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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04B |
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管理番号 | 1126907 |
審判番号 | 不服2001-15100 |
総通号数 | 73 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1997-08-15 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2001-08-27 |
確定日 | 2005-11-22 |
事件の表示 | 平成 9年特許願第 18750号「光ビート妨害の影響を減らす方法及び光波信号伝送システム」拒絶査定不服審判事件〔平成 9年 8月15日出願公開、特開平 9-214427〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、平成9年1月31日(パリ条約による優先権主張、1996年2月1日、アメリカ合衆国)の出願であって、その請求項7に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成13年1月23日付けの手続補正書により補正された明細書の記載からみて、特許請求の範囲の請求項7に記載されたとおりの次のものと認める。 「少なくとも2つの信号レーザーを有し、各信号レーザーは少なくとも1つの信号バンドを有する光伝送システムにおいて光ビート妨害の影響を減らす方法であって、この方法は、 前記光伝送システム内の前記信号レーザーのそれぞれからディザトーンを出力するステップを有し、 前記信号レーザーのそれぞれから出力されるディザトーンは、他の信号レーザーから出力されるディザトーンとは異なることを特徴とする光ビート妨害の影響を減らす方法。」 2.引用例 これに対して、原審の拒絶理由に引用された特開平6-252849号公報(平成6年9月9日特許庁発行、以下「引用例」という。)には、次の事項が図面と共に記載されている。 [引用例] A.「【特許請求の範囲】 【請求項1】複数の発光端局1の夫々の発光素子から発光される送信光を伝送信号により変調し、この複数の送信光を合波して共通の光伝送路2で伝送し、その送信光を受信局3で同時に受光して復調するようにした多局型光伝送方法において、前記の発光素子から発光される送信光の発光波長を時間的に変動させることを特徴とする多局型光伝送方法。」(2頁左欄1〜8行) B.「【0001】 【産業上の利用分野】本発明の多局型光伝送方法は光CATVシステム、光ITVシステム、光伝送監視システム、光デジタル伝送システム等において送信光を伝送するのに利用されるものである。」(2頁左欄10〜14行) C.「【0004】 【発明が解決しようとする課題】外部変調方式は直接変調方式に対して伝送周波数帯域幅を広くできるという利点はあるが、実際に光合波型の多地点通信システムを組むと多数の送信光の相互作用により発光波長(発光周波数)の差分がビートとして検波出力に現れ、そのビートが伝送品質を損ねる大きな原因となるという問題があった。ちなみに、直接変調方式では前記の様に駆動電流-発光波長特性となるため、駆動電流の変動に伴って発光波長が変動し、ビートの影響が少なくなる。 【0005】本発明の目的は前記のビートの影響が少ない多局型光伝送方法を実現することにある。」(2頁左欄28〜39行) D.「【0006】 【課題を解決するための手段】本発明の多局型光伝送方法は図1に示す様に、複数の発光端局1の夫々の発光素子から発光される送信光を伝送信号により変調し、この複数の送信光を合波して共通の光伝送路2で伝送し、その送信光を受信局3で同時に受光して復調するようにした多局型光伝送方法において、前記の発光素子から発光される送信光の発光波長を時間的に変動させるようにしたものである。 【0007】 【作用】本発明では発光端局1から発光される送信光の発光波長を時間的に変動させるので、ビートの周波数が必要伝送帯域内に入っている時間を短くすることができ、平均的伝送品質が保持される。また、送信光の発光波長を時間的に変動させることによりビートのスペクトルが分散するので、ビートのピークを低くすることができ、伝送品質が保持される。」(2頁左欄40行〜同頁右欄6行) E.「【0008】 【実施例1】本発明の実施例として図1に示す多局型光伝送方法は、複数の発光端局(送信局)1の発光素子(例えばレーザダイオード)4を駆動回路5により駆動して送信光を発光させ、外部変調信号源6からの伝送信号により外部変調器7を駆動してその送信光を外部変調し、この外部変調された送信光を光合波器8で合波して共通の光伝送路(光ファイバ)2で伝送し、それを受信局(主局)3の受光器9で同時に受信するものである。なお、図1の10はLD温度制御回路である。 【0009】そして前記送信光の発光波長を変動させるには図2に示す様に、発光素子(レーザダイオード)の駆動電流-波長特性を利用して発光波長を変化させる。具体的には発光端局1において、駆動回路5の定電流源11からの定電流(直流)と変動信号電流源12からの変動信号とを加算器13で加算することにより、発光素子(レーザダイオード)4に加える駆動電流を変動させて、発光素子4からの発光波長を変動させるようにしてある。」(2頁右欄7〜25行) F.「【0010】この場合、各変動信号電流源12の変動信号は前記伝送信号に対して影響の無い周波数、例えば伝送信号帯域の下限以下又は上限以上の周波数とする。また、その変動信号は各発光端局1独自の発振周波数をもつ正弦波や三角波等の周期的信号(定期信号)、ホワイトノイズ等の非周期的信号(不定期信号)等とする。」(2頁右欄26〜31行) したがって、上記A〜Fの記載事項、及び図1,2を参照すると、引用例には、次の発明(以下、「引用例記載の発明」という。)が記載されているものと認められる。 複数の発光端局の夫々の発光素子であるレーザダイオードから発光される送信光を伝送信号により変調し、この複数の送信光を合波して共通の光伝送路で伝送し、その送信光を受信局で同時に受光して復調するようにした多局型光伝送方法において、伝送品質を損ねる原因となっている、複数の送信光の相互作用により生じるビートの影響を少なくするために、定電流源からの定電流と変動信号電流源からの変動信号を加算し、この加算した電流を駆動電流として前記レーザダイオードに加え、前記レーザダイオードから発光される送信光の発光波長を時間的に変動させることを特徴とする多局型光伝送方法。 3.対比 本願発明と引用例記載の発明とを対比すると、両者は、共に、光伝送システムにおいて、光ビート妨害の影響を減らす方法に係るものであり、 引用例記載の発明の「レーザダイオードから発光される送信光」は、本願発明の「信号レーザー」に相当する。 また、引用例記載の発明において、レーザダイオードから発光される送信光は伝送信号により変調されるのであるから、変調後の送信光は、本願発明の信号バンドを有することになる。 さらに、引用例記載の発明において、変動信号が加算された駆動電流により駆動されるレーザダイオードからは、発光波長が時間的に変動する送信光が出力されるのであるから、この発光波長が時間的に変動する送信光は、本願発明のディザトーンに相当するものを含んでいる。 してみると、本願発明と引用例記載の発明とは、 少なくとも2つの信号レーザーを有し、各信号レーザーは少なくとも1つの信号バンドを有する光伝送システムにおいて光ビート妨害の影響を減らす方法であって、この方法は、前記光伝送システム内の前記信号レーザーのそれぞれからディザトーンを出力するステップを有することを特徴とする光ビート妨害の影響を減らす方法、である点で一致し、次の点で相違する。 <相違点> 本願発明において、信号レーザーのそれぞれから出力されるディザトーンは、他の信号レーザーから出力されるディザトーンとは異なるものであるのに対して、引用例記載の発明においては、各レーザダイオードから出力されるディザトーンが他のレーザダイオードから出力されるディザトーンとは異なるものであることについては明らかではない点。 4.当審の判断 上記相違点について検討すると、 上記に引用例には、上記2-Fの記載を参照すると、「この場合、各変動信号電流源12の変動信号は前記伝送信号に対して影響の無い周波数、例えば伝送信号帯域の下限以下又は上限以上の周波数とする。また、その変動信号は各発光端局1独自の発振周波数をもつ正弦波や三角波等の周期的信号(定期信号)、ホワイトノイズ等の非周期的信号(不定期信号)等とする。」という記載があり、上記ディザトーンを形成している変動信号の周波数について、各発光端局1独自の発振周波数をもつこと、つまり各発光端局の各レーザダイオードを駆動する変動信号の周波数を独自のもの、すなわちユニークなものとすることを示唆する記載が存在しているのであるから、各レーザダイオードを駆動する変動信号の発振周波数をユニークなものとすることにより、レーザダイオードからそれぞれから出力されるディザトーンは、他のレーザダイオードから出力されるディザトーンとは異なるように構成することは、当業者であれば容易に想到し得たことである。 そして、本願発明の構成によってもたらされる効果も、引用例に記載された発明から当業者ならば容易に予測することができる程度のものであって、格別のものとはいえない。 5.むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、引用例に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。したがって、本件出願は、他の請求項に係る発明を検討するまでもなく拒絶されるべきものである。 よって、結論の通り審決する。 |
審理終結日 | 2005-06-28 |
結審通知日 | 2005-06-29 |
審決日 | 2005-07-12 |
出願番号 | 特願平9-18750 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H04B)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 深津 始 |
特許庁審判長 |
井関 守三 |
特許庁審判官 |
彦田 克文 橋本 正弘 |
発明の名称 | 光ビート妨害の影響を減らす方法及び光波信号伝送システム |
代理人 | 朝日 伸光 |
代理人 | 産形 和央 |
代理人 | 臼井 伸一 |
代理人 | 越智 隆夫 |
代理人 | 藤野 育男 |
代理人 | 加藤 伸晃 |
代理人 | 本宮 照久 |
代理人 | 高橋 誠一郎 |
代理人 | 高梨 憲通 |
代理人 | 岡部 正夫 |
代理人 | 三俣 弘文 |
代理人 | 吉澤 弘司 |