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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F24C |
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管理番号 | 1126885 |
審判番号 | 不服2004-12724 |
総通号数 | 73 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1994-08-23 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2004-06-21 |
確定日 | 2005-11-22 |
事件の表示 | 平成 5年特許願第254057号「電子レンジ用の振動空気供給装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 6年 8月23日出願公開、特開平 6-235520〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、平成5年10月12日(パリ条約による優先権主張1992年10月9日、米国)の出願であって、その請求項1に係る発明は、平成16年7月21日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである(以下、「本願発明」という。)。 「加熱室:上記の加熱室に電磁エネルギーを供給するマグネトロン手段;上記の加熱室内の空気供給手段;上記の空気供給手段を移動可能に支持し、空気の流れを上記の加熱室内の食品製品の表面の分離した部分に当たるように方向付ける手段;及び上記の空気供給手段と連動して上記の供給手段を移動させ、上記の加熱室を介して上記の空気の流れを掃引すると共に上記の加熱室を介して電磁波を掃引する手段;によって構成され、前記空気供給手段は、前記食品製品より上に位置決めされた一対の空気供給ダクトを有する、ことを特徴とする食品製品を加熱する電子レンジ。」 2.引用例 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先権主張の日前に頒布された特開平4-211895号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。 イ.「【請求項10】キャビネットと、キャビネットの内部を調理室と該調理室の容積より大きな容積を持つ空調室に分割する手段と、空気を空調室から前記調理室を通して再循環させるための前記空調室内の循環手段と、前記調理室と連通するマイクロ波加熱手段とを有し、前記キャビネットの内部を分割する手段が前記調理室から前記空調室へのマイクロ波の伝達を防止するようになっているマイクロ波オーブン。【請求項11】前記循環手段及び前記調理室と連通する前記手段が分配手段から成る、請求項10記載のマイクロ波オーブン。【請求項12】前記分配手段を前記調理室内に移動自在に取付ける手段をさらに有する、請求項10記載のマイクロ波オーブン。」(特許請求の範囲【請求項10】〜【請求項12】) ロ.「【請求項26】容器と、前記容器内の食品と、前記容器のカバーと、前記容器内の前記食品の覆いをとる手段と、覆いがとられる頂部側から食品に向けて噴射される空気流を加えることによって食品を加熱する手段と、加熱後加熱した食品及び容器を覆う手段とを有する、加熱食品の自動販売装置。【請求項27】食品を加熱するマイクロ波加熱手段をさらに有する、請求項26記載の装置。」(特許請求の範囲【請求項26】、【請求項27】)ハ.「図面の図1及び2を参照すると、図示の実施例に参照番号90で全体を示す電磁放射装置は、オーブン70の側壁72及び74に形成された導波管93に連結された一対のマグネトロン92を有する。マグネトロン92は、電磁エネルギーを調理室に運ぶ導波管に電磁エネルギーを供給する。・・・(中略)・・・。マイクロ波エネルギーは、導波管93を通してマグネトロン92から調理室120に送られる。・・・(中略)・・・。マイクロ波放射加熱が2つの側から付与され、頂部開口容器18の食品30に向けて下方に運ばれる。・・・、1つの導波管からのビームは他の導波管に直接反射されないで、大部分加熱室に保持される。容器18は非金属製であるので、1つの導波管93からの反射波は、他の導波管に反射されないで、室120内にマイクロ波を保ち効率的にフード30を加熱する。」(段落【0045】〜【0049】) ニ.「図面の図3及び4に最もよく示すように、空気分配装置125は、チューブ128と連通する通路の列が形成された孔あき板126によって形成されたテーパ状のダクトから成る。前壁130及び後壁132は、孔あき板126から上方に延び、側壁134及び136の間に連結されている。傾斜した頂壁138が、前壁130とフランジ140の間に延び、該フランジ140はダクト108の下端を囲み、ブロワハウジング102の放出開口106を包囲している。図面の図3に示すように、空気方向決めベーン142が、テーパ状ダクトの内部144の長さに沿って空気を分配するために、テーパ状ダクトの側壁134と136の間に延びている。空気分配装置125は、フランジ140の整列した孔144を通して延びるピボットピン142によって、ダクト108に回動自在に取付けられている。ピボットピン142は、リンク150の孔149を貫入するシャフト148のラグ146に形成された開口145を貫入している。リンク150には細長いスロット152が形成されており、このスロットにクランク155のピン154が貫入している。クランクアーム155は、減速器161を介してモータ160によって駆動される駆動シャフト158を受け入れている。半径流ブロワ110は、渦巻の外側部分からチューブ128の開口を通して下方に空気を最高速度で放出し、頂部開口容器18内の細長い食品30に当てる。空気分配ダクト125は、空気流の均一な有効範囲を得るように食品に対して動かされる。図11及び12に最もよく示すように、空気流は、容器18の側部22及び23によって、容器内の食品30の側部及び底部を加熱するように向きが変えられる。空気分配ダクトのこの動きにより、空気流は、側壁22に隣接する容器の1つの側部近くに加えられ、次に、側壁23に隣接する他の側部に加えられ、このため、空気流の一部が食品30の両側の露出した側部に交互に加えられ、暖かく積み重なった、曲がった又は色々な長さのフレンチフライドポテトのような食品を通る横方向の流れが交互に与えられる。支持リブ25の間の通路28を通るこの交互の横方向の空気流は下方を通り、骨付きチキンのような不規則な形状の食品の下側を加熱する。・・・(中略)・・・。さらに、移動中の空気分配装置125は、調理室120内にマイクロ波エネルギーを分配するのを助ける攪拌器として働く移動反射面となる。チューブ128の延長部のオリフィスと頂部開口容器18の組み合わせによって空気を逃がす通路が作られる一方、オリフィスを食品30から最適の距離にする。容器18の側部20及び21並びに端部22及び23の上縁部は、食品30の下面31と容器18の底部24との間の空気流を増大させるように、収容された食品30の高さより上方にある。」(段落【0062】〜【0070】) そして、上記ロ及び図20、21からみて、空気の流れは、食品の表面の覆いをとった部分に当たっていることが理解でき、上記ニの「空気分配ダクト125は、空気流の均一な有効範囲を得るように食品に対して動かされる。」、「移動中の空気分配装置125は、調理室120内にマイクロ波エネルギーを分配するのを助ける攪拌器として働く移動反射面となる。」の記載からみて、空気分配ダクト(装置)を移動する手段は、空気流の移動手段とマイクロ波エネルギーの分配手段を兼ねるものであることが理解できる。 以上の記載及び図面からみて、引用例には、 キャビネット:上記のキャビネットに電磁エネルギーを供給するマグネトロン;上記のキャビネット内の空気分配装置;上記の空気分配装置を回動可能に取付け、空気の流れを食品の表面の覆いをとった部分に当たるように動かすピボットピン及びモータ、及び上記空気分配装置を回動させ、上記のキャビネットを介して空気流を加えると共に、上記のキャビネットを介して電磁波を運ぶ空気分配装置によって構成され、前記空気分配装置は、前記食品より上に位置決めされたダクトを有する、ことを特徴とする食品を加熱するマイクロ波オーブン(以下、「引用例発明」という。)が記載されている。 3.対比・判断 本願発明(前者)と引用例発明(後者)とを対比すると、それらの機能からみて、後者の「キャビネット」は前者の「加熱室」に、以下同様に、「マグネトロン」は「マグネトロン手段」に、「空気分配装置」は「空気供給手段」に、「回動可能に取付け」は「移動可能に支持し」に、「食品」は「食品製品」に、「表面の覆いをとった部分」は「表面の分離した部分」に、「ピボットピン及びモータ」は「方向付ける手段」に、「回動」は「移動」に、「空気流を加える」は「空気の流れを掃引する」に、「電磁波を運ぶ」は「電磁波を掃引する」に、「ダクト」は「空気供給ダクト」に、「マイクロ波オーブン」は「電子レンジ」にそれぞれ相当している。 そして、後者のモータにより回動する空気分配装置は、同装置の移動と連動して空気流を加えると共に電磁波を運んでいるといえる。 そうすると、両者は、 加熱室:上記の加熱室に電磁エネルギーを供給するマグネトロン手段;上記の加熱室内の空気供給手段;上記の空気供給手段を移動可能に支持し、空気の流れを上記の加熱室内の食品製品の表面の分離した部分に当たるように方向付ける手段;及び上記の空気供給手段と連動して上記の供給手段を移動させ、上記の加熱室を介して上記の空気の流れを掃引すると共に上記の加熱室を介して電磁波を掃引する手段;によって構成され、前記空気供給手段は、前記食品製品より上に位置決めされた空気供給ダクトを有する、ことを特徴とする食品製品を加熱する電子レンジの点で一致し、次の点で相違している。 [相違点] 本願発明が、空気供給ダクトを一対具備しているのに対し、引用例発明が、空気供給ダクトを一つ具備している点。 そこで、上記相違点について検討する。 加熱装置において、空気供給ダクトを複数設けることは、本願の優先日前、周知の技術である(実願平2-18443号(実開平3-111805号)のマイクロフィルム、実願昭58-190745号(実開昭60-99411号)のマイクロフィルム参照。)。 そうすると、引用例発明において、本願発明のように、空気供給ダクトを一対具備するようにした点は、当業者が適宜採択しえた設計的事項である。 また、本願発明の奏する作用効果をみても、引用例発明及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。 4.むすび したがって、本願発明は、引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 そうすると、本願は、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2005-06-21 |
結審通知日 | 2005-06-27 |
審決日 | 2005-07-08 |
出願番号 | 特願平5-254057 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(F24C)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 関口 哲生 |
特許庁審判長 |
水谷 万司 |
特許庁審判官 |
佐野 遵 岡本 昌直 |
発明の名称 | 電子レンジ用の振動空気供給装置 |
代理人 | 宍戸 嘉一 |
代理人 | 今城 俊夫 |
代理人 | 中村 稔 |
代理人 | 村社 厚夫 |
代理人 | 大塚 文昭 |
代理人 | 小川 信夫 |