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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
管理番号 1126980
審判番号 不服2002-13719  
総通号数 73 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1996-05-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-07-22 
確定日 2005-11-21 
事件の表示 平成 6年特許願第507511号「ビデオディスプレイ用ストロボ照明システム」拒絶査定不服審判事件〔平成 6年 3月17日国際公開、WO94/06249、平成 8年 5月28日国内公表、特表平 8-505014〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.経緯
(1)手続
本願は、平成5年9月7日(パリ条約による優先権主張(優先日:1992年9月9日、アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願である。
(2)査定
原査定の理由は、概略、下記のとおりである。
記(査定の理由)
〈理由1〉
本願各発明は、下記刊行物に記載された各発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

刊行物1:特開平2-284135号公報
刊行物2:特表平4-504786号公報
〈理由2〉
明細書および図面の記載は、下記の点で不備と認められるから、特許法第36条に規定する要件を満たしていない。

意味不明の用語が採用されている。

2.本願発明
本願の請求項1から請求項39までに係る各発明は、本願明細書および図面(平成12年9月7日付け、平成14年1月4日付け、平成14年7月22日付けおよび平成14年8月21日付けの各手続補正書により補正された明細書および図面)の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1から請求項39までにそれぞれ記載したとおりのものであると認められるところ、そのうち、請求項39に係る発明(以下、本願発明ともいう)は下記のとおりのものである。
記(請求項39に係る発明)
多色照明を生成するストロボ照明装置、
各々が前記照明装置の前方に位置設定され調節可能な透明度を有する個別制御可能ライトバルブのアレイ、
ライトバルブの前記アレイ上の多色照明を時間的かつ空間的にインタレースする手段、
を特徴とする画像発生用ディスプレイ装置。

3.当審の判断
(1)刊行物の記載
原査定において引用された各刊行物には、それぞれ、以下の記載が認められる。
(a)刊行物1(特開平2-284135号公報)
(ア)「光バルブアレイ4は透過性で各画素5の透過率を変えることで像を形成する。」(4頁左下欄2行〜3行)
(イ)「交互に赤、青及び緑のピクセルの行を有する代表的カラーLCD表示装置で使う時は、装置の動作は前の記述と同一の第8図である。すくなくとも1個の赤、1個の緑及び1個の青い発光部が各ピクセルの後に見えるように配置され、これらの異なる色部分が連続して点滅する赤、緑及び青の発光線又は点を用いて色を生じることも可能である。・・・この場合第9図と第10図のパネル1上の3組の発光部分152、153及び154のそれぞれは異なる色の光を発っする。152の部分は赤い光を発っし、153の部分は緑の光を、154の部分は青い光を発っする。前述のように152、153及び154の組が連続して点滅する。152の組が点灯する時、ピクセル5は像の赤い要素を表示する。153の組が点灯する時、ピクセル5は像の緑の要素を表示し、そして、154の組が点灯する時はピクセル5は像の青い要素を表示する。」(9頁左上欄16行〜右上欄14行)
(ウ)第8図及び第9図によれば、光バルブアレイ4において、1つのピクセルにつき3つの線(赤い光を発する線152、緑の光を発する線153及び青い光を発する線154)が対応していることが、見てとれる。
(エ)「第12図は非常に小さな発光部を非常に多数作る容易で低コストの方法を示す。普通のフラッシュ電球の様ないくつかの大きな光源62、63及び64が光パネル65上に配置されている。第12図においては3組の光源が示されているがどの組数でも良い。電球の組はコントローラ66によって動作され、このコントローラは62の組を点滅させ、63の組を点滅させ、そして64の組を点滅させる。ハエの眼レンズアレイ67の各レンズは拡散面である表面1上に光源62、63及び64の小さな像68、69及び70を形成する。第12a図は像の行路をより明瞭に示すためハエの眼レンズのアレイ67と第1図の表示ユニットの一部分を拡大したものである。もし発光線が作られるならばハエの眼レンズの代わりにレンチキュラレンズが使われる。複数の組の点滅する発光部を表示する照明パネルの表面1は光バルブアレイ4の後に位置している。光バルブアレイ4上に示された像はクロック61装置により点滅する光源62から64と同期している。」(9頁左下欄4行〜右下欄2行)
(オ)第12図によれば、ハエの眼レンズアレイの1個のレンズ(レンチキュラレンズの1個のレンズ)に対して隣接する3個の光源(電球62、63及び64(レンチキュラレンズの場合にあっては発光線))が対応すること、第12A図によれば、3個の光源の像68、69及び70が光バルブアレイ4に隣接する平行な拡散面1に形成されること、以上が見てとれる。もっとも、光源の像68、69及び70と光バルブアレイ4の各ピクセルとの配置関係については記載がない。
(b)刊行物2(特表平4-504786号公報)
(カ)「三次元イメージにおける二次元ピクチャーの連続したものは、空間ライトモジュレータにより表示される。各ピクチャーは、特定の視点から見たイメージを描いており、以下、これを単に「ビュー」という。一つのビューの表示と同時に、一つの光のスポット7が二次元ディスプレイデバイス4のスクリーン3上に表示される。このスポット7からの光は、レンズ1を通過するときに平行光8に変換されるが、その方向は・・・スポット7の位置・・・によって決まる。スポット7の位置は、空間ライトモジュレータ2上のビューを見る視点9へ向けてのみ光が空間ライトモジュール2を通過するように制御される。」(3頁左下欄9行〜24行)
(キ)「三次元ディスプレイデバイスによって表示される三次元イメージの可能なタイプとしては、立体イメージ、多重イメージ、パララックス(parallax)中のイメージ、完全な三次元イメージ、および、カラーイメージなどがあり、以下、これらについて説明する。」(3頁右下欄19行〜23行)
(ク)「カラーイメージの場合、各ビューは、赤、青、緑のピクチャーで構成される。これらのピクチャーは、空間ライトモジュレータ2上に連続して提示され、二次元ディスプレイデバイス4のスクリーン3からの光の色がピクチャーのために適当に変えられる。代わりに、空間ライトモジュレータ2上の画素位置にカラーフィルタを重ねて、二次元ディスプレイデバイス4が白色光を発するようにする方法もある。三つのピクチャーは、同時に空間ライトモジュレータ2上に呈示され、各ピクチャーの画素は適当な色のフィルタで覆われた画素位置で表示される。」(4頁左上欄9行〜20行)
(2)刊行物1記載の発明
上記各記載によれば、刊行物1には、下記の構成を備えた「装置」が記載されている。
記(刊行物1記載の発明)
3組の光源(フラッシュ電球62、63及び64(又は、発光線))は、それぞれ異なる色(例えば、赤、緑及び青)の光を発するものであり、各光源の組はコントローラ66によって動作され、62の組が点滅し、次に63の組が点滅し、次に64の組が点滅すること。
ハエの眼レンズアレイ(レンチキュラレンズ)は、3組の光源の小さな像68、69及び70を拡散面1上に形成すること。
拡散面1は照明パネルの表面であり、照明パネルは、拡散面1上に形成された3組の像68、69及び70により複数の組の点滅する発光部を表示すること。
照明パネルの表面(拡散面1)は光バルブアレイ4の後ろに位置しており、光バルブアレイ4は透過性で各画素の透過率を変えることで像を形成すること。
光バルブアレイ4上に示された像はクロック61装置により点滅する光源62、63及び64と同期していること。
(3)対応関係
刊行物1記載の発明において、
(a)点滅動作をする3組の光源(フラッシュ電球62、63及び64(又は、発光線))は、本願発明にいう「多色照明を生成するストロボ照明装置」に相当する。
(b)光バルブアレイ4は、照明パネルの表面(拡散面1)の前方に位置し、各画素の透過率を変えることで像を形成するから、本願発明にいう「各々が前記照明装置の前方に位置設定され調節可能な透明度を有する個別制御可能ライトバルブのアレイ」に相当する。
(c)照明パネルは、3組の光源(フラッシュ電球62、63及び64(又は、発光線))、ハエの眼レンズアレイ(レンチキュラレンズ)及び拡散面1をその構成要素とし、62の組を点滅させ63の組を点滅させそして64の組を点滅させることにより、拡散面1上に3組の像68、69及び70により複数の組の点滅する発光部を形成し表示することから、本件発明にいう「ライトバルブの前記アレイ上の多色照明を時間的にインタレースする手段」に相当する。
もっとも、刊行物1の第12a図によれば、3組の像(68、69及び70)は拡散面1上で空間的に分離して配列されており、その点では本願発明にいう「アレイ上の多色照明を空間的にインタレースする」構成をも備えるものである。しかし、光バルブアレイ4の各画素との配置関係においては、「空間的にインタレース」されているのか否か定かではない(むしろ、第8図及び第9図の記載からみて、1つの画素に3組の像(68、69及び70)が対応することが認められる)。相違が認められる。
(d)照明パネル、光バルブアレイ4、コントローラ66等からなる装置が、「画像発生用ディスプレイ装置」と呼ぶべきものであることは、明らかである。
(4)一致点・相違点
本願発明と刊行物1記載の発明との一致点および相違点は下記のとおりである。
記(一致点)
多色照明を生成するストロボ照明装置、
各々が前記照明装置の前方に位置設定され調節可能な透明度を有する個別制御可能ライトバルブのアレイ、
ライトバルブの前記アレイ上の多色照明を時間的にインタレースする手段、
を特徴とする画像発生用ディスプレイ装置。
記(相違点)
本願発明は、アレイ上の多色照明を、さらに「空間的にインタレースする」のに対して、刊行物1には、そのような構成につき記載がない点
(5)相違点等の判断
(5-1)相違点の判断
(a)刊行物1において、3組の像(68、69及び70)が、拡散面1上で「アレイ上の多色照明を空間的にインタレースする」構成であることは前記のとおりである。
(b)刊行物2には、三次元ディスプレイデバイスによってカラーイメージを表示する場合について説明があり、同説明では、「空間ライトモジュレータ2上に、赤、青、緑のピクチャーを連続して提示するとともに、スクリーン3からの光の色をピクチャーの色に相応して変えることにより、カラーイメージを表示する」代わりに、「空間ライトモジュレータ2上の画素位置にカラーフィルタを重ねて三つのピクチャーを同時に提示するとともに、スクリーン3からの光の色を白色とすることにより、各ピクチャーの画素を適当な色のフィルタで覆われた画素位置で表示する」方法が記載されている。
上記代わりの方法である「各ピクチャーの画素を適当な色のフィルタで覆われた画素位置で表示する」ことは、各ピクチャーを「空間的にインタレースする」ことによりカラー画像を表示することに他ならない。刊行物2には、各色に対応した画像を「空間的にインタレースする」ことによりカラー画像を表示することが開示されている。
(c)光源、レンチキュラレンズ及び液晶セルからなる液晶表示装置において、1つの画素(画素列)に1つの照明光(線状照明光)を対応させることは周知の事項である。これには、この審決で引用する文献(実願昭63-79230号(実開平2-1771号)の明細書のマイクロフィルム)の「レンチキュラー板3は液晶パネルの画素ピッチと等しいレンズピッチを有しており、第4図に示すように、焦点位置が液晶パネル1の液晶層16内に存在するように配置されている。」(第4頁、第4図)の記載を参照することができる。
上記周知技術に照らせば、刊行物1記載の発明における、1つの画素に3組の像(68、69及び70)を対応させる構成を、1つの画素に3組の像の個々(68、69及び70のいずれか)を対応させる構成に変更することを妨げる事情は認められない。
(d)上記相違点に係る構成は、刊行物2の上記開示事項を参照して、刊行物1記載の発明において、1つの画素に対して3組の像を対応させる構成を1つの画素に対して3組の像の各像を対応させる構成とすることにより、当業者が容易になし得ることである。
(5-2)効果等
以上のとおり、上記相違点に係る構成は当業者が容易になし得ることであり、また、本願発明の効果も、刊行物1及び刊行物2の記載から予測することができる程度のものにすぎない。
(6)まとめ
以上、請求項39に係る発明は、刊行物1及び刊行物2に記載された各発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上、請求項39に係る発明は、刊行物1及び刊行物2に記載された各発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、残る理由1(請求項1から請求項38までに係る各発明に係る部分)及び理由2について特に検討するまでもなく、本願は拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-06-30 
結審通知日 2005-07-01 
審決日 2005-07-12 
出願番号 特願平6-507511
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山崎 達也  
特許庁審判長 新宮 佳典
特許庁審判官 原 光明
堀井 啓明
発明の名称 ビデオディスプレイ用ストロボ照明システム  
代理人 浅村 肇  
代理人 清水 邦明  
代理人 浅村 皓  
代理人 林 鉐三  

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