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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04R |
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管理番号 | 1128481 |
審判番号 | 不服2003-16874 |
総通号数 | 74 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1998-05-12 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2003-09-01 |
確定日 | 2005-11-24 |
事件の表示 | 平成 8年特許願第508400号「カーラジオの音量を走行ノイズに依存して制御する装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 8年 3月 7日国際公開、WO96/07293、平成10年 5月12日国内公表、特表平10-504946〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、平成7年8月16日(パリ条約による優先権主張1994年8月31日、ドイツ連邦共和国)を国際出願日とする出願であって、その請求項1ないし10に係る発明は、平成15年4月18日付け手続補正書により補正された明細書並びに出願当初の図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に記載された発明(以下「本願発明」という。)は次のとおりである。 「自動車のカーラジオの音量を走行ノイズに依存して制御するための装置において、 走行ノイズを検出する加速度センサ(8)と、信号処理回路(21)とを有し、 前記加速度センサは、自動車のボデー(1)に機械的に結合された衝撃波センサとして設けられており、衝撃波雑音に関連するセンサ信号を出力し、 前記信号処理回路は前記センサ信号を受信し、自動車に設けられたカーラジオの音量を該センサ信号に依存して制御することを特徴とする装置。」 2.引用文献 (1)原査定の拒絶の理由に引用された特開平4-80798号公報(平成4年3月13日公開、以下「引用文献1」という。)には、次の事項が記載されている。 ア.「この発明は、自動車運転中における車室内の聴感上の快適性向上を図る車両用音響制御装置に関する。」(1頁左欄15行〜17行) イ.「コントロールユニット1の入力側ポートにはロードノイズを検出するロードノイズセンサ3、風切音を検出する風音センサ5、車外音を検出する車外音センサ7が接続されている。」(2頁右上欄11行〜14行) ウ.「車載用音響システム13は、AMラジオ、FMラジオ、カセットデッキ、グラフィックイコライザ、その他の車載用オーディオ機器により構成されている。」(2頁左下欄11行〜14行) エ.「コントロールユニット1は、ロードノイズセンサ3、風音センサ5、車外音センサ7、エンジン回転センサ9および車速センサ11によって検出される少なくとも一つの検出信号の入力により、音楽信号制御装置15又は合成音創成装置17、19、21の少なくとも一つの装置に制御信号を出力する。」(2頁右下欄2行〜8行) オ.「音楽信号制御装置15は、コントロールユニット1からの制御信号により車載用音響システム13から入力される音楽信号を周囲の騒音レベル、車速等に応じて、例えば音量、ダイナミックレンジ、周波数特性等をパラメータとして制御する。」(3頁左上欄1行〜6行) 以上から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。 「自動車のラジオの音量をロードノイズ、風切音及び車外音に依存して制御するための装置において、 ロードノイズを検出するロードノイズセンサ及び風切音を検出する風音センサ、車外音を検出する車外音センサと、音楽信号制御装置とを有し、 前記ロードノイズセンサ、風音センサ及び車外音センサは、ロードノイズ、風切音、車外音に関連する検出信号を出力し、 前記音楽信号制御装置は前記検出信号を受信し、自動車に設けられたラジオの音量を該検出信号に依存して制御することを特徴とする装置。」 (2)また、原査定の拒絶の理由に引用された特開平6-110474号公報(平成6年4月22日公開、以下「引用文献2」という。)には、次の事項が記載されている。 ア.「本発明は、騒音環境下における能動的騒音制御を用いた消音装置に関するものである。」(2頁右欄29行〜30行) イ.「騒音検出器は、車室を構成する壁や床あるいは天井などの車室パネルの振動を検出する加速度センサからなり、」(2頁左欄10行〜12行) ウ.「(図1)において、1は騒音検出器であるところの加速度センサ、」(4頁左欄47行〜48行) エ.「ここで加速度センサ1は(図2)に示すように車室を構成する車室パネルに設置されており、」(4頁右欄1行〜3行) オ.「騒音検出を車室パネルの振動を加速度センサで行うことにより、制御点における騒音とのコヒーレンスが広帯域で高く得られ、その結果広帯域での騒音制御が可能であり、」(6頁左欄487行〜右欄2行) 3.対比 本願発明と引用発明1とを以下に対比する。 引用発明1におけるロードノイズ、風切音、及び車外音というものは、自動車が走行する時に発生するノイズであることから、引用発明1におけるロードノイズセンサ、風音センサ及び車外音センサが、ロードノイズ、風切音、車外音に関連する検出信号を出力している構成は、本願発明と同様に自動車の走行ノイズを検出して出力するものであると認められる。 また、引用発明1における「ラジオ」、「検出信号」は、それぞれ本願発明の「カーラジオ」、「センサ信号」に相当し、さらに、引用発明1における「音楽信号制御装置」は、検出信号を受信してラジオの音量を制御する機能を有していることから、本願発明でいうところの「信号処理回路」に相当する。 したがって、両者は、 「自動車のカーラジオの音量を走行ノイズに依存して制御するための装置において、 走行ノイズを検出するセンサと、信号処理回路とを有し、 前記センサは、走行ノイズに関連するセンサ信号を出力し、 前記信号処理回路は前記センサ信号を受信し、自動車に設けられたカーラジオの音量を該センサ信号に依存して制御することを特徴とする装置。」 である点で一致し、次の点で相違する。 本願発明は、走行ノイズを検出するセンサが「自動車のボデーに機械的に結合された衝撃波センサとして設けられており、衝撃波雑音に関連するセンサ信号を出力する加速度センサ」であるのに対し、引用発明1は、走行ノイズを検出するセンサが「ロードノイズ、風切音及び車外音に関連する検出信号を出力するロードノイズセンサ、風音センサ及び車外音センサ」である点。 4.当審の判断 上記相違点につき、以下に検討する。 引用文献2には、上記2.(2)で示した記載事項及び図面を参照すると、騒音検出器として、車室パネル(壁、床、天井等)に設置され車室パネルの振動を検出する加速度センサを用いる技術が記載されている(同様の技術は、実願平3-63324号(実開平5-11532号)のCD-ROM、及び特開平3-182849号公報にも記載がある。)。ここで騒音とは自動車の走行ノイズに相当するものと認められる。また、加速度センサは、振動を検出していることから「衝撃波雑音に関連するセンサ信号を出力」していることは明らかである。 すなわち、引用文献2には本願発明と同様の自動車のノイズ対策に関する技術が開示されているといえ、上記相違点に係る構成は、引用文献2に記載される技術から当業者が容易に想到し得ることと認められる。 また、本願発明の効果も、引用文献1および2に記載の技術から予測することができる程度のものにすぎない。 5.むすび 以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用文献1及び2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願の他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2005-06-29 |
結審通知日 | 2005-06-30 |
審決日 | 2005-07-13 |
出願番号 | 特願平8-508400 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H04R)
|
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 松澤 福三郎 |
特許庁審判長 |
新宮 佳典 |
特許庁審判官 |
堀井 啓明 清水 正一 |
発明の名称 | カーラジオの音量を走行ノイズに依存して制御する装置 |
代理人 | 矢野 敏雄 |
代理人 | ラインハルト・アインゼル |
代理人 | 山崎 利臣 |