• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06K
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06K
管理番号 1128234
審判番号 不服2003-14542  
総通号数 74 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1997-03-18 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-07-29 
確定日 2005-12-22 
事件の表示 平成 7年特許願第228266号「文字認識装置及び文字認識方法」拒絶査定不服審判事件〔平成 9年 3月18日出願公開、特開平 9- 73515〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成7年9月5日の出願であって、平成15年6月23日付けで拒絶査定がなされ、これに対して同年7月29日に拒絶査定に対する審判の請求がなされるとともに、同年8月27日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成15年8月27日付けの手続補正についての却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成15年8月27日付けの手続補正を却下する。
[理由]
(1)補正後の特許請求の範囲
本補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「【請求項1】文書画像から文字を認識する文字認識部と、該文字認識部で用いられる文字認識辞書と、前記文書画像を表示するとともに該文書画像上に前記文字認識部による認識結果を表示する表示部と、少なくとも認識した文字画像の位置と候補文字を記憶する認識結果記憶部を有し、前記表示部は、オペレータが修正対象となる認識結果の文字を指示したとき、対応するもとの文字画像に隣接し、且つ、修正対象となる文字が前記表示手段によって表示された位置の近傍に、前記認識結果記憶部に記憶されている前記候補文字を一覧表示することを特徴とする文字認識装置。」
と補正された。
上記補正は、補正前の請求項1に記載された発明の発明特定事項をさらに限定して補正後の請求項1としたものであり、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本補正後の前記請求項1に記載されている発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際に独立して特許を受けることができ、すなわち本補正が平成15年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定を満たすものであるかについて以下検討する。

(2)引用例
(2-1)原査定の拒絶の理由に引用された特開平6-337959号公報(以下、「刊行物1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。(摘記箇所は段落番号により特定する。)
ア 「【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、画像データとして記憶された文書から文字パターンを切り出し、切り出された文字パターンからその文字を認識する文字認識装置に関する。」
イ 「【0010】
【実施例】以下、本発明の実施例を図1乃至図8を参照して詳細に説明する。図1は本発明の実施例の文字認識装置10の概略構成を示すブロック図である。文字認識装置10は周知のCPU13、ROM15、RAM17の他、バス14に接続されたイメージスキャナ19、文書保存用の外部記憶部25、標準の文字パターンが登録されている辞書部28、表示部31、キーボード33、ポインティングデバイス35、カラープリンタ37、特徴抽出部39、大分類部40を備えて構成される。RAM17には文書イメージデータ領域17a、特徴ベクトル領域17b、文字切り枠の座標データ領域17c、候補文字セット領域17dおよび文字イメージデータ領域17eが確保されている。文字切り枠の座標データ領域17cは、さらに後述する結合文字および分離文字のために2分割されており、座標データ領域17c1、17c2を有する。ROM15にはCPU13が実行する文字認識の処理手順、例えば図2のフローチャートの制御プログラムが記憶される。辞書部28は標準の文字パターンに対応する文字コード等を登録しており、明朝体およびゴシック体用にそれぞれ詳細辞書A、Bを有する。イメージスキャナ19は1次元に配設されたCCDからなる光電変換素子を有し、原稿面に対して走査する機能を有する。特徴抽出部39はRAM17に記憶される文書イメージから文字切り枠の座標データを基にして取り出される文字パターンを記憶する文字バッファ39aを内部に備えており、文字バッファ39aに記憶された文字パターンに対して後述する特徴ベクトルの抽出を行う。特徴抽出部39はマイクロプロセッサを用いて特徴ベクトルを求めるとその特徴ベクトルを文字バッファ39aに一旦格納してCPU13に制御を渡す。大分類部40は大まかに候補文字を絞り込む処理を行なう部分で、標準の文字パターンに対応する文字コード等が登録された大分類辞書Cを備える。ポインティングデバイス25としてマウスが接続されている。つぎに、文字認識装置10の文字認識処理について説明する。
【0011】[文字認識処理ルーチン]図2は文字認識処理ルーチンを示すフローチャートである。本ルーチンが開始されると、イメージスキャナ19にセットされた原稿の文書を読み取り、光電変換、2値化を行なってからビットマップのイメージデータとしてRAM17の文書イメージデータ領域17aに記憶する(ステップS210)。2値化処理されたイメージデータは図3に示すように表示部31に表示される(ステップS220)。作業者は表示されたイメージデータを見ながらキーボード33やポインティングデバイス35であるマウスを使ってイメージデータのしみ、欠けなどの雑音を除去したり、不要な文書の箇所を消去することになる(ステップS230)。さらに、作業者は文字認識あるいは画像圧縮を行う領域を例えば領域D1、D2のようにポインティングデバイス35を使ってブロック指定することになる(ステップS240)。以上の前処理が終了すると、作業者はブロック指定された領域について文字認識処理や画像圧縮処理について種々のモード設定を行うことになる(ステップS250)。このモード設定に付随して種々の処理条件も設定されるようになっており、例えば、文字認識の場合に縦組/横組、改行コードの入れ方、辞書の選択といった指定を行える。また、画像圧縮の場合には画像圧縮を行うかどうかの設定の他に種々の圧縮手法(MMR、MH、MR)の選択ができる。画像圧縮を行う場合には指定された領域のイメージデータを符号化してRAM17に一時記憶する(ステップS255、S260)。このように、イメージデータを圧縮して記憶しておくことにより、限られた記憶容量を有効に活用できる。つぎに、画像圧縮されたイメージデータ以外の文書のイメージデータに対して文字パターンの切り出しが行われる。」
ウ 「【0020】[テキストデータ作成/保存/表示]CPU13は、切り出された文字パターンのすべてに対する認識データを処理し、それらの認識データから第1位候補のみを取り出して構造体配列Zを作成する。このとき、文字コード以外の認識データに加えて、分離文字の認識データもデータとして生成されるので、第1位候補に付随する識別値B(s)、チェック候補フラグ、書体コードの他に第2位以下の候補についてのそれらの情報も引き出せる。これらの結合文字や分離文字に関する情報の引き出しには認識データを示すアドレスポインタが用いられる。また、チェック候補フラグが「1」にセットされている文字については、先にステップS270で求めた文字切り出し枠の座標データを使ってRAM17の文書イメージデータ領域17aに格納された文書イメージデータから個々の文字イメージデータを切り出して同じくRAM17の文字イメージデータ領域17eに記憶する。上記の構造体配列Zには文字イメージデータを示す連続番号vを構造体要素として含んでいる。チェック候補フラグが「0」ときにはこの連続番号v=0として対象外とする。このようにして構造体型配列Zから文字コード、連続番号v、文字イメージデータをすべての文字パターンの文字番号について外部記憶部25に出力することで、認識結果の文字コードとチェック候補の文字の文字イメージデータとを対応付けて記憶したことになる(ステップS340)。
【0021】CPU13は外部記憶部25に記憶された構造体配列Zから文字コードを参照し、表示部31に順番に表示する。このとき、構造体型配列Zのアドレスポインタから認識データのチェック候補フラグを読取り、チェック候補フラグが「1」ならば文字の色を赤色に表示し、フラグが「0」ならば白色で表示する(ステップS350)。表示部31の背景色は黒色である。認識結果のテキスト表示部分は表示部31全体の約半分の面積を占める。表示部31の残り半分はステップS230で表示した文書イメージデータが残ったまま表示されている。図8は認識結果のテキスト表示部分を示している。チェック候補の文字パターン「カ」は赤色に表示されており、その文字パターンはカーソルkで指示されるとその右方に文字イメージデータを表示領域31bにおよび第1位候補〜第8位候補の文字パターンを表示領域31Cに順番に表示して作業者の候補入れ替え指示を待つ(ステップS360)。尚、第9位および第10位候補の文字パターンは画面をスクロールすることによって表示される。また、文字パターン「カ」は分離文字を持たないので、分離文字の候補文字ウインドウには何も表示されない。一方、分離文字を有する結合文字の文字パターン「信」のときには候補文字ウインドウの下段に結合文字の候補が、上段には分離文字「イ」に対する候補が表示される。
【0022】[候補入れ替え/文書保存]作業者はその候補文字の中から正しい文字をカーソルkで指定して選択すると表示されていた認識結果の文字が選択された候補文字と入れ替わる(ステップS360)。分離文字「イ」が入れ替わると、候補文字ウインドウには「言」に対する候補が一覧されて選択されるのを待つ(図示せず)。このようにして、チェックが終了したならば表示されている認識結果のデータを文字コード列として外部記憶部25に出力する(ステップS370)。ここで、記憶した認識結果のデータはステップS350でのテキストデータの保存領域とは別の領域に保存する(ステップS370)。」

これらの記載事項及び図8によれば、刊行物1には、
「文字認識装置10は周知のCPU13、ROM15、RAM17の他、バス14に接続されたイメージスキャナ19、文書保存用の外部記憶部25、標準の文字パターンが登録されている辞書部28、表示部31、キーボード33、ポインティングデバイス35、カラープリンタ37、特徴抽出部39、大分類部40を備えて構成される。イメージスキャナ19にセットされた原稿の文書を読み取り、2値化処理されたイメージデータは表示部31に表示される。文書のイメージデータに対して文字パターンの切り出しが行われる。CPU13は、切り出された文字パターンのすべてに対する認識データを処理し、それらの認識データから第1位候補のみを取り出して構造体配列Zを作成する。このとき、文字コード以外の認識データに加えて、分離文字の認識データもデータとして生成されるので、第1位候補に付随する識別値B(s)、チェック候補フラグ、書体コードの他に第2位以下の候補についてのそれらの情報も引き出せる。これらの結合文字や分離文字に関する情報の引き出しには認識データを示すアドレスポインタが用いられる。このようにして構造体型配列Zから文字コード、連続番号v、文字イメージデータをすべての文字パターンの文字番号について外部記憶部25に出力することで、認識結果の文字コードとチェック候補の文字の文字イメージデータとを対応付けて記憶したことになる。CPU13は外部記憶部25に記憶された構造体配列Zから文字コードを参照し、表示部31に順番に表示する。認識結果のテキスト表示部分は表示部31全体の約半分の面積を占める。表示部31の残り半分は文書イメージデータが残ったまま表示されている。チェック候補の文字パターン「カ」は赤色に表示されており、その文字パターンはカーソルkで指示されるとその右方に文字イメージデータを表示領域31bにおよび第1位候補〜第8位候補の文字パターンを表示領域31Cに順番に表示して作業者の候補入れ替え指示を待つ。」という発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

(2-2)同じく、原査定の拒絶の理由に引用された特開平5-334496号公報(以下、「刊行物2」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。(摘記箇所は段落番号により特定する。)
エ 「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、手書き文字を認識して表示する、例えば電子手帳装置(ポータブルコンピュータ)などに用いて好適な表示制御装置に関する。」
オ 「【0053】そして、入力ウインドウ32の表示ボタン22が入力ペン33で操作されると(図3(d))、制御部18において、認識結果バッファ16に記憶された活字をLCD2に供給するように表示位置選択部17に対して制御信号が出力される。表示位置選択部17において、制御部18からの制御信号が検出されると、認識結果バッファ16に記憶された活字が読み出され、LCD2に供給される。LCD2において、表示位置選択部17より供給された、認識結果バッファ16に記憶された活字「あ」、「い」、「う」、および「え」が、入力枠32aに入力された手書き文字「あ」、「い」、「う」、および「え」の筆跡に代えて表示される(図3(e))。」

(2-3)同じく、原査定の拒絶の理由に引用された特開平5-324901号公報(以下、「刊行物3」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。(摘記箇所は請求項番号又は段落番号により特定する。)
カ 「【請求項1】 画像データで表された文字を認識して、認識結果である認識文字を含む複数の候補文字からなる候補文字群を出力する認識処理手段と、
この認識処理手段が出力する候補文字群中の前記認識文字を画面に表示する認識文字表示手段と、
この表示手段に表示された認識文字のうち、任意の文字を画面上のカーソルで指示するための文字指示手段と、
この文字指示手段からの指示入力に応答して、当該文字に対応した前記候補文字群を前記画面に表示する候補文字群表示手段と、
この候補文字群中の所望の候補文字を画面上のカーソルで選択するための選択入力手段と、
選択された候補文字を、当該文字と置き換えて新たに認識文字とする手段とを含み、
候補文字群表示手段が、文字指示手段によって指示された文字に隣接して設けられたウィンドの中に候補文字群を表示するものであることを特徴とする文字読取装置。」
キ 「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、文字(記号を含む。)を表す画像データを得て、この画像データに基づいて画像中に含まれる文字を1つ1つ認識して、対応する文字コードを出力する文字読取装置に関し、特に誤って認識された文字を修正する時の画面表示に関するものである。」
ク 「【0018】
【発明の効果】本発明の文字読取装置によれば、認識文字を画面に表示させながら、文字指示手段により文字を指示すると、この文字の候補文字群が、当該文字に隣接して設けられたウィンドの中に表示される。この結果、操作者は、画面上のカーソルを少し動かすだけで候補文字を確認し選択することができるので、候補文字の選択を素早くすることができ、操作者の労力も最小限となる。」

(3)対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。
引用発明は、イメージスキャナにセットされた原稿の文書を読み取り、2値化処理されたイメージデータに対して文字パターンの切り出し、認識を行うから、「文書画像から文字を認識する文字認識部」を有するものである。
引用発明の「辞書部28」は本願補正発明の「文字認識辞書」に相当する。
引用発明の表示部31については、「認識結果のテキスト表示部分は表示部31全体の約半分の面積を占める。表示部31の残り半分は文書イメージデータが残ったまま表示されている」ものであり、引用発明の「文書イメージデータ」及び「認識結果のテキスト表示部分」は、それぞれ本願補正発明の「文書画像」及び「認識結果」に相当するから、「前記文書画像を表示するとともに前記文字認識部による認識結果を表示する表示部」といえる。
引用発明の「構造体配列Z」は「第2位以下の候補についてのそれらの情報も引き出せる」もので、この引き出しには「アドレスポインタ」を用いるとあるから、これが記憶されることは明らかであり、引用発明は「少なくとも候補文字を記憶する認識結果記憶部」を有する。
引用発明における「文字パターンはカーソルkで指示され」とは、本願補正発明の「オペレータが修正対象となる認識結果の文字を指示した」に相当する。このときに、引用発明においては「文字イメージデータを表示領域31bにおよび第1位候補〜第8位候補の文字パターンを表示領域31Cに順番に表示」するものであり、この「文字イメージデータ」及び「第1位候補〜第8位候補の文字パターン」は、それぞれ本願補正発明の「対応するもとの文字画像」及び「候補文字」に相当し、刊行物1の図8に示される位置関係からみて、これらは「隣接」しているといえる。
してみると、本願補正発明と引用発明は、
「文書画像から文字を認識する文字認識部と、該文字認識部で用いられる文字認識辞書と、前記文書画像を表示するとともに前記文字認識部による認識結果を表示する表示部と、少なくとも候補文字を記憶する認識結果記憶部を有し、前記表示部は、オペレータが修正対象となる認識結果の文字を指示したとき、対応するもとの文字画像に隣接し、前記認識結果記憶部に記憶されている前記候補文字を一覧表示することを特徴とする文字認識装置。」
である点で一致し、下記の点で相違する。

相違点1:本願補正発明の表示部は、「文書画像上に」認識結果を表示し、認識結果記憶部は「認識した文字画像の位置」を記憶するものであるのに対し、引用発明の表示部は認識結果のテキスト表示を約半分にし残り半分に文書イメージデータを表示するものであり、また構造体配列に認識した文字画像の位置を記憶するものではない点。

相違点2:本願補正発明の候補文字は、「修正対象となる文字が前記表示手段によって表示された位置の近傍に」一覧表示されるのに対し、引用発明の第1位候補〜第8位候補の文字パターンはカーソルkで指示された文字パターンの表示された位置の近傍に表示されるものではない点。

(4)判断
ア 上記相違点1について検討する。
引用発明の認識結果のテキスト表示と文書イメージデータは表示装置の半分づつに表示されるものであって、一方が他方の認識結果であるという意味で両表示は対応しているものである。
そして、刊行物2には手書き文字の筆跡とその認識結果の活字を表示させるために後者を前者に代えてその上に表示することが記載されているから、引用発明の文書イメージデータとその認識結果の対応を表示する一形態として刊行物2に記載された表示形態を採用することは当業者が容易になし得ることである。
してみると、認識結果をもとの文書イメージデータに重ねて表示するために、その表示すべき位置として認識した文字画像の位置を記憶させておくことも、当業者が容易に設計できることである。
イ 上記相違点2について検討する。
引用発明において、認識結果の文字パターンがカーソルkで指示され、表示される候補の文字パターンはその中から正しい文字をカーソルkで指定して選択されるものであり((2-1)ウの段落0022)、両者ともにカーソルkで指示されるものである。
そして、刊行物3には、文字認識の技術分野において、画面のカーソルを少し動かすだけで候補文字を確認し選択することができるように、指示された文字に隣接して設けられたウィンドウの中に候補文字群を表示させることが記載されており、引用発明の候補の文字パターンもカーソルで選択されるものであるから、引用発明に刊行物3記載の発明を採用して、画面のカーソルを少し動かすだけで候補文字を確認選択できるように、修正対象となる文字の表示された位置の近傍に候補を表示することは当業者が容易になし得ることである。

一方、本願補正発明の奏する効果を検討してみても、各刊行物の記載並びに技術常識から予想される効果を越えるものではない。

したがって、本願補正発明は、刊行物1ないし3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおり、本補正は、平成15年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に違反するので、特許法第159条第1項で準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
平成15年8月27日付けの手続補正は上記2.のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成14年9月6日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものと認める。
「【請求項1】文書画像から文字を認識する文字認識部と、該文字認識部で用いられる文字認識辞書と、前記文書画像を表示するとともに該文書画像上に前記文字認識部による認識結果を表示する表示部と、少なくとも認識した文字画像の位置と候補文字を記憶する認識結果記憶部を有し、前記表示部は、オペレータが修正対象となる認識結果の文字を指示したとき、対応するもとの文字画像に隣接して前記認識結果記憶部に記憶されている前記候補文字を一覧表示することを特徴とする文字認識装置。」

(1)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例、及びその記載事項は、前記2.(2)に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明は、前記2.で検討した本願補正発明の「且つ、修正対象となる文字が前記表示手段によって表示された位置の近傍に」という限定を省いたものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、さらに他の要素を含むものに相当する本願補正発明が、前記2.(4)に記載したとおり、刊行物1ないし3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、刊行物1ないし3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明することができたものである。

(3)むすび
以上のとおり、本願発明は、刊行物1ないし3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-09-22 
結審通知日 2005-09-28 
審決日 2005-11-09 
出願番号 特願平7-228266
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G06K)
P 1 8・ 121- Z (G06K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 廣瀬 文雄  
特許庁審判長 杉山 務
特許庁審判官 深沢 正志
佐藤 敬介
発明の名称 文字認識装置及び文字認識方法  
代理人 石井 康夫  
代理人 柳澤 正夫  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ