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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F27B
管理番号 1126571
審判番号 不服2002-22712  
総通号数 73 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1995-10-12 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-11-25 
確定日 2005-11-09 
事件の表示 平成 5年特許願第511617号「多角形ライニングを備える回転焼成炉」拒絶査定不服審判事件〔平成 5年 7月 8日国際公開、WO93/13375、平成 7年10月12日国内公表、特表平 7-509306〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成4年10月1日の出願(優先日:平成3年12月24日)であって、平成14年8月16日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成14年11月25日に拒絶査定に対する審判請求がなされ、平成14年12月25日付けで手続補正がなされたものである。

2.本願発明1
平成14年12月25日付け手続補正書によって補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1〜13のうちの請求項1に記載の発明は、次のとおりのものである。
「【請求項1】材料を処理するための焼成炉(100)であって、内壁及び長手軸を有するシェル(120)、並びに該内壁の少なくとも一部分内にかつ該内壁に隣接して配設され、かつN個の平らな辺を有するライニング(105)を含み、ここで、各々の辺の選択された幅が、所定の様式で該シェルに対して配設された、異なる寸法と形状の2種乃至6種のレンガから形成されて、該シェルの長手軸に沿って概略整列されたほぼ多角形の断面形状を有するオープン処理ゾーンを規定するところの焼成炉。」(以下、「本願発明1」という。)

3.引用刊行物とその記載事項
原査定の理由で引用された引用例1(特公昭52-49430号公報)には、次の事項が記載されている。
(1)引用例1:特公昭52-49430号公報
(1a)「内部に被加熱物を供給するようにした回転する横型筒状炉体と、この炉体内の前記被加熱物を加熱する加熱装置とを包含する回転炉であって、前記炉体の内面はほぼ正多角形断面で複数個の平面を結合してできる表面により構成してあることを特徴とする回転炉。」(特許請求の範囲)
(1b)「この発明は回転する横型筒状炉体内に被加熱物を供給して加熱装置により加熱するようにした回転炉に関するもので、焼成用回転炉と乾燥用回転炉とを包含するものである。」(第1頁第1欄第22〜25行)
(1c)「第1図と第2図に示すこの発明の一実施例は内面がほぼ正6角形断面で6個の平面を結合してできる表面で構成してありかつαで示す傾斜角だけ水平より傾斜して配置した横型筒状炉体10を備えている。この炉体は焼成用のものでは外側を鉄で構成して内面が耐火レンガ張りあるいは耐火モルタル塗りになっており、」(第2頁第3欄第13〜19行)
(1d)「前述したように構成した回転炉において、被加熱物21を炉体10内の一端へ供給すると、この被加熱物が加熱装置22により加熱され炉体10の傾斜角度、回転、被加熱物21の投入による押圧力および火炎または熱風の風圧等によって移動し炉体10の他端から処理が完了して出てくる。」(第2頁第3欄第41行〜同頁第4欄第2行)
(1e)「炉体10の内面がほぼ正多角形断面で複数個の平面を結合してできる表面により構成してあるから、炉体10の内面を構成する各平面がそれぞれほぼ所定角度の傾斜に達するまでこれに接した被加熱物21がほぼ一定の幅とかなりの厚さを有する状態で十分加熱されかつこの所定角度の傾斜に達するとほぼ同時に炉壁を離れて表面側へ向かうように下降して均一なかくはんができ局部的な過熱が避けられるという効果を有するものである。」(第2頁第4欄第22〜31行)
(1f)第1図には、発明の一実施例を一部切欠いて示した正面図が記載されている。
(1g)第2図には、第1図における筒状炉体のほぼ中央部の断面図が記載されている。

4.当審の判断
引用例1の上記(1a)には、
「内部に被加熱物を供給するようにした回転する横型筒状炉体と、この炉体内の前記被加熱物を加熱する加熱装置とを包含する回転炉であって、前記炉体の内面はほぼ正多角形断面で複数個の平面を結合してできる表面により構成してあることを特徴とする回転炉。」
と記載されているが、この「回転炉」は、上記(1b)の「回転する横型筒状炉体内に被加熱物を供給して加熱装置により加熱するようにした回転炉に関するもので、焼成用回転炉と乾燥用回転炉とを包含するものである。」という記載によれば、「焼成用回転炉」に供されるものであるから、本願発明1の「材料を処理するための焼成炉(100)」に相当する。そして、この「焼成用回転炉」は、上記(1c)の「焼成用のものでは外側を鉄で構成して内面が耐火レンガ張り」という記載によれば、外側が鉄で構成されているから、この鉄の部分は「シェル」に相当すると云える。また、この「シェル」は、「内面」という本願発明1でいう「内壁」に相当する構造を有し、上記(1f)の第1図から長手軸をも有することが明らかであるから、この鉄で構成された「シェル」に相当する部分は、本願発明1の「内壁及び長手軸を有するシェル(120)」に相当すると云える。さらに、この「シェル」に相当する部分の内面には「耐火レンガ張り」が形成されるものであるから、この「耐火レンガ張り」は、本願発明1の「ライニング」に相当すると云える。そして、この「耐火レンガ張り」も、上記「内面」(内壁に相当)の「少なくとも一部分内にかつ該内面に隣接して配設」されることも明らかであり、しかも、上記「内面」は、「ほぼ正多角形断面で複数個の平面を結合してできる表面により構成」されているから、この内面に隣接して配設される上記「耐火レンガ張り」も、具体的には「6個の平らな辺を有する」ものであることは、上記(1c)の「内面がほぼ正6角形断面」という記載、及び(1g)の第2図からも明らかである。
そうすると、引用例1には、「材料を処理するための焼成炉(100)であって、内壁及び長手軸を有するシェル(120)、並びに該内壁の少なくとも一部分内にかつ該内壁に隣接して配設され、かつ6個の平らな辺を有するライニング(105)」を含む焼成炉が記載されていると云える。また、この焼成炉も、上記(1c)の記載、(1f)の第1図及び(1g)の第2図から、断面形状が正六角形であることが明らかであるから、「シェルの長手軸に沿って概略整列された6角形の断面形状を有するオープン処理ゾーンを規定する」ものであると云える。
してみると、引用例1のこれら記載を整理すると、引用例1には、次のとおりの発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。
「材料を処理するための焼成炉であって、内壁及び長手軸を有するシェル、並びに該内壁の少なくとも一部分内にかつ該内壁に隣接して配設され、かつ6個の平らな辺を有するライニングを含み、該シェルの長手軸に沿って概略整列された6角形の断面形状を有するオープン処理ゾーンを規定するところの焼成炉。」
そこで、本願発明1と引用発明とを対比すると、両者は、
「材料を処理するための焼成炉であって、内壁及び長手軸を有するシェル、並びに該内壁の少なくとも一部分内にかつ該内壁に隣接して配設され、かつ6個の平らな辺を有するライニングを含み、該シェルの長手軸に沿って概略整列された6角形の断面形状を有するオープン処理ゾーンを規定するところの焼成炉。」という点で一致し、次の点で相違しているといえる。
相違点:本願発明1は、「各々の辺の選択された幅が、所定の様式で該シェルに対して配設された、異なる寸法と形状の2種乃至6種のレンガから形成されて」いるのに対し、引用発明は、この点が明らかでない点。
次に、この相違点について検討するに、この相違点は、要するところ、シェルに配設されたライニングの各々の辺が異なる寸法と形状の2種乃至6種のレンガから形成されているというものであると認められるが、一般的な築炉設計において、そのライニングが異なる寸法と形状の複数種のレンガを組み合わせて形成されることは、例えば特開昭52-100508号公報(第5図、第6図参照)及び実開昭59-184095号のマイクロフィルム(第3図参照)に記載されているように、当業者にとって周知事項であるから、上記相違点は、築炉設計上の周知事項に基づいて当業者が容易に想到することができたと云うべきである。
してみると、本願発明1は、引用発明及び周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものといえるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

5.むすび
したがって、本願発明1は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものであるから、その余の発明について検討するまでもなく、本願は、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-06-17 
結審通知日 2005-06-20 
審決日 2005-07-01 
出願番号 特願平5-511617
審決分類 P 1 8・ 121- Z (F27B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 木村 孔一後藤 政博  
特許庁審判長 沼沢 幸雄
特許庁審判官 平塚 義三
原 賢一
発明の名称 多角形ライニングを備える回転焼成炉  
代理人 松井 光夫  

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