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審決分類 審判 一部申し立て 2項進歩性  B42D
審判 一部申し立て 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備  B42D
管理番号 1128926
異議申立番号 異議2003-73578  
総通号数 74 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2002-05-22 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-12-26 
確定日 2005-10-20 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3473570号「画像形成体および画像付きカード」の請求項1ないし14、21に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3473570号の請求項1ないし14、21に係る特許を取り消す。 
理由 1.手続の経緯
本件の出願から本決定に至るまでの主な経緯は次のとおりである。
平成12年11月13日 本件出願(特願2000-345176号)
平成15年9月19日 特許第3473570号として設定登録(請求項1〜21)
平成15年12月8日 特許公報発行
平成15年12月26日 特許異議申立人長谷川三冶子より、請求項1〜14、21に係る発明についての特許に対して特許異議申立
平成16年8月3日付け 当審にて取消理由通知
平成16年10月12日 特許権者より特許異議意見書及び訂正請求書提出

2.訂正の適否についての判断
ア.特許権者が求めている訂正の内容は、次のとおりである。
訂正事項a:特許請求の範囲の請求項1を、
「【請求項1】支持体上に少なくとも、複数色のインクのドットで形成された面積階調による多色画像と、該画像を覆うように設けられた透明層とを備えており、該インクは、着色顔料、非晶質有機重合体、および、無色又は淡色の微粒子を主成分とし、該ドットの膜厚は0.2〜1.0μmの範囲であることを特徴とする画像形成体。」から、
「【請求項1】支持体上に少なくとも、複数色のインクのドットで形成された面積階調による多色画像と、該画像を覆うように設けられた透明層とを備えており、該インクは、着色顔料、非晶質有機重合体、および、無色又は淡色の微粒子を主成分とし、該ドットの膜厚は0.2〜1.0μmの範囲であり、前記透明層は、前記非晶質有機重合体と同一か又は同種の非晶質有機重合体を含むことを特徴とする画像形成体。」に訂正する。
訂正事項b:特許請求の範囲の請求項5を、
「【請求項5】支持体上に少なくとも、複数色のインクのドットで形成された面積階調による多色画像と、該画像を覆うように設けられた透明層とを備えており、該インクは、着色顔料、非晶質有機重合体、および、無色又は淡色の微粒子を主成分とし、該ドットの膜厚は0.2〜1.0μmの範囲であることを特徴とする画像付きカード。」から、
「【請求項5】支持体上に少なくとも、複数色のインクのドットで形成された面積階調による多色画像と、該画像を覆うように設けられた透明層とを備えており、該インクは、着色顔料、非晶質有機重合体、および、無色又は淡色の微粒子を主成分とし、該ドットの膜厚は0.2〜1.0μmの範囲であり、前記透明層は、前記非晶質有機重合体と同一か又は同種の非晶質有機重合体を含むことを特徴とする画像付きカード。」に訂正する。
訂正事項c:特許請求の範囲の請求項12を、
「【請求項12】前記熱転写記録層の前記の着色顔料、非晶質有機重合体、および、無色又は淡色の微粒子の配合比は、該着色顔料が20〜60重量部の範囲、該非晶質有機重合体が40〜80重量部の範囲、そして該微粒子が1〜30重量部の範囲、にあることを特徴とする請求項5乃至11のいずれかに記載の画像付きカード。」から、
「【請求項12】前記の着色顔料、非晶質有機重合体、および、無色又は淡色の微粒子の配合比は、該着色顔料が20〜60重量部の範囲、該非晶質有機重合体が40〜80重量部の範囲、そして該微粒子が1〜30重量部の範囲、にあることを特徴とする請求項5乃至11のいずれかに記載の画像付きカード。」に訂正する。
訂正事項d:特許明細書の段落【0010】を、次のように訂正する。
「【0010】【課題を解決するための手段】請求項1に示す発明は、支持体上に少なくとも、複数色のインクのドットで形成された面積階調による多色画像と、該画像を覆うように設けられた透明層とを備えており、該インクは、着色顔料、非晶質有機重合体、および、無色又は淡色の微粒子を主成分とし、該ドットの膜厚は0.2〜1.0μmの範囲であり、前記透明層は、前記非晶質有機重合体と同一か又は同種の非晶質有機重合体を含むことを特徴とする画像形成体を提供する。」
訂正事項e:特許明細書の段落【0014】を、次のように訂正する。
「【0014】請求項5に示す発明は、支持体上に少なくとも、複数色のインクのドットで形成された面積階調による多色画像と、該画像を覆うように設けられた透明層とを備えており、該インクは、着色顔料、非晶質有機重合体、および、無色又は淡色の微粒子を主成分とし、該ドットの膜厚は0.2〜1.0μmの範囲であり、前記透明層は、前記非晶質有機重合体と同一か又は同種の非晶質有機重合体を含むことを特徴とする画像付きカードを提供する。」
訂正事項f:特許明細書の段落【0024】を、次のように訂正する。
「【0024】請求項12に示す発明は、前記の着色顔料、非晶質有機重合体、および、無色又は淡色の微粒子の配合比は、該着色顔料が20〜60重量部の範囲、該非晶質有機重合体が40〜80重量部の範囲、そして該微粒子が1〜30重量部の範囲、にあることを特徴とする請求項5乃至11のいずれかに記載の画像付きカードを提供する。但し、これら着色顔料、非晶質有機重合体、および、無色又は淡色の微粒子の配合比でいう重量部とは、固形分に関する値である。」

イ.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項a及びbは、請求項1及び5に発明を特定する事項として記載されていた画像を覆うように設けられた透明層を、願書に添付した明細書の段落【0065】、【0066】及び【0089】の記載に基づいて、非晶質有機重合体と同一か又は同種の非晶質有機重合体を含むものに限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
訂正事項cは、請求項12において引用する請求項5乃至11にも、請求項12にも記載されていない、請求項12における「熱転写記録層」を削除するものであるから、誤記の訂正である。
訂正事項d.e.fは、訂正事項a、b,cに伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るためのものであるから、この訂正は明りょうでない記載の釈明を目的とするものと認める。
そして、上記訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内での訂正であり、いずれも新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。

ウ.むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は特許法第120条の4第2項及び同条第3項において準用する同法第126条第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.特許異議の申立てについての判断
ア.本件の請求項1乃至14及び請求項21に係る発明
上記2.で示したように上記訂正が認められるから、本件の請求項1乃至14及び請求項21に係る発明は、上記訂正請求に係る訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1乃至14及び請求項21に記載された次のとおりのものである。
「【請求項1】支持体上に少なくとも、複数色のインクのドットで形成された面積階調による多色画像と、該画像を覆うように設けられた透明層とを備えており、該インクは、着色顔料、非晶質有機重合体、および、無色又は淡色の微粒子を主成分とし、該ドットの膜厚は0.2〜1.0μmの範囲であり、前記透明層は、前記非晶質有機重合体と同一か又は同種の非晶質有機重合体を含むことを特徴とする画像形成体。
【請求項2】請求項1に記載の画像形成体とは冊子状のパスポートであって、前記支持体とは、該パスポートの表紙、裏表紙、あるいは綴じられた頁の中のいずれかであることを特徴とする画像形成体。
【請求項3】請求項1に記載の画像形成体とはシール状あるいは短冊状のビザであることを特徴とする画像形成体。
【請求項4】請求項1に記載の画像形成体とは冊子であり、前記支持体とは、該冊子ポートの表紙、裏表紙、あるいは綴じられた頁の中のいずれかであることを特徴とする画像形成体。
【請求項5】支持体上に少なくとも、複数色のインクのドットで形成された面積階調による多色画像と、該画像を覆うように設けられた透明層とを備えており、該インクは、着色顔料、非晶質有機重合体、および、無色又は淡色の微粒子を主成分とし、該ドットの膜厚は0.2〜1.0μmの範囲であり、前記透明層は、前記非晶質有機重合体と同一か又は同種の非晶質有機重合体を含むことを特徴とする画像付きカード。
【請求項6】前記複数色のインクには、イエロー、マゼンタ、およびシアンの少なくとも3色があることを特徴とする請求項5に記載の画像付きカード。
【請求項7】前記インクは、前記着色顔料の80重量%以上が有機顔料であることを特徴とする請求項5又は6のいずれかに記載の画像付きカード。
【請求項8】前記着色顔料は、平均粒子径が50〜500nmの範囲にあることを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載の画像付きカード。
【請求項9】前記無色又は淡色の微粒子は、平均粒子径が100〜300nmの範囲にあることを特徴とする請求項5乃至8のいずれかに記載の画像付きカード。
【請求項10】前記インクは、前記着色顔料の粒子径分布は、粒子径が1μmを超える着色顔料の比率が10%以下であることを特徴とする請求項5乃至9のいずれかに記載の画像付きカード。
【請求項11】前記無色又は淡色の微粒子の粒子径分布の広がりの幅が、前記着色顔料の粒子径分布の広がりの幅よりも狭いことを特徴とする請求項5乃至10のいずれかに記載の画像付きカード。
【請求項12】前記の着色顔料、非晶質有機重合体、および、無色又は淡色の微粒子の配合比は、該着色顔料が20〜60重量部の範囲、該非晶質有機重合体が40〜80重量部の範囲、そして該微粒子が1〜30重量部の範囲、にあることを特徴とする請求項5乃至11のいずれかに記載の画像付きカード。
【請求項13】前記支持体上には、前記インクの非晶質有機重合体と同種の非晶質有機重合体を含む中間層が設けてあり、前記画像が、該中間層と前記透明層との間に配置されていることを特徴とする請求項5乃至12のいずれかに記載の画像付きカード。
【請求項14】前記非晶質有機重合体は、軟化点が70〜150℃の範囲にあるエポキシ樹脂であることを特徴とする請求項5乃至13のいずれかに記載の画像付きカード。
【請求項21】ホログラム、回折格子、蛍光剤、あるいは磁性材料のうち少なくともいずれか一つを用いて形成された第2の画像と、前記複数色のインクのドットで形成された画像とが、前記支持体の同じ側の面に見えるように形成されていることを特徴とする請求項5乃至20のいずれかに記載の画像付きカード。」(以下、「本件発明1」乃至「本件発明14」及び「本件発明21」という。)

イ.引用例等
当審が通知した取消理由に引用した、特開平8-290676号公報(特許異議申立人の提出した甲第1号証、以下、「引用例1」という。)、特開平10-203019号公報(同甲第2号証、以下、「引用例2」という。)、特開平11-348328号公報(同甲第3号証、以下、「引用例3」という。)には、それぞれ下記の事項が記載されている。
[引用例1]
a.「【請求項1】着色顔料、軟化点が40℃〜150℃の温度範囲にある非晶質有機高分子重合体、そして無色の微粒子を、それぞれ、30〜70重量%、25〜65重量%、そして0.5〜25重量%含み、層厚が0.2μm〜1.0μmの範囲に有るインキ層を有する感熱転写シート。【請求項2】インキ層の中の着色顔料の70重量%以上のものの粒径が、0.1〜1.0μmの範囲にある請求項1に記載の感熱転写シート。...【請求項5】請求項1に記載の感熱転写シートのインキ層の上に受像シートを重ね、感熱転写シートの背面からサーマルヘッドを押し当て、受像シート上に光学反射濃度が1.0以上の面積階調で構成される転写画像を形成することからなる画像形成方法。」(【特許請求の範囲】)
b.「本発明において、無機又は有機微粒子の平均粒子径は、0.005〜1.5μmの範囲に有ることが好ましく、更に好ましくは、0.01〜0.7μmの範囲で有る。」(【0025】)
c.「また、プルーフ用として使用する場合には、印刷本紙と同じ紙に画像を形成するためにプラスチックフィルム上に形成された転写画像を印刷本紙に再転写して画像を形成させてもよい。」(【0040】)
d.「また、上記のようにして得られた受像シート上の転写画像を更に、別に用意した印刷本紙となる白色支持体に重ね、この状態で加圧、加熱処理することによって、白色支持体上に再転写を得ることができる。」(【0041】)
e.「【実施例】以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1](感熱転写シートの作成)それぞれ下記の組成を有する三種類のインキ層用顔料・非晶質有機高分子重合体分散液A、B、およびCを調製した。
ポリビニルブチラール 12重量部
(デンカブチラール#2000-L、電気化学工業(株)製)
着色顔料
A B C
シアン顔料(C.I.PB.15:4) 12重量部 - -
マゼンタ顔料(C.I.PR.57:1) - 12重量部 -
イエロー顔料(C.I.PY.14) - - 12重量部
無機微粒子 2.4重量部
シリカ粒子(アエロジルR972、平均粒子径:0.03μm、
日本アエロジル(株)製)
分散助剤 0.8重量部
(ソルスパースS-20000、ICIジャパン(株)製)
溶剤(n-プロピルアルコール) 110重量部」(【0048】)
f.「使用したシアン着色顔料の粒度(粒径)分布を図1に、マゼンタ顔料の粒度分布を図2に、そしてイエロー顔料の粒度分布を図3に示す。」(【0049】)
g.「[サーマルヘッドを用いた画像形成及び評価]前記で得た感熱転写シートと受像シートとを用い、以下の手順で画像形成方法を実施した。まず、シアン感熱転写シートと受像シートとを重ね合せ、副走査分割法によるサーマルヘッド記録装置により感熱印字した。この原理は75μm×50μmのヘッドを50μm方向に、微小送り3μmピッチでオンオフすることにより、面積階調のみの多段階記録を行う方式である。次いで、シアン感熱転写シートのポリエステルフィルム(支持体)を剥離し、受像シート上に面積階調のみよりなる画像を形成させた。次にマゼンタ感熱転写シートを、シアン画像が形成されている受像シートの上に重ね合せ、位置を合わせて同様に印字し、該マゼンタ転写シートのポリエステルフィルムを剥離することにより、受像シート上にマゼンタ画像した。さらに同様にしてマゼンタ画像の上に、イエロー画像を形成させ、受像シート上に面積階調のみよりなるカラー画像(フルカラー画像)を形成した。なお、得られたカラー画像における各単色の反射濃度は下記の通りであった。
光学濃度(ベタ部)
シアン 1.53
マゼンタ 1.43
イエロー 1.58」(【0057】)
h.「本発明の無色の微粒子を含有する感熱転写シートを用いることにより、面積階調のみで、画像のエッジシャープネスも含めたドット形状が良好で、かつギラツキの低減された転写画像を得ることができる。」(【0086】)
i.表5より感熱転写シートにおいて無機微粒子として使用したシリカ粒子(アエロジルR972、日本アエロジル(株)製)の平均粒子径が、0.03μmであること、シアン顔料の粒度分布を示した図1、マゼンタ顔料の粒度分布を示した図2、イエロー顔料の粒度分布を示した図3より、シアン、マゼンタ、イエローのいずれの着色顔料も粒子径が、1.0μmを超えるものの比率は10%以下であることが看取できる。

[引用例2]
a.「【請求項1】インクリボンに形成された熱溶融性インクを、記録ヘッドにより記録紙表面に設けた多孔質層または多溝質層に浸透定着させて多階調記録を行う浸透溶融方式の熱転写記録用インクリボンにおいて、紫外線硬化型樹脂を主成分とする組成物よりなる光沢付与層が剥離転写可能に設けられていることを特徴とする熱転写記録用インクリボン。」(【特許請求の範囲】)。
b.「発熱抵抗体に流す電流を記録する画像の階調に応じて変化させると、面積変調による多階調の記録が、あるいは記録紙に多孔質層を有する記録紙を用いた場合には、インクの浸透量と浸透面積が同時に制御されて、面積変調と濃度変調による多階調の記録が可能となる。」(【0007】)
c.「また、ワックス類と混合して用い、インク溶融粘度、インク塗工性、インク塗膜平滑性、記録紙に対する溶融インクの接着性などの調整のために添加される樹脂類としては、ワックス類と相溶性のよい材料が選択される。例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合体などのエチレン系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体などの塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、エポキシ系樹脂、スチレン系樹脂、石油系樹脂などが使用できる。」(【0011】)
d.「この紫外線硬化型樹脂の硬化膜は、3次元架橋構造が強く緻密なために、光沢性の改善ばかりでなく、熱溶融性インク層の耐候性、耐擦過性、耐汚染性、耐溶剤性などの保護膜としても十分機能するという利点もある。」(【0013】)
e.「図3に示したように、インク層が形成されるインクリボン基体とは別のインクリボン基体1b’に光沢付与層1x’のみを形成し、インク層の転写が全て終了した後に、光沢付与層の転写を行うようにすることもできる。このようなインクリボンを使用して、記録紙に画像記録を行う場合、図4に示すように、先ずインク層1aが記録紙2の表面に転写され、続いて、このインク層1aを覆うようにして光沢付与層1xが転写されるため、転写されたインク層1aは、光沢付与層1x内に、言わば埋設されたかたちとなり」(【0018】)
[引用例3]
a.「【請求項2】中間転写媒体に、色材となる顔料もしくは染料の少なくとも一つを用いた着色層が支持体上に設けられてなる感熱転写記録媒体を重ね合わせ、該感熱転写記録媒体の前記着色層を画像情報に基づき加熱手段により溶融転写するか、または前記色材となる染料が昇華性染料の場合には、前記着色層を画像情報に基づき加熱手段により加熱することにより色材を熱昇華させることによって、前記中間転写媒体に感熱転写記録画像を書き込む感熱転写記録画像書込手段と、前記感熱転写記録画像が書き込まれた中間転写媒体を被転写体に加熱加圧することによって、前記感熱転写記録画像を被転写体に転写して画像を形成する画像転写手段とを備える画像形成装置において、前記中間転写媒体を感熱転写記録画像書込手段へ供給する中間転写媒体供給手段の、前記中間転写媒体と前記感熱転写記録媒体との接触部分の前段に、版型を前記中間転写媒体の前記感熱転写記録媒体と接触する側の表面に押し付ける版型押付手段を設けたことを特徴とする画像形成装置。...【請求項4】前記加熱手段は、サーマルヘッドによる印加加熱量によって、溶融する前記着色層の面積を変化させて階調表現を行う構成であることを特徴とする請求項2または3記載の画像形成装置。」(【特許請求の範囲】)
b.「サーマルヘッド等で感熱転写した画像は、所詮ドットの集まりによって形成されるいわゆるラスター画像であり、有限の解像度を持つ画像と言える。従って、例えば、本画像形成手段をパスポートや査証等といったID分野に使用した場合にはどうしても他の印画手段、例えば、同じサーマルヘッドを用いた感熱転写やインクジェット方式、レーザによって静電潜像を形成するレーザプリンター方式(LEDやLCD等の光スイッチを書込走査手段に使用したものを含む)等、やはり有限の解像度で画像を形成するいわゆるラスター走査方式の画像形成手段によって、改ざん、もしくは偽造がなされる可能性を完全になくすることはできない。」(【0013】)
c.「このヒートローラ50は図中B方向に降下され、画像を転写された前記中間転写媒体10を、前記被転写体1上に加熱加圧することによって、中間転写媒体10の画像(受像層を兼ねた熱接着層)ホログラム層、図示していない保護層等、いわゆる画像層を転写するものである。なお、受像層と熱接着層とは別個のものとして、受像層に画像を形成し、熱接着層は受像層上か、または被転写体上に設け、受像層等を転写する際には、この熱接着層を利用することも好ましい。」(【0037】)

ウ.対比・判断
(1)引用例1記載の発明
引用例1において、発明の対象は、「画像形成方法」となっているが、引用例1の上記記載a〜iを含む明細書及び図面の全記載によれば該「画像形成方法」によって得られるカラー画像を形成したシートの発明を把握することができ、それは、次のようなものである。
「着色顔料、非晶質有機高分子重合体、無色の微粒子を、それぞれ、30〜70重量%、25〜65重量%、0.5〜25重量%含み、層厚が0.2μm〜1.0μmの範囲に有るインキ層を有する感熱転写シートのインキ層の上に受像シートを重ね、感熱転写シートの背面からサーマルヘッドを押し当て、受像シート上に面積階調のみの多段階記録を行なう画像形成方法によって得られたカラー画像を形成したシートであって、まず、シアン感熱転写シートと受像シートとを重ね合せ、受像シート上にシアン画像を形成させ、次にマゼンタ感熱転写シートをシアン画像が形成されている受像シートの上に重ね合せ受像シート上にマゼンタ画像を形成し、さらにイエロー感熱転写シートをマゼンタ画像の上に重ね合せて、イエロー画像を形成させる画像形成方法によって、受像シート上にドット品質、階調再現性を改良した面積階調で構成されるカラー画像を形成したシート。」(以下、「引用例1発明」という。)

(2)本件発明1について
本件発明1と引用例1発明とを対比するに、引用例1発明の「受像シート」、「面積階調で構成されるカラー画像」及び「カラー画像を形成したシート」は、それぞれ、本件発明1の「支持体」、「面積階調による多色画像」及び「画像形成体」に相当する。
本件発明1における支持体上のドットは、0.2μm〜1.0μmの膜厚の熱転写記録層(3)を有する熱転写記録媒体(【0062】)を用いることによって、その膜厚が0.2〜1.0μmの範囲に形成されるから、引用例1発明の層厚が0.2μm〜1.0μmの範囲にあるインキ層(本願発明の「熱転写記録層」に相当)を有する感熱転写シート(本願発明の「熱転写記録媒体」に相当)を用いて形成される引用例1発明の受像シート(本願発明の「支持体」に相当)上のドットの膜厚も同等の範囲に形成されることが明らかである。
また、引用例1発明のドットは、インク層(本願発明の「熱転写記録層」に相当)にそれぞれ、シアン、マゼンタあるいはイエローの着色顔料を含む3種の感熱転写シート(本願発明の「熱転写記録媒体」に相当)で形成されるから、複数色のインクで形成されているといえる。
なお、引用例1発明のインキ層は、着色顔料、非晶質有機高分子重合体、無色の微粒子を、それぞれ、30〜70重量%、25〜65重量%、0.5〜25重量%含むから、引用例1発明のインキ層は、着色顔料、非晶質有機重合体、および、微粒子を主成分としているといえる。

してみると、本件発明1と引用例1発明とは、
「支持体上に少なくとも、複数色のインクのドットで形成された面積階調による多色画像を備えており、該インクは、着色顔料、非晶質有機重合体、および、無色又は淡色の微粒子を主成分とし、該ドットの膜厚は0.2〜1.0μmの範囲である画像形成体。」である点で一致し、次の点で相違する。

相違点1:本件発明1は、画像を覆うように設けられた透明層を備えており、透明層は、インクの非晶質有機重合体と同一か又は同種の非晶質有機重合体を含むのに対して、引用例1発明では、透明層を備えていない点。
上記相違点1について検討する。
相違点1について検討するために同じく取消理由に引用した引用例2(特開平10-203019号公報)をみるに、引用例2には、紫外線硬化型樹脂を主成分とする組成物よりなる光沢付与層が剥離転写可能に設けられている(前記摘示の記載a.)インクリボン基体1b’を用いて、記録紙2の表面に転写されたインク層1aを覆うようにして転写される光沢付与層1x(前記摘示の記載e.)が、3次元架橋構造が強く繊密なために、光沢性の改善ばかりでなく、熱溶融性インク層の耐候性、耐擦過性、耐汚染性、耐溶剤性などの保護膜としても十分機能する」(前記摘示の記載d.)ことが記載されている。引用例2の光沢付与層は、その下にあるインク層に光沢を与えるためのものであるから、該光沢付与層で覆っても、その下にある画像は目視可能と考えられ、畢竟、光沢付与層は透明である蓋然性が高く、かつ、インク層の保護膜としても機能するものであるから、引用例2の光沢付与層は本件発明1の画像を保護するための透明層に相当する。
したがって、引用例2に接した当業者であれば、引用例1発明においても、画像を保護すべく、画像を覆うように透明層を設けてみようとすることは格別の阻害要因も見当たらず、容易になし得ることである。なお、多色画像を覆うように透明層を設けることは、当技術分野における慣用手段である(特開平8-238876号公報【0019】、【0050】〜【0051】、特開平7-117381号公報、特開平11-301125号公報参照。)。
そして、引用例1発明に引用例2記載の透明層を設けるに当たり、透明層をインクの非晶質有機重合体と同一か又は同種の非晶質有機重合体を含むものとした点は、本件明細書には、「受像層は、一般には、非晶質有機重合体と同一か又は同種の材料を使用することが好ましい。...同じか又は同種の非晶質有機重合体を受像層の材料に使用することによって、熱転写時に熱転写記録媒体の熱転写記録層が十分に溶融、半溶融、あるいは軟化しなくても、熱転写の際の熱によって、熱転写記録層と受像層とが良好に接着し、十分な箔切れ性が発現されることで印画が成されるために、転写性の問題、詳しくは転写画像の形成されるドット形状、また階調再現性等が向上する。更には形成された画像は、耐摩耗性、耐擦過性等の画像耐性に優れたものとなる。」(【0065】〜【0066】)と、透明層が受像層である(透明な受像層が保護層の役目も果たす)場合の効果が記載されている。しかしながら、インクのバインダー樹脂と、受像層等のインクと隣接する層に同一か又は同種のバインダー樹脂を含ませることにより両者の接着性を増すことは従来より周知である(特開平8-25857号公報「インク層形成用塗工液...ポリビニルブチラール」(【0059】)、受像層の「下層形成用塗工液...ポリビニルブチラール樹脂」(【0062】)、特開平11-78264号公報「着色インク層は...熱可塑性樹脂からなるものが使用できる。...前記熱可塑性樹脂としては、前記受像層のばあいと同様なものが使用できる。」(【0030】〜【0031】)、「着色インク...エチレン-酢酸ビニル共重合体」(【0048】)、「受像層インク...エチレン-酢酸ビニル共重合体」(【0044】)、特開平7-290731号公報「受像層に用いられるポリマー...一般的に色材層との間に適度な親和性、濡れ性が必要であり...色材層バインダーとしてポリビニルブチラールを用いた場合、受像層ポリマーとしてポリビニルブチラール...を用いることが出来る。」(【0056】)、前記特開平7-117381号公報「受像層または紫外線硬化保護層と透明保護層との接着力が...前記接着力を大きくする方法としては、例えば熱融着しやすい類似のポリマーを用いること...により達成することができる。」(【0127】〜【0128】)、前記特開平8-238876号公報「転写画像の定着性の要請に対しては、色材層の上に溶融インクの受像層たり得る透明層...透明層を形成する樹脂としては上述のインキに用いるバインダー樹脂を用いることができる。」(【0018】〜【0019】))から、インクが非晶質有機重合体を含むとき、透明層をインクの非晶質有機重合体と同一か又は同種の非晶質有機重合体を含むものとした点は単なる設計事項にすぎない。
以上のとおり、相違点1に係る本件発明1の構成は、当業者にとって想到容易であり、同構成を採用したことによる格別の作用効果を認めることもできない。
したがって、本件発明1は、引用例1発明、引用例2に記載された技術及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明1についての特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

(3)本件発明2乃至4について
本件発明2は、本件発明1に画像形成体が「冊子状のパスポートである」、支持体が「該パスポートの表紙、裏表紙、あるいは綴じられた頁の中のいずれかである」との限定を加え、本件発明3は、本件発明1に画像形成体が「シール状あるいは短冊状のビザ」との限定を加え、本件発明4は、本件発明1に画像形成体が「冊子」、支持体が「該冊子の表紙、裏表紙、あるいは綴じられた頁の中のいずれかである」との限定を加えたものである。
引用例3(特開平11-348328号公報)には、複数色のインクのドットで形成された面積階調による多色画像を備えた画像形成体をパスポートや査証等といったID分野に用いること(前記摘示の記載b.)が記載されており、本件発明2、本件発明3、本件発明4で限定した画像形成体について記載されている。また、本件発明2、4で支持体を「該パスポートの表紙、裏表紙、あるいは綴じられた頁の中のいずれか」、「該冊子ポートの表紙、裏表紙、あるいは綴じられた頁の中のいずれか」とした点は、画像形成体を、冊子状のパスポート、冊子と限定したことに伴う当たり前の事項を記載したにすぎない。
したがって、本件発明1を引用する本件発明2乃至4は、引用例1発明、引用例2、引用例3に記載された技術及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明2乃至4についての特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

(4)本件発明5について
本件発明5と引用例1発明とを対比する。
本件発明5と引用例1発明とは、
「支持体上に少なくとも、複数色のインクのドットで形成された面積階調による多色画像を備えており、該インクは、着色顔料、非晶質有機重合体、および、無色又は淡色の微粒子を主成分とし、該ドットの膜厚は0.2〜1.0μmの範囲である。」点で一致し(上記(2)本件発明1について参照)、前記相違点1に加え、次の点で相違する。
相違点2:支持体上に多色画像を備えたものが、本件発明5では、画像付きカードであるのに対して、引用例1発明では、その点について記載されていない点。
上記相違点2について検討する。
引用例1発明における画像形成方法によって得られたカラー画像を形成した支持体を画像付きカードとした点は、引用例1発明の記載を基にして、当業者が容易に推考しうる程度のことにすぎない。
また、相違点1については、上記(2)での説示と同様である。
したがって、本件発明5は、引用例1発明、引用例2に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められるから、本件発明5についての特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

(5)本件発明6について
本件発明6は、本件発明5に複数色のインクには「イエロー、マゼンタ、およびシアンの少なくとも3色がある」との限定を加えたものである。
しかしながら、この点も、引用例1(【0048】)に記載されている。
したがって、本件発明6は引用例1発明、引用例2記載の発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明できたものであるから、本件発明6についての特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

(6)本件発明7につて
本件発明7は、本件発明5又は本件発明6にインクは「着色顔料の80重量%以上が有機顔料である」との限定を加えたものである。
引用例1の実施例1で、着色顔料として用いられているC.I.PB.15:4(シアン顔料)、C.I.PR.57:1(マゼンタ顔料)、C.I.PY.14(イエロー顔料)(前記摘示の記載e.)は、全て有機顔料であり(特開2002-275404号公報「好ましい有機顔料の一例としては、C.I.ピグメントイエロー(PY)1...PY14...ピグメントレッド(PR)...PR57:1...ピグメントブルー(PB)...PB15:4」【0019】参照)、実施例1では、これらの有機顔料以外の着色顔料は含んでいないから、インクの着色顔料の100重量%が有機顔料である。
したがって、本件発明7で限定された「インクの着色顔料の80重量%以上が有機顔料である」点も引用例1に記載されている。本件発明7は本件発明5又は6を限定する発明であるから、引用例1発明、引用例2記載の発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明できたものであるから、本件発明7についての特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

(7)本件発明8について
本件発明8は、本件発明5乃至7のいずれかに、着色顔料が、「平均粒子径が50〜500nmの範囲にある」との限定を加えたものである。
しかしながら、この点も、引用例1に記載されている。
すなわち、引用例1の特許請求の範囲の請求項2には「インキ層の中の着色顔料の70重量%以上のものの粒径が、0.1〜1.0μmの範囲にある」(前記摘示の記載a)と記載されており、nmに換算すれば100〜1000nmとなり、本件発明8の範囲と重複する。
したがって、本件発明5乃至7のいずれかを限定する本件発明8は引用例1発明、引用例2記載の発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明できたものであるから、本件発明8についての特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

(8)本件発明9について
本件発明9は、本件発明5乃至8のいずれかに、無色又は淡色の微粒子が、「平均粒子径が100〜300nmの範囲にある」との限定を加えたものである。
しかしながら、この点も、引用例1に記載されている。
すなわち、引用例1には「無機又は有機微粒子の平均粒子径は、0.005〜1.5μmの範囲に有ることが好ましく、更に好ましくは、0.01〜0.7μmの範囲で有る。」(前記摘示の記載b)と記載されており、0.01〜0.7μmをnmに換算すれば10〜700nmとなり、本件発明9の範囲と重複する。
したがって、本件発明5乃至8のいずれかを限定する本件発明9は引用例1発明、引用例2記載の発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明できたものであるから、本件発明9についての特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

(9)本件発明10について
本件発明10は、本件発明5乃至9のいずれかに、インクが、「着色顔料の粒子径分布は、粒子径が1μmを超える着色顔料の比率が10%以下である」との限定を加えたものである。
しかしながら、この点も、引用例1に記載されている。
すなわち、引用例1には「使用したシアン着色顔料の粒度(粒径)分布を図1に、マゼンタ顔料の粒度分布を図2に、そしてイエロー顔料の粒度分布を図3に示す。」(前記摘示の記載f.)と記載されており、図1乃至図3からシアン顔料、マゼンタ顔料、イエロー顔料の各粒径は1μmを超える着色顔料の比率が10%以下であることが看取できる。
なお、着色顔料の粒子径が1μmを超えるものを減らすことは従来から周知である(必要ならば、特開平11-180059号公報【0016】参照。)
したがって、本件発明5乃至9のいずれかを限定する本件発明10は引用例1発明、引用例2記載の発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明できたものであるから、本件発明10についての特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

(10)本件発明11について
本件発明11は、本件発明5乃至10のいずれかに、無色又は淡色の微粒子が、「粒子径分布の広がりの幅が、前記着色顔料の粒子径分布の広がりの幅よりも狭い」との限定を加えたものである。
しかしながら、この点も、引用例1に記載されている。
すなわち、引用例1には「無色又は淡色の微粒子の平均粒子径は、0.005〜1.5μmの範囲に有ることが好ましく、更に好ましくは、0.01〜0.7μmの範囲で有る。」(前記摘示の記載b)こと及び、「インキ層の中の着色顔料の70重量%以上のものの粒径が、0.1〜1.0μmの範囲にある」(前記摘示の記載a)ことが記載されており、両者を併せみれば、無色又は淡色の微粒子の粒子径分布の広がりの幅が、着色顔料の粒子径分布の広がりの幅よりも狭いことが明白である。
したがって、本件発明5乃至10のいずれかを限定する本件発明11は引用例1発明、引用例2記載の発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明できたものであるから、本件発明11についての特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

(11)本件発明12について
本件発明12は、本件発明5乃至11のいずれかに、着色顔料、非晶質有機重合体、および、無色又は淡色の微粒子について、「配合比は、該着色顔料が20〜60重量部の範囲、該非晶質有機重合体が40〜80重量部の範囲、そして該微粒子が1〜30重量部の範囲、にある」との限定を加えたものである。
しかしながら、この点も、引用例1に記載されている。
すなわち、引用例1には「着色顔料、...非晶質有機高分子重合体、そして無色の微粒子を、それぞれ、30〜70重量%、25〜65重量%、そして0.5〜25重量%含」む(前記摘示の記載a)ことが記載されており、いずれも本件発明12と重複する。
したがって、本件発明5乃至11のいずれかを限定する本件発明12は引用例1発明、引用例2記載の発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明できたものであるから、本件発明12についての特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

(12)本件発明13について
本件発明13は、本件発明5乃至12のいずれかに、支持体上に、「インクの非晶質有機重合体と同種の非晶質有機重合体を含む中間層が設けてあり、画像が、該中間層と透明層との間に配置されている」との限定を加えたものである。
本件明細書(【0015】)には、「層間の接着強度を高めるアンカー層」と、中間層について記載されている。
引用例2(特開平10-203019号公報)をみるに、引用例2には、「インクリボンに形成された熱溶融性インクを、記録ヘッドにより記録紙表面に設けた多孔質層または多溝質層に浸透定着させて多階調記録を行う浸透溶融方式の熱転写記録用インクリボン」(前記摘示の記載a)が記載されており、「このようなインクリボンを使用して、記録紙に画像記録を行う場合、図4に示すように、先ずインク層1aが記録紙2の表面に転写され、続いて、このインク層1aを覆うようにして光沢付与層1xが転写されるため、転写されたインク層1aは、光沢付与層1x内に、言わば埋設されたかたちとなり」(前記摘示の記載e.)と記載されている。
引用例2の「記録紙」、「多孔質層または多溝質層」、「インク層」、「光沢付与層」が本件発明13の「支持体」、「中間層」、「画像」、「透明層」に相当する。したがって、引用例2には、支持体上に画像が、中間層と透明層との間に配置されている点が記載されている。なお、支持体に中間層を設けることは従来から周知である(前記特開平7-117381号公報【0009】、「受像層と前記支持体との間に、中間層を設けることができる。」(【0143】)、前記特開平8-25857号公報【0027】参照)。
この多孔質層または多溝質層が、インクの非晶質有機重合体と同種の非晶質有機重合体を含むことは記載されていないが、本件明細書(「層間の接着強度を高めるアンカー層」【0015】)によると中間層にインクの非晶質有機重合体と同種の非晶質有機重合体を含ませたのは、両層の接着性を高めるためと認められる。隣接する層間の接着性を高めるために隣接する層に同種の樹脂を用いることは従来から周知である(前記特開平7-117381号公報においても、中間層、その表面に積層される第1受像層、インク層がそれぞれポリビニルブチラールを含んでいる。)から、インキのバインダー樹脂と、多孔質層または多溝質層(中間層)のバインダー樹脂を同種のものとして、互いの密着性を高くすることは、当業者であれば容易に思い付くことであり、インキのバインダー樹脂が非晶質有機重合体であれば、畢竟、中間層のバインダー樹脂にもインキのバインダー樹脂と同種の非晶質有機重合体が選ばれる。
したがって、本件発明5乃至12のいずれかを限定する本件発明13は引用例1発明、引用例2記載の発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明できたものであるから、本件発明13についての特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

(12)本件発明14について
本件発明14は、本件発明5乃至13のいずれかに非晶質有機重合体が、「軟化点が70〜150℃の範囲にあるエポキシ樹脂である」との限定を加えたものである。
引用例1には「軟化点が40℃〜150℃の温度範囲にある非晶質有機高分子重合体」(前記摘示の記載a)と記載されており、「非晶質有機重合体」の軟化点の温度範囲が重複している。また、引用例2には、「ワックス類と混合して用い...記録紙に対する溶融インクの接着性などの調整のために添加される樹脂類としては、ワックス類と相溶性のよい材料が選択される。例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合体などのエチレン系樹脂...エポキシ系樹脂」(前記摘示の記載c.)と記載されている。なお、バインダー樹脂としてエポキシ樹脂は、当技術分野において普通に使用されている樹脂である(例えば前記特開平7-117381号公報【0154】、表1参照)。
したがって、本件発明5乃至13のいずれかを限定する本件発明14は引用例1発明、引用例2記載の発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明できたものであるから、本件発明14についての特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

(13)本件発明21について
本件発明21は、本件発明5乃至20のいずれかに「ホログラム、回折格子、蛍光剤、あるいは磁性材料のうち少なくともいずれか一つを用いて形成された第2の画像と、前記複数色のインクのドットで形成された画像とが、前記支持体の同じ側の面に見えるように形成されている」との限定を加えたものである。
引用例3には、「このヒートローラ50は図中B方向に降下され、画像を転写された前記中間転写媒体10を、前記被転写体1上に加熱加圧することによって、中間転写媒体10の画像(受像層を兼ねた熱接着層)ホログラム層、図示していない保護層等、いわゆる画像層を転写するものである。なお、受像層と熱接着層とは別個のものとして、受像層に画像を形成し、熱接着層は受像層上か、または被転写体上に設け、受像層等を転写する際には、この熱接着層を利用することも好ましい。」(前記提示の記載c.)と記載されており、ホログラム画像と熱転写画像を被転写体の同じ側の面に見えるように形成されていることが、理解できる。
したがって、本件発明5乃至20のいずれかを限定する本件発明21は引用例1発明、引用例2、3記載の発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明できたものであるから、本件発明21についての特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

エ.むすび
以上のとおり、請求項1乃至14及び請求項21に係る発明についての特許は、特許法第113号2号に該当し、取り消されるべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
画像形成体および画像付きカード
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に少なくとも、複数色のインクのドットで形成された面積階調による多色画像と、該画像を覆うように設けられた透明層とを備えており、該インクは、着色顔料、非晶質有機重合体、および、無色又は淡色の微粒子を主成分とし、該ドットの膜厚は0.2〜1.0μmの範囲であり、前記透明層は、前記非晶質有機重合体と同一か又は同種の非晶質有機重合体を含むことを特徴とする画像形成体。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成体とは冊子状のパスポートであって、前記支持体とは、該パスポートの表紙、裏表紙、あるいは綴じられた頁の中のいずれかであることを特徴とする画像形成体。
【請求項3】
請求項1に記載の画像形成体とはシール状あるいは短冊状のビザであることを特徴とする画像形成体。
【請求項4】
請求項1に記載の画像形成体とは冊子であり、前記支持体とは、該冊子ポートの表紙、裏表紙、あるいは綴じられた頁の中のいずれかであることを特徴とする画像形成体。
【請求項5】
支持体上に少なくとも、複数色のインクのドットで形成された面積階調による多色画像と、該画像を覆うように設けられた透明層とを備えており、該インクは、着色顔料、非晶質有機重合体、および、無色又は淡色の微粒子を主成分とし、該ドットの膜厚は0.2〜1.0μmの範囲であり、前記透明層は、前記非晶質有機重合体と同一か又は同種の非晶質有機重合体を含むことを特徴とする画像付きカード。
【請求項6】
前記複数色のインクには、イエロー、マゼンタ、およびシアンの少なくとも3色があることを特徴とする請求項5に記載の画像付きカード。
【請求項7】
前記インクは、前記着色顔料の80重量%以上が有機顔料であることを特徴とする請求項5又は6のいずれかに記載の画像付きカード。
【請求項8】
前記着色顔料は、平均粒子径が50〜500nmの範囲にあることを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載の画像付きカード。
【請求項9】
前記無色又は淡色の微粒子は、平均粒子径が100〜300nmの範囲にあることを特徴とする請求項5乃至8のいずれかに記載の画像付きカード。
【請求項10】
前記インクは、前記着色顔料の粒子径分布は、粒子径が1μmを超える着色顔料の比率が10%以下であることを特徴とする請求項5乃至9のいずれかに記載の画像付きカード。
【請求項11】
前記無色又は淡色の微粒子の粒子径分布の広がりの幅が、前記着色顔料の粒子径分布の広がりの幅よりも狭いことを特徴とする請求項5乃至10のいずれかに記載の画像付きカード。
【請求項12】
前記の着色顔料、非晶質有機重合体、および、無色又は淡色の微粒子の配合比は、該着色顔料が20〜60重量部の範囲、該非晶質有機重合体が40〜80重量部の範囲、そして該微粒子が1〜30重量部の範囲、にあることを特徴とする請求項5乃至11のいずれかに記載の画像付きカード。
【請求項13】
前記支持体上には、前記インクの非晶質有機重合体と同種の非晶質有機重合体を含む中間層が設けてあり、前記画像が、該中間層と前記透明層との間に配置されていることを特徴とする請求項5乃至12のいずれかに記載の画像付きカード。
【請求項14】
前記非晶質有機重合体は、軟化点が70〜150℃の範囲にあるエポキシ樹脂であることを特徴とする請求項5乃至13のいずれかに記載の画像付きカード。
【請求項15】
前記画像付きカードが、ICカードであることを特徴とする請求項5乃至14のいずれかに記載の画像付きカード。
【請求項16】
前記画像付きカードが、コンタクトレスカードであることを特徴とする請求項5乃至14のいずれかに記載の画像付きカード。
【請求項17】
前記画像付きカードが、メモリーカードであることを特徴とする請求項5乃至14のいずれかに記載の画像付きカード。
【請求項18】
前記画像付きカードが、ハイブリッドカードであることを特徴とする請求項5乃至14のいずれかに記載の画像付きカード。
【請求項19】
前記画像付きカードが、リライトカードであることを特徴とする請求項5乃至14のいずれかに記載の画像付きカード。
【請求項20】
前記画像付きカードが、磁気記録カードであることを特徴とする請求項5乃至14のいずれかに記載の画像付きカード。
【請求項21】
ホログラム、回折格子、蛍光剤、あるいは磁性材料のうち少なくともいずれか一つを用いて形成された第2の画像と、前記複数色のインクのドットで形成された画像とが、前記支持体の同じ側の面に見えるように形成されていることを特徴とする請求項5乃至20のいずれかに記載の画像付きカード。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、面積階調による多色画像を備えた画像形成体であり、例えば冊子状のパスポート(旅券)や通帳類、ビザ(査証)ものや画像付きカード(例えば、ICカード、コンタクトレスカード、ハイブリッドカード、メモリーカード、リライトカード、磁気カード)に関し、特には、着色顔料を含有する熱転写記録層を用いた熱転写記録媒体(感熱転写リボン)とサーマルヘッドプリンタを使用し、画像データに基いて熱転写記録層(インク層)を受像シート上に画像様に熱転写する感熱転写記録によって、ドットによる面積階調の画像が形成された画像付きカードに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、サーマルヘッドプリンタを用いて階調画像を形成する熱転写記録方式としては、昇華性染料を利用した昇華転写方式と伝統的(インク中にワックスがリッチ)な溶融転写方式が広く知られている。
【0003】
昇華転写方式は、昇華性染料(熱移行性染料)とバインダー樹脂とを主成分とした熱転写記録層を支持体上に設けた熱転写記録媒体を受像シートと重ねてサーマルヘッド等の加熱デバイスで画像情報に応じて加熱し、与える熱量に応じて熱転写記録層中の昇華性染料を受像シート上に移行させることにより、階調画像を形成するものである。
【0004】
しかしながら、このような昇華性染料(熱移行性染料)を用いて画像を形成した場合、形成された画像は耐久性が劣り、耐熱性や耐光性を要求する分野への利用が制限される。また、感熱記録感度が溶融転写方式と比べ低いため、乾電池などのバッテリー駆動によるプリンターの小型軽量化、将来実用が期待されている高解像力サーマルヘッドを用いる高速記録材料としては適していない等の欠点を有している。
【0005】
一方、溶融転写方式は、支持体上に顔料や染料などの色材とワックスなどの結合剤を主成分とした熱溶融性のインク層(溶融点が低い)を設けた転写シートを用いてサーマルヘッド等の加熱デバイスに画像情報に応じて加熱し、インク層を溶融させることで、インク層を基材から離型させると共に受像シート上にインク層を付着させて画像を形成させる方式である。溶融転写方式によって形成される画像は、高濃度で鮮鋭性に優れ、文字、線画等の2値画像の記録に適している。また、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックよりなる熱転写シートを用いて、受像シート上に重ねて画像を形成することにより、いちおうはカラー画像の形成も可能である。このようなカラー画像形成用の熱転写シートの例として特公昭63-65029号公報がある。
【0006】
ところが、上記特公昭63-65029号公報に記載の熱転写シートの場合、低融点の結晶性ワックスをインク層の結合剤として用いているため、インクのニジミによって解像力の低下が発生しやすい。また転写画像の定着強度が弱く、画像部を手で強くこすると画像部がとれてしまう。
【0007】
このような現像を解決する方法として種々の提案がなされてきた。例えば特開昭61-244592号公報には、65%以上の非晶質ポリマーと離型性物質と着色剤よりなる感熱インク層を有する感熱転写シートが提案されている。しかしながら、上記特開昭61-244592号公報に記載の熱転写シートも、結晶性ワックスを含むため、各色の重ね印画を行った部分の定着強度は不十分なものとなっている。
【0008】
また、前記溶融転写方式は、カラー画像の形成が可能とはいうものの、階調表現適性や解像度はいたって低く、その結果、高い画像品質は望めないという問題点があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、解像度が高く、面積階調による階調表現性も豊かで、画像は耐久性にも優れ、また画像の光学濃度も高い、優れた画像を備える画像形成体や画像付きカードを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に示す発明は、支持体上に少なくとも、複数色のインクのドットで形成された面積階調による多色画像と、該画像を覆うように設けられた透明層とを備えており、該インクは、着色顔料、非晶質有機重合体、および、無色又は淡色の微粒子を主成分とし、該ドットの膜厚は0.2〜1.0μmの範囲であり、前記透明層は、前記非晶質有機重合体と同一か又は同種の非晶質有機重合体を含むことを特徴とする画像形成体を提供する。
【0011】
請求項2に示す発明は、請求項1に記載の画像形成体とは冊子状のパスポートであって、前記支持体とは、該パスポートの表紙、裏表紙、あるいは綴じられた頁の中のいずれかであることを特徴とする画像形成体を提供する。
【0012】
請求項3に示す発明は、請求項1に記載の画像形成体とはシール状あるいは短冊状のビザであることを特徴とする画像形成体を提供する。ここでビザは、例えばパスポートの表紙、裏表紙、あるいは綴じられた頁の中のいずれかに貼る付けたり、綴じ付けたりして利用される。
【0013】
請求項4に示す発明は、請求項1に記載の画像形成体とは冊子であり、前記支持体とは、該冊子ポートの表紙、裏表紙、あるいは綴じられた頁の中のいずれかであることを特徴とする画像形成体を提供する。ここで冊子とは、一例として銀行や郵便局の預金通帳などが挙げられる。
【0014】
請求項5に示す発明は、支持体上に少なくとも、複数色のインクのドットで形成された面積階調による多色画像と、該画像を覆うように設けられた透明層とを備えており、該インクは、着色顔料、非晶質有機重合体、および、無色又は淡色の微粒子を主成分とし、該ドットの膜厚は0.2〜1.0μmの範囲であり、前記透明層は、前記非晶質有機重合体と同一か又は同種の非晶質有機重合体を含むことを特徴とする画像付きカードを提供する。
【0015】
尚、支持体上には、前記画像と透明層の他に、何らかの目的に応じて適当な材料で適当な場所に、適宜その他の画像やその他の層を設けてもよい。(例えば、層間の接着強度を高めるアンカー層、耐性を高める耐性強化層、装飾性を付与する装飾効果層、あるいは後述する偽造防止層、等々。)また、ここでいう「微粒子」はフィラーの役目を果たしており、また「無色又は淡色」とは、インクによる画像の色や濃度に実質的な影響が無い程度であることを意味する。また、この透明層とは、樹脂(場合によりフィラーも併用して)を主成分とするもので、透明層の下にある前記複数色のインクのドットで形成された画像を目視可能であって、この画像を、擦れや引っかき等の機械的損傷や、溶剤などによる化学的損傷から保護するする役目も果たしている。
【0016】
透明層が画像付きカード上に形成される領域は、複数色のインクのドットで形成された画像の上だけでも良いが、好ましくは、画像付きカード上のその複数色のインクのドットによる画像以外に設けられたその他の情報(例/2値画像による所有者の姓名屋所属等を示す文字やコードあるいはパターン等)の領域上にも形成しておく。というのは、ここでいうその他の情報を機械的または化学的な損傷から保護することは勿論、画像付きカードの用途によってはセキュリティ対策上でもたいへん重要な情報である為に、前記がぞうの場合と同様に、偽造や改ざんの対策をより強化することにもつながる。
【0017】
また、さらに好ましくは、画像付きカードの全面に透明層を設ける。透明層を設けることで、前記の画像やその他の情報を機械的または化学的な損傷から保護したり、セキュリティ対策に利用したり、何らかの装飾性を付与し易くなったり出来るが、透明層を全面に形成することにより、特にはセキュリティ対策や装飾性を付与のデザインの自由度が高まる。
【0018】
請求項6に示す発明は、前記複数色のインクには、イエロー、マゼンタ、およびシアンの少なくとも3色があることを特徴とする請求項5に記載の画像付きカードを提供する。もし、感熱転写を適用して前記の画像を形成する場合、例えば、シアン、マゼンタ、イエローの3色とか、あるいは、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、の4色とかが、支持体上に長手方向に沿って面順次に並べて繰り返し設けてある熱転写記録媒体(インクリボン)を用いると便利である。尚、多少不便になるが、それらの塗り分けリボンではなく、単色が塗られたインクリボンを必要な色(シアン、マゼンタ、イエローの3色が必要なら、その3色分)のか、単色インクリボンを使用して画像形成することもできる。
【0019】
請求項7に示す発明は、前記インクは、前記着色顔料の80重量%以上が有機顔料であることを特徴とする請求項5又は6のいずれかに記載の画像付きカードを提供する。
【0020】
請求項8に示す発明は、前記着色顔料は、平均粒子径が50〜500nmの範囲にあることを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載の画像付きカードを提供する。
【0021】
請求項9に示す発明は、前記無色又は淡色の微粒子は、平均粒子径が100〜300nmの範囲にあることを特徴とする請求項5乃至8のいずれかに記載の画像付きカードを提供する。
【0022】
請求項10に示す発明は、前記インクは、前記着色顔料の粒子径分布は、粒子径が1μmを超える着色顔料の比率が10%以下であることを特徴とする請求項5乃至9のいずれかに記載の画像付きカードを提供する。
【0023】
請求項11に示す発明は、前記無色又は淡色の微粒子の粒子径分布の広がりの幅が、前記着色顔料の粒子径分布の広がりの幅よりも狭いことを特徴とする請求項5乃至10のいずれかに記載の画像付きカードを提供する。
【0024】
請求項12に示す発明は、前記の着色顔料、非晶質有機重合体、および、無色又は淡色の微粒子の配合比は、該着色顔料が20〜60重量部の範囲、該非晶質有機重合体が40〜80重量部の範囲、そして該微粒子が1〜30重量部の範囲、にあることを特徴とする請求項5乃至11のいずれかに記載の画像付きカードを提供する。但し、これら着色顔料、非晶質有機重合体、および、無色又は淡色の微粒子の配合比でいう重量部とは、固形分に関する値である。
【0025】
尚、もし熱転写記録層にその他の組成物も添加する場合には、具体例としては、界面活性剤等に代表される分散剤などを挙げることが出来る。そのときの配合比は、前記の着色顔料、非晶質有機重合体、および、無色又は淡色の微粒子の固形分の総量を100重量部として、これに対して添加するその他の組成物が0.1〜10重量部である。もし、その他の組成物の重量割合が少な過ぎると、その他の組成物の効果が上手く発揮されず、逆に、その他の組成物の重量割合が多過ぎると、本発明の当初の課題を全て十分に満たすように解決することが困難になる。
【0026】
そして、もしその他の組成物が分散剤である場合、その役割は、次のような効果を狙うものである。つまり、熱転写記録層を支持体上に設けるには、一般に、熱転写記録層をなす適当量の配合比の組成物に、揮発性をもつ適当な溶剤を適当量加えて塗工液とし、これを支持体上のしかるべき場所に適当量だけ塗工した後に溶剤成分を揮発性させることにより行なうが、この際に、もし着色顔料や微粒子が望ましくない凝集を起こした事が原因と思われる不具合を生じる場合に、前記の塗工液中に分散剤を加えることにより、着色顔料や微粒子に好ましい分散性を付与することが出来、前記の凝集が原因と思われる不具合を解決するものである。
【0027】
請求項13に示す発明は、前記支持体上には、前記インクの非晶質有機重合体と同種の非晶質有機重合体を含む中間層が設けてあり、前記画像が、該中間層と前記透明層との間に配置されていることを特徴とする請求項5乃至12のいずれかに記載の画像付きカードを提供する。
【0028】
請求項14に示す発明は、前記非晶質有機重合体は少なくとも、軟化点が70〜150℃の範囲にあるエポキシ樹脂を含んでいることを特徴とする請求項5乃至12のいずれかに記載の画像付きカードを提供する。
【0029】
請求項15に示す発明は、前記画像付きカードが、ICカードであることを特徴とする請求項5乃至14のいずれかに記載の画像付きカードを提供する。
【0030】
請求項16に示す発明は、前記画像付きカードが、コンタクトレスカードであることを特徴とする請求項5乃至14のいずれかに記載の画像付きカードを提供する。
【0031】
請求項17に示す発明は、前記画像付きカードが、メモリーカードであることを特徴とする請求項5乃至14のいずれかに記載の画像付きカードを提供する。尚、本発明では、メモリーカードとは、メモリー機能は有するがcpuを備えていないカードを指す。
【0032】
請求項18に示す発明は、前記画像付きカードが、ハイブリッドカードであることを特徴とする請求項5乃至14のいずれかに記載の画像付きカードを提供する。尚、本発明では、ハイブリッドカードとは、接触式でデータ通信を行うICカードの機能と、非接触式でデータ通信を行うコンタクトレスカードの機能との、両方の機能を備えたカードのことを指す。
【0033】
請求項19に示す発明は、前記画像付きカードが、リライトカードであることを特徴とする請求項5乃至14のいずれかに記載の画像付きカードを提供する。
【0034】
請求項20に示す発明は、前記画像付きカードが、磁気記録カードであることを特徴とする請求項5乃至14のいずれかに記載の画像付きカードを提供する。
【0035】
なお、前記画像付きカードを、ICカード、コンタクトレスカード、メモリーカード、ハイブリッドカード、リライトカード、あるいは磁気記録カードの中の少なくともいずれか2以上の機能を適宜選択して、それらを1枚のカードに備えて構成することもできる。これによると、様々な用途に非常に便利な機能を発現することが出来るので、いっそう好ましい。
【0036】
これらの画像付きカードのうち、例えば、ICカード、コンタクトレスカード、メモリーカード、ハイブリッドカード、あるいは磁気記録カード、等々のようにメモリあるいは磁気情報記録層による情報記録の機能を備えた画像付きカードの場合には、当該画像付きカードの使用を試みた者が、当該画像付きカードの正当な所有者であるか/否かを判定する際に、たいへん役に立つ。
【0037】
つまり、改竄や偽造への対策、特には改竄への対策という、セキュリティ性の面でたいへん役に立つ。つまり、本発明に係わる画像付きカードの外側から目視可能に設けてある前記複数色のインクのドットによる画像(特には当該画像付きカードの正当な所有者の顔画像、直筆サイン、あるいは指紋、等の各人に固有の情報であって画像化されたもの)が、もし改竄されたとした場合であっても、当該画像の情報を当該画像付きカードのメモリあるいは磁気情報記録層に記録しておけば、そのメモリあるいは磁気情報記録層にある当該情報を、可視画像として適当な手段によって表示することにより、これを、当該画像付きカードの外側から目視可能に設けてある前記画像と、比較照合することで、当該画像付きカードの正当な所有者であるか/否かを容易に判定することが出来る。
【0038】
尚、特には、これらのメモリあるいは磁気情報記録層による情報記録の機能を備えた画像付きカードと、リライトカードの可視性の情報記録・可視表示の機能とを組み合わせた画像付きカードの場合なら、前記のような、メモリあるいは磁気情報記録層にある当該情報を可視画像として表示する手段を、別途用意する必要が無くなるので、いっそう便利である。
【0039】
請求項21に示す発明は、ホログラム、回折格子、蛍光剤、あるいは磁性材料のうち少なくともいずれか一つを用いて形成された第2の画像と、前記複数色のインクのドットで形成された画像とが、前記支持体の同じ側の面に見えるように形成されていることを特徴とする請求項5乃至20のいずれかに記載の画像付きカードを提供する。
【0040】
尚、第2の画像は、状態下では目視可能であっても、目視困難であってもどちらでもよい。つまり、状態下での第2の画像は、その存在自体を、目視によって容易に認知可能であっても、目視によっては認知が困難であっても、いずれでも良い。但し、UV照射などによって蛍光を発する蛍光剤や、磁性を持つ磁性材料、これらのいずれかを使用した場合の第2の画像は、状態下では目視で認知困難である方が、セキュリティ対策の観点からは好ましい。
【0041】
この第2の画像を、前記の画像と同じ側の面内に設けることによって、装飾性が高まるとともに、偽造や改竄を抑止し、あるいは、偽造や改竄の発見を容易にする効果を得られる。偽造や改竄が困難になり、あるいは、偽造や改竄の発見も容易になることの理由は、第2の画像は一般に高度の製造技術や高価な設備を必要とすることに由来しており、(1)もし偽造を試みても技術や採算の面がネックになることから、そのような不正行為を抑止させやすいという点、また、(2)もし改竄を試みても、第2の画像を損傷することなく前記のインクによる画像を改竄することは根案であり、仮に第2の画像の損傷を修復するとすれば、やはり技術や採算の面がネックになって、そのような不正行為を抑止させやすいという点、それから、(3)もし第2の画像の再現あるいは修復を行わなかったとすれば、画像付きカード上に形成されているはずの第2の画像がそこには存在せず、そのことが目視ですら判別できるので、偽造や改竄の発見が容易になるという点。
【0042】
尚、本発明に係わる画像付きカードの、複数色のドットで画像を形成しているインクは、結晶性ワックスを含まないインクが大変に好ましい。これについては後述する。
【0043】
また、本発明に係わる画像付きカードの複数色のドットで画像が形成されているインクには、着色顔料、非晶質有機重合体、および微粒子を含んだインクを使用するが、この微粒子としては色々な材料を使用できるが、なかでも特にシリカが好ましい。これについても後述する。
【0044】
本発明に係わる画像付きカードは、カード上に画像が形成されたカードであれば必ずしも限定されるものではないが、特に好適なのは、例えば、ICカード、コンタクトレスカード、ハイブリッドカード、メモリーカード、リライトカード、磁気カード等、あるいは(用途で言うと)キャッシュカード、クレジットカード、(カード状の)免許証、(カード状の)パスポート、(カード状の)健康保険証、(国民カードや県民カードなどの)自治体カード、IDカード、メンバーズカード、等である。これらの例は特にセキュリティ性を求められ、カードの正当な所有者(あるいは使用者)であるか/否かを判定する材料として、画像を利用できることから、本発明に好適である。
【0045】
図7に、本発明に係わる画像付きカードの概念図、特に、複数色のインクのドットが重なった様子を示す。尚、本発明に係わる画像付きカードは、多色の画像の他に、その画像付きカードの正当な所有者(又は使用者)に係わる情報(例えば、姓名、所属、生年月日、番号、コード、等々)を2値画像(墨色のインクによるものが最も一般的)を形成しておいたり、あるいはエンボスを用いて、同様の情報を記録しておいたりする構成も採用してよい。
【0046】
【発明の実施の形態】
本発明の画像付きカードの画像を形成する方式としては、感熱転写が好ましく、特には特殊な熱転写記録媒体(インクリボン)を使用することが望ましい。特殊な熱転写記録媒体を使用した感熱転写とは、次のような方式である。この転写の現象は、サーマルヘッド等の加熱媒体によって熱転写記録媒体に熱が加えられることによって、熱転写記録層中のバインダ材である非晶質有機重合体が、溶融、半溶融、あるいは軟化(好ましくは、後述するように半溶融または軟化)することで、熱転写記録媒体の基材シートから剥離すると共に接着性が発現され、受像シート(中間画像担持体である中間受像シートとか、あるいはカードの支持体)上に熱的に接着することによって画像が記録される。その為、少なくとも2色以上の色を重ねて印画を行う際、インクのニジミのない鮮明な印画が得られる。また転写された記録画像は機械的強度に優れた特性が得られる。
【0047】
尚、解像度が高く、面積階調による階調表現性も豊かな画像をえる為には、特には、サーマルヘッド等の加熱媒体によって加熱された場合に、バインダ材である非晶質有機重合体が、(溶融というよりむしろ)半溶融あるいは軟化して、熱転写記録層の一部が基材から層状に剥離するとともに、受像シート側に熱的に接着する転写機構が好適である。そのような画像品質的に優れた転写を達成する為には、例えば、熱転写記録層中の材料の配合比、非晶質有機重合体の材料選択、のみならず、熱転写記録層の厚さも重要である。
【0048】
以下、本発明に係わる画像付きカードに画像形成する場合に好適な技術例である感熱転写や、その際に特に好ましい熱転写記録媒体の例について、詳細に説明する。図1は、支持体(2)上に熱転写記録層(3)を設けた本発明に係わる画像付きカードに画像形成する場合に好適な熱転写記録媒体(1)の一例を示す。
【0049】
前記の熱転写記録媒体に用いることのできる支持体(2)としては、従来より昇華転写型用や溶融転写型用としても一般に知られているものでも使用することができる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、セロファン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリイミド、ナイロン、ポリ塩化ビニリデン等のプラスチックフィルム、コンデンサーペーパー、パラフィン紙等の紙類を挙げることができるが、特に好ましいのはポリエステルフィルムである。支持体(2)の厚みは2〜50μm、より好ましくは2〜16μmである。熱転写記録層(3)は、着色顔料と、非晶質有機重合体(例/エポキシ樹脂)、および無色又は淡色の微粒子からなる。
【0050】
熱転写記録層(3)に含有される非晶質有機重合体としては、例えば、ブチラール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、あるいは塩化ビニル,酢酸ビニルなどのビニル系単量体の単独か又は他の単量体との共同重合体、等を使用することができる。中でも好ましいのは、エポキシ樹脂であり、特にはサーマルヘッド等の熱媒体に対する印画適正と転写記録後の画像の耐久性を考慮して、軟化点が70℃から150℃の範囲のものを使用する。
【0051】
一般に、サーマルヘッドを使用して熱転写する場合の熱的条件は、通常180〜400℃で数ミリ秒である。また、前述のように熱転写記録するためには非晶質有機重合体が溶融するまで、より好ましくは(熱転写記録媒体の熱転写記録記録層にもよるが)半溶融か又は軟化するまで加熱する必要がある。
【0052】
従って、サーマルヘッドから供給される熱量と、例えばエポキシ樹脂の例の場合、エポキシ樹脂の熱による状態変化を考慮すると、融点の上限は150℃となる。もしこの上限を越える樹脂を使用すると、転写の為により多くのエネルギーを必要とし、サーマルヘッドの寿命が極端に短くなる問題点すらも招くからである。また、下限を70℃としたのは、転写記録後の画像の保有安定性を考慮したものであり、もし融点が70℃未満のエポキシ樹脂を使用すると、手でこすると尾引きが発生する等の現象が生じるからである。
【0053】
また、本発明の熱転写記録層に主材料の一つとして使用する非晶質有機重合体の代表例である、エポキシ樹脂の特性としては、特に好ましくは、エポキシ当量(1グラムのエポキシ基を含む樹脂のグラム数)は600〜5000であり、分子量が800〜5000という特性が望まれる。
【0054】
もしこのエポキシ樹脂のエポキシ当量が、前記下限値よりも低い(600未満)場合には、擦りに対する画像の耐久性が充分でなく、手で擦ると転写画像に尾引きが発生し易いので好ましくない。逆に、もしこのエポキシ当量が、前記上限値よりも高い(5,000を超える)場合には、感熱転写の際に必要とする熱エネルギが多大過ぎてしまう為に、サーマルヘッドの寿命を縮めてしまうとか、感熱転写の感度も低いことから、画像を高速で感熱転写記録しようとする用途には不向きであるので好ましくない。
【0055】
それから、このエポキシ樹脂の分子量が、もし前記下限値よりも低い(800未満)場合には、擦りに対する画像の耐久性が充分でなく、手で擦ると転写画像に尾引きが発生し易いので好ましくない。逆に、もしこの分子量が、前記上限値よりも高い(5,000を超える)場合には、感熱転写の際に必要とする熱エネルギが多大過ぎてしまう為に、サーマルヘッドの寿命を縮めてしまうとか、感熱転写の感度も低いことから、画像を高速で感熱転写記録しようとする用途には不向きであるので好ましくない。
【0056】
本発明で最も好ましいエポキシ樹脂は、軟化点、エポキシ当量、および分子量の全ての特性が同時に前記それぞれの範囲内に在る場合である。この場合には、特に画像の転写性と耐久性に関して高い効果が得られるので好ましい。
【0057】
以上の理由から、融点が70〜150℃、エポキシ当量が600〜5000、及び分子量が800〜5000の範囲にあるエポキシ樹脂を選択する訳であるが、このようなエポキシ樹脂としては、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、クレゾールノボラックポリグルシジルエーテル、テトラブロムビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールヘキサフロロアセトングリシジルエーテル等のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂やフタル酸ジグリシジルエステル、ダイマー酸ジグリシジルエステル等のグリシジルエステル型エポキシ樹脂や、トリグリシジルイソシアヌレート、テトラグリシジルアミノジフェニルメタン、テトラグリシジルメタキシメンジアミン等のグリシジルアミン型エポキシ樹脂、およびヘキサヒドロビスフェノールAジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル等の脂肪族エポキシ樹脂等を挙げることができる。これらの中から任意に選択してよい。
【0058】
熱転写記録層(3)に含有される無色又は淡色の微粒子は、熱転写するときの転写性、詳しくは転写画像の形成されるドット形状、また階調再現性等を向上さるせ為に必要な成分であり、無色又は淡色のものを使用するのは、感熱転写で形成された着色画像の発色を損なわないようにする為である。このような無色又は淡色の微粒子の例としては、シリカ、炭酸カルシウム、カオリン、クレー、澱粉、酸化亜鉛、テフロン(登録商標)パウダー、ポリエチレンパウダー、ポリメチルメタクリレート樹脂ビーズ、ポリウレタン樹脂ビーズ、ベンゾグアナミン及びメラミン樹脂ビーズなどを挙げることができる。上記の中では、特に、シリカの微粒子が好ましい。
【0059】
熱転写記録層(3)に含有される着色顔料は、公知の種々顔料を用いることができる。一例としては、ブラック単色印字用としてはカーボンブラックが好ましく、多色印字用としては、イエロー、マゼンタ、シアンを形成する顔料及びこの3色の顔料にブラックを加えた4色の顔料を使用する。これら顔料は、1種類もしくは2種類以上組み合わせて使用することも可能である。
【0060】
熱転写記録層(3)を形成する為の組成物の配合組成は、その固形分について、着色顔料が20〜60重量部、非晶質有機重合体が40〜80重量部、無色又は淡色の微粒子が1〜30重量部である。着色顔料が上記範囲より少ない場合は所望の印画濃度を得ることができず、もし多い場合には、膜強度が低下する点で好ましくない。また、非晶質有機重合体(例えばエポキシ樹脂)が上記の範囲より、もし少ない場合には膜強度が低下する点で好ましくなく、また、もし多い場合には転写性の問題で、詳しくは転写画像が形成されるドット形状、また階調再現性、等が悪くなる点で好ましくない。そして、無色の微粒子が上記範囲より、もし少ない場合には転写性の問題、詳しくは転写画像の形成されるドット形状、また階調再現性等が悪くなる点で好ましくなく、また、もし多い場合には良好なインクの流動性が得られない。尚、熱転写記録層には、これらの材料に対して、必要に応じてさらに各種添加剤を配合することもできる。そしてその添加量は、前記熱転写記録層を形成する為の組成物100重量部(固形分)に対して、10重量部以下とするのが好ましい。
【0061】
なお、本発明の熱転写記録媒体の製造方法は、コート紙またはプラスチック等の基体上に着色剤とエポキシ樹脂と無色の微粒子とを溶剤に、分散または溶解した組成物を、バーコート、ブレードコート、エアナイフコート、グラビアコート、ロールコート等のソルベントコート法によって塗布し、乾燥して熱転写記録層を形成することにより成る。
【0062】
熱転写記録層(3)の膜厚は、0.2〜1.0μmが望ましい。膜厚が0.2μmを下回ると十分な濃度を出すことが難しく、また1.0μmを上回るとサーマルヘッドの発熱部分に応じた転写が困難となり、詳しくは転写画像の形成されるドット形状、また階調再現性等が劣ることになる。
【0063】
また、支持体(2)の熱転写記録層(3)を設けていない側からサーマルヘッドを用いて熱を加え、受像シート上に熱転写記録層(3)を転写する際に、サーマルヘッドが支持体(2)に付着して熱転写記録媒体(1)のスムーズな走行性を妨害するのを防ぐために、支持体(2)の熱転写記録層(3)が設けられていない側に、バックコート層(4)を設けることが望ましい。
【0064】
このようなバックコート層(4)に用いられる材料としては、ニトロセルロース、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ビニル樹脂等にシリコンオイルを含有させたもの、または、シリコン変性樹脂等を挙げることができる。また、耐熱性を向上させる目的で、架橋剤を併用しても良い。バックコート層(4)を設ける際の塗布厚は、0.1〜4μm程度が好ましい。
【0065】
以上の如き熱転写記録媒体(1)を用いて、画像を形成する為に使用する受像シート(基材上に基材から剥離して被転写体側に転写可能な受像層を設けた中間受像シート)としては、例えば、上質紙、コート紙等の紙類、ポリエステルフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリプロピレンフィルム等のプラスチックフィルム、あるいは紙、プラスチックフィルムを基材として、その上に転写が可能なように受像層をコーティングしたもの等が挙げられる。ここで使用する受像層は、一般には、非晶質有機重合体と同じか又は同種の材料を使用することが好ましい。
【0066】
つまり、もし熱転写記録層の非晶質有機重合体が、例えばエポキシ樹脂であるとすれば、受像層の主材料にもエポキシ樹脂を使用することが好ましい。即ち、同じか又は同種の非晶質有機重合体を受像層の材料に使用することによって、熱転写時に熱転写記録媒体の熱転写記録層が十分に溶融、半溶融、あるいは軟化しなくても、熱転写の際の熱によって、熱転写記録層と受像層とが良好に接着し、十分な箔切れ性が発現されることで印画が成されるために、転写性の問題、詳しくは転写画像の形成されるドット形状、また階調再現性等が向上する。更には形成された画像は、耐摩耗性、耐擦過性等の画像耐性に優れたものとなる。
【0067】
また、画像形成を行いたいシート上に直接画像形成を行うことが困難な場合は、上記受像シート上に一度画像を形成した後、転写画像を最終シート上に再転写させても良い。このような間接転写方式は、最終シートの選択性が広がるだけでなく、受像シートに保護層を設けておくことにより、最終転写画像上に保護層を設けられ画像耐性の向上が図れたり、受像シート上にホログラム形成層等のセキュリティ層を設けておくことにより、最終転写画像のセキュリティの向上を図ることが可能となる。
【0068】
上記の如き本発明の熱転写記録媒体及び上記の如き受像シートを使用して面積階調による階調画像表現を得る際に使用する熱エネルギーの付与手段は、従来公知の付与手段がいずれも使用することが出来、熱エネルギーをコントロールすることにより、階調画像を得ることが可能となる。
【0069】
尚、着色顔料や、無色又は淡色の微粒子の平均粒子径は、例えば、光散乱システムに基づくオートサイザー(AUTOSIZER:MARVERRUN社から市販)、コールターカウンター法、SEM観察像の処理等を用いることにより測定することが出来る。
【0070】
【実施例】
次に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。なお、文中で「部」又は「%」とあるのは特に断りのない限り重量基準である。
【0071】
実施例1
まず、下記組成の熱転写記録層用インク組成物を調製した。
【0072】
(シアンインク)
フタロシアニンブルー …9部
エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ製:エピコート1007) …20部
※軟化点128℃、エポキシ当量1750〜2200、分子量2900
無色微粒子(シリカ:日本アエロジル製アエロジルR972) …4部
メチルエチルケトン …67部
(マゼンタインク)
カーミン6B …9部
エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ製:エピコート1007) …20部
※軟化点128℃、エポキシ当量1750〜2200、分子量2900
無色微粒子(シリカ:日本アエロジル製アエロジルR972) …4部
メチルエチルケトン …67部
(イエローインク)
ジスアゾイエロー …9部
エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ製:エピコート1007) …20部
※軟化点128℃、エポキシ当量1750〜2200、分子量2900
無色微粒子(シリカ:日本アエロジル製アエロジルR972) …4部
メチルエチルケトン …67部
【0073】
上記処方の熱転写記録層用インクを、裏面に耐熱処理を施した厚さ5.4μmのポリエチレンテレフタレートフイルムに、乾燥膜厚が0.7μmになるように塗布及び乾燥して本発明の熱転写記録媒体を得た。
【0074】
次に、25μmのポリエステルフィルム(PET)上に、以下の各処方インクを順次塗布、乾燥して、剥離層(乾燥膜厚1μm)と受像層(乾燥膜厚が5μm)とが順次積層された受像シート(中間受像シート)を得た。
【0075】
(剥離層用インク)
アクリル樹脂 …20部
メチルエチルケトン …40部
トルエン …40部
(受像層インク)
エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ製:エピコート1007) …30部
※軟化点128℃、エポキシ当量1750〜2200、分子量2900
メチルエチルケトン …70部
【0076】
こうして得られたシアンの熱転写記録媒体の熱転写記録層面と受像シートとを重ね、サーマルヘッドを用いて、サーマルヘッドの発熱部に応じた面積階調によるシアン画像を得た。次にマゼンタの熱転写記録媒体を用いて、シアン画像が形成されている受像シート上にシアンと同様にして面積階調によるマゼンタ画像を形成した。同様にしてイエロー画像を形成し、受像シート上に面積階調のみからなるカラー画像を形成させることができた。
【0077】
比較例1
熱転写記録層用インクとして以下の昇華転写型インク組成物を調整した。
(シアンインク)
C.I.ソルベントブルー63 …5部
ブチラール樹脂(積水化学工業製BX-1) …5部
メチルエチルケトン …60部
トルエン …30部
(マゼンタインク)
C.I.ディスパーズレッド60 …5部
ブチラール樹脂(積水化学工業製BX-1) …5部
メチルエチルケトン …60部
トルエン …30部
(イエローインク)
C.I.ディスパーズイエロー201 …5部
ブチラール樹脂(積水化学工業製BX-1) …5部
メチルエチルケトン …60部
トルエン …30部
【0078】
上記処方の熱転写記録層用インクを、裏面に耐熱処理を施した厚さ5.4μmのポリエチレンテレフタレートフイルムに、乾燥膜厚が1.0μmになるように塗布及び乾燥して比較例1の熱転写記録媒体を得た。
【0079】
次に、25μmのポリエステルフィルム(PET)上に、以下の各処方インクを順次塗布、乾燥して、剥離層(乾燥膜厚1μm)と受像層(乾燥膜厚4μm)を得たうえ、その後45℃で1週間エージングを行い受像シート(中間受像シート)を得た。
【0080】
(剥離層用インク)
アクリル樹脂 …20部
メチルエチルケトン …40部
トルエン …40部
(染料受容層用インク)
アセタール樹脂 …10部
塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂 …10部
シリコンオイル …2部
イソシアネート樹脂 …3部
メチルエチルケトン …50部
トルエン …25部
【0081】
得られた熱転写記録媒体の熱転写記録層面と受像シートの染料受容層面とを重ね、サーマルヘッドを用いてイエロー、マゼンタ、シアンの順に画像形成を行い、カラー画像を得た。
【0082】
比較例2
実施例1において、熱転写記録層用インクの乾燥膜厚を、シアン、マゼンタ、イエローとも1.2μmとした以外は実施例1と同様にして熱転写記録媒体を作製しカラー画像を形成した。
【0083】
比較例3
実施例1において、熱転写記録層用インクを以下の処方に変更した以外は、実施例1と同様にして熱転写記録媒体を作製しカラー画像を形成した。
【0084】
(シアンインク)
フタロシアニンブルー …9部
エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ製:エピコート1007) …20部
※軟化点128℃、エポキシ当量1750〜2200、分子量2900
メチルエチルケトン …71部
(マゼンタインク)
カーミン6B …9部
エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ製:エピコート1007) …20部
※軟化点128℃、エポキシ当量1750〜2200、分子量2900
メチルエチルケトン …71部
(イエローインク)
ジスアゾイエロー …9部
エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ製:エピコート1007) …20部
軟化点128℃エポキシ当量1750〜2200分子量2900
メチルエチルケトン …71部
フタロシアニンブルー …10部
【0085】
比較例4
実施例1において、熱転写記録層用インクを以下の処方に変更した以外は、実施例1と同様にして熱転写記録媒体を作製しカラー画像を形成した。
【0086】
(シアンインク)
フタロシアニンブルー …9部
エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ製:エピコート1001) …20部
※軟化点64℃エポキシ当量450〜500分子量900
無色微粒子(シリカ:日本アエロジル製アエロジルR972) …4部
メチルエチルケトン …67部
(マゼンタインク)
カーミン6B …9部
エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ製:エピコート1001) …20部
※軟化点64℃エポキシ当量450〜500分子量900
無色微粒子(シリカ:日本アエロジル製アエロジルR972) …4部
メチルエチルケトン …67部
(イエローインク)
ジスアゾイエロー …9部
エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ製:エピコート1001) …20部
※軟化点64℃エポキシ当量450〜500分子量900
無色微粒子(シリカ:日本アエロジル製アエロジルR972) …4部
メチルエチルケトン …67部
【0087】
比較例5
実施例1において、熱転写記録層用インクを以下の処方に変更した以外は、実施例1と同様にして熱転写記録媒体を作製しカラー画像を形成した。
【0088】
(シアンインク)
フタロシアニンブルー …9部
エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ製:エピコート1010) …20部
※軟化点169℃エポキシ当量3000〜5000分子量5500
無色微粒子(シリカ:日本アエロジル製アエロジルR972) …4部
メチルエチルケトン …67部
(マゼンタインク)
カーミン6B …9部
エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ製:エピコート1010) …20部
※軟化点169℃エポキシ当量3000〜5000分子量5500
無色微粒子(シリカ:日本アエロジル製アエロジルR972) …4部
メチルエチルケトン …67部
(イエローインク)
ジスアゾイエロー …9部
エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ製:エピコート1010) …20部
※軟化点169℃エポキシ当量3000〜5000分子量5500
無色微粒子(シリカ:日本アエロジル製アエロジルR972) …4部
メチルエチルケトン …67部
【0089】
以上の実施例1、比較例1,2,3,3,4,5で得られた画像をカードの支持体上に重ね合わせ、熱圧を加えて受像層と共に画像を転写することで、透明な受像層(つまり保護層の役目も果たす透明層)が画像を覆うように形成された画像付きカードについて、画像階調性、耐光性、定着性(セキュリティ性にも影響)及び高濃度の濃度バランスの評価を行った。その結果を表1に示す。
【0090】
【表1】

【0091】
画像階調性………
○:作製したカラー画像がハイライト部からシャドウ部まで忠実に再現されている
×:ハイライト部からシャドウ部までの再現性が不十分である。
耐光性……………
キセノンフェードメーターによりカラー画像面に80時間照射を行い、その退色率を測定。
○:退色率5%以内
×:退色率5%以上
定着性……………
カラー画像面を爪で通常の力で擦ったときの画像部の尾引きの程度。
○:変化なし
×:画像部周辺に汚れあり
高濃度の濃度バランス…
フルベタ画像濃度(3色重ね墨濃度)のシアン、マゼンタ、イエローの各色成分の光学濃度の差
○:10%以内
×:10%以上
【0092】
表に示した通り本発明による感熱記録媒体(実施例1)は、階調再現性において作製したカラー画像がハイライト部からシャドウ部まで忠実に再現され、記録後の画像の耐久性を具備した優れた熱転写記録媒体を得ることができ、本発明の目的が達成された。
【0093】
実施例2
実施例1において、熱転写記録層用インク組成物としてシアン、マゼンタ、イエローの3色に、以下のブラックインクを加えて、4色を用いた混色によるカラー画像を作成した。
【0094】
(ブラックインク)
カーボンブラック …9部
エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ製:エピコート1007) …20部
※エポキシ当量1750〜2200軟化点128℃分子量2900
無色微粒子(シリカ:日本アエロジル製アエロジルR972) …4部
メチルエチルケトン …67部
【0095】
得られた画像をカードの支持体上に重ね合わせ、熱圧を加えて受像層と共に画像を転写することで、透明な受像層(つまり保護層の役目も果たす透明層)が画像を覆うように形成された画像付きカードについて、実施例1と同様の性能を有することが確認された。
【0096】
実施例3
実施例1において、カラー画像をシアン、マゼンタ、イエローの3色を用いた混色により作成し、文字及びバーコードの2値化画像をブラックで作成を行った。実施例1と同様に、得られた画像をカードの支持体上に重ね合わせ、熱圧を加えて受像層と共に画像を転写することで、透明な受像層(つまり保護層の役目も果たす透明層)が画像を覆うように形成された画像付きカードについて評価を行ったところ、得られた画像は、実施例1の場合の性能に加え、文字及びバーコード部分にも耐性の優れた性能を有することが確認された。得られた画像は、実施例1の性能に加え、文字及びバーコード部分にも耐性の優れた性能を有することが確認された。
【0097】
実施例4
実施例1で得られた熱転写記録媒体を用い、以下に示す受像シート上に画像形成を行った。
【0098】
(受像シート構成)
25μmのポリエステルフィルム上に以下の各処方インクを順次塗布、乾燥して剥離層、受像層が順次積層された受像シートを得た。
【0099】
(剥離層用インク)
アクリル樹脂 …20部
メチルエチルケトン …40部
トルエン …40部
【0100】
(受像層用インク)
エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ製:エピコート1007) …30部
※エポキシ当量1750〜2200軟化点128℃分子量2900
メチルエチルケトン …70部
【0101】
画像形成された受像シートを最終製品用シートと重ね合わせ受像シート裏面よりヒートローラーにて熱転写を行い、ポリエステルフィルムのみを剥がしたところ、やはり、透明な受像層(つまり保護層の役目も果たす透明層)が画像を覆うように形成された画像付きカードを得ることができた。
【0102】
実施例5
実施例1で得られた熱転写記録媒体を用い、以下に示す受像シート(中間受像シート)上に画像形成を行った。
【0103】
(受像シート構成)
25μmのポリエステルフィルム上に以下の剥離層用インク、ホログラム形成層用インクを順次塗布、乾燥して剥離層、ホログラム形成層を得た後、熱エンボスによりホログラム形成層の表面に凹凸形状によるホログラム形成を行った。
【0104】
(剥離層用インク)
アクリル樹脂 …20部
メチルエチルケトン …40部
トルエン …40部
(ホログラム形成層用インク)
塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体 …20部
ウレタン樹脂 …15部
メチルエチルケトン …70部
トルエン …30部
【0105】
更に、透明薄膜層としてZnSを蒸着によりホログラム形成層表面に設けたのち、以下の受像層用インクを塗布、乾燥して受像層を積層し、受像シートを得た。
【0106】
(受像層用インク)
エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ製:エピコート1007) …20部
※エポキシ当量1750〜2200、軟化点128℃、分子量2900
ウレタン樹脂 …10部
メチルエチルケトン …70部
【0107】
画像形成された受像シートを表面に紫外線発光蛍光剤が印刷された最終製品用シートと重ね合わせ受像シート裏面よりヒートローラーにて熱転写を行い、ポリエステルフィルムのみを剥がしたところ、やはり、透明層(受像層やホログラム形成層を含んでおり、全体としては保護層の役目も果たす透明な層)が画像を覆うように形成された画像付きカードを得ることができた。
【0108】
得られた画像付きカードは、セキュリティ対策(偽造や改ざんへの対策)としても利用価値のあるホログラム画像を有しており、セキュリティ性の高いものであった。実施例2〜5の結果も、前記表1の中に示しておく。
【0109】
【発明の効果】
本発明によれば、複数色のインクのドットで形成された画像であって、解像度が高く、面積階調による階調表現性も豊かで、画像は耐久性にも優れ、また画像の光学濃度も高い、優れた画像を備える画像形成体や画像付きカードを提供することが出来た。尚、そのような画像として、その画像付きカードの正当な所有者(あるいは正当な使用者)に係わる固有の情報(例/顔写真、指紋、直筆サイン、網膜などの画像)を適用すると、セキュリティ対策用の材料も兼ね備えた画像形成体や画像付きカードとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明に関わる画像付きカードの画像を形成する場合に、感熱転写記録を使用したときの熱転写記録媒体の好適な一例について、模式的な断面図を用いた説明図。(Yはイエロー、Mはマゼンタ、Cはシアンの各色を示す。)
【図2】
本発明に関わる画像付きカードの画像を形成する場合に、感熱転写記録を使用したときの熱転写記録媒体の好適な別の一例について、模式的な断面図を用いた説明図。(Yはイエロー、Mはマゼンタ、Cはシアンの各色を示す。)
【図3】
実施例1で用いたシアン顔料の分散度を表す。(横軸は粒子径〔nm〕、縦軸は各粒径の粒子が存在する割合〔%〕を表す。)
【図4】
実施例1で用いたマゼンタ顔料の分散度を表す。(横軸は粒子径〔nm〕、縦軸は各粒径の粒子が存在する割合〔%〕を表す。)
【図5】
実施例1で用いたイエロー顔料の分散度を表す。(横軸は粒子径〔nm〕、縦軸は各粒径の粒子が存在する割合〔%〕を表す。)
【図6】
実施例1で用いた無色の微粒子の分散度を表す。(横軸は粒子径〔nm〕、縦軸は各粒径の粒子が存在する割合〔%〕を表す。)
【図7】
本発明に係る画像付きカードの一例を模式的に示す断面図。
【符号の説明】
1・・・熱転写記録媒体
2・・・支持体
3・・・熱転写記録層
4・・・バックコート層
20・・・画像付きカード
21・・・カードの支持体
22・・・透明層
31・・・シアンのインクのドット
32・・・マゼンタのインクのドット
33・・・イエローのインクのドット
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2005-09-01 
出願番号 特願2000-345176(P2000-345176)
審決分類 P 1 652・ 534- ZA (B42D)
P 1 652・ 121- ZA (B42D)
最終処分 取消  
前審関与審査官 平井 聡子  
特許庁審判長 砂川 克
特許庁審判官 藤本 義仁
藤井 靖子
登録日 2003-09-19 
登録番号 特許第3473570号(P3473570)
権利者 凸版印刷株式会社
発明の名称 画像形成体および画像付きカード  
代理人 河野 哲  
代理人 鈴江 武彦  
代理人 中村 誠  
代理人 中村 誠  
代理人 河野 哲  
代理人 金山 聡  
代理人 鈴江 武彦  

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