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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01C
管理番号 1128752
審判番号 不服2003-7271  
総通号数 74 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1997-03-18 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-04-28 
確定日 2006-01-04 
事件の表示 平成 7年特許願第225506号「距離計」拒絶査定不服審判事件〔平成 9年 3月18日出願公開、特開平 9- 72736〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 【1】手続の経緯・本願発明
本願は、平成7年9月1日の出願であって、その請求項1〜3に係る発明は、特許法第17条の2の規定によって平成14年7月26日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1〜3に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その特許請求の範囲の請求項1には次の通り記載されている(以下『本願発明』という。)。
「 被測定物に対しほぼ一定強度のレーザ光を照射するレーザ源と、前記被測定物からの反射レーザ光を受光し電気信号に変換する蓄積型光電変換素子と、この蓄積型光電変換素子の出力電気信号の大きさがほぼ一定値となるように前記レーザ源の出力レーザ光を前記蓄積型光電変換素子の1信号周期より十分短い一定の繰返し周期でオンオフ制御する制御手段と、前記蓄積型光電変換素子の出力電気信号に基づいて前記被測定物までの距離を算出する距離演算手段とを備えた距離計。」
なお、本願については、平成15年3月10日付けで手続補正がなされているが、該補正は平成15年3月31日付け補正の却下の決定により却下された。

【2】引用刊行物記載の発明
本願発明に対する原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願前に国内において頒布された特開昭59-183320号公報(以下『刊行物1』という。)には、図面とともに以下の記載がある。
a.「本発明は光源の消費電力を効率的に活用し、検知可能な被写体距離を長くすることができ、しかも精度の良い距離検出系を達成することを可能とする投光量制御装置の提供を目的とする。」(公報2頁左上欄4行〜7行)
b.「以上の如く本発明を使用すると被写体の状態に対応して、必要最小限のエネルギーで投光を行うことが出来るので、電源の節約になるのみならず、短時間にS/Nの良好なる測距情報を得ることが出来る著しい特徴がある。」(4頁左下欄9行〜13行)
前記記載a、bから、刊行物1には全体として
(1)距離検出系、が記載されていることが読みとれる。

c.「第1図(a)、(b)、(c)は本発明に係る投光量制御装置で用いている蓄積型の光電変換手段の概念図である。第1図(a)は光源からの投光時、投光による被写体からの反射光により2つの光電変換部A1,B1に生じる電荷量A,B・・・」(2頁右上欄14行〜18行)
d.「第2図は本発明で用いる蓄積型の光電変換手段の一実施例の説明図であり、AS,BSは第1、第2の光電変換部、AL,BLは投光時、投光による反射光と周囲光の和を蓄積する第1、第2の電荷蓄積部、AD,BDは非投光時、周囲光を蓄積する第3、第4の電荷蓄積部、ICG1,ICG2は制御パルスφICGが高レベルの時光電変換部AS,BSより生ずる電荷をクリアするための積分クリアゲート、SH1,SH2は電荷移送ゲートであり制御パルスφSH1が高レベルの時光電変換部AS,BSより生じた電荷を電荷蓄積部AL,BLに蓄積し、制御パルスφSH2が高レベルの時光電変換部AS,BSより生じた電荷を電荷蓄積部AD,BDに蓄積する。TG1〜TG4は電荷転送ゲートでありφTGが高レベルの時、電荷蓄積部に蓄積されている電荷を電荷電圧変換部BC1〜BC4に転送し信号読み出しが行われる。BC1には第1図(a)のA+A0の信号、BC2にはB+B0の信号、BC3にはA0の信号、BC4にはB0の信号が出力され、差動増幅回路DA1を介して(A+A0)-(A0)=A、差動増幅回路DA2を介して(B+B0)-(B0)=B、差動増幅回路DA3を介してA-Bの信号VA-Bが出力される。またALとBL及びADとBDに蓄積された電荷(A+A0)+(B+B0)とA0+B0とがフローティングゲートFG1,FG2を介して非破壊に読み出され、差動増幅回路DA4を介して(A+A0)+(B+B0)-(A0+B0)=A+Bの信号VA+Bが出力される。このVA+Bの出力が基準値に達した時に信号の読み出しを行う。」(2頁左下欄下から6行〜3頁左上欄3行)
前記記載c.d.から、
(2)被写体からの反射光を受光し電気信号に変換する蓄積型の光電変換手段、が読みとれる。

e.「投光デューテイが50%の時の各種制御出力は、第4図に示す如く、発振器OSCの出力パルスがそのまま使用される。これらの各種制御情報はアンドゲートAN32〜AN41,オアゲートOR32〜OR34からなる選択回路を介して選択され、投光用発光素子LD及び受光用の光電変換素子を制御する。」(3頁右上欄下から2行〜左下欄5行)
f.「また時刻t0〜t1の間に・・・RSTフリップフロップRF3〜RF4はリセットされる。時刻t2で光電変換素子が電荷蓄積を開始する時点においてはVA+Bの信号は、抵抗R33〜R34により決まる基準電圧VF3、VF4以下であるので、・・・デューテイ50%で投光,受光の制御が行われる。
抵抗R30〜R32・・・からなるタイマー回路の出力が時刻tAで高レベルに反転すると、VA+Bが基準電圧VF3とVF4と比較検出される。投光による反射光量が大きくVA+BがVF4より大の時には・・・デューテイ25%で時刻tA以後投光,受光の制御が行われる。
またVA+BがVF3より大の時には・・デューテイ12.5%で時刻tA以後の投光,受光が制御される。
VA+BがVF4より小の時には・・・時刻tA以後もデューテイ50%で投光,受光の制御が行われる。」(3頁右下欄5行〜4頁右上欄1行)

前記記載e.f.及び第4図〜第6図を見ると、投光用発光素子LDを駆動するパルスの振幅は、常に一定に保たれていると解されるので、前記記載e.f.及び第4図〜第6図から、
(3)被写体に対し一定振幅の光を照射する投光用発光素子LD、が読みとれる。

g.「時刻t3でVA+Bの信号が抵抗R2,R3で決まる基準電圧を越えるとコンパレータcp1の出力は高レベル側に反転するので、・・・φICQを高レベルにして蓄積型光電変換素子への画像情報の蓄積を完了する。同時にアンドゲートAN1,オアゲートOR5を介してφTGを高レベルにし蓄積情報の読み出しを行い、サンプルホールド回路SHDに時刻t4〜t5の間にVA-Bの情報をサンプルホールドする。・・・SHDにサンプルホールドされた情報は制御回路CKTを介して撮影レンズの合焦位置への駆動に利用される。」(4頁右上欄2行〜左下欄8行)。
h.「尚本実施例においては2つの光電変換部A1,B1を用いて2つの光電変換部A1,B1からの信号を用いて距離検出を行う場合について示したが、1つの光電変換部を用い、例えば1つの光電変換部からの出力信号の最大値を検出することにより物体までの距離検出を行う場合にも、本発明の投光量制御装置は適用できることはいうまでもない。」(4頁左下欄14行〜末行)。

前記記載d.〜g.から、
(4)蓄積型の光電変換手段における差動増幅回路DA4の出力であるVA+Bの信号が基準電圧となるように投光用発光素子LDの出力光を投光デューティを変えながら駆動制御するアンドゲートAN32〜AN41,オアゲートOR32〜OR34からなる選択回路、が読みとれる。
また、蓄積型の光電変換手段における差動増幅回路DA3の出力であるVA-Bの信号に基づいて撮影レンズの合焦位置への駆動を行う制御回路CKT、が読みとれるが、合焦状態にあるレンズの位置情報から被写体までの距離が算出し得ることは技術常識であるから、前記b.に記載された「測距情報を得ること」、そして前記h.における「距離検出を行う」ことは、レンズを合焦位置へと駆動する制御回路CKTが行っていると解するのが自然である。このことを考慮すると、
(5)蓄積型の光電変換手段における差動増幅回路DA3の出力であるVA-Bの信号に基づいて被写体までの距離検出を行なう手段を備えた制御回路CKT、が読みとれる。

次に、前記記載h.における「1つの光電変換部を用い、例えば1つの光電変換部からの出力信号の最大値を検出することにより物体までの距離検出を行う」距離検出系について、このような1つの光電変換部を有する距離検出系に引用刊行物1に記載された技術的事項を適用すると、投光用光学素子LDを駆動制御するための情報、及び、被写体までの距離検出を行うための情報は、(距離検出系の具体的構成はともかくとして)いずれも「1つの蓄積型の光電変換手段からの出力信号」から得ることになるのであるから、前記(4)における「光電変換手段における差動増幅回路DA4の出力であるVA+Bの信号」、及び、前記(5)における「光電変換手段における差動増幅回路DA3の出力であるVA-Bの信号」は、いずれも「1つの蓄積型の光電変換手段からの出力信号」に置き換えて読み取るべきものと解することができる。すなわち、前記記載d.g.h.から、
(6)1つの蓄積型の光電変換手段からの出力信号が基準電圧となるように投光用発光素子LDの出力光を投光デューティを変えながら駆動制御する選択回路、及び、
(7)1つの蓄積型の光電変換手段からの出力信号に基づいて被写体までの距離検出を行なう手段を備えた制御回路CKT、が読みとれる。
そこで、前記記載(1)〜(3)、(6)、(7)を総合勘案すると、刊行物1には次の発明が記載されているものと認められる。

(刊行物1に記載された発明)
被写体に対し一定振幅の光を照射する投光用発光素子LDと、前記被写体からの反射光を受光し電気信号に変換する1つの蓄積型の光電変換手段と、
この1つの蓄積型の光電変換手段からの出力信号がほぼ基準電圧となるように投光用発光素子LDの出力光を投光デューティを変えながら駆動制御する選択回路と、前記1つの蓄積型の光電変換手段からの信号に基づいて前記被写体までの距離検出を行なう手段を備えた制御回路CKTとを備えた距離検出系
(以下『刊行物1に記載された発明』という。)。

【3】対比
ここで、本願発明と前記刊行物1に記載された発明とを対比すると、前記刊行物1に記載された発明における、
「被写体」、「光を照射する投光用発光素子LD」、「一定振幅」、「1つの蓄積型の光電変換手段」、「出力信号が基準電圧となる」、「被写体までの距離検出を行なう手段を備えた制御回路CKT」、「距離検出系」は、それぞれ本願発明における、
「被測定物」、「レーザ光を照射するレーザ源」、「ほぼ一定強度」、「蓄積型光電変換素子」、「出力電気信号の大きさがほぼ一定値となる」、「被測定物までの距離を算出する距離演算手段」、「距離計」に相当する。
そして、
・本願発明における「レーザ源の出力レーザ光を前記蓄積型光電変換素子の1信号周期より十分短い一定の繰返し周期でオンオフ制御する制御手段」も刊行物1に記載された発明における「投光用発光素子LDの出力光を投光デューティを変えながら駆動制御する選択回路」も、共に「レーザ源の出力レーザ光をオンオフ制御する制御手段」であるから、両者は、
(一致点)
「被測定物に対しほぼ一定強度のレーザ光を照射するレーザ源と、前記被測定物からの反射光を受光し電気信号に変換する蓄積型光電変換素子と、この蓄積型光電変換素子の出力電気信号の大きさがほぼ一定値となるように前記レーザ源の出力レーザ光をオンオフ制御する制御手段と、前記蓄積型光電変換素子の出力電気信号に基づいて前記被測定物までの距離を算出する距離演算手段とを備えた距離計」である点で一致し、次の点で相違する。
(相違点)
オンオフ制御について
本願発明では、「蓄積型光電変換素子の1信号周期より十分短い一定の繰返し周期で」オンオフ制御するのに対し、刊行物1に記載された発明におけるオンオフ制御は、そのような構成を備えていない点。

【4】当審の判断
測距用発光手段をオンオフ制御する際、
・発光周波数を一定に保ちながらデューテイ比を変更して受光手段の受光量を制御することは周知の光源駆動方法である(例えば、特開昭60-125813号公報参照)こと、また、
・光源の明滅周期をCCDの信号の取り込み周期T4(「蓄積型光電変換素子の1信号周期」に相当する)より十分短い周期T2とし、該構成により、測距対象の平均化された位置情報が得られることは周知である(例えば、特開平6-160132号公報、特に段落番号【0030】の記載及び図7参照)こと、
を併せ考慮すると、刊行物1に記載された発明において、被測定物の平均化された位置情報を得るべく、蓄積型光電変換素子の1信号周期より十分短い繰返し周期でオンオフ制御すること、そしてその際、繰返し周期を一定に保つことは、当業者が周知技術に基いて容易になし得る構成変更と言えるものである。

4-3.効果について、
請求人は審判請求書において、本願発明は「レーザ源の出力レーザ光を蓄積型光電変換素子の1信号周期より十分短い一定の繰返し周期でオンオフ制御することにより、たとえ被測定物が移動する場合であっても、その移動する全部分の平均化された距離を適確に求めることができる」効果を奏する旨、主張しているが、既述したように、測距技術において、光源をオンオフ制御しながら測距を行うと、測距対象の平均化された位置情報が得られることは周知である以上、本願発明による前記効果は、刊行物1及び周知技術から当業者が容易に予測し得る範囲のものに過ぎないと言える故、審判請求人の主張は採用し得ない。

【5】むすび
したがって、本願の請求項1に係る発明は、刊行物1に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
前記のとおり、本願の請求項1に係る発明が特許を受けることができないものであるから、本願の請求項2乃至3に係る発明について審究するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-11-09 
結審通知日 2005-11-11 
審決日 2005-11-22 
出願番号 特願平7-225506
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G01C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大和田 有軌岡田 卓弥  
特許庁審判長 上田 忠
特許庁審判官 濱野 隆
下中 義之
発明の名称 距離計  
代理人 堀口 浩  
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