件訂正発明1の表層、及び導水口に相当するから、本件訂正発明1と刊行物1発明1との一致点及び相違点は次のとおりであると認められる。
[一致点]
「不透水性の下地層表面に透水性を有する表層が施工された排水性舗装道路内に埋設されてなる側溝であって、この側溝は底部と側壁とを備えた筺体とこの筺体内部に形成される排水路とから構成され、前記側壁には前記排水路と連通する導水口が設けられてなることを特徴とする排水性舗装路面用側溝。」
[相違点]
本件訂正発明1の側溝の側壁に設けられた導水口の開口部は、舗装道路内の表層と下地層との境界又は境界よりも若干下部に設けられているのに対し、刊行物1発明1の導水口の開口部は、舗装道路内の表層と下地層との境界又は境界よりも若干下部に設けられているかどうか明確でない点。
(イ)判断
刊行物2には、流水ブロック2の上面の傾斜した流水面6の下端が、排水管1の側壁に設けられた導入穴5の入り口の開口下縁と同じか僅かに高くなるように配置されることによって、流水ブロック2の流水面6上に載置された透水ブロック3から染み込んだ雨水等が流水面6の下り傾斜により流下して排水管1の導入穴5を通って排水流路4内に流れ込む技術的事項が記載されており、流水面6からは雨水等が浸透しないと考えられ、刊行物2に記載されたものの「排水管」は本件訂正発明1の「側溝」に対応し、また、「流水ブロック2」、「透水ブロック3」はそれぞれ本件訂正発明1の「不透水性の下地層」、「透水性を有する表層」に相当するから、本件訂正発明1の上記相違点に係る構成は、刊行物2に記載されているといえる。
そして、刊行物2に記載された上記技術的事項を刊行物1発明1に適用して本件訂正発明1のようにすることは当業者が容易に想到できたことにすぎない。
また、本件訂正発明1の作用効果も顕著ではない。
したがって、本件訂正発明1は、刊行物1、2記載の発明から当業者が容易に発明できたものであり、特許法第29条第2項に該当するものである。
(ウ)被請求人の主張に対して
被請求人は、意見書において、刊行物2記載の発明は、テニスコート等の砂地の多い場所に使用されるものであって、「排水性舗装道路」に適用されるものでもなければ「道路」に適用されるものですらなく、本件訂正発明とは異質の技術分野に属するものであるから、刊行物2は本件訂正発明の無効理由を構成する先行技術文献とは成り得ない旨主張する(意見書7頁〜9頁の3.2の項)。
しかしながら、刊行物2には、透水ブロック(透水層)から浸透した雨水等を流水ブロック(不透水層)の表面から排水管内へ流れ込ませるに当たり、排水管の側壁に設けた導入穴の開口部を透水層と不透水層の境界に設けることによって、透水層内に浸透した雨水等を効率よく排水するという技術思想が示されており、この技術思想を刊行物1発明1に適用することを妨げる理由はない。被請求人は、殆ど荷重が加わらないテニスコート等の非道路と、大きな荷重が加わる排水性舗装道路に適用されるものとは、その適用条件が著しく相違していることを阻害要件と主張しているが、大きな荷重の加わる場所に適用する場合には、排水管の強度を大きくすれば足りるのであるから、何ら阻害要因にならない。
(2)本件訂正発明2について
(ア)対比
本件訂正発明1についての検討を踏まえ、本件訂正発明2と刊行物1発明1とを対比すると、両者の一致点及び相違点は次のとおりであると認められる。
[一致点]
「不透水性の下地層表面に透水性を有する表層が施工された排水性舗装道路内に埋設されてなる側溝であって、この側溝は底部と側壁とを備えた筺体とこの筺体内部に形成される排水路とから構成され、前記側壁には前記排水路と連通する導水口が設けられてなることを特徴とする排水性舗装路面用側溝。」
[相違点1]
本件訂正発明2の側溝の側壁に設けられた導水口の開口部は、舗装道路内の表層と下地層との境界又は境界よりも若干下部に設けられているのに対し、刊行物1発明1の導水口の開口部は、舗装道路内の表層と下地層との境界又は境界よりも若干下部に設けられているかどうか明確でない点。
[相違点2]
本件訂正発明2の導水口は、側壁の長手方向に沿った一本の筋状に設けられているのに対し、刊行物1発明1の側溝の側壁に設けられた導水口はそのようになっていない点。
(イ)判断
相違点1についての判断は、上記本件訂正発明1の相違点においてした判断と同じである。
次に、相違点2については、本件訂正発明2において、導水口は、「雨水等を集水して排水路(3)へと導くために設けられるものであ」(段落番号0008)り、「雨水等の集水性がより向上」(段落番号0009)させるために、導水口(の開口部を)側壁の長手方向に沿って一本の筋状に設けられている。
しかしながら、集水効率をよくするために、導水口の形状を本件訂正発明2の相違点2に係る構成のようにすることは、U字溝の側壁部の外面に凹状の水みちを設けることによって、水が集水孔に向かって流れやすくすることが、刊行物3の特に第5図の(d)、(e)に示されていることを考慮すると、刊行物2に記載された導入穴の形状を上記相違点2に係る構成とすることは、当業者が適宜できる設計的事項にすぎない。
また、本件訂正発明2の作用効果も顕著ではない。
したがって、本件訂正発明2は、刊行物1〜3記載の発明から当業者が容易に発明できたものであり、特許法第29条第2項に該当するものである。
(ウ)被請求人は意見書において、刊行物3記載の発明は本件訂正発明と大きくかけ離れた技術分野に属するものであるから、本件訂正発明の無効理由を構成する先行技術文献とは成り得ない旨主張する(意見書9頁〜10頁の3.3の項)。
しかしながら、刊行物3には、U字溝の側壁部の外面に凹状の水みちを設けることによって、水が集水孔に向かって流れやすくし、集水効率をよくすることが記載されており、上記相違点2のように、集水効率をよくするために導水口の形状を筋状にすることは、当業者が適宜できることであって、適用される技術分野が異なるとしてもそのことは何ら阻害要件とならない。
(3)本件訂正発明3について
(ア)対比
本件訂正発明3と刊行物1発明2とを対比すると、両者の一致点及び相違点は次のとおりであると認められる。
[一致点]
「不透水性の下地層表面に透水性を有する表層が施工された排水性舗装道路内に埋設されてなる側溝であって、この側溝は底部と側壁とを備えた筺体とこの筺体内部に形成される排水路とから構成され、前記側壁には前記排水路と連通する導水口が設けられてなることを特徴とする排水性舗装路面用側溝。」
[相違点1]
本件訂正発明3の側溝の側壁に設けられた導水口の開口部は、舗装道路内の表層と下地層との境界又は境界よりも若干下部に設けられているのに対し、刊行物1発明1の導水口の開口部は、舗装道路内の表層と下地層との境界又は境界よりも若干下部に設けられているかどうか明確でない点。
[相違点2]
本件訂正発明3の導水口の開口部は、その開口径が通水部の口径よりも径大とされているのに対し、刊行物1発明1の側溝の側壁に設けられた導水口はそのようになっていない点。
(イ)判断
相違点1についての判断は、上記本件訂正発明1の相違点においてした判断と同じである。
次に、相違点2については、本件訂正発明3において、導水口は、「雨水等を集水して排水路(3)へと導くために設けられるものであるから、道路内に貯留した雨水等を集水しやすい形状としておく必要がある。・・・導水口(5)の貫通を大きくすると、側溝(1)自体の強度が低下してしまうため、少なくとも開口部(51)の通水部(52)よりも径大とし、集水しやすい形状としておくのが望ましい」(段落番号0008)ことから、開口部は、その開口径が通水部の口径よりも径大とされている。
しかしながら、集水効率をよくするために、導水口の形状を本件訂正発明3の相違点2に係る構成のようにすることは、常套手段であって、例えば刊行物3の第3図にも記載されている。そうすると、本件訂正発明3の相違点3に係る構成は当業者が適宜できる設計的事項にすぎない。
また、本件訂正発明2の作用効果も顕著ではない。
したがって、本件訂正発明3は、刊行物1〜3記載の発明から当業者が容易に発明できたものであり、特許法第29条第2項に該当するものである。

5-4「刊行物1発明2」との対比、判断
(1)本件訂正発明1について
(ア)対比
刊行物1発明2の排水性舗装用アスファルト混合物の層は、本件訂正発明1の表層に相当するから、本件訂正発明1と刊行物1発明2との一致点及び相違点は次のとおりであると認められる。
[一致点]
「不透水性の下地層表面に透水性を有する表層が施工された排水性舗装道路内に埋設されてなる側溝であって、この側溝は底部と側壁とを備えた筺体とこの筺体内部に形成される排水路とから構成されてなることを特徴とする排水性舗装路面用側溝。」
[相違点]
本件訂正発明1の側溝の側壁には、排水路と連通する導水口が設けられ、該導水口の開口部が舗装道路内の表層と下地層との境界又は境界よりも若干下部に設けられているのに対し、刊行物1発明2の側溝の側壁には導水口が設けられておらず、したがって導水口の開口部が舗装道路内の表層と下地層との境界又は境界よりも若干下部に設けられているものではない点。
(イ)判断
刊行物2には、流水ブロック2の上面の傾斜した流水面6の下端が、排水管1の側壁に設けられた導入穴5の入り口の開口下縁と同じか僅かに高くなるように配置されることによって、流水ブロック2の流水面6上に載置された透水ブロック3から染み込んだ雨水等が流水面6の下り傾斜により流下して排水管1の導入穴5を通って排水流路4内に流れ込む技術的事項が記載されており、流水面6からは雨水等が浸透しないと考えられ、刊行物2に記載されたものの「排水管」は本件訂正発明1の「側溝」に対応し、また、「流水ブロック2」、「透水ブロック3」はそれぞれ本件訂正発明1の「不透水性の下地層」、「透水性を有する表層」に相当するから、本件訂正発明1の上記相違点に係る構成は、刊行物2に記載されているといえる。
そして、刊行物2に記載された上記技術的事項を刊行物1発明2に適用して本件訂正発明1のようにすることは当業者が容易に想到できたことにすぎない。
また、本件訂正発明1の作用効果も顕著ではない。
したがって、本件訂正発明1は、刊行物1、2記載の発明から当業者が容易に発明できたものであり、特許法第29条第2項に該当するものである。
(ウ)被請求人の主張に対して
被請求人の主張及びそれに対する検討は上記5-3の(1)の(ウ)に記載したとおりである。
(2)本件訂正発明2について
(ア)対比
本件訂正発明1についての検討を踏まえ、本件訂正発明2と刊行物1発明2とを対比すると、両者の一致点及び相違点は次のとおりであると認められる。
[一致点]
「不透水性の下地層表面に透水性を有する表層が施工された排水性舗装道路内に埋設されてなる側溝であって、この側溝は底部と側壁とを備えた筺体とこの筺体内部に形成される排水路とから構成されてなることを特徴とする排水性舗装路面用側溝。」
[相違点1]
本件訂正発明2の側溝の側壁には、排水路と連通する導水口が設けられ、該導水口の開口部が舗装道路内の表層と下地層との境界又は境界よりも若干下部に設けられているのに対し、刊行物1発明2の側溝の側壁には導水口が設けられておらず、したがって導水口の開口部が舗装道路内の表層と下地層との境界又は境界よりも若干下部に設けられているものではない点。
[相違点2]
本件訂正発明2の導水口は、側壁の長手方向に沿った一本の筋状に設けられているのに対し、刊行物1発明2の側溝の側壁には導水口が設けられていない点。
(イ)判断
相違点1についての判断は、上記本件訂正発明1の相違点においてした判断と同じである。
次に、相違点2については、本件訂正発明2において、導水口は、「雨水等を集水して排水路(3)へと導くために設けられるものであ」(段落番号0008)り、「雨水等の集水性がより向上」(段落番号0009)させるために、導水口(の開口部を)側壁の長手方向に沿って一本の筋状に設けられている。
しかしながら、集水効率をよくするために、導水口の形状を本件訂正発明2の相違点2に係る構成のようにすることは、U字溝の側壁部の外面に凹状の水みちを設けることによって、水が集水孔に向かって流れやすくすることが、刊行物3の特に第5図の(d)、(e)に示されていることを考慮すると、刊行物2に記載された導入穴の形状を上記相違点2に係る構成とすることは、当業者が適宜できる設計的事項にすぎない。
また、本件訂正発明2の作用効果も顕著ではない。
したがって、本件訂正発明2は、刊行物1〜3記載の発明から当業者が容易に発明できたものであり、特許法第29条第2項に該当するものである。
(ウ)被請求人の主張に対して
被請求人の主張及びそれに対する検討は上記5-3の(2)の(ウ)に記載したとおりである。
(3)本件訂正発明3について
(ア)対比
本件訂正発明3と刊行物1発明2とを対比すると、両者の一致点及び相違点は次のとおりであると認められる。
[一致点]
「不透水性の下地層表面に透水性を有する表層が施工された排水性舗装道路内に埋設されてなる側溝であって、この側溝は底部と側壁とを備えた筺体とこの筺体内部に形成される排水路とから構成されてなることを特徴とする排水性舗装路面用側溝。」
[相違点1]
本件訂正発明3の側溝の側壁には、排水路と連通する導水口が設けられ、該導水口の開口部が舗装道路内の表層と下地層との境界又は境界よりも若干下部に設けられているのに対し、刊行物1発明2の側溝の側壁には導水口が設けられておらず、したがって導水口の開口部が舗装道路内の表層と下地層との境界又は境界よりも若干下部に設けられているものではない点。
[相違点2]
本件訂正発明3の導水口の開口部は、その開口径が通水部の口径よりも径大とされているのに対し、刊行物1発明2の側溝の側壁には導水口が設けられていない点。
(イ)判断
相違点1についての判断は、上記本件訂正発明1の相違点においてした判断と同じである。
次に、相違点2については、本件訂正発明3において、導水口は、「雨水等を集水して排水路(3)へと導くために設けられるものであるから、道路内に貯留した雨水等を集水しやすい形状としておく必要がある。・・・導水口(5)の貫通を大きくすると、側溝(1)自体の強度が低下してしまうため、少なくとも開口部(51)の通水部(52)よりも径大とし、集水しやすい形状としておくのが望ましい」(段落番号0008)ことから、開口部は、その開口径が通水部の口径よりも径大とされている。
しかしながら、集水効率をよくするために、導水口の形状を本件訂正発明3の相違点2に係る構成のようにすることは、常套手段であって、例えば刊行物3の第3図にも記載されている。そうすると、本件訂正発明3の相違点3に係る構成は当業者が適宜できる設計的事項にすぎない。
また、本件訂正発明3の作用効果も顕著ではない。
したがって、本件訂正発明3は、刊行物1〜3記載の発明から当業者が容易に発明できたものであり、特許法第29条第2項に該当するものである。

6.まとめ
以上のように、本件訂正発明1ないし3の特許は、いずれも特許法第29条2項の規定に違反してなされたものであって、特許法第123条第1項第2号の規定に該当し、無効にすべきものである。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により被請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
排水性舗装路面用側溝
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】不透水性の下地層表面に透水性を有する表層が施工された排水性舗装道路内に埋設されてなる側溝であって、この側溝は底部と側壁とを備えた筺体とこの筺体内部に形成される排水路とから構成され、前記側壁には前記排水路と連通する導水口が設けられ、該導水口の開口部が舗装道路内の表層と下地層との境界又は境界よりも若干下部に設けられてなることを特徴とする排水性舗装路面用側溝。
【請求項2】不透水性の下地層表面に透水性を有する表層が施工された排水性舗装道路内に埋設されてなる側溝であって、この側溝は底部と側壁とを備えた筺体とこの筺体内部に形成される排水路とから構成され、前記側壁には前記排水路と連通する導水口が設けられ、該導水口が側壁の長手方向に沿った一本の筋状に設けられ、該導水口の開口部が舗装道路内の表層と下地層との境界又は境界よりも若干下部に設けられてなることを特徴とする排水性舗装路面用側溝。
【請求項3】不透水性の下地層表面に透水性を有する表層が施工された排水性舗装道路内に埋設されてなる側溝であって、この側溝は底部と側壁とを備えた筺体とこの筺体内部に形成される排水路とから構成され、前記側壁には前記排水路と連通する導水口が設けられ、該導水口は開口部とこの開口部と連通する通水部とから形成され、前記開口部の開口径が通水部の口径よりも径大とされ、該導水口の開口部が舗装道路内の表層と下地層との境界又は境界よりも若干下部に設けられてなることを特徴とする排水性舗装路面用側溝。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は排水性舗装路面用側溝に係り、その目的は排水性舗装道路内部に埋設され、道路内で貯留する雨水等の水分を集水・排水し、舗装路面の劣化を防止することのできる排水性舗装路面用側溝を提供することにある。
【0002】
【従来の技術】
一般道路や高速道路、公園、市街地道路などの舗装道路では、降雨等により雨水が路面上に貯留する現象を防ぐため、排水施設が備えられている。この排水施設の一例として、図24に示すような円形水路を挙げることができる。この円形水路(A)は、上端が開口され、内部に円形の排水路(b)を備えてなるもので、上端の開口部(c)にグレーチング(図示せず)を覆蓋し、複数の円形水路(A)を連結して舗装路面と歩道との境界部等に埋設されている。
【0003】
一般に円形水路(A)を施工する場合、図25に示すように路床(D)上に基礎砕石(E)、基礎コンクリート(F)をそれぞれ打設し、敷モルタル(G)を設けた後に円形水路(A)を舗装道路(H)と連接するよう埋設されていた。また、舗装道路は一般に、路床(D)上に舗装路盤(I)が基礎として設けられ、その表面にアスファルト層(J)が施工されることにより形成されている。従来、このアスファルト層(J)部分には、透水性や通水性は備えられておらず、降雨による雨水等は前記円形水路やU型側溝(図示せず)等の排水施設により、集水されて河川等へ流されていた。ところが、近年、透水性、通水性を備えた舗装路面を施工する技術が、一般道路や高速道路の道路施工に広く採用されてくるようになってきた。すなわち、従来の如く、路面上に貯留した雨水を円形水路やU型側溝等の排水施設によりのみ排水する技術ではなく、舗装路面に多数の隙間や孔を設け、この路面自体に透水性、通水性を備えさせ、これを表層(J-1)として用い、雨水等を素早く地面中に浸透させる施工が広く採用されるようになってきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記した透水性、通水性を備えた舗装道路では、通常、耐久性を考慮して透水性を有する表層(J-1)の下地として不透水性の下地層(J-2)が使用されていた。このため、多量の降雨や積雪があった場合には雨水等が地下へ円滑に浸透されないとう課題が存在した。すなわち、多量の降雨があった場合、透水性のアスファルト表層(J-1)中を浸透した雨水が、表層(J-1)と下地層(J-2)との境界部分若しくは境界部分よりも上部において貯留してしまい、却ってアスファルト舗装(J)を劣化させてしまうという課題が存在した。そこで、業界では不透水性の下地層表面に透水性を有する表層が施工された排水性舗装道路において、多量の降雨があった場合、路面を浸透した雨水が路盤中で貯留することを防ぐことができる排水施設の創出が望まれていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明では、不透水性の下地層表面に透水性を有する表層が施工された排水性舗装道路内に埋設されてなる側溝であって、この側溝は底部と側壁とを備えた筺体とこの筺体内部に形成される排水路とから構成され、前記側壁には前記排水路と連通する導水口が設けられ、該導水口の開口部が舗装道路内の表層と下地層との境界又は境界よりも若干下部に設けられてなることを特徴とする排水性舗装路面用側溝を提供することにより、前記従来の課題を悉く解消する。
【0006】
【発明の構成】
以下、この発明に係る排水性舗装路面用側溝の構成を図面に基づいて詳述する。図1乃至図2はこの発明の第一実施例に係る側溝(1)を示す外観図である。図示するように、この発明に係る側溝(1)は底部(21)と側壁(22)とを備えた筺体(2)と、この筺体(2)内部に設けられた円形の排水路(3)とから構成されている。また筺体(2)上方には開口部(4)が設けられて、グレーチングで覆蓋されるよう構成されている。側壁(22)には排水路(3)と連通する導水口(5)が設けられている。この導水口(5)は図示する実施例では、側壁(22)の長手方向に沿った一本の筋状に設けられている。
【0007】
図3乃至図6は図1に示した側溝(1)のA-A’線断面図である。この発明において、導水口(5)は開口部(51)と通水部(52)とから形成され排水路(3)と連通されている。この導水口(5)の開口径としては特に限定はされず、用いる側溝の種類や施工場所、大きさ等を考慮し、適宜な大きさを採用すればよい。また、導水口(3)の形状としては任意のものを採用することができ、例えば図3に示すように開口部(51)から通水部(52)へとテーパー状に形成されていてもよく、或いは図4に示すように開口部(51)を通水部(52)よりも径大とした漏斗状に形成してもよい。さらに図5に示すように側壁(22)から排水路(3)へと同じ大きさで貫通するよう形成されていてもよい。また、図6に示すように開口部(51)を通水部(52)よりも径大とするとともに、開口部(51)を側壁(22)の上端より設ける構成を採用することもできる。
【0008】
この発明において、導水口(5)は、少なくとも開口部(51)から排水路(3)方向へと傾斜されていることが必要である。すなわち、この導水口(5)は、舗装道路内の透水性表層と不透水性の下地層との境界又は境界よりも上部に貯留した雨水等を集水して排水路(3)へと導くために設けられるものであるから、道路内に貯留した雨水等を集水しやすい形状としておく必要がある。従って、少なくとも雨水等が排水路(3)内に自然流下されるよう開口部(51)から排水路(3)に向かって下り勾配を設けておく必要がある。より望ましくは開口部(51)の開口面積を大きく設けることが好ましいが、導水口(5)の貫通を大きくすると、側溝(1)自体の強度が低下してしまうため、少なくとも開口部(51)を通水部(52)よりも径大とし、集水しやすい形状としておくのが望ましい。
【0009】
図7は前記図1に示した実施例の側面図である。この発明において、導水口(5)は図7に示すように、側壁(22)の長手方向に沿って凹設された開口部(51)と、この開口部(51)内に穿設された孔状の通水部(52)とから構成されていてもよい。また、通水部(52)は図8に示すよう開口部(51)から排水路(3)方向へ傾斜するよう設けられている。このように、導水口(5)の開口部(51)を側壁長手方向に沿って凹設する構成を採用することにより、雨水等の集水性がより向上される。
【0010】
以上のような導水口(5)は、図9に示すように側溝(1)が舗装道路(6)内に埋設された際、透水性を有する表層(61)と不透水性の下地層(62)との境界と隣接する側壁(22)部分に設けられる。この理由は、降雨量が多い場合等、表層(61)を介して浸透された雨水等が不透水性の下地層(62)との境界又は境界よりも上部で貯留してしまうため、この貯留した雨水を効率良く集水するためである。導水口(5)の設計位置としてより好ましくは、透水性を有する表層(61)と不透水性の下地層(62)との境界部分よりも若干下部に位置する付近に設けておくと、より集水効率が向上するため望ましい。また、図10に示すように側溝(1)の導水口(5)と、舗装道路(6)内の透水性を有する表層(61)と不透水性の下地層(62)との界面付近に砕石層(8)を設けておくと、より集水性が向上するため好ましい。
【0011】
図11乃至図12はこの発明に係る側溝の第二実施例を示す外観図である。この発明において導水口(5)は、側壁(22)の長手方向に沿った一本の筋状に設けられる以外に、この第二実施例にて示すように、側壁(22)面の複数箇所において設けられていてもよい。また、このように側壁(22)の複数箇所において導水口(5)を設ける場合、図11に示すように導水口(5)を同一軸上に一列に設けておいてもよく、或いは図12に示すように形成位置を若干変化させて複数個の導水口(5)を設けておいてもよく、適宜任意である。図12に示すように複数の導水口(5)を、その形成位置を若干変化させて設けておくと、側溝(1)に当接し、地下方向へと流下しようとする雨水をも集水することができるため、望ましい。尚、この第二実施例での導水口(5)の内部形状は、前記第一実施例の図3乃至図6で示したようなテーパー状や漏斗状等の形状を適宜採用することができる。或いは、図13乃至図14の側面図にて示すように、凹設された開口部(51)内に一個又は二個の貫通孔からなる通水部(52)を設けて導水口(5)とする構成でもよい。
【0012】
図15乃至図16はこの発明に係る側溝の第三実施例を示す外観図である。この発明において導水口(5)は前記実施例のように排水路(3)の長手方向に沿って細長く形成される以外に、側壁(22)面において若干傾斜するよう設けておいてもよい。すなわち、透水性を有する表層(61)と不透水性の下地層(62)との境界又は境界よりも上部に貯留した雨水は、通常は道路の勾配に従って側溝方向へと流入される。ところが、この流入されてきた雨水は、側溝(1)の側壁(22)面に当接すると、その道路構造に従って流入する方向が変化し、側溝(1)から離れるように、且つ自重により地下方向へと浸透されていく。従って、図15乃至図16に示すように導水口(5)を、側壁(22)の短手方向に向かって傾斜するよう設け、しかもその傾斜方向の異なる導水口(5)を複数個設けておくことによって、あらゆる方向へと流入しようとする雨水を効率良く集水して排水路(3)へと流下させることができる。また、この実施例での導水口(5)の内部形状としては、前記図3乃至図6に示した形状のものが適宜採用される。或いは図17に示すように側壁面(22)に傾斜状に凹設された開口部(51)の内部に貫通孔からなる通水部(52)を設けておく構成であってもよい。また、この実施例において、図18の側面図にて示すよう全ての導水口(5)を同方向へ傾斜させて設けておいてもよい。このような構成を採用すると、図19の断面図にて示すように導水口(5)が雨水の浸透方向において異なる位置に配置されることとなるので集水効率がより向上する。又、図15に示す実施例では上方が開口された開渠構造の側溝を示しているが、この発明では特に限定はされず、参考図として示すような暗渠構造の側溝も使用することができる。
【0013】
さらに、この発明において側溝(1)としては図15に示したような上部開口型の円形水路(10)に限らず、図16に示した角形の排水路(3)を備えた暗渠(11)であってもよい。或いは、図20の断面に示すような暗渠構造の円形排水路(12)であっても、或いは図21の断面に示すような上部開口型の円形水路(13)であってもよく、一般道路、高速道路、公園、市街地などの道路において、排水施設として用いられる全てのタイプの側溝が限定されることなく使用できる。
【0014】
また、この発明においては、図22乃至図23に示すように導水口(5)の開口部(51)を透水性濾過材(7)で覆蓋させておく構成を採用することもできる。濾過材(7)としては目詰まりを防止する金網や適度な大きさの開口部を備えた膜、不織布等が適宜採用され、開口部(51)を覆蓋するよう設けられる。
【0015】
【発明の効果】
以上詳述した如く、この発明は不透水性の下地層表面に透水性を有する表層が施工された排水性舗装道路内に埋設されてなる側溝であって、この側溝は底部と側壁とを備えた筺体とこの筺体内部に形成される排水路とから構成され、前記側壁には前記排水路と連通する導水口が設けられ、該導水口の開口部が舗装道路内の表層と下地層との境界又は境界よりも若干下部に設けられてなることを特徴とする排水性舗装路面用側溝であるから、舗装道路内部で貯留する雨水等を効率よく集水して排水し、舗装路面の劣化を防止することができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】
この発明の第一実施例に係る側溝の一例を示す外観図である。
【図2】
この発明の第一実施例に係る側溝の他の例を示す外観図である。
【図3】
図1のA-A’線断面図に係る側溝の一例を示す図である。
【図4】
図1のA-A’線断面図に係る側溝の一例を示す図である。
【図5】
図1のA-A’線断面図に係る側溝の一例を示す図である。
【図6】
図1のA-A’線断面図に係る側溝の一例を示す図である。
【図7】
この発明の第一実施例に係る側溝の一側面を示す説明図である。
【図8】
図7に示した実施例の導水口の形状を示す断面図である。
【図9】
この発明に係る側溝を排水性舗装道路内に埋設した状態を示す断面図である。
【図10】
この発明に係る側溝を排水性舗装道路内に埋設した状態の他の例を示す断面図である。
【図11】
この発明の第二実施例に係る側溝の一例を示す外観図である。
【図12】
この発明の第二実施例に係る側溝の他の例を示す外観図である。
【図13】
前記図11に示した第二実施例における側溝の一側面を示す説明図である。
【図14】
前記図12に示した第二実施例における側溝の一側面を示す説明図である。
【図15】
この発明の第三実施例に係る側溝の一例を示す外観図である。
【図16】
この発明の第三実施例に係る側溝の他の例を示す外観図である。
【図17】
前記図15に示した第三実施例における側溝の一側面を示す説明図である。
【図18】
前記第三実施例における側溝の一側面を示す説明図である。
【図19】
図18に示した実施例の側溝の一断面を示す説明図である。
【図20】
この発明に係る側溝の他の例を示す断面図である。
【図21】
この発明に係る側溝の他の例を示す断面図である。
【図22】
この発明の第四実施例に係る側溝の一例を示す断面図である。
【図23】
この発明の第四実施例に係る側溝の他の例を示す断面図である。
【図24】
従来の側溝(円形水路)の一例を示す外観図である。
【図25】
従来の側溝(円形水路)を舗装道路内に埋設した状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1 側溝
2 箇体
21 底部
22 側壁
3 排水路
5 導水口
51 開口部
52 通水部
6 排水性舗装道路
61 透水性を有する表層
62 不透水性の下地層
7 透水性濾過材
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2003-12-26 
結審通知日 2004-01-07 
審決日 2004-01-20 
出願番号 特願平6-131091
審決分類 P 1 112・ 121- ZA (E03F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 藤原 伸二  
特許庁審判長 田中 弘満
特許庁審判官 鈴木 憲子
新井 夕起子
登録日 1998-05-01 
登録番号 特許第2775392号(P2775392)
発明の名称 透水性舗装路面用側溝  
代理人 樋口 次郎  
代理人 清原 義博  
代理人 清原 義博  
代理人 植木 久一  
代理人 坂戸 敦  
代理人 清原 義博  
代理人 坂戸 敦  
代理人 坂戸 敦  
代理人 小谷 悦司  
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