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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 産業上利用性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1127207
審判番号 不服2004-19732  
総通号数 73 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2004-01-08 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-09-24 
確定日 2005-12-02 
事件の表示 特願2003-207633「設計支援装置及び設計支援方法」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 1月 8日出願公開、特開2004- 5719〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯・本願発明
本願は、平成2年2月28日に出願した特願平2-45562号の一部を分割して平成11年7月15日に新たな特許出願である特願平11-210873号として出願し、更にこの特願平11-210873号の一部を分割して平成14年9月30日に新たな特許出願である特願2002-285783号として出願し、そして更にこの特願2002-285783号の一部を分割して平成15年8月15日に新たな特許出願である本件出願としたものであって、その後、平成15年11月4日付けで拒絶理由通知がなされ、これに対し平成16年2月2日付けで手続補正がなされ、平成16年8月2日付けで拒絶査定がなされ、これに対し平成16年9月24日付けで拒絶査定に対する審判請求がなされると同時に手続補正がなされたものであり、その請求項1〜6に係る発明は、平成16年2月2日付け及び平成16年9月24日付けの手続補正によって補正された明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1〜6に記載されたとおりのものと認められるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。

「【請求項1】操作者からの指示に従って図形データおよび寸法データを作成,編集,表示する設計支援装置において、
図形データから算出した数値を示す第1の寸法データと、操作者が入力した値を示す第2の寸法データを作成する寸法作成手段と、
前記寸法作成手段により作成された図形データから算出した第1の寸法データと、操作者が入力した値を示す第2の寸法データを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段から読み出した図形データから算出した第1の寸法データと操作者が入力した値を示す第2の寸法データが一致するか否か判断する比較手段と、
前記比較手段が図形データから算出した第1の寸法データと操作者が入力した値を示す第2の寸法データが一致しないと判断したときに前記寸法作成手段で作成した第1の寸法データと第2の寸法データとを表示する寸法表示手段と、
を備えることを特徴とする設計支援装置。」

2.引用刊行物
原審の拒絶の理由で引用した特開平1-281570号公報(平成1年11月13日出願公開。以下、「引用例1」という。)には、図面と共に次の各記載がある。

(ア)「画面表示部(6)と、
プリンタ部(3)と、
外形線を表す外形線データ、寸法線を表す寸法線データ及び寸法線に付加される寸法数値データを記憶するCADデータ記憶部(2)と、
CAD図面表示処理手段(101)と、
CAD図面印刷処理手段(102)と、
寸法チェック処理手段(103)と
を具備するCADシステムにおける寸法線チェック方式であって、
CAD図面表示処理手段(101)は、CADデータ記憶部(2)のCADデータに基づくCAD図面の表示を画面表示部(6)に行わせるための処理を行うように構成され、
CAD図面印刷処理手段(102)は、CADデータ記憶部(2)のCADデータに基づくCAD図面の印刷をプリンタ(3)に行わせるための処理を行うように構成され、
寸法線チェック処理手段(103)は、CADデータ記憶部(2)のCADデータに基づいて実寸法を算出し、CADデータ記憶部(2)から寸法数値を抽出し、実寸法と寸法数値との差を求め、差と所要誤差とを比較し、実寸法と寸法数値の差が許容誤差範囲内でない場合には、エラー情報の表示を画面表示部(6)に行わせるための処理を行うように構成されている
ことを特徴とするCADシステムにおける寸法線チェック方式。」(第1頁特許請求の範囲)

(イ)「[概要]
計算機支援設計(CAD)システムにおける寸法線チェック方式に関し、
CAD図面における寸法ノートの値が正しいか否かを簡単に検出できるようになったCADシステムにおける寸法線チェック方式を提供することを目的とし、
CADシステムで設計した図面における実寸法と寸法ノートの値(寸法線に付加されている寸法数値)との差が、別途入力する許容範囲内にあるか否かを判定し、許容範囲内でない場合にはCAD画面上にエラー情報を表示させるものである。
[産業上の利用分野]
本発明は、計算機支援設計(CAD)システムにおける寸法線チェック方式に関するものである。
[従来の技術]
従来、CAD図面の実寸法と寸法数値とのチェックは画面上で目視で検出するか、或いは殆ど行われていなかった。
[発明が解決しようとする問題点]
このために、従来の技術においては、
(1)図面をもとに製品を作らない場合(CAD図形データを直接処理する)にCAD図形データの精度の信頼性に問題がある。
(2)小数点以下の精度で形状を設計しておきながら、寸法を発生させるときに少数桁数の支持を小さめに指定してしまったときに誤差を生じる。
等の問題があった。
本発明は、この点に鑑みて創作されたものであって、CAD図面における寸法ノートの値が正しいか否かを簡単に検出できるようになったCADシステムにおける寸法線チェック方式を提供することを目的としている。」(第1頁下右欄第17行〜第2頁上右欄第10行)
なお、印刷の都合上丸付き数字は括弧付きの数字とした。以下同様。

(ウ)「[実施例]
第2図は本発明の寸法チェック処理の流れを示す図、第3図は寸法データ座標を説明刷る図、台4図は寸法データを説明する図である。
第2図において、1は中央処理装置、2は磁気ディスク装置、3はプリンタ、4は製造側、5は主メモリ、6は画面表示部、7はキーボード、8は寸法情報記憶部、9は実寸法算出部、10は寸法数値格納部、11は第1の比較部、12は第2の比較部、13はエラー情報表示制御部をそれぞれ示している。また、第3図および第4図において、(1)は寸法線、(2)は寸法補助線、(3)は外形線、X1,Y1は寸法線の始点、X2,Y2は寸法線の終点、X3,Y3は角度寸法の時の中心点、X4,Y4は寸法数値の定義点、X5,Y5は外形線の終点をそれぞれ示している。
中央処理装置1は、CAD図面表示用のプログラムやCAD図面印刷用のプログラム、寸法チェック用のプログラム等を実行するものである。磁気ディスク装置2には、CADデータが格納されている。プリンタ3は、CAD図面の印刷を行う。印刷されたCADデータは製造側に渡される。CAD画面は、第3図、第4図に示されるようなものと考えてよい。
寸法チェックを行う際には、先ず磁気ディスク装置2に格納されているCADデータが主メモリ5にロードされる。主メモリ5にロードされたCADデータに基づくCAD図面は、画面表示部6の画面に表示される。主メモリ5に格納されているCADデータの中から寸法の情報が取り出され、寸法情報記憶部8に格納される。寸法情報記憶部8において、“20”,“30”などは寸法数値を表している。実寸法算出部9は、寸法情報記憶部8の内容を参照して実寸法を算出する。即ち、直線の場合は、X1,Y1とX2,Y2の距離により実寸法を算出し、角度の場合は、X1,Y1とX2,Y2とX3.Y3の3つの座標により実寸法(この場合は角度)を算出する。寸法数値格納部10は、寸法情報記憶部8の寸法数値(文字データ)を抽出し、これを記憶する。なお、直線の場合には外形線の長さと寸法線の長さは等しくなる。第1の比較部11は、寸法数値と、寸法線のX1,Y1とX2,Y2により算出した実寸法とを比較する(差を求める)。第2の比較部12は、比較結果と許容誤差とを比較する。なお、、許容誤差はキーボード7から入力される。エラー情報表示制御部13は、比較結果が許容誤差内に存在しない場合には、エラー情報をCAD画面の中に表示する。エラー情報の表示は、文字データ(寸法数値を示す)の上に表示される。なお、上述の寸法チェック処理は、実際には寸法チェック用のプログラムによって実行される。
[発明の効果]
従来、CAD画面の実寸法値と寸法数値のチェックは、画面上で目視で検出するか、殆ど行われていなかった。そのために、図面の寸法表示制度によっては、図形形状と寸法に誤差が生じる場合があった。本発明によれば、CADシステムによるCAD図面を製造側に渡す前に寸法誤差の大きい部分を抽出して修正することが出来るまた、他の人が設計した図面を流用するような場合にも効果がある。」(第2頁下左欄第15行〜第3頁上右欄第15行)

以上の記載から見て、引用例1には、次のような発明が記載されているものと認められる。

「中央処理装置1と、外形線を表す外形線データ及び寸法線を表す寸法線データ及び寸法線に付加される寸法数値データを記憶するCADデータ記憶部である磁気ディスク装置2と、プリンタ3と、製造側4と、主メモリ5と、画面表示部6と、キーボード7と、寸法情報記憶部8と、実寸法算出部9と、寸法数値格納部10と、第1の比較部11と、第2の比較部12と、情報表示制御部13とを具備するCADシステムであって、
寸法チェックを行う際には、先ず、磁気ディスク装置2に格納されているCADデータが、主メモリ5にロードされ、
主メモリ5にロードされたCADデータに基づくCAD画面は、画面表示部6の画面に表示され、
主メモリ5に格納されているCADデータの中から寸法の情報が取り出され、寸法情報記憶部8に格納され、
実寸法算出部9は、寸法情報記憶部8の内容を参照して実寸法を算出し、
寸法数値格納部10は、寸法情報記憶部8の寸法数値を抽出しそれを記憶し、
第1の比較部11は、寸法数値と、寸法線の座標(X1,Y1)及び(X2,Y2)から算出した実寸法とを比較して差を求め、
第2の比較部12は、前記比較結果とキーボード7から入力された許容誤差とを比較し、
エラー情報表示制御部13は、前記比較結果が許容誤差内にない場合には、エラー情報の表示を、CAD画面の中の寸法数値を示す文字データの上に表示するようにして、
CAD図面上の寸法ノートの値が正しいか否かを検出するCADシステム。」

3.対比
本願発明と引用例1に記載された発明とを対比すると、引用例1に記載された発明の「実寸法」及び「寸法数値すなわち寸法ノートの値」は、それぞれ、本願発明の「第1の寸法」及び「第2の寸法データ」に相当し、引用例1に記載された発明の「実寸法算出部9、寸法数値格納部10」は、本願発明の「寸法作成手段」に相当し、引用例1に記載された発明の「画面表示部6、エラー情報表示制御部13」は、本願発明の「寸法表示手段」に相当することは、明らかである。
そして、引用例1には、オペレータの指示や操作により、図形データ及び寸法データを、作成し編集し表示するCADシステム、すなわち計算機支援設計装置が記載されているから、本願発明と引用例1に記載された発明とは、
「操作者からの指示に従って図形データおよび寸法データを作成,編集,表示する設計支援装置」
である点において相違しない。
引用例1には、実寸法算出部9は、寸法情報記憶部8の内容を参照して実寸法を算出し、また、寸法数値格納部10は、寸法情報記憶部8の寸法数値(文字データ)を抽出し、これを記憶することが記載されているから、本願発明と引用例1に記載された発明とは、
「図形データから算出した数値を示す第1の寸法データと、第2の寸法データを作成する寸法作成手段」
を有する点で相違しない。
引用例1には、第1の比較部11は、寸法数値と実寸法値とを比較し両者の差をとり、そして第2の比較部12は、前記第1の比較部11から得られる前記差と許容誤差とを比較しその比較結果が許容誤差内にあるかどうかを判断することが記載されているから、本願発明と引用例1に記載された発明とは、
「図形データから算出した第1の寸法データと第2の寸法データが一致するか否か判断する比較手段」
を有する点で相違しない。
引用例1には、エラー情報表示制御部13は、比較結果が許容誤差範囲内に存在しない場合には、エラー情報をCAD画面の中に表示すること、つまりエラー情報を、寸法数値を示す文字データの上に表示することが記載されているから、本願発明と引用例1に記載された発明とは、
「前記比較手段が図形データから算出した第1の寸法データと第2の寸法データが一致しないと判断したときに第2の寸法データと他のデータとを表示する寸法表示手段」
を有する点で相違しない。

そうすると、本願発明と引用例1に記載された発明とは、
(一致点)
「操作者からの指示に従って図形データおよび寸法データを作成,編集,表示する設計支援装置において、
図形データから算出した数値を示す第1の寸法データと、第2の寸法データを作成する寸法作成手段と、
図形データから算出した第1の寸法データと第2の寸法データが一致するか否か判断する比較手段と、
前記比較手段が図形データから算出した第1の寸法データと第2の寸法データが一致しないと判断したときに第2の寸法データと他のデータを表示する寸法表示手段と、
を備える設計支援装置。」
である点で一致し、次の点で相違する。

(相違点1)
本願発明では、第2の寸法データは、操作者が入力した値を示すものであるのに対して、引用例1に記載された発明では、寸法数値は、寸法情報記憶部8から抽出され寸法数値格納部10に記憶された値である点。

(相違点2)
本願発明は、第1の寸法データと第2の寸法データを記憶する記憶手段を有しているのに対し、引用例1に記載された発明は、寸法数値を寸法数値格納部10に記憶するものではあるが、実寸法の値を記憶するとは明記しない点。

(相違点3)
本願発明は、第1の寸法データと第2の寸法データが一致しないと判断したときに前記寸法作成手段で作成した第1の寸法データと第2の寸法データとを表示するのに対し、引用例1に記載された発明は、実寸法と寸法数値とが許容誤差範囲内にないときは、寸法数値を示す文字データの上にエラー情報を表示する点。

4.当審の判断
(相違点1について)
上記相違点1について判断するに、引用例1に記載された発明の主メモリ5に格納されている寸法の情報を含むCADデータは、何時、何処で、誰が入力したかはその記載上定かではないが、オペレータが入力したものであることは間違いない。とすると、寸法数値格納部10に記憶されている寸法数値は、主メモリ5にロードされ格納されているCADデータの中から寸法数値を抽出しこれを記憶したものであるから、結果的に、この寸法数値は、オペレータが入力した設計対象図形の寸法値であるといえる。したがって、引用例1の寸法数値格納部10を、オペレータが入力した設計対象図形の寸法値を記憶する手段とすることは、当業者が格別の発明力を要することなく適宜なし得ることである。

(相違点2について)
上記相違点2について判断するに、一般に、算出済みのデータを直ちに比較器等の処理装置に入力せずに、一旦記憶装置に記憶しその後記憶装置から取り出して処理することは、当業者の技術常識程度のことであるから、引用例1に記載された発明の実寸法算出部9が算出した実寸法を一旦記憶するようにし、本願発明の如く、第1の寸法データと第2の寸法データを記憶することは、当業者が適宜なし得ることである。

(相違点3について)
上記相違点3について判断するに、引用例1には、従来、CAD図面の実寸法と寸法数値とのチェックは画面上で目視で検出していた(前記(イ)及び(ウ)参照。)こと、すなわち実寸法と寸法数値との両者を画面上に表示することが従来行われていたことが記載されているから、実寸法と寸法数値が一致しない時、寸法数値を示す文字データの上にエラー情報を表示することに代えて、従来周知の表示の仕方を採用し、本願発明の如く、画面上に第1の寸法データと第2の寸法データとを表示するようにすることは、当業者が適宜なし得ることである。

5.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1に記載された発明と周知技術とに基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、他の請求項について検討するまでもなく、本願は、特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-08-12 
結審通知日 2005-09-06 
審決日 2005-09-27 
出願番号 特願2003-207633(P2003-207633)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
P 1 8・ 14- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田中 幸雄  
特許庁審判長 関川 正志
特許庁審判官 杉山 務
大野 弘
発明の名称 設計支援装置及び設計支援方法  
代理人 秋本 正実  

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