ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06K |
---|---|
管理番号 | 1128292 |
審判番号 | 不服2001-10705 |
総通号数 | 74 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1994-09-22 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2001-06-22 |
確定日 | 2005-12-22 |
事件の表示 | 平成 5年特許願第 52659号「情報処理装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 6年 9月22日出願公開、特開平 6-266901〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、平成5年3月12日の出願であって、平成13年5月15日付けで拒絶査定がされ、同年6月22日付けで審判請求がなされるとともに、同年7月23日付けで手続補正がなされたものであって、その請求項1に係る発明は、特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。(以下、「本願発明」という。)。 「【請求項1】表示画面への手書き文字の入力を受け付ける情報処理装置であって、前記表示画面への入力座標の変化と相関する値を検出する外乱検知手段と、前記外乱検知手段が検出した値が規定値を超えた場合に、当該値を小さくするように前記入力座標を補正する補正手段と、を備えることを特徴とする情報処理装置。」 2.引用例 原審の拒絶の理由に引用された、特開平2-186418号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。 ア.「本発明は、手書きの文字や図形等を情報処理装置に入力するための位置検出装置に関する。」(1頁左下欄18〜末行) イ.「本発明は上記のような実情に鑑みてなされたもので、高速の入力を可能としながらも静電気等の外来ノイズによる誤検出は確実に除去することのできる位置検出装置を提供することを目的とする。」(2頁右上欄9〜12行) ウ.「第1図はその回路構成を示すもので、1はタブレット板であり、それぞれ複数のX電極2とY電極3とがマトリクス状に配設されて構成される。X電極2はX電極駆動回路4により、Y電極3はY電極駆動回路5によりそれぞれ各電極に順番に電圧が印加される。X電極駆動回路4及びY電極駆動回路5は共にタブレットコントローラ6により駆動制御される。タブレットコントローラ6はまた、入力用ペン7をも駆動制御する。この入力用ベン7は、内部に電極を備え、タブレット板1上で筆記動作により座標を指示することでX電極2、Y電極3に印加された電圧が静電誘導によって上記内部電極に電圧信号として取込まれる。取込まれた電圧信号はタブレットコントローラ6に送られ、ここでタブレット板1における指示座標のX座標、Y座標に変換される。タブレットコントローラ6は、ホストインタフェイス8を介して情報処理装置9から送られてくる制御コマンドに従って上記のような制御を行なう一方、得た座標データをホストインタフェイス8を介して情報処理装置9に送出する。情報処理装置9は、例えばCADシステムやパーソナルコンピュータからなるもので、タブレットコントローラ6からホストインタフェイス8を介して送られてきた座標データを用いて処理を行なう。」(2頁左下欄6行〜右下欄10行) エ.「上記のような構成にあって、位置検出を行なう場合の動作について第2図を用いて説明する。同図はタブレットコントローラ6によって実行される動作の処理内容を示すもので、動作が開始されると、まずステップS10に示す入力用ペン7からの電圧信号のサンプリングを行なう。これは、通常、128〜256回/秒程度の回数、一定時間間隔で行なわれるもので、サンプリングによって得た電圧信号は続くステップSllで変換され、タブレット板1上のX座標データ及びY座標データからなる座標データとして検出される。検出された座標データは、次のステップS12において、前回の処理によって得られた許容入力範囲内に位置するものであるか否か判断される。もし許容入力範囲外のものであると判断された場合は、その座標データは静電気等のノイズによる誤検出によるものであると見なされ、ここから再び上記ステップS10に戻り、動作をやり直す。また、許容入力範囲内に位置するものであると判断された場合は、その座標データは有効となるのでそのまま情報処理装置9に送られる一方、続いてステップS13に進み、前回の座標データとの距離である移動量が計算される。これは、前回の座標データPn-1の座標を(Xn-1,Yn-1)、今回の座標データPnの座標(Xn、Yn)とした場合に、入力用ベン7の移動量dnが dn=√(Xn-Xn-1)2 +(Yn、-Yn-1)2・・・(1) なる式で求められるものである。求められた移動量に基づいて、続くステップS14で次回の位置検出の許容入力範囲が計算され、設定される。この許容入力範囲は、当然のことながら移動量が多ければ大きく、少なければ小さくなるものである。こうして次回の許容入力範囲が設定された時点で、上記ステップS10に進み、以下、同様の処理を順次繰返していく。」(2頁右下欄11行〜3頁右上欄6行) 引用例1には、上記アないしウから (a)手書きの文字や図形等を情報処理装置に入力するための位置検出装置であって、タブレットコントローラ6を備える位置検出装置、 (b)タブレットコントローラ6によって実行される動作として、動作が開始されると、ステップS10に示す入力用ペン7からの電圧信号のサンプリングを行い、サンプリングによって得た電圧信号は続くステップSllで変換され、タブレット板1上のX座標データ及びY座標データからなる座標データとして検出され、検出された座標データは、次のステップS12において、前回の処理によって得られた許容入力範囲内に位置するものであるか否か判断され、もし許容入力範囲外のものであると判断された場合は、その座標データは静電気等のノイズによる誤検出によるものであると見なされ、ここから再び上記ステップS10に戻り、動作をやり直し、許容入力範囲内に位置するものであると判断された場合は、その座標データは有効となるのでそのまま情報処理装置9に送られる動作が記載されているといえる。 3.対比 そこで、本願発明と引用例1に記載された発明(以下、「引用例1発明」という。)とを比較すると、 上述2.(a)、(b)から、引用例1発明の「位置検出装置」は、手書きの文字の入力の座標位置を検出して該入力の座標位置をタブレットコントローラ6の情報処理により有効な座標データから決定する装置であり、手書き文字の入力を表示画面で受け付けることを除いて、本願発明の「手書き文字の入力を受け付ける情報処理装置」に相当する。 上述の2.(b)のタブレットコントローラ6の「許容入力範囲外のものであると判断された場合は、その座標データは静電気等のノイズによる誤検出によるものであると見なされ、ここから再び上記ステップS10に戻り、動作をやり直し、許容入力範囲内に位置するものであると判断された場合は、その座標データは有効となるのでそのまま情報処理装置9に送られる動作」は、上述の2.イの「誤検出は確実に除去する」ことから、許容入力範囲外の座標データを除去する、すなわち許容入力範囲外の座標データを許容入力範囲の値の最低値とすることと同じであり、また、入力された座標データのうち誤検出を除き有効な座標データを出力するタブレットコントローラ6の動作は入力座標を補正する動作であることから、引用例1発明のタブレットコントローラは、本願発明の「検出した値が規定値を超えた場合に、当該値を小さくする補正手段」に相当する。 したがって、両者は 「手書き文字の入力を受け付ける情報処理装置であって、検出した値が規定値を超えた場合に、当該値を小さくするように前記入力座標を補正する補正手段を備えることを特徴とする情報処理装置。」 で一致し、以下の点において相違する。 (相違点1) 本願発明は、手書き文字の入力を表示画面で受け付けるのに対し、引用例1発明は、タブレット板1で手書き文字の入力を受け付けている点。 (相違点2) 本願発明は、入力座標の変化と相関する値を検出する外乱検知手段を設け、補正手段は外乱検知手段が検出した値が規定値を超えた場合に、当該値を小さくするように前記入力座標を補正するのに対し、引用例1発明は、外乱検知手段を設けておらず、タブレットコントローラは該外乱検知手段の検出した値を用いていない点。 4.当審の判断 (1)相違点1について 手書き文字入力装置において、入力部と表示部とを一体化して用いることは周知であり(特開平4-347721号公報(【0008】、図1)、特開平4-283819号公報(【0002】、図5))、引用例1発明のタブレット板に、入力部と表示部とを一体化して用いることは当業者が容易に実施し得るものと認められる。 (2)相違点2について データ入力装置に入力データの位置変化と相関する値を検出する外乱検知手段を設け、補正手段が外乱検知手段が検出した値を小さくするように入力データを補正することは周知であり(特開平4-329773号公報(図4、6)、特開昭63-233422号公報)、引用例1発明の位置検出装置に入力データの位置変化と相関する値を検出する外乱検知手段を設け、タブレットコントローラが外乱検知手段が検出した値を小さくするように座標データを補正することは当業者が容易に想到し得るものと認められる。 また、補正の精度を考慮し、情報処理の負荷を減らすため閾値を設けることは常套手段であり、外乱検知手段が検出した値が適正な規定値を超えた場合に補正を行うようにすることは当業者が適宜実施する設計的事項と認められる。 5.むすび 以上のとおり、本願発明は、引用例1発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2005-09-27 |
結審通知日 | 2005-10-04 |
審決日 | 2005-11-08 |
出願番号 | 特願平5-52659 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G06K)
|
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 月野 洋一郎 |
特許庁審判長 |
杉山 務 |
特許庁審判官 |
大野 弘 佐藤 敬介 |
発明の名称 | 情報処理装置 |
代理人 | 三品 岩男 |