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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) F02M
管理番号 1127955
審判番号 不服2002-5128  
総通号数 74 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1997-11-18 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-03-27 
確定日 2005-12-15 
事件の表示 平成 8年特許願第135675号「キャニスタの吸排気構造」拒絶査定不服審判事件〔平成 9年11月18日出願公開、特開平 9-296755〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成8年5月7日の出願であって、その請求項1〜3に係る発明は、平成17年8月22日付け手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1〜3に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に記載された発明(以下、「本願発明」という。)は次のとおりのものである。
「【請求項1】外気を吸い込む吸気通路および蒸発燃料成分をキャニスタに吸着させた後の空気を外気に排出する排気通路を有するキャニスタの吸排気構造において、
サスペンションを保持しボディに取付けるために設けられ、内側が前記ボディとは独立した略閉断面に形成されたサブフレームに前記排気通路の排気側開口部を形成し、
前記ボディのキャビンを形成するフロアに接して設けられ、前記サブフレームが取り付けられ、内側が閉断面に形成された前記ボディのフレームに前記吸気通路の吸気側開口部を形成したことを特徴とするキャニスタの吸排気構造。」

2.当審の拒絶の理由
一方、当審において平成17年6月15日付けで通知した拒絶の理由の概要は、本願発明は、本願の出願日前に頒布された、特開平8-58404号公報、実願昭63-144588号(実開平2-64743号)のマイクロフィルム、実願昭63ー36573号(実開平1-138813号)のマイクロフィルム、実願昭58ー15456号(実開昭59-121464号)のマイクロフィルム、実願平5-61864号(実開平7-25263号)のCD-ROMに記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

3.引用例の記載事項
・引用例1:特開平8-58404号公報
a.「【0013】図1〜図3に示すように、前輪駆動車両の左右の後輪W,Wを懸架するリヤサスペンションRS,RSを支持するサブフレームSFは、左右一対のサイドメンバ1,1と、両サイドメンバ1,1の前端間及び後端間を接続する前部クロスメンバ2及び後部クロスメンバ3とを備える。・・・【0015】サブフレームSFは、その四隅に設けられた4個のゴムブッシュマウント4を介して車両の左右両側に延在する一対のメインフレームMF,MFの下面に着脱自在に支持される。・・・【0019】サブフレームSFの両サイドメンバ1,1、前部クロスメンバ2及び後部クロスメンバ3によって画成される空間には、左右両端を両サイドメンバ1,1の下面に固定した上下2本のバンド22,22によって燃料タンク23が支持される。・・・【0022】前部クロスメンバ2の前面の左半部、即ち前部クロスメンバ2の前面の右半部に支持された前記主膨張室28の左側に隣接するように、キャニスタ41がブラケット42を介して支持される。キャニスタ41と燃料タンク23の内部とが、中間部に電磁弁43を設けた第1ベント通路44を介して接続されており、・・・。更にキャニスタ41からは、エンジンの吸気系に連なるパージ通路40と、大気に開放するドレン通路47とが接続される。・・・【0024】図3から明らかなように、車体のフロアパネルは左右のメインフレームMF,MFの上面間に配置されて、その上面にリヤシートSを支持するリヤフロアパネル48と、このリヤフロアパネル48の前方の一段低い位置に配置されたフロントフロアパネル49と、概略上下方向に延びてリヤフロアパネル48の前端とフロントフロアパネル49の後端とを接続する連結壁50とから構成される。・・・」(段落【0013】〜【0024】)

上記記載aによれば、引用例1には、「大気に開放するドレン通路47を有するキャニスタ41の吸排気構造において、
リヤサスペンションRSを保持し車体に取付けるために設けられるサブフレームを有し、
前記車体のキャビンを形成するリヤフロアパネル48、フロントフロアパネル49に接して設けられ、前記サブフレームが取り付けられる前記車体のメインフレームMFを有する車両のキャニスタの吸排気構造。」の発明(以下、「引用例1記載の発明」という)が記載されているものと認められる。

・引用例2:実願昭63-144588号(実開平2-64743号)のマイクロフィルム
b.「第1図及至第3図において、リヤフロア1の下面には車体前後方向に延びる断面略凹状のリヤサイドフレーム2を接合し、上述のリヤフロア1とリヤサイドフレーム2との間に第1閉断面3を形成している。」(明細書第5頁第16〜20行)
c.「シートクッション4配設部位と対応するリヤフロア1の下面にはオンボードキャニスタ10を配設する一方、このオンボードキャニスタ10配設部位より更にリヤ側におけるリヤフロア1の下面にはフューエルタンク11を配設している。」(明細書第6頁第8〜13行)
d.「ブリーザホース13の下端を第1閉断面3内に開口したので、リヤサイドフレーム2により、この閉断面3内への泥の侵入を防止して、ブリーザホース13先端に泥が詰まるのを確実に防止することができる。この結果、給油ガンによる燃料注入時に、エバポホース12からオンボードキャニスタ10内に流入する燃料ガスを、同キャニスタ10内の吸着剤で吸着し、エアのみをブリーザホース13を介して大気に良好に放出することができるので、ブリーザ機能の確保を図ることができる。」(明細書第8頁第10〜20行)
上記記載b〜dによれば、引用例2には、「ボディのフロア下にフューエルタンク11とキャニスタ10とを設置した車両において、ブリーザホース13の一端をリヤサイドフレーム2の閉断面内に開口させることにより、泥や水の侵入を防止する」技術(以下、「引用例2記載の技術」という)が記載されているものと認められる。

・引用例3:実願昭63ー36573号(実開平1-138813号)のマイクロフィルム
e.「上記のように、チャコールキャニスタ4に接続された大気開放口8は、法規制により車両フレーム3等の閉空間内に臨ませる必要がある」(明細書第3頁第14〜16行)
f.「大気取入部20は、第3の連通管17内と接続されて先端が大気に開放された分岐パイプ21と、その分岐パイプ21内に設けられ第3の連通管17内の圧力が負圧になると開成する圧力対応弁22とを備えている。」(明細書第5頁第7〜11行)
g.「車両の駆動系停止時に燃料タンク12内で発生する蒸発燃料は、第1の連通管15を通りチャコールキャニスタ14内に導入される。そして、燃料成分のみがチャコールキャニスタ14内の活性炭に吸着される一方、燃料成分が取り除かれたガスは第3の連通管17を通り、大気開放口18より車両フレーム13内に放出される。」(明細書第5頁第14行〜第6頁第1行)
h.「駆動系運転時には気化器11が負圧になり、これに伴い第3の連通管17内も負圧となって圧力対応弁22が開成する。その結果、大気が分岐パイプ21および第3の連通管17を介してチャコールキャニスタ14内に導入されるとともに、車両フレーム13内の大気も第3の連通管17を介してチャコールキャニスタ14内に導入される。」(明細書第6頁第6〜13行)
i.「上記実施例では、大気開放口18を臨ませるための閉空間として車両フレーム13を使用しているが、これに限定されることなく、例えばモノコックボディ車であればサイドシル等を閉空間として使用してもよい。」(明細書第7頁第12〜16行)
上記記載f〜iによれば、引用例3には、「キャニスタの大気開放口18の開口部位を、車両フレーム13の閉空間に限定せずに、サイドシル等、種々の閉空間に選択する」技術(以下、「引用例3記載の技術」という)が記載されているものと認められる。
また、上記記載eによれば、引用例3には、「キャニスタに接続された大気開放口8を、法規制により車両フレーム3等の閉空間内に臨ませる必要性」(以下、「引用例3記載の必要性」という)が記載されているものと認められる。

・引用例4:実願昭58ー15456号(実開昭59-121464号)のマイクロフィルム
j.「高温時に長時間にわたり駐車したような場合、燃料タンク1内において発生する蒸発ガスの発生量が増大し、チャコールキャニスタ3に貯溜しきれなくなり、バージ用新気吸入口4から漏出することになる。このように漏出した蒸発ガスがエンジンルーム内に充満すると爆発の危険があるため、前記バージ用新気吸入口4をエンジンルーム外の下方、たとえば、第3図に示すように車体フレーム5内に開口させるようにしている」(明細書第2頁第2〜10行)
k.「第4図はこの考案の一実施例を示すもので、キャニスタ3の下部開口部3AにT形パイプ6を接続し、その一つの管部6Aにホース7を接続して従来と同様に自動車の車体フレーム5内に導いて開口させ、他の一つの管部6Bには他のホース8を接続して上方に立ち曲げて導き、車体フレーム5内に開口する開口部より高さHだけ高い位置に開口させる。・・・第6図は第4図の実施例におけるT形パイプ6の分岐部分に相当する位置に電磁作動式あるいはエンジンの吸入負圧を利用した方式の切換弁9を介装し、一方のホース7はエンジンルーム外の例えば自動車の車体フレーム5内に開口し、他方のホース8はエンジンルーム内に開口した構成とし、前記切換弁9はエンジン停止時には切換弁9の切換操作により、キャニスタ3とホース7とを連通させてエンジンルーム内とは遮断し、エンジン運転中は、キャニスタ3とホース8とを連通させてエンジンルーム外とは遮断するよう作動されるようになっている。したがってこの実施例によれば、エンジンを停止して長時間駐車させた場合、燃料タンク内で発生する蒸発ガスがキャニスタ3に補集され、このキャニスタ3から漏出した蒸発ガスは切換弁9、ホース7を通じてエンジンルーム外に放出され、また、走行中はエンジンルーム内とキャニスタ3とが遮断されてバージ用新気はホース8を通じ吸入される。そのため自動車を高温地域に長時間駐車させても,駐車中にエンジンルーム内に蒸発燃料が充満していてエンジン始動時に爆発を起す危険がなく、またエンジン運転時(走行中)はバージ用新気の吸入と共に水や泥が吸入されることが防止される。」(明細書第3頁第4行〜第5頁第5行)
上記記載j、k、及び第4〜6図によれば、引用例4には、「キャニスタ3からの気体をホース7(排気通路)を通じて車体フレーム5内に放出する」技術(以下、「引用例4記載の技術1」という)、及び、「キャニスタ3からの気体をホース7(排気通路)を通じて車体フレーム5内に放出し、キャニスタ3のバージ用の空気を新気ホース8(吸気通路)を通じて車体フレーム5よりも高い位置から吸入する」技術、換言すれば、「キャニスタ3のバージ用の空気を高い位置から吸入し、キャニスタ3からの気体を低い位置から放出する」技術(以下、「引用例4記載の技術2」という)が記載されているものと認められる。
また、上記記載kによれば、引用例4には、「爆発の危険を回避するために、バージ用新気吸入口4を車体フレーム5内に開口させる必要性」(以下、「引用例4記載の必要性」という)が記載されているものと認められる。

・引用例5:実願平5-61864号(実開平7-25263号)のCD-ROM
l.「図2は吸入通路54および排出通路55の配置を模式的に示した説明図である。吸入通路54の一方向弁58を越えた先端部分54cは車体サイドフレーム60の中空部61に接続開口しており、また、排出通路55の一方向弁59を越えた先端部分55cはエンジンルーム62(斜線内側)下部に開口している。」(段落【0027】)
m.「・・・車体サイドフレーム60の中空部61から吸入される空気は清浄な空気であるので、ダストやゴミなどによってキャニスタ26内のフィルタが目詰まりしたり、弁のシール性が悪くなるといったことは起きない。また、車体サイドフレーム60の中空部61から空気を吸入するので、エアクリーナの振動による空気の圧力変動もなく、一方向弁58の作動が安定しシール性が高められる。」(段落【0029】)
n.「また、エンジンルームlの外部として車体フレーム中空部に大気の開放口を設けた場合には車室内にガソリン臭が発生することが考えられた。」(段落【0005】)
上記記載l、mによると引用例5には、「キャニスタに吸入通路54(外気を吸い込む吸気通路)と排出通路55(空気を外気に排出する排気通路)とを設ける」技術(以下、「引用例5記載の技術1」という)、及び「吸入通路54(外気を吸い込む吸気通路)の吸気側開口部を車体サイドフレーム60の中空部などのような閉空間に形成することにより、ダストやゴミなどの悪影響防ぐ」技術(以下、「引用例5記載の技術2」という)が記載されているものと認められる。
また、上記記載nによると引用例5には、「大気の開放口を車室内にガソリン臭が発生しないような位置に選定する必要性」(以下、「引用例5記載の必要性」という)が記載されているものと認められる。

4.対比
引用例1記載の発明の「大気に開放するドレン通路47」と本願発明の「外気を吸い込む吸気通路および蒸発燃料成分をキャニスタに吸着させた後の空気を外気に排出する排気通路」とは、「外気に連通する通路」である限りにおいて一致する。
また、引用例1記載の発明の「キャニスタ41」は本願発明の「キャニスタ」に相当する、以下同様に、「リヤサスペンションRS」は「サスペンション」に、「車体」は「ボディ」に、「リヤフロアパネル48、フロントフロアパネル49」は「フロア」に、「メインフレームMF」は「フレーム」に相当する。
したがって、本願発明と引用例1記載の発明とは、「外気に連通する通路を有するキャニスタの吸排気構造において、
サスペンションを保持しボディに取付けるために設けられるサブフレームを有し、
前記ボディのキャビンを形成するフロアに接して設けられ、前記サブフレームが取り付けられる前記ボディのフレームを有する車両のキャニスタの吸排気構造。」である点で一致し、次の点で相違する。

・相違点1
外気、すなわち大気に連通する通路に関し、本願発明では、「外気を吸い込む吸気通路および蒸発燃料成分をキャニスタに吸着させた後の空気を外気に排出する排気通路」が分岐して設けられているのに対し、引用例1記載の発明では、「大気に開放するドレン通路47」である点。
・相違点2
本願発明は、「内側が前記ボディとは独立した略閉断面に形成されたサブフレームに前記排気通路の排気側開口部を形成し」、「内側が閉断面に形成された前記ボディのフレームに前記吸気通路の吸気側開口部を形成し」ているのに対し、引用例1記載の発明では、キャニスタが、サブフレーム、ボディのフレームに外気に連通する通路を設けていない点。

5.相違点の検討、及び判断
・相違点1に対して
キャニスタに、外気を吸い込む吸気通路と、燃料タンクからの蒸発燃料成分をキャニスタに吸着させた後の空気を外気に排出する排気通路とを設けることは、引用例4記載の技術2、引用例5記載の技術1からも分かるように周知の技術である。したがって、引用例1記載の発明のドレン通路47の部分に上記周知の技術を適用して、相違点1に関する本願発明のように構成することは、当業者が設計において適宜なし得ることである。
・相違点2に対して
内側が略閉断面に形成されたフレーム部材に給排気を行う通路の開口部を形成することは、引用例2記載の技術、引用例3記載の技術、引用例4記載の技術1、及び引用例5記載の技術2からも分かるように慣用手段であるとともに、そのようにする必要性があることは、引用例3記載の必要性、及び引用例4記載の必要性に示されているとおりである。
また、引用例5には、「大気の開放口を車室内にガソリン臭が発生しないような位置に選定する必要性」(引用例5記載の必要性)が記載されている。
さらに、引用例4には、「キャニスタ3のバージ用の空気を高い位置から吸入し、キャニスタ3からの気体を低い位置から放出する」技術(引用例4記載の技術2)が記載されているところである。
そして、一般に、ボディのフレームはサブフレームより高い位置にあるものである。また、サブフレームはフレーム部材の一種であるとともに、サブフレームを、ボディとは独立した略閉断面に形成することは周知の技術である(必要なら、特開平7-246464号公報、実願平1-91673号(実開平3-32507号)のマイクロフィルム参照)。
以上総合すると、そもそもフレーム部材に吸排気通路開口を設けることは、前述のように慣用手段であり、引用例1記載の発明に上記周知の技術を適用して相違点1に関する本願発明のように構成する際に、引用例5記載の必要性を踏まえて、引用例4記載の技術2、及び上記慣用手段、周知の技術を適用して、サブフレームに排気側開口部を形成し、ボディのフレームに吸気側開口部を形成して、相違点2に関する本願発明1のように構成することは、当業者が容易に想到し得たものである。

そして、本願発明によってもたらされる効果も、引用例1記載の発明、引用例2〜5の記載事項、及び上記慣用手段、周知の技術から予測し得る程度のものである。

6.むすび
したがって、本願発明は、引用例1記載の発明、引用例2〜5の記載事項、及び上記慣用手段、周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-10-13 
結審通知日 2005-10-18 
審決日 2005-10-31 
出願番号 特願平8-135675
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (F02M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐藤 正浩  
特許庁審判長 大橋 康史
特許庁審判官 清田 栄章
飯塚 直樹
発明の名称 キャニスタの吸排気構造  
代理人 渡部 敏彦  

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