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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G01B
管理番号 1126627
審判番号 不服2002-17095  
総通号数 73 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2000-05-16 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-09-05 
確定日 2005-11-10 
事件の表示 平成11年特許願第311107号「基板検査装置」拒絶査定不服審判事件〔平成12年 5月16日出願公開、特開2000-136910〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 【1】(手続の経緯・本願発明)
本件出願は、平成5年12月21日に出願された実用新案登録出願(実願平5-68181号)を特許法第46条第1項の規定により平成11年11月1日に特許出願に変更したものであり、その請求項1に係る発明は、出願当初の図面並びに平成14年5月20日付け、及び、平成17年7月19日付けで補正された明細書の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認められる(以下、「本願発明」と言う。)。
「【請求項1】 基板を載置してY方向に直線移動可能に基台上に設けられたステージと、
前記ステージを跨ぐように前記基台に設けられた門型アームと、
前記ステージ下方のほぼ中央に設けられ該ステージをY方向に移動させるボールネジとステッピングモータからなるY方向駆動手段と、
前記門型アームの水平なXアームに沿って直線移動可能に設けられた鏡筒部と、
前記鏡筒部に光軸を一定間隔Lだけ離して固定されたサーチ用低倍対物レンズと測定用高倍対物レンズと、
前記サーチ用低倍対物レンズと前記測定用高倍対物レンズの各光軸上に配置された撮像素子と、
前記鏡筒部を前記Xアームに沿って直線移動させるボールネジとステッピングモータを備え、かつ前記サーチ用低倍対物レンズで捜した測定点に前記測定用高倍対物レンズの光軸を一致させるように前記鏡筒部を前記一定間隔Lだけ移動制御するX方向駆動手段と、
を備えたことを特徴とする基板検査装置。」
なお、平成14年10月2日付け手続補正については、原審において平成14年12月27日付けで補正却下の決定がなされ、既に確定している。

【2】(刊行物)
これに対し、当審における、平成17年5月9日付けで通知した拒絶の理由に引用した本願出願前に頒布された特開昭64-15643号公報(以下「刊行物1」という。)には、
「検査装置」(発明の名称)に関し、図面とともに以下の記載がある。
1.「従来のこの種の検査装置としては、被検査対象のプリンタにより文字・記号等を印字した記録紙を載置するX-Yテーブル・・・」(1頁右下欄5行〜7行)
2.「また、印字検査以外の検査であっても適用可能であるのは勿論である。」(5頁左下欄3行〜5行)
前記記載1、2から、刊行物1のものの被検査対象は記録紙に留まらず、広く一般のものを被検査対象としていることがわかる。
したがって、前記記載1、2から、
・被検査体を載置するX-Yテーブル、
・被検査体検査装置、が読みとれる。
3.「1はX-Yテーブルであって、X方向駆動源2により作動するシャフト3の作用によりガイド部材4にガイドされながら図中X方向に移動自在であるとともに、Y方向駆動源5により作動するシャフト6の作用によりX方向駆動源2、シャフト3およびガイド部材4と一体的にY方向(紙面に対して垂直方向)に移動自在である。」(2頁左下欄6行〜13行)
第1図には検査装置全体を支持する部材が図示されており、該部材を基台と呼ぶことにすれば、前記記載1〜3から、
・被検査体を載置してX-Y方向に移動可能に基台上に設けられたX-Yテーブル1、が読みとれる。
4.「第1図において9は断面L字状の支柱であって、この支柱9の先端部近傍にはカメラ保持部材10を介して3台のカメラ11、12、13が前記吸着盤8の上方に位置するように並設されている。」(2頁右下欄4行〜8行)
前記記載3、4より、
・基台に設けられた支柱9と、X-Yテーブル1をY方向に移動させるシャフト6とY方向駆動源5とからなるY方向駆動手段、
・X-Yテーブル1をX方向に沿って移動させるシャフト3とX方向駆動源2とからなるX方向駆動手段、
・支柱9に固定されたカメラ保持部材10、
が読みとれる。
5.「カメラ11は吸着盤8上に載置された記録紙AまたはBの全体画像を取込み紙面の傾きや検査用文字の位置等を測定するための位置決め用カメラであって、そのレンズには小倍率の魚眼レンズを用いている。一方、カメラ12および13は検査用文字を含む画像を取込んで画像処理により印字状態の検査を行なうための検査用カメラであって、通常の高倍率レンズを用いており・・・」(2頁右下欄8行〜16行)
6.「画像処理装置20は画像メモリ、演算回路、入出力回路等を内蔵し、各カメラ11、12、13の駆動をそれぞれ制御しかつ撮像画像を取込んで画像処理装置20へ出力するためのカメラコントローラ21、22、23、X-Yテーブル1を可動させるためのX方向駆動源2およびY方向駆動源5の運転/停止を制御するX-Yテーブルコントローラ24・・・」(2頁右下欄下から2行〜3頁左上欄6行)
7.「2台の検査用カメラ12、13で印字検査処理用の画像を取込む場合を示したが、カメラは1台でもまた3台以上あってもよいのは言うまでもない。」(5頁右上欄下から5行〜下から2行)
前記記載4.及び第1図に依れば、カメラ11及びカメラ12はカメラ保持部材10に所定間隔だけ離して保持されていると解される。
また、前記記載6.に依れば、カメラ11、12により撮像された画像がカメラコントローラ21、22、23を介して画像処理装置20に出力されることから、各カメラの内部にはそれぞれの光軸上に配置された撮像素子を備えていることは明らかである。
以上のことを考慮し、かつ、前記7.で示唆されていることも参酌すると、前記記載4〜6から、
・カメラ保持部材10に所定間隔だけ離して保持された位置決め用カメラ11の小倍率の魚眼レンズと検査用カメラ12の高倍率レンズ、
・位置決め用カメラ11の小倍率の魚眼レンズと検査用カメラ12の高倍率レンズの各光軸上に配置された撮像素子、が読みとれる。
8.「先ず倍率の小さな位置決め用カメラで記録紙の全体画像を取込み、画像処理により印字検査位置を検出する。次に倍率の大きな検査用カメラの撮像範囲に検査位置部分が位置するようにテーブルを移動させ、このカメラで検査位置位置を含む画像を取込む。しかして、この画像について所定の処理を行うことにより印字状態を検査する。」(1頁右下欄10行〜17行)
前記記載3、8より、
・位置決め用カメラ11の小倍率の魚眼レンズで検出した検査位置部分を前記検査用カメラ12の撮像範囲に位置するようにX-Yテーブル1を移動制御するシャフト3及びX方向駆動源、が読みとれる。
9.「前記実施例ではX-Yテーブル1およびθテーブル7を駆動して吸着盤8を移動させる場合を示したが、各カメラ11〜13を可動させて被検査体の画像撮像位置まで移動させるようにしてもよい。」(5頁右上欄下から2行〜左下欄3行)
以上のことを勘案すると、刊行物1には次の発明が記載されているものと認められる。

(刊行物1に記載された発明)
被検査体を載置してX-Y方向に移動可能に基台上に設けられたX-Yテーブル1と、
基台に設けられた支柱9と、
前記X-Yテーブル1をY方向に移動させるシャフト6とY方向駆動源5とからなるY方向駆動手段と、
前記支柱9に固定されたカメラ保持部材10と、
前記カメラ保持部材10に所定間隔だけ離して保持された位置決め用カメラ11の小倍率の魚眼レンズと検査用カメラ12の高倍率レンズと、
前記位置決め用カメラ11の小倍率の魚眼レンズと前記検査用カメラ12の高倍率レンズの各光軸上に配置された撮像素子と、
前記X-Yテーブル1をX方向に沿って移動させるシャフト3とX方向駆動源2とを備え、かつ前記位置決め用カメラ11の小倍率の魚眼レンズで検出した検査位置部分を前記検査用カメラ12の撮像範囲に位置するようにX-Yテーブル1を移動制御するシャフト3及びX方向駆動源2と、
を備えた被検査体検査装置(以下『刊行物1に記載された発明』という。)。

(刊行物2に記載された技術的事項)
同じく当審における拒絶の理由で引用された本願の出願前に国内において頒布された特開平5-232385号公報(以下『刊行物2』という。)には、ステージ23に載置した試料を顕微鏡で検査する検査装置に関し、次の技術的事項が記載されている。
1.「【0015】図1及び図2に示すように、本実施例に適用されたステージ11は、ステージ基底部21と、このステージ基底部21に沿って図中矢印Y方向に摺動可能に構成され、スライドガラス等の試料(図示しない)が載置可能なステージ本体23と、を備えている。」
2.「【0020】また、ステージ本体23には、ステージ基底部21に対する相対的な移動距離を規定する移動部29が設けられている。なお、この移動距離は、微視光学系の光軸Aと巨視光学系の光軸Bとの間の距離に一致している。
【0021】このため、ステージ移動レバー27を介してステージ本体23をステージ基底部21に対して図中矢印S方向にいっぱいに引けば、ステージ本体23上に載置された試料は、巨視光学系の光軸B上に位置付けられ、また、ステージ移動レバー27を介してステージ本体23をステージ基底部21に対して図中矢印S方向とは反対方向にいっぱいに押せば、ステージ本体23上に載置された試料は、微視光学系の光軸A上に位置付けられる。」
3.「【0022】本実施例の場合、ステージ移動レバー27を操作して、微視光学系又は巨視光学系に試料をセットし、ピント合わせ用ハンドル9を介して焦点合わせを行った後、ステージ調節ハンドル25を操作することによって、双方の光学系で連続的且つ効率よく試料の観察を行うことができる。更に、ステージ調節ハンドル25を操作しなければ、双方の光学系で試料の同一箇所の観察が、試料の位置合わせを行うことなく連続的且つ効率よく行うことができる。」
以上の記載から、
・巨視光学系の光軸B上に位置づけられている試料を微視光学系の光軸Aと巨視光学系の光軸Bとの間の距離だけ移動させることにより、微視光学系の光軸A上に位置づけ得ること、が読みとれる
(以下、『刊行物2に記載された技術的事項』という。)。

【3】(対比)
本願発明と刊行物1に記載された発明とを対比すると、刊行物1に記載された発明の、
刊行物1に記載された発明における
「基台」、「X-Yテーブル1」、「所定間隔」、「保持」、「撮像素子」、「検出した」、「検査位置部分」、は、それぞれ、本願発明における
「基台」、「ステージ」、「一定間隔L」、「固定」、「撮像素子」、「捜した」、「測定点」、に相当する。
また、
(1)本願発明における「基板」も刊行物1に記載された発明における「被検査体」も共に「被検査体」である。
(2)本願発明において、ステージはY方向に直線移動可能に設けられているのに対し、刊行物1に記載された発明におけるX-Yテーブル1は、X-Y方向に移動可能に設けられているが、
・X-Y方向に移動可能であることは、少なくともY方向に移動可能なのであるから、本願発明における「Y方向に直線移動可能に基台上に設けられたステージ」中には、刊行物1に記載された発明における「X-Y方向に移動可能に基台上に設けられたX-Yテーブル1」も含まれると言い得ること、
・基台上に設けたテーブルをY方向(一次元方向)に直線移動可能とした被検査物測定装置は、そもそも周知の構成である(例えば、実願昭62-47726号(実開昭63-156003号)のマイクロフィルム参照)こと、
を考慮すれば、刊行物1に記載された発明における「X-Y方向に直線移動可能に・・・設けられた」は本願発明における「Y方向に移動可能に・・・設けられた」に相当すると言える。
(3)本願発明における「ステージを跨ぐように前記基台に設けられた門型ア一ム」も、刊行物1に記載された発明における「基台に設けられた支柱9」も共に「基台に設けられたアーム」である。
(4)本願発明における「ボールネジとステッピングモータからなる・・・駆動手段」は、光学装置における駆動手段として極めて周知であり(例えば、特開平4-152205号公報、特開平5-296717号公報、実願平4-29979号(実開平5-81623号)のCD-ROM等参照)、刊行物1に記載された発明における「シャフトと駆動源とからなる・・・駆動手段」の一形態として、前記周知の構成が直ちに想起されるほどのものと言えることから、両者の構成の差異をあえて相違点として採り上げるほどのものではない。
したがって刊行物1に記載された発明における
「シャフト3とX方向駆動源2とを備え、・・・移動制御するシャフト3及びX方向駆動源2」、「シャフト6とY方向駆動源5とからなるY方向駆動手段」は、それぞれ、本願発明における
「ボールネジとステツピングモータを備え、・・・移動制御するX方向駆動手段」、「ボールネジとステッピングモータからなるY方向駆動手段」に相当する。
(5)刊行物1に記載された発明における「カメラ保持部材10」について、本願発明における「鏡筒部」も刊行物1に記載された発明における「カメラ保持部材10」も、共に「保持部材」である。
(6)刊行物1に記載された発明における「位置決め用カメラ11の小倍率の魚眼レンズ」について、【2】8.に依れば、「先ず倍率の小さな位置決め用カメラで記録紙の全体画像を取込み、画像処理により印字検査位置を検出する。」とあることから見て、位置決め用カメラ11の小倍率の魚眼レンズは印字検査位置を検出するためのものと解されるから、本願発明における「サーチ用低倍対物レンズ」に相当すると言えるものである。
(7)刊行物1に記載された発明における「 検査用カメラ12の高倍率レンズ」は、【2】8.に依れば、「次に倍率の大きな検査用カメラの撮像範囲に検査位置部分が位置するようにテーブルを移動させ、・・・印字状態を検査する。」とあることから、検査用カメラ12の高倍率レンズは印字状態を検査するためのものと解されるから、本願発明における「測定用高倍対物レンズ」に相当すると言えるものである。
(8)本願発明における「鏡筒部を前記Xアームに沿って直線移動させる」ことも、刊行物1に記載された発明における「X-Yテーブル1をX方向に沿って直線移動させる」ことも共に「保持部材を前記ステージに対してX方向に沿って相対移動させる」ことである。
(9)本願発明における「測定用高倍対物レンズの光軸を一致させるように」も、刊行物1に記載された発明における「検査用カメラ12の撮像範囲に位置するように」も、共に「測定用高倍対物レンズの視野内に位置するように」である。
したがって両者は、
(一致点)
「被検査体を載置してY方向に直線移動可能に基台上に設けられたステージと、
前記基台に設けられたア一ムと、
前記ステージをY方向に移動させるボールネジとステッピングモータからなるY方向駆動手段と、
保持部材と、
前記保持部材に一定間隔Lだけ離して固定されたサーチ用低倍対物レンズと測定用高倍対物レンズと、
前記サーチ用低倍対物レンズと前記測定用高倍対物レンズの各光軸上に配置された撮像素子と、
前記保持部材を前記ステージに対してX方向に沿って相対移動させるボールネジとステツピングモータとを備え、かつ前記サーチ用低倍対物レンズで捜した測定点を前記測定用高倍対物レンズの視野内に位置するように前記保持部材を前記ステージに対して相対的に移動制御するX方向駆動手段と、
を備えた被検査体検査装置。」で一致し、次の点で相違する。
(相違点)
1.保持部材について、
本願発明では、保持部材はレンズを保持する鏡筒部であって、鏡筒部に「サーチ用低倍対物レンズと測定用高倍対物レンズ」が固定されているのに対し、刊行物1に記載された発明では、保持部材はカメラを保持するカメラ保持部材であって、該カメラ保持部材に位置決め用カメラ11及び検査用カメラ12を保持することにより(間接的に)小倍率の魚眼レンズと検査用カメラ12の高倍率レンズが固定されている点。

2.X方向駆動機構について、
本願発明では、
「ステージを跨ぐように前記基台に設けられた門型アーム、
前記門型アームの水平なXアームに沿って直線移動可能に設けられた鏡筒部、
前記鏡筒部を前記Xアームに沿って直線移動させる」構成を有するのに対し、
刊行物1に記載された発明では、
「基台に設けられた支柱9、
前記支柱9に固定されたカメラ保持部材10、
X-Yテーブル1をX方向に沿って直線移動させる」構成により駆動している点。

3.検査対象について、
本願発明では、「基板」を検査する「基板検査装置」であるのに対し、刊行物1に記載された発明では、「被検査体」を検査する「被検査体検査装置」である点。

4.Y方向駆動手段について、
本願発明では、Y方向駆動手段はステージ下方の「ほぼ中央に設けられ」ているのに対し、刊行物1に記載された発明では、Y方向駆動手段はステージ下方に配置されているとは言えるものの、ステージ自体がX方向にも移動する構造であるため、ステージの位置によってはY方向駆動手段が「ほぼ中央に設けられている」とは必ずしも言えない点。

5.測定点を測定用高倍対物レンズの視野内に位置させるための構成について、
本願発明では、サーチ用低倍対物レンズで捜した測定点に「測定用高倍対物レンズの光軸を一致させるように・・・一定間隔Lだけ」移動制御しているのに対し、刊行物1に記載された発明では、測定用高倍対物レンズの「視野内に位置するように」移動制御しており、その移動距離等の具体的構成については記載されていない点。

【4】(当審の判断)
前記相違点1.〜5.について、検討する。
相違点1について、
顕微鏡検査装置において、倍率を切り換えるための複数のレンズをひとつの筺体、すなわちレンズ鏡筒に収納する構成は周知である(例えば、特開平4-318446号公報参照)以上、刊行物1に記載された発明において、保持部材によりカメラを保持する構成に代えて、直接サーチ用低倍対物レンズと測定用高倍対物レンズとをひとつの鏡筒部に収納・固定する構成とすることは、当業者が容易に想到し得るところと言えるものである。

相違点2について、
顕微鏡検査装置において、被検査体を載置するステージを跨ぐように門型フレームを設け、該フレームに移動可能に光学系を支持する構成は周知であり(例えば、実願昭62-47726号(実開昭63-156003号)のマイクロフィルム参照)、かつ、刊行物1中には、被検査体に対してカメラを可動させても良い旨、記載されている(【2】9.参照)ことから見て、刊行物1に記載された発明において、鏡筒部を支柱9に対して固定する構成に代えてステージを跨ぐように門型アームを設け、該アームに移動可能に鏡筒部を支持し、該鏡筒部をX方向に移動する構成とすることは、当業者が容易に想到し得る程度の構成変更と言えるものである。

相違点3について、
基板を顕微鏡光学系により検査する装置は周知であり(例えば、実願平2-107700号(実開平4-63412号)のマイクロフィルム参照)、刊行物1に記載された発明の検査対象として基板を選定することに何ら格別の創意を要するものとは言えない。

相違点4について、
ボールネジとモータとを組み合わせた駆動機構において、被駆動対象の下方中央に該駆動機構を配置して被駆動対象を駆動する構成は、普通に見られるありふれた配置構成に過ぎない(例えば、特開平1-152306号公報参照)。
そうしてみると、刊行物1に記載された発明において、【4】相違点2について、で述べた「被検査体を載置するステージを跨ぐように門型フレームを設け、該フレームに移動可能に光学系を支持する」周知の構成を採用することに伴い、ステージをY方向に移動させるY方向駆動手段をステージ下方のほぼ中央に配置することは、当業者が容易に想到し得るところと言えるものである。

相違点5について、
本願発明において、サーチ用低倍対物レンズで捜した測定点に「測定用高倍対物レンズの光軸を一致させるように・・・一定間隔Lだけ」移動制御した結果、「サーチ用低倍対物レンズで捜した測定点に前記測定用高倍対物レンズの光軸を一致」させ得るためには、鏡筒部の移動に先立ち、低倍対物レンズで捜した測定点に低倍対物レンズの光軸を一致させておく(言い換えれば、予め測定点を低倍対物レンズの視野中心に置く)必要のあることは明白である。
すなわち、本願発明において対物レンズの移動制御以前に、測定点が低倍対物レンズの光軸上にあることを前提とした発明であると言える。
ところで、顕微鏡において、視野中心で最も良好な画像が得られることは技術常識であるから、被検査体の観察にあたっては、被検査体を視野中心に位置するように、すなわち、被検査体を対物レンズの光軸上に配置することは、顕微鏡操作者が普通に行っている操作の一手順に過ぎない。
また、通常の顕微鏡において、レボルバにより低倍対物レンズから高倍対物レンズに切り換える際、切り換え後も高倍対物レンズの狭い視野内に被検査体を捉え得るようにするために、切り換えに先立ち低倍対物レンズの視野中心に被検査体が位置する(すなわち、被検査体に低倍対物レンズの光軸を一致させる)ように配置しておく必要のあること、そして、その配置関係においては、切り換えにより低倍対物レンズが存在した位置に高倍対物レンズを位置させると、高倍対物レンズの略々視野中心に被検査体を捉え得ること、言い換えれば被検査体に高倍対物レンズの光軸をほぼ一致させ得ることは、顕微鏡操作者に周知の技術的事項である。
そして、切り換えにより低倍対物レンズの位置に高倍対物レンズを位置させるためには、両レンズの離隔距離だけ、すなわち、両レンズの光軸間距離だけ高倍対物レンズを移動する必要のあることは明らかであるが、このことは、刊行物2に記載された技術的事項からも見てとれる。
すなわち、刊行物2は、ステージを移動させるものであるとはいえ、巨視光学系(サーチ用低倍対物レンズに相当)の光軸B上に位置づけられている試料(被検査体に相当)を微視光学系(測定用高倍対物レンズに相当)の光軸Aと巨視光学系の光軸Bとの間の距離だけ移動させることにより、微視光学系の光軸A上に位置づけ得ること、が記載されており、該記載に基いて、低倍対物レンズと高倍対物レンズの間隔だけ両レンズを移動することにより、被検査体を低倍対物レンズの光軸上から高倍対物レンズの光軸上に配置換えすることは、当業者が容易に想到し得る配置切り換え構成と言える。
以上のことを踏まえた上で相違点5について検討すると、
刊行物1に記載された発明は、低倍対物レンズで捜した測定点を高倍対物レンズの撮像範囲に位置するように移動制御するものではあるが、既述のように、顕微鏡においては、倍率の切り換えの前後に関わらず被検査体を対物レンズの光軸上に配置して観察することは、普通に行われていることから見ると、刊行物1に記載された発明においても、(倍率切り換え前において)低倍対物レンズの光軸上に、かつ、(倍率切り換え後において)高倍対物レンズの光軸上に被検査体が位置するように移動制御することは、常に良好な画像を得るという顕微鏡観察における当然の要請からくる配置構成と言うべきものである。
そして、そのような配置構成を実現するために、移動制御対象をステージに代えて鏡筒部とすることが容易であることは【4】相違点2について、で述べたところであり、かつ、その際、鏡筒部を低倍対物レンズと高倍対物レンズの間隔だけ移動することも、既述したように当業者が容易に想到し得る配置切り換え構成であるから、結局、相違点5.は格別の創意を要したものであるとは言えない。
そして、本願発明の構成による効果も、当業者が容易に予測し得る範囲を超えるものではない。

【5】(むすび)
したがって、本願の請求項1に係る発明は、刊行物1に記載された発明、刊行物2に記載された技術的事項、及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることが出来たものと認められる故、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることが出来ない。
よって結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-09-12 
結審通知日 2005-09-15 
審決日 2005-09-27 
出願番号 特願平11-311107
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G01B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大和田 有軌岡田 卓弥  
特許庁審判長 上田 忠
特許庁審判官 後藤 時男
福田 裕司
発明の名称 基板検査装置  
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