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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  H04N
管理番号 1128918
異議申立番号 異議2003-73350  
総通号数 74 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2003-07-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-12-19 
確定日 2005-10-31 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3458858号「撮像装置」の請求項1ないし3に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3458858号の請求項1ないし2に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第3458858号の請求項1ないし3に係る発明は、昭和62年5月8日に実用新案登録出願され、平成11年6月29日に分割され、平成13年2月4日に特許出願に変更され、平成14年12月2日に分割され、平成15年8月8日にその特許権の設定登録がなされ、その後、平成15年12月19日に有限会社オフィスアテナ(代表者藁科ひさ子)(以下、「本件申立人」という)より特許異議の申立てがなされ、平成17年5月11日付けで取消しの理由が通知され、その指定期間内である平成17年7月12日に訂正請求がなされたものである。

2.訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
ア.訂正事項a
特許請求の範囲を、「【請求項1】 レンズを備える撮像部と、
前記撮像部によって撮像された画像を表示する表示手段を備える表示部とを有する撮像装置であって、
前記撮像部と前記表示部とは、前記表示手段の前方向又は後方向の被写体を撮影することができるように、表示部の厚み方向のほぼ中央部に位置する一軸を中心に回転可能に構成される撮像装置において、
前記表示部は、上部に略コ字状の切欠部を有し、前記撮像部を水平支軸である前記一軸を中心に2箇所で回動自在に前記切欠部に保持される構成とされると共に、
前記撮像部には、前記撮像部を回動操作するための回動ツマミを有していることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】 レンズを備える撮像部と、
前記撮像部によって撮像された画像を表示する表示手段を備える表示部とを有する撮像装置であって、
前記撮像部と前記表示部とは、前記表示手段の前方向又は後方向の被写体を撮影することができるように、表示部の厚み方向のほぼ中央部に位置する一軸を中心に回転可能に構成される撮像装置において、
前記撮像部と前記表示部との回転状態に応じて、前記表示手段の表示方向を切換える切換手段を有し、
前記表示部は、上部に略コ字状の切欠部を有し、前記撮像部を水平支軸である前記一軸を中心に2箇所で回動自在に前記切欠部に保持される構成とされると共に、
前記撮像部には、前記撮像部を回動操作するための回動ツマミを有していることを特徴とする撮像装置。」と訂正する。
イ.訂正事項b
上記訂正事項aと対応するように発明の詳細な説明中「課題を解決するための手段」「発明の効果」の項を訂正する。

(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記訂正事項aは、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当し、また、上記訂正事項bは、上記訂正事項aと整合を図るものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当し、いずれも、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。

(3)むすび
したがって、上記訂正は、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の第126条第1項ただし書、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.特許異議申立てについての判断
(1)申立ての理由の概要
本件申立人は、請求項1ないし3に係る発明は、甲第1号証(実願昭59-29558号(実開昭60-142567号)のマイクロフィルム)、甲第2号証(特開昭62-35329号公報)、甲第3号証(実願昭49-86825号(実開昭51-15820号)のマイクロフィルム)、甲第2号証(特開昭61-256869号公報)をもとに容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものであるから、特許を取り消すべきと主張している。

(2)本件の請求項に係る発明
上記2.で示したように上記訂正が認められるから、本件の請求項3に係る発明は削除され、本件の請求項1ないし2に係る発明(以下、「本件発明1」「本件発明2」という)は、上記訂正請求に係る訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし2に記載された事項により特定されるとおりのもの(上記2(1)ア参照)である。

(3)刊行物等
特許異議申立人が証拠として提示した刊行物には、それぞれ、以下の点が記載されている。
(ア)刊行物1:実願昭59-29558号(実開昭60-142567号)のマイクロフィルム(甲第1号証)
これには、テレビカメラ部2とケース本体1とを有するポケットテレビであって、テレビカメラ部2とケース本体1とが、ケース本体の厚み方向の中央部に位置する係合爪15a、15bを中心に回転される点が記載されている。
(イ)刊行物2:特開昭62-35329号公報(甲第2号証)
これには、カメラ本体1と電子ビューファインダー4とが、表示手段の前方向又は後方向の被写体を撮影することができるように、ターンテーブル37の回転軸を中心に回転される点及びスイッチを有する点が記載されている。
(ウ)刊行物3:実願昭49-86825号(実開昭51-15820号)のマイクロフィルム(甲第3号証)
これには、テレビカメラ本体とビューファインダーとを有するポータブルテレビカメラ10であって、テレビカメラ本体とビューファインダーとが、表示手段の前方向又は後方向の被写体を撮影することができるように、軸支部13を中心に回転される点及び外部切換スイッチを有する点が記載されている。
(エ)刊行物4:特開昭61-256869号公報(甲第4号証)
これには、ビデオカメラ本体10と電子ビューファインダー14とを有するビデオカメラであって、連結体16(ビデオカメラ本体10)と電子ビューファインダー14とが、表示手段の前方向又は後方向の被写体を撮影することができるように、上下方向に回動調節可能に取り付けられた点と、スイッチ手段及び手動で切り換える点とが記載されている。

(4)対比・判断
本件発明1ないし2と上記刊行物1ないし4に記載の発明とを対比すると、これら刊行物に記載の発明には、本件発明1ないし2を特定する事項である、「表示部は、上部に略コ字状の切欠部を有し、撮像部を水平支軸である前記一軸を中心に2箇所で回動自在に前記切欠部に保持される構成とされると共に、前記撮像部には、前記撮像部を回動操作するための回動ツマミを有している」旨の事項を備えておらず、当該事項により本件発明1ないし2は、「液晶表示部の画像を見やすい角度から見ることと、撮影方向を所望のものとすることとを両立させることができ、撮像部と表示部とを回転させても、回転角度によって装置全体の大きさが変化することがなく、回動時に撮像部のレンズに手を触れることを少なくできる」という顕著な効果を奏するのであり、本件発明1ないし2が上記刊行物1ないし4に記載のものから容易に発明をすることができたものとはいえない。

(5)むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件発明1ないし2についての特許を取り消すことができない。
また、他に本件発明1ないし2についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
したがって、本件発明1ないし2についての特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認めない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
撮像装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】レンズを備える撮像部と、
前記撮像部によって撮像された画像を表示する表示手段を備える表示部とを有する撮像装置であって、
前記撮像部と前記表示部とは、前記表示手段の前方向又は後方向の被写体を撮影することができるように、表示部の厚み方向のほぼ中央部に位置する一軸を中心に回転可能に構成される撮像装置において、
前記表示部は、上部に略コ字状の切欠部を有し、前記撮像部を水平支軸である前記一軸を中心に2箇所で回動自在に前記切欠部に保持される構成とされると共に、
前記撮像部には、前記撮像部を回動操作するための回動ツマミを有していることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】レンズを備える撮像部と、
前記撮像部によって撮像された画像を表示する表示手段を備える表示部とを有する撮像装置であって、
前記撮像部と前記表示部とは、前記表示手段の前方向又は後方向の被写体を撮影することができるように、表示部の厚み方向のほぼ中央部に位置する一軸を中心に回転可能に構成される撮像装置において、
前記撮像部と前記表示部との回転状態に応じて、前記表示手段の表示方向を切換える切換手段を有し、
前記表示部は、上部に略コ字状の切欠部を有し、前記撮像部を水平支軸である前記一軸を中心に2箇所で回動自在に前記切欠部に保持される構成とされると共に、
前記撮像部には、前記撮像部を回動操作するための回動ツマミを有していることを特徴とする撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、カメラと、モニタ用の液晶表示素子とを一体化した撮像装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のカメラ一体型表示装置、例えば液晶TV付ムービーは、VTRで録画した内容をその場ですぐに再生しモニタ用の液晶テレビジョン(以下、モニタTV)にて観察したり、或いはカメラからの映像をモニタTVに直接表示させて観察することができるものである。
【0003】
このため、液晶TV付ムービーの用途は広く、例えば各種スポーツにおけるフォームの研究、着付け・化粧のチェック等にも用いることが可能である。このように着付け・化粧のチェックに、液晶TV付ムービーを用いる利点は、画面が縮小されているため、鏡でそのまま見るのと異なり、より客観的に自分自身を視認できることにある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、液晶表示素子は、その画像の見やすい角度があり、若し、カメラの撮像方向が固定されていると、撮像方向を所望のものとし、且つ液晶表示素子に画像を見やすいものとすることが困難であった。
【0005】
また、各種スポーツにおけるフォームの研究、着付け・化粧のチェック等のために、自分自身を撮影する時には、カメラ本体を手でもって撮影するよりも、机の上等にカメラを置いて撮影することが望ましい。机の上にカメラを置いて自分自身の顔を撮影する場合、机の面に近いような低い位置から顔を撮影すると、下膨れの顔が撮影されたり、鼻の穴が強調された画像となる問題が生じる。さらに、撮像部と表示部とを回転可能に構成した場合、回転位置によって全体の大きさが変わると、回転操作時に撮像部または表示部を周囲の物に当てて、ケースに傷が付いたり、ケースが変形するおそれがあった。
【0006】
従って、この発明の目的は、所望の撮影方向とでき、且つ液晶表示素子の画像を見やすいものとでき、また、回転位置によって全体の大きさが変わらない撮像装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明は、レンズを備える撮像部と、
撮像部によって撮像された画像を表示する表示手段を備える表示部とを有する撮像装置であって、
撮像部と表示部とは、表示手段の前方向又は後方向の被写体を撮影することができるように、表示部の厚み方向のほぼ中央部に位置する一軸を中心に回転可能に構成される撮像装置において、
表示部は、上部に略コ字状の切欠部を有し、撮像部を水平支軸である一軸を中心に2箇所で回動自在に切欠部に保持される構成とされると共に、
撮像部には、撮像部を回動操作するための回動ツマミを有していることを特徴とする撮像装置である。
【0008】
カメラ部のレンズ部が回転できるので、液晶表示部の画像を見やすい角度から見ることと、撮影方向を所望のものとすることとを両立させることができる。また、撮像部と表示部とが表示部の厚み方向のほぼ中央部に位置する一軸を中心に回転可能とされているので、回転位置によって全体の大きさが変わることを防止できる。さらに、回動ツマミを設けているので、回動時に撮像部のレンズに手を触れるそれを少なくできる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施例について図面を参照して説明する。この実施例は、図1に示すように、VTRと液晶表示体(以下、LCD)を備えた表示装置に対し、この発明を適用したものである。
【0010】
このカメラ一体型表示装置は、カメラ部1と、画像表示素子としてのLCD2と、画像表示回路3と、VTR部4と、キャビネットとしての本体5とから主に構成される。
【0011】
カメラ部1は、被写体を捉えてカラー画像信号S1に変換し画像表示回路3に出力してLCD2により被写体を画像Pとして表示させ、或いは、カラー画像信号S1を音声信号と共にVTR部4に出力して図示せぬVTRテープに記録させるものである。このカメラ部1は、上端部の水平支軸6に取付けられて水平支軸6の円周方向(矢示C方向)に回動自在とされレンズ収納部7を有するカメラ8と、このカメラ8と同軸状態で水平支軸6に取付けられ、カメラ8を円周方向(矢示C方向)に回動操作するための回動ツマミ9とからなる。
【0012】
LCD2は、画素Eを駆動させることで任意の画像Pを表示する。LCD2は本体5の手前側の側面10に配されており、その内部には、m行の行電極Xとn列の列電極Yを有する。そして、画像Pの表示に当たっては、i行目の行電極Xiと、j列目の列電極Yjに画像表示回路3より供給される駆動信号SMを印加して、その交点の画素Eijを駆動させて行う。
【0013】
画像表示回路3(図2参照)は、カメラ部1、VTR部4或いは図示せぬTVチューナ部等より供給されるカラー映像信号S1を基に、駆動信号SMと三原色信号(後述)を形成してLCD2に印加して画像Pを表示せしめるものである。この画像表示回路3は、信号処理回路11と、同期制御回路12と、LCD駆動制御回路13と、列電極選択駆動回路14と、行電極選択駆動回路15とから構成されている。信号処理回路11は、端子16から入力されるカメラ部1、VTR部4、或いは図示せぬTVチューナ等からのカラー映像信号S1のYC分離、色復調、マトリックス演算等の処理を行うもので、同期制御回路12に対してはカラー映像信号S1に含まれる水平同期信号SH、垂直同期信号SVを供給し、LCD駆動制御回路13に対してはカラー映像信号S1を赤(R),青(B),緑(G)の各原色信号に分離して供給する。
【0014】
同期制御回路12は、信号処理回路11からの水平・垂直同期信号SH,SVを基にLCD駆動制御回路13に対してタイミング信号STを供給し、列及び行電極選択駆動回路14,15の夫々に対して水平・垂直同期信号SH,SVに同期したクロック信号CLH,CLVを供給する。
【0015】
LCD駆動制御回路13は、原色信号R・G・Bより、その反転信号*R・*G・*B(*は反転を意味する)を形成すると共に、これら原色信号R・G・Bと*R・*G・*Bとから形成される電圧V1,V2,V3を列電極選択駆動回路14に印加している。
【0016】
列電極選択駆動回路14には、図3に示すように、同期制御回路12からクロック信号CLHを受け、クロック信号CLHを計数するカウンタ17が設けられている。このカウンタ17は、加算方向(up)又は減算方向(down)の計数動作の可能な所謂up/downカウンタである。
【0017】
このカウンタ17の計数方向を切り換えるため、カウンタ切換スイッチ18が設けられている。このカウンタ切換スイッチ18は、端子19,20,21によって構成され、一方の端子20には、Hレベルの電圧が加えられ、他方の端子21はアースされてLレベルとされている。このカウンタ17は、端子19と20を接続する(即ち、Hレベル)ことでupカウンタとなし、又端子19と21を接続する(即ち、Lレベル)ことでdownカウンタとなす。カウンタ17より出力される2値信号がBCDデコーダ22に供給され、BCDデコーダ22により列電極選択信号Srが形成される。更に列電極選択駆動回路14には、列電極選択信号Srに基づいて対応する列電極Yを選択し列電極Yに駆動信号SMを印加する駆動回路23が設けられている。
【0018】
行電極選択駆動回路15は、列電極選択駆動回路14と同様の構成であり、同期制御回路12からのクロック信号CLVを計数するカウンタ24と、カウンタ24より出力される2値信号を基に行電極選択信号Scを出力するBCDデコーダ25と、カウンタ切換スイッチ26と、駆動装置27とからなる。上記カウンタ切換スイッチ26は、カメラ8の回動と連動せしめられている。即ちカメラ8が前方向(矢示F方向)を向いている時には、端子28,29が接続されることでカウンタ24をupカウンタとし、又、カメラ8が後方向(矢示B方向)を向いている時には、端子28,30が接続されることでカウンタ24をdownカウンタとする。尚、このカウンタ切換スイッチ26の接続状態は、操作ボタン31の操作により解除することもでき、このためカウンタ24をupカウンタ、downカウンタのいずれに設定するかが自在とされる。
【0019】
VTR部4は、本体5の下部に形成されているもので、カメラ部1、或いは図示せぬTVチューナより供給されるカラー映像信号S1を、音声信号と共に図示せぬVTRテープに記録させるものである。また再生時には、VTR部4より画像表示回路3にカラー映像信号S1を出力してLCD2に画像Pを表示させるものである。
【0020】
次に、カメラ8を用いて、このカメラ一体型表示装置のLCD2に、通常の画像P及び鏡面像PMを表示せしめる場合について説明する。
【0021】
(1)通常の画像Pを表示せしめる場合
図4に示す如く、カメラ8を被写体(図示せず)に向けると共に、カウンタ切換スイッチ18の端子19,20を接続してカウンタ17にHレベルの電圧を印加してカウンタ17をupカウンタとする。一方、カウンタ切換スイッチ26は、カメラ8が前方向(矢示F方向)を向いているので端子28,29が接続された状態となり、カウンタ24はupカウンタとされる。
【0022】
upカウンタとされた行電極選択駆動回路15のカウンタ24に、クロック信号CLVが加えられると、クロック信号CLVをカウントすると共にこの計数値を2値信号でBCDデコーダ25に供給する。BCDデコーダ25は、最初の2値信号から行電極選択信号Scを駆動回路27に加える。駆動回路27は、行電極選択信号Scにより第1行目の行電極X1を選択して駆動信号SMを印加する。
【0023】
upカウンタとされた列電極選択駆動回路14のカウンタ17にクロック信号CLHが加えられると、クロック信号CLHをカウントすると共にこの計数値を2値信号でBCDデコーダ22に供給する。BCDデコーダ22は、最初の2値信号から列電極選択信号Srを駆動回路23に加える。駆動回路23は、列電極選択信号Srにより第1列目の列電極Y1を選択して駆動信号SMを印加する。
【0024】
この結果、第1行目の行電極X1と第1列目の列電極Y1の各々に駆動信号SMが印加されその交点の画素E1,1が駆動せしめられる。
【0025】
次のクロック信号CLHが列電極選択駆動回路14のカウンタ17に加えられると、カウンタ17が加算方向にインクリメントして第2列目の列電極Y2が列電極選択信号Srにて選択され駆動信号SMが印加され画素E1,2が駆動される。このようにして第1行目の行電極X1と、これと交差する各列電極Yjとの交点の画素E1,jの駆動が第1列から第n列迄、増加する方向(列電極Yの増加方向、矢示YU方向)に行われた後、行電極選択駆動回路15のカウンタ24にクロック信号CLVが加えられると、カウンタ24が加算方向にインクリメントした後、BCDデコーダ25を経て第2行目の行電極X2を選択すべく行電極選択信号Scが駆動回路27に出力され、駆動回路27は行電極選択信号Scに基づいて第2行目の行電極X2に駆動信号SMを加える。
【0026】
第2行目の行電極X2も第1行目の行電極X1の場合と同様にして第1列から第n列迄の各列電極Yjに順次、駆動信号SMが印加されて画素E2,1〜E2,nが駆動せしめられる。このようにして行電極Xは、第1行から第m行迄行数が増加する方向(行電極Xの増加方向、矢示XU方向)に順次選択される。又一つの行電極Xiに継続して駆動信号SMが印加されている間、列電極Yjは第1列から第n列迄、列数が増加する方向(矢示YU方向)に順次選択されて駆動信号SMが印加されることになる。これにより行電極Xiと列電極Yjの交点画素Ei,jが順次駆動される。この間、列電極選択駆動回路14の駆動回路23には、LCD駆動制御回路13より出力された原色信号に対応する電圧V1〜V3が加えられており、この電圧V1〜V3のレベルによって画素Ei,jの駆動時の色相、彩度、輝度が決定される。LCD2の全画素E1,1〜Em,nを駆動すると、画像Pが完成し、以上の処理を連続して繰り返すことで、動画像を実現し得る。
【0027】
これにより、LCD2には、前方向(矢示F方向)における被写体がそのままの状態で表示されることになる。
【0028】
(2)鏡面像PMを表示せしめる場合(図5及び図3に示す鏡面像PM参照)
図5に示すように、このカメラ一体型表示装置を、鏡代わりに使用したい場合には、LCD2に鏡面像PMを表示せしめる。即ち、図5に示す如く、カメラ8を回動させて(矢示C方向)操作者Ope自身の側(即ち、後方向、矢示B方向)に向けると、カメラ8の向きと連動しているカウンタ切換スイッチ26は、端子28,30が接続されてdownカウンタとされる。一方、カウンタ切換スイッチ18は(1)と同様upカウンタのままにしておく。これは、カメラ8を操作者Ope自身の側(矢示B方向)に向けた場合、LCD2では、垂直方向(矢示V方向)、水平方向(矢示H方向)の双方において反転するため、鏡面像PMを得るには、垂直方向(矢示V方向)においてのみ反転させれば良いことによるものである。
【0029】
行電極選択駆動回路15のカウンタ24は、downカウンタなので、カウンタ24が第1回目のクロック信号CLVをカウントした時点で第m行目の行電極Xmが行電極選択信号Scにより選択され、行電極Xmに駆動信号SMが印加される。一方、列電極選択駆動回路14は、カウンタ17がupカウンタなので、クロック信号CLHをカウントすると第1列目の列電極Y1を選択して駆動信号SMを印加する。これにより、第m行目の行電極Xmと第1列目の列電極Y1とが選択され、各々駆動信号SMが印加されて交点の画素Em,1が駆動される。
【0030】
そして、列電極選択駆動回路14のカウンタ17が次のクロック信号CLHに基づいて加算方向にインクリメントすると第2列目の列電極Y2が選択され、駆動信号SMが印加される。
【0031】
このようにして第m行目の行電極Xmと、第1列目から第n列に至る各列電極Yjとの全ての交点の画素Em,1〜Em,nの駆動が矢示YU方向に行われた後、行電極選択駆動回路15のカウンタ24にクロック信号CLVが加えられると、BCDデコーダ25を経て行電極選択信号Scが出力され、駆動回路27より第m-1行目の行電極Xm-1が選択されて駆動信号SMが加えられる。
【0032】
第m-1行目の行電極Xm-1も、第m行目の行電極Xmと同様に、第1列から第n列に向けて列電極Yjが順次、選択されて各画素Em-1,jを順次駆動する。
【0033】
このようにして、行電極Xは第m行から第1行迄、行数が減少する方向(行電極の減少方向、矢示XD方向)に順次選択され、又一つの行電極X1に継続して駆動信号SMが印加されている間、列電極Yjは第1列から第n列に向けて列数が増加する方向(矢示YU方向)に順次選択されることになり、画素Ei,jを順次駆動する。
【0034】
この結果、(1)に既述した順序で表示される画像Pが(2)では逆に第m行から第1行にかけて行数の減少する方向に表示され且つ列方向の表示順序は同じであるため、(1)にて表示される画像Pを基準とすれば、これを垂直方向に反転させた状態の画像(即ち、鏡面像PM)が得られる。
【0035】
この実施例によれば、カメラ部1を操作者Ope自身側(後方向)に向けた場合には、画像表示回路3の動作により、LCD2に鏡面像PMを表示でき、このカメラ一体型表示装置を鏡として用いることができるものである。又、この実施例では、カメラ部1を用いて鏡面像を得る例について説明しているが、VTR再生時、TV受信時等においても同様に鏡面像を得ることができるものである。
【0036】
尚、この実施例では、画像Pの反転を行わない場合と、画像Pを垂直方向に反転させた場合のみを説明しているが、カウンタ切換スイッチ18,26を操作することにより、以下に述べるように、垂直方向・水平方向の双方に反転して画像Pの表示状態を自在に変換できるものである。
【0037】
(3)画像を水平方向に反転させた場合(行電極(upカウント)〜列電極(downカウント))
この場合には、行電極選択駆動回路15のカウンタ24をupカウンタとなし、列電極選択駆動回路14のカウンタ切換スイッチ18の端子19と端子21を接続しカウンタ17にLレベルの電圧を印加してdownカウンタとする。
【0038】
これにより、行電極Xは第1行から第m行迄、行数が増加する方向(矢示XU方向)に順次選択され、又一つの行電極Xiに接続して駆動信号SMが印加されている間、列電極Yjは第n列から第1列に向けて列数が減少する方向(列電極Yの減少方向、矢示YD方向)に順次選択されることになり、行電極Xiと列電極Yjの交点の画素Ei,jが順次駆動される。
【0039】
この結果、(1)に既述した順序で表示される画像Pが、(3)では逆に第n列から第1列にかけて列数の減少する方向に順次、表示されるため、(1)にて得られる画像Pを基準とすれば、これを水平方向に反転させた状態の画像が得られる。
【0040】
(4)画像を水平方向・垂直方向に反転させた場合(行電極(downカウント)〜列電極(downカウント))
この場合には、行・列両電極選択駆動回路15,14のカウンタ切換スイッチ18,26を操作してカウンタ24、17にLレベルの電圧を印加して共にdownカウンタとする。
【0041】
行・列両電極選択駆動回路15,14のカウンタ24,17は共にdownカウンタなので、両カウンタ24,17が第1回目のクロック信号CLH,CLVをカウントした時点で、行電極Xは、第m行目の行電極Xmそして列電極Yは、第n列目の列電極Ynが選択され各々駆動信号SMが印加される。
【0042】
このようにして、行電極Xは第m行から第1行迄、行数が減少する方向(矢示XD方向)に順次選択され、又一つの行電極Xiに継続して駆動信号SMが印加されている間、列電極Yjは第n列から第1列に向けて列数が減少する方向(矢示YD方向)に順次選択されることになり、行電極Xiと列電極Yjの交点の画素Ei,jが順次駆動される。
【0043】
この結果、(4)では第m行から第1行にかけて行数が減少する方向に、又第n列から第1列にかけて列数の減少する方向に画像が順次、表示されるため、(1)にて得られる画像Pを基準とすれば、これを垂直・水平両方向に反転させた状態の画像が得られる。
【0044】
尚、この発明は、本実施例のみに限定されるものでなく、単純マトリックス方式、アクティブマトリックス方式、更には二重マトリックス電極駆動方式のいずれにも適用が可能であり、又透過型のLCDにのみ限定されるものではなく、あらゆる型のLCDに適用が可能である。
【0045】
【発明の効果】
この発明によれば、カメラ部のレンズ部が回転できるので、液晶表示部の画像を見やすい角度から見ることと、撮影方向を所望のものとすることとを両立させることができる。また、表示部の厚み方向の中央部に位置する一軸を中心に撮像部と表示部とが構成されているので、撮像部と表示部とを回転させても、回転角度によって装置全体の大きさが変化することがない。さらに、回動ツマミを設けているので、回動時に撮像部のレンズに手を触れるそれを少なくできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
この発明の一実施例を示す斜視説明図である。
【図2】
この一実施例に用いられるLCDと画像表示回路を示すブロック図である。
【図3】
画像表示回路における行及び列電極選択駆動回路を示すブロック図である。
【図4】
このカメラ一体型表示装置の使用例を示す説明図である。
【図5】
このカメラ一体型表示装置の使用例を示す説明図である。
【符号の説明】
1:カメラ部、2:LCD、3:画像表示回路、5:本体、10:側面、P:画像、V:垂直方向、H:水平方向
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2005-10-13 
出願番号 特願2002-349980(P2002-349980)
審決分類 P 1 651・ 121- YA (H04N)
最終処分 維持  
前審関与審査官 坂東 博司石川 伸一角田 芳末関谷 隆一  
特許庁審判長 原 光明
特許庁審判官 西谷 憲人
堀井 啓明
登録日 2003-08-08 
登録番号 特許第3458858号(P3458858)
権利者 ソニー株式会社
発明の名称 撮像装置  
代理人 森 幸一  
代理人 森 幸一  
代理人 杉浦 正知  
代理人 杉浦 正知  

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