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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A23L
管理番号 1128960
異議申立番号 異議2003-73752  
総通号数 74 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1997-01-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-12-26 
確定日 2005-10-11 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3448402号「食品用変性澱粉およびそれを用いたペースト状食品」の請求項1ないし3に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3448402号の請求項1ないし3に係る特許を取り消す。 
理由 本件特許第3448402号に係る発明は、平成16年11月26日付け訂正請求書に添付の訂正明細書の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定されるとおりのものであると認める。
これに対して、平成17年4月15日付けで取消理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、特許権者からは何らの応答もない。
そして、上記の取消理由は妥当なものと認められるので、本件特許は、この取消理由によって取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
ペースト状食品用変性澱粉およびそれを用いたペースト状食品
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】粒径が74μm以下に微粉砕アルファー化された、膨潤度が2.0〜5.0の架橋澱粉、膨潤度が2.0〜5.0、エーテル化の置換度が0.1〜0.2、エステル化の置換度が0.04〜0.09である架橋エーテル化澱粉および架橋エステル化澱粉のうち、少なくとも1種以上からなるペースト状食品用変性澱粉。
【請求項2】該ペースト状食品用変性澱粉のうち、架橋澱粉がリン酸架橋またはヒドロキシプロピル架橋澱粉であり、架橋エーテル化澱粉がヒドロキシアルキルエーテル化リン酸架橋澱粉またはカルボキシアルキルエーテル化リン酸架橋澱粉であり、架橋エステル化澱粉が酢酸エステル化リン酸架橋澱粉または酢酸エステル化アジピン酸架橋澱粉であることを特徴とする請求項1記載のペースト状食品用変性澱粉。
【請求項3】食品用ペースト原料に請求項1記載の食品用変性澱粉を配合したペースト状食品。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、透明性に優れ温度変化による稠度の変化が少なく、また長時間低温保持もしくは冷凍保持しても不都合なシネリシス(離漿)が発生しづらいなど顕著に優れた安定性を示し、また舌触りの非常によく、大規模な加熱装置等を必要とせずに大量生産できるペースト状食品類に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、食生活の多様化に伴ない、洋菓子類、発酵乳加工品およびデザート類も高級化、多様化している。これらの嗜好食品類に使用されるトッピングソース、フィリングソース、フルーツプレザーブ等のペースト状食品に対する需要がますます増大しているとともに、高品質で、なおかつ大量生産にも対応できるものが要求されている。また、形態、加工条件、保存条件、食感(テクスチャー)などペースト状食品には物性的にも様々な条件を満たすような食品素材が必要である。
【0003】
このような物性をもった食品素材あるいはその製造方法としては、特公昭54-37218号公報にあるような低メトキシルペクチンを含有させることにより、離水を伴わない安定な多層状ペースト食品を製造する方法や特公昭56-10020号公報にあるように、ゲル化剤としてキサンタンガムと化学的に未変性の澱粉、タラガムまたはローカストビーンガムのいずれかを添加することによって耐シネリシス性のあるゲルを得る方法も提案されている。また変性澱粉を用いる方法としては、特開昭56-124344号公報の架橋型澱粉リン酸エステルナトリウム(グルコース残基2個に対して、その間に1分子のリン酸が架橋結合している2ジ-結合型のもの)や、特公昭63-8741号公報の架橋型リン酸澱粉に親水性のヒドロキシプロピル基を導入した架橋型ヒドロキシプロピルリン酸澱粉(ヒドロキシプロピル・ジ・スターチホスフェイト)および/または酢酸澱粉を用いるものがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のペースト状食品類の問題としては、経時的に稠度が変化しやすく、さらには加熱処理もしくは低温保存、凍結および解凍等の急激な温度変化、あるいは糖含量の異なるペーストとの接触などにより、シネリシスが発生しやすくなり、外観が損われるという品質上の欠点があった。
【0005】
例えば、未変性の澱粉を用いている場合(特公昭56-10020)では、経時的に未変性澱粉の老化がおこり、長期間の保存によりシネリシスが発生してしまい、満足できる品質のものではなかった。また、低メトキシペクチンを用いた場合(特公昭54-37218)によれば、1種のペースト食品をあらゆる糖含量の製品に使用することはできず、ペースト食品が接する基材の糖含量によって低メトキシペクチンの添加の要否を考慮する必要があった。
【0006】
一方、変性澱粉を用いた場合でも特開昭56-124344では、用いられる架橋型リン酸澱粉の親水性が著しく低く、低温貯蔵性が劣り、やがて時間が経つとゲル化およびシネリシスが発生してしまう。また、特公昭63-8741号公報記載の変性澱粉では、使用する際に加熱膨潤あるいは加熱糊化させて配合しているので、大量生産する際には、大がかりな加熱装置が必要となる。また、加熱に伴い、他の配合物の風味も損なわれる可能性も生じてくる。
【0007】
本発明者等は、長期間低温保存してもゲル化せず、またシネリシスを発生せず透明性に優れ、温度変化による稠度変化が少ない、舌触りの非常になめらかなペースト状食品を大量に生産できることを目的とした。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ペースト状食品用原料のかかる欠点を改善すべく種々検討を行ってきた結果、微粉砕アルファー化された、架橋澱粉、架橋エーテル化澱粉および架橋エステル化澱粉のうち、少なくとも1種以上からなる食品用変性澱粉を配合することにより上述した問題点を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
本発明において出発材料として使用される澱粉は、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、モチトウモロコシ澱粉、甘藷澱粉、小麦澱粉、米澱粉、タピオカ澱粉、サゴ澱粉等が挙げられる。
【0010】
本発明においては、架橋反応の試薬としては、エピクロルヒドリン、オキシ塩化リン、ポリリン酸塩、メタリン酸塩、アジピン酸、アクロレイン等が挙げられ、エーテル化反応の試薬としては、プロピレンオキサイド、モノクロル酢酸等が挙げられ、エステル化反応の試薬としては、無水酢酸、酢酸ビニル、無水コハク酸、1-オクテニル無水コハク酸等が挙げられる。
【0011】
架橋反応は、上述の澱粉を、水単独又は水と有機溶媒(例、アルコールなど)との混合溶媒に懸濁し、上述の架橋剤をアルカリ触媒の存在下で反応させることにより行う。この反応は、pHを10〜13に維持しながら、10〜50℃にて撹拌することによって行う。使用するアルカリ触媒としては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物(例、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなど)、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩(例、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウムなど)、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のアルコキサイド(例、ナトリウムメトキサイド、ナトリウムエトキサイド、カリウムメトキサイドなど)、アンモニア、C1-6アルキル基を有するモノ、ジもしくはトリアルキルアミン(例、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミンジプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、第2級ブチルアミン、第3級ブチルアミン、アミルアミン、第2級アミルアミン、第3級アミルアミン、ヘキシルアミンなど)、アルコール性水酸基を有するジもしくはトリアルコールアミン(例、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジエタノールアミンなど)などが挙げられる。澱粉に対する架橋剤の添加量は架橋剤の分子量や原料澱粉によって差があるものの、約0.01〜5重量%、好ましくは0.01〜1重量%の範囲で適宜選択できる。架橋された澱粉は架橋剤の量に応じて澱粉の膨潤の度合が変わる。本願では架橋反応の程度を膨潤度として表す。膨潤度の測定は、以下の通りである。無水換算試料0.15gを電解液(塩化亜鉛10部、塩化アンモニウム26部、イオン交換水64部を溶解後、濾過したもの)15mlを添加し、分散後、直ちによく沸騰した湯浴中で5分間加熱し、冷却後、再度分散し10mlのメスシリンダーに正確に入れ、室温で静置後18時間の沈澱層(ml)を膨潤度とする。
【0012】
上記の範囲で架橋剤を使用し、膨潤度が1.5〜6.0、好ましくは2.0〜5.0の範囲になるように架橋反応を行うことが好ましい。膨潤度が2.0を下回る場合、冷水での膨潤が抑制され、ペースト状にならず、一方、膨潤度が5.0を上回る場合、ペーストの曳糸性が強調され、ペースト状食品としての食感が損なわれてしまう。
【0013】
架橋エーテル化反応は、上述の澱粉を、水単独又は水と有機溶媒(例、アルコールなど)との混合溶媒に懸濁し、上述の架橋剤およびエーテル化反応試薬をアルカリ触媒の存在下で反応させることにより行う。この反応は、pHを10〜13に維持しながら、10〜50℃にて撹拌することによって行う。使用するアルカリ触媒および架橋剤の添加量は、先ほどの架橋反応と同様である。また澱粉に対するエーテル化剤の添加量は、0.1〜20重量%、好ましくは1〜10重量%の範囲で適宜選択できる。
この場合、エーテル化反応の程度を示す置換度(無水グルコース1分子当たりの官能基の数、以後D.S.とする)は0.002〜0.4、好ましくは0.05〜0.2の範囲になる。D.S.が0.02を下回る場合、長期低温保存時の安定性に支障が生じ、0.2を上回った場合では、製造コストが高くなる割には効果にあまり差が出ないという問題がある。また、D.S.が高くなると、ペーストに曳糸性が生じてくるが、膨潤度を低くすることによって、食感の適したペーストにすることが出来る。
【0014】
架橋エステル化反応は、上述の澱粉を、水単独又は水と有機溶媒(例、アルコールなど)との混合溶媒に懸濁し、上述の架橋剤で架橋反応を行った後、エステル化反応試薬をアルカリ触媒の存在下で反応させることにより行う。エステル化反応は、pHを7〜10に維持しながら、10〜50℃にて撹拌することによって行う。使用するアルカリ触媒および架橋剤の添加量は、先ほどの架橋反応と同様である。また澱粉に対するエステル化剤の添加量は、0.1〜20重量%、好ましくは1〜10重量%の範囲で適宜選択できる。
この場合、エステル化反応を示すD.S.は0.002〜0.3、好ましくは0.015〜0.15の範囲になる。D.S.が0.015を下回る場合、長期低温保存時の安定性に支障が生じ、0.15を上回った場合では、製造コストが高くなる割には効果にあまり差が出ないという問題がある。また、D.S.が高くなると、ペーストに曳糸性が生じてくるが、膨潤度を低くすることによって、食感の適したペーストにすることが出来る。
【0015】
本発明における微粉砕アルファー化は、常法に従って、ダブル式あるいはシングル式のドラムドライヤー、あるいはエクストルーダー(一軸あるいは二軸)で、乾燥粉末化することにより製造される。水分散液の濃度は、実際のドラムドライヤーまたはエクストルーダーの運転条件に応じて適宜選択できるが、通常ドラムドライヤーの場合30〜60%、エクストルーダーの場合10〜50%とすることが好ましい。また、ドラムドライヤーやエクストルーダーの運転条件には特に制約がなく、通常の温度、圧力、回転数、ロールスリット幅が採用でき、使用澱粉によって適宜調整できる。また、得られたアルファー化澱粉は、篩別機により粒径が150μm以下になるように微粉砕され、加熱しなくても舌触りのなめらかなペーストを調製することが出来る。一方、粒径が150μmより大きくなると、ペーストにした時の舌触りがざらついてしまう。
【0016】
【作用】
このようにして生成された微粉砕アルファー化変性澱粉は、食品用ペースト素材として用いることが出来る。つまり、各種食品素材を配合して最終的にペーストに仕上げた後、長期間低温保存してもゲル化せず、またシネリシスを発生せず透明性に優れ、温度変化による稠度変化が少ない。また、微粉砕アルファー化されているので大規模な加熱装置等を必要とせずに大量生産でき、食したときの舌触りも非常になめらかなものとなる。
【0017】
【実施例】
つぎに実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下の実施例で用いる「部」は、特に示さない限り重量部を示す。
実施例1
水120部に水酸化ナトリウム0.4部、塩化ナトリウム1部を溶かし、馬鈴薯澱粉100部を懸濁し、トリメタリン酸ナトリウム0.7部を投入し、30℃で16時間反応した。その後、pHを6.0に中和し脱水、洗浄、乾燥を行い、リン酸架橋馬鈴薯澱粉を得た。この時の澱粉の膨潤度は2.3であった。
実施例2
実施例1において、水酸化ナトリウムを炭酸ナトリウムにした以外は実施例1と同様にして、リン酸架橋馬鈴薯澱粉を得た。このときの膨潤度は2.4であった。
実施例3
実施例1において、馬鈴薯澱粉をタピオカ澱粉にした以外は実施例1と同様にして、リン酸架橋タピオカ澱粉を得た。このときの膨潤度は2.2であった。
実施例4
実施例1において、馬鈴薯澱粉をモチトウモロコシ澱粉にした以外は実施例1と同様にして、リン酸架橋モチトウモロコシ澱粉を得た。このときの膨潤度は2.4であった。
【0018】
実施例5
実施例1において、トリメタリン酸ナトリウムの投入量を0.3部にした以外は実施例1と同様にして、リン酸架橋馬鈴薯澱粉を得た。このときの膨潤度は3.6であった。
実施例6
実施例1において、トリメタリン酸ナトリウムの投入量を0.2部にした以外は実施例1と同様にして、リン酸架橋馬鈴薯澱粉を得た。このときの膨潤度は4.8であった。
【0019】
実施例7
水120部に水酸化ナトリウム0.5部、塩化ナトリウム1部を溶かし、馬鈴薯澱粉100部を懸濁し、エピクロルヒドリン0.01部を投入し、30℃で16時間反応した。その後、pHを6.0に中和し脱水、洗浄、乾燥を行い、ヒドロキシプロピル架橋馬鈴薯澱粉を得た。この時の澱粉の膨潤度は2.5であった。
【0020】
実施例8
水120部に水酸化ナトリウム1部、硫酸ナトリウム30部を溶かし、馬鈴薯澱粉100部を懸濁し、トリメタリン酸ナトリウム0.04部、プロピレンオキサイド7部を投入し、40℃で16時間反応した。その後、pHを6.0に中和し脱水、洗浄、乾燥を行い、ヒドロキシプロピルエーテル化リン酸架橋馬鈴薯澱粉を得た。この時の澱粉の膨潤度は2.3、ヒドロキシプロピル基のD.S.(以下、D.S.(HP)とする)は0.17であった。
実施例9
実施例8において、馬鈴薯澱粉をタピオカ澱粉にした以外は実施例8と同様にして、ヒドロキシプロピルエーテル化リン酸架橋タピオカ澱粉を得た。このときの膨潤度は2.5、D.S.(HP)は0.14であった。
実施例10
実施例8において、馬鈴薯澱粉をモチトウモロコシ澱粉にした以外は実施例8と同様にして、ヒドロキシプロピルエーテル化リン酸架橋モチトウモロコシ澱粉を得た。このときの膨潤度は2.4、D.S.(HP)は0.17であった。
【0021】
実施例11
実施例8において、トリメタリン酸ナトリウムの投入量を0.02部にした以外は実施例8と同様にして、ヒドロキシプロピルエーテル化リン酸架橋馬鈴薯澱粉を得た。このときの膨潤度は3.4、D.S.(HP)は0.17であった。
実施例12
実施例8において、トリメタリン酸ナトリウムの投入量を0.01部にした以外は実施例8と同様にして、ヒドロキシプロピルエーテル化リン酸架橋馬鈴薯澱粉を得た。このときの膨潤度は4.7、D.S.(HP)は0.18であった。
【0022】
実施例13
実施例8において、プロピレンオキサイドの投入量を4部にした以外は実施例8と同様にして、ヒドロキシプロピルエーテル化リン酸架橋馬鈴薯澱粉を得た。このときの膨潤度は2.1、D.S.(HP)は0.1であった。
実施例14
実施例8において、プロピレンオキサイドの投入量を10部にした以外は実施例8と同様にして、ヒドロキシプロピルエーテル化リン酸架橋馬鈴薯澱粉を得た。このときの膨潤度は4.2、D.S.(HP)は0.24であった。
【0023】
実施例15
水30部とエタノール90部の混合溶媒に水酸化ナトリウム1部を溶かし、馬鈴薯澱粉100部を懸濁し、トリメタリン酸ナトリウム0.04部、モノクロル酢酸ナトリウム10部を投入し、40℃で16時間反応した。その後、pHを6.0に中和し脱水、洗浄、乾燥を行い、カルボキシメチルエーテル化リン酸架橋馬鈴薯澱粉を得た。この時の澱粉の膨潤度は2.3、カルボキシメチル基の置換度(以下、D.S.(CM)とする)は0.12であった。
実施例16
実施例15において、馬鈴薯澱粉をタピオカ澱粉にした以外は実施例15と同様にして、カルボキシメチルエーテル化リン酸架橋タピオカ澱粉を得た。このときの膨潤度は2.5、D.S.(CM)は0.10であった。
実施例17
実施例15において、馬鈴薯澱粉をモチトウモロコシ澱粉にした以外は実施例15と同様にして、カルボキシメチルエーテル化リン酸架橋モチトウモロコシ澱粉を得た。このときの膨潤度は2.4、D.S.(CM)は0.10であった。
【0024】
実施例18
実施例15において、トリメタリン酸ナトリウムの投入量を0.02部にした以外は実施例15と同様にして、カルボキシメチルエーテル化リン酸架橋馬鈴薯澱粉を得た。このときの膨潤度は3.8、D.S.(CM)は0.10であった。
実施例19
実施例15において、トリメタリン酸ナトリウムの投入量を0.01部にした以外は実施例15と同様にして、カルボキシメチルエーテル化リン酸架橋馬鈴薯澱粉を得た。このときの膨潤度は4.9、D.S.(CM)は0.11であった。
【0025】
実施例20
実施例15において、モノクロル酢酸ナトリウムの投入量を12部にした以外は実施例15と同様にして、カルボキシメチルエーテル化リン酸架橋馬鈴薯澱粉を得た。このときの膨潤度は2.0、D.S.(CM)は0.12であった。
実施例21
実施例15において、モノクロル酢酸の投入量を15部にした以外は実施例15と同様にして、カルボキシメチルエーテル化リン酸架橋馬鈴薯澱粉を得た。このときの膨潤度は3.6、D.S.(CM)は0.2であった。
【0026】
実施例22
水120部に水酸化ナトリウム0.4部、塩化ナトリウム1部を溶かし、馬鈴薯澱粉100部を懸濁し、トリメタリン酸ナトリウム0.2部を投入し、30℃で16時間反応した。その後、無水酢酸を5部投入し、pHを水酸化ナトリウムで8.0〜8.5に調整しながら30℃で6時間反応し、その後pHを6.0に中和し脱水、洗浄、乾燥を行い、酢酸エステル化リン酸架橋馬鈴薯澱粉を得た。この時の澱粉の膨潤度は2.3、アセチル基の置換度(以下、D.S.(Ac)とする)は0.07であった。
実施例23
実施例22において、馬鈴薯澱粉をタピオカ澱粉にした以外は実施例22と同様にして、酢酸エステル化リン酸架橋タピオカ澱粉を得た。このときの膨潤度は2.5、D.S.(Ac)は0.06であった。
実施例24
実施例22において、馬鈴薯澱粉をモチトウモロコシ澱粉にした以外は実施例22と同様にして、酢酸エステル化リン酸架橋モチトウモロコシ澱粉を得た。このときの膨潤度は2.4、D.S.(Ac)は0.07であった。
【0027】
実施例25
実施例22において、トリメタリン酸ナトリウムの投入量を0.15部にした以外は実施例22と同様にして、酢酸エステル化リン酸架橋馬鈴薯澱粉を得た。このときの膨潤度は3.1、D.S.(Ac)は0.07であった。
実施例26
実施例22において、トリメタリン酸ナトリウムの投入量を0.1部にした以外は実施例22と同様にして、酢酸エステル化リン酸架橋馬鈴薯澱粉を得た。このときの膨潤度は4.1、D.S.(Ac)は0.08であった。
【0028】
実施例27
実施例22において、無水酢酸の投入量を3部にした以外は実施例22と同様にして、酢酸エステル化リン酸架橋馬鈴薯澱粉を得た。このときの膨潤度は2.4、D.S.(Ac)は0.04であった。
実施例28
実施例22において、無水酢酸の投入量を8部にした以外は実施例22と同様にして、酢酸エステル化リン酸架橋馬鈴薯澱粉を得た。このときの膨潤度は3.4、D.S.(Ac)は0.09であった。
【0029】
実施例29
水120部に馬鈴薯澱粉100部を懸濁し、無水酢酸を4部、アジピン酸架橋剤(アジピン酸:無水酢酸=1:4を90℃以上で1時間加熱し、冷却したもの)を1部投入し、pHを水酸化ナトリウムで8.0〜8.5に調整しながら30℃で6時間反応し、その後pHを6.0に中和し脱水、洗浄、乾燥を行い、酢酸エステル化アジピン酸架橋馬鈴薯澱粉を得た。この時の澱粉の膨潤度は2.3、D.S.(Ac)は0.07であった。
実施例30
実施例29において、馬鈴薯澱粉をタピオカ澱粉にした以外は実施例29と同様にして、酢酸エステル化アジピン酸架橋タピオカ澱粉を得た。このときの膨潤度は2.5、D.S.(Ac)は0.06であった。
実施例31
実施例29において、馬鈴薯澱粉をモチトウモロコシ澱粉にした以外は実施例29と同様にして、酢酸エステル化アジピン酸架橋モチトウモロコシ澱粉を得た。このときの膨潤度は2.4、D.S.(Ac)は0.07であった。
【0030】
実施例32
実施例29において、アジピン酸架橋剤の投入量を0.5部にした以外は実施例29と同様にして、酢酸エステル化アジピン酸架橋馬鈴薯澱粉を得た。このときの膨潤度は3.5、D.S.(Ac)は0.07であった。
実施例33
実施例29において、アジピン酸架橋剤の投入量を0.3部にした以外は実施例29と同様にして、酢酸エステル化アジピン酸架橋馬鈴薯澱粉を得た。このときの膨潤度は4.2、D.S.(Ac)は0.08であった。
【0031】
実施例34
実施例29において、無水酢酸の投入量を2部にした以外は実施例29と同様にして、酢酸エステル化アジピン酸架橋馬鈴薯澱粉を得た。このときの膨潤度は2.4、D.S.(Ac)は0.04であった。
実施例35
実施例29において、無水酢酸の投入量を8部にした以外は実施例29と同様にして、酢酸エステル化アジピン酸架橋馬鈴薯澱粉を得た。このときの膨潤度は3.9、D.S.(Ac)は0.09であった。
【0032】
実施例36
実施例1から35までの変性澱粉を1.2倍量の水に懸濁し、各々ダブル型ドラムドライヤー(蒸気内圧5.5kg/cm2、ドラム径1.2m、回転数約0.85rpm)で乾燥粉末化し、200メッシュの篩で微粉砕を行った。これらの微粉砕アルファー化澱粉を用いて、以下の処方でクリームを作成し粘度測定(作成直後、1日後)を行った。


結果を表1、2に示した。
【表1】

【表2】

比較例1
比較として、原料の馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、モチトウモロコシ澱粉を実施例36と同様の条件で乾燥粉末化した後、200メッシュの篩で微粉砕を行った。これらのアルファー化澱粉を用いて、実施例36と同様に、クリームの粘度測定を行い、結果を表3に示した。
【表3】

【0033】
実施例37
実施例1、8、15、22、29の変性澱粉を実施例36と同様の条件で乾燥粉末化した後、200メッシュの篩で微粉砕を行ったアルファー澱粉を用いて、以下の処方で実際にカスタードクリームを作成し、食感試験を行ったところ、すべて、非常に舌触りのなめらかなクリームであり、また冷蔵保存を行ってもシネリシスを起こさなかった。一方、比較例1で作成した原料のアルファー化澱粉ではシネリシスを起こした。

上記の混合物を泡立て器で約10分間撹拌する。
【0034】
【発明の効果】
本発明の製造方法により製造された微粉砕アルファー化変性澱粉は、長期間低温保存してもゲル化せず、またシネリシスを発生せず透明性に優れ、温度変化による稠度変化が少なく、食品用ペースト素材として用いることが出来る。微粉砕アルファー化されているので大規模な加熱装置等を必要とせずに大量生産でき、食したときの舌触りも非常になめらかなものとなる。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2005-08-24 
出願番号 特願平7-205042
審決分類 P 1 651・ 121- ZA (A23L)
最終処分 取消  
前審関与審査官 鈴木 恵理子  
特許庁審判長 田中 久直
特許庁審判官 鵜飼 健
河野 直樹
登録日 2003-07-04 
登録番号 特許第3448402号(P3448402)
権利者 日澱化學株式会社
発明の名称 食品用変性澱粉およびそれを用いたペースト状食品  

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