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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04L
管理番号 1128243
審判番号 不服2003-20672  
総通号数 74 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1999-04-09 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-10-24 
確定日 2005-12-22 
事件の表示 平成10年特許願第127745号「通信システム」拒絶査定不服審判事件〔平成11年4月9日出願公開、特開平11-98156〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成10年5月11日(優先権主張 平成9年5月12日)の出願であって、平成15年9月19日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年10月24日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年11月25日付けで手続補正がなされたものである。

第2.補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成15年11月25日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.補正後の本願発明
上記手続補正(以下、「本件補正」という。)は補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明を、
「有線ネットワークに接続されており、有線ネットワークデータと無線データとの間でフォーマット変換及びデータ速度の変換を行うデータ整合手段を備え、1つ以上の端末との間で無線データの高速送受信を行う第1の親機と、有線ネットワークに接続されており、有線ネットワークデータと無線データとの間でフォーマット変換及びデータ速度の変換を行うデータ整合手段を備え、1つ以上の端末との間で無線データの送受信を行う親機であって前記第1の親機よりも低速でデータの送受信を行うことのできる第2の親機とを備えた通信システムにおいて、
前記有線ネットワークを介して接続され、アナログ公衆網及び/又はISDNとのインターフェースを有する少なくとも1つ以上の回線端末と、
前記有線ネットワークのみに接続し、前記第1の親機または第2の親機に対して、呼制御の指示を出すことにより、前記複数の端末同士の通信、あるいは前記端末と前記ネットワークに接続された他の端末との間の通信のみの制御をする回線コントローラを設けたことを特徴とする通信システム。」
という発明(以下、「補正後の発明」という。)に変更することを含むものである。

2.補正の適否
(1)新規事項の有無、補正の目的要件
上記補正は、補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された「通信を制御する回線コントローラ」という構成を、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内において、「通信のみの制御をする回線コントローラ」という構成に限定することにより、特許請求の範囲を減縮するものであるから、特許法第17条の2第3項(新規事項)及び第4項第2号(補正の目的)の規定に適合している。

(2)独立特許要件
上記補正は特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、上記補正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるのかどうかについて以下に検討する。

[補正後の発明]
上記「1.補正後の本願発明」の項で認定したとおりである。

[引用発明及び周知技術]
A.原審の拒絶理由に引用された特開平8-298690号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
イ.「【請求項1】 造営面から少なくとも一部が露出するように設置される各種の情報器具を造営物に配線されている伝送線に接続する情報伝送システムであって、情報器具は情報伝送機能を有した機能ユニットと、機能ユニットが機械的結合部を介して着脱自在に結合されるとともに機能ユニットが情報伝送を可能とする情報接続部を介して着脱自在に接続されるベースユニットとを備え、ベースユニットは伝送線に接続されかつ情報接続部との間で情報伝送が可能な情報端子部を備えていて造営面に固定されていることを特徴とする情報伝送システム。
・・・(中略)・・・
【請求項34】 機能ユニットは無線装置との間で電波による無線信号を送受する無線中継器であることを特徴とする請求項1記載の情報伝送システム。
・・・(中略)・・・
【請求項37】 機能ユニットは光を無線信号に用いるデータ端末器との間で無線信号を送受する無線中継器であって、データ端末器間で情報を伝送することができるローカルエリアネットワークを構築することを特徴とする請求項1記載の情報伝送システム。
・・・(中略)・・・
【請求項41】 機能ユニットは無線装置との間で無線信号を授受する無線中継器であって、伝送線を伝送される有線信号と無線信号とのフォーマットを変換する機能を有することを特徴とする請求項40記載の情報伝送システム。」(2〜3頁、特許請求の範囲、請求項1〜41)
ロ.「【従来の技術】 近年、家庭内やオフィス内などにおいて、通信、機器制御、防災・防犯などの目的で、テキスト、画像、音声などの各種の情報を伝送することが必要になってきており、いわゆるマルチメディア化が進んできている。たとえば、ローカルエリアネットワーク(以下、LANという)、パーソナルハンディホンシステム(以下、PHSという)、ホームバスシステム(以下、HBSという)などの情報伝送システムが構築され、これらの情報伝送システムでは、情報端末器や電話端末器を有線式の伝送路に接続する機能や、無線式の情報端末器、PHSの電話端末器、機器制御用のリモコン発信器などとの間に電波や光による無線式の伝送路を形成するとともに無線式の伝送路と有線式の伝送路との間で情報の交換を可能にする機能や、防災・防犯、機器制御などのために各種センサを有線式の伝送路に接続する機能などが要求される。すなわち、配線設備もこのようなマルチメディア化に対応できるものが要求されつつある。」(4頁5欄、段落2)
ハ.「請求項34の発明の構成によれば、機能ユニットを無線装置との間で電波による無線信号を送受する無線中継器としているから、無線式のデータ端末器やPSH電話機などを利用することができる。」(7頁12欄、47行目〜8頁13欄1行目)
ニ.「請求項37の発明の構成によれば、機能ユニットは光を無線信号に用いるデータ端末器との間で無線信号を送受する無線中継器であるから、光リモコンシステムを容易に構築することができる。」(8頁13欄、11〜14行目)
ホ.「請求項41の発明の構成によれば、機能ユニットは無線装置との間で無線信号を授受する無線中継器であって、伝送線を伝送される有線信号と無線信号とのフォーマットを変換する機能を有するから、無線信号を所望の装置への信号に変換して伝送することが可能になる。」(8頁13欄、29〜34行目)
ヘ.「(実施例1)本実施例では、データ端末器1の間を結合する伝送路の少なくとも一部を無線式の伝送路としたLANについて説明する。このLANは、図1に示すように、天井等(壁でもよい)に取り付けられる複数台の無線中継器200を備え、各無線中継器200は、データ端末器1との間で無線によりデータを送受し、伝送線Ldを通してLANを構築する有線式の伝送路に接続される。ここで、有線式の伝送路に接続された装置はHUB201を介して互いに接続してある。」(8頁14欄、38〜46行目)
ト.「(実施例4)本実施例は、図7に示すように、PHSを構築するものであって、PHS電話機2は実施例3と同様の無線中継器220を介して音声情報を無線信号により伝送する。無線中継器220は伝送線Ldとしての8線式のツイストペアケーブル210に接続され、2台のパッチパネル202a,202bを介してPBX223に接続され、公衆回線に接続されることになる。」(10頁17欄、44〜50行目)
チ.「(実施例5)本実施例は、図9に示すように、LANとPHSとを混在させたものであって、6台の無線中継器200,220にそれぞれ8線式の伝送線Ldを接続するとともに、無線中継器200,220とは異なる機能(センサあるいはスピーカなど)を有した情報器具Aに2線式の伝送線Ldを接続してある。」(10頁18欄、24〜29行目)
リ.「このようにデータ伝送に光を用いると、大量かつ高速なデータ伝送が可能になり、しかも外来雑音の影響を受けないのである。」(12頁21欄、25〜27行目)
ヌ.「(実施例13)本実施例は、ホームバスシステムに用いる例であって、情報器具Aの機能ユニット20として、図19に示すように、周囲温度を検出しアナログ出力をデータとして送出する温度センサ273、煙濃度などにより火災発生の有無を検知する火災センサ274、侵入者ないし訪問者を監視する監視カメラ250、コードレス電話機(PHS電話機でもよい)との間で無線信号を送受する無線中継器220a、検知エリア内の侵入者を検出して警報報知させるための人体検知センサ272aを備える。これらの機能ユニット20はモジュラコネクタ230を情報端子部として備えるベースプレート10に結合され、8線式(4組)のツイストペアケーブル210を伝送線Ldとしてホームバスコントローラ275に接続される。」(12頁22欄、35〜48行目)
ル.「データの伝送形態は、一般的なホームバスシステムの形式に従うものであり、データの伝送制御はホームバスコントローラ275が行なう。他の構成は実施例1に準ずるものである。」(13頁23欄、8〜11行目)
ヲ.「(実施例16)本実施例は、図24に示すように、ISDNに接続するものであって、コードレス電話機2a(PHS電話機2でもよい)との間で無線信号を送受しISDN回線に音声信号を載せるための無線中継器220bを天井に取り付けてある。」(13頁24欄、19〜23行目)
ワ.「また、ISDN回線とツイストペアケーブル210との接続部には網終端装置227が挿入されている。」(13頁24欄、35〜36行目)

上記引用例の記載に基づいて、上記引用例のLAN(即ち、データ端末器を用いたデータ通信)とPHS(即ち、PHS電話機を用いた電話通信)とを混在させる実施例において、LANに光による無線中継を行わせ、PHSに電波による無線中継を行わせ、有線式の伝送路としてホームバスシステムを採用した場合を想定し、関連する図面ならびにこの分野における技術常識を考慮すると、上記引用例には以下の発明(以下、「引用発明」という。)が開示されていると認められる。
「ホームバスシステムに接続されており、有線信号と無線信号との間でフォーマット変換を行う機能を備え、1つ以上の端末との間で光による無線データの送受信を行う第1の無線中継器と、ホームバスシステムに接続されており、有線信号と無線信号との間でフォーマット変換を行う機能を備え、1つ以上の端末との間で電波による無線データの送受信を行う第2の無線中継器とを備えた情報伝送システムにおいて、
前記ホームバスシステムを介して接続され、ISDNの網終端装置と、
前記ホームバスシステムに接続し、データの伝送制御を行うホームバスコントローラを設けたことを特徴とする情報伝送システム。」

[対比・判断]
補正後の発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「ホームバスシステム」は「ツイストペアケーブル」からなる有線の伝送線を用いたネットワークであるから、当該構成と補正後の発明の「有線ネットワーク」の間に実質的な差異はない。また、引用発明の「有線信号」、「無線信号」はそれぞれ有線区間を流れるデータの信号、無線区間を流れるデータの信号という意味であるから、当該構成と補正後の発明の「有線ネットワークデータ」、「無線データ」の間にも実質的な差異はない。
また、引用発明の「無線中継器」は「データ端末」や「PHS電話端末」から見ればいわゆる「親機」であるから、引用発明の「光による無線データの送受信を行う第1の無線中継器」と補正後の発明の「無線データの高速送受信を行う第1の親機」はいずれも「無線データの送受信を行う第1の親機」であるという点で一致し、引用発明の「電波による無線データの送受信を行う第2の無線中継器」と補正後の発明の「無線データの送受信を行う親機であって前記第1の親機よりも低速でデータの送受信を行うことのできる第2の親機」はいずれも「無線データの送受信を行う第2の親機」であるという点で一致し、引用発明の「フォーマット変換を行う機能」と補正後の発明の「フォーマット変換及びデータ速度の変換を行うデータ整合手段」はいずれも「データ整合を行う手段」であるという点で一致している。
また補正後の発明の「アナログ公衆網及び/又はISDN」という構成は引用発明の「ISDN」を包含する概念であるから、これらの構成はいずれも「ISDN」であるという点で一致し、実質的な差異はない。また、引用発明の「ISDNの網終端装置」は補正後の発明でいう「ISDNとのインターフェースを有する少なくとも1つ以上の回線端末」に他ならないから、この点にも実質的な差異はない。
また、引用発明の「前記有線ネットワークに接続し、データの伝送制御を行うホームバスコントローラ」と補正後の発明の「前記有線ネットワークのみに接続し、前記第1の親機または第2の親機に対して、呼制御の指示を出すことにより、前記複数の端末同士の通信、あるいは前記端末と前記ネットワークに接続された他の端末との間の通信のみの制御をする回線コントローラ」はいずれも「前記有線ネットワークに接続し、データの伝送制御を行うコントローラ」であるという点で一致している。
また、引用発明の「情報伝送システム」は本願発明でいう「通信システム」に他ならない。
したがって、補正後の発明と引用発明は、以下の点で一致し、また、相違している。
(一致点)
「有線ネットワークに接続されており、有線ネットワークデータと無線データとの間でデータ整合を行う手段を備え、1つ以上の端末との間で無線データの送受信を行う第1の親機と、有線ネットワークに接続されており、有線ネットワークデータと無線データとの間でデータ整合を行う手段を備え、1つ以上の端末との間で無線データの送受信を行う第2の親機とを備えた通信システムにおいて、
前記有線ネットワークを介して接続され、ISDNとのインターフェースを有する少なくとも1つ以上の回線端末と、
前記有線ネットワークに接続し、データの伝送制御を行うコントローラを設けたことを特徴とする通信システム。」

(相違点1)「データ整合を行う手段」に関し、補正後の発明は「フォーマット変換及びデータ速度の変換を行うデータ整合手段」であるのに対し、引用発明は「フォーマット変換を行う機能」である点。
(相違点2)「無線データの送受信を行う第1の親機」に関し、補正後の発明は「無線データの高速送受信を行う第1の親機」であるのに対し、引用発明は「光による無線データの送受信を行う第1の無線中継器」である点。
(相違点3)「無線データの送受信を行う第2の親機」に関し、補正後の発明は「無線データの送受信を行う親機であって前記第1の親機よりも低速でデータの送受信を行うことのできる第2の親機」であるのに対し、引用発明は「電波による無線データの送受信を行う第2の無線中継器」である点。
(相違点4)「前記有線ネットワークに接続し、データの伝送制御を行うコントローラ」に関し、補正後の発明は「前記有線ネットワークのみに接続し、前記第1の親機または第2の親機に対して、呼制御の指示を出すことにより、前記複数の端末同士の通信、あるいは前記端末と前記ネットワークに接続された他の端末との間の通信のみの制御をする回線コントローラ」であるのに対し、引用発明は「前記有線ネットワークに接続し、データの伝送制御を行うホームバスコントローラ」である点。

そこで、まず、上記相違点1の「データ整合を行う手段」について検討するに、例えば特開平8-79330号公報(特に5頁段落25〜27参照)や特開平7-193861号公報(特に4頁段落18参照)に開示されているように、「有線伝送と無線伝送とを中継する装置において、そのデジタル信号をフォーマット変換及び速度変換すること」は周知技術であるところ、当該周知技術を引用発明の「無線中継器」に適用する上での阻害要因は何ら見あたらないから、引用発明の「フォーマット変換を行う機能」に当該周知の「速度変換」機能を追加して補正後の発明のような、「フォーマット変換及びデータ速度の変換を行うデータ整合手段」を備える構成とする程度のことは当業者であれば適宜成し得ることである。
ついで、上記相違点2の「無線データの送受信を行う第1の親機」について検討するに、引用発明は「光による無線データの送受信を行う第1の無線中継器」であるところ、上記引用例の記載によれば「データ伝送に光を用いると、大量かつ高速なデータ伝送が可能」になるのであるから、当該「光による無線データの送受信を行う第1の無線中継器」は「高速送受信」を行い得るものである。したがって、引用発明の「光による無線データの送受信を行う第1の無線中継器」の構成を補正後の発明のような「無線データの高速送受信を行う第1の親機」に変更する程度のことは当業者であれば容易に想到し得るものである。
ついで、上記相違点3の「無線データの送受信を行う第2の親機」について検討するに、引用発明は「電波による無線データの送受信を行う第2の無線中継器」であるところ、電波による無線伝送の伝送速度は実施例によれば音声通話が可能であればよく、大量かつ高速なデータ伝送を必要としないものであるから、当該伝送速度を前記光による無線伝送に比べて低速とする程度のことは、当業者であれば必要に応じていかようにも設定し得る、単なる設計的事項に過ぎないものである。したがって、引用発明の「電波による無線データの送受信を行う第2の無線中継器」を補正後の発明のような「無線データの送受信を行う親機であって前記第1の親機よりも低速でデータの送受信を行うことのできる第2の親機」とする程度のことは適宜成し得ることである。
ついで、上記相違点4の「前記有線ネットワークに接続し、データの伝送制御を行うコントローラ」について検討するに、「ホームバスコントローラがホームバスシステムに接続されている無線端末等とISDN等の公衆回線との接続(いわゆる外線接続)及び無線端末同士の接続(いわゆる内線接続)を制御するものであること」は、例えば特開平4-340850号公報(特に8頁段落55〜56参照)や特開平6-141099号公報(特に4頁段落23参照)等に開示されているように周知のことであるから、当該周知のホームバスコントローラの機能を引用発明の「前記有線ネットワークに接続し、データの伝送制御を行うホームバスコントローラ」に付加するとともに、その制御対象をホームバスシステム内の外線接続及び内線接続の制御のみに限定することにより、例えば補正後の発明のような「前記有線ネットワークのみに接続し、前記第1の親機または第2の親機に対して、呼制御の指示を出すことにより、前記複数の端末同士の通信、あるいは前記端末と前記ネットワークに接続された他の端末との間の通信のみの制御をする回線コントローラ」とする程度のことは当業者であれば適宜成し得ることである。

以上のとおりであるから、補正後の発明は上記引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて容易に発明できたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3.結語
以上のとおり、本件補正は、補正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、特許法第17条の2第5項の規定により準用する特許法第126条第4項の規定に適合していない。
したがって、本件補正は、特許法第159条第1項において準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3.本願発明について
1.本願発明
平成15年11月25日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成14年9月24日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものと認める。
「有線ネットワークに接続されており、有線ネットワークデータと無線データとの間でフォーマット変換及びデータ速度の変換を行うデータ整合手段を備え、1つ以上の端末との間で無線データの高速送受信を行う第1の親機と、有線ネットワークに接続されており、有線ネットワークデータと無線データとの間でフォーマット変換及びデータ速度の変換を行うデータ整合手段を備え、1つ以上の端末との間で無線データの送受信を行う親機であって前記第1の親機よりも低速でデータの送受信を行うことのできる第2の親機とを備えた通信システムにおいて、
前記有線ネットワークを介して接続され、アナログ公衆網及び/又はISDNとのインターフェースを有する少なくとも1つ以上の回線端末と、
前記有線ネットワークのみに接続し、前記第1の親機または第2の親機に対して、呼制御の指示を出すことにより、前記複数の端末同士の通信、あるいは前記端末と前記ネットワークに接続された他の端末との間の通信を制御する回線コントローラを設けたことを特徴とする通信システム。」

2.引用発明及び周知技術
引用発明及び周知技術は、上記「第2.2.(2)独立特許要件」の項中の[引用発明及び周知技術]の項で認定したとおりである。

3.対比・判断
そこで、本願発明と引用発明とを対比するに、本願発明は上記補正後の発明から当該補正に係る構成を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成に当該補正に係る構成を付加した補正後の発明が、上記「第2.2.(2)独立特許要件」の項で検討したとおり、上記引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて容易に発明できたものであるから、本願発明も同様の理由により、容易に発明できたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、上記引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-10-25 
結審通知日 2005-10-28 
審決日 2005-11-08 
出願番号 特願平10-127745
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 野元 久道  
特許庁審判長 廣岡 浩平
特許庁審判官 浜野 友茂
畑中 博幸
発明の名称 通信システム及び回線コントローラ  

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