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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 C08F 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 C08F |
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管理番号 | 1127338 |
異議申立番号 | 異議2003-73147 |
総通号数 | 73 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1994-08-16 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2003-12-22 |
確定日 | 2005-09-21 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3418420号「アスファルト改質用熱可塑性共重合体」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3418420号の請求項1に係る特許を取り消す。 |
理由 |
1.手続きの経緯 本件特許第3418420号の発明は、平成5年2月3日に特許出願され、平成15年4月11日にその特許権の設定登録がなされたものであり、その後、ジェイエスアール クレイトン エラストマー株式会社(以下、「特許異議申立人」という。)より特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成17年6月13日に特許異議意見書と訂正請求書が提出されたものである。 2.訂正の適否についての判断 2-1.訂正の内容 訂正事項a 請求項1の 「(a)全ビニル芳香族化合物含有量が20〜50重量%」を 「(a)全ビニル芳香族化合物含有量が25〜45重量%、」と訂正する。 訂正事項b 請求項1の 「(c)前者に対する後者の比が0.2〜0.8のビニル芳香族化合物と共役ジエンとのブロック共重合体であって、」を 「(c)前者に対する後者の比が0.3〜0.7のビニル芳香族化合物と共役ジエンとのブロック共重合体であって、」と訂正する。 訂正事項c 請求項1の 「(f)ビニル芳香族化合物を主体とするブロックの分子量が0.1〜1.0万であることを特徴とする、」を 「(f)ビニル芳香族化合物を主体とするブロックの分子量が0.1〜0.72万であることを特徴とする、」と訂正する。 (4)訂正事項d 段落【0013】の 「すなわち、本発明は、全ビニル芳香族化合物含有量が20〜50重量%、ビニル芳香族化合物を主体とするブロック含有量が5〜18重量%であり、前者に対する後者の比が0.2〜0.8のビニル芳香族化合物と共役ジエンとのブロック共重合体であって、更に、ビニル芳香族化合物を主体とするブロックが、少くとも2個のブロックよりなり、各ブロックの鎖長の比が0.9を超え1.0以下であり、かつビニル芳香族化合物を主体とするブロックの分子量が0.1〜1.0万である、低温伸度に優れたアスファルト改質用熱可塑性エラストマーに関する。」を 「すなわち、本発明は、全ビニル芳香族化合物含有量が25〜45重量%、ビニル芳香族化合物を主体とするブロック含有量が5〜18重量%であり、前者に対する後者の比が0.3〜0.7のビニル芳香族化合物と共役ジエンとのブロック共重合体であって、更に、ビニル芳香族化合物を主体とするブロックが、少くとも2個のブロックよりなり、各ブロックの鎖長の比が0.9を超え1.0以下であり、かつビニル芳香族化合物を主体とするブロックの分子量が0.1〜0.72万である、低温伸度に優れたアスファルト改質用熱可塑性エラストマーに関する。」と訂正する。 2-2.訂正の目的の適否、訂正の範囲の適否及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正事項aは、訂正前の明細書の表1、2に、実施例1〜10における「全スチレン含量[A](%)」の最小値として示された「25」(実施例2、3)、最大値として示された「45」(実施例5)に基づいて、請求項1に記載された「全ビニル芳香族化合物含有量」の範囲を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (2)訂正事項bは、訂正前の明細書の「全ビニル芳香族化合物に対するビニル芳香族化合物を主体とするブロックの比が0.2未満であると、アスファルト配合物とした場合、タフネス、テナシティーなどの充分な機械強度が得られず、また0.8を越えると伸度が不足し、より好ましくは、0.3〜0.7の範囲である」(段落【0024】)との記載に基づいて請求項1に記載された「(c)前者に対する後者の比(全ビニル芳香族化合物に対するビニル芳香族化合物を主体とするブロックの比)」を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (3)訂正事項は、訂正前の明細書の表1、2に、実施例1〜10における「ブロックスチレン分子量[C](万)」及び「ブロックスチレン分子量[D](万)」の最大値として示された「0.72」(実施例4)に基づいて、請求項1に記載された「ビニル芳香族化合物を主体とするブロックの分子量」の範囲を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (4)訂正事項dは、訂正事項aないしcによる請求項1の訂正に伴って、対応する発明の詳細な説明の記載をこれと整合させるための訂正であるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。 (5)そして、これらの訂正事項aないしdは、いずれも願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてされたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 2-3.むすび 以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 3.本件発明 本件請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、特許明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「(a)全ビニル芳香族化合物含有量が25〜45重量%、(b)ビニル芳香族化合物を主体とするブロック含有量が5〜18重量%であり、(c)前者に対する後者の比が0.3〜0.7のビニル芳香族化合物と共役ジエンとのブロック共重合体であって、更に(d)ビニル芳香族化合物を主体とするブロックが少くとも2個のブロックよりなり、(e)各ブロックの鎖長の比が0.9を超え1.0以下であり、かつ(f)ビニル芳香族化合物を主体とするブロックの分子量が0.1〜0.72万であることを特徴とする、低温伸度に優れたアスファルト改質用熱可塑性共重合体(ただし、スズ系化合物でカップリングされた共重合体を除く)。」 4.特許異議申立についての判断 4-1.特許異議申立人の主張 特許異議申立人は、甲第1ないし7号証を提出して、以下の理由により、訂正前の本件請求項1に係る発明についての特許は取り消されるべきものである旨主張している。 (1).訂正前の本件請求項1に係る発明は、本出願前に頒布された甲第1号証、甲第2号証あるいは甲第3号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3項に該当し、特許を受けることができない。 (2).訂正前の本件請求項1に係る発明は、甲第2及び5号証に記載された発明、甲第1〜3、5及び6号証に記載された発明、又は、甲第1〜3及び4号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 4-2.合議体の判断 4-2-1.取消理由 当審において通知した取消理由は次のとおりであり、引用した刊行物等は下記のものである。 (1)訂正前の本件請求項1に係る発明は、刊行物1又は刊行物3に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3項に該当し、特許を受けることができない。 (2)訂正前の本件請求項1に係る発明は、刊行物2及び5に記載された発明、刊行物1〜3、5及び6に記載された発明、又は、刊行物1〜4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 <刊行物等> 刊行物1:米国特許第5,100,939号明細書(特許異議申立人が提出した甲第1号証) 刊行物2:特開昭59-166518号公報(同甲第2号証) 刊行物3:特開昭60-163910号公報(同甲第3号証) 刊行物4:特開昭60-228521号公報(同甲第4号証) 刊行物5:特開平1-254768号公報(同甲第5号証) 刊行物6:特開昭63-234063号公報(同甲第6号証) 参考資料1:V.D.Mochel ”NMR COMPOSITION ANALYSIS OF COPOLYMERS”American Chemical Society,Rubber Chemistry分科会での発表資料,1967年5月2-5日、カナダ・モントリオールで開催(同甲第7号証) 4-2-2.刊行物1、5、6及び参考資料1の記載事項 刊行物1 (1-1)「本発明は、比較のために本技術分野で周知の試験を用いて、公知のブレンドに比較して改良されたタフネス及び弾性を有する、特定のブロック共重合体を含有するアスファルトブレンドに関する。」(第1欄31〜35行) (1-2)「クレーム1. アスファルト結合剤及びA-t-B-t-A型のテーパーブロック共重合体を含むブレンドであって、Aブロックはモノビニル芳香族化合物から形成され、Bブロックは共役ジエンから形成されており、テーパーブロック共重合体中の全モノビニル芳香族化合物の約20〜約90重量%が孤立している(isolated)、該ブレンド。」(第13欄22〜30行) (1-3)「クレ-ム6. テーパーブロック共重合体のモノビニル芳香族部分が約5〜約50重量パーセントからなり、テーパーブロック共重合体の共役ジエン部分が約95〜約50重量パーセントからなる請求項1に記載のブレンド。」(第13欄51〜57行) (1-4)「A-t-B-t-A型のテーパーA-B-Aブロック共重合体とは、BブロックがAリッチからBリッチ(又はAレスリッチ)へ、そして再びAリッチへと漸次かつ連続的な組成の変化を有する、ブロック共重合体であり、当該共重合体は、実質的に純粋なAブロックが実質的に純粋なBブロックに直接結合し実質的に純粋なAブロックが再び結合しているA-B-A型のものと対比される。」(第2欄9〜16行) (1-5)「特に有用なテーパーA-B-Aブロック共重合体においては、孤立したモノビニル芳香族含有量がテーパーブロック共重合体中の全モノビニル芳香族化合物の約20〜約90、より好ましくは約25〜約80、最も好ましくは約29〜約75重量%である。孤立したモノビニル芳香族化合物の含有量はテーパー度の尺度であり、含有量が高いほどテーパー度は高い。孤立したモノビニル芳香族化合物の含有量は、Moche1(Rubber Chem1stry and Technology、vo1.40、p.1200、1967)の方法により測定する。」(第2欄33〜44行) (1-6)「手順D 本発明のブレンドに有用なA-t-B-t-A型のテーパーA-B-Aブロック共重合体を調製した。窒素パージしたエアタイト攪拌反応器に、1350MLの精製したシクロヘキサンを加えた。この容器に、222mLの精製した1,3-ブタジエンと77.8mLの精製したスチレンを加えた。反応器中の反応混合物を50℃に加熱し、1.80ミリモルの二官能性有機リチウム開始剤溶液を添加してブタジエンとスチレンの共重合を開始した。二官能性開始剤は、米国特許第4,196,154号の記載された通りに調製した、1,3-フェニレンービス(3-メチル-1-フェニルペンチリデン)-ビスー(リチウム)のトルエン溶液であった。初期段階において、開始剤の濃い赤色が素早く薄い黄色に変化した。これは、重合されたモノマーは大部分がブタジエンであったことを示す。反応混合物の温度は、重合開始後1時間内に約73℃まで上昇した。その後すぐに、薄い黄色溶液は更に濃い赤色になった。これは、スチレンの重合が始まったことを示す。第2の温度上昇が観察された。色の変化後30分間重合を進め、インプロピルアルコールを添加して重合を停止させた。得られたブロック共重合体はテーパーSBSトリブロックポリマーであった。gpcで決定した重量平均分子量は178000であった。プロトンNMR分析の結果、ポリマーは64.2%のブタジエンと35.8%のスチレンを含有し、(35.8%の)スチレンの16.7%が孤立したスチレンであった。このテーパーブロック共重合体を使用したブレンドをサンプルNo.1とした。 手順E 本発明のブレンドに有用なA-t-B-t-A型の(テーパー度を)高めたテーパーA-B-Aブロック共重合体を調製した。1.24ミリモルの開始剤を用い、開始材添加直前に0.062ミリモルのPMDETAを添加した以外は、手順Dの重合を繰返した。得られたテーパーSBSは、gpcによる重量平均分子量が293000で、69.3%のブタジエンと29.3%のスチレンからなる組成物であった。孤立したスチレンの量は、tert-トリアミン添加の結果として約17%から29.3%に高められた。このテーパーブロック共重合体を使用したブレンドをサンプルNo.2とした。」(第9欄42行〜第10欄40行) (1-7)「実施例2 手順Eにより調製したテーパーブロック共重合体を用いて本発明のブレンドを比較例において概説したように調製した。但し、使用した開始剤と非プロトン添加剤の種類及び/又は量を変えた。ブレンドにおいて、結合剤と共重合体の重量を基準にして、3重量%のテーパーブロック共重合体を使用した。上述したAASHTO T51-81に従い延性を測定し、ASTM法D1238-82条件200/5.0によりメルトフローレートを測定した。Kraton1101(上述)を使用したブレンドと、ストレートアスファルト(エクソン・ケミカル・カンパニーによるベイタウンアスファルト)も試験した。ブレンドの物理特性を表4に示す。 」(第11欄9〜38行) (1-8)「ポリマーの少量の画分を、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による分子量測定のためにトルエン溶液から回収した。」(第6欄53〜56行) (1-9)「C.延性(cm)をASSHTO法T51-81により測定した。この試験は、ブリケットサンプルの両端を一定のスピードと温度で引離した際に、破壊する直前までサンプルが伸びた距離を測定する。以下の表に示すデータは、多くの試験片について測定した高い値と低い値を報告する。この試験手順を用いるとこのような変化は通常生じる。」(第8欄25〜32行) (1-10)「これらアスファルトブレンドは、高温で車の跡がつきにくいため、道路コーティング、即ち舗装に使用することができる。これらのブレンドは、クラックが発生しにくく壊れにくいため、低温においても有用である。これらアスファルトブレンドは、強い弾性、高い塑性間隔を示し、このことは、該アスファルトブレンドが、工業上のコーティング(コーティング、表面コート、アスファルトカバー)の製造又はカバーリング、フェルト、屋根板、ペイント等の産業上の用途、車底保護製品にも有益に用いることができることを意味する。これらはクラックシーラント、チップシーラント等にも使用することができる。」(第5欄60行〜第6欄4行) (1-11)「本発明のアスファルト材料とテーパーブロック共重合体のブレンドは、先行技術のブレンドに比べてタフネスと弾性を改良した。高められたテーパーブロック共重合体を用いるブロック共重合体は、先行技術のブレンドに比べて更に改良されたタフネスと弾性を有する。」(第6欄5〜10行) 刊行物5 (5-1)「(A)ビニル芳香族化合物重合体ブロックの少なくとも2個と、(B)ガラス転移温度が-85℃ないし-30℃で、ビニル芳香族単位の含有量が10〜40重量%のブタジエン-ビニル芳香族化合物共重合体ブロックの少なくとも1個とから成り、かつ全ビニル芳香族化合物の含有量が30〜50重量%で、メルトフロー値が0.1〜50g/10分であることを特徴とするアスファルト改質用熱可塑性エラストマー。」(特許請求の範囲) (5-2)「 」(第9頁) 刊行物6 (6-1)「(a)少なくとも1つのビニル芳香族炭化水素を主とする重合体ブロックと少なくとも1つのブタジエンを主体とする重合体ブロックから成り、(イ)ビニル芳香族炭化水素の含有量〔S〕が10〜35重量% (ロ)ブタジエン部のビニル結合量〔V〕が15〜55重量% (ハ)上記のビニル芳香族炭化水素の含有量〔S〕とブタジエン部のビニル結合量〔V〕との関係が下式を満足する-式省略-ブロック共重合体 1〜25重量部 (b)30〜130の針入度を有するストレートアスファルト 100重量部 からなるアスファルト組成物。」(特許請求の範囲) (6-2)「 」(第4頁) 参考資料1 (参-1)「序論 アニオン共重合は、共重合体の組成と形態におけるかなりの変化をもたらし、それが物理的特性と用途に甚大な影響を及ぼした。高分解能核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、近年、組成物の解明とポリマーの構造の重要なツールとなってきた。ポリマーの分析におけるNMRの最も高い可能性は、おそらくタクティシティーと配列の分布の研究において実現されるであろう。これらの観点は、本稿で簡略に討論する。」(第1200頁) (参-2)「ブロックスチレン含量については、式(1)〜(4)を用いて得られた3パーセントより大きい結果は、鎖の切断に四酸化オスミウムを用いる化学的方法で得られた結果と非常によく一致する。」(第1205頁) (参-3)「 」(第1205頁) (参-4)「NMR法ではスチレン5連鎖未満単位より小さな連鎖がブロックスチレンとして観測される可能性がある(can be observed)と信じられている。」(第1211頁8〜9行) 4-2-3.特許法第29条第2項違反についての判断 刊行物1には、「改良されたタフネス及び弾性を有する、特定のブロック共重合体を含有するアスファルトブレンドに関する」(摘示記載(1-1))発明について記載されており、そのクレーム1には、「アスファルト結合剤及びA-t-B-t-A型のテーパーブロック共重合体を含むブレンドであって、Aブロックはモノビニル芳香族化合物から形成され、Bブロックは共役ジエンから形成されており、テーパーブロック共重合体中の全モノビニル芳香族化合物の約20〜約90重量%が孤立している(isolated)、該ブレンド」(摘示記載(1-2))が記載されている。これらの記載からみると、刊行物1には、「モノビニル芳香族化合物から形成されているAブロックと、共役ジエンから形成されているBブロックとからなるA-t-B-t-A型のテーパーブロック共重合体であって、該共重合体中の全モノビニル芳香族化合物の約20〜約90重量%が孤立している(isolated)アスファルト改質用テーパーブロック共重合体」の発明が記載されているものということができる。 そして、刊行物1には、A-t-B-t-A型のテーパーブロック共重合体が3次元的な架橋構造を有することやカップリングされたものであることは特に規定されていないところからみて、アスファルトにブレンド(通常は、加熱溶融ブレンド)可能である該共重合体が熱可塑性であり、本件発明と同様、「スズ系カップリング剤でカップリングされた」ものではないことが明らかであり、また、該共重合体は、タフネス及び弾性を有するアスファルトブレンドをもたらすものであって、ブレンド物の性能として「Ductility(延性)」が評価されている(摘示記載(1-7))ところからみて、「低温伸度に優れ」たものということができる。 そうすると、本件発明と刊行物1の上記クレーム1等に記載された発明とは、ともに、 「ビニル芳香族化合物と共役ジエンとのブロック共重合体であって、更に(d)ビニル芳香族化合物を主体とするブロックが少くとも2個のビニル芳香族化合物を主体とするブロックよりなる、低温伸度に優れたアスファルト改質用熱可塑性共重合体(但し、スズ系カップリング剤でカップリングされたブロック共重合体を除く)」 である点で一致するが、本件発明における、 (あ)「(a)全ビニル芳香族化合物含有量が25〜45重量%」、 (い)「(b)ビニル芳香族化合物を主体とするブロック含有量が5〜18重量%」、 (う)「(c)前者((a)成分)に対する後者((b)成分)の比が0.3〜0.7」、 (え)「(e)各ブロックの鎖長の比が0.9を越え1.0以下」、及び、 (お)「(f)ビニル芳香族化合物を主体とするブロックの分子量が0.1〜0.72万」 という各数値限定について、刊行物1には直接的に記載されていない点で、これらの発明の間には相違が認められる。 そこで、これらの相違点について以下に検討する。 刊行物1の実施例2には、A-t-B-t-A型のテーパーブロック共重合体を手順Dを一部改変した手順Eによって調整したこと(摘示記載(1-6))が記載されており、表4には得られたブロック共重合体の「サンプル3」について次のような記載がされている。 「サンプル=3,添加剤種類=PMDETA,Mw=45000,%sty=34.6,i-sty%=46.3,Ductility(延性)(cm)=75 ここで、%sty:テーパー共重合体中の全スチレン重量、i‐sty%:テーパー共重合体中の孤立したスチレンの重量%」(摘示記載(1-7)) また、手順Dには、222mLの1,3ブタジエンと77.8mLのスチレンを導入した容器中で重合反応を行ったところ、初期段階では重合されたモノマーの大部分はブタジエンであり、後にスチレンの重合が始まり、最終的にテーパーSBSブロック共重合体が得られた旨が記載されている(1-6)。 実施例2のサンプル3についてみると、%sty(テーパー共重合体中の全スチレン重量)は34.6%であるから、本件発明の(あ)の数値限定「(a)全ビニル芳香族化合物含有量が25〜45重量%」と一致しており、また、最終的にテーパーSBSブロック共重合体が得られたのであり、この両末端のSブロックは、初めに形成されたBブロックに対してほぼ均等に成長したものであって、ほぼ同じ分子量を有するものと考えられるから、本件発明の(え)の数値限定「(e)各ブロックの鎖長の比が0.9を超え1.0以下」とされる比の範囲と実質的に一致するものというべきである。 しかしながら、刊行物1には、上記サンプル3について、モノビニル芳香族化合物(スチレン)ブロックの分子量や含有量の具体的な数値は記載されておらず、本件発明の上記(い)、(う)及び(お)の構成が、刊行物1に直接的に記載されているとはいえない。 特許異議申立人はこの点について、「テーパー共重合体中の孤立したスチレンの重量%はAブロック以外に存在するスチレンの含有量である」との前提(特許異議申立書第18頁第8〜13行)に立って、Aブロックのスチレン含有量(全スチレンに対する)を算出し、それに基づいてスチレンブロックの分子量や(Aブロックのスチレン含有量)/(ブロック共重合体中の全スチレン含有量)の比を算出している。 そこでまず、特許異議申立人がいう上記前提の妥当性について検討すると、刊行物1には、「アスファルト結合剤及びA-t-B-t-A型のテーパーブロック共重合体を含むブレンドであって、Aブロックはモノビニル芳香族化合物から形成され、Bブロックは共役ジエンから形成されており、テーパーブロック共重合体中の全モノビニル芳香族化合物の約20〜約90重量%が孤立している」(摘示記載(1-1))及び「孤立したモノビニル芳香族化合物の含有量はテーパー度の尺度であり、含有量が高いほどテーパー度は高い」(摘示記載(1-5))と記載されており、孤立したモノビニル芳香族化合物が専らテーパー部に存在するものであることが強く示唆されているのであって、「A-t-B-t-A型のテーパーA-B-Aブロック共重合体とは、BブロックがAリッチからBリッチ(又はAレスリッチ)へ、そして再びAリッチへと漸次かつ連続的な組成の変化を有する、ブロック共重合体であり」(摘示記載(1-4))との記載をみれば、AリッチからBリッチへのテーパー部、及び、BリッチからAリッチへのテーパー部は、いずれもBブロックに属するものといえるから、Aブロックには孤立したモノビニル芳香族化合物は実質的に含まれないものと解するのが相当である。 この点について特許権者は、参考資料1(甲第7号証)に「NMR法ではスチレン5連鎖未満単位より小さな連鎖がブロックスチレンとして観測される可能性がある(can be observed)と信じられている」(摘示記載(参-4))と記載されていることを根拠に、刊行物1に記載された共重合体においてはスチレンの2量体や3量体等はAブロックに含まれるから、孤立したスチレンがAブロック以外に存在するスチレンを指すとすることはできない旨主張している。 なるほど、スチレン含有量の測定について、刊行物1の実施例ではNMR法(摘示記載(1-5)、(参-1))が用いられているが、参考資料1には、「ブロックスチレン含量については、・・・鎖の切断に四酸化オスミウムを用いる化学的方法で得られた結果と非常によく一致する」(摘示記載(参-2))と記載されており、該化学的方法とNMR法とを比較した表2のデータをみても両測定法の間にほとんど差異はなく、NMR法の方がブロックスチレン含量が常に多いということは到底できないから、特許権者の主張は具体的根拠を欠き、採用することができない。 したがって、特許異議申立人がいう「テーパー共重合体中の孤立したスチレンの重量%はAブロック以外に存在するスチレンの含有量である」との前提には妥当性が認められる。 そこで、このような前提に基づいて、刊行物1の実施例2のサンプル3について、まずAブロックのスチレン含有量(本件発明の(い)に相当)を計算する。 Aブロックのスチレン含有量=(テーパーブロック共重合体の全スチレン重量)×(100-孤立したスチレン重量%)/100=34.6×(100-46.3)/100=18.6重量% ・・・(i) 次にこの(i)の値を基にAブロックの重量平均分子量(本件発明の(お)に相当)を計算する。 Aブロックの重量平均分子量=(テーパーブロック共重合体の重量平均分子量)×(Aブロックのスチレン含有量)×1/100×1/2=45000×18.6×0.01×0.5=4185・・・(ii) さらに、(i)の値を基に全ビニル芳香族化合物含有量に対するAブロックのスチレン含有量の比(本件発明の(う)に相当)を求める。 Aブロックのスチレン含有量/全ビニル芳香族化合物含有量=18.6/34.6=0.537・・・(iii) そうすると、本件発明の上記構成(い)、(う)及び(お)にそれぞれ対応する刊行物1のサンプル3の(i)、(iii)及び(ii)の値の内、(iii)及び(ii)はそれぞれ(う)及び(お)の数値範囲と一致し、(i)については(い)の「5〜18重量%」の上限値を0.6重量%超える18.6重量%である点のみで、本件発明と刊行物のサンプル3に記載されたものとはわずかに相違する。 しかしながら、刊行物1の実施例2の他のサンプルについて、表4に示された数値に基づいてサンプル3と同様の計算式によってAブロックのスチレン含有量を計算すると、例えばサンプル2では13.6重量%、サンプル4では10.5重量%となり、本件発明の「5〜18重量%」という(い)の範囲は刊行物1の実施例2の各サンプルが普通に備えているものにすぎないというべきである。そして、本件訂正明細書には、「(b)ビニル芳香族化合物を主体とするブロック含有量」の上限値については、「18.0重量%を越える場合は伸度改良効果に乏しい」(段落【0020】)と定性的に記載されているのみであって、実施例からみてもこの点を境に作用効果上の顕著な差を生ずるものということはできない。 したがって、刊行物1のサンプル3において、Aブロックのスチレン含有量を本件発明の(い)の「5〜18重量%」という範囲内の値とする点に、格別の困難性は認められない。 なお、このように(i)の値をわずかに変動させた程度では、これに連動する(ii)及び(iii)値が、それぞれ対応する本件発明の(お)及び(う)の範囲を逸脱するに至るものとは解されない。 そして、本件発明の効果についても、本件訂正明細書にはアスファルト配合物の諸物性(溶融粘度、軟化点、針入度、伸度、タフネス、テナシティー)の測定値が示されているが、このような諸物性は刊行物5及び6にも示されるようにこの種のアスファルト配合物の物性として通常測定されるようなものであるから(摘示記載(5-1)、(5-2)、(6-1)、(6-2))、それらの値を測定した結果それが一応満足すべき程度のものであったとしても、それをもって格別予期しがたいものであるとはいえない。 したがって、本件発明は刊行物1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 5.むすび 以上のとおりであるから、本件発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本件発明についての特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認める。 よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 アスファルト改質用熱可塑性共重合体 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】(a)全ビニル芳香族化合物含有量が25〜45重量%、 (b)ビニル芳香族化合物を主体とするブロック含有量が5〜18重量%であり、 (c)前者に対する後者の比が0.3〜0.7のビニル芳香族化合物と共役ジエンとのブロック共重合体であって、 更に(d)ビニル芳香族化合物を主体とするブロックが少くとも2個のブロックよりなり、 (e)各ブロックの鎖長の比が0.9を超え1.0以下であり、かつ (f)ビニル芳香族化合物を主体とするブロックの分子量が0.1〜0.72万であることを特徴とする、低温伸度に優れたアスファルト改質用熱可塑性共重合体(ただし、スズ系化合物でカップリングされた共重合体を除く)。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本発明は、新規なスチレン-ブタジエンブロック共重合体に関するものである。 【0002】 さらに詳しく述べれば、本発明は、アスファルト用改質剤として用い、その感温特性、特に低温での伸度とタフネス、テナシティー、針入度、軟化点等の物性バランスを改良し、更に加工性とのバランスを向上させる、道路舗装用、ルーフィング用、防水シート用などに好適な、特定の構造を有するスチレン-ブタジエンブロック共重合体に関するものである。 【0003】 【従来の技術】 従来、アスファルト組成物は、道路舗装、防水シート、遮音シート、ルーフィング等の用途に広く使用されており、その際、アスファルトに種々のポリマーを添加して、その性質を改良しようとする試みが多くなされてきた。 【0004】 その様なポリマーの具体例としては、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-エチルアクリレート共重合体、ゴムラテックス、共役ジエンとビニル芳香族炭化水素とからなるブロック共重合体等が使用されている。 【0005】 しかしながら、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-エチルアクリレート共重合体をアスファルトに添加したアスファルト組成物は、道路舗装の場合に低温特性に劣り、そのために可撓性を示す充分な伸度性能が不足する等で、冬場のひび割れが発生して好ましくない。 【0006】 一方、ゴムラテックスも、広く改質剤として使用されており、特に低温特性に優れているものの、タフネス、テナシティーなどの機械強度の点で、必ずしも満足ゆくものでなく、改良が要望されていた。 【0007】 近年、熱可塑性のエラストマー、即ち共役ジエンとビニル芳香族炭化水素とからなるブロック共重合体がアスファルトの改質剤として用いられている。 【0008】 例えば、特公昭47-17319号公報や特公昭59-36949号公報などには、ブロック共重合体を改質剤として使用しており、アスファルト配合物の感温特性は改良されてはいるものの、タフネスやテナシティーといった機械強度は不充分であり、特に、低温での伸度改良といった極めて高度な感温特性は達成されていない。 【0009】 そのために、改質剤の配合量を増加することで改質効果を高める方法が一般にはとられるが、配合時間が長くなり、また配合物の溶融粘度も高くなるなど加工性が損なわれるだけでなく、経済性にも劣るなどの不利益な問題がある。 【0010】 このように、アスファルトのタフネス、テナシティーなどの高い機械的強度と、特に低温で極めて高度な伸度が発現する優れた低温特性を有し、更に優れた加工性を満足させうるアスファルト改質剤は、これまで見出されていない。 【0011】 【発明が解決しようとする課題】 本発明は、このような従来の熱可塑性エラストマーが持つ低温特性を解決し、極めて高度な低温伸度を有し、かつ高い軟化点やタフネス、テナシティー等の機械強度を同時に満足させ、更に、良好な加工性を有するアスファルト用改質剤を提供することにある。 【0012】 【課題を解決するための手段】 本発明者は、上記の好ましい物性を発現するアスファルト改質剤を開発するために、鋭意検討を重ねた結果、特定の構造を有するビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物とのブロック共重合体がその目的を達成することを見出し、本発明を完成するに至った。 【0013】 すなわち、本発明は、全ビニル芳香族化合物含有量が25〜45重量%、ビニル芳香族化合物を主体とするブロック含有量が5〜18重量%であり、前者に対する後者の比が0.3〜0.7のビニル芳香族化合物と共役ジエンとのブロック共重合体であって、更に、ビニル芳香族化合物を主体とするブロックが、少くとも2個のブロックよりなり、各ブロックの鎖長の比が0.9を超え1.0以下であり、かつビニル芳香族化合物を主体とするブロックの分子量が0.1〜0.72万である、低温伸度に優れたアスファルト改質用熱可塑性エラストマーに関する。 【0014】 以下、本発明を詳細に述べる。 【0015】 本発明のビニル芳香族化合物と共役ジエンとのブロック共重合体は、(a)全ビニル芳香族化合物含有量が20〜50重量%、(b)ビニル芳香族化合物を主体とするブロック含有量が5〜18重量%であり、(c)前者に対する後者の比が0.2〜0.8である。 【0016】 ここで、ビニル芳香族化合物を主体とするブロックとは、ビニル芳香族化合物を70重量%以上、好ましくは85重量%以上含有するビニル芳香族化合物の単独重合体ブロック又は共役ジエンとの共重合体ブロックである。 【0017】 該ビニル芳香族化合物を主体とするブロック重合体の形成に関与しない残余のビニル芳香族化合物は、共役ジエンとの所謂、ランダム共重合体を形成するが、その結合様式は均一であってもよいし、テーパー形状の様な不均一であってもよい。 【0018】 本発明のブロック共重合体中の全ビニル芳香族化合物含有量(a)は20〜50重量%であり、(a)が20重量%未満では、アスファルト改質剤として用いてもタフネス、テナシティー等の機械強度や軟化点、更に、充分な伸度を発現させることができず、また、50重量%を越えると、フラース脆化点や、低温伸度などの低温可撓性性が著しく低下する。より好ましくは、全ビニル芳香族化合物含有量が30〜40重量%の範囲にある場合である。 【0019】 また、本発明のビニル芳香族化合物-共役ジエンブロック共重合体のビニル芳香族化合物を主体とするブロック含有量(b)は5〜18重量%であることが必要である。 【0020】 ビニル芳香族化合物を主体とするブロック含有量(b)が5重量%未満では、充分な凝集力が得られず、従って、アスファルト配合物の軟化点、タフネス・テナシティーなどの機械強度に乏しく、一方、18重量%を越える場合は伸度改良効果に乏しい。 【0021】 本発明のブロック共重合体は、前述したように、ビニル芳香族化合物と共役ジエンとのランダム共重合体より成るエラストマー部分を含有する。 【0022】 本発明の目的とする低温伸度に優れ、かつ、高い軟化点とタフネス・テナシティーなどの高度なバランスを有するアスファルト改質効果を達成するには、ビニル芳香族化合物を主体とするブロックとランダム共重合体との極めて限定された範囲でのバランスが必要である。 【0023】 即ち、本発明のブロック共重合体は、全ビニル芳香族化合物に対するビニル芳香族化合物を主体とするブロックの比(c)が0.2〜0.8である。 【0024】 全ビニル芳香族化合物に対するビニル芳香族化合物を主体とするブロックの比が0.2未満であると、アスファルト配合物とした場合、タフネス、テナシティーなどの充分な機械強度が得られず、また0.8を越えると伸度が不足し、より好ましくは、0.3〜0.7の範囲である。 【0025】 本発明者らは、ビニル芳香族化合物-共役ジエンブロック共重合体を改質剤としたアスファルト配合物の他の配合物物性を高度に維持しつつ、特に優れた伸度特性を発現させるべく、該ブロック共重合体中のビニル芳香族化合物を主体とするブロックの大きさに注目して鋭意検討した結果、以下の更に特定された構造が著しい伸度改良効果を有することを見出した。 【0026】 即ち、本発明のビニル芳香族化合物と共役ジエンとのブロック共重合体は、少くとも2個のビニル芳香族化合物を主体とするブロックよりなり、各ブロックの鎖長の比が0.9を超え1.0以下であり、かつビニル芳香族化合物を主体とするブロックの分子量が0.1〜1.0万である。 【0027】 ここで、分子量は重量平均分子量を言い、例えばゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)等により測定される。 【0028】 該ブロック鎖長が0.1万未満では、凝集力が不足して満足ゆくアスファルト物性が発現せず、また、1.0万を越えると、逆に凝集力が強過ぎて、優れた伸度改良効果が発現せず、好ましくは、0.2〜0.6万である。 【0029】 本発明のビニル芳香族化合物ー共役ジエンブロック共重合体の構造は、直鎖状であってもよく、少なくとも2個のビニル芳香族化合物を主体とするブロックは、各々、同一であっても、異なってもよく、そのような、ビニル芳香族化合物ー共役ジエンブロック共重合体の構造としては、例えば、 【0030】 【化1】 (ここで、AおよびA’はビニル芳香族化合物を主体とするブロック、Bは共役ジエンとビニル芳香族化合物とのランダム共重合体ブロック、Xはカップリング剤残基、nは2〜6の整数を表わす。) などが好ましいものとして挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではなく、更に、該ブロック共重合体に A-B,又はA’-B (ここで、AおよびA’はビニル芳香族化合物を主体とするブロック、Bは共役ジエンとビニル芳香族化合物とのランダム共重合体ブロックを表わす。) の構造を有する成分が、70重量%以下の範囲で包含されていてもよい。 【0031】 本発明のブロック共重合体を形成するビニル化合物としては、例えば、スチレン、P-メチルスチレン、第三級ブチルスチレン、α-メチルスチレン、1,1-ジフェニルエチレンなどの単量体が挙げられ、中でもスチレンが好ましく、これらの単量体は、単独でも2種以上の併用でもよい。 【0032】 一方、共役ジエンとしては、例えば1,3-ブタジエン、イソプレン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、ピペリレン、3-ブチル-1,3-オクタジエン、フェニル-1,3-ブタジエンなどの単量体が挙げられ、中でも1,3-ブタジエン及びイソプレンが好ましく、これらの単量体は、単独でも2種以上の併用でもよい。 【0033】 また、本発明の共役ジエン化合物重合体中のビニル結合含率は50重量%以下であり、ビニル結合含率が50重量%を越えると、アスファルト配合物の低温特性が著しく劣ったものになり、本発明の目的が達成されず、また、ブロック共重合体の溶融温度が高くなり、アスファルトを配合する際の溶解性等、加工性が困難となって好ましくない。 【0034】 より好ましくは、ビニル結合含率が10〜40重量%の範囲にある場合である。 【0035】 本発明の熱可塑性エラストマーは、例えば不活性炭化水素溶媒中において、有機リチウム化合物などを重合開始剤としてまずビニル芳香族化合物を重合させ、次いで共役ジエンとビニル芳香族化合物とを共重合させ、再度ビニル芳香族化合物を重合させる操作を繰返し行なう方法、あるいは、まずビニル芳香族化合物を重合させ、次いで共役ジエンとビニル芳香族化合物とを共重合させて成るジブロック共重合体に、カップリング剤を反応させる方法などによって製造することができる。 【0036】 これらの反応における重合温度については特に制限はないが、生産性を考慮して通常20〜130℃の範囲で選ばれるが、好ましくは重合開始温度が30〜90℃の範囲であり、かつ最高到達温度が80〜120℃の範囲にあることが望ましい。 【0037】 前記不活性炭化水素溶媒としては、例えばシクロヘキサン、n-ヘキサン、ベンゼン、トルエン、オクタンなどやこれらの混合物が使用されるが、これらの中でシクロヘキサンが好ましく、また、該有機リチウム化合物としては、例えばn-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、tert-ブチルリチウムなどが挙げられるが、これらの中でn-ブチルリチウム及びsec-ブチルリチウムが好適である。 【0038】 本発明の共役ジエン重合体は、実質的に、ビニル芳香族化合物とのランダム共重合体を含有しているが、そのようなランダム共重合体を得る際、意図的に、いわゆるランダム化剤を使用することも可能であり、そのようなランダム化剤として、少量のアルカリ金属第三級アルコキシドを不活性炭化水素溶媒中に共存させてもよい。 【0039】 このアルカリ金属第三級アルコキシドとしては、例えばカリウム-tert-ブトキシド、ナトリウム-tert-ブトキシド、セシウム-tert-ブトキシド、カリウムイソペンチルオキシドなどが挙げられるが、これらの中でカリウム-tert-ブトキシドが好ましい。 【0040】 また、共役ジエン重合体のミクロ構造を調整するため、いわゆるビニル化剤を不活性炭化水素溶媒中に添加することもでき、そのような例として、エーテル類や第三級アミン類などの極性化合物、例えばエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、α-メトキシテトラヒドロフラン、N,N,N′,N′-テトラメチルエチレンジアミンなど、好ましくはテトラヒドロフランやN,N,N′,N′-テトラメチルエチレンジアミンを所定量共存させることができ、これらビニル化剤は、ミクロ構造調整剤としてだけでなく、ランダム化剤としての効果も持つために、好適に使用される。 【0041】 さらに、該カップリング剤としては、例えば、ジクロルジメチルシラン、四塩化ケイ素、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシランなどのケイ素化合物、エポキシ大豆油、エポキシ亜麻仁油、その他のエポキシ化合物、ジブロモエタン、ジクロルエタン等のハロゲン化アルキル化合物、酢酸エチル、アジピン酸ジエチルなどのエステル類、プロピオン酸クロリド、アジピン酸ジクロリド等の酸クロリド、等が挙げられるが、得られるブロック共重合体の熱安定性や副生物の点から、ケイ素化合物、エポキシ化合物が好適に用いられる。 このようにして得られた熱可塑性エラストマーには、必要に応じ、軟化剤、酸化防止剤、光安定剤、ブロッキング防止剤などを添加することができ、該軟化剤としては、例えばナフテン系、パラフィン系、アロマ系のプロセスオイル及びこれらの混合系オイルなどが挙げられるが、これらの中でナフテン系、パラフィン系及びこれらの混合系オイルが好ましい。 【0042】 該酸化防止剤としては、例えば2,6-ジーt-ブチル-4-メチルフェノール、n-オクタデシル-3-(4′-ヒドロキシ-3′,5′-ジ-t-ブチルフェニル)プロピオネート、2,2′-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2′-メチレンビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、2,4-ビス〔(オクチルチオ)メチル〕-o-クレゾール、2-t-ブチル-6-(3-t-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-メチルフェニルアクリレート、2,4-ジ-t-アミル-6-〔1-(3,5-ジ-t-アミル-2-ヒドロキシフェニル)エチル〕フェニルアクリレートなどのヒンダードフェノール系酸化防止剤;ジラウリルチオプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート、ペンタエリスリトール-テトラキス(β-ラウリルチオプロピオネート)などのイオウ系酸化防止剤;トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイトなどのリン系酸化防止剤などを挙げることができる。 【0043】 また、光安定剤としては、例えば2-(2′-ヒドロキシ-5′-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2′-ヒドロキシ-3′,5′-t-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2′-ヒドロキシ-3′,5′-ジ-t-ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤や2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系紫外線吸収剤、あるいはヒンダードアミン系光安定剤などを挙げることができる。 【0044】 さらに、ブロッキング防止剤としては、例えば高級脂肪酸、高級脂肪酸の金属塩、ワックス類、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、無機の金属塩類や水酸化物などが挙げられる。 【0045】 本発明の熱可塑性エラストマーは、アスファルト100重量部に対して通常1〜25重量部、好ましくは2〜15重量部、より好ましくは2.5〜8重量部の割合で用いられ、この配合量が1重量部未満では該アスファルトの改質効果が発現されず、25重量%を越えて配合してもそれ以上の改質効果は得られないばかりか、アスファルトの溶融粘度が著しく増大して、加工性が損なわれるなど、経済的にも性能的にも不利である。 【0046】 本発明で使用されるアスファルトは、特に制限されるものでなく、慣用されているアスファルト、例えば、ストレートアスファルト、(セミ)ブローンアスファルト、及びこれらの混合物などが挙げられ、好適には、針入度40〜120のストレートアスファルト、針入度10〜30のブローンアスファルト及びこれらの混合物が挙げられる。 【0047】 このようにして調製されたアスファルト組成物には、必要に応じ、従来アスファルト組成物に慣用されている各種添加剤、例えばシリカ、タルク、炭酸カルシウム、鉱物質粉末、ガラス繊維などの充てん剤や補強剤、鉱物質の骨材、顔料あるいはプロセスオイルなどの軟化剤、アゾジカルボンアミドなどの発泡剤、ポリエチレンやエチレン-アクリル酸エチル共重合体などの熱可塑性樹脂などを添加することができる。 【0048】 また、道路舗装用として用いられる場合には、通常該アスファルト組成物は、鉱物質の石、砂、スラグなどの骨材と混合して使用される。 【0049】 本発明の熱可塑性エラストマーとアスファルトを混合する方法は特に限定されるものでなく、所望により前記の各種添加剤を、例えば熱溶融釜、ロール、ニーダー、バンバリーミキサー、押出機などにより加熱溶融混練することにより調製することができる。 【0050】 【実施例】 以下、実施例によって本発明を説明するが、これらの実施例は本発明を限定するものでなく、また、各種測定は下記の方法に従った。 【0051】 ▲1▼ブロック共重合体の物性測定; 1)全スチレン含量: 紫外線分光光度計(日立UV 200)を用いて262nmの吸収強度より算出した。 【0052】 2)ブロックスチレン含量: 四酸化オスミウムとt-ブチルハイドロパーオキシドによる酸化分解法〔「ジャーナル・オブ・ポリマー・サイエンス」第1巻、第429頁(1946年)に記載〕に従って求めた。 【0053】 なお、スチレン重合体ブロックの重量測定は、紫外線分光光度計(日立UV200)を用いて、262nmの吸収強度より算出した。 【0054】 3)ブロックスチレン分子量: 上記の2)の方法に従って調製したブロックスチレンは、GPC〔装置は、ウオーターズ製であり、カラムはショウデックス製のK-801、802、803の計3本の組合せであり、溶媒にはクロロホルムを用い、測定条件は温度35℃、流速1.0ml/分、試料濃度0.1重量%、注入量50μlである〕のクロマトグラフより、重量平均分子量を求めた。 【0055】 なお、分子量は以下の標準ポリスチレン(ウオーターズ製)検量線からの換算値である。 【0056】 35,000、8,500、1,800、790、680 4)ブタジエンブロック部のミクロ構造: 紫外線分光光度計(パーキンエルマー製モデル1710)を用いて測定し、ハンプトン法により測定した。 【0057】 ▲2▼アスファルト組成物の物性測定; 1)溶融粘度: 180℃でブルックフィールド型粘度計により測定した。 【0058】 2)タフネス、テナシティ: 舗装工事に関する試験方法(日本道路建設業協会編)に準じて測定した。 【0059】 3)伸度、針入度、軟化点:JIS-K2207に準拠して測定した。 【0060】 (参考例) 参考例では、市販のスチレン-ブタジエン系ラテックス(全スチレン含量25重量%、ブロックスチレン含量0重量%、ビニル含量15%、重量平均分子量28万)の水分を加熱除去した後、得られたポリマー成分4gと、ストレートアスファルト(60/80)96gとを、180℃、90分間溶融混練しアスファルト混合物を調製し、その特性値を表1に示した。 【0061】 (実施例1) ジャケットと攪拌機の付いた40Lのステンレス製反応器を充分窒素置換した後、シクロヘキサン17,120g、テトラヒドロフラン43g、スチレン135gを仕込み、ジャケットに温水を通水して内容物を約65℃に設定した。 【0062】 この後、n-ブチルリチウムシクロヘキサン溶液(純分で2.20g)を添加し、スチレンの重合を開始した。スチレンがほぼ完全に重合してから3分後に、ブタジエン(1,3-ブタジエン)2040gとスチレン690gとの混合物を添加し、重合を継続した。内容物が完全に重合して最高温度90℃に達した後、4分後に更にスチレン135gを添加して重合を行った。重合が完結した後、水6.4gを加えて攪拌機によって系内を連続的に攪拌した。 【0063】 この後、ブロック共重合体溶液を抜き出し、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール6.4g、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト4gを添加し、得られた該溶液をスチームストリッピングすることにより溶媒を除去し、引き続き、熱ロール(120℃)により脱水乾燥して、ブロック共重合体を得た。 【0064】 このようにして得られたブロック共重合体の全スチレン含量〔A〕と、ブロックスチレン含量〔B〕を測定した。 【0065】 更に、ブロックスチレン〔B〕をGPCで測定し、その最小ブロックスチレン分子量を〔C〕、最大ブロックスチレン分子量を〔D〕とし、その物性値を表1に示した。 【0066】 得られたブロック共重合体4gと参考例で使用したストレートアスファルト96gを、180℃で90分間溶融混練し、アスファルト組成物を調製した。 【0067】 その特性値を表1に示した。 【0068】 (実施例2〜5、比較例1〜4、6) 実施例2〜5、及び比較例1〜4、6では、全スチレン含量、ブロックスチレン含量、更にブロックスチレン分子量をも変量として、実施例1と同様な操作を行ないブロック共重合体を得た。 【0069】 アスファルトは実施例1と同じものを用い、アスファルト配合、組成も実施例1と同等の量、方法で行ない、これらの物性値を表1及び表2に示した。 【0070】 (比較例5) 比較例5ではジャケットと攪拌機の付いた40Lステンレス製反応器を十分に窒素置換した後、所定量のシクロヘキサン、テトラヒドロフラン、スチレン(第1スチレンと称する)を仕込み、ジャケットに温水を通水し、内容物を約70℃に設定した。 【0071】 この後、n-ブチルリチウムシクロヘキサン溶液を所定量添加し、第1スチレンの重合を開始し、第1スチレンがほぼ完全に重合してから10分後に、ブタジエン(1,3-ブタジエン)を所定量添加して重合を継続し、ブタジエンがほぼ完全に重合して最高温度に達してから15分後に、再度、スチレン(第2スチレンと称する)を第1スチレンと等量添加して重合を続け、第2スチレンがほぼ完全に重合して後、更に15分間保持して重合を完結させた後、水を加えて活性種を完全に失活させた。 【0072】 この後、2,6-ジ-t-ブチル-メチルフェノールとトリス(ノニルフェノール)ホスファイト(シクロヘキサン溶液)を添加し、実施例1と同様な方法で処理を行ってブロック共重合体を得た。 【0073】 得られたブロック共重合体は、実施例1と同様のアスファルトを用い、同等の配合量を配合しアスファルト組成物とした。 【0074】 このようにして得たブロック共重合体は、実施例1と同様のアスファルトを用い、同等量の配合物とした。この物性値を表2に示した。 【0075】 (実施例6) ジャケットと攪拌機の付いた40Lのステンレス製反応器を充分窒素置換した後、シクロヘキサン17,120g、テトラヒドロフラン43g、スチレン240gを仕込み、ジャケットに温水を通水して内容物を約65℃に設定した。 【0076】 この後、n-ブチルリチウムシクロヘキサン溶液(純分で3.4g)を添加し、スチレンの重合を開始した。スチレンがほぼ完全に重合してから3分後に、ブタジエン(1,3-ブタジエン)2160gとスチレン600gとの混合物を添加し、重合を継続し、内容物が完全に重合して最高温度90℃に達してから4分後に重合ポリマーを少量サンプリングし(ポリマーI),その後更に反応器内へ、カップリング剤として下記の構造式(イ)と(ロ)とを1:1に混合したものをnーブチルリチウムに対し0.25モル当量添加し、カップリングさせた。 【0077】 【化2】 (ただし、N=0の場合の構造体を98重量%以上含有する。) カップリング剤添加より10分後に、水1.6gを加え、系内を攪拌し、その後、実施例1と同様な処理を施してブロック共重合体(ポリマーII)を得た。 ポリマーIと、ポリマーIIをGPCで分析した結果、ポリマーIIは、ポリマーI及びポリマーIの2倍の分子量を有するポリマーとの1:1の混合物であった。ポリマーIIの物性値、及び実施例1と同様な処方によるアスファルト物性を表2に示す。 (実施例7) ジャケットと攪拌機の付いた40Lのステンレス製反応器を充分窒素置換した後、シクロヘキサン17,120g、テトラヒドロフラン43g、スチレン360gを仕込み、ジャケットに温水を通水して内容物を約65℃に設定した。 【0078】 この後、n-ブチルリチウムシクロヘキサン溶液(純分で6.1g)を添加し、スチレンの重合を開始した。スチレンがほぼ完全に重合してから3分後に、ブタジエン(1,3-ブタジエン)1800gとスチレン840gとの混合物を添加し、重合を継続し、内容物が完全に重合して最高温度90℃に達してから4分後に、カップリング剤として四塩化ケイ素をnーブチルリチウムに対し0.25モル当量添加し、カップリングさせた。 【0079】 カップリング剤添加より10分後に、水1.6gを加え、系内を攪拌し、その後、実施例1と同様な処理を施しポリマーを得た。得られたポリマーは、実施例1と同様な配合を行い、その物性値を表2に示す。 (実施例8) ジャケットと攪拌器の付いた40lステンレス製反応器を十分窒素置換したのち、所定量のシクロヘキサンとスチレンを仕込み、ジャケットに温水を通して内容物を所定の温度に設定した。次いでn-ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液所定量を添加して、スチレン(第1スチレンという。)の重合を開始した。 【0080】 スチレンがほぼ完全に重合してから、10分後に更にスチレンとブタジエンを同等に所定量添加して、重合を継続させ、2分経過後に定量ポンプにより10〜60分間を要して再度所定量のブタジエンを連続的に重合系内に供給し、重合を継続させた。これらがほぼ完全に重合し、最高温度に到達してから15分後、再度スチレンを第1スチレンと同量添加して、重合を続けた。その後、15分間同温度に保持して重合を完結させたのち、水を添加して重合を停止させ、実施例1と同様な処理を行い共重合体を得た。 【0081】 得られた共重合体の物性は、表2に示すようにビニル含量が12%のものであった。実施例1と同等のアスファルト、及び配合量で得たものの物性値を表2に示す。 (実施例9) 実施例9では、実施例1で得られたブロック共重合体2.5gと実施例1で用いたアスファルト97.5gとを同様な処方で溶融混練し、アスファルト組成物を調製した。その物性値を表2に示す。 (実施例10) 実施例10では、アスファルト配合量を、ブロック共重合体6g、アスファルト94gに変量した以外は実施例9と同様な配合処方を行い、得られた配合物の物性値を表2に示す。 表1及び表2から、ブロック共重合体の全スチレン含量と、ブロックスチレン含量が、限定された範囲にあり、かつ、ブロックスチレンの分子量が限定された場合、低温伸度が極めて優れ、その他の物性とのバランスにも優れたアスファルト性能が発現することが判る。 【0082】 【表1】 【0083】 【表2】 【0084】 【発明の効果】 本発明のアスファルト改質用熱可塑性エラストマーは特定の構造を有するブロック共重合体から成るものであって、アスファルトに配合することにより、感温特性、特に低温での伸度に優れ、更にタフネス、テナシティー、軟化点、針入度などのその他の物性と加工性のバランスに優れた改質アスファルトを与えることができる。 【0085】 本発明の熱可塑性エラストマーを配合した改質アスファルトは、前記のような特性を有しているので、例えば防水シート用、止水材用、サイレンサーシート用、鋼管コーティング用として用いられ、特に道路舗装用に好適である。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2005-08-01 |
出願番号 | 特願平5-37279 |
審決分類 |
P
1
651・
121-
ZA
(C08F)
P 1 651・ 113- ZA (C08F) |
最終処分 | 取消 |
前審関与審査官 | 佐藤 邦彦 |
特許庁審判長 |
井出 隆一 |
特許庁審判官 |
船岡 嘉彦 佐野 整博 |
登録日 | 2003-04-11 |
登録番号 | 特許第3418420号(P3418420) |
権利者 | 日本エラストマー株式会社 |
発明の名称 | アスファルト改質用熱可塑性共重合体 |
代理人 | 清水 猛 |
代理人 | 一入 章夫 |
代理人 | 伊藤 穣 |
代理人 | 大崎 勝真 |
代理人 | 坪倉 道明 |
代理人 | 鳴井 義夫 |
代理人 | 鳴井 義夫 |
代理人 | 小野 誠 |
代理人 | 清水 猛 |
代理人 | 伊藤 穣 |
代理人 | 武井 英夫 |
代理人 | 川口 義雄 |
代理人 | 武井 英夫 |