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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A47L
管理番号 1128761
審判番号 不服2003-9348  
総通号数 74 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2002-07-16 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-05-22 
確定日 2006-01-04 
事件の表示 特願2000-402264号「食器皿洗浄装置」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 7月16日出願公開、特開2002-200023号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成12年12月28日の出願であって、その請求項1に係る発明は、平成15年2月14日付けの手続補正書で補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのもの(以下、「本願発明」という。)である。
「筐体の上面に形成された食器皿の投入口から投入される食器皿が、前記筐体内部で洗浄された後に排出口から排出されるようになっている食器皿洗浄装置であって、
食器皿を前記投入口の上方において積層状態に支持するとともに、前記筐体の内部所定箇所まで案内する間隔をあけて配置した案内片が、前記筐体の内部から前記投入口の上方まで延びるように、かつ、前記投入口の内周縁周りに複数設けられていることを特徴とする食器皿洗浄装置。」

2.引用刊行物
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である、特開平9-238881号公報(以下「刊行物1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。
(a)「供給部から降下する皿を受け、ガイドロッド上を搬送スクリューで移動させ、移動部における皿の上下面に、回転ブラシ、噴水ノズル及びエアノズルを配設し、排出部に設置した押し上げパッドで上方のストッカーへ皿を積層する皿洗浄装置に於いて、上回転ブラシを移動方向と逆らう方向へ回転させ、下回転ブラシを移動方向へ回転させることを特徴とする皿洗浄装置。」(【請求項1】)
(b)「【発明の実施の形態】本発明の実施の一形態を図面に基づいて説明する。図1は本装置の一部簡略化した平面図、図2は同縦断正面図であり、架台1に設置した枠フレーム2内の長手方向両側を供給部Aと排出部Cとし、その中間は移動部Bと成っている。
供給部Aのホッパー12の下方には皿受けレール3、3及びガイドロッド4、4があり、皿受けレール3、3は皿4の底部を受け、又ガイドロッド4、4は皿縁部を受け、ガイドロッド4、4は移動部Bに渡って設置してある。更に、移動部Bには押さえロッド5、5が設けられ、ガイドロッド4、4と共に皿縁部を上下より挟む恰好で皿の移動を安定してガイドする。
更に、皿受けレール3、3、ガイドロッド4、4及び押さえロッド5、5の外側には搬送スクリュー6、6が設置してあり、反対方向に溝を刻み回転し、排出部C側へ皿縁部を谷部で挾んで押圧して移動させるのである。搬送スクリュー6、6のリードピッチは供給部Aの直下から押さえロッド5、5の基端部近くまでは他の部分より短く、皿を低速で移動するようにし、皿の揺動を防止している。これは供給部Aの直下は押さえロッド5、5が皿降下の障害と成って付設できないため、搬送の安定性を確保するためゆっくり移動させようとするものである。
搬送スクリュー6、6は駆動用モータ7の駆動用ギア8を原動として低速、伝達ギアを介してスクリュー軸ギア9へ伝達され、又供給部Aの供給ローラ10の軸ギア11へも伝達している。供給ローラ10,10は供給ホッパー12の下部に設置され、供給ホッパー12内の皿を支承すると共に、形成してある凹溝13により最下部の皿縁部を一回転ごとに引っ掛けて皿受けレール3、3上へ降下させるものであり、搬送スクリュー6、6の谷部とのタイミングを合わせている。」(段落【0012】〜【0015】)
(c)「排出部Cの上方にはストッカー22が設置してあり、下部に支持爪23、23、23が付設してあり、支持爪23、23、23はストッカー22内に積層する洗浄後の皿41を支承し、直下に配置した押し上げパッド25によって支持レール20、20上から押し上げ、積層した皿41の最下部に置いて支持していく。すなわち、支持爪23、23、23は軸24を支点に上方へのみ回動する構成としてある。」(【0019】)
(d)図2には、枠フレーム2の上面に皿が投入される投入口が形成されており、供給ホッパー12は皿を枠フレーム2の内部所定箇所まで案内するように枠フレーム2の内部から投入口の上方まで延びるように設けられていることが図示されている。また、図2には、皿が枠フレーム2内の移動部Bで回転ブラシ14等で洗浄されることが図示されている。

これらの記載事項及び図示内容を総合すると、刊行物1には、
「枠フレーム2の上面に形成された皿の投入口から投入される皿が、枠フレーム2内の移動部Bで洗浄後に排出部Cから排出されるようになっている皿洗浄装置であって、皿を枠フレーム2の内部所定箇所まで案内する供給ホッパー12が、枠フレーム2の内部から投入口の上方まで延びるように設けられている皿洗浄装置。」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

同じく、原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である、実願昭62-118947号(実開昭64-25060号)のマイクロフィルム(以下「刊行物2」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。
(e)「この露出位置となる一方(回転方向側)の受孔3の上方には、該受孔3の両側真上位置にターンテーブル1が1/4回転したときに1回転する一対の断面C形を呈す皿受兼繰出用受杆5,5を配し皿搬入手段6とする。この受杆5,5は回転軸7,7端のベベルギャー8,8を、ターンテーブル1の中心位置の駆動ベベルギャー9に噛合のベベルギャー9´の横軸10に設けたベベルギャー8´,8´に噛合する伝達機構をもち、該受杆5,5の対向位置となるC溝部5a,5aに挟んだ皿2を1枚宛落下させる構成であり、且つ該受杆5,5の上部には四方に起立した皿案内支柱11を備えてなる。」(第5頁第16行〜第6頁第9行)
(f)「次に、この作用を説明すると、先ずこの皿搬入手段6と洗浄手段21と乾燥手段22及び皿搬出手段17を、モータ29にて回転するターンテーブル1の周縁部に配置して形成の皿洗い機30の使用に際し、予め使い汚れた皿2群を前処理工程となる湯槽(図示せず)に付けて粗滓を落しておき、これを適宜枚数(例えば、20枚程度)重ねて皿搬入手段6の4本の皿案内支柱11内に収容すれば、最下段の皿2は該皿案内支柱11の下部の皿ストック筒部31の下端両側の皿受兼繰出用受杆5,5の円弧となる背部5b,5b上に接して支持される。」(第7頁第14行〜第8頁第5行)

3.対比
そこで、本願発明と引用発明とを対比すると、後者における「枠フレーム2」が、その機能・構造からみて前者における「筐体」に相当し、同様に、「皿」が「食器皿」に、「枠フレーム2内の移動部Bで洗浄後」が「筐体内部で洗浄された後」に、「排出部C」が「排出口」に、「皿洗浄装置」が「食器皿洗浄装置」に、それぞれ相当している。また、後者の「供給ホッパ12」と前者の「間隔をあけて配置した案内片」とは「案内部材」という概念で共通している。
したがって、両者は、
「筐体の上面に形成された食器皿の投入口から投入される食器皿が、前記筐体内部で洗浄された後に排出口から排出されるようになっている食器皿洗浄装置であって、
食器皿を前記筐体の内部所定箇所まで案内する案内部材が、前記筐体の内部から前記投入口の上方まで延びるように設けられている食器皿洗浄装置。」の点で一致し、以下の点で一応相違している。

相違点1:案内部材による食器皿の支持が、本願発明では、食器皿を投入口の上方において積層状態に支持するのに対し、引用発明では、食器皿をそのような状態に支持するか否かが明確でない点。
相違点2:本願発明では、案内部材が、間隔をあけて配置した案内片であり、かつ、前記投入口の内周縁周りに複数設けられているのに対し、引用発明では、案内部材がそのような構成となっていない点。

4.当審の判断
そこで上記相違点について検討する。
まず相違点1について検討する。
刊行物2には、供給される皿を積層状態で支持することが記載(上記記載事項(f)参照)されており、引用発明においても、投入口から供給される食器皿を積層状態に支持するようにする程度のことは当業者が適宜なし得ることであり、積層状態に支持する位置を必要に応じて投入口の上方とすることも単なる設計的事項にすぎない。
次に相違点2について検討する。
刊行物2には、皿受兼繰出用受杆5,5の上部に「四方に起立した皿案内支柱11」(「間隔をあけて配置した案内片」に相当)で皿を受杆5,5まで案内することが記載(上記記載事項(e)参照)されており、これを引用発明の案内部材である供給ホッパーに代えて採用することは当業者であれば容易に想到し得ることであり、採用することにより、案内片が投入口の内周縁周りに複数設けられる構成となることは明らかである。
また、本願発明の効果も引用発明及び刊行物2に記載された発明から当業者が予測し得る範囲内のことである。

5.むすび
したがって、本願発明は、引用発明及び刊行物2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-10-20 
結審通知日 2005-10-25 
審決日 2005-11-07 
出願番号 特願2000-402264(P2000-402264)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A47L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小谷 一郎  
特許庁審判長 山崎 豊
特許庁審判官 柳 五三
北川 清伸
発明の名称 食器皿洗浄装置  
代理人 重信 和男  
代理人 日高 一樹  
代理人 渡邉 知子  

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