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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01L
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01L
管理番号 1127203
審判番号 不服2003-3308  
総通号数 73 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2000-12-15 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-02-28 
確定日 2005-12-02 
事件の表示 平成11年特許願第159145号「制御装置、露光装置、およびデバイス製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成12年12月15日出願公開、特開2000-349015〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成11年6月7日の出願であって、原審において拒絶査定がなされ、審判請求がなされ、審判請求時の補正が却下された後、当審より、最後の拒絶理由通知がなされ、その指定期間内である平成17年7月19日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成17年7月19日付け手続補正についての補正の却下の決定
〔補正却下の決定の結論〕
平成17年7月19日付の手続補正を却下する。
〔理由〕
(1) 補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、「制御量を検出する各センサからのアナログ検出信号をAD変換し、パケット化して送信する信号前処理部と、このパケットを受信し、前記AD変換された検出信号に基づいて、各制御量に対応した制御対象を操作する各アクチュエータの操作量を決定する制御部とを具備し、
前記制御部は、前記AD変換された検出信号に所定の処理を施して出力する信号後処理部と、この出力に基づいて前記各アクチュエータへの操作量の出力を行う制御演算部とを備え、前記信号前処理部におけるAD変換からパケットの送信までの処理、および当該パケットの受信から前記制御演算部への出力までの前記信号後処理部における処理は、同一の制御サイクル内で行い、かつ前記信号前処理部における前記AD変換した検出信号をパケット化する処理、および前記信号後処理部における前記パケットの受信から前記制御演算部への出力までの処理の少なくとも一部は、同一の制御サイクル内で並行して行うように構成したことを特徴とする制御装置。」
と補正された。
上記補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「アナログ検出信号をAD変換し、パケット化して送信する信号前処理部と、
前記信号前処理部から送信されたパケットを受信し、所定の処理を施す信号後処理部と、
前記信号後処理部で所定の処理を施されたデータに基づいて、前記アクチュエータへ駆動目標値を出力する目標値出力部と、
を具備することを特徴とする制御装置。」を「アナログ検出信号をAD変換し、パケット化して送信する信号前処理部と、このパケットを受信し、前記AD変換された検出信号に基づいて、各制御量に対応した制御対象を操作する各アクチュエータの操作量を決定する制御部とを具備し、
前記制御部は、前記AD変換された検出信号に所定の処理を施して出力する信号後処理部と、この出力に基づいて前記各アクチュエータへの操作量の出力を行う制御演算部とを備え、前記信号前処理部におけるAD変換からパケットの送信までの処理、および当該パケットの受信から前記制御演算部への出力までの前記信号後処理部における処理は、同一の制御サイクル内で行い、かつ前記信号前処理部における前記AD変換した検出信号をパケット化する処理、および前記信号後処理部における前記パケットの受信から前記制御演算部への出力までの処理の少なくとも一部は、同一の制御サイクル内で並行して行うように構成したことを特徴とする制御装置。」と限定するものであって、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成15年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2)引用例
(2)-1 引用例の記載内容
当審の拒絶の理由に引用された引用例
引用例1 特開平11-44250号公報
引用例1の【0001】段落には、
「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両を制御する各種センサからの制御信号のA/D変換値を用いて車両を制御する車両用制御装置に関するものである。」
と記載されている。
引用例1の【0013】段落には、
「【0013】図1は本発明の実施の形態の一実施例にかかる車両用制御装置を適用した内燃機関用制御装置の要部構成を示すブロック図である。」
と記載されている。
引用例1の【0014】ないし【0015】段落には、
「【0014】図1において、メインマイクロコンピュータ10は、主として、周知の中央処理装置としてのCPU、制御プログラムを格納したROM等の論理演算回路からなるコントロール部11、このコントロール部11からA/D変換コマンド指定され起動されるDMA(DirectMemoryAccess)コントローラ12、A/D変換するためのch(Channel:チャンネル)番号(以下、単に『ADch』と記す)を後述のようにスケジューリングし格納しておくためのバッファRAM13、A/D変換値が順次格納されるバッファRAM14、このバッファRAM14内のうち後述のように正常判定されたA/D変換値を内燃機関用制御に用いるために格納する制御RAM15、DMAコントローラ12の出力部12a、入力部12bと接続されるシフトレジスタ16にて構成されている。
【0015】
また、サブマイクロコンピュータ20は、主として、メインマイクロコンピュータ10のシフトレジスタ16と後述するA/D変換制御部22と接続されるシフトレジスタ24、各種センサ(図示略)からの演算用信号としてのセンサ信号(以下、単に『各種センサ信号』と記す)をA/D変換するA/D変換器21、シフトレジスタ24を介しシリアル通信(シリアルアウト)によって受信されたADchを指定しA/D変換器21を起動すると共に、A/D変換器21でA/D変換された各種センサ信号のA/D変換値をシフトレジスタ24を介してメインマイクロコンピュータ10側へシリアル通信(シリアルイン)によってメインマイクロコンピュータ10側のシフトレジスタ16へ送信するA/D変換制御部22、このA/D変換制御部22とメインマイクロコンピュータ10側のシフトレジスタ16との間のシリアル通信及びA/D変換器21との送受信を制御する中央処理装置としてのCPU、制御プログラムを格納したROM等の論理演算回路からなるコントロール部23にて構成されている。」
と記載されている。
引用例1の【0016】ないし【0017】段落には、
「【0016】次に、本発明の実施の形態の一実施例にかかる車両用制御装置におけるA/D変換タイミングについて図2を参照して説明する。
【0017】サブマイクロコンピュータ20に内蔵されているA/D変換器21は、メインマイクロコンピュータ10のDMAコントローラ12からのA/D変換通信タイミング(「三角黒塗」記号)で起動される。DMAコントローラ12は、メインマイクロコンピュータ10のコントロール部11から一定時間(4ms)毎に出力されるA/D変換要求信号に基づいて、100μs毎にスケジューリングされた順にA/D変換器21に起動をかける。よって、A/D変換器21はDMAコントローラ12から送られてくるA/D変換通信タイミングに従って100μs毎にスケジューリングされた順にA/D変換することになる。この100μs毎のA/D変換通信タイミングは、A/D変換に要する時間70μsに空時間30μsを加えて設定されている。」
と記載されている。
引用例1の【0020】段落には、
「【0020】次に、本発明の実施の形態の一実施例にかかる車両用制御装置におけるメインマイクロコンピュータ10からの1回のA/D変換要求、即ち、1パケット中のADchのスケジューリングについて図4を参照して説明する。…。」
と記載されている。
引用例1の【0035】段落には、
「【0035】…ノック有り時の処理としてその内容がメインマイクロコンピュータ10側に伝達される。これにより、メインマイクロコンピュータ10側では周知の点火時期に対する遅角処理が実行される。一方、…ノックなし時の処理としてその内容がメインマイクロコンピュータ10側に伝達される。これにより、メインマイクロコンピュータ10側では周知の点火時期に対する進角処理が実行される。…」
と記載されている。
引用例1の【0040】段落には、
「【0040】なお、上記実施例においては、内燃機関用制御装置に本発明を適用しているが、本発明を実施する場合には、これに限定されるものではなく、例えば、アンチロックブレーキシステム(ABS)用制御装置やクルーズコントロール(C/C)用制御装置等に適用することもできる。」
と記載されている。
引用例1の第1図には、サブマイクロコンピュータ20とメインマイクロコンピュータ10の間がシリアルイン、シリアルアウトと記された2本の信号線で結ばれていることが示されている。
引用例1の第4図には、1パケット中のADchのスケジューリングの表が示されている。

(2)-2 引用例1の記載の発明
上記の記載内容から、引用例1には、
「内燃機関又はアンチロックブレーキ又はクルーズコントロール用制御装置等の各種センサからの制御信号をA/D変換し、その後信号をシリアル送信するサブマイクロコンピュータと、サブマイクロコンピュータから送信された信号を受信し、所定の処理を施すメインマイクロコンピュータと、メインマイクロコンピュータからA/D変換タイミングを一定時間毎に要求するものであって、メインマイクロコンピュータで所定の処理を施されたA/D変換値に基づいて、内燃機関又はアンチロックブレーキ又はクルーズコントロール用制御装置等を制御する制御装置。」
の発明が記載されている。

(3)対比
そこで、本願補正発明と引用例1に記載された発明とを比較する。
引用例1に記載された「メインマイクロコンピュータ及びサブマイクロコンピュータ」は、本願補正発明の「信号処理部」に実質的に相当する。
また、引用例1に記載された「内燃機関又はアンチロックブレーキ又はクルーズコントロール」は、本願補正発明の「制御対象」に実質的に相当し、「内燃機関又はアンチロックブレーキ又はクルーズコントロール用制御装置」は、本願補正発明の、「アクチュエータ」に実質的に相当する。
また、引用例1に記載された発明の「各種センサ」は、制御信号を出力するものであり、制御量を実質的に検出するから、制御量を検出するものであり、本願発明の「制御量を検出する各センサ」に相当する。
また、引用例1に記載された制御装置は、内燃機関等の駆動状態を検出する複数のセンサからのアナログ信号を受信し、所定の処理を施すメインマイクロコンピュータと、メインマイクロコンピュータで所定の処理を施されたA/D変換値に基づいて内燃機関等の制御装置の駆動を制御するものであるから、本願発明の「AD変換された検出信号に基づいて、各制御量に対応した制御対象を操作する各アクチュエータの操作量を決定する制御部」を実質的に有している。
さらに、引用例1に記載された発明は、第1図を参照すると、A/D変換後にシリアル送信することが示されており、第4図には1パケット中のADchのスケジューリングの表が示されているから、第1図記載のA/D変換後のシリアル送信は、信号をパケット送信しているものと認められる。

一致点
両者は、
「制御量を検出する各センサからのアナログ検出信号をAD変換し、パケット化して送信する信号処理部と、このパケットを受信し、前記AD変換された検出信号に基づいて、各制御量に対応した制御対象を操作する各アクチュエータの操作量を決定する制御部とを具備した制御装置。」
において一致する。

相違点
本願補正発明が、信号前処理部及び信号後処理部を有するのに対し、引用例1に記載された発明は、信号処理をするマイクロコンピュータを有するものの、信号前処理部及び信号後処理部に分けていない点で相違(以下、「相違点1」という。)する。

本願補正発明が、「制御部は、AD変換された検出信号に所定の処理を施して出力する信号後処理部と、この出力に基づいて前記各アクチュエータへの操作量の出力を行う制御演算部とを備える」構成を有するのに対し、引用例1に記載された発明は、AD変換された検出信号に所定の処理を施して出力する信号処理部を有し、この出力に基づいて前記各アクチュエータへの操作量の出力を行う制御部とを備えるものの、AD変換された検出信号に所定の処理を施して出力する信号後処理部信号後処理部が制御演算部とは分けていない点で相違(以下、「相違点2」という。)する。

本願補正発明が、前記信号処理部におけるAD変換からパケットの送信までの処理、および当該パケットの受信から前記制御演算部への出力までの前記信号後処理部における処理は、同一の制御サイクル内で行うのに対し、引用例1に記載された発明では、その旨の記載がない点で相違(以下、「相違点3」という。)する。

本願補正発明は、信号前処理部における前記AD変換した検出信号をパケット化する処理、および前記信号後処理部における前記パケットの受信から前記制御演算部への出力までの処理の少なくとも一部は、同一の制御サイクル内で並行して行うのに対し、引用例1に記載された発明では、その旨の記載がない点で相違(以下、「相違点4」という。)する。

(4)判断
相違点1について検討する。
信号処理を、コンピュータ内で段階に分けて処理することは慣用手段であるから、信号前処理部及び信号後処理部を有することは、当業者が容易に想到できたことである。

相違点2について検討する。
相違点2については、引用例1に記載された発明の1つの制御部の構成を、2つにしてそれぞれに名称を付与した程度にすぎず、相違点2に係る構成は、当業者が容易に想到できたことである。

相違点3について検討する。
センサからの信号を送信し、送信された信号を受信し制御のための演算を行い、演算値に基づいて駆動機器に制御信号を出力するまでの処理を同一の制御サイクル内で行う制御装置は、周知手段(例えば、特開平09-091034号公報、特開平07-242115号公報及び特開平06-120956号公報等参照)であるから、相違点3に係る構成については当業者が容易に想到できたことである。

相違点4について検討する。
処理を同一の制御サイクル内で並行して行うことは、コンピュータ制御における周知手段(例えば、特開平10-211399号公報及び特開平10-326107号公報等参照)にすぎないから、相違点4に係る構成については当業者が容易に想到できたことである。

そして、本願補正発明の作用効果も、引用例1記載の発明及び周知手段から当業者が予測できる範囲のものである。

したがって、本願補正発明は、引用例1記載の発明及び周知手段に基づいて当業者が容易に想到しえたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおり、本件補正は、平成15年改正前特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第4項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
平成17年7月19日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は、平成14年9月2日付けで補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「アクチュエータの駆動状態を検出する複数のセンサからのアナログ検出信号をAD変換し、パケット化して送信する信号前処理部と、
前記信号前処理部から送信されたパケットを受信し、所定の処理を施す信号後処理部と、
前記信号後処理部で所定の処理を施されたデータに基づいて、前記アクチュエータへ駆動目標値を出力する目標値出力部と、
を具備することを特徴とする制御装置。」
(1)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例1及びその記載事項は、前記「2.(1)」に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明は、前記2.で検討した本願補正発明から、制御部の限定事項である「出力に基づいて前記各アクチュエータへの操作量の出力を行う制御演算部とを備え、前記信号前処理部におけるAD変換からパケットの送信までの処理、および当該パケットの受信から前記制御演算部への出力までの前記信号後処理部における処理は、同一の制御サイクル内で行い、かつ前記信号前処理部における前記AD変換した検出信号をパケット化する処理、および前記信号後処理部における前記パケットの受信から前記制御演算部への出力までの処理の少なくとも一部は、同一の制御サイクル内で並行して行う」との構成を省くものである。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「2.(4)」に記載したとおり、引用例1記載の発明及び周知手段に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例1記載の発明及び周知手段に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1記載の発明及び周知手段に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-09-26 
結審通知日 2005-09-28 
審決日 2005-10-18 
出願番号 特願平11-159145
審決分類 P 1 8・ 575- WZ (H01L)
P 1 8・ 121- WZ (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 新井 重雄  
特許庁審判長 末政 清滋
特許庁審判官 辻 徹二
上野 信
発明の名称 制御装置、露光装置、およびデバイス製造方法  
代理人 伊東 哲也  
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