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審決分類 審判 査定不服 産業上利用性 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1128312
審判番号 不服2002-16985  
総通号数 74 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2001-09-21 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-09-04 
確定日 2005-12-22 
事件の表示 特願2000- 66224「業務管理ホスト及びそのシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 9月21日出願公開、特開2001-256288〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成12年3月10日の出願であって、平成14年7月12日付けで手続補正がなされ、平成14年7月30日付けで拒絶査定がされ、これに対して、同年9月4日に拒絶査定に対する審判請求がなされ、同年10月1日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成14年10月1日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成14年10月1日付けの手続補正を却下する。
[理由]
(1)補正後の本願発明について、
本件補正により、補正前の平成14年7月12日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1ないし8(以下「旧請求項」という。)を請求項1ないし3(以下「新請求項」という。)と補正するものである。

ア 旧請求項の内容
【請求項1】 多数の端末からネットワークを通じてアクセス可能な管理ホストによって、管理対象である多数の業務を管理する業務管理方法であって、前記端末を利用して、前記業務に関する情報の管理項目を、担当者、管理対象、目標、時間の4つの要素の観点から、前記多数の業務に共通に設定する第1のステップ、これによって生成された管理項目を参照して、前記多数の業務のデータベースを前記管理ホストに生成する第2のステップ、これによって生成されたデータベースに、前記端末を利用して前記管理項目のデータを登録する第3のステップ、前記担当者、管理対象、目標、時間の4つの要素に基づいた検索を前記データベースに対して行うための検索プログラムを前記管理ホストで生成する第4のステップ、該検索プログラムを利用して所望の検索を行い、検索された前記管理項目のデータを前記端末で取得する第5のステップ、を含むことを特徴とする業務管理方法。
【請求項2】 前記第1のステップは、予め用意した管理用ひな型シートを利用して管理項目を設定することを特徴とする請求項1記載の業務管理方法。
【請求項3】 前記第2のステップは、前記多数の業務の管理形態が、ON/OFF型、スタート/エンド型、定量型のいずれの形態に該当するかを識別するとともに、識別した形態に対応して前記データベースを生成することを特徴とする請求項1又は2記載の業務管理方法。
【請求項4】 前記第5のステップで取得したデータを参照し、該当する場合には端末を利用してデータを更新する第6のステップを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の業務管理方法。
【請求項5】 多数の端末からネットワークを通じてアクセス可能であり、管理対象である多数の業務を管理する業務管理ホストであって、前記多数の業務の情報を管理するためのデータベース、該データベースに対して所望のデータを得るための検索を行う検索手段、担当者、管理対象、目標、時間の4つの要素の観点から、前記多数の業務に対して共通に前記端末により設定された管理項目を参照して、前記データベース及び前記検索手段を生成する管理ツール生成手段、前記検索手段による検索結果のデータを、前記ネットワークを通じて該当する端末に出力する出力手段、を備えたことを特徴とする業務管理ホスト。
【請求項6】 前記管理項目を設定するための管理用ひな型シートが予め用意されており、要求に応じて端末に出力することを特徴とする請求項5記載の業務管理ホスト。
【請求項7】 前記管理ツール生成手段は、前記多数の業務の管理形態が、ON/OFF型、スタート/エンド型、定量型のいずれの形態に該当するかを識別するとともに、識別した形態に対応して前記データベースを生成することを特徴とする請求項5又は6記載の業務管理ホスト。
【請求項8】 請求項5〜7のいずれかに記載の業務管理ホスト、該業務管理ホストにネットワークを通じて接続されており、前記管理項目の設定、該設定した管理項目のデータ登録、前記検索されたデータの取得、該当する場合にはそのデータの更新、のいずれかを行うための複数の端末、を含むことを特徴とする業務管理システム。

イ 新請求項の内容
【請求項1】 多数の端末からネットワークを通じてアクセス可能であり、管理対象である多数の業務を管理する業務管理ホストであって、前記各業務に共通に設定された管理項目をコード化するとともに、該コードに基づいてデータベース及び検索手段を生成する管理ツール生成手段、前記管理項目のコードに基づいてシート化することにより、前記各業務のデータを蓄積するデータベース、前記コードを参照して、前記データベースから所望の管理項目に該当するデータを検索する検索手段、を備えており、前記管理項目が、担当者、管理対象、目標、時間の各要素の観点から前記多数の業務に対して共通に前記端末によって設定されるとともに、前記検索手段による検索結果のデータが、前記ネットワークを通じて該当する端末に出力されることを特徴とする業務管理ホスト。
【請求項2】 前記要素のうち、担当者及び管理対象については、管理項目が階層化されており、目標については、前記各業務の管理形態が、ON/OFF型、スタート/エンド型、定量型のいずれの形態に該当するかに応じて、管理項目が設定されることを特徴とする請求項1記載の業務管理ホスト。
【請求項3】 請求項1又は2記載の業務管理ホスト、該業務管理ホストにネットワークを通じて接続されており、前記管理項目の設定、該設定した管理項目のデータ登録、前記検索されたデータの取得、該当する場合にはそのデータの更新、のいずれかを行うための複数の端末、を含むことを特徴とする業務管理システム。

ウ 審判請求時の補正について
(ア) 特許法17条の2は、拒絶査定に対する審判請求をする場合の特許請求の範囲の補正は、新規事項の追加禁止の要件(3項)のほかに、請求項の削除、特許請求の範囲の減縮など4項1号ないし4号に掲げる事項を目的とするものに限り、これを許容することとしている。
特許法17条の2第4項1号(以下、単に「1号」という。)は、請求項の削除を行う補正を認め、また、同条項2号(以下、単に「2号」という。)は、特許請求の範囲の減縮を行う補正のうち、「請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるもの」(同号かっこ書き)についてのみ、これを認めることとしている。
そして、上記かっこ書きの文言からすれば、2号の規定は、補正が認められる特許請求の範囲の減縮といえるためには、補正後の請求項が補正前の請求項に記載された発明を限定する関係にあること、及び、補正前の請求項と補正後の請求項との間において、発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であることを必要とし、ここで、上記の「限定する」ものであるかどうか、「同一である」かどうかは、いずれも特許請求の範囲に記載された当該請求項について、その補正の前後を比較して判断すべきものであり、補正前の請求項と補正後の請求項とが対応したものとなっていることを当然の前提としているものと解するのが相当であり、当該一つの請求項を削除して新たな請求項をたてるとか、当該一つの請求項に係る発明を複数の請求項に分割して新たな請求項を追加するというような態様による補正を予定しているものではないというべきである。
したがって、新たな請求項を追加する態様による補正は、たとえそれが全体として一つの請求項に記載された発明特定事項を限定する趣旨でされたものであるとしても、2号の定める「特許請求の範囲の減縮」には当たらないというべきであり、2号の定める「特許請求の範囲の減縮」は、補正前後の請求項に係る発明が一対一の対応関係にあることを必要とすると解するのが相当である。
もっとも、補正前の請求項が実質的に複数の請求項を含むものであるときに、これを補正に際し独立の請求項とすることにより、請求項の数が増加することになるとしても、それは、実質的に新たな請求項を追加するものとはいえず、実質的には一対一の対応関係にあるということができるから、このような補正まで否定されるものではない。

(イ) そこで、本件補正についてみると、審判請求書によれば、補正の趣旨は、方法の発明の請求項をすべて削除し、業務管理ホストに関する請求項をより具体的に記述するとともに、「管理項目をコード化する」点を追加し、減縮補正を行った旨の記述がある。
旧請求項1ないし4の方法の発明を削除することは1号の規定に適合する。
旧請求項の「業務管理ホスト」に関するものは、旧請求項5ないし8が関連するものとみることができる。
前述のとおり、補正前の請求項と補正後の請求項とが一対一の対応関係にあることが必要であるが、請求人は、新請求項と旧請求項との対応関係を明示していないため、個別に検討する。
旧請求項6における「管理用ひな型シートが予め用意され」という限定事項が、新請求項1ないし3にはないことから、旧請求項6は1号の規定により削除されたものとみるのが妥当である。
そうすると、旧請求項5、7及び8がそれぞれ新請求項1、2及び3に対応しているとみることが可能である。
新請求項1は、旧請求項5に記載した発明を特定するために必要な事項(以下「発明特定事項」という。)である「管理ツール手段」について「管理項目をコード化」するとの限定を付加し、発明特定事項である「データベース」について「管理項目のコードに基づいてシート化することにより、各業務のデータを蓄積する」との限定を付加し、また、発明特定事項である「検索手段」について「コードを参照」するとの限定を付加するものであることから、請求項1は旧請求項5の発明を特定するために必要な事項を限定したものであり、2号の定める「特許請求の範囲の減縮」に該当する。
旧請求項6が前述のとおり削除されたものとみることができるから、新請求項1を引用する新請求項2と、旧請求項5を引用する旧請求項7とを対比すると、旧請求項7は「管理ツール生成手段」を限定する規定がされていたが、新請求項では、管理項目が階層化されること、及び管理項目が設定されることが規定されており、限定事項が異なるものとなり、2号の定める「特許請求の範囲の減縮」に該当しない補正である。
なお、旧請求項5は既に新請求項1として補正されているから、新請求項2を旧請求項5に対応するものとみることはできない。
以上からすると、本件補正の新請求項2は、特許法17条の2第4項2号の「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当しないというべきである。

(ウ) したがって、新請求項2は、請求項の削除、誤記の訂正、又は明瞭でない記載の釈明を目的としたものにも該当せず、特許法17条の2第4項の規定に違反するものであり、新請求項3について論ずるまでもなく、本件補正は、同法159条1項で準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
(1)平成14年10月1日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、補正前発明、すなわち平成14年7月12日付の手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】 多数の端末からネットワークを通じてアクセス可能な管理ホストによって、管理対象である多数の業務を管理する業務管理方法であって、前記端末を利用して、前記業務に関する情報の管理項目を、担当者、管理対象、目標、時間の4つの要素の観点から、前記多数の業務に共通に設定する第1のステップ、
これによって生成された管理項目を参照して、前記多数の業務のデータベースを前記管理ホストに生成する第2のステップ、
これによって生成されたデータベースに、前記端末を利用して前記管理項目のデータを登録する第3のステップ、
前記担当者、管理対象、目標、時間の4つの要素に基づいた検索を前記データベースに対して行うための検索プログラムを前記管理ホストで生成する第4のステップ、
該検索プログラムを利用して所望の検索を行い、検索された前記管理項目のデータを前記端末で取得する第5のステップ、
を含むことを特徴とする業務管理方法。」

4.当審の判断
(1)「特許を受けることができる発明」について
特許法2条1項の規定によれば、発明とは、自然法則を利用した技術的思想の創作である必要があり、同法29条1項柱書の規定によれば、特許を受けることができる発明とは、産業上利用することができる発明でなければならない。
したがって、特許を受けることができる発明であるためには、自然法則を利用した技術的思想の創作であって、かつ産業上利用可能なものであることを必要とする。
ソフトウエア関連発明で特許を受けることができる発明であるためには、ソフトウエアによる処理がハードウエア資源を用いて具体的に実現されている必要があり、そうでない場合、当該発明は「自然法則を利用した技術的思想の創作」といえず、特許法上の発明に該当しないこととなる。
人間の精神活動それ自体は、自然法則を利用したものとはいえないことは当然である。

(2)本願発明について
ア 第1のステップ
ハードウエア資源として端末、ネットワーク及び管理ホストが規定されているが、管理項目を設定するためにこれらのハードウエア資源がどのような働きをするのか具体的に規定されておらず、単に、一般的な道具としての使用形態が示されているにとどまり、ソフトウエアによる処理がハードウエア資源を用いて具体的に実現されているとはいえず、自然法則を利用した技術的思想の創作とはいえない。
イ 第2のステップ
業務のデータベース及び管理ホストのハードウエア資源は示されているが、手順を示すソフトウエアが該手順を実際に行うハードウエアによる具体的な実現方法が示されておらず、単に、道具としての使用形態が示されているにとどまり、ソフトウエアとハードウエア資源とが協働することにより構築された情報処理装置の具体的動作方法が記載されているとはいえない。
したがって、このステップ自体、自然法則を利用した技術的思想の創作とはいえない。
ウ 第3のステップ
「これによって生成されたデータベースに、前記端末を利用して前記管理項目のデータを登録する第3のステップ」では、端末を単に道具として利用することが記載されているのみで、具体的なハードウエア資源の利用が記載されておらず、このステップ自体、自然法則を利用した技術的思想の創作とはいえない。
エ 第4のステップ
「前記担当者、管理対象、目標、時間の4つの要素に基づいた検索を前記データベースに対して行うための検索プログラムを前記管理ホストで生成する第4のステップ」は、検索プログラムを前記管理ホストで生成するという手順を示すソフトウエアはあるものの、ソフトウエアとハードウエア資源とが協働することにより構築された情報処理装置の動作方法が具体的に記載されているとはいえず、ハードウエア資源は単に道具として利用しているにとどまり、このステップ自体、自然法則を利用した技術的思想の創作とはいえない。
オ 第5のステップ
「該検索プログラムを利用して所望の検索を行い、検索された前記管理項目のデータを前記端末で取得する第5のステップ」には、データを端末で取得することが記載されているのみで、端末は一般的な道具としての記載であり、該第5のステップは人間の精神活動に当たるものであり、このステップ自体、自然法則を利用した技術的思想の創作とはいえない。
カ したがって、請求項1の業務管理方法は、端末やホスト、データベースというハードウエア資源を利用するものであるが、この発明は全体としてみても、これらのハードウエア資源を単なる道具として用いる人為的取決めそのものであって自然法則を利用した技術的思想の創作に該当しないから、特許法29条1項柱書きに規定する要件を満たしていないものである。

5.むすび
以上のとおり、特許請求の範囲の請求項1に係る発明は特許法29条1項柱書きに規定する要件を満たしておらず、特許を受けることができないから、他の請求項について論ずるまでもなく、本願は特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-09-22 
結審通知日 2005-09-27 
審決日 2005-11-08 
出願番号 特願2000-66224(P2000-66224)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
P 1 8・ 572- Z (G06F)
P 1 8・ 14- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 松田 直也  
特許庁審判長 杉山 務
特許庁審判官 佐藤 敬介
大野 弘
発明の名称 業務管理ホスト及びそのシステム  
代理人 梶原 康稔  

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