• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A01K
管理番号 1128294
審判番号 不服2001-12934  
総通号数 74 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1998-04-14 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-07-24 
確定日 2005-12-22 
事件の表示 平成 9年特許願第305419号「中通し竿用糸導入ガイド」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 4月14日出願公開、特開平10- 94348〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯
本願は、平成6年10月12日に出願した特願平06-246283号の一部を平成9年11月7日に新たな特許出願としたものであって、平成11年7月5日付けで手続補正がなされ、平成13年1月19日付けで拒絶の理由が通知され、平成13年6月19日付けで拒絶査定がなされ、平成13年7月24日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、平成13年8月23日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成13年8月23日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)について
(1)本件補正の内容
本件補正は、請求項3以下を削除するとともに、請求項2の「前記連結部上の前記糸導入口より竿元側部分に設けられ、前記リールからの釣り糸が挿通可能でこの釣り糸を前記糸導入口に案内するためのガイド部と、前記連結部上の前記ガイド部より穂先側部分に設けられた開口部」という記載を、出願当初の明細書【0024】欄の「連結部のリール側傾斜部において、ガイド部の上部及び下部には開口部が形成されている」という記載に基づいて「前記連結部のリール側の傾斜部分に設けられ、前記リールからの釣り糸が挿通可能でこの釣り糸を前記糸導入口に案内するためのガイド部と、前記連結部上の前記ガイド部の上部及び下部に設けられた開口部」と補正するものである。
(2)本件補正の適否
前者の補正は、平成6年改正前特許法第17条の2第3項第1号に規定する請求項の削除を目的とするものである。
また、後者の補正は、従前の請求項2で特定されていた連結部及びガイド部の位置を実施例に基づいて具体的に特定するものであって、特許請求の範囲の限縮を目的とするものであるから、平成6年改正前特許法第17条の2第3項第2号に規定される事項を目的とするものである。
そして、本件補正後の請求項2に係る発明は特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるから、前記特許法第17条の2第4項において準用する同法第126条第3項の規定に適合するものである。
したがって、本件補正は、平成6年改正前特許法第17条の2の規定に適合する。

3.本願発明
平成13年8月23日付けの手続補正は、上記のとおり平成6年改正前特許法第17条の2の規定に適合しているので、本願の請求項1に係る発明は、平成13年8月23日付け手続補正書により補正された明細書の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのもの(以下、「本願発明」という。)である。
「釣り糸が挿通する内部通路を有する中通し竿に装着され、リールからの釣り糸を前記内部通路の糸導入口に案内するための釣り糸導入ガイドであって、
前記中通し竿の周面の糸導入口の穂先側に固定される1つの前固定部と、
前記中通し竿の周面の糸導入口の竿元側に固定される1つの後固定部と、
前記前固定部と後固定部とを連結する連結部と、
前記連結部上に設けられ、前記リールからの釣り糸が挿通可能でこの釣り糸を前記糸導入口に案内するためのガイド部と、
前記連結部上に設けられた開口部と
を備えた中通し竿用糸導入ガイド。」

4.引用発明
原審における平成13年1月19日付けの拒絶理由通知書で引用された英国特許出願第2112612A号公報(1983年発行、以下、「引用刊行物」という。)には、図面とともに以下の記載がある。
「The line entry unit illustrated in Fig. 1 comprises a moulding 1 fixed onto a portion of a rod blank 2, near the butt end, by means of reinforcing portions 3 which grip the rod blank. The moulding 1 receives a separate retainer member 4 which holds a moulded feed eye 5 through which a fishing line 6 will be fed. The line enters into the rod blank 2 through an opening 7 as shown in Fig. 2. Inside the rod blank 2, immediately beyond the opening 7, is a conically-shaped line guide 8 which, with others spaced throughout the length of the rod, serves to guide the line 6 and hold the line away from contact with the internal surface of the rod blank 2.
In order to feed a line through the rod, the end of the line 6 is tied through an eye 9 in a line threader 10. The line threader is then inserted into the rod blank through the feed eye 5, the opening 7 and the line guide 8.」(公報第2頁左欄12〜31行)
「(仮訳)図1に示す釣り糸差込ユニットは、ロッドブランク2を把持する補強部分3によって、当接端の近傍で、ロッドブランク2のある部分に固定されているモールディング1を備えている。このモールディング1は、釣り糸6を送る際に通る成形された送り目穴5を保持する分離保持部材4を受容している。釣り糸は図2に示すように開口7からロッドブランク2に差し込まれる。ロッドブランク2の内部には、開口部7の上方に近接して、円錐形状の釣り糸ガイド8がある。該釣り糸ガイド8は他の部材とともにロッド全長にわたって配設されており、釣り糸6をガイドし、釣り糸6がロッドブランク2の内周面に触れないように作用している。
釣り糸を釣り竿の中を送るために、釣り糸6の端を釣り糸通し装置10の目穴9を介して結ぶ。次に、釣り糸通し装置が送り目穴5と開口7と釣り糸ガイド8を介してロッドブランク中に挿入される。」
これらの記載及び図面Fig.1,2からみて、上記引用刊行物には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「釣り糸が挿通する内部通路を有するロッドブランク2に装着され、釣り糸を前記内部通路の開口7に案内するための釣り糸差込ユニットであって、
ロッドブランク2に固定されるモールディング1と、
前記モールディング1に受容されるように設けられる分離保持部材4と、
前記分離保持部材4上に設けられ、釣り糸が挿通可能でこの釣り糸を前記開口7に案内するための送り目穴5と
を備えた釣り糸差込ユニット。」

5.対比判断
(1)本願発明と引用発明との対比
本願発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「ロッドブランク2」、「開口7」、「送り目穴5」及び「釣り糸差込ユニット」は、それぞれ本願発明の「中通し竿」、「糸導入口」、「ガイド部」及び「中通し竿用糸導入ガイド(釣り糸導入ガイド)」に相当する。
また、図面1、2によれば、引用発明の「モールディング1」の前部及び後部が「ロッドブランク2」の「開口7」の穂先側及び竿元側に固定されるから、引用発明の「モールディング1の前部」及び「モールディング1の後部」は、本願発明の「前固定部」及び「後固定部」に相当する。
そして、引用発明の「分離保持部材4」は、本願発明の「連結部」と対比して、いずれも「ガイド部」が設けられるとともに、「前固定部」及び「後固定部」の間を連絡する「連絡部」であることで共通する。
なお、一般に中通し竿はリールとともに使用されるものであるから、引用発明の「釣り糸」がリールからの釣り糸であることは、明らかである。
そうすると、両者は、以下の点で一致並びに相違する。
一致点
「釣り糸が挿通する内部通路を有する中通し竿に装着され、リールからの釣り糸を前記内部通路の糸導入口に案内するための釣り糸導入ガイドであって、
前記中通し竿の周面の糸導入口の穂先側に固定される1つの前固定部と、
前記中通し竿の周面の糸導入口の竿元側に固定される1つの後固定部と、
前記前固定部と後固定部とを連絡する連絡部と、
前記連絡部上に設けられ、前記リールからの釣り糸が挿通可能でこの釣り糸を前記糸導入口に案内するためのガイド部と
を備えた中通し竿用糸導入ガイド。」
相違点A.「前固定部」及び「後固定部」の間を連絡する「連絡部」が、本願発明は、「前固定部」及び「後固定部」の間を連結する「連結部」として設けられるのに対し、引用発明は、「前固定部」及び「後固定部」の間に受容される分離保持部材4として設けられる点。
相違点B.本願発明は、連結部上に設けられた開口部を備えるのに対し、引用発明は、分離保持部材4の両側面に空間を有するものの、上面に開口があるか否か明らかでない点。

(2)相違点の検討
i.相違点Aの検討
引用発明を認定した引用刊行物の図面Fig.1、2によれば、引用発明の分離保持部材4は、本願発明の「前固定部」に相当する「モールディング1の前部」に受容されるように設けられるものであって、本願発明の「連結部」のように前記「前固定部」に結合するように設けられるものではない。
しかしながら、釣り竿の穂先側に位置する「前固定部」と竿元側に位置する「後固定部」の間を「連結部」をもって連結するようにした結合構成の釣り糸ガイドは、周知技術(例えば、実公昭56-32045号公報、実公昭51-4238号公報、特開昭63-137630号公報)であるから、糸導入口を設けた中通し竿の強度や材質に応じて、引用発明の前記受容構造に代えて前記結合構造を採用し、前記相違点Aに係る本願発明のように構成することは、当業者が容易に想到できるものである。
ii.相違点Bの検討
一般に、強度を保ちつつ軽量化を図るために、部材に開口部を設けることは、周知技術である。
また、本願発明と同じ技術分野に属する釣り糸ガイドにおいても、原審の拒絶理由で示した実公昭56-32045号公報(特に【第1図】及び【第2図】参照。)に、目的が明記されていないものの、「硬質案内環6」を支える「前部支脚2」に開口を設ける技術が開示されており、このように、釣り糸ガイドの支持部に開口を設けることは、周知技術(例えば、実公昭51-4238号公報、特開昭63-137630号公報)である。
しかして、ある程度の強度を維持しつつ部材の軽量化を図ることは、釣具のみならず機械的構造に関する分野全般における普遍的な課題といえるから、引用発明において、構造部材の軽量化を図るために前記周知技術を採用して、「分離保持部材4」上に開口部を設けて、前記相違点Bに係る本願発明のように構成することは、当業者が容易に想到できるものである。
iii.作用効果の検討
本願発明の作用効果については、単なる軽量化以上のものが認められず、引用発明に前記周知技術を適用したものにおいて、当業者が容易に予測できるものである。
iv.まとめ
したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

6.むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用刊行物に記載の発明(引用発明)及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、本願の特許請求の範囲の請求項2に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-10-20 
結審通知日 2005-10-25 
審決日 2005-11-07 
出願番号 特願平9-305419
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A01K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 秋月 美紀子山田 昭次  
特許庁審判長 二宮 千久
特許庁審判官 川島 陵司
篠崎 正
発明の名称 中通し竿用糸導入ガイド  
代理人 宮川 良夫  
代理人 小野 由己男  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ