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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61B
管理番号 1128321
審判番号 不服2002-24225  
総通号数 74 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1993-09-07 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-12-16 
確定日 2005-12-22 
事件の表示 平成 4年特許願第212428号「ニードルパーク」拒絶査定不服審判事件〔平成 5年 9月 7日出願公開、特開平 5-228206号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成4年7月17日の出願(パリ条約による優先権主張1991年8月28日、米国)であって、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、明細書及び図面の記載からみて、請求項1に記載されたとおりの次のものと認める。
「一般に平坦なベースを備え、その上に一般にベースと直角であり、かつ壁の端部域をベースから分離しかつ、端部域の頂部域を除いた総てを壁のその他の部分から分離する切取り部を一方の端部の近くに有する第1の壁;及び一般にベースと直角であり、一般に第1の壁と同一線上にあり、更に第1の壁の端部域に隣接する第1の端部を有する第2の壁を備え、これにより針が第1の壁の端部域と第2の壁の第1の端部との間に固定されることを特徴とする、針を固定するためのニードルパーク。」

2.引用発明
(1)原査定の拒絶理由に引用された米国特許4967902号明細書(以下、「引用刊行物」という。)には、FIG.1〜FIG.7と共に、次の事項が記載されている。
a.「Referring to FIGS. 4a and 4b the needle park of the package of FIG. 1 is shown in greater detail. The needle park comprises a wall 60 extending upward from the central floor 18 of the package. The wall 60 is interrupted periodically by openings and the wall ends are tapered at the openings as shown at 62 and 64 to form needle holders 56 and 54. The needle holder 56 has the tapered wall ends secured to the underlying floor of the package, enabling only minimal movement and flexing of the tapered ends when a needle is inserted between them. This relatively rigid needle holder 56 will thus retain only a needle of a gauge which is matched fairly closely to the dimension of the opening. By comparison the package floor beneath the needle holder 54 has been undercut by removal of the floor area indicated at 58, which enables the tapered ends of the overlying needle holder to flex and bend somewhat when a needle is inserted in the wall opening. Thus the undercut needle holder 54 can accommodate a relatively wider range of needle gauges as compared with the rigid needle holder 56. Furthermore, the undercut needle holder 54 is undercut upward a short dimension from the floor surface, which causes a needle 2 to be securely retained in the undercut space below the tapered wall ends and above the surface of the package floor, as illustrated in FIG. 4b.」(明細書第3欄第51行〜第4欄第8行;日本語訳「図1のパッケージのニードルパークは、図4aおよび4bに、より詳しく示される。ニードルパークは、パッケージの中央のフロアー18から上方に伸びる壁60を含む。壁60には、開口部による周期的な断絶部がある。また、壁端は、ニードルホルダー56および54を形成するための62と64として示される開口部において、テーパーがつけられている。ニードルホルダー56は、針がそれらの間に差し込まれる場合、最小の移動及びテーパーがつけられた端部の屈曲のみが可能となるよう、パッケージの基礎となるフロアーへテーパーがつけられた壁の端部を固定している。したがって、この比較的堅いニードルホルダー56は、開口部の寸法にかなり厳密に一致する標準寸法の針だけを保持することができる。それに比べ、ニードルホルダー54の下のパッケージのフロアーは、58で示されたフロアー領域の除去によってアンダーカットされている。それにより、針が壁開口部の中に差し込まれる場合、被さるニードルホルダーのテーパーがつけられた端部は、柔軟で多少曲がることができる。したがって、堅いニードルホルダー56と比較して、アンダーカットされたニードルホルダー54は比較的広範囲の針の基準寸法に対応することができる。さらに、アンダーカットされたニードルホルダー54は、フロアー面から上向きに短い寸法だけアンダーカットされ、それにより、図4bに示されるように、テーパーがつけられた壁の端部より下でパッケージのフロアー面の上のアンダーカットされた空間で針2を安全に保持する。」)
b.FIG4には、壁60は中央のフロアー18と直角であること、及び、壁60はニードルホルダー54を形成する開口部62により、第1の壁といえる部分と第1の壁と同一線上にあり、更に第1の壁の端部域に隣接する第1の端部を有する第2の壁といえる部分とに分けられていることが示されている。
c.FIG5には、中央のフロアー18は平坦であることが示されている。
これらの記載事項及び図示内容を総合すると、引用刊行物には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「平坦な中央のフロアー18を備え、その上方に延びる中央のフロアー18と直角である壁60を備え、壁60はニードルホルダー54を形成する開口部62により、第1の壁といえる部分と第1の壁と同一線上にあり、更に第1の壁の端部域に隣接する第1の端部を有する第2の壁といえる部分とに分けられ、これにより針2がニードルホルダー54に保持されるニードルパーク。」

3.対比
本願発明と引用発明とを対比すると、後者における「中央のフロアー18」は、その機能・作用からみて、前者における「ベース」に相当し、以下同様に、「上方に」は「上に」に、「ニードルホルダー54」は「第1の壁の端部域と第2の壁の第1の端部との間」に、「保持される」は「固定される」に、そして「ニードルパーク」は「針を固定するためのニードルパーク」に相当する。
してみれば、両者は、
「一般に平坦なベースを備え、その上に一般にベースと直角である第1の壁;及び一般にベースと直角であり、一般に第1の壁と同一線上にあり、更に第1の壁の端部域に隣接する第1の端部を有する第2の壁を備え、これにより針が第1の壁の端部域と第2の壁の第1の端部との間に固定される針を固定するためのニードルパーク。」
である点で一致し、次の点で相違する。
a.本願発明は、第1の壁が、壁の端部域をベースから分離し、かつ、端部域の頂部域を除いた総てを壁のその他の部分から分離する切取り部を一方の端部の近くに有するのに対して、引用発明は、そのような構成を有さない点。

4.当審の判断
上記相違点について検討するに、引用発明も壁の端部域の柔軟性を利用して針を保持するものであり、引用刊行物に、アンダーカットされたニードルホルダーの端部は、より柔軟で、比較的広範囲の針の基準寸法に対応できる旨記載されているように、保持する針の直径をより広範囲なものにするためには、さらに壁の端部域の柔軟性を向上させればよいことは明らかである。
一方、物品を保持する保持部材の柔軟性を向上させるための技術として、端部域をベースから分離し、端部域の頂部域を除いた総てを保持部材の他の部分から分離するようにすることは、例えば実願昭59-38082号(実開昭60-150383号)のマイクロフィルム、西独特許出願2623040号明細書、実願昭61-55579号(実開昭62-167373号)のマイクロフィルム、特開昭61-8562号公報及び実願昭56-188207号(実開昭58-91887号)のマイクロフィルムに記載されているように、技術分野を問わず周知のものである。してみれば、引用発明に、この周知技術を適用し、壁の端部域の柔軟性を向上させることは当業者が容易に想到し得たことである。
そして、第1の壁が、壁の端部域をベースから分離し、かつ、端部域の頂部域を除いた総てを壁のその他の部分から分離する切取り部を一方の端部の近くに有するという構成は、保持部材の柔軟性をさらに向上させることから、そのような周知技術を引用発明1に適用する際、適宜採用される構成に過ぎない。

また、本願発明により奏される効果も、引用発明及び周知技術から当業者が予測し得る範囲内のものである。

なお、請求人は審判請求書の請求の理由(4)(iv)において、本願発明の技術分野と上記周知技術を示す文献に記載された発明の技術分野とは大きく異なっており、上記周知技術を示す文献に記載された発明は本願発明の先行技術として挙げられるべきものではない旨主張している。しかしながら、上記の周知技術を示す文献に記載された、保持部材の柔軟性を向上させるために、端部域をベースから分離し、端部域の頂部域を除いた総てを保持部材の他の部分から分離するという技術は、技術分野を問わず適用できるものであることは明らかであり、それを引用発明に適用したことにより、当業者が予測できない効果を生じるものでない以上、上記請求人の主張は失当である。

5.むすび
したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-07-07 
結審通知日 2005-07-12 
審決日 2005-08-01 
出願番号 特願平4-212428
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A61B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 阿部 寛石川 太郎水谷 万司  
特許庁審判長 山崎 豊
特許庁審判官 増沢 誠一
山本 信平
発明の名称 ニードルパーク  
代理人 小田島 平吉  

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